GURPS moo Series Games
(2nd Edition)


第5章 種族


種族データの扱い

 以下の種族は、「EM」「UQ」「PB」で見られる種族が中心です。

〈種族が不利な特徴で取得可能なCPの制限について〉
 種族基本セットに含まれる不利な特徴(その大半は精神的な物でしょう)は、「種族を演じるために不可欠な物」と見なされます。このため-40CPの制限には含めませんが、CPを溜めても買い戻す事は特筆されない限り不可能です。
 もし種族基本セットその物が0CP未満なら、種族基本セットで獲得したCPを-40CPの制限に含めます。

〈種族が低い能力値で取得可能なCPの制限について〉
 能力値を上下させた場合、「CP消費0の段階の能力値」から3点以上削った時に限り、該当能力値を削って獲得したCPを-40CPの制限に含めて計算します。
 (例:体力を−4、敏捷力を+2される妖精の場合、体力は4以上、敏捷力は10以上なら-40CPの制限に含めない)
 また幼少時の場合、計算した能力値が異様に低く、時には0以下になる可能性が存在します(汗)。このような場合は人間の0歳児の能力値(体力1/敏捷力1/知力3/生命力1)を下限として下さい。

〈種族の身長・体重について〉
 この世界の人間は比較的痩せ型であるため、体重は「ベーシック完訳版」掲載のものから5kg引いた物が標準体重となります(身長はそのまま適用されます)。また、文明レベルが低い時代でも食料条件が極端に違わないためか身長・体重は変わりません。
 人間以外の種族の場合、以下の係数を掛け合わせて目安にして下さい。これはあくまでもゲーム上のパーソナルデータ等から解釈した数字であるため、異論があられる場合は無視されても構いません。
  エルフ(南方系):身長×1、体重×0.95
  エルフ(北方系):身長×0.95、体重×0.9
  妖精:身長×0.2、体重×0.02
  牙人族:身長×1.05、体重×1.05
  フォーウッド:身長×0.9、体重×0.8
  ライシアン:身長×1.05、体重×0.9
  人狼族(変身前):身長×1、体重×1
  人狼族(変身後):身長×1.5、体重×2
  魔族:身長×1.1、体重×1.05
  ヴァンパイア:身長×1、体重×1
  召喚魔族:身長×0.2、体重×0.02
  ヘザー:身長×1、体重×0.95

〈異種族基本セットによる能力値修正について〉
 ここのデータにおいては、「基本セットによる能力値修正を足し引きする」→「その数値からCPを使用して能力値を上下させる」という手順を使用しています(知力に+1されるエルフの場合、知力15にするには「11→15にするために必要なCP」である50CPを使用して下さい)。この処理の方が人間と異種族の能力――要するにCPを均等に扱えるからです。
 しかしGMとプレイヤーの好み次第で、これとは逆の「「10」からCPを使用して能力値を上下させる」→「その数値から基本セットによる能力値修正を足し引きする」という手段を取る事も可能です。その際には人間の種族基本セットを「10CP」として、キャラクターを作成する側の選択により「いずれか1つの能力値に+1」して下さい。

〈ハーフの扱い〉
 種族間のハーフをキャラクターとして扱うには、GMの許可が必ず必要です。両親の種族基本セットから好きな物を取り出し、「そのキャラクター独自の基本セット」として扱います。両親の種族は交配可能でなくてはなりません。可能性の高いパターンは以下の通りです……『豊饒』の霊薬を使えばそんな事関係ありませんが(爆)。
  「人間とその亜種」同士
  「人間とその亜種」とエルフ
  「人間とその亜種」と「獣人族」
  「人間とその亜種」と「魔族、ヴァンパイア、ヘザー」
  「人間とその亜種」と人工生命体
  エルフと「魔族、ヴァンパイア、ヘザー」
  妖精と召喚魔族
  「獣人族」同士
  「獣人族」と人工生命体
  魔族とヴァンパイア
 ※妖精と召喚魔族は、人間サイズの種族と混血できません。人形はモデルの種族に準拠します。
 ※ハーフの子孫の場合、収斂作用が働いて1つの種族の特徴に偏ります。ハーフ同士の子供でも同じです。
 ※3つ以上の種族が混血した場合、2つの種族の要素だけが遺伝として発現します。
 ※人間〜エルフ間を除いて、隔世遺伝は滅多に起こりません。
 以上から分かる通り、人間はほとんどの種族と混血できます。このため「エルフや獣人や魔族は人間(またはその先祖)から派生した種族である」という説も存在します。


