☆ 私の可愛い彼女の秘密 ☆


※この作品は、「かがみが両性具有だったらこなた達は――」という設定のものです。

 
 保健室の奥の方の部屋。先生にデリケートな相談をする時や、安静にする事が必要な状態の時に使われる場所。
 そんな場所である日の授業時間中、私――こなたは、かがみとみゆきさんと一緒に、人目から隠れて息をついていた。もちろん、保健室の天原先生と、なぜかいた桜庭先生には許可を取ってある。
「いやー、体育が合同授業でよかったよ。おかげで私がかがみの身体の異変に気付けて、保健室に連れて行くという名目で合法的に休めるんだから」
 なんて暢気な声を出すのは、かがみの熱くなった身体に触れながら、かがみの押し殺した声に耳を澄ませる私。陵桜学園は生徒の数が多いから、合同授業は元から人数が過剰気味。三人、うち一人は運動が得意な私が抜けると聞いても、体育の先生の代わりに来ていた黒井先生はあっさり許してくれた。……実はもう一つ理由があるんだけど。
 そんな私に触られた所を気にしているのは、いつものように真面目なかがみ。
「喜ばないで、こなた。……あぁもう、私の事情で保健室まで付き合わせたのに」
「そうですよ。かがみさんの身体には……事情があるんですから」
「んぁうっ!?」
 憂い顔のみゆきさんがかがみの下腹部を撫で上げると、かがみはびくんと腰を浮かせて、身体が甘い吐息と喘ぎ声を上げる。制服のスカートを押し上げているのは……勃起しているかがみの男根。かがみ自身の血が通うそれは、みゆきさんの指に触れられて、私が触った時よりも硬く張り詰めていた。
「でも嬉しいです。私でこんなにかがみさんが感じて昂って下さるなんて」
「あ、あまり触らないでよ。余計に硬くなっちゃうじゃない」
(私が同じ事したら興奮しながら嫌そうにするのに、みゆきさんにだけデレるなんて不公平だよ)
 なんてみゆきさんに嫉妬する私は、ちょっとかがみには見せられないよね。それに、かがみが喘ぎをこらえながら身体を震わせるのって可愛くて。
 かがみの身体には男と女の生殖器が一組ずつあって、両方の生殖能力が備わっている。私とみゆきさんがかがみの秘密を知ってしまったのは、一年生の終わり頃。かがみが熱を出して汗まみれだったから、見舞いに来た私はかがみの身体を拭こうと寝巻を――なんてギャルゲーみたいな展開ではなく、頭に熱が回っていたかがみは、男の部分がズボンの上に浮き出ていたのに気付かなかったというだけ。
 私には過敏に反応して、そのまま部屋を追い出されそうになった上に、かがみが私を、かがみの普通でない身体を蔑むような奴だと思っていたなんて聞いて、私はそれを口実にかがみをR15指定レベルで襲ってしまった。翌日、みゆきさん相手にはお互い真っ赤になってたのに(しかもみゆきさんもかがみを襲ったのに)、あまりの扱いの違いにかがみを襲って……そして襲い返されて今に至る。
 話を元に戻すけど、私とみゆきさんがかがみとここにいるのは、かがみの男の部分が大きくなったまま収まらなくて、体操服を着られるような状態じゃなかったから。つかさもかがみに付き添いたがったけど、体育が苦手なつかさは授業を受けた方がいいだろうから残ってもらった。もちろん、天原先生も桜庭先生も黒井先生も、この辺りの事情は承知済み。
 実のところ、私かみゆきさんのどちらかでも付き添いには十分なのに二人揃って連れてきたのは、「男」と女が二人きりでは何かとまずいから。……いや、どちらかというと、「男」の側ではなくて女の側が。
 そう、私とみゆきさんは、かがみに恋をしている。特にみゆきさんは、普段の清楚な印象が、ときに台無しになるくらい。まだ告白はしてないけど、かがみも薄々気付いているから、そのうち可否はともかく受け止めてくれるんだろうけど、かがみのしっとりした優しい声と、なぜ学級委員じゃないのか疑問なくらい頼もしい態度は女の子にとって天然のたらしなんだから、みゆきさんが羊の皮を被った狼になっても知らないよ?
