GURPS moo Series Games
(2nd Edition)


第2章 キャラクター


キャラクターのタイプ

 moo系世界のキャラクターは通常のファンタジー世界より強力である事が多く、「WH」「EM」「UQ」「PB」ではPCは通常125〜150CPで作られます。「EA」「ME」ではPCは通常100CPで作成されます。「PS」では特殊なルールが存在しますので、「GURPS Perpetual Suite」を参照して下さい。「SY」では100〜150CPが普通です(世界の細かい点は、「GURPS Nippon」も参考にして下さい)。
 「不利な特徴」の制限は、特別なキャンペーンを除いて-40CPです。
 NPCは一般人では25CPですが、不利な特徴(特に精神的特徴)を持つ者が多いため、通常の世界よりは幾分強力です。非常に強力なキャラクターの場合、200CPや300CP、あるいはそれ以上である事もままあります!


特徴と技能


特徴・技能共通細則

レベル制特徴に対するレベル制限
 特に規定されていない物は、必要なCPが2CPまで(「音楽能力」「鋭敏視覚」など)なら5レベル、3〜5CP(「意思の強さ」「鋭敏感覚」など)なら3レベル、6CP以上なら2レベルまで取得可能です。不利な特徴の場合も、マイナス符号を取り除いた絶対値を当てはめて換算します。

CPを技能に費やせる上限
 通常の世界と同じく、PCの作成時に呪文も含めた技能全てに消費するCPは年齢の2倍が上限です(太陰暦と太陽暦のどちらを採用しているかでも相違が生じますが、いちいち換算する必要はありません)。芸術系技能はこの例外に該当しますし、特殊なキャンペーン(「悠久マーシャルアーツ」など)ではこの制限を無視する事ができます。もちろんNPCはこの上限に拘束されません。

容貌
 moo系世界には様々な種族が存在します。異種族への容貌による反応修正は以下のものが存在します。「/」の後は、人間を基準にした場合の一例です。
(a)同じ人種に準じてそのまま適用…目鼻立ちまで似ている種族/同じ地方のエルフ、ヴァンパイアなど
(b)同種族異人種に準じて、「悪い」「魅力的」以外はそのまま適用…見た目があまり違わない種族/影の民、別の地方のエルフ、牙人族、フォーウッド、ライシアン、ヘザーなど
(c)通常の半分(端数切捨て)…見た目がだいぶ違う種族/妖精、魔族、召喚魔族など
(d)一切適用しない…見た目が全く違う種族/変身中の人狼族、フサ、モスモス族幼生体など

財産
 moo系世界では一般的に、「ゴールド」(略称「G」)という通貨単位が存在し、「WH」「EM」では1ゴールド=0.2ドル(1ドル=5ゴールド)(ただし都市基準で田舎は物価安)、「UQ」「PB」では1ゴールド=1ドルとして換算します。財産の標準額は中世〜近代社会である「WH」「EM」では5000ゴールド、「UQ」では1000ゴールド、現代社会である「PB」では標準額は5000ゴールドです。「WH」「EM」「UQ」では、「富裕」までの場合、これらは全て装備に費やしても構いません。「PB」では20%だけを装備に使用できます。
*「UQ」までは金属貨幣と銀行の証書しかありませんが、「PB」では紙幣も存在しています。
 「PS」では悠久学園の所在地である諸島国の通貨「円」を使用し、1円=0.01ドル(1ドル=100円)として換算します。国際的には「ゴールド」が基本単位として通用しており、1ゴールド=100円で交換できます(なお、この世界の通貨は固定相場制です)。財産の標準額は50万円ですが、「PS」では20%だけを装備に使用できます。
 「EA」の基本単位は「銀貨」で、銀貨1枚=1ドルです(銅貨や金貨も存在します)。財産の標準額は銀貨1000枚ですが、精霊キャラクターの場合は「銀貨1000枚相当の物品」として扱います。「富裕」までの場合、これらは全て装備に費やしても構いません。
 「ME」には独自の単位「ヅーカ」が存在し、1ヅーカ=0.02ドル(1ドル=50ヅーカ)として換算します(最初は1ヅーカ=1ドルにしていましたが、小説内の描写から変更しました)。財産の標準額は5万ヅーカとなります。「富裕」までの場合、これらは全て装備に費やしても構いません。「大金持ち」以上でも、装備外の80%の中から船を購入する事が可能です。
 「SY」では銅銭の単位「文」を使用し、1文=0.4ドル(1ドル=2.5文)として換算します(なお1000文=1貫文です)。財産の標準額は2500文ですが、金や銀の塊、米、麻布、荘園の送金用の為替手形などもよく使われます。畿内では田舎でも貨幣がある程度は通用しますが、大半の地方では町でしか貨幣が通用しません。

CPの現金化
 キャラクター作成時に、2CPを限度としてCPを現金化可能です。これで稼げるCPは、1CPあたりで装備に本来使用できる金額の2分の1(基本が1000ゴールドなら1CPあたり500ゴールド)になります。

地位
 moo系世界の地位レベルは、通常は最高7、最低−2です。

属性
 moo系世界の一部には、全てのキャラクターやモンスターが「属性」を持つ世界も存在します。「属性」は0CPの精神的特徴と見なされます(《憑依》などを使われた目標は、本来の体の持ち主と憑依した側の両方の属性を持ちます)。人間は基本的にどの属性にもなれますが、異種族は属性が偏るか(例:エルフは火属性が少ない)、もしくは属性がほぼ限定されるかします(例:水妖は全員が水属性)。
 「WH」「EM」「UQ」「PB」では、「地」「水」「火」「風」の四大の中から「属性」を1つ決めて下さい。属性は、「WH」「PB」では魔法修得の際に関わりを持ちます。「EM」「UQ」でも、「癖」より弱い程度にキャラクターの方向性を決定します。
 「SY」では、「木」「火」「土」「金」「水」の五行から「属性」を1つ取得します。取得する術や奥義(=妖術)は属性に準拠するものしか取れず、物理攻撃にまで属性の影響が及んでしまいます。


使用が禁止されるベーシック掲載の特徴
 以下の特徴は、「GURPS moo Series Games」では基本的に使用できません。
 #の付いている特徴は、種族の特殊能力などで例外とされます。
 *の付いている特徴は、ふさわしいキャンペーンに限りGMの提示する範囲内で取得が許されます。

(ベーシック完訳版)
「財産/どん底」#
「闇視」#
「癒し」*
「運命」*
「貸し」
「完全平衡感覚」#
「祝福」*
「赤外線視力」#
「超能力の耐性」(MEでは使用可)
「身元」
「無登録」
全ての超能力(MEでは使用可)
「社会的弱者/二等市民以外の全て」#*
「特異点」*
「死の秒読み」*
「記憶喪失/完全」*
「呪い」
「不運の運び手」*


使用が可能なサプリメント掲載の特徴・技能
 以下の特徴及び技能は、「GURPS moo Series Games」で使用する事が可能です。キャラクター作成時の便宜を考慮して特徴には必要CPを、技能には難易度を記しておきました。
 #の付いている特徴・技能などは、取得にGMの許可が必要です。それ以外の特徴・技能でも、「特殊な背景」にCPを要求する事が可能です。

(ルナル)
〈バトル・ファン〉(肉体/難)
〈バトル・ファン投げ〉(肉体/並)
〈準備/バトル・ファン〉(肉体/易)
〈博物学〉(精神/至難)
〈致命傷〉(精神/難)
〈アンデッド感知〉(精神/難)(EMのみ、影の民限定)
〈隠身〉(精神/並)(WH・EM・UQ・PBのみ、エルフ、召喚魔族限定)
〈暴走〉(精神/難)(EM・UQのみ、妖精限定)
(以下の格闘動作は「ベーシック」の基本動作以外は技能無し値での判定不可。EA不可)
各種刀術動作(【フェイント】【射撃受け】【鍔迫り合い】を除く)#

(百鬼夜翔)
 (妖力は全て「特徴」として扱います)
「悪運が強い」(15CP)
「一意専心」(5CP)
「うわばみ」(5CP)
「大雑把」(15CP)
「機械への親和性」(10CP)(TL5以上の社会出身者のみ)
「機転」(5CP/L)(最大3L)
「器用」(5CP/L)(最大3L)
「植物共感」(5CP)
「都合のいい偶然」(15/30CP)
「はかなげ」(5CP)
「冷静沈着」(10CP)
「仇敵」(「敵」と同じ、頻度修正はなし)
「悪声」(-10CP)
「アレルギー」(-2/-5/-10/-15CP)
「虚弱体質」(-15CP)
「酒に弱い」(-1/-5CP)
「不眠症」(-10CP)
「夜盲症」(-10CP)
「夢遊病」(-5CP)
「愛好症」(-1/-5/-10/-15CP)
「悪夢」(-5CP)
「過小評価」(-10CP)
「感情表現が下手」(-5CP)
「気まぐれ」(-5CP)
「恐怖症/各種」(さまざま)
「健忘症」(-15CP)
「慈悲深い」(-15CP)
「獣性」(-10CP)#
「すりこみ」(-25CP)#
「性格傾向/各種」(-2CP)
「そそっかしい」(-15CP)
「不器用」(-3CP/L)(最大3L)
「方向音痴」(-3CP)
「保守的」(-10CP)(TL5以上の社会のみ)
「見栄っぱり」(-10CP)
「無常識」(-15CP)#
「名誉重視/各種」(さまざま)
「優柔不断」(-10CP)
「冷淡」(-15CP)
「ワカりやすい」(-5CP)
[毒無効](15CP)#(EA・SY不可)
[オーラ感知](10/20/35CP)#(EA不可)
[瞳孔反応](5CP)#(EA・SY不可)
[透明感知](15CP)#(EA不可)
[異類会話/種別](15CP)(魔物も対象に含む。+200%の増強で全ての一般動物と意思疎通が可能)#(EA・SY不可)
[植物会話](15CP)#(EA・SY不可)
[無生物との会話](30CP)#(EA・SY不可)
[超反射神経](60CP)#(EA・SY不可)
[肺が強い](2CP/L)(通常は1Lまで)
[超技能/種別](10/15CP)#(EA・SY不可)
[瘴気](-10CP)#(EA・SY不可)
[動物に嫌われる](-5/-10CP)(通常は-5CPのみ)
[感覚の鈍さ](-3CP/L)(最大3L)
[削減HP](-2CP/L)#
[超常識的失敗/種別](-10CP)#
[腹ぺこ](-10CP、さらに-5CP/L)(通常は1Lまで)
〈リフティング〉(肉体/難、体力基準)
例示された技術系技能全て
〈石工〉(精神/易)
例示された芸術系技能全て
〈家事〉(精神/並)
〈接客〉(精神/並)
〈肉体労働〉(肉体/並、体力基準)
〈生存/都市〉(精神/並)
各種妖術(通常は3〜4L程度まで、EA不可、SYでは規定された種類だけ)#
「拒絶」(-5/-15CP)(P259参照)(EA・MEのみ)#
[冥界流し](100CP)#(P265参照)#
〈悪霊祓い〉(精神/難)(P268参照)#