基本種族


#人間とその亜種

 一般的な「人間」と、特殊な遺伝や文化により分かたれた様々な「人種」です。


人間(0CP)(EM/UQ/PB)

特になし

 「EM」「UQ」「PB」の世界で最大の人口と勢力を誇る種族で、惑星上のほぼ全土に居住しています。現世の人間との最大の違いは魔力(「魔法の素質」)を持つ者が数多い事で、自然科学と魔法知識を融合させた文明を持っていましたが、「PB」の時代には魔法動力プロセッサの発明により自力で魔法を行使する事が少なくなり、魔力を持つ者の出生率が減少してしまいました。現行文明に先立つ様々な先史文明(その多くは魔法中心)の担い手もまた、その大半は人間です。
 人間の文化は多岐に渡りますが、概ね和風とヨーロッパ風が混在しています。肌は褐色掛かった白が一般的ですが、髪や瞳の色は様々です(髪は茶色系が最も多く、黒、青、水色、緑、灰色、紫、白、金色など。瞳は茶色が多く、次いで黒や灰色、青、緑が多く、赤や紫も稀にある)。
 以上の説明は「WH」の人間にはある程度当てはまりますが、平行世界の「PS」の人間や魔法の使い手が元々少ない「EA」の人間、広大な海により独自の文明を育んだ「ME」の人間には当てはまりませんので注意して下さい。
・人間の特徴
 これといって多い特徴はありませんが、「誠実」「直情」「かんしゃく」「好奇心」「義務感」といった「社会的に良いがしがらみとなる不利な特徴」「普通に存在する衝動を押さえられない不利な特徴」がやや多めです。「サディスト」や「妄想」なども悪人には一般的です(もっとも、これらの特徴はPCが取得する事はないでしょうが)。戦闘力関連の「我慢強さ」「意思の強さ」「戦闘即応」「高速治癒」、もちろん「魔法の素質」もかなり一般的です。
・人間特有の特徴
特殊な民族など(様々)
 一部の人間は特殊な血を引き、亜種とも呼ぶべき存在になっています。その例として影の民などを後に記しておきました。
・人間特有の技能
 人間だけ使えるという技能はルール上はありませんが、〈政治〉を使う召喚魔族や〈冶金〉を学ぶフォーウッドがいないのに比べれば汎用性が高いでしょう。特殊な研究者や少数民族なら、特有の技能を持っているかもしれません。
・人間の名前
 〈大陸〉など大半の地域では、一般的に名前を先、姓を後にして表記されます。比較的簡潔なものが多く、〈大陸〉南方北部〜南部では現世のイギリス風のものが主流であり(他地方や他国、他の大陸の血の流れ込んだシープクレストでは、多分にその限りではありませんが)、稀にミドルネームとして祖父や祖母の名を挟む例もあります。貴族や元貴族の場合は、封土(あるいは元封土)の地名を姓としているのが普通でしょう。
 もちろん〈大陸〉の東方や北方、連邦外などでは違う命名方を取っており、必ずしもこの例に従う必要はありません。一部の地方では姓を先、名前を後にして表記され、双方とも和風の名前を用います(どちらも現世の日本人とは微妙に違い、やや具体的か抽象的に付ける傾向がありますが)。
 呼び掛けの際、親しい間柄なら名前が使われます。ただし公的な場では、姓の方が優先的に使われます。
エンフィールドの例:
(男性)アレフ・コールソン、クリストファー・クロス、アルベルト・コーレイン、リオ・バクスター、ルー・シモンズ、リカルド・フォスター(北方出身)、カッセル・ジークフリード、モーリス・ショート、ハメット・ヴァロリー、トーヤ・クラウド、カール・ノイマン、ウィリアム・ベケット、ルーク・ギャラガー、ヒビック・ウォンサー、トーマス・ハンソン、ジーン・ギャレット、ジョセフ・コンラッド、ランディ・ウェストウッド(北方出身)
(女性)シェリル・クリスティア、シーラ・シェフィールド(元貴族)、パティ・ソール、マリア・ショート、リサ・メッカーノ(東方出身)、ヴァネッサ・ウォーレン、セリーヌ・ホワイトスノウ、ディアーナ・レイニー、トリーシャ・フォスター(北方出身)、ローラ・ニューフィールド(元貴族)、クレア・コーレイン、アリサ・アスティア、ステラ・リップス、シーラ・セフィード、エクセル・アピフ
