GURPS moo Series Games
(2nd Edition)


第3章 特殊ルール


戦闘ルール

 行動の順序は「移動力の高い順」を使う事を基本とします。
 移動力順で行動を決定する場合、〈戦術〉があれば移動力に+1、20レベル以上あれば移動力に+2して順番を計算します。

 この世界の生物は生命力が旺盛であり、生死判定に失敗しても死亡するのではなく重傷状態となり気絶・戦線離脱します。この状態からは、安静状態で1日(24時間)が経過しないと復帰できません(負傷を「−生命力」点まで回復させれば移動は可能ですが朦朧状態であり、魔法の使用も不可能です)。「高速治癒」を持っていれば、復帰に要する時間は6時間に短縮されます。ただし一部の部位への攻撃は例外で、頭(文庫版の「脳」)に受けたダメージによって行った生死判定に失敗するとキャラクターは即座に死亡します。喉を攻撃した際の「切り」ダメージが一撃で生命力を超えても、生命力判定に失敗すると即死します。生命点が生命力の−10倍に達すれば、肉体が破壊されて自動的に死亡してしまいます。
 重傷状態のキャラクターを「殺す」と宣言して攻撃を加えれば、相手はダメージに応じて生死判定を行わなくてはなりません。

 火器の射撃速度は、マナの密度が濃いために1ターンに1発が限界です(物理法則がミクロレベルで変動しやすいため、精密さが必要なフルオート射撃が不可能なのです)。所持に対する法的制限も厳しく、魔物に普通の射撃武器が通用しない事もあってか、治安当局者でも所持しているのは少数です。しかし軍隊では、開発早々から大量に揃えられています。


戦闘関係選択オプション

*鎧の隙間を狙う
 鎧や継ぎ目のある鱗などで体を覆っている敵に対して、重量1kgかそれ以下の攻撃型が「刺し」の手持ち武器や矢で−5の修正を受けて攻撃する事により、鎧や鱗などの防護点を無視する事が可能です。部位狙いを行う場合には、その修正も加えて計算します(例:胴体重要器官の鎧の隙間を狙うには−8修正)。《強化》は無効化できますが、《鎧》の防護点は完全に有効です。重量が1kgを超える「刺し」武器でも同じ事は可能ですが、その場合鎧などの防護点は半分(端数切捨て)が有効となります。
 これが有利過ぎると感じる場合は、下地の1点分は隙間狙いで貫通できない事にして下さい。

*上半身/下半身を狙う
 胴体の命中修正は0ですが、「胴体の上半分」「胴体の下半分」を狙いたい事もあるでしょう。特に「UQ」のマーシャルのような上半身裸の相手に対してならなおさらです(笑)。ここでは命中に−1の修正を受ける事で、「胴体の上半分」「胴体の下半分」を狙って攻撃が可能な事にします。

*女性の胸を狙う
 相手が女性である場合に限り、命中に−3修正を受けて「乳房」を狙えます。この部位にダメージを与えてもあまり意味はありませんが、ダメージを与えないように触れてから敏捷力と相手の「知力か生命力の高い方+意志の強さ/弱さ」で即決勝負を行い、勝てば相手を1ターンの間悶えさせて朦朧状態にする事が可能です(待て)。防護点が2点以上の防具を胴体に装備している場合は、通常の攻撃で乳房に触れるのは不可能です。

*「残虐な」攻撃の抑制
 戦闘好きのプレイヤーの中には、敵と見れば見境なしに目や鼠蹊部を狙いたがる者がいるかもしれません。世界背景的にそのような態度がそぐわしくない場合、以下の手段をとる事ができます。
(a)目や鼠蹊部のような「致命的で」「後遺症が深刻な」部位への攻撃を禁止する。
(b)「致命的で」「後遺症が深刻な」部位を狙ってばかりいるキャラクターに悪い「名声」を与える。
(c)治療費や慰謝料を払わせる。敵に「実は味方だった」NPCを混ぜると有効。支払いを拒否した場合は容赦なく(b)を使う。
(d)意思−2判定に成功しないと「致命的で」「後遺症が深刻な」部位を攻撃できない。圧倒的に強い相手なら意思±0、明らかに敵対しているなら意思+2、明らかに邪悪な相手なら意思+6(または意思判定不要)。「残忍」なら+2(ただし決闘や喧嘩などは除く)、「サディスト」なら+6。
(e)敵にも同じ事をやらせる。(b)を併用すればなおさら効果的。