(マーシャルアーツ完訳版)
 (マンガ技能は全てEA不可)
「射撃の達人」(45CP)(後天的に取得する事も可能)(EA不可)#
「武器の達人/種別」(20CP)(EA不可)#
「無為自然」(20CP)(EA不可)#
「トレードマーク」(-1/-5/-10/-15CP)
〈刀〉(肉体/並)(EA不可、MEは要「特殊な背景」(5CP))
〈鎖〉(肉体/並)
〈絞首具〉(肉体/易)
〈試合規則/種別〉(精神/易)(EA・SY不可)
〈射撃受け〉(肉体/難)
〈手裏剣〉(肉体/難)(EA不可)
〈相撲〉(肉体/並)(EA不可)
〈戦闘技能/型・スポーツ〉(元の技能と同じ)
〈短杖〉(肉体/難)(EA不可)
〈マンゴーシュ〉(肉体/並)(EA不可)
〈礼儀作法/道場/種別〉(精神/易)(PSのみだが、基本的な振舞いは通常の〈礼儀作法〉で代用可能)
〈瞑想〉(精神/至難)
〈押し〉(肉体/難)#
〈軽足〉(肉体/難)#
〈気合〉(肉体/難)#
〈強靭精神〉(精神/難)#
〈強打〉(精神/難)#
〈暗闇戦闘〉(精神/至難)#
〈経穴〉(精神/難)
〈砕打〉(精神/難)#
〈禅弓道〉(精神/至難)(あらゆる長射程攻撃に使用可能。前提は「長射程武器か〈投げ〉か〈呪文射撃/種別〉から1つを20レベル」。前提として該当する技能以外には流用不可)#
〈投器術〉(肉体/難)#
〈八艘飛び〉(精神/難)#
〈不可視〉(精神/至難)#
〈不動の構え〉(肉体/難)#
〈誘幻掌〉(精神/至難)#
(以下の格闘動作は「ベーシック」の基本動作以外は技能無し値での判定不可。EA不可)#
【脚受け】
【脚つかみ】
【足払い】
【受身】
【後ろ蹴り】
【後ろ回し蹴り】
【腕/手首関節技】(上限は〈柔道+2〉)
【回転パンチ】
【顔面攻撃】
【逆腕訓練】
【近接武器戦闘】
【KOパンチ】
【攻撃的受け】
【地面戦闘】
【地面突き】(刀でも可能)
【ジャブ】
【ジャンプかかと落とし】
【手刀】
【頭つき】(前提は〈格闘〉のみ)
【脛蹴り】
【スリッピング】
【スレッジハンマー】
【掃腿】
【窒息】
【突き返し】
【飛び蹴り】
【ドロップキック】(マンガ世界扱い)
【猫足立ち】
【膝蹴り】
【肘打ち】
【ファーント】(刀でも可能、【展身】と呼ぶ)
【部位狙い】
【フェイント】
【武器落とし】
【武器構え】
【踏みつけ】
【フレッシュ】(刀でも可能、【踏みこみ】と呼ぶ)
【回し蹴り】
【アクロバット蹴り】
【受け流し】
【エルボードロップ】
【縛り】(上限は〈柔道+2〉)
【竜巻斬り】
【飛翔蹴り】
【無刀取り】

(パワーアップ)
(マジカルシーフ)
「疫病神」(-25/-50/-75CP)#
各種怪盗技能(PBのみ、基本的にNPC専用、「特殊な背景」必要)#
(ソーサルナイツ・アカデミー)
「毒耐性」(5CP)
「バランス感覚」(10CP)
〈準備/シューター〉(肉体/易)(UQ・PBのみ)
(武侠ウォリアーズ)
「嫌な行動/キザ」(-5CP)
「強迫観念/修行好き」(-5CP)
「使命/借金の返済」(-10/-15〜-25CP)(PCには-10CPのみ)#
「睡眠短縮」(3CP/L、最大5L)
「毒手」(10/15/20CP)(MEのみ、PCには禁止)
〈投げ矢〉(肉体/易)(EA不可)
〈書道・筆〉(精神/並)(EA不可)#
〈準備/手裏剣〉〈準備/短杖〉(精神/易)(EA不可)
(汎用)
「強制による仲間・仲間グループ」(様々)#
「強制による後援者」(様々)#
「絆の守り」(1〜10CP)(MEのみ)
「他生での縁」(様々)#
「異文化の生まれ」(-5CP)#
「にぎやか好き」(-5CP)
「空気が読めない」(-10CP)
「トロい」(-10CP)
「びくびく」(-5CP)
「快楽殺人者」(-60CP)(PCには禁止)
〈秘伝知識/種別〉(精神/並)
〈魔法理論〉(精神/至難)
〈物乞い〉(精神/易)#
〈速読〉(精神/並)
〈礼儀作法/種別〉(精神/易)(特殊な行動でない限り、通常の〈礼儀作法〉そのままで可能。〈礼儀作法/軍隊〉は通常のPCには不可)


既存の有利な特徴

>社会的特徴<

「法の番人」
 この特徴を取得したキャラクターは、同時に所属する治安機構から「使命」を授からなくてはいけません(危険が少なく頻度が「ときどき」以下である、CPを稼げないランクの物は除く)。この「使命」により獲得したCPは、「法の番人」に費やしたCPと同点までは不利な特徴の取得制限に含めなくても構いません。
 例:主人公(2)は自警団の部隊長(「法の番人」2レベル)です。自警団からの「使命(頻度は「ときどき」)」で5CPを稼いでいますが、これとは別に不利な特徴を-40CP取得する事が可能です。「使命」の頻度が「たいてい」(-10CP)でも他に-40CP取得できますが、「ほぼいつも」(-15CP)では他に-35CPしか稼げません。
 また、この特徴を2レベル以上で所持しているキャラクターは、臨時に他のキャラクターを「法の番人」1レベルを持つ者として所属する治安機構に推挙を行う事が可能です(いわば見習いやお手伝いとして。エンフィールド自警団第三部隊の一般人メンバーや、シープクレスト保安局刑事調査部第四捜査室のティセがその例です)。

「聖職者」
 必要CPは5CPになります。一部の世界の聖職者は魔法に関して有利な扱いを受けますが、詳しくは魔法に関する項目に移ります。

「特殊な背景」
 様々な「特殊な背景」は、次のように処理をして下さい。新しい「特殊な背景」は、GMや他のプレイヤーの承諾を得てから使うのが良いでしょう。
・些細な「特殊な背景」:5CP、特定集団のみの特殊技能を近い社会的位置のキャラクターが取得する、1系統の呪文を規定外で取得可能、実際の権力を伴わない著名人の縁者、通常のキャラクターよりやや有利になるような背景社会/団体の出自
・標準的な「特殊な背景」:10CP、特定集団のみの特殊技能を掛け離れた社会的位置のキャラクターが取得する、呪文の詠唱作業のうち1種類を無視できる、特別な集団しか魔法が使えない世界で魔法が使える、権力者の関係者、通常のキャラクターより有利になるような背景社会/団体の出自
・非常に「有利な背景」:20CP〜、魔法が一般的でない世界で魔法が使える、背景世界と全く違うシステムの魔法や特殊能力を使う(moo系世界では外法、影闘法、ルーン魔法など)、通常のキャラクターより遥かに有利になるような背景社会/団体の出自

「地位」
 種族により、地位レベルには上限・下限が存在します(一部の種族には「地位」の概念が無いので、地位レベル自体が存在しません)。詳しくは各種族の解説を参照して下さい。
 高い地位レベルを持つキャラクターが〈礼儀作法〉のレベルを上昇させる際には、技能無し値を「知力」と見なしてそこから上昇させ、キャラクターの属する社会では+2の修正が付くものとして扱います。

「軍人階級」
 PC全員が軍人だったりしない限り、使う事のないと思われる特徴です。めんどくさければ「地位レベル」に一本化してしまって下さい。

*「仲間」「足手まとい」「敵」「仲間グループ」「後援者」「情報屋」の共有について
 「ガープス・ルナル」におけるトルアドネス帝国や四姉妹は、アンディとエフィが別個に「敵」として取得し、それぞれの規模と確率に応じたCPをそのまま獲得していました。しかし「ベーシック完訳版」P29の「情報屋」に関する記述では、「情報屋」のCPをパーティ全体で分担できると記してあります。この食い違いを解決するには、以下の基準を適用して下さい。
 (a)2人以上で取得すると1人あたりの恩恵や脅威が目減りする「個人」「人数が増えても支援できる量が変化しない団体(「情報屋」はこれに相当します)」の場合、共有とCPの分担を認めても構わないでしょう。ただし「仲間」の場合、複数のPCを「仲間」として設定する事により実質的なCP総計が減ってしまう事に気を付けて下さい(笑)。
 (b)それ以外(「敵/トルアドネス帝国(まれ)」や「敵/四姉妹(ときどき)」など)の場合、共有してもCPは1人で所持している場合と変化はありません。これらは何人で取得しようと、PC1人1人に対する影響に変化は見られないからです。

>肉体的特徴<

「追加疲労点」
 moo系世界では3CP/Lとします。moo系世界では基本的に通常のキャラクターでも取得できますが、この場合は本来の体力と同点を限度とします。人間より遥かに大きい、あるいは小さい種族の場合でも同様です。

「追加HP」
 moo系世界では3CP/Lとします(「ベーシック」とは違いますので注意して下さい)。moo系世界では基本的に通常のキャラクターでも取得できますが、この場合は本来の生命力と同点を限度とします。人間より遥かに大きい種族の場合はこの限界を無視できますし、逆に極端に小さければHPは生命力より遥かに小さくなります(蟻の生命力がいくら高くても、HPは1点未満しかありません)。

「高速治癒」
「病気耐性」
 未成年のキャラクターの場合、この特徴を取得できるかは「成人後の能力値」を基準として判断します。例えば12〜13歳のキャラクター(生命力基準値9)は、「高速治癒」を生命力9以上で、「病気耐性」を生命力11以上で取得可能です。

>精神的特徴<

「我慢強さ」
 後天的に取得可能です。訓練の機会がある時に任意の時間を費やし(防御訓練で痛みに耐え抜く、鳥の羽で足の裏をくすぐられるなど)、意思判定に成功してからCPを消費して下さい。エンフィールド自警団員の約半数、シープクレスト保安局員の約1/3がこの特徴を所持しています。また、この特徴があれば呪文に集中している間に負傷しても目標値へのペナルティを受けません。《痛み止め》や「無痛覚」でも同様です。

「魔法の素質」
 これを持つと素手と手持ち武器、及び「機械的でない」投擲・射撃武器が「魔法の武器」扱いになり、通常武器でダメージを受けない魔物にも有効になります。また、魔法関係の現象に対しては「鋭敏感覚」と同様に判定にボーナスを加えます。
 例1-1:「魔法の素質3レベル」を持つルシードが長さ2のバスタード・ソード(魔化されていない。以下同じ)でトリアケラスを攻撃すると、ダメージが普通に与えられます。
 例1-2:ルシードがコンポジット・ボウでエンプレスを攻撃しました。エンプレスにはちゃんとダメージを与えられます――《矢返し》が掛かっていなければ。
 例1-3:ルシードが拳銃でシンカーを撃ちます。意味ありません(ダメージの1/8のヘクスだけ、跳ね飛ばされて後退する事にしても構いませんが)。
 例1-4:「魔法の素質」を持たないレスターが召還魔獣をライフルで撃ちました。当然ながら召還魔獣はダメージを受けません。
 例1-5:同じく「魔法の素質」を持たないローワンが魔剣でクロベエに斬り掛かりました。魔剣は「魔法の武器」なので、この場合はダメージを与えられます。
 例2-1:フローネは「魔法の素質3レベル」を持っています。呪術の使われた痕跡の燐光(視覚判定に−8のペナルティ)を探す際に、知力16のフローネは19を基準にできますので、3Dで11以下を出せば発見できます。
 エンフィールドでは特に地位レベルや反応は変動しませんが、素質持ちの稀少度が高いシープクレストでは「地位レベル+1」「反応−1」されます。
 ゲーム開始後にも取得したり上昇させたりする事は可能ですが、GMの許可を得てからにして下さい。そう易々と「魔法の素質」は高まる物ではありません。また「百鬼夜翔」P263〜264を参照して「魔法の素質」を4レベル以上にする事もできますが、通常のPCには(シェリルやマリア、リオやフローネのように)特に魔法に長けていても4レベル(50CP)までしか許さない方が良いでしょう。魔導王タナトスや大魔王様のような伝説級のNPCなら7レベル(105CP)や8レベル(130CP)でも構わないでしょうが……。
 この特徴を通常のキャラクターが取得できるのは、「WH」「EM」「UQ」「PB」のみです。「PS」「EA」「ME」では、取得や魔法の使用に様々な制限を受けます。