シープクレストの例:
(男性)ルシード・アトレー、ビセット・マーシュ、ゼファー・ボルティ、ゲイリー・ヴァレス、フレッド・アフレック、ローワン・フリーデン、レスター・カーライル、ハリー・ウルフ、デール・パクストン、カイ・アングラート、ダニー・クレイヴン、レイモンド・クランツ、ハンス・ロイド、ルパート・デボン、ニコラス・ピースクラフト、ギニアス・サリバン、ジョーイ・ピクルス、ジョン・ピクルス、ラザラス・ホーマー、ビクトル・ハラ、マヌエル・ハラ、スティーブ・クローバー、アーデン・ハッザン、アンブローズ・C・ハッザン、アルマイス・ロンドメル、ワイザック・ファーン、レナード・ローナー、ラッセル・イェスバー、ステラン・ゲールド(ジェリド・エランツ)、ルーズ・バーク、レブ・バーク、バートン・セロン、カースティ・セロン、オーウェル・ウー、ルーク・ダンスタッツ、コハ・シモン・ゲイツ、ゴンザレス・ガーゴイル、デリク・ローレン、マリオン・シュナウザー、レニウス・レインウッド、アルゲンス・ムーサイ、ラッキー・フィールド、シモン・フォーセット
(女性)バーシア・デュセル、ルーティ・ワイエス、フローネ・トリーティア、メルフィ・ナーヴ、リーゼ・アーキス、シェール・アーキス、ファラ・ビノシュ、ジラ・ボーランジェ、サラ・ボーランジェ、アマンダ・ハラ、ジーナマリア・ハラ、クリスティーナ・アイーダ・ロペス、ナオミ・ピクルス、グリゼレダ・ハッザン、ケイト・マシェス、シビル・ゼーン、メラニー・ゲールド、アリス・ライト、ソフィ・ローランズ、リブ・アークエット、レナ・テイリー、クリスティナ・ゲインズブール、サリナ・アビシニアン、マイア・クロフォード、マリアンヌ・ロゼット、ライザ・レインウッド、ポーリン・レイク、セルマ・フォード
(不明)アルマ・カモン、マカクライブ・クィーン、ダナ・エギーユ
その他:
メイヤー・ステイシア、カレン・レカキス、紅若葉、リラ・マイム、ウェンディ・ミゼリア、レミット・マリエーナ、アイリス・ミール、ジャック・バレリーニ、二宮銀次郎
・人間の地位
 想定される社会的文明レベルは様々ですが、一応下に例を記しましょう。複数の地位を兼ねる場合は、必要CPは最も高いと想定される地位に準じて下さい(例えば、子爵で宰相で野鳥の会の会長なら地位レベル6になります)。
8…無し(全世界を支配した魔導王タナトスのみ)
7…国王、皇帝、大統領、議長などの国家元首(大国の場合。マリエーナ等の小国は1〜2レベル低下)、全世界的教団の指導者、政治的に強力な全世界的組織の代表
6…宰相、首相、連邦国家所属国の元首、最上級の貴族(公爵。実力によっては1レベル低下)
5…政府の有力議員、政府の部局の長官、かなりの大都市の市長、上級貴族(侯爵)、全国規模の教団の指導者、全国規模の組織の代表、多国籍企業の代表
4…政府の議員、政府のかなり有力な役人、大都市の市長(シープクレストはこの水準)、中級貴族(伯爵)
3…政府の有力役人、都市の市長(本来エンフィールドはこの水準だが、市長がいないので評議員の有力者が相当)、下級貴族(子爵)、高位の司祭
2…町長、下級貴族〜士族(男爵・爵位無し貴族)
1…神父、司祭、街の名士、村長、下級士族(爵位無し貴族、貴族の分家)
0…一般人
-1…貧乏人、服役囚、都市文明に服さない部族民、家内奴隷(大陸には存在しない)
-2…追放者、犯罪者
-3…労働奴隷(大陸には存在しない)
-4…無し(ヘザーや吸血鬼など、排除指定を受けている人間型種族が該当)
・PC(プレイヤー・キャラクター)への適性
 GMが特別なキャンペーンを行うために制限を行わない限り、自由にPCとして使用が可能です。