 とか言いつつ、私という狐は、性欲旺盛な雄ウサギをいじり続ける。そして盛りの付いた羊のように、みゆきさんもかがみの同じ部分をいじっていた。もちろん直に触るなんてエロゲーみたいな真似はせず、スカートの上から形を確かめるだけ。
「相変わらず可愛いよねーかがみん。こんな女らしい身体してるのに、男でもあるなんて反則だよ」
 さわさわ。
「この反応が嬉しい辺り、私も泉さんも、かがみさんに惹かれている事は間違いありませんね」
 さわさわ。
「でも相変わらず大きいよ。いっその事、私とみゆきさんがこの場で処理するしか」
 さわさわ。
「困りましたね……。直接触れると男の子の部分が収まりませんし、抱き締めてもかえって私や泉さんの興奮が収まりません」
 さわさわ。
「あのー、こなた、みゆき。二人で相談しながら私の男の部分をさすらないで。スカートに直接擦れるだけでも刺激が強いんだから」
 かがみにスカートの上の手を押しのけられて、私とみゆきさんは揃ってうなだれた。……かがみの大事な所に触れていた手を握り締めながら甘い溜め息をついたりして、少しは自重してよみゆきさん。
「こっ、こらっ。女の部分を触ろうとするなこなたっ!」

 
「……まったく。こなただけじゃなくみゆきまで……」
 私は理性が飛びかけた二匹の獣から何とか身を護り(いや、あまり護りきれてはいなかったけど)、着崩れたセーラー服とスカートを直してから、黒井先生に生徒指導室へ連行されたケダモノどもと別れて教室へと戻る。こなたとみゆきに昂らされた身体は、男の部分も女の部分も疼くのが止まらない。
(ああっ、学校では下手に発散もできないってのに)
 自分の肉体を恨みながら、前屈みになって勃起を隠すのが精一杯だったその途中、人気のない廊下で、もう一匹の獣に出会った。
「お姉ちゃーん♪」
「つ、つかさっ、そこはっ!?」
 双子の妹は人目がないのを好機と見て――いや、人目があっても多分そんなの気にせず――、私の両性具有の身体にぎゅ〜〜っと密着した。ほとんど背丈が同じだから、私の先端が……つかさの下腹部に当たっている。つかさでは興奮しないように調教、じゃなくて躾けられているとはいえ、こんなに近いと意識するのを抑えられない。
 それでもつかさは平然として、いつもするように、軽く唇を合わせてから(キスじゃないわよ。小さな頃からのスキンシップなんだからね?)同じ高さの目線に戻って、火照りを抑えるように抱き締めてくれるんだけど。
「姉妹だからいーのっ。あ、お姉ちゃんは半分男の子だから兄妹かな?」
「もう、つかさったら」
 身体の緊張を解いた私はつかさを抱き返して、子供のようにじゃれ合った。まあ、慎ましい体型のつかさを抱き締める私はともかく、女としても発育している私を抱き締めるつかさの方は、顔もほんのり赤くなってて可愛いわよね。つかさはお父さんに似た優しい目で、骨格も私よりしっかりしているから、お父さんと抱き合うお母さんみたいな気分になってくる。
「お姉ちゃんの秘密、私とこなちゃんとゆきちゃんが絶対に守るから」
 つかさが身体を重ねるのを感じながら、頼もしい妹の温もりの中で、私の身体は性的興奮が鎮まるのを感じる。生まれる前から一緒だった、私の半身に安らぎを感じながら――、
「身体の事が知られると――女の子達にデートに誘われたり告白されたりしちゃうし。あ、お姉ちゃんとそういう事するのはこなちゃんかゆきちゃんがいいなー」
 ――安らぎは一気に台無しになる。それどころかこなたやみゆきにそーいう事をされている自分を想像してしまい、身体の中の疼きは余計に活性化してしまった。
 まあ確かに私は凛々しくてかっこいいとかで、私やつかさのクラスの女の子から人気があるらしいわよね。あぁもう、こなたは「かがみって地が出ると男言葉になるよね」って言ってたけど、本当にバレてないのかしらこの身体?

