悠久書店・偽通信販売 その9〜その11(担当:エル・ルイス&マリア・ショート)
 


その9、麻酔銃

エル:「さてと、今回は通常バージョンに戻って、偽通信販売第9回だ」
マリア:「今日の商品はなーに?」
エル:「今日の商品は、リサが持ち込んだ麻酔銃だ」
マリア:「リサが?」

がちゃっ。

リサ:「やあ。元気か、エルにマリア?」
マリア:「あーっ! リサ、元気ぃ?」
リサ:「ああ、私はいつも元気だよ」
エル:「……よくまともにマリアと付き合えるな、リサ」
リサ:「こう見えても結構素直な所があるんだよね、この子」
エル:「ほんとかね……」
リサ:「さてと、今日はこの麻酔銃を売りに来たんだけど、何か質問あるか?」
マリア:「麻酔銃って何?」
エル:「ああ。麻酔銃ってのは銃器の一種で、麻酔薬を体内に注入するための特殊な針を発射するための道具だよ」
マリア:「……何だか卑怯くさいわよね、そーゆーの」
リサ:「ま、少なくとも普通の戦争で使う道具じゃない事は確かだね」
エル:「そういえば、リサは射撃が下手なんだったっけ?」
リサ:「下手じゃないっ! 私は歴戦の傭兵だぞ!」
エル:「……たった数ヶ月で深窓の令嬢や食堂の看板娘に追い越される程度の腕前で、か?」
マリア:「という話はおいといて、実際のところどれくらいの命中率なの?」
リサ:「10発撃てば3発当たる。つまり、命中率30%ってとこさ」

……………………。

マリア:「ええ――っ!」
リサ:「……戦争での射撃兵器は密集形態の敵軍目掛けて撃ち込むのが普通だからね。そんなに精密な照準合わせは不必要なんだよ」
マリア:「どーして密集形態なんかで突撃するのよっ! 集団攻撃魔法で狙い撃ちされたら一巻の終わりじゃないっ!」
リサ:「奇襲とかならともかく、消耗戦になる普通の戦争で大事な魔法ってのは、まずは回復魔法、次に援護魔法――ほら、マリアの得意な(笑)精霊魔法とか――」
マリア:「ぶー☆ 納得行かないっ!」
エル:「……物理魔法や練金魔法なんか使うのやめて、精霊魔法だけにすればトラブルも少しは減ると思うんだけど、アタシ」
マリア:「う〜っ。やっぱり納得行かないっ!」
エル:「……ほら。早く撃てよ、リサ」
リサ:「分かった分かった。麻酔針装填よし、仰射角よし……えいっ!」

ぱんっ!

マリア:「きゃうっ!」
リサ:「……あれ?」
エル:「どうした、リサ?」
リサ:「命中した……」
エル:「だったら別にいいじゃないか。何か不満あるのか?」
リサ:「…………マリアに……」
エル:「へ?」
マリア:「(し、しびれる〜〜っ!!)」
エル:「マリアっ! しっかりしろ、このバカっ!」
リサ:「ほら、ここに解毒剤があるから口移しで――」
エル:「女同士で口移しなんてできるかっ!」
リサ:「ほほぉ? 私の可愛いボウヤの唇を奪ったって噂、本当だったのか?」
エル:「だだだ、誰があんな奴とっ!」
リサ:「私はともかく、パティとかシェリルとかシーラとかが黙っちゃいないね、きっと」
エル:「とか言いながら鞘から抜いてるそのナイフは何なんだっ!」
リサ:「さあね? 恐くなければかかっておいで、エル!」
エル:「望む所だっ! 行くぞ、リサ!」
マリア:「(〜〜〜〜っっ!!!!)」
 


その10、毒入り粗茶

レミット:「あたしはマリエーナの王女様、レミットよ」
メイヤー:「店主さんに『自分を見ているようで何だか笑えない』と言われたメイヤー・ステイシアです」
レミット:「凄まじい引っ込み思案で、1998年5月5日に蒲田のmoo系&センチonlyのイベントの行列に加われずに40分も辺りをぐるぐる散歩してた店主と人見知りゼロのあんたの、一体どこが似てるのよ?」
メイヤー:「……具体的な反証ですね、何だか」
若葉:「まあまあ。お二人とも喧嘩なさらないで」
レミット:「わ、若葉っ!」
メイヤー:「お久し振りです。では例の物を」
若葉:「かしこまりましたっ!」
レミット:「例の物って?」
メイヤー:「もちろん、偽通販の商品ですよ」