影の民(16CP)(EM)

知力+1(10CP)、生命力−1(-10CP)、魔法の素質1レベル(15CP)、死霊系呪文に+1レベル(6CP)、死相感知(10CP)、義務感/影の民(-5CP)、一般人の反応−2(-10CP)、魔法に関しては常に「聖職者」と見なされる(0CP)

 影の民は異種族ではなく人間の人種の1つですが、便宜上ここで解説します。元来影の民は、霊の住まう異世界である「黄泉」と空間的に結合している「黄泉の口」を封印した魔術師とその一族の子孫であると伝えられます。その地点の周辺、半径数十km(時期によって変動)は異世界からの影響によりマナが「濃密」になっており、「地上で最も魔力の高い地域」と称されています。影の民は「黄泉の口」の監視のために大きな里を築いており、その副作用か全員が魔法の素質を持って生まれるようになり、沈んだ色をした瞳に見られるように、外見的にも通常の人間から外れるようになりました。更に死霊系呪文が生活の必要上一般化しており(黄泉の口の魔物に対抗するには欠かせません)、そのために他者から偏見を受けるようになってしまっています。
 影の民は世界の各地に隠れ里を持ち、そこには大抵独自の宗教の寺院と封印された様々な魔法的存在が見られます(隠れ里になっているのは、偏見の目を逃れるためと封印された存在を秘匿するためです)。里を出て占い師やハンターになる事も多いですが、畏怖される事はあっても敬愛される事はほとんど期待できませんし、影の民自身も初めから期待などしていません。例外は互いに理解し合える聖職者や魔術師くらいです。
 「EM」の時代には世界各地に広がっていた影の民でしたが、魔導王タナトスが当時の長と協力して「黄泉の口」を消滅させる事に成功して以降は数が次第に減少し、「UQ」や「PB」の時代には既に伝説の存在と化しています。
・影の民の特徴
 影の民は感情を露わにする事を望まず、「自信過剰」や「お祭り好き」「かんしゃく」は好まれません。「強迫観念/孤独癖(-5CP)」や「義務感/弱者」などがよく見られるでしょう。率直でぶしつけな態度も一般的で、「正直」「無感動」「ユーモア感覚の欠如」もしばしば見られます。
 第六感にも優れ、「直感」「危険察知」「感情察知」の所持者も豊富です。
・影の民特有の特徴
「死相感知」(10CP)
 顔を合わせた相手が死の危険に直面している場合、知力判定に成功するとその事が分かります(「死の危険」の具体的な内容は、クリティカルでもしない限り分かりません)。何が死の危険に含まれるかは、以下の記述を参照して下さい。「危険察知」とは違い、直後の事でなくても2〜3日以内なら分かる事があります。自分を「死相感知」する事はできません。
 ・死の危険
  その時行っている行動を中断する意図が無く、しかも続行していると高確率で死亡する。しかも意図的に回避できないか回避が非常に困難
   →先の崖が崩れやすくなっている、塀の陰に暗殺者が隠れている
  外的要因による
   →刺殺、毒殺、疫病に感染死
  「普通」は死ぬ
   →足元に深さ10mで下から毒塗りの槍が生えた落とし穴がある、扉の先には完全に敵対的な戦士や魔術師の大集団がいる
 ・死の危険に含まれない
  普通の行動をしていれば死を招かないのに、意図的に死にやすいような状況を狙っている。いわゆる「自殺的行為」
   →ビルの5階からダイビング、徒手空拳で完全武装の騎士と一騎打ち
  内的要因による
   →自殺、服毒、通常の病死
  「普通」は死なない
   →バナナの皮で滑って頭を打つ、傷付けずに捕まえようとする警備員の棍棒が頭部にクリティカル――クリティカル表で3を出す
「霊気感知」(10CP)
 《霊気感知》が掛かっているように霊気を感じ取れますが、無条件に分かる訳ではありません。知力を技能レベルと見なし、相手が隠そうとしている場合は知力か隠匿用の魔法と即決勝負を行って下さい。この能力は魔法感覚の一種であり、視覚などの通常の五感とは何の関係もありません。この感覚のみを頼りに戦闘を行おうとする場合は、《超音波視覚》と同様の修正を受けます。
・影の民特有の技能
〈アンデッド感知〉(精神/難)
 ルナルのファウン信者とナーチャ信者の使うものと同じです。しかしゾンビやスケルトンも、自らの恨みで蘇ったなら知力で抵抗が可能です。
・影の民の名前
 姓は無く、名前のみです。名前は一部の人間と同様に漢字で表記されますが、特殊な読みを使います(現世の中国語にやや近い音ですが、中国語そのままではありません)。
例:楊雲(ヤンユン)、美月(メイユェン)
・影の民の地位
 部族内では4(影の民の里の長老)が上限です。魔術師として国の相談役(地位レベル5〜6)になる事もごく稀にありますが、外の世界では通常は0〜-1です。
・PC(プレイヤー・キャラクター)への適性
 そうありふれた存在ではありませんので、PCとして使いたい場合はGMに許可を得て下さい。エンフィールドやシープクレストの存在する大陸にはまずいない事も考慮するように。