*「百鬼夜翔」戦闘追加オプション(「百鬼」P249〜257より)
 「百鬼」からは、以下のルールを使用可能です。
「戦闘の追加ルール」
・全力攻撃の追加:技能+4で捨て身のフェイントが可能。
・全力突撃:全力直線移動+全力攻撃。効果はP249参照。面倒なら「技能−1」「技能−5、ダメージ+2」のどちらかで、途中の足場が悪いと不可。
・背後に回る:処理は様々。
・部位を狙う:角(−3〜−7、HPの半分で折れる)、牙(顎、HPの半分で砕ける)、翼(−2、HPの2/3で折れる)
・全力防御の追加:「全ての能動防御に+2(「受け」が技能の1/3なら+1、技能の2/3なら+2)」「筋肉を硬直させて頑強+1」も可能。
・伏せながらのよけ:「伏せ」の姿勢になる事で「よけ」に+3。射撃に対してのみ。
・間に合わせの武器:様々。相当品の武器データを元に修正を加えるのが基本。
・行動順についての選択ルール…行動を遅らせる:行動を移動力「0」まで遅らせる事が可能。複数のキャラクターが実行したら、本来の移動順の逆順で行動を行う。
・跳ね起きる:倒れた状態から〈軽業〉−5判定で直立できる。移動力は全て消費するが全力突撃は可能。
「妖術・妖力のルール」
・抵抗の追加ルール…全力抵抗:moo系世界では魔法や超能力にも適用。専念が必要、能動防御−4、「意志の強さ」などのボーナス×2(最大10、ボーナスが無くても抵抗に+1)
・妖術のフェイント:moo系世界では射撃武器や射撃呪文に適用。狙いを付けてから行い、攻撃者の技能レベル(狙い、距離などの修正は無視)と目標の「敏捷力」「知力+感覚修正」のどちらかで即決勝負。

*未使用CPによる危険の回避(「百鬼」P237〜239より)
 moo系世界でも、プレイヤーとGMが同意すればこのルールを使用可能です。シネマティック・キャンペーン用選択ルール(「ベーシック完訳版」P230サイドバー)も、「非戦闘シーンに限り未使用CPを1点消費してHPを完全に回復する」のみ使えます。

*「パワーアップ」戦闘追加オプション(「パワーアップ」P90・91・137より)
 「パワーアップ」からは、以下のルールを使用可能です。
(ソーサルナイツ・アカデミー)
・移動しながらの射撃:弩と弓は、移動しながらの射撃による修正が増加せず、1ターンに2ヘクス(移動力3以下なら1ヘクス)までなら狙いを付けながら移動できる。
・牽制:武器技能+「長さ(人間の素手は0)」の即決勝負に勝たないとリーチ内に飛び込めず、内部では移動力を2倍消費(フェイントの成功分、牽制側にペナルティを与えられる)。牽制中は能動的行動はフェイントのみ可能で、対象が1人増えるごとに基準値に−2。
(ミステリアス・キャッツ)
・動物への部位狙い:修正や狙える部位が対人間と異なる。胴体へは小型なら−2、中型〜大型で肉食なら−1、巨大で草食なら+1。

*長射程武器のフェイント
 長射程武器でもフェイントが可能になります(基準値は近接戦闘用の武器と同じく、狙いを定めた事によるボーナスと部位狙いのペナルティは無視します)。長射程武器のフェイントに、武器技能で対抗する事はできません(〈盾〉や〈格闘〉、敏捷力などで対抗します)。

*長射程武器の全力攻撃
 長射程武器でも全力攻撃が可能になります。2回攻撃は、1ターンに1回以上攻撃できる武器が必要です(1ターンに2回以上の攻撃が可能なら、攻撃回数は1.5倍(端数切捨て)になります。フルオートの攻撃回数を増やす事はできません)。クロスボウや銃器のような機械的な武器を使用している場合、「ダメージ+2」を選ぶ事はできません。