ごそごそ。

若葉:「はいっ! 私が作りました“ぶれんどてぃー”ですっ!」
レミット:「う……。ブレンドとゆーよりは適当に混ぜただけのよーな」
メイヤー:「……や、薬効が期待できそうですねぇ」
レミット:「タダの紅茶に薬効期待してどーすんのよっ!?」
若葉:「(聞いてない)“にるぎり”に“だーじりん”に“あっさむ”に“宇治”に“嬉野”に“凍丁”に……」
メイヤー:「……種類も様々ですし」
レミット:「(うぅ、やな予感……)」
若葉:「出来上がりっと……。はい、ぐぐっとどうぞ♪」
レミット:「の、飲めばいいんでしょ飲めば!」

ごくごくごくごく……。

レミット:「――ぷはーっ!」
メイヤー:「ゆ、勇気ありますねレミットさん」
レミット:「ところでさ――お茶以外の何かの匂いがするけど、一体何なの?」
若葉:「ええ、舶来物の毒入りです。CDドラマでカイルさんに頂いたのがちょうど余ってましたし」

ぶっ。

レミット:「何てもん飲ませるのよおおおおおっ!!」
若葉:「まあまあ、落ち着いて」
レミット:「落ち着けるもんですかっ!」
若葉:「大丈夫ですよ。どうせ日持ちがしませんから」
メイヤー:「……若葉さん、日数を経て使い物にならなくなった毒がどうなるか御存知ですか?」
若葉:「……?」
レミット:「まさか……」
メイヤー:「おや、さっそく変質した新たな効果が……????」
レミット:「……若葉ぁ、どうしてもっとあたしを求めてくれないの?」
若葉:「え?」
メイヤー:「レミットさん!?」
レミット:「邪魔しないでっ! 若葉はあたしのものなのよっ!」
若葉:「へ?」
レミット:「うふふふふふ……。逃げても無駄よ、若葉ぁ」
若葉:「え〜と……」
メイヤー:「では、毒の変質した惚れ薬入り粗茶を、今こそ旬の棚卸し価格! 1kg入りパックで何と98ゴールドの出血価格で大サービス致しまーす! ではこの辺で!」
若葉:「メイヤーさぁ〜〜んっ!(滝涙)」
 


その11、ミールの花

エル:「さてと、久々に仕事するか」
マリア:「ほんとーに久しぶりの仕事よね(←履歴参照)」
エル:「うう〜っ! それというのも店主が他のコーナー拡張してばっかりで――」
マリア:「では今回の商品説明に移らせて頂きま〜す☆」
エル:「無視するなっ!」
マリア:「まあまあ……。気を取り直して、今回の商品はこれ!――白く可憐なミールの花です!」
エル:「お、結構可愛い花じゃないか」
マリア:「花言葉は『侍女』。某王国の第三王女に仕えた忠実な侍女を記念して名付けられた花なのよ」
エル:「花言葉は『ロリ』の間違いだろ?」
メロディ:「ふたりともちがうのぉ〜!」
マリア:「メロディ?」
エル:「どーしたんだ、いきなり?」
メロディ:「ミールのはなのはなことばは『こい』だったとおもいます」
エル:「故意?」
マリア:「鯉?」
メロディ:「メロディはかんじわかりませ〜ん!!」
エル:「(嘆息)はいはい。……じゃ、マリア。売り込み頼む」
マリア:「さて、このミールの花。魔法書で押し花にすると恋のおまじないに最適。可愛い鉢植えにすれば殺風景なオフィスにも小さなアクセント。あなたのお部屋のささやかながらも優しいインテリアに! 1株50ゴールドで悠久書店・偽通信販売が皆様のお宅に――」
メロディ:「いただきまぁ〜す。もにもにもにもに……」

……………………。
…………………………………………。
……………………………………………………………………………………。
…………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………。

マリア:「……メロディいいいいいいいっ!!」
メロディ:「ふに? どーしましたかマリアちゃん?」
エル:「花を食・う・な〜〜っっ!!!!」
メロディ:「おいしーですよ。エルちゃんもひとついかがですか?」
エル&マリア:「クロノス・ハート!」
メロディ:「……ふみ……?」
エル:「――連撃連撃ヴァニシング・ノヴァあああっ!!」
マリア:「――カーマイン・スプレッド+『見よう見真似』×2いいいいいっ!!」
メロディ:「みゃあああああっ!?」

*結論:お店の商品を勝手に食べてはいけません(笑)。
 


悠久書店・偽通信販売に戻る