「魔法の素質/種別」
 魔法の素質の働く呪文、環境、同時に作用する副作用などで、消費CPを上下させる事ができます。また修行なり能力の覚醒なり理由を付けて、作成後に限定を外したりレベルを上昇させたりする事も可能です。
“単系統の素質(10/16/22CP)”
 1つの系統と《体力賦与》《体力回復》にのみ有効な魔法の素質です(「マジック完訳版」に従うと治癒系以外の「単系統の素質」のみを持つキャラクターは「感情察知」を持たないと《体力賦与》を修得できませんが、ここではそのような記述に従いません)。精霊系を対象にする際の「相性」などについては「マジック完訳版」の通りです。
 マナの「相性」(「マジック完訳版」P101。一定範囲の特定条件の呪文に−5〜+5までの技能レベル修正、境界線を越えると密度の境界線と同様に感知が可能)のルールを使う場合、その素質が有効な系統にしか「相性」への感知能力は働きません。
 なお、副系統や精霊召喚系は元の系統に含めて考えます。
“二系統の素質(11/18/25CP)”
 関連付けられる2つの系統と《体力賦与》《体力回復》にのみ有効な魔法の素質です。その他は“単系統の素質”と変わりません。相反する系統の魔法(風霊系と地霊系、治癒系と死霊系など)に対してこの特徴を持つ事も可能です。
“三系統の素質(12/20/28CP)”
 関連付けられる3つの系統(そのうち精霊系は2つまで)と《体力賦与》《体力回復》にのみ有効な魔法の素質です。その他は“単系統の素質”と変わりません。
 なお、「精霊系全て」を除く4系統以上の“限定”で消費CPを減らす事はできません。
“精霊系の素質(12/20/28CP)”
 精霊系全ての系統と《体力賦与》《体力回復》にのみ有効な魔法の素質です(「グリモア」収録の派生系統を含む)。その他は“単系統の素質”と変わりません。
“未覚醒の素質(5/8/11CP)”
 封印やその他の理由で覚醒していない魔法の素質です。魔法取得の助けにはなりませんが、魔力濃度の感知や魔法の品物の感知にだけは役に立ちます。何らかの事情で目覚めた場合には「覚醒後の素質に必要なCP−既に消費していたCP」点の負債をCPに負い、それを払い終えるまでは呪文の取得以外にCPを回せません。呪文の取得に費やせるCPも、借金分の半分に限られます。
 例:「未覚醒の素質」3レベルを持つキャラクターが、検査により魔法能力が発見されました。発見後の「魔法の素質」には限定は存在しなかったので、「35−11=24」点の負債が課せられ、これを払い終えるまでの間は呪文に最大12CPを費やす以外に能力値や特徴、技能を成長させる事はできなくなります(これがプレイの際に支障を来すと思われる場合は、「誓い」や「義務感」、「熱狂」「恐怖症」など何らかの不利な特徴で一部を埋め合わせても構いません。しかし全て埋め合わせる事を認めるのは避けた方がよいでしょう)。
“暴発性の素質(15/25/35CP)”
 強力ですが不安定な魔法の素質で、クリティカルとファンブルの範囲が1だけ大きくなります(通常は5以下がクリティカル・16以上がファンブル。目標値が15なら6以下がクリティカル。16以上なら7以下がクリティカル・16は自動的失敗・17以上がファンブル。目標値より9以上大きければ必ずファンブル)。クリティカルやファンブルの効果も、通常より大げさにして構わないでしょう。
 この素質は、能力を限定された素質と要素を組み合わせる事は出来ません。
“封印された素質(5/8/11CP)”
 何らかの理由により封印された素質です。呪文の使用に際しては非常に厳しいペナルティ(大きなマイナス修正を受けた意思判定や使用中の大ダメージなど)を得る上に、キャラクター作成時に取得した魔法以外は一切覚えられません。GMの許可がない限り、PCの取得は禁じられます。

「魔法の耐性」
 この特徴を持つと、エンフィールドやシープクレストのような「魔法が一般的な高度文明地域」では軽度の身体障害者と認定されます。この場合でも必要CPは変わりません。
 また、先天的に魔力を持つ種族はこの特徴を取る事ができませんし、そのような種族からの反応も最低でも−3されます。しかし反応が悪くても、直接攻撃を受けるよりは気味悪がられたり哀れまれたりするでしょう。

「幸運」
 「ベーシック完訳版」P28によると、サイコロを振った後でも「幸運」を使い、あと2回振って3回中で最も良い結果を使えるという事です。文庫版に無かった記述であり、見落としがちなので注意しましょう。
 また、時間計算がめんどくさければ、「プレイ時間1時間に1回」を「ゲーム内時間1日に1回」、「プレイ時間30分に1回」を「ゲーム内時間12時間に1回」に読み替えてもいいかもしれません(この部分、ルナルの特殊呪文《幸運》の取り扱いを参照)。この場合、長時間作業の最中に「幸運」を使うと、その作業自体に「幸運」は使えない事にします。

「数学能力」
 〈電子工学〉は〈技師〉の同類と見なし、文明レベル6以上の〈技師〉と同様に+2の修正を与えます。

「記憶力」
 母語(「ベーシック完訳版」の「母国語」)にCPを費やして技能レベルを上昇させる際に、他の(技能扱いの)言語と同じくCPを2倍/4倍に計算できます。
 マンガ技能や妖術の精度レベルには、何のボーナスも付きませんので注意してください。

「言語能力」
 母語の技能レベルも、この特徴のレベルと同じだけ上昇します。


新しい有利な特徴

>社会的特徴<

「過去の地位」(2CP/L)
 辞職した大統領や退位した国王、騎士と駆け落ちした王女、数百年間山奥で修行を行っていた元宮廷魔術師長、クーデターで追放された独裁者、処刑の寸前に他人に肉体交換を行い逃亡した超能力者、異世界に飛ばされた皇帝、息子に跡を譲った村長など、高い地位レベルから退いたキャラクターが所持する特徴です。「地位」のレベル(元国王なら6、元大統領なら4〜5(亡命したならそれ以下)など)に上乗せする形でこの特徴を取り、完全に公的な場やキャラクターが好意を持たれていない場を除いては「地位」+「過去の地位」に応じた待遇を受けられます。生活費は現在の「地位」に応じますが、「過去の地位」との格差が激しいと元の地位をなかなか認めてもらえないでしょう。

「過去の軍人階級」(1CP/L)
 退役した軍人、あるいは放逐されたり亡命したりで軍属でなくなったキャラクターが所持する特徴です。扱いは「過去の地位」に準じて下さい。

「高度文明」(5CP/L)
 この特徴を持つと、取得する技能の文明レベルをゲーム世界の平均レベルより「高度文明」のレベル分高い文明レベルの物として扱えます。キャラクターがゲーム開始前にもゲーム世界の平均的文明にも触れているなら、この特徴を必ずしも全ての技能に適用する必要はありません。1人の「高度文明4レベル」キャラクターが、〈応急処置/3〉と〈応急処置/7〉を両方覚えていても構わないのです。もちろんこの場合なら、「高度文明」を持つキャラクターが一般社会の技術を扱う際にも特に不利な修正は受けません。
 この特徴はGMがゲーム世界に適切な物と認め、そして使用を許可しなければPCが持つ事はできません。世界背景によっては「特殊な背景」を必要とするでしょう(特に、高度文明の品物が新しく生産・流通している世界では)。例えば「ME」の場合、シルバリア出身者は「高度文明1レベル」+「特殊な背景」で10CPが必要です。

「早熟」(2CP/L、最大6CP)
 14歳以下のキャラクターの能力値基準値を、1レベル毎に1歳分繰り上げます。この特徴は加齢により失われますが、その分のCPで「未成年」か不利な精神的特徴を買い戻す事ができます。

>肉体的特徴<

「鋭敏触覚」(1CP/L)
 触れた時や触れられた時の感覚判定(触覚判定)に、レベル分のボーナスが含まれます。触覚判定を行う機会が少ないために必要CPも低くなっていますが、触覚が重要なキャンペーンを行う際にはGMは「2CP/L」として「鋭敏触覚」を扱う事が可能です。

>精神的特徴<

「属性/種別」(0CP)
 「WH」「EM」「UQ」「PB」のキャラクターが持つ能力です。詳細は後に譲ります。

「神出鬼没」(15/30CP)
 この特徴を持つキャラクターは、プレイ1回につき15CPなら1回、30CPなら2回だけ、話の舞台にいつでも現れる権利を持ちます(ただし当然ながら、牢屋に潜入しても独房を開ける事はできません。現れる権利を持つのは常に「話の舞台」でしかなく、その中で具体的な出現場所を選ぶ権利を持つのはGMです)。話が舞台転換する前なら自由に退場する事が可能ですが、それ以外では退場するためにこの能力を使う事はできません。シナリオに致命的な影響を与えたり、いくら無理しても不可能な出現は、GMが却下する事ができます。
 この特徴は「都合のいい偶然」に限定と強化を加えたような特徴ですので、「都合のいい偶然」と同時に持つ事はできません。

「魔法不信」(様々)
 「Compendium1」の「Mana Damper(マナ減少)」に相当する特徴で、「魔法の不信観測効果」という現象を引き起こします。不信観測効果とは「魔法は存在しない」と強く思い込む事により周囲の魔法を不安定にする能力であり、それにより自分の周囲のマナの密度を低下させます。「魔法不信」で低下する密度は必ず2段階で、必要CPは以下の通りです。
  自分自身と直接触れた範囲:10CP
  同一ヘクス全て:20CP
  周囲1ヘクス先まで(直径3ヘクス):30CP
  以下、1ヘクス先に伸ばす(直径+2ヘクス)毎に+10CP
 この特徴は必ず、「妄想/魔法は存在しない」「強迫観念/魔法憎悪」のどちらか1つ(-15CP)を、通常の制限外で同時に取得しなくてはいけません。当然ながらこの特徴の所持者は、魔法を扱う事は一切できません。
 この特徴はNPC専用で、PCが取得する事は望ましくありません。

「採寸の才能」(5CP)
 他人の体に一瞬接触して知力判定に成功するだけで、その体格を精密に判断する事ができます(笑)。この能力は同種族、及び体型の非常に似通った種族にのみ有効です。この特徴の所持者は、しばしば「人間メジャー」と呼ばれます。