魔法ルール

#はじめに:「ベーシック」「マジック」における魔法関連の重大な修正
マナの「濃密」状態:「ベーシック完訳版」P186〜187
 ×魔法使いなら、エネルギーを消費せずにかけることができます!
  ↓
 ○魔術師なら、消費したエネルギーはすぐに回復します!
  *正確にはこの場合も「マジック完訳版」と同じく、「(素質の有無に関わらず)魔法使いなら、〜」でしょう。

抵抗呪文の最大目標値:「ベーシック完訳版」P191〜192、「マジック完訳版」P13
 ×目標が生物の場合、このときの目標値は最大でも16になります。
  ↓
 ○目標が生物の場合、目標値の上限は「16」と「抵抗する側の目標値」のうちどちらか高いほうになります。

 基本的に、魔法ルールは一般的な物を使います。ルーン魔法は存在しませんが、即席呪文は存在します。
 精霊や悪魔が存在する他、能力が悪魔と同じで善良な目的にしか従わない「天使」が存在します。邪悪な呪文にファンブルした場合、天使が術者に制裁を加える事があります。使い魔は「マジック」のルールとは違い、《動物知覚》《動物支配》を使用した普通の動物、魔法で作成して服従させた合成生物、召喚して契約を交わした異界の生物などを指します。
 獣人は実在しますが伝染はしませんし、銀は弱点にはなりません。「生得の魔法」は存在せず、生得的な魔法能力には該当する妖力・妖術を適用します。
 moo系世界には様々な魔法が存在しますが、体系による違いは基本的に考えません。

#呪文集中の手順
 「マジック」のルールでは、細かい事を意外と埋めていない部分があります(笑)。やはり記述してある通り、魔法が気まぐれな力である故でしょうか(汗)。
 しかしそういう事で喧嘩しても困るので、基本的に以下の手順に従う事にします。
(1)集中に入る際に、具体的な呪文名まで宣言する。エネルギー消費に幅のある呪文なら強度も含めて宣言する。GMの操るNPCは、見て分かる場合(同じ流派、詠唱が普通の言語、身振りが大きい、など)を除いて具体的な呪文名は宣言しない。
(2)呪文の目標は集中が終わって発動する直前に決定。集中している間は目標を決める必要はない。

#魔法の持続時間の太陽暦適用(WH/EM/UQ/PB)
 1年=336日の太陰暦と1年=365+1/4日の太陽暦が共用される世界では、魔法管理上の時間を太陽暦に統一して換算します。太陽暦の1ヶ月は太陰暦の「1ヶ月+2日(+10時間30分)」、太陽暦の1年は太陰暦の「1年+1ヶ月+1日(+6時間)」と見なします。「PS」では太陽暦が常用されているのでそのままルール上の単位に当てはめますが、1ヶ月=30日(+10時間30分)として扱います。
 「EA」は同じ1ヶ月=28日ですが、「月」や「年」をそのままルール上の単位に当てはめます。


*(1)魔法致傷力(選択ルール)
 ダメージ系魔法のダメージ基準として、「知力+魔法の素質」を体力とみなして算出した「魔法致傷力」を使用します。例えば知力14で「魔法の素質3レベル」のキャラクターなら、「突き」が1D+2点、「振り」が3D−1点になるのです。なお集中に必要な時間は、射撃呪文では1段階につき1秒です(つまり4倍消費は3段階目なので、集中には3秒掛かります)。
 エネルギーの消費量とダメージの関係は、以下の通りです。
  基本エネルギー:突き±ダメージ修正
  2倍消費:振り±(ダメージ修正×2)
  4倍消費:突き+振り±(ダメージ修正×4)、「マジック完訳版」で4倍消費が認められる呪文のみ
 つまり前述のキャラクターの《電光》は、1点消費で叩き/1D+1、2点消費で叩き/3D−3点のダメージを与えます。4点消費して叩き/4D−3点にする事はできません。
 このルールは魔法が強力な世界に相応しいため、導入する事が世界観に相応しいか十分に考慮して下さい。moo系世界では基本的に採用が可能です。

*(2)回復呪文のペナルティ軽減(選択ルール)
 《小治癒》などの治癒魔法は、複数使用時のペナルティーは1回につき−1だけです。自分に掛ける際のペナルティも適用されませんが、その際にHPを消費する事はできません(HPを消費して掛ける場合、通常通りのペナルティが目標値に加わります)。