異世界人(0CP)(EM)

文明レベル7(高度文明3レベル、15CP)、無常識(-15CP)、無係累(-5CP)、異世界知識(5CP)、この世界の言語技能(1つか2つ)に合計1CP使用(1CP)、作成時点の所持金は借金として扱う(低利もしくは無利子でも構わない、-1CP)

 ごく稀に、次元の壁を隔てた異世界から人間がいきなり現れる事があります。《異次元召喚》や星の配置による時空の歪みなどによるものですが、その例として科学技術が発達した世界の住人を挙げておきました。元々住んでいた次元や時代により、これらの特徴はかなりの変化を見せます。高度な科学技術(文明レベル6以上)による装備を持ち込んでも、この世界では物理法則が違うので起動しなかったり予想外の結果に終わったりする事に十分注意して下さい。
・異世界の人間の特徴
 「誓い/元の世界に帰る」はよく見られます。適応できずに「妄想」を抱いたり、この世界にそぐわぬ行動パターンが「嫌な行動」扱いされる事もしばしばです。
・異世界の人間特有の特徴・特有の技能・名前
 様々です。世界の数だけバリエーションがあると言えるでしょうが、とりあえず基本的な点だけを挙げておきます。
「高度文明」(5CP/L)
 高度な技術文明を持つ異世界の出身者です。一見有利な特徴に見えますが、知識以外は活かす場面があまり存在しない事に留意して下さい。
 キャラクター作成時に高度な文明レベルにしか存在しない技能を覚える事はできますが、教本を持ち込んだりしない限りそのような技能を新しく覚える機会はありません。道具に依拠する技術系技能、世界によって激変する野外系技能などにはかなりのペナルティが掛かるか、あるいは全く役に立たないでしょう。装備を持ち込んだとしても修理の手段は無く、文明レベル6以上の装備の一部は「密」なマナによって作動を阻害されてしまいます。
 新しい装備を入手する手段があるのなら、「高テクノロジー」(「百鬼夜翔」参照、4レベル以降は+50CP/L)を使用して下さい。ただし魔法の介在しない技術体系を持つ世界の場合、文明レベル5を上回る分のCP消費は半分とします。
「無常識」(-15CP)
 「百鬼夜翔」P52にあるのと同じ特徴です。この世界の一般常識が全く存在せず、些細な日常的行為が常に失敗する可能性を持ちます。GMはPCの任意の日常的行為を自動的に失敗させる事が可能です。
「無係累」(-5CP〜)
 当然ながら、異世界の出身者には飛ばされた世界におけるあらゆる繋がりが存在しません。親友も行き付けの喫茶店も仕事のライバルも所属する国も存在しないのです。この特徴を持っていると社会的なしがらみに拘束されませんが(とにかく最初の内は)、社会的な保護もシナリオ内で関係を育んだ所からしか受けられません。
 戸籍制度が整備されたり氏族に所属しないと生きて行けなかったり神殿に必ず所属したりする世界においては、何の組織にも関わっていないという事は社会から排除される要因となります(日本で無国籍だったり、古代の中国で氏族集団に入っていなかったり、ルナルで何も信仰していないような状況を想像してください)。そのような世界では更に獲得できるCPを増やしますが、早めにどこかに帰属させないと冒険は非常に困難でしょう。
「異世界の知識」(5CP)
 文明レベルの格差とは別に、この世界に存在しない異世界の知識を持っています。最先端の技術者が発明したばかりの銃器を楽々と扱ったり、古代の超文明を即座に理解したり、伝承の失われた古い技術をなぜか知っていたり、兵器の技術を魔術師に提供して魔法的な超兵器を作り上げたりできるでしょう。
・異世界の人間の地位
 出現時点では地位レベル0です(元の世界の地位レベルも取れますが、2CP/Lしか必要ではありません)。世界に居付く間に変化していきますが、時には王族と結婚して地位レベル5〜6に上り詰めたり、道を踏み外してレベル−2の犯罪者にまで転落する者も存在します。
・PC(プレイヤー・キャラクター)への適性
 非常に特殊な存在ですので、プレイヤーが強く望んでGMが特別に許可した場合にしかPCとしては使えません。