 
 今日は学校行事の準備で遅くまでいたから、みゆきさんはゆかりさんに電話して、かがみとつかさの家に泊まる事になっていた。私はそんな理由はないけど、やっぱりかがみ――とつかさとみゆきさんと一緒にいるだけでも楽しいし、近頃はお父さんがかがみを警戒してるから鬱陶しくて。かがみが両性具有だって知らないうちは喜んでたのに、そこまで娘の貞操観念に疑問ありますかお父さん。かがみの身体の秘密を知ってる私達を受け入れてくれてるただおさんとみきさんとは大違いだよ。
 そうしてやって来たかがみの部屋で、一足先に帰っていたつかさが、私とみゆきさんをじーっと見比べて、そしてかがみの下半身に視線を移す。かがみだけベッドに腰掛けて、私達は床に座ってるから、つかさにとっても自然な高さの視界で、かがみのその部分が目に映ってるんだけど……。
「……お姉ちゃん、あれからこなちゃんにもゆきちゃんにも鎮めてもらわなかったんだ?」
「処理どころか余計に硬くなるでしょ、この二人だと。根本的に、硬くなるのはこなたかみゆきが原因なのに……」
 あの後結局、かがみの身体は鎮まらずに、男の部分が硬くなったまま、ソレがスカートを押し上げて形が出るのは鞄を前に当てて隠して、残りの授業を受けて家まで戻ってきた。さすがに異性(まあ半分は同性だけど)相手に、高校生が指や手や舌や(みゆきさんの)胸を使うわけにはいかないし。
「お母さんや上のお姉ちゃん達も、よそで興奮しないように、いつも擦り寄ってあげてたのにね」
「とか言いながら握り締めないでよ。まるで姉さん達じゃない……脚の付け根を押し付けてくるお母さんよりはマシだけど」
 ……聞き捨てならないみきさんやいのりさんやまつりさんの所業については、追求したい気があるけど心の平安のために断念しておく。あとつかさ、「も」って、自分もかがみにそーいう事をやってたんだネ?
 さて、溜まったものを鎮めるには、かがみが私かみゆきさんを抱けばよさそーな気もするけど、成人向けのショートストーリーでもあるまいし、そんな安易に合体するのは人としてダメだろう。もちろん、「つかさを」とか考えた奴は、ウチの近くの中川(旧権現堂川)か、鷹宮神社の前の青毛堀川に沈んでもらう。
 そして私とみゆきさんは、双子の姉(とゆーか兄)に密着しているつかさを羨望交じりで傍観しながら、かがみの身体について考えをめぐらす。
 細身で、でも胸とお尻のお肉はそれなりに付いている、大人びたみゆきさんや控えめなつかさとはまた違う綺麗な身体。整った感じの美人でちょっぴり怖いくらいの凄みもあるのに包容力のある優しさを備えてて、頭も良くて運動もできて責任感も強いからクラスで密かに人気が高く、でもみんなに内緒で男の部分を持て余し――ちょっと待て泉こなた。「きら☆すた」の成人向け同人誌のそなたとかがりじゃあるまいし、親友を性的な妄想に使ってどーする。いや、妄想に留まらないなら十八歳になってから大歓迎だけど。
 などと苦悩する私とは違い、みゆきさんは平然としてるけど、手元に開いてる解剖学の本、図のタイトルがあまり公言できない部位なのは、さすがはみゆきさんだと思うヨ。
 そこでみゆきさんは口を開き……。
「かがみさん、抜くのでしたら抜本的とでも言うべきでは」
「みゆきさん、危ない発言やめっっ!!」
 近頃のみゆきさんは何だかえっちで、前はかがみの男の部分を見るだけでも真っ赤だったのに、今は少人数しかいない場だと、平気できわどい発言をする。まあ、そんなしょーもない所までみゆきさんらしいといえばらしいけど。それにいちいち言う事が難しいから、ストレートに興奮するのがかがみしかいないし。
