その12、パティの服
マリア:「いよいよ佳境に入った悠久書店・偽通信販売第12回は、『悠久幻想曲ensemble』発売記念・さくら亭の看板娘パティちゃんです!」
エル:「……パティを売ってどーすんだよ」
マリア:「――もとい、パティの愛用している服です」
パティ:「はぁ〜い♪ さくら亭の看板娘にしてらぶらぶ生贄ヴァンパイア・ハーフのパティ・ソールで〜す!」
マリア:「パティ……?」
エル:「煩悩魔人に昼間から激しく扱われて壊れたか?」
パティ:「……エル、殴っていい?」
エル:「すまんすまん。幸せそうな2人を見るとついいぢめたくなって(^^;)」
パティ:「だからってねえ……」
エル:「……うぅ、トリーシャぁ……どーして男に走るんだよぉ(;;)」
パティ:「……エルも色々悩みがあるみたいね」
マリア:「う、うん……」
エル:「じゃ、じゃあ商品の解説に入るぞ。パティの服って変わった模様が特徴的だけど、魔法アイテムなんだろ、確か?」
マリア:「エルのイヤリングみたいに、魔方陣のデザインを服に取り込んであるのよね☆」
パティ:「そうよ。服に掛かった魔法で身体の運動能力――筋力や瞬発力を上げてるの」
マリア:「マリアも着れば運動能力上がるかな?」
エル:「あくまでも上昇であって付与じゃないからな。元の能力が高くないと宝の持ち腐れさ。魔術師専用の杖なんかと一緒で、パティみたいにスポーツ万能じゃないと着てもあんまり意味ないよ」
マリア:「ぶ〜☆」
パティ:「まあまあ。その分マリアはあたしと違って強い魔法使えるんだからいいじゃない」
マリア:「でもパティは、胸もしっかりあるし腰のラインは綺麗だし料理も上手だし……」
エル:「他人と比較してどーすんだよ。マリアはマリアだろ?」
マリア:「うん……。あ、ところでさ」
パティ:「どーしたの?」
マリア:「いっつもおんなじ服みたいだけど、洗濯はどうしてるの?」
パティ:「おんなじ服が4着あるのよ」
マリア:「……そーいえばマリアもそうだったみたいな〜」
エル:「エンフィールドの住民全員がそーだっていう節もあるからな。アレフやシーラなんか何十着も持ってるんじゃないか?」
パティ:「その上から仕事中はエプロン羽織るのが唯一のアクセントかしらね。1から2になっても服はあんまり変わってないから(^^;)」
マリア:「エルみたいに武闘着からフリル付きドレスに変わったようなのもいるけど」
エル:「……悪かったな(^^;)」
マリア:「あ、あと忘れちゃいけないのは肩口から覗くピンクのタンクトップと腰のラインを引き立たせる黒いスパッツよね」
パティ:「マリアあああっ!」
げしっ!
パティ:「恥ずかしい事言わないでよ〜っ!!」
マリア:「あたたたた……」
パティ:「も、もういいでしょ。それじゃああたし帰るわね」
エル:「ああ、あんがと。後はアタシ達に任せときな」
ばたん。
エル:「さてと、本筋に入るか」
マリア:「え?」
エル:「パティの服って、メインで着てるあれだけじゃないだろ?」
マリア:「……あ、そーか」
エル:「まずは、一枚絵エンディングの踊り子パティだな。その次はエンディングでお馴染みの通い妻標準装備・えぷろんパティ。最後のおまけは新登場のぷれぜんとパティ」
マリア:「うわー、全部デザインが大胆……(^^;)」
エル:「全部注文生産でまだ発売にはこぎつけてないけど、とりあえず偽通販に手紙か魔法の思考転送か伝書鳩かしてくれれば、予価の決定次第お知らせするから」
マリア:「という事です。通常バージョンの魔法の服は今からでも注文を受け付けております! 1着セットで1500ゴールド、エプロン付きは――」
がちゃっ。
パティ:「あんたらぁ〜っ!」
エル&マリア:「ぎくっ」
パティ:「本人に黙って一体何を売ってるのよ〜っ!!」
エル:「いや、これはマリアが……」
マリア:「逃げるなんて卑怯よ、エルっ!」
パティ:「処刑っ!!」
ずぐしゃっ!
パティ:「ふう……。どこ行った、店主〜っ!!」
ばたん。
マリア:「…………」
エル:「うう……注文はお早めに〜……(ばたっ)」
その13・ハメットの仮面
エル:「いたたたた……パティって結構過激だな」
マリア:「やっぱり、煩悩魔人に夜も激しく扱われて……」
エル:「それはもういいってば(^^;) さて、次もアンサンブル発売記念――」
トリーシャ:「ボクの服?」
ローラ:「あたしの服でしょ?」
エル:「違うっ!」
由羅:「何よぉ、エルちゃんのいけず」
メロディ:「エルちゃんひどいですぅ〜!」
エル:「……うー、頭いて」
マリア:「ローラの服なら売れるかもしれないけど、全部ピンクハウス系だし……」
エル:「う〜っ……」
10分後。
マリア:「では仕切り直しです☆」
エル:「おい、出て来いハメット」
がちゃっ。
ハメット:「おや、お嬢様その他1名様?」
エル:「……『その他1名様』ってどーゆー意味だ?」
ハメット:「…………」
エル:「……他人の名前忘れたな、あんた」
ハメット:「さて、私の仮面はショート財団の粋を極めて作り出した最高級の仮面です」
エル:「血が掛かると骨の針が飛び出して、脳に刺さると吸血鬼になって、『URYYYYYY!』とか『無駄無駄無駄無駄ああっ!』とか叫んだりするんだろ?」
ハメット:「しませんよっ!」
マリア:「ちゃかさないでよエルっ! ところでさ、ハメット」
ハメット:「……は、はいお嬢様っ!」
マリア:「話は戻るけど、最高級ってどーゆー事?」
ハメット:「どこが最高級かと申しますと、ほらこの通り*^^*」
マリア:「うわっ!」
エル:「か、顔が動いたっ!?」
ハメット:「特殊な魔法によって精神状況とリンクさせる事によって、自然な表情を実現致しました。なお、この魔法をオフにすれば、仮面のようなポーカーフェイスで通す事も可能です」
マリア:「(……なるほど、だから「1」だと表情が無かったのね)」
エル:「(『仮面のような』って、元から仮面だろ)」
ハメット:「密かに進めていた研究により大量生産が可能となりましたので、この際売らせていただく次第であります*^^*」
セリーヌ:「あれ? お祭りで売ってる仮面とは違うんですか?」
ハメット:「あれは形を似せただけですよ。表情が変化したりはしません(^^;)」
セリーヌ:「はあ……。お買い物に行かなくてはならないのでこのへんで……」
エル:「(どーしてこんな所に入ってきたんだ、セリーヌは?)」
ハメット:「さて、この仮面、オリジナルと同質の量産品が何と1000ゴールドの割安なお値段でお届け致します。どうです、お得でしょう?(^^)」
…………。
ハメット:「あれ? 皆さんどーしました?」
エル:「仮面1つに誰が1000ゴールドも払うんだよ」
ハメット:「ビジネスに役に立つじゃありませんか!」
マリア:「余計怪しくて不審がられるわよっ!」
ハメット:「あああっ! 密かに作っていた人工生命体計画プランも付けますからっ!」
マリア:「……ハメット?」
エル:「あれだけ油絞られてまだ反省しとらんのかあんたはっ!」
ハメット:「…………ごめんなさい。タダで教会の孤児院に贈ります、この仮面(;;)」
マリア:「そこまで責めてないんだけどな〜……」