#妖精族

 魔力や自然との親和に長けた種族の総称です。人間との付き合いも深く、人間の街に暮らしている事も頻繁です。


エルフ(15CP)(UQ/PB)

体力−1(-10CP)、知力+1(10CP)、器用1レベル(「不器用」取得不可、5CP)、魔法の素質1レベル(15CP)、暗視(10CP)、老化開始・経過が10年遅い(1CP)、義務感/自然(-15CP)、魔法に対するこだわり(-1CP)

 エルフは、moo系世界――特に〈大陸〉では最も人間と関わりの深い異種族です。身長は人間と同じ程度かやや小さめで細身ですが、背が高く筋肉質になる場合もあります。住む地方によって人間の人種差に相当する物も存在し、〈大陸〉の北方(特にオスカー地方)では金の髪、南方では緑の髪に琥珀色の瞳が代表的な特徴であるとみなされています。髪は男女問わずセミロングかロングヘアですが、あまり長く伸ばす事は少ないようです。
 エルフは代々森の中で部族制社会(散住が一般的)を築いていますが、他の種族とも友好的な関係を築いてきました(遥か昔は木の上に住んでいましたが、定住と共に木造の家屋を建てて住むようになりました)。現在のエルフの一部は人間の街や村で暮らしており、人間との混血も時折見られます。稀に人間から隔世遺伝によりエルフやハーフエルフが生まれる事もあり、そのような場合一般人は大抵、魔術師や職人に里子に出します。食生活はやや味付けが少ない事を除けば人間とあまり変わりませんが、肉(特に家畜の肉)を食べる事は野蛮として嫌い、乳製品もほとんど口にしません。ただし狩猟で得た肉は地方によっては珍重され、魚もこの制限には掛かりません。もちろん街に出た身では、あまり選り好みは言っていられないのが実情です。
 エルフは全ての個体が魔法の素質を持ち、成人は全員が魔法を取得しています(もっとも一般人の大半は、片手で数えられる程度しか覚えていませんが)。エルフは種族的に魔法へのこだわりを持ち、魔法のぞんざいな扱いや「単なる道具」扱いはまず行いません。極めて稀に「未覚醒の素質」などの制限された素質を持つエルフが生まれてきますが、そのほとんどは「悠久幻想曲」のエルのようにエルフ社会から離脱してしまい、甚だしい場合には魔法嫌悪に近い振舞いを見せる事もあります。しかし種族的な本能は、そのようなエルフでも抜け切っていないようです(……というか「でした」)。
 〈大陸〉では、全土のエルフをまとめる組織「エルフ大議会」が存在します。魔法の振興や文化交流、自然保護運動などを手掛けており、各地に支部を設けていますが、国家組織的なものではなく領土も持ちません。人間の国家でも貴族や政治家にエルフがいる事が時折見られますが、元来物欲(というよりは金銭欲)に乏しいため、金に物を言わせて強引に伸し上がってきたラーレル家のような例はエルフとしては例外的です。
 なお、この世界のエルフの寿命は人間より10年程度長いだけです。しかしエルフは年老いても容姿は老け込みにくく、呪文で長寿を保つ魔術師も多い事から誤解を受けやすくなっています。
・エルフの特徴
 「魔法の素質」を高レベルで持つ場合が、他種族に比べて多く見受けられます。意外と気性も荒く、「かんしゃく」「直情」などを持つ者も少なくありません。
 また、エルフは体質上「太り気味」や「肥満」になる事はありません。
・エルフ特有の特徴
「魔法の素質」(様々)
 エルフが「魔法の素質」を伸ばす際には、既に獲得している「素質1」との差額を消費します。2レベル以上を限定された「素質」にする場合も同様です。
 種族セットで持っている「素質1」を「売り戻す」事はできません。限定された「素質」に置き換える事も、GMの許可のない限り禁止されます。
「赤外線視力」(15CP)