 で、そのストレートな反応を示している柊家の三女(長男?)は、肉体的にも反応がストレートだった。頬を赤くして、恥ずかしそうに目を伏せて、自分の剛直を視界に入れたまま。みきさんに生き写しの身体からただおさんと同じモノが生えているというのは、ある意味二人の愛の結晶そのものだから、そう考えると余計に萌える。
「…………ところでかがみ、一人で処理するという選択肢はないわけ?」
「だ、だって……激しくするとつかさに声を聞かれるし、つかさはとても上手だから、いつもつかさに任せっきりなの」
「…………つかささん……何故私も交ぜて下さらないのですか……」
 などと妄想を連ねるみゆきさんはいいとして(いや、全然良くないよ)、かがみはつかさに身を委ねている言い訳を始める。いのりさんは自分で遊び始めるからもどかしいだの、まつりさんは力ばかり強くて物足りないだの、みきさんはただおさんのものだから自分の処理をさせたくないだの、ただおさんはみきさんの(略)だの、言い訳に全然なっていない。ああ、みゆきさんまで真っ赤になって、これでかがみと同じ身体だったら、絶対に同じ状態になってるよ。もちろん私も。
 ちなみにつかさは、かがみに堂々と(って意識はないんだろうけどさ……)愛人宣言をされて耳まで真っ赤。純粋な姉妹愛と思いたいんだけど、毎晩のように一緒のベッドで寝て、朝にかがみが起こそうとすると布団に引きずり込んでるつかさだから、ねぇ。
「つかささんはかがみさんの身体に精通して――」
「あまりしつこくそっち系の冗談言ってると、『みゆきさんウザい』と言っちゃうよ?」
 本気で頭が痛くなった私は、知識が豊富なのにろくな事を考えないお父さんを連想して、ついそんな事を口走ってしまった。

 
「ああっ、申し訳ありません泉さんっ」
 私は怒りを通り越して呆れ果てた泉さんの声に、床の上に平伏してしまいます。しかし私の視線は泉さんではなく、別の方に釘付けにされていました。
 つかささんと揃って顔を赤くしながら、均整の取れたプロポーションをしている身体から、男の方の部分をそそり立たせているかがみさん。伏せた姿勢では腰掛けているかがみさんを観賞するのにちょうどよい高さのローアングルで、「眼福」という言葉の意味を味わいながら、身体の内から熱さを感じるんです。
 かがみさんは私と泉さんがご自分の身体に抱いている感情を知りながら、それでも私達を拒まずにいてくれます。私と二人で外出した時に「デートみたいよね?」と言ってからかわれたり、私の熱っぽい視線に「しょうがない子ね」という妹に対するような愛情を返されたり……そんな時は泉さん同様に、嬉しい半面で少しだけ妹扱いに不満だったりもしますけど。
 ああ、かがみさん。こんな私でもよろしいのでしたら、泉さんとつかささんに突っ込まれるのとは別の意味で(以下自主規制)――、

 
 私はみゆきさんが謝る可愛さに萌えながら、ついでにお姉さん気分で頭を撫でてみる(みゆきさんって、私達の中だと一番年下だし。かがみどころか黒井先生やゆい姉さんさえ上回るナイスバディを見てるとつい忘れるけど)。そんな様子を見ていたかがみは軽く咳払いをして、「そろそろ話題変えない?」と言い出した。まあ、当事者でもあるつかさが、頭から湯気を出しながら「お姉ちゃんお姉ちゃん」って鳴いてるくらいだから。
「と、ところで、ウチの跡取りの事だけど」
「鷹宮神社の神主さん、ですか? 今はおじさまがなさっておられる?」
 みゆきさんの久々にまともな受け答えに、かがみはまだスカートの中で硬くしている男のモノを気にしながら口を開く。「女の子の方は〜」とか言いながらスカートの中に差し入れようとしたつかさの手を止めながら。