既存の不利な特徴

>社会的特徴<

「未成年」
 「WH」「EM」「UQ」「PB」では一般に(太陰暦・太陽暦を問わず)18歳で成人と見なされますが、法的責任能力は15歳で生じます。そのため成人年齢は15歳と見なします。
 「PS」では18歳で成人と見なされます。しかし諸島国では飲酒・喫煙・選挙権などは20歳になって初めて認められます。
 「ME」では15歳で成人と見なされます。
 「EA」(特にガーデングローブ地方)では18歳以上を大人と見なします。精霊界の成人は15歳ですが、15歳以上でも「成人と認め難い」とされれば「未成年」1レベルを持たねばならず、そのようなキャラクターは大人としての扱いを受けられません。
 「SY」では、数え年の15〜16歳(満年齢13〜15歳)で元服(=成人)するのが慣例です。ゲーム内では元服の前後を問わず、満年齢15歳で「成年」になるとします。

「社会的弱者」
 種族、民族、階層の違いによる「社会的弱者」は、基本的には「二等市民」しか存在しません。ただし一部の種族や亜種は、一律して不利な反応修正を受ける場合があります。
 「SY」では女性は「二等市民」扱いをされ、特別な事情(男装している、男兄弟の大半が命を落としている、など)がない限り正規の軍に参加する事はできません。

「特権階級」
 この特徴は「法の番人」と同じく、常に「使命」や「誓い」「義務感」と抱き合わせでしか得られません。もちろんこれらの特徴は、特権を与えた対象を裏切ると即座に「敵」や「悪い名声」へと変化します。

「原始的」
 世界の標準文明レベル(及び技術レベル)は、世界の主流種族である人間の、そして良かれ悪しかれ関係を持つエルフやヘザーやライシアンの一般的なものです。「一般的でない」少数集団や人間と縁のない種族の場合は1レベル程度低くなる事もありますが、あまり低すぎるとゲーム進行できなくなりますので絶対によしましょう。

>肉体的特徴<

「近視/遠視」
 (医療関係の)文明レベルが4で眼鏡(とコンタクトレンズ)は存在しますが性能が悪く、近視の場合は手持ち武器の攻撃に−1、射撃の距離は1.5倍として計算します。遠視の読書速度は2倍、精密作業の修正は−1です。このため、文明レベル4の場合は-15CPの特徴として扱われます。
 文明レベル5以上なら普通の眼鏡が入手可能なので、この特徴は通常通りに扱われます。ただし「ME」では、文明レベル5の地域でもレンズの加工技術が未発達であるため-15CPのままです。

「高齢」
 この世界では老化判定(知力に限り、この世界では老化判定の基準値が知力になります)でファンブルしない限り表の能力値は低下せず、老化判定で出した能力値が0になって永眠するまで老化の影響を受けません。「長命」を持っていれば、ファンブル時にも表の能力値は変化しません。そのため、この特徴で獲得可能なCPは1/3します(1レベル毎に-1CP)。
 なおプレイ上気にする事ではあまりありませんが、老化判定に「医学の文明レベル−3」を生命力(ないし知力)に加える事が可能です。

「言語障害」
 魔法使いがこの特徴を取得している場合、(呪文の基本レベルである「知力+素質−2」が18以上に達していない限り)「特殊な背景/呪文の詠唱不要」に10CP消費して下さい。

「性的不能」
 原著の「eunach」は「去勢」という意味です(汗)。moo系世界では基本的に人間を去勢する事はなさそうですので、原因は事故に限って下さい。

>精神的特徴<

「義務感/種別」
 あまり多くの義務感を設定すると煩わしい上に範囲が重複する事が多くなるため、「敵」同様に2種類までに限定する事がGMの判断により可能です。
 なお特定の種族に対する義務感は-10CPの特徴としますが、個体数の少ない種族では-5CPとして扱って下さい。「人間」に対する義務感は、影の民のような亜種や少数民族を含むなら-15CP、含まないなら「人間の一般的人種・民族に対する義務感」と見なして-10CPの特徴として扱います。

「恐怖症」
 「ベーシック」の恐怖症は、以下の通りに扱われます。またGMは、キャンペーンに多大な支障をきたす「恐怖症」の取得を禁止する事ができます。例えば「ME」の場合、海での冒険に支障をきたす「海洋恐怖症」「閉所恐怖症」「高所恐怖症」「広場恐怖症」「異人恐怖症」「武器恐怖症」の取得が禁止されます。
 稀な対象への恐怖症は-2/-5CP、極度に稀な対象への恐怖症は-1/-2CPの特徴として扱います。
――――――――――
「死体恐怖症」:アンデッドや霊が実在する世界ですので、それらに対する反応は以下の通りに処理されます。
 死体が動いている…魔法に親しみのあるキャラクター(一般のPCやエンフィールドの住民)は修正を受けません。魔法に親しんでいないと「ベーシック」通り−4の修正を受けます。
 幽霊…人格や姿を残している霊には、上の場合と同じ修正を受けます(たとえ生霊でも)。人間から掛け離れた悪霊やポルターガイストは「死体恐怖症」の範疇外です。
「機械恐怖症」:魔法を使用した機械も対象となります。
「怪物恐怖症」:動植物系の魔物は、よほど異様な姿をしていない限り「自然でない」生物とは見なされません。
「先端恐怖症」:接近戦用武器の使用が衰えていないため、文明レベルの上昇にもかかわらず獲得できるCPは低い文明レベルの世界と同一です。
「魔法恐怖症」:-15/-30CPです。魔法動力プロセッサを組み込んだ器具の使用の際には恐怖判定は不要ですが、意思判定に成功しないと器具の内部に接触できません。PCが取得する事も、まともな冒険の障害になりますのでお勧めできません。
「血液恐怖症」:通常と同じく-10/-20CPですが、戦闘中の恐怖判定のタイミングは基本的に「戦闘開始後に初めて「切り」「刺し」ダメージを視界内で目撃した時」のみです。
 (この場合は戦闘中ですので、「待機」していない限り恐怖判定に+5されます(「ベーシック完訳版」P126参照)。「待機」していれば修正0です。ダメージが「切り」で、しかも最終的な数値が8点以上になった場合には、激しい出血を目の当たりにしてしまい恐怖判定の修正は+3/−2になります。ダメージが16点以上なら修正は+1/−4です)
 それから戦闘が続く限り「切り」ダメージが8点以上出なければ判定の必要はありませんが(しかも、最初の恐怖判定に成功していればペナルティも受けずに行動できます)、10分以上続く場合は戦闘行為を続行する10分毎に修正無しでの恐怖判定が必要です。
 ちなみに自分自身と血の色や質が違う種族の血を見た時は、あまり怖くないので恐怖判定に+修正を受けます。

「お祭り好き」
 moo系世界では、プライベートなパーティーにはあまり大勢集まりません。よほど図々しいのでもない限り、つまらないパーティー(笑)よりは食堂や居酒屋や広場や商店街で楽しむ方が普通です。
 なお現世でも、国によっては友人の友人だろうが友人の友人の友人だろうがお構い無しで数十人〜数百人規模のパーティーを開くのが普通の所があります(アメリカ合衆国がどーかは知りませんが(汗))。moo系世界でもどこかにはそのような地方がある事でしょう。

「アルコール中毒」
 程度の弱い特徴として、通常の中毒と同じ扱いをする「アルコール依存症」(-10CP)が存在します。現世では比較的酒に弱く飲酒の習慣を長い間持っている民族(日本人など)に多く見られる特徴で、そのような民族では「アルコール中毒」に達する事は滅多にありません。

「読み書き」関連
 標準的なmoo系世界では、長い歴史と魔法の発達による教育上の必要性、そのごく初期における紙の発明、そして行政文書の一般化により、読み書きはできるのが普通です。これは人間と関わる異種族でも同様であり、読み書きできない事にするなら適切な理由を考えて下さい。
 「SY」では読み書きできるのは貴族、中央や地方の役人、郡レベル以上の領主、神官、僧侶くらいですので、下の「読み書き/基礎のみ」が基本となります。完全な「読み書き」をするには5CPが必要です。

「読み書き/基礎のみ」(-5CP、読み書きできないのが普通なら5CP)
 基礎的な水準の読み書きしかできません。言語にもよりますが、この水準では夕飯の買い物のメモを取れても小説を読むのもたどたどしく、長い手紙を書いたり学術書を読んだりは一切できません。
 どの程度が「基礎的」を超えるかはプレイヤーやGMの判断に任せますが、以下の基準を参照して下さい。
・日本語:小学校低学年で習わない漢字の使用、同音異義語の文章での使い分け、古文の読解など
・英語:発音からずれた単語の正確な綴り、ギリシャ語やラテン語起源の単語の理解、古英語の読解など

「平和愛好/種別」
 「ベーシック完訳版」P55の「完全非暴力」を見ると、「いかなる理由であれ、他の知的生物に暴力を振るう事はありません」「あなたは動物や蚊から身を守る事はできます」と記してあります。この場合は「知的生物以外には全く適用されない」「知的生物以外にも緩い拘束力を持つ」という2通りの理解が可能ですが、私的には、
  「平和愛好」は、知的生物以外でも危害を及ぼす生物でなければ「癖」程度の影響力を持つ。
 といった辺りが望ましいと思います。

「放火魔」
 日本と同様かそれ以上に放火には厳しく、逮捕されれば長期間の懲役に課せられます。「義務感/自然」の持ち主も多く、一般人は放火魔には−3の反応修正を向けます。取得できるCPは-15CPとなりますが、遅かれ早かれゲームから脱落するこのような特徴はキャンペーンにも単発プレイにも向きません。PCは取得しない方がいいでしょう。
 ……ですが単なる「炎愛好(pyromania)」なら、-5CPで構わないかもしれません。ただしこの場合もあれこれと疑いを受けやすく、反応に−1の修正を受けます。

「多重人格」
 人格の数を3つ以上にする事は、(処理が面倒なため)基本的にPCには認められません。全ての人格の意思(知力+意志の強さ/弱さ)は、全て同一値でなくてはいけません(この処理は、「強い人格ばかり表に出て弱い人格がほとんど現れない」ようにする事を回避するための措置です)。3つ以上の人格が存在する場合、意思判定に失敗した際にどの人格に変わるかは常に均等な確率となります。
 また、この特徴の「買い戻し」には特殊なルールが適用されます。詳しくは次章を参照して下さい。

「中毒」
 安価で習慣性も強くなく、付帯効果も存在せず、しかも合法な物質の場合、-1CPの特徴とします。また人間以外の異種族の場合、人間では中毒を起こさないような物質に「中毒」する可能性もあります。
 ごく稀にですが、物質ではなく精神的な行動に「中毒」する事もあります。その場合「生命力→知力」「HP→意思」と読み替えて下さい。


新しい不利な特徴

>社会的特徴<

(特になし)

>肉体的特徴<

「弱視」(-30CP)
 「UQ」「PS」のアリサの持つ特徴です。「近視」と「遠視」のペナルティの双方が適用され、しかも眼鏡などで矯正する事ができません。「特殊な背景」に10CPを消費する事により、〈暗闇戦闘〉を修得する事が可能です。
 この特徴は、GMの許可を得ない限り取得は出来ません。

「特異な外見/両性具有」(-10CP)
 この特徴を持つキャラクターは男女両方の性機能を備えており、それを知られると反応に−2されてしまいます。精神的には男女どちらかに属していますが、容姿は中性的、プロポーションも半ば男性型、半ば女性型です(細身の女性に男性の生殖器が付いたような状態)。容貌や〈性的魅力〉の修正は、精神的に属する性に基本的には従います。

