誠志郎:「オーパスの来歴説明に関する、コーナー作者の誤記訂正やツッコミだってよ」
空木:「う〜、さすが日本史の修士過程に入学するだけあるわね……」
誠志郎:「……理子ちゃんは19歳で大学卒業してるだろ?」
空木:「私は工科専門の大学出身だからそこまで詳しくないのよ誠志郎クン……(汗)」
・※付きの項目は、一部または全てを他の方から指摘された物です。
◆赤系統◆
包庖刀/赤:希少度11
「梁」というのは大梁(開封)に遷都した後の通称であり、正式には「魏(戦国魏)」と呼ばれます。
ダスト・ネックレス/赤:希少度132
チャウシェスク大統領はチェコではなく、ルーマニアの元大統領です。チェコ・スロバキアのフサーク元大統領は、平穏の内に現在のハヴェル大統領(チェコ)に政権を譲り渡して引退しております。
火炎冠/赤:希少度151
「ギェルギ」というのは「ゲオルギウス」というラテン語名を元にしたマジャール語の名前なので、「ギェルギ・ドージャ」という「名+姓」の表記法は不正確です。マジャール語の人名表記は「姓+名」となるので、「ドージャ・ギェルギ」に直すべきでしょう。
ダブル・リング/赤:希少度270
ヘンリー7世は、ランカスター家(ヨーク家と並ぶアンジュー家の中心)ではなくチューダー家(アンジュー家の血を引くが、元来は王位継承権を認められなかった)です。
バトリ・コーム/赤:希少度314 ※
同様に、「エリザベス・バートリ」というのは語順がおかしい上に、「エリザベス」というのは英語の名前ですので二重に不正確です。「バートル・エルゼベート」が正確な呼び名です。その上に侯爵未亡人ではなく伯爵夫人、髪も赤ではなく褐色という事で……。
村正/赤:希少度999
村正は室町時代、伊勢の刀鍛治の名前です(ちなみに正宗は鎌倉時代、相模の刀鍛治。貴人に献上する刀を主に製作していたため、大半の作品には銘がありません)。松平家のある三河からは海を渡ればすぐなので、近国のさして古くない業物が大量に松平家の家中に流れ込むのはむしろ当然の事です。
◇白系統◇
シルバーラクーン/白:希少度11
テキサス州独立運動の裏で、アメリカ合衆国が糸を引いていた事はもはや暗黙の了解と化しています。実際、独立したテキサスはすぐに合衆国に併合され(後のハワイ併合と同じ方法です)、後の米墨戦争でアリゾナやニューメキシコ、カリフォルニアを含むメキシコ領の半分近くが合衆国に奪われています……。
リラ・デルフォイ/白・希少度43 ※
(普通の)アルテミスは処女神なので「結婚の守護神」ヘラや「炉の神」ヘスティアほどアットホームなイメージはありませんが、「生まれた直後にアポロンのお産を手伝った」という故事が存在するそうです。その割には娘自慢をされて腹立てて殺したり妊娠したニンフを熊に変えたり気に入った青年を永遠に眠らせて夜な夜な(以下略)したりしてますけど(笑)。
ちなみに小アジア系のアルテミス(無数の乳房を持つ豊饒の女神)なら、出産にも容易にイメージが結び付きます。
……正誤というより註釈ですね、これでは。
フォルス・クロック/白:希少度54
「イギリス領マルタ」と書かれていますが、このオーパスのソースの由来の始まりである16世紀にはヨハネ騎士団領、現在はマルタ国領です。
レクイエム/白:希少度443 ※
モーツァルトは「宮廷音楽家」となっていますが、これは誤りで「レクイエム」作曲の依頼を受けたときのモーツァルトは特定の雇い主を持たない、現代で言う「フリー」に近い立場にありました。
また、モーツァルトは「レクイエム」を完成させる前に亡くなっており、弟子のジュスマイヤーが完成させています。さらに変死というのも誤解で、単に病死したに過ぎません。
〈より詳しい補足:ペンデュラールさんより〉
公式ガイドの解説で「モーツァルトが変死した」となってしまったのは、開発スタッフの中に、モーツァルトと同時代の作曲家アントニオ・サリエリがモーツァルトの才能をねたんで毒殺したという逸話(あくまで逸話、その証拠は何も無い)をまことしやかに信じていた人がいたからかもしれません。もっとも、あっちの世界では本当に毒殺されたのかも知れませんが(汗)。
それと、現世ではモーツァルトは共同墓地に葬られたため、遺体が行方不明になってしまっています(汗)。一応ウィーン市内にはモーツァルトの墓がありますが、それは「墓標」というより「記念碑」に近いものです。
実は、レクイエムの作曲の依頼主や鼠色の服を着た使者の名前も判明しています。依頼主はF・ヴァルゼックという伯爵で、使者の方はアントン・ライトゲープという人物だったそうです。なんでもヴァルゼック伯爵は作曲も手がけていたらしく、自分の妻の一周忌にレクイエムを演奏したかったため、名を伏せてモーツァルトに作曲を依頼したそうです。そして伯爵が自作したという名目で、伯爵自身の指揮で初演されたことになっています。著作権が存在しなかった当時は、これも当然のことだったらしいです。
ロマノフ・イコン/白:希少度778
アナスタシアの件ですが、言うまでもなく本物かどうかは疑わしいと言われています。ロシアではリューリク朝断絶時の偽ドミートリー1世・2世以来、社会的にも力を持った偽皇族の出現が数多く記録されています。