「いのり姉さんがお父さんとお母さんに相談して、私に継がせようかって話があるのよ。てっきりいのり姉さんがお婿さん貰って継ぐかと思ってたんだけど、神職志望のお婿さんがそう都合よくいるとは限らないし」
 そこでかがみは、私とみゆきさんにちらりと目を遣って……白い頬をほんの少し赤らめる。
「その点、私なら小さな時から神社の事をよく知ってるし、お嫁さんを貰って跡取りを作る事だって可能だからね」
 ――って。
 その言葉を聞いた途端、私とかがみの、その、そういうシーンが、色々なシチュで頭の中に瞬く。かがみの「異性」の部分から目を離せずに、私は「泉こなた」らしくなく声を上ずらせながら、成人指定な妄想を振り払うために叫びを上げた。
「でで、でもっ! 法律で女同士は結婚できな――」
「私、戸籍上は『男』なのよ?」
 そう言って、勝利宣言したように自信たっぷりに微笑む、中性的な美人のかがみ。腰に手を当てて胸を張る力強いポーズが、女性らしいめりはりのある体型なのに、かがみの身体の中に潜む「男」を意識させてくれる。
(……そういえばいつも感じてるけど、かがみって、普段の口調が女らしいのに、たまに男言葉になったりするよね)
 かがみを改めて「男」として意識してしまい、お腹の奥の疼きを感じてしまう私。そんな私の気も知らず、着衣の下であそこだけじゃなくて胸まで硬く張らせているやらしい肉体をしているかがみは(いや、これはちょっと妄想入ってるけど)、自分自身の立派な身体に目を遣りながら、普段は主につかさやみゆきさんや同じクラスの人達に見せているデレモードで事情を話してくれる。ただおさんとみきさんは出生届の時に悩んだけど、つかさが女だから男として届出をしたとか、でも身体付きは女の子らしくて、しかもみきさんの小さな頃にそっくりだったから、幼稚園には女の子として入れたとか、そしてそのまま女の子として育ちながら男でもある自分に悩み、つかさに「お姉ちゃんの彼女になってあげる」と言われた事で自分自身の身体を受け入れる事ができたとか……いつの間にかつかさとののろけ話になってたけど。ああ、つかさも犬みたいに身体を(特に、私より少し大きな胸を)かがみに擦り付けてるし。
「学校から異装許可は受けてるけど、陵桜に水泳の授業がなくてホントに助かったわ」
「海に行った時も、かがみは私とつかさとみゆきさんであんなに硬くしてたものねー。水着を着てると隠せないから、人気の少ない辺りで泳ぐのは大変だったけど、ナンパされたりしないでよかったヨ」
「黒井先生が気の毒だったよねー。お姉ちゃんが興奮してくれないから、『ウチってそんな魅力ないんか?』ってうなだれてたし。成実さんは『貞操の心配なくて嬉しいよー』って安心してたけど」
「二人とも黙れっ!」
 女の身体に秘めた本性を露わにして、男言葉で怒鳴るかがみ。かがみの性欲は庇護欲とリンクしているらしく、私とかつかさとかみゆきさんとか、手の掛かる相手にしか感じないみたい。そーいう所は完璧に保護者だけど、言い方を変えると(みゆきさん相手は別として)真性のロリコンとも言えるかも。……従妹のゆーちゃんが陵桜を受けるつもりらしいんだけど、かがみに憧れて私達みたいに餌食にならないか心配だヨ。
 と、ここで気付いたけど、今の話に乗っていなかったみゆきさんは、いつの間にかベッドに乗って、かがみの背後を取っていた。まるで後ろからかがみを襲うみたいに、男女逆だったら冗談にならないポジションで。みゆきさんは運動能力も抜群なのに、それを活かす機会がほぼ全部かがみ絡みってのは何なのさ。私と全く同じだけど。