*(2')回復呪文に対する魔法致傷力の適用(選択ルール)
 《小治癒》は3点消費で「突き−2(最低1点)」の回復力を、《大治癒》は2点消費で「突き−2(最低1点)」・4点消費で「突き+2(最低2点)」の回復力を発揮します。


#魔術師と法(「マジック完訳版」P131サイドバーより)

 魔法の合法度の例として、サイドバーでは「有益(誰でも使える)」「制限(免許所有者のみが使える)」「規制(政府などの関係者しか使えない)」「禁止(特別許可が無い限り禁止)」の4つを挙げています。ルナル世界の場合なら信仰呪文が様々な段階の「制限」、それ以外が「禁止」にあたるでしょう。以下に、エンフィールドやシープクレストでの規制基準を示します。

〈エンフィールド〉
 一応全ての魔法が「制限」以上となりますが、食料系や治癒系、精霊系の危険性の無い魔法を免許所有者以外が使う事は特に規制されてはいません。届け出をして免許さえ得ていれば、かなり危険な戦闘用魔法であっても自由に修得が可能です。
 もっとも、精神操作系の永続する魔法や死霊系の各種召喚、「マジック」に掲載されていない高度な時空間系などの魔法は魔術師組合から許可を受けないと使用は違法であり(マリアはエンフィールド学園で魔法を学んでいるので、使っても違法ではありません……)、悪魔召喚や奴隷化などの特に危険な魔法は使用が厳禁されています(例えば悪魔召喚の場合、処罰は200年の石化刑です)。

〈シープクレスト〉
 全ての魔法が「制限」以上であり、たとえ無害な魔法や治癒魔法でも免許無しで使った時点で魔法条例違反として罰金刑(10〜100G程度)を受けます。戦闘呪文も大半が「規制」ランクに属しており、修得を許可されていても使用の際には改めての許可が必要です。「禁止」の範囲はエンフィールドと変わりません(もっとも、破られた所で普通の役所では対処しようが無いのですが(汗))。

 では以下に、各系統に対して(人間の、しかも素質もなく呪文も使えない)一般人がどう見ているかを記しておきましょう。

動物:動物の多い地域ではごく普通に捉えています。大都市では存在すらあまり意識されていません。
肉体操作:戦闘用呪文が多いため、一般人からは恐怖の目で見られがちです。
情報伝達:《思考転送》は情報伝達の頼みの綱ですが、《読心》《憑依》などは好意的には見られません。
食料:《毒化》以外は概ね好まれています。
治癒:基本的に好意的ですが、《老化停止》《若返り》は一般人には嫌悪されがちです。
幻覚・作成:犯罪者に時折使われるとして嫌われる事がありますが、一般には娯楽として許容しています。
知識:大半が一般人の理解の範疇外です。
地霊・風霊・火霊・水霊:あまり危険視されていません。実際は凶悪な呪文も多いのですが、そこまで一般人は知らないようです(笑)。
光/闇:《透明》を使う暗殺者が危険視されますが、それ以外は別に何もありません。《闇視》《鷹目》を使う狙撃手も本当は怖いのですが(汗)。
物体操作:派生系統も含め、概ね好意的に接されます。
精神操作:あまり好かれていません。《偽記憶》《魅了》などのような危険な呪文はなおさらです。
呪文操作:一般人には理解の埒外です(笑)。
魔化:一般人から縁遠い系統で、特に先入観は持たれていません。
死霊:一般人には恐怖の目で見られ、修得しているというだけで悪い先入観を持たれがちです。
植物:概ね歓迎されています。《植物繁茂》《植物祝福》は農業や園芸に欠かせません。
移動:《鍵開け》《瞬間移動》は、盗賊や暗殺者の道具として恐れられています。時空間系はちょっと理解できませんが……。
防御/警戒:概ね反応は好意的です。
音声:危険視は全くされていません。


CPの獲得と成長

 moo系キャラの早い成長を再現するために、通常より多いCPが獲得可能です。一般的なシナリオでは通常の1.5倍程度を目安に、適切な範囲でCPを与えます。もっともこのCPは「学習による成長」ルールを使わないと見なしている分も含むため、全てを戦闘系に注ぎ込んで戦闘マシーンを作り上げるのは避けて下さい。