「無痛覚」(-5CP)
 痛覚がありません。戦闘でいくらダメージを受けても行動に影響を受けないのですが、キャラクター自身は自分の受けている正確なダメージを理解できないのです。キャラクターのHPはGMが管理し、気絶判定や死亡判定が必要な時はプレイヤーに振らせて下さい。〈応急処置〉に要する時間と同じ時間を費やして〈診断〉か〈生理学〉判定に成功すれば、自分の受けたダメージを知る事が可能です。「百鬼」の[無痛]とは違い、折れた腕や脚を使う事はできません。負傷する機会の少ない冒険の場合、獲得できるCPを-2CPとしても構いません。この特徴を持っていても、疲労点はプレイヤーが管理できます。

「視野狭窄」(-15CP)
 「広視界」とは逆に、かなり視野が狭くなっています。周囲で何かが起こったとしても、それが正面でない限り知力判定に成功しないと気付く事ができません。戦闘中は前のヘクスにしか通常の攻撃はできず、右前は「右側」、左前は「左側」、右後ろと左後ろは「後ろ」として扱います。長射程攻撃を行う際も、右前ヘクスの延長線上とそれより右側のヘクス、左前ヘクスの延長線上とそれより左側のヘクスは「視界」として扱われません。

「赤緑色盲」(-5CP)
「青黄色盲」(-5CP)
 赤と緑の、あるいは青と黄色の区別を付けられません。技能に対して受けるペナルティは「色盲」と同じです。

「色弱」(-5CP)
 「色盲」ほどではありませんが、視覚判定に成功しないと色を識別できません。1秒掛けて観察すれば修正なし、そうでなければ−4の修正を受けます。技能に対して受けるペナルティは「色盲」と同じです。

>精神的特徴<

「方向感覚欠如」(-10CP)
 若葉やセリーヌレベルの凄まじい方向音痴で、知力判定に失敗すると現在位置を見失って迷子になります。当然〈オリエンテーリング〉〈追跡〉〈航法〉《方位計》《方向探知》《追跡》などは取得禁止され、技能無し値にも−4されます。〈尾行〉は可能ですが、元の所に帰って来られなくなる危険が常に付きまといます。地図を見ても書いてある内容が全く理解できません(頭の中で、地図と現実の環境を結び付ける事ができないのです)。知力判定にファンブルした場合、話が面白くこじれるような場所へなぜか辿り着いてしまいます。クリティカルすれば、GMの判断によって都合のよい場所に着いた事にしても構わないでしょう。
 居住している所や毎日通い詰めている所相互の移動については、判定にファンブルしないと道に迷う事はありません。セリーヌの場合「教会から自警団事務所に通う」のは構いませんが、「夜鳴鳥雑貨店に買い物に来たついでに、教会への帰り道にローレライに寄る」際には適用されません。
 なお、〈地域知識〉の取得は構いませんが、自分の位置関係を知るための判定には一切役に立ちません。《〜探知》を使っても距離は分かりません。

「好色/種別」(-5〜-10CP)
 「ハイティーンの女の子だけ」「ナイスミドルのおじさまだけ」「ショートカットの女の子だけ」「10代前半の可愛い男の子だけ(笑)」という、対象限定型の「好色」です。対象選択が社会的に好ましくないと見なされる場合には、「好色」だけではなく「嫌な行動」も取得しているとして扱って下さい(恐らくNPC専用ですが……)。

「軽度の好色」(-5CP)
 「好色/種別」のバリエーションである、度合いが激しくない「好色」です。相手が「美人」「超美人」でも意思判定にペナルティを受けず、他のキャラに制止されればペナルティ無しの意思判定を行う事で引き下がれます。普通は「好色」の対象になる場合でも、性格の合わない相手に対してはこの特徴が働かない事にしても構いません。いわば普通の「強迫観念」の一種です。

「アルコール依存症」(-10CP)
 「アルコール中毒」より程度の弱い特徴で、通常の中毒と同じ扱いをします。

「強迫観念/孤独癖」(-5CP)
 他人と極力付き合わず、1人かせいぜい数人でいる事を好みます。多人数と関わり合う事を余儀なくさせられても、意思判定に成功しないと一切の能動的働き掛けが取れません。

「強迫観念/魔法偏愛」(-5CP)
 「魔法」その物に価値の中心を置き、物事を解決する手段には極力魔法を使います。魔法を使えない相手を蔑視する事はあまりありませんが、やはり魔法使いの方を好ましく感じる事は確かです。アイテムも品質はさておいて、魔法を使用した物を喜びます。魔法が嫌いな相手の反応に−1〜−2されます。
 この特徴を持つキャラクターのほとんどは、高レベルの「魔法の素質」の持ち主です。

「嫌な行動/所有観念の欠如」(-5CP)
 所有権への理解が乏しく、他人が所持している物でも自分が必要なら平気で取って行きます(「盗み」とは考えていません。金銭的価値には無頓着です)。貴重品でも所有者より自分が持っていた方が有効に使えると(勝手に)感じた場合は自分の物にしたがりますが、通常は力に頼って強奪したりはしません(金銭で購入できるならそちらを選びます)。いらないと思えば、それまで執着していた物もあっさりと元の所に返します。所有観念が欠如しない相手からの反応は−1〜−2されます。
 中世日本のように(窃盗は微量でも死刑!)所有権に対する考えの厳しい社会では、獲得できるCPと反応のマイナス修正が更に増えます。「放火魔」なども同様に扱いますが、そのような特徴を持っているキャラクターはすぐに投獄、または処刑されてしまう可能性が高いでしょう(汗)。


既存の技能

*「技能無し値からの成長」に関する選択ルール
 〈医師〉と〈診断〉〈手術〉〈毒物〉、〈演劇〉と〈演技〉〈吟遊詩人〉、〈絵画〉と〈書道〉、〈杖〉と〈槍〉のように、1つの技能に重点的にCPを注ぎ込む事によって効率的に技能判定の目標値を吊り上げられる組み合わせが存在します。ただしこうして引き上げた「技能無し値」は技能レベルそのものではないので、そこから更にCPを消費していないと「技能を修得している」のではなく単なる「見よう見まね」ですし、技能無し値から他の技能無し値を引き出す事もできません。しかし元となる技能レベルが高い場合、「技能無し値」から1レベル上げるだけでも4CPや8CP消費が必要になるのが苦しい所でしょう(特に難易度が「至難」の〈手術〉や肉体技能の〈書道〉)。
 そこで「前提技能」のルールに準じて、0.5CP消費すれば最低でも「技能無し値」と同じレベルで「技能を修得している」と見なす事にします。


>医学系技能<
 〈応急処置〉に限り、異種族間のペナルティは完全に無視します。ただしその他の判定では、よく知らない種族とみなし−2のペナルティを加えて下さい(人間(影の民を含む)、エルフ、ヘザー、ヴァンパイア、魔族など生理機能がほぼ同一の種族ではペナルティ無し)。生理機能が全く違う種族の場合、専門化した技能でないと効果がありません。〈応急処置〉を除く専門化していない医学系技能は、「哺乳類種族」に専門化されていると見なします。もちろん、専門化した〈医師〉の技能レベルをそのまま専門外の種族への〈応急処置〉に使う事は可能です。

〈医師/文明〉(精神/難)
 moo系世界では文明レベルが上昇しても、魔法や魔獣の絡む症状に対して薬草などの助けを得なくてはなりません。文明レベルが5以上でも、薬草に対する能力は失われません。もっとも、魔法や魔獣が一般的な存在でない「PS」はその例外です。

〈応急処置/文明〉(精神/易)
 以下の表に、医療関係の文明レベルと所要時間、回復量を記しておきます。

*応急処置表
TL2〜3(SY)
TL4(EM、ME、EA/精霊界、SY/宋)
TL5(ME/高度文明地域)
TL6〜7(UQ、EA/人間界)
TL8(PB、PS)
30分、1D−3点
30分、1D−2点
20分、1D−2点
20分、1D−1点
10分、1D点

〈経穴〉(精神/難) 技能無し値:なし …マーシャルアーツ参照
 この技能は、先端が尖った「叩き/突き」「刺し/突き」の武器、および素手で使用する事が可能です。命中判定の前に「最低限のダメージしか与えない」と宣言すれば、「マーシャルアーツ」の弓道と同じく、ダメージを1点しか与えずに麻痺させる事が可能です。〈経穴〉の使用が戦闘中でなく、目標が回避を試みない状態なら、「20−技能レベル(最低1)」ターンの間ずっと接触する事で、ダメージを与えずに経穴を突く事が可能です。
 例えばトリーシャチョップは、〈経穴〉による頭狙いと見なします。この場合命中判定には−9の修正が掛かりますが、動かない相手に狙いを付けてから全力攻撃で技能に+4すれば、修正は合計して−1で済みます。攻撃が命中してもシェリルは受動防御判定しかできませんし、たとえ〈経穴〉に抵抗できても頭を揺さぶられた事による生命力判定に失敗して気絶してしまうでしょう(……くれぐれも、頭部クリティカル表で3を出したりしないように)。
 「UQ」「PB」「PS」では(キャラクターの背景設定に合致する限り)修得に特に制限はありませんが、「EM」「ME」ではキャラクターの背景設定に異文化圏の関与が必要です。「EA」では修得が基本的に禁止されます。「SY」でも、大陸で武術か医術を学ばない限り使用する事はできません。
 この技能がマンガ技能であり、「記憶力」の修正を受けられない事はくれぐれも忘れないで下さい。


>運動系技能<

〈運動/種別〉(肉体/並)
 「PS」では単純にこの技能を使わず、より分化した技能によりスポーツ内でのポジションを表現します。それ以外の背景世界でも、GMとプレイヤーの判断により「PS」のルールを援用しても構いません。

〈呼吸法〉(精神/至難)
 東洋風の色彩も濃い世界ですので、格闘家や魔術師の間に広く使われています。「UQ」「PB」「PS」では(キャラクターの背景設定に合致する限り)修得に特に制限はありませんが、「EM」「ME」ではキャラクターの背景設定に異文化圏の関与が必要です。「EA」では修得が基本的に禁止されます。「SY」では自由に修得できます。

〈ランニング〉(肉体/難) 生命力基準
 ルナル世界や百鬼世界選択ルールと同様に、移動力の上昇に従って「よけ」も上昇します。技能によって受けるボーナスの処理は以下の通りです。
・移動力ボーナス:通常通りの陸上移動が可能な状態ならば、いかなる場合にも適用されます。何らかの能力により通常歩行より速い移動ができる場合は、〈ランニング〉のボーナスを足す→荷重のペナルティを引く→移動力に倍率を掛ける、という処理を行って下さい。
・「よけ」ボーナス:処理が煩雑になるのを避けるために、「よけ」が可能な状態ならばいかなる場合にも適用されます。たとえ騎乗していても、《べたべた》に足を取られていても、このボーナスは有効です。
 陸上移動以外の移動法では、〈ランニング〉の移動力ボーナスは適用されません(「よけ」ボーナスは適用されます)。移動力にボーナスを得るには、〈ランニング/空中〉〈ランニング/水中〉(後述)を使用して下さい。

〈水泳〉(肉体/易)
 「ベーシック完訳版」P122〜123にある通り、自分から水中に入れば+3の修正を受ける事と、荷重レベルの倍のマイナス修正を受ける事を忘れないで下さい。