「泉さんが乗り気でないのでしたら、私がかがみさんの妻になりますけど」
「みっ、みゆきっ!?」
 背後からかがみを抱き締めるみゆきさんは、大胆にも大人顔負けの肢体をかがみに押し付けて、頭をかがみの肩の上にもたれさせてから、白く柔らかな頬をかがみに近付けている。私には絶対に真似できないみゆきさんの温もりと感触にあてられたかがみは、みゆきさんを拒めずに受け入れて、そしてみゆきさんの手はかがみの下半身に伸びて――、

 
 その時こなちゃんは、お姉ちゃんの(二人きりなら私が押し倒したいくらいの)魅力的な身体に飛び付いて、脈打つ男の子の部分に触れそうなゆきちゃんの手を跳ね除けて、子供みたいに小さな身体を密着させた……んだと思う。動きが速すぎて、私には何が何だか分からなかったし。こなちゃんの意地悪っ。お姉ちゃんは私がお料理したいのにっ。
 そして羨ましいこなちゃんは、「かがみんかがみんかがみんっ♪」と連呼しながらお姉ちゃんの大きな胸に甘えて、最初は真っ赤で何も言えなかったお姉ちゃんも興奮がある程度落ち着くと、無意識のうちに、私や年下の子にするみたいにこなちゃんを優しく包み込む……。
 思わずこなちゃんにやきもち焼いちゃった私だけど、こなちゃんとゆきちゃんのどちらがお義姉ちゃんになっても私は嬉しい。柊家の味をお母さんと一緒に教えて、ついでにお姉ちゃんの味わい方も教えてあげられるものね。男の子でも女の子でもあるお姉ちゃんは私相手でも凄く可愛いから、オトナな関係になるとどれだけ可愛いか想像付かないよ〜。

 
 ――一瞬飛んだ意識が戻った時、私は顔をかがみの胸の谷間に埋めていた。頭上から「もう、いい加減にしなさいよこなた?」とか声がするのは構わずに、至近でかがみしか見えない視界も気にならず、お母さんにすがり付く子供の気分で、最愛の人の温もりと匂いを味わった。うー、こんな感触を毎日感じているつかさが羨ましい。
 でも私は、かがみの妹ではなく対等の相手として扱ってもらいたかったから、背丈の差を埋めるために、かがみの筋肉質だけど程良く柔らかい身体に這い上がる。血色の良い唇が視界に入り、かがみが何か言葉を発する直前、視界の上端に色素が薄い紫色の瞳が映った。直視して何もできなくなってしまう誘惑を振り払い、私はかがみとの距離を一気にゼロへ。
「わ、私はかがみの嫁っ!」
「んむっ……んんっ」
 目の前で見開かれる私の心を映す鏡のような潤んだ瞳と、ちょっぴりつかさのクッキーの味が残った口の中、そして私で感じてしまった証拠の甘い喘ぎ声。
 胸の膨らみと股間の棒を硬くしたかがみを抱き締めて、舌まで入れてディープキスをすると、調教されたみたいに従順になったかがみは自分から進んで私を求めてくる。ぐりぐりと硬い部分を押し付けられて、私も柄になく興奮してきた。
「うわ、お姉ちゃんとこなちゃん、まるでお父さんとお母さんだよぉ」
「負けませんよ、泉さん。かがみさんと二人で、おじさまに式を挙げて頂くのはこの私ですから」
 ただおさんとみきさんについても、みゆきさんの野望についても突っ込む余裕はなく、私とかがみがお互いを求め続けている。私の女の欲望と、かがみの男と女双方の欲望を満たし合うまで。
 どうやら私の未来は、両性具有の神主さんの嫁になり、可愛い子供をいっぱい作るので決まりかもしれない。まあ、かがみの嫁候補にはみゆきさんもいるけど。
 そんな事を考えながら、私は未来の旦那様候補――かがみの身体と心を、思う存分味わっていた。
(終)


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