*能力値
 通常の世界の半分(必要CPの差そのまま)で能力値を上昇できます。

*外見
 文明レベル6以上になると美容整形が可能になりますが、以下の事以外は基本的に不可能です。《顔変え》の整形に限度はありませんが、「素質」持ちにばれやすいため必要CPは半分(端数切り捨て)と見なします。
 (1)悪い容貌を「標準」にする。
 (2)「標準」以上の容貌を1段階良くする。

*有利な特徴
 以下の特徴は、後から獲得が可能です。
 各種の社会的特徴、「戦闘即応」「常識」
 以下の特徴は、「シナリオ内で関連する経験を積む」「魔法的な影響により発現する」等の理由があれば後から獲得が可能です。
 「暗視」「意思の強さ」「鋭敏〜」「我慢強さ」「追加HP」「追加疲労点」「魔法の素質」「両手利き」
 これらの基準は絶対的な物ではありませんので、他の特徴に関してもよほど無茶でなければGMとプレイヤーの裁量に任せます。

*不利な特徴を買い戻す
 普通の精神的衝動に類する不利な精神的特徴は、克服しようと思えば自由に買い戻しが可能です。それ以外の不利な特徴の場合、除去するための適当な手段が必要です。先天的な類の不利な特徴(「血友病」、先天的な「弱視」、「読書障害」など)は、除去するための手段が存在しないため買い戻しが一切許可されません。
 ゲーム中の事故により不利な特徴を得た分を帳消しにするには、特にCPを必要としません(「ベーシック完訳版」P112の「不利な特徴を買い戻す」末尾付近参照)。しかしその場合には、克服・除去するための適切な手段が無くてはなりません。「片目」でなくなるためには、《再生》を使える魔法医師と適切な謝礼が必要となるでしょう。

*共有している不利な特徴を買い戻す
・複数のキャラクターで獲得CPを分担している(影響力が個人規模の)「足手まとい」「敵」は、各キャラクターが分担している分のCPを消費する事で関係を清算する事ができます。
・「多重人格」は、全ての行動可能な人格が買い戻しを拒否せず、各人格が合計10CP(全員が記憶を共有している場合)、または15CP(記憶を共有しない人格が1つ以上存在する場合)を消費すれば、買い戻す事が可能です。ただし、できる限りシナリオ等で人格の統合を演出するべきでしょう。
 買い戻した後には各キャラクターの要素を併せ持ち、一般的な記憶を全て引き継いだ統合人格が1つ誕生します。CP総計を「全人格のCP総計の平均(1CP単位で端数切り上げ)」として、プレイヤーとGMの相談によりデータを作成して下さい。能力は人格の持っていた能力の幅に納まりますが、技能は一部を忘れても構いません(ただし、通常の手段で修得できない技能でも、統合人格が記憶の底から「思い出す」事ができます)。


年齢と老化

 成長と老化の基準時間は、「WH」「EM」「UQ」「PB」では太陽暦に統一します。つまり太陰暦計算の場合、処理は以下の通りになります。以下の計算はユリウス暦の計算法に準拠しているため、グレゴリオ暦(に類似の太陽暦)を使用しているこの世界に厳密な適用をしているわけではありません。
 「PS」では太陽暦を使用しているためそもそも関係ありませんし、世界の繋がっていない「EA」「ME」にも関係ありません。
 なお成長/老化が発生する時間は、1日単位未満の端数が無ければ発生日の午前0時0分0秒、端数があればそこに加算したものとします。ただし戦闘中には成長/老化の結果は無視します。
*太陰暦に準拠した成長
 キャラクターは1年と1ヶ月と1日(+6時間)ごとに太陽暦での年齢が増加して、その度に能力値が増加する機会があります(「早熟」の場合、消失してCPが買い戻し用にプールされますが)。能力値が成人に達するのは16歳3ヶ月18日(+18時間)になった時です。
*太陰暦に準拠した老化
 キャラクターは54歳4ヶ月6日(+12時間)に達してから、1年と1ヶ月と1日(+6時間)ごとに老化判定を行います(誕生日を覚えていない場合は、54歳になった年の5月7日から老化判定を開始します)。76歳1ヶ月3日(+12時間)からは6ヶ月と14日(+15時間)ごとに、97歳10ヶ月(+12時間)からは3ヶ月と7日(+7時間30分)ごとに判定を行います。