ヌート・アノン/白:希少度857
パルミュラは本来は都市国家+周辺領域レベルの小さな国で、後にローマを苦しめるパルティアのような「帝国」と称する大国家ではありません。ただし分裂期においては、シアグリウスのガリア帝国に匹敵する分立勢力として活動しています。
◆黄色系統◆
サンセット・オレンジ/黄:希少度114
実在のテンプル騎士団は、別に秘密結社ではありませんでした。所持していた大量の財産目当てに弾圧したものであるというのが現在の定説です。実際、一部の国では支部が独立して存続しています(ポルトガルのキリスト騎士団など)。
ルナー・アンド・サン/黄:希少度503
アイヒマンが処刑されたのは南米ではなくイスラエルです。宗教を問わず土葬を厳守する国で専用の火葬場が作られ、遺灰(というより燃え滓)は地中海に捨てられました。
クレッセント・リング/黄:希少度562
ニコライ2世は、暗殺ではなく家族もろとも銃殺の憂き目に遭っています(もっとも歴代のロシア皇帝は、他国から見ると異常なほどの割合で暗殺されていますが……)。
ピサロ・コブレット/黄:希少度700
ピサロの名前は、英語の「フランシス」ではなくカスティーリャ語の「フランシスコ」です。
オルランド/黄:希少度778
「ローマ皇帝シャルルマーニュ」は、一般には「神聖ローマ帝国カール大帝」と呼ばれます。
殺生石/黄:希少度999
「瘴気」くらい漢字で書きましょう(汗)。
◆緑系統◆
サイレント・タクト/緑:希少度8 ※
アンセルメはリューマチに掛かっていません。
〈より詳しい補足:ペンデュラールさんより〉
アンセルメが亡命を手伝ったカール・シューリヒトなる指揮者が実際に晩年リューマチにかかってなお指揮をしたという記録があるそうで……。どうやら、スタッフが現世との差別化を図るために、その辺を巧妙に活用したのかもしれません。
プセウド・ツァーリ/緑:希少度16
pseudo(英語で「偽りの〜」)は、「スードウ」と発音します(英語の「ps」は、ギリシャ文字の「ψ(プシー)」をラテン文字変換しているので)。
平蜘蛛/緑:希少度54
実際には、平蜘蛛は爆薬で綺麗さっぱり吹き飛んでしまっています(フィクションと明記されてる作品内での経緯をほじくっても、あんまり意義はないかもしれませんが……)。
コルテス・オース/緑:希少度76
実際には、コルテスはアステカ周辺の諸国(生贄狩りの戦争を度々受けて、巨大化していたアステカと対立していた国が中心でした)と連合を組んでアステカを滅ぼしています。
……ところで、何で、アステカ「王国」が2年後に「帝国」になっているんでしょうね?
スクーン・ストーン/緑:希少度314
現在、この石はスコットランドの首都エディンバラの王宮に戻されています。
慰憂/緑:希少度400
当時の武家の妻は結婚しても名字が変わらなかったので、細川ガラシャの正確な名前は「明智玉」と言います。
髭切/緑:希少度443
刀を預かった武士は「渡部綱」ではなく「渡辺綱」、腕を切られた鬼の名は、「茨城童子」ではなく「茨木童子」です。
◆黒系統◆
曜変天目/黒:希少度114
この項のゲーム内での説明は、全て完全なフィクションです(笑)。
実際の曜変天目は、内部に虹色の斑点が浮かんだ黒い天目茶碗の事で、生成過程で偶然に窯変(曜変)して誕生するために非常に珍重されていました。世界でも日本で国指定重要文化財の扱いを受けている3個しか現存していません(江戸時代の専門用語では、下級バージョンの油滴天目も曜変天目に含んでいます)。
長政杯/黒:希少度400
浅井長政は織田信長の配下ではないので、謀反を起こした訳ではありません。単に同盟を破っただけです。
アンディフィート/黒:希少度857
「アレキサンダー」「シーザー」は英語風の呼び名なので、他のオーパス(黄857「クラストー」、白181「スパイラルブレス」)の説明に合わせて「アレクサンドロス」「カエサル」と呼んだ方がいいでしょう。
◆青系統◆
ポセイドン・バウ/青:希少度76
10世紀のデンマークの人間がギリシアの神であるポセイドン像を舳先に付けるのも、そのポセイドン像にルーン文字が刻まれているのも、無茶苦茶と言えば無茶苦茶です。多分、実際は北欧神話の神の像なのに、像を調べたダイスの研究者が誤解したのでしょう。
蜻蛉切/青:希少度211
「本田平八郎」ではなく「本多平八郎」です。
摩利支天/青:希少度443 ※
説明の中に「暴風雨を意味する神の名」とあるが、「摩利支天」は陽炎の神格化で(陽炎は誰の手にも触れられない事から、触れられない=傷つかない=必ず勝つ、ということで武士の守護神とされた)、元となったサンスクリット語の「マリーチ」ももともとは「陽炎」の意味。暴風雨を意味するのは、シヴァ神の息子とされたルドラ神のことです(デバレ大辞典より)。
#センターオーパス#
ルーイナス・シールド/黄:センターオーパス
実際のイサドラ・ダンカンの死因は、首のスカーフを自動車の車輪に引っ掛けたせいです。
ジーザス・シュラウド/緑:センターオーパス
当然の事ですが、この項の説明はフィクションです(笑)。
*注意*
この作品はフィクションですが、現実世界の伝承に基いているのでこういう表を作ってみましたのであしからず。