>学術系技能<

〈コンピュータ・プログラミング/文明〉(精神/難)(TL5〜)
〈コンピュータ・ハッキング/文明〉(精神/至難)(TL7〜)
 「PB」のコンピューターは魔法動力プロセッサの魔法エネルギー(マナ)を使用しているため、通常の世界の同名技能はレベルに−5修正を受けてしまいます。また、〈コンピュータ・プログラミング〉を取得している魔法使いは、自分の使用できる魔法をコンピューターに使わせるプログラムを作成可能です(状況や要求に応じて最低でも−5のペナルティを受け、〈〜・プログラミング〉と使用させる魔法のどちらか低い方のレベルで判定しなくてはいけません)。
 「PS」のコンピューターは、現実世界とほとんど同じ物です。仮想現実空間の作成は通常のコンピューターでは行えませんが、プログラム部分をいじる事は文明レベル分の不利な修正を受ければ可能です。

〈神秘学〉(精神/並)
 大半のmoo系世界では魔法が実在するので、魔術系技能として扱われます。「PS」や「ME」ではあやふやな知識しか伝えられていないので、魔法使い以外のキャラクターにとっては学術系技能のままとなります。「SY」では術や妖魔について学ぶ学術系技能となります。

〈錬金術〉(精神/至難)
 学術系技能に含まれますが、応用範囲の広さとCP消費の高さを考えて「専門化」を禁止します。
 通常のmoo系世界の錬金術は「普通の」学問であり、調合表も違法な物を除いては広く流布しています。0.5〜1CP(知力14で10〜11レベル)程度なら、多くの医師や薬剤師、化学者がかじっている事でしょう。文明レベル6以上では技術の改良により、霊薬を一度に作れる量が4倍になります(同時作成のペナルティは、作成量を1/4(端数切り上げ)にして計算して下さい)。一度に1個しか作らない場合、技能レベルに+1されます。
 この技能を通常のキャラクターが取得できるのは、「WH」「EM」「UQ」「PB」のみです。「PS」「EA」「ME」では、取得や技能の使用に様々な制限を受けます。基本的に魔法の使い手かそれに準じる者以外には霊薬を作る事はできず、文明レベルによる恩恵は「マジック」の記述によるものしか受けられません。「SY」の〈錬金術〉は大陸の道士の門外不出の技術で、日本では存在すらほとんど知られていませんし、霊薬も作る事はありません。

〈動物学/文明〉(精神/難)
〈植物学/文明〉(精神/難)
 生態系の一部なので、動物・植物系の魔物に関する知識もこれで判定できます。それ以外の魔物に関しては〈神秘学〉を使って下さい。〈動植物知識〉より知識が詳細なので、成功度が大きな場合にはデータの全てを熟知していて構わないでしょう。知らない生物の性質推定も、〈動物学〉〈植物学〉でないと不可能な行為です。

〈異種族学/文明〉(精神/難)
 人間と付き合いがありメンタリティも近い種族に対して、〈外交〉〈商人〉〈戦術〉等を行う際には判定は不要です。メンタリティの掛け離れたヘザーやオーガー、ドラゴン等と交渉する際には、「ベーシック」の通りの役に立ちます。moo系世界では基本的に、「知られている種族」は51〜100種として扱います。ただし「PS」と「EA」では、「知られている種族」は5〜10種です。GMの判断次第では、全く異なる文化を持つ同種族を対象としても使用できます。この場合は〈異種族・異文化学〉とでも呼んだ方が差し支えないでしょう。

〈原子物理学/文明〉(精神/至難)
 大半のmoo系世界ではマナが濃密過ぎて、通常の核反応が起こりません。そのためいくら文明レベルが上がろうと、この技能は決して存在しません。「SY」では未来で学ぶ事ができますが、舞台となる時代では完全に無意味です。

〈調査〉(精神/並)
 あらゆる学術系技能を、その専門に限って−2して技能無し値として使える事は忘れないようにして下さい(「ベーシック完訳版」P74参照)。

〈神学〉(精神/難)及び〈哲学〉(精神/難)
 現世と全く同じ思想が存在する訳ではない事に注意して下さい。例えば大陸南方北部の神学は一神教的ですがキリスト教やイスラム教とは違い輪廻を認めていますし(ドルーズ派と同じですが)、社会主義思想はあっても無神論や唯物史観は存在しません(「無神論」は「妄想」扱いです。エンフィールドやシープクレストなら変な目で見られるだけで済みますが)。
 専門化は可能ですが、特定の教派が独自に持つ知識に関しては通常は−5の修正を受けます。このためほとんどの「聖職者」は、専門化を行わずに修得する事はありません。
 「EM」「UQ」「PB」において存在する種別は以下の通りです。
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〈神学/教会〉
 至高神を崇めその存在の証である世界を維持する事を教義の中心に置き、〈大陸〉のみならず世界各地に広まっている教会の教えで、「世界の無限性」と「世界に遍く広がる光芒」を示す十字を象徴としています(宗派により形状が微妙に異なります)。他の宗教との習合や複合信仰も一般的で、他宗派や他宗教との争いはあまり見られません。その起源は非常に古く、分かっている限りでも太古の時代にまで遡ります。イメージとしてはキリスト教、特に現代のカトリック辺りを連想して下さい(あくまでもイメージで、教義的にはゾロアスター教の方が幾分近いかもしれませんが)。地域によって様々な宗派が存在しますが、詳細については省きます。
 また教会に留まらず、この世界のほとんどの宗派は(江戸時代の国学者や「星界」シリーズのアーヴと同じく)「机上の理論や理想の強制は悪の温床」という考えを持っており、この事が世界全体における哲学の全体的な低調を招いています。
〈神学/寺院〉
 大陸東方を中心に広まる宗教です。「存在の相互の結び付き」と「全ての存在の輪廻」を中心に説き、世界全ての救済を目指します。宗派間の違いはその際の方法論による物であり、割と内省的な教えでもあるため外部対立もあまり見られません。イメージとしては日本仏教、特に浄土系や禅系の宗派に近いものです。
〈神学/神殿〉
 大陸南方南部や東岸の諸島で信奉されますが、祭る神毎に教えも異なるため異教徒にはなかなか理解できません。しかし基本的には、「清浄」であり「正直」である事を理想としています。イメージは神道に近い感じですが、南方南部の物は幾分毛色が違います。
〈神学/影の民〉
 人間の亜種である影の民の宗教です。教義は寺院の物に似ていますが、霊に対する宗教的概念がかなり複雑なものとなっています。真言宗に近い感じをイメージして下さい。
〈神学/精霊信仰〉
 名前の通りの精霊信仰で、世界の各地に点在しています。
〈神学/悪魔崇拝〉
 見ての通りの、悪魔を崇拝して望みを叶えようという邪悪な物です。ルナルの〈悪魔〉教団ほど恐ろしい存在ではないとはいえ、あらゆる社会で禁止されてきました。そのため時代や地域によって、その内実はかなりばらつきが存在します。
〈哲学/無神論〉
 神聖魔法の存在するこの世界で「神は存在しない」と主張する、リアリティの存在しない思想です。この思想を信奉(=自発的専門化)するには、「妄想」を-10〜-15CP分取得する必要があります。
〈哲学/社会主義〉
 社会全体の調和を重んじる、現世の社会民主主義に近い思想です。この世界には無政府主義や共産主義は存在しません。

〈天文学/文明〉(精神/難)
 天体の配置が魔法的な影響を及ぼす事のあるこの世界では、〈占星術〉の要素も文明レベルが上がっても失われません。特に皆既月蝕(死霊系のマナが「濃密」)や皆既日蝕(全てのマナが「超濃密」)の予測は、天文学者に要求される最重要事項です。

〈物理学/文明〉(精神/難)
 物理現象への魔力の影響も合わせて学びます。しかし魔法的現象の解明には〈魔法理論〉を使って下さい。

〈言語学〉(精神/至難)
 言語技能へのボーナスは、母語にも同様に適用します。


>技術系技能<

〈機械工/種別/文明〉(精神/並)
 専門化の対象に、以下の物を追加します。これらは「UQ」「PB」にのみ存在します。
  灯火機関(ガソリン・エンジンに近い物です)/魔法機械(機械その物が魔力を導き出して直接動きます)/魔法動力プロセッサ(魔力を汲み上げて熱や電気に変えます)
 また、「PB」では内燃機関が初期段階でプロセッサに敗れて淘汰されたため、文明レベル7では内燃機関は一切存在しません。
 「PS」では現代の地球と同じ物が存在します。「ME」にはバブルメタルを使用した特殊な機関が存在しますが、それについての説明は「GURPS Merveilleα版」に譲ります。

〈調理〉(精神/易)
 新鮮な素材への嗜好の強い世界であるため、文明レベルとは無関係に獲物を捌く際に使う事が可能です。ただし慣れていなければ、−1〜−5程度までの不利な修正を受けます。


>芸術系技能<

〈吟遊詩人〉(精神/並)
 「演説」により聴衆を惹き付けるには、この技能を用います(「ベーシック完訳版」参照。〈話術〉とでも呼ぶべきかもしれませんが)。

〈作詞〉(精神/並)
 音楽に歌詞を付ける際にも、この技能は有効です。ただし〈楽器〉や〈歌唱〉による修正が、言語による不利な修正と同じく加算されます。

〈書道〉(肉体/並)
 この技能はいわゆる「能書」やレタリング、アラビア書道に関する技能です。禅僧の書のような巧拙より精神性を重んじた書を書きたい場合は、〈絵画〉で判定を行って下さい。

〈写真術/文明〉(精神/並)
 魔法式の初歩的な速写カメラである「フォート」もこれで扱えますが、普通のカメラに慣れた者がこれを使うと「馴染みのないカメラ」として扱われます(逆もまた真ですが)。


>言語系技能<
 「言語」と「方言」の間の境界線は、常に一定とは限りません。政治的判断や文化の状況により、「別種の言語」と「同一言語の方言同士」とは行き来が可能であったりします。その定義の1つとして「書き言葉の共有」という物が存在し、文字の存在する言語においては、口語が互いに通用しなくても共通文語があれば「同一の言語」と見なされる事が普通です。
 そのため、「同一言語の方言同士」なら書き言葉の理解に不利な修正を基本的に受けません。「別種の言語」なら近い関係でも書き言葉の理解に不利な修正を受けます。

〈母語/種別〉(特殊)
 「ベーシック完訳版」では「母国語」とされていますが、国の公用語でない言語が「母語」となる可能性を考慮して名称を変更しました。技能レベルの上昇に関するルールは、「ベーシック完訳版」と同一です。
 「記憶力」による必要CP減少と「言語能力」〈言語学〉による技能レベルへのボーナスは、母語にも同様に適用されます。


>社会系技能<

〈性的魅力〉(精神/並) 生命力が基準
 「ベーシック完訳版」において、有利な容貌による修正値は2倍されなくなりました。ご注意下さい。

〈戦略/種別〉(精神/難)
 陸戦/海戦/空戦の3つが存在します(市街戦は「陸戦」、大きな川や湖での戦闘は「海戦」として扱います)。ゲリラ戦を行う際には全く予知していない相手の〈戦略〉に−1〜−5修正を与える事ができますが、戦線を秩序立った維持ができなくなるため出目が14以上でファンブルとして扱われます!