 老化判定に対しては、「医学の文明レベル−3」を生命力に加える事を忘れないで下さい。「ME」の場合、「高度文明」が一般的な地域の医療チェックを受けていない限り「文明レベル5」とは見なされません。
 GMの判断次第では、知力の老化判定に限り知力で判定を行っても構いません。
 年齢経過と共に獲得する「高齢」のCP減少分は、同時に同じ量のCPを獲得できる事にできます。このCPは、老化で減少した能力値を「買い直す」ためにだけ使えます。


仕事と生活費

 キャラクターの収入と生活費は、同じ世界でも場所によって「平均的な」数値が変動する場合があります。特に街で生活する場合は、収入は多くなりますが、その分支出も多くなります――物価そのものは需要を目当てに流れ込む物資が豊富なため、特に日常生活に使う物は田舎より安くなりますが。「ベーシック」などの金額は村落における金額とし、小さな町では1.2倍、大きな街では1.5倍を目安とします。

例:アルベルトはエンフィールド自警団第一部隊の隊員で、地位レベルは0です。エンフィールドは「大きな街」で、第一部隊の隊員は「護衛、兵士」と見なすため収入は700×1.5=1050G(固定給)、生活費は200×1.5=300G、差し引くと1ヶ月に750Gの貯金ができます。その貯金の大半は化粧道具に消えてしまうでしょうが(笑)。

(a)仕事のルールを使用しない場合
 キャラクターは何らかの職業に就いていますが(または扶養家族ですが)、毎月の収入(またはお小遣い)は生活費など(または欲しい物の購入など)によって相殺されると見なします。この場合、ゲーム内での少々のお金の使用――最大で「財産レベルにより決まる初期所持金の1/10」までの使用は所持金を費やす必要はありません。ただしこのお金で武具や魔法の品物などの「他の冒険でも有用な装備」を買い揃える事はできません。
 ゲーム中適当な時期に、GMはキャラクターに貯金の蓄積やボーナスとして適当な金額を与える事ができます。

(b)仕事のルールを使用する場合
 「ベーシック」P242〜246に準拠します。ただし毎月の成功判定では、3Dで常に「11」が出たものとして処理する事が可能です。実際にサイコロを振った場合も、ファンブル時の処理を機械的に当てはめるのではなく、結果をシナリオの元ネタにすると楽……いや、プレイヤーに真剣味が出るのではないかと思います。
 基本的な成功判定のタイミングは、太陽暦なら毎月末日、太陰暦なら毎月27日の給料日です。日数の微妙な格差に違和感を感じる場合は、太陰暦基準の収入を太陽暦基準の14/15にして算出して下さい。文明レベル5以下の世界では「ベーシック」「マジック」の職業表を、6以上の世界では「百鬼」の職業表を参考にします。
 仕事の判定が無事に済めば、1ヶ月分の「収入−生活費」をキャラクターは受け取ります。扶養家族がいても、その生活費を差し引かなくて構いません(どうしてもというなら差し引いても構いませんが)。

(c)ジョートショップ/エンフィールド自警団第三部隊の仕事
 通常の仕事とは違い、1週間単位で成功判定を行います。報酬は様々(1人分想定300G以上、2人分想定で600〜1000G程度が普通)ですが、収入はどんな場合でも全て「自営業」と見なします。この報酬全てが給料にはならず、月末に1000G前後が給料として店員に支給されます。
 仕事の成功度・失敗度は、共に上限は10です(最高で−10成功、最低で+10失敗)。クリティカルすれば−10成功、ファンブルすれば+10失敗と見なします。
※達成率を百分率で表示する場合、0成功=100%として、成功度1ごとに+10%、失敗度1ごとに−10%(最高200%、最低0%)となります。
 2人以上で仕事をして成功判定を行う場合、全員分の成功度を合計します(もちろん失敗度も合計するため、下手をすると相方の足を引っ張ってしまうでしょう)。この場合の成功度・失敗度の合計も、やはり±10の範囲内です。基準報酬自体は人数が多くても変わりません。
※「UQ2」時点を除く第三部隊は依頼者から報酬を取っていませんが、成功度を審査の上で自警団から給料を受け取っています。


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