>車輌系技能<

〈モーターボート/文明〉(肉体/並)
 「PS」では通常の世界と同じ〈モーターボート〉ですが、「PB」ではモーターではなくプロセッサをエネルギー源とするため〈動力ボート〉、「ME」ではバブルメタル・ジェットを使うため〈ジェットボート〉と呼ばれます。


>趣味系技能<

(特になし)


>戦闘系技能<
 〈剣〉〈両手剣〉、〈斧・メイス〉〈両手斧・メイス〉のように片手用・両手用の技能が分かれている武器、及びそれらの準備技能は、互いに−2して技能無し値とする事が可能です。
 「SY」では、平安末期に存在した技能しか修得する事はできません。例外は〈槍〉で、現実世界とは違って普通に修得できます。

〈格闘〉(肉体/易)
 「間に合わせの武器」(「ベーシック完訳版」P134参照)は、これ以外の技能では使えません。ダメージに+2される大型の「間に合わせの武器」で「受け」たり「受け」られたりした場合、基本的に「間に合わせの武器」が破損しますが使用者の手・腕にはダメージは及びません。

〈空手〉(肉体/難)
 moo系世界では、〈剣〉や〈槍〉などと併用される事があります。武器を片手で持ち、逆腕でも「受け」を行うためです。〈格闘〉で使えるパンチやキックを強化する武器も使用が可能ですが、「間に合わせの武器」はこの技能では使えません。「WH」「EM」「UQ」「PB」「PS」「ME」では通常通り修得が可能ですが、「EA」では修得できません。「SY」でも、宋でないと学ぶ事はできません。

〈柔道〉(肉体/難)
 moo系世界では生半可な防御や搦め手よりも力押しが好まれるため、対人戦闘を想定している治安組織や犯罪組織を除くと柔術使いは多くありません(魔物相手に向かない戦闘法だという事もありますが)。せめてもの強化策として、【腕/手首関節技】を技能無し値で使えるようにする事も検討するべきでしょう。「WH」「EM」「UQ」「PB」「PS」「ME」では通常通り修得が可能ですが、「EA」では修得できません。「SY」でも、宋でないと学ぶ事はできません。

〈ボクシング〉(肉体/並)
〈レスリング〉(肉体/並)
 〈空手〉〈柔道〉に比べて影が薄いですが、基本的に世界における修得制限はなく、自由に修得が可能です。「SY」では修得できません。

〈剣〉(肉体/並)
〈両手剣〉(肉体/並)
〈短剣〉(肉体/並)
〈フェンシング〉(肉体/並)
 受け流しと汎用性を重視する〈刀剣〉(後述)という技能が存在する「WH」「EM」「UQ」「PB」「PS」でも、こちらの技能を修得する者は多く見られます。〈刀剣〉の存在しない「EA」「ME」ではこちらを修得するしかありません。なお〈フェンシング〉は「UQ」「PB」「PS」「ME」では通常通り修得が可能ですが、「WH」「EM」「EA」では修得できません。「SY」でも、〈短剣〉〈両手剣〉だけが日本では学べます。

〈準備/種別〉(肉体/易)
 剣、短剣、フェンシング武器には、同じ〈準備/剣〉を使用します。
 プロッドの鉛弾には〈準備/矢〉は使えず、専用の〈準備/弾丸〉を使います。スリングや弾き弓(ダメージが「叩き」、正確さが0のショートボウやレギュラーボウ。遊戯や狩猟用)の弾丸にも〈準備/弾丸〉を適用して構いません。
 なお〈準備〉は、鞘、ホルスター、矢筒、弾丸入れなどの所定位置に納まったものにしか効果がない事をお忘れなく。

〈刀〉(肉体/並) 技能無し値:敏捷力−5、剣−2(片手のみ)、両手剣−2(両手のみ) …ガープス・マーシャルアーツ参照
 一部の文化圏で使われる「刀」を行使する技能です。両手で持ち荷重が「軽荷」以下なら、「受け」は技能の2/3になります。moo系世界の一部には統合技能として〈刀剣〉(後述)がありますが、あえて〈刀〉に専念する刀使いも多いようです。
 〈刀〉は「WH」「EM」「UQ」「PB」「PS」では通常通り修得が可能ですが、「ME」では「特殊な背景/刀を使用」に5CPが必要です。「EA」では修得できません。「SY」では普通に修得できますが、格闘動作は滅多に使い手が存在しません。

〈準備/刀〉(肉体/易) …ガープス・マーシャルアーツ参照
 非準備状態の刀を一瞬で準備するための技能です。扱いは通常の〈準備〉に準じます。

〈杖〉(肉体/難)
 槍使いや長刀使いが、「受け」をやりやすくするために修得する事があります。〈槍〉からの技能無し値を使う際に、0.5CP消費していれば最低でも〈杖〉を〈槍−2〉で修得しているとして「受け」を行う事が可能になります。

〈盾〉(肉体/易)
〈バックラー〉(肉体/易)
 moo系世界では、軍の兵士以外にはあまり盾は使われません。しかしスモール・シールドやミディアム・シールドと同じ性能を持つ大型バックラー(〈バックラー〉で扱う)は、軍人以外にも使われる事があります。「SY」でも、矢を回避するために長方形の板でできたミディアム・シールドとラージ・シールドを使う事があります。

〈黒色火薬銃〉(肉体/易) 知力10〜11で+1、12〜で+2
 文明レベル3の末期に登場したハンドガンと、文明レベル4の段階で使用された火縄銃や燧石銃を使用するための技能です(歯輪銃はコストが高く実用化されていません)。ですのでパーリアやエンフィールド、シープクレストでは普通は見られない技能です。「UQ」「PB」「PS」「ME」で修得が可能ですが、実用に役立つのは「ME」だけでしょう。

〈銃器〉(肉体/易) 知力10〜11で+1、12〜で+2
 文明レベル5以上の銃器を使用するための技能ですが、マナが「密」以上の世界では魔法に頼らない銃器は文明レベル6が上限で、それ以上のレベルに達するには魔法の併用が必要となります。「PB」「PS」「ME」で修得が可能ですが、「ME」では文明レベル5の地域の軍や治安組織でのみ入手が可能です。
 「慣れ」のルールは通常使いません。使う場合は「ライフル」「ピストル」などのカテゴリーを対象にできますが、技能レベルが15以上でも対象を2つ以上選ぶ事はできません。


>専門技能<

〈コンピュータ操作/文明〉(精神/易)(TL7〜)
 「PB」のコンピューターはプロセッサの魔法エネルギー(マナ)を使用していますが、他の世界の普通のコンピューターに慣れた者がこの技能を使ってもペナルティを受けません。「PS」のコンピューターは通常の世界と同じ物です。


>超能力系技能<
 「ME」を除き、moo系世界に超能力は(「感情察知」「危険察知」は除き)確認されていません。

〈精神防御〉(精神/並)
 「ME」を除くmoo系世界では魔術系技能の一種です。《感情感知》《読心》に対しても使えますが、「今考えている事」ではなく記憶その物を探られる《精神探査》を防ぐ役には全く立ちません。


>盗賊系技能<
 「ベーシック完訳版」に記された技能の他に、〈隠匿〉(つまみ食いで)、〈偽装〉(狩猟やサバイバル競技で)、〈忍び〉(狩猟やかくれんぼで)、〈探索〉(様々)、〈毒物〉(医術の一環で)、〈変装〉(劇場で)、〈罠〉(守衛や警備員)が、通常の手段で修得できます。それ以外の技能は特別な集団で学習するか、もしくは独習するしかありません。

〈忍び〉(肉体/並)
 「ベーシック」に記されている通り、技能判定には荷重分不利な修正が掛かります。くれぐれも忘れないで下さい。

〈尋問〉(精神/並)
 くすぐりは「肉体的な脅し」として扱います。しかし捕虜の笑い声を何とかしない限り、他の敵に見付かる危険性のある事を忘れないで下さい。

〈毒物〉(精神/難)
 moo系世界の大半では人間(など)相手に毒物を扱う事は嫌われており、暗殺などにも武器と魔法だけが使われる事がほとんどです。《透明》《瞬間移動》《幻覚》で接近してから《べたべた》《目くらまし》《誘眠》で無力化して、《口封じ》《沈黙》で断末魔を上げさせなければ完璧ですし、《魅了》を使えば自殺と区別が付きません。生まれつき毒を持つ種族でもない限り、せいぜい麻酔薬か睡眠薬くらいしか使わないでしょう。〈調理〉−3や〈礼儀作法〉−3も技能無し値としては使えません。


>動物系技能<

〈乗馬/種別〉(肉体/並)
 専門化していない場合は馬(ロバ含む)に専門化していると見なします。それ以外の動物には〈騎乗〉と呼んだ方が良いでしょう。また、動物がキャラクターに馴れていれば+5の修正を受けるという事も忘れないで下さい。知性を持つ種族に騎乗する場合、「動物共感」のボーナスは得られません。
 moo系世界では、乗馬戦闘は一般的な物ではありません。「SY」では騎乗して弓を放つ事が多いですが、PCにはあまり縁がないでしょう。

〈獣医/文明〉(精神/難)
 動物型の魔獣にもこの技能は使えます。しかし知力8以上の「知的な」種族には、「動物共感」のボーナス+4は無効です。


>魔術系技能<

〈神秘学〉(精神/並)
 魔法の作用から魔物、超常現象に至るまで、あらゆる基礎的な魔法的知識の元となる技能です。ルナルやその他の魔法の存在する世界と同様にこの技能は非常に重要ですが、より厳密さを求めたい場合には「パワーアップ」収録の〈魔法理論〉を採用して下さい。
 この技能は、〈技師/魔法機械〉の前提技能でもあります。


>野外系技能<

〈動植物知識〉(精神/難)
 生態系の一部なので、動物・植物系の魔物に関する知識もこれで判定できます。それ以外の魔物に関しては〈神秘学〉を使って下さい。
 また、詳しいデータや知られていなかった生物の性質推定は〈動物学〉〈植物学〉でないと行えません。

〈釣り〉(精神/易)
 大規模な漁業にも応用が可能ですが、漁法に必要な(他の)技能を所持していないと、不足度に応じてGMが任意に定めるペナルティを受けるか操業が完全に不可能になります。〈生存/種別〉でも獲物は確保できますが、個人に必要な分の採取に留まります。
 GMが認めるなら、魚の養殖や貝・海藻などの採取にも使えます。

〈生存/種別〉(精神/並)
 物理法則の違いにより「放射能汚染地」は種別として存在しません。代わりに以下の物が存在します。「魔法汚染地」に関しては技能無し値は使えません。
  海(水中種族専用)/川・湖(水中種族専用)/廃墟・遺跡/魔法汚染地/その他特殊環境(GMの判断)


新しい技能


>医学系技能<

(特になし)


>運動系技能<

〈蹴り〉(肉体/難) 技能無し値:なし
 足で物を蹴る時に役立つ技能です。〈投げ〉を基本的に参照しますが、重い物を高く蹴り上げる事はできないという事を覚えておいて下さい。この技能で石などを蹴り付けた場合、技能レベルに−2、ダメージに+2され、正確さは常に0となります。

〈荷重水泳〉(肉体/難) 技能無し値:なし、前提:〈水泳〉
 〈水泳〉と併用して、泳ぎ始める際に判定に成功すれば荷重による不利な修正を無視する事ができます。水に入る際に失敗しても、5分毎に再判定する事が可能です。判定は〈水泳〉技能の判定の前に予め行って下さい。

〈発声〉(肉体/易) 生命力基準 技能無し値:生命力
 大きな声を上げるための技能です。軍の伝令やアイドル歌手には必須の技能でしょう。「美声」があると技能レベルに+2されます。

〈ランニング/水中〉(肉体/難) 生命力基準 技能無し値:なし
 自由に水中で活動が可能な種族のみが修得できる〈ランニング〉の水中版で、処理は〈ランニング〉に準じます。「よけ」へのボーナスを与えられる世界なら、〈ランニング/種別〉の中で最も高いレベルの物だけが適用され、他の〈ランニング/種別〉によるボーナスとは重複しません。

〈ランニング/空中〉(肉体/難) 生命力基準 技能無し値:なし
 自由に空中で活動が可能な種族のみが修得できる〈ランニング〉の空中版で、処理は〈ランニング〉に準じます。「よけ」へのボーナスを与えられる世界なら、〈ランニング/種別〉の中で最も高いレベルの物だけが適用され、他の〈ランニング/種別〉によるボーナスとは重複しません。


>学術系技能<

〈技師/魔法機械/文明〉(精神/難)(TL5〜) 前提:神秘学or魔法理論
 「UQ」や「PB」で、魔法を使用した機械を設計・製造・開発するための技能です。魔法動力プロセッサを扱う際にもこの技能を使いますが、元は機械的な魔法装置を扱うための技能でした。


>技術系技能<

(特になし)


>芸術系技能<

(特になし)


>言語系技能<
 「WH」「EM」「UQ」「PB」や「PS」では、わずかな例外を除いて「種族の固有言語」は存在しません。エンフィールドに住んでいれば、人間だろうとエルフだろうとドラゴンだろうと同じ〈大陸語〉を話します。「EA」「ME」のような種族間交流の乏しい世界では、「種族の固有言語」を持つ場合も見られます。キャラクターは特定の「母語」(「ベーシック」では母国語)を、「知力」レベルで使用が可能です。
 以下に紹介するのは、「EM」や「UQ」「PB」に登場する言語です。「EA」や「ME」の言語は、専用サプリメントを参照して下さい。「SY」の言語は史実に準じますが、日本語だけで事足りるでしょう。

―悠久シリーズの言語―

〈大陸語〉(精神/並) 技能無し値:諸島語−5、セリーヌ大陸語−5
 〈大陸〉の共通語で、種族を問わず使用されています。かなりの方言差があり、地域により表記に使う文字や文法の微妙な点、綴りの慣用などがかなり違うため、馴染みのない地方の方言に遭遇した際には〈大陸語〉−1〜−5判定を行い、失敗すると失敗度に応じて内容を理解できなくなります。
 なお使用する文字は、〈大陸〉東方中心部から南方南部にかけて使用されていた表語文字と音節単位の表音文字の組み合わせによる(日本語に類似した体系の)ものが、魔導王タナトスの時代に公式採用されています。ただし北方、南方北部、東方北部などでは、母音・子音単位の表音文字だけによる古来からの表記が名残として残されています。

〈連邦語〉(精神/並) 技能無し値:他の大陸語方言−1〜−5(南方北部方言との差は−2)
 シープクレストの所属する連邦の共通語です(ルール的には大陸語南方南部方言として扱われます)。やはり種族を越えて使用されており、ヘザーや魔物も使います。

〈諸島語〉(精神/並) 技能無し値:大陸語−5
 大陸の近くにある巨大な諸島国家(「PS」の悠久学園の所在地)の言語で、大陸語と共通する語彙や文字を持っています。一部の島の少数民族や大陸系移民は固有言語を持っていますが、ほぼ確実に諸島語と併用しています。文字体系は〈大陸語〉と同じです。

〈多々良語〉(精神/並)
 南洋に浮かぶ魔獣の島、多々良島で使われる言語です。更に南にある大陸の言語の系統を引くとも言われ、大陸語との互換性はありません。

〈セリーヌ大陸語〉(精神/並) 技能無し値:大陸語−5
 「UQ」の時代に発見されたセリーヌ大陸の言語で、大陸語とある程度の互換性が存在します。

他の大陸の言語(精神/並〜難)
 他の大陸の言語ですが、大陸語と大差の無い言語から非常に掛け離れた言語まで千差万別です。

〈大陸古語〉(精神/並) 技能無し値:大陸語−3
 魔法王タナトスの時代の大陸語で、現代大陸語の祖先です。この時代は更に方言間の格差が大きく、大半の方言を理解する際には大きな−修正が課せられます。

〈地方古語/種別〉(精神/並〜至難) 技能無し値:大陸語の特定方言−3〜−10(現代語に要素が引き継がれた言語があり、キャラクターがその要素を持つ方言を母語とする場合)
 タナトスの時代の地方語や、それ以前に使用された言語です。

〈諸島古語〉(精神/並) 技能無し値:諸島語−3
 諸島国の中央地域の古語です。

〈オダナイト語〉(精神/至難)
 昔はよく使われたものの、現在は廃れた魔法記述用言語です。「UQ」「PB」では、普通の魔法使いは大陸古語や現代大陸語の文語を使います。

―エタメロの言語―

〈ジェクリ語〉(精神/並)
 パーリアを含む、大都ジェクリと周辺地域(徒歩50日以上の範囲に及びますが……)で使用される言語です。〈ダーヴァルザン語〉〈カーゼルーン語〉〈ツェンバルン語〉〈パーツィ語〉〈ウォール語〉(全て精神/並)もありますが、相互に−3修正で通用します。
 使用する文字は母音・子音単位の表音文字だけによるものが一般的ですが、カーゼルーン語とツェンバルン語では表意文字(及びその簡略体の表音文字)も併用しています。

〈カシミ語〉(精神/並)
〈チコ語〉(精神/並)
〈セハ語〉(精神/並)
 古代に使われていた言語(の一部)です。特に難しい言語ではありません。

〈イルム・ザーン語〉(精神/至難)
 超太古のイルム・ザーンで使われていた言語です。言語概念が掛け離れ過ぎており、一般人には到底理解できません。


>社会系技能<

(特になし)


>車輌系技能<

(特になし)


>趣味系技能<

(特になし)


>戦闘系技能<

〈刀剣〉(肉体/難) 技能無し値:なし
 片手剣、両手剣、短剣、刀、フェンシング武器を共に用いるための総合技能で、その上に「受け」の効率も上がっています。両手で刀剣を持つか片手に刀剣、片手に何も持たないかのどちらかで荷重が「軽荷」以下なら、「受け」が技能レベルの3分の2になります(「受け」の回数は1回のままですが、片手持ちなら〈格闘〉〈空手〉を使い逆腕で「受け」をもう1回行う事が可能です)。全ての刀剣使いがこの技能を選択しているとは限らず、実質的な技能レベルの低下を嫌って〈剣〉〈両手剣〉〈刀〉などに専念している者も多く見られます。
 〈刀剣〉はそのままのレベルで、〈剣〉〈両手剣〉〈短剣〉〈刀〉の技能無し値となり、これらの技能を基準とする技能無し値や格闘動作の基準にもできます。〈フェンシング〉を基準とする格闘動作の基準にもできますが、〈フェンシング〉その物の技能無し値や〈フェンシング〉を基準とする技能無し値にはできません。
 〈刀剣〉は「WH」「EM」「UQ」「PB」「PS」では通常通り修得が可能ですが、「ME」「EA」「SY」では修得できません。

〈準備/刀剣〉(肉体/並) 技能無し値:なし 前提:〈刀剣〉
 鞘に納まって非準備状態の片手剣、両手剣、短剣、刀、フェンシング武器を一瞬で準備するための技能です。扱いは通常の〈準備〉に準じますが、難易度が異なります。
 〈準備/刀剣〉はそのままのレベルで、〈準備/剣(短剣、フェンシング武器も含む)〉〈準備/両手剣〉〈準備/刀〉の技能無し値となり、これらの技能を基準とする技能無し値や格闘動作の基準にもできます。
 修得できる世界の制限は、〈刀剣〉と同じです。

〈剣投げ〉(肉体/易) 技能無し値:なし
 片手で使える剣を投げてダメージを与える技能です。ダメージは片手使用時と同じで「突き」限定、抜撃13、正確さ+1、半致傷「体力×1/2」、射程「体力」です。
 この技能はあくまでも「意表を突く」技である事もあり、リアリティを考えるならばこの技能に大量のCPを注ぎ込むべきではないでしょう。

〈特殊準備/種別〉(肉体/難) 技能無し値:なし
 攻撃などに使用すると非準備状態になる、いわゆる「バランスの悪い武器」を一瞬で準備するための技能です。バスタードソード、斧・メイス(片手用・両手用)、フレイル、ポールアーム、およびそれらに類する武器に使用できます。ただし、武器には特殊な改造(剣は価格1.5倍、それ以外の武器は価格10倍(「切り」「刺し」で上質なら3倍))が必要です。
 〈準備〉と同じく、「戦闘即応」があれば技能に+1の修正を受けます。

〈準備/連射弓〉(肉体/易) 技能無し値:なし
 連射式の弓(「ベーシック」P90に言及)を準備するための技能です。連射弓はグリップの構造が腕に連動しており、矢を放った後に起こるずれが即座に元に戻せます。1ターンで連射弓本体と矢の両方に〈準備〉が可能で、両方に成功すれば毎ターン矢を放てます。

〈ワイヤー〉(肉体/難) 技能無し値:なし
 暗殺用の特殊な、細くて切れ味の良い金属製のワイヤーを扱う技能です。投げ縄(「ベーシック完訳版」P87・88参照)と同様に絡め付かせ、同時に部位を限定せず絞首具(「ルナル完全版」P68及び「マーシャルアーツ完訳版」P28参照)と同じ「切り/突き」ダメージを与える事が可能です。ワイヤーを黒く処理する事もあり、そのような場合、光の乏しい所(視覚判定に−3以下)では視覚判定(修正を含む)に成功しないと能動防御する事はできません。絞首具とは違い、使用する際に手を守る防具は不要です。
 鞭のように用いて「切り/振り」ダメージを与える事も可能です。この場合は「受け」に−4、「止め」に−2されます。
 両手で持てばワイヤーは「受け」に使う事も可能で、目標値は技能レベルの半分になります。また、素手・素足にダメージを与える際の技能判定にも+4されます。
 この技能は「UQ」「PB」「PS」の、それも暗殺術と関わりのあるキャラクターにしか修得できません。GMの判断次第で、5CPほど「特殊な背景」を取得させるのも良いでしょう。

〈準備/ワイヤー〉(肉体/易)
 ワイヤーを素早く取り出す際や、攻撃に用いたワイヤーを素早く引き戻す際に用いる技能です。

〈砲術/魔法兵器〉(肉体/並)
 魔道砲ファランクスから降魔荷電粒子砲に至るまで、様々な非個人用魔法兵器を扱うための技能です。管制装置により正確さのボーナスを得られますが、修正の上限が使用者の技能レベルだというルールは忘れないようにして下さい。この技能は「UQ」「PB」にのみ存在します。


>専門技能<

〈菓子作成〉(精神/並) 技能無し値:知力−5、調理−3 −3して〈調理〉の技能無し値に使用可能
 ケーキや羊羹など、お菓子の作成用の技能です。〈調理〉とは違い、効果的な盛り付けや店頭での並べ方、季節に合った材料の使い方までとことん追求した技能です。

〈装丁/文明〉(精神/並) 技能無し値:知力−5、絵画−2(本のデザインのみ)
 本の装丁やデザイン、修復を行う技能です。図書館や博物館などの専門職でない限りさほど役には立たないでしょう。


>超能力系技能<

(特になし)


>盗賊系技能<

(特になし)


>動物系技能<

(特になし)


>魔術系技能<

(特になし)


>野外系技能<

〈植物使役〉(精神/難)
 動く植物を調教して、扱うための技能です(細かい点は〈動物使役〉に準じて下さい)。調教できる植物が少ないため一般的な技能ではなく、GMの許可を得ない限り取得できません。

〈狩猟〉
 1つの技能で処理するには、かなり幅広い内容を持っています。基本的には〈生存/種別〉で処理しますが、状況に応じて他の技能も必要となります。


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