 一部のエルフは色の識別範囲が広く、赤外線を見る事が出来ます。「ベーシック完訳版」に記された通りの効果を受けます。
 エルフの赤外線視力は目によるものなので、「視覚障害」と同時の取得は不可能です。
「青黄色盲」(-5CP)
 赤緑色盲であるルナルのドワーフとは逆に、青と黄色の区別が付かなくなります。この特徴を持つエルフには、「赤外線視力」の持ち主が多いようです。
「魔法未修得」(-2CP)
 魔法を「1種類以上を11レベル以上で」修得していないキャラクターは同族から「未成年1レベル」として見なされ、大人としての扱いを受けられません。
「大議会メンバー」(10CP)
 …限定的な治外法権(軽犯罪に対する不逮捕特権・税の一部免除、10CP)、後援者(かなりの力、まれ、7CP)、居住国における権利の一部制限(-5CP)、使命(まれ、-2CP)
 エルフ大議会のメンバーには、通常の国の支配権が及びません。エルフの伝統的な慣習で裁かれ、税も基本的には大議会へのみ納めます。また大議会において発言権も所持し、参事員や大議員への被選出権を獲得します。大議会メンバーは、エルフの間では地位レベル1と見なされます。
 「後援者」の頻度を上げる事も可能ですが、その場合「使命」も同じ頻度でなくてはいけません。
・エルフ特有の技能
〈隠身〉(精神/並) 技能無し値:〈偽装〉−4
 ルナルのカアンルーバ・エルファの特殊技能と同じもので、植物に紛れて潜み続ける技能です。〈偽装〉と〈隠身〉で隠れ、それから1時間ごとに〈隠身〉判定に成功し続ける限り、視覚や聴覚を用いて見付ける事は基本的にできません。ある程度目星を付ければ〈探索〉と〈隠身〉で即決勝負を行います。魔法を使われると通常通り発見されます。
・エルフの名前
 人間と同様、名前と姓で構成されます。柔らかい響きの簡潔な物が好まれていますが、そうでない場合も多々見られます。簡潔に聞こえる場合でも、神話や伝説に範を取る場合が多く見られます。
例:エル・ルイス(人間が命名、エル=古語で「神」)、エヒニッシュ・ラーレル、ナーダ・グレイスタ
・エルフの地位
 エルフ社会の内部では以下の通りです。人間社会では人間と同様になり、場合によっては6〜7にまで上がります。エルフ社会の地位も、大抵は人間にそのまま通用します。
7…王、大議会議長
6…小国の王
5…部族連合の長、大議会大議員
4…大部族の族長
3…部族の族長、大議会の部局長
2…小部族の族長、町長、大議会参事員
1…村長、大議会一般メンバー
0…一般人
-1…はぐれ者、追放者
-2…掟破り、犯罪者
・PC(プレイヤー・キャラクター)への適性
 〈大陸〉や諸島国では人間に次いでありふれており、特に禁止しない限り自由にPCとして使えます。それ以外の地域でも、よほどの理由がなければ認めた方がいいでしょう。


妖精(38CP)(EM/UQ)

体力−4(最大14、-30CP)、敏捷力+2(20CP)、知力+1(10CP)、生命力−1(-10CP)、羽の魔力で飛行(移動力は通常と同じ、20CP)、魔法の素質1レベル(15CP)、鋭敏感覚2レベル(10CP)、動物共感(5CP)、動物会話(魔法的でない知力2〜7の動物全てに有効、18CP)、植物共感(5CP)、植物会話(10CP)、精霊共感(10CP)、長命(人間の5倍、ただし成長速度は1.5倍、10CP)、義務感/自然(-15CP)、好奇心1レベル(-5CP)、正直(-5CP)、依存/自然の澄んだ風(1日ごと、しないと1時間に1点ダメージ、-15CP)、行動不能/完全な人工的環境(生命力以外の判定と移動力に−2、-5CP)、体が小さくて通常の武具を使えない(攻撃された時の命中判定に−2のペナルティを与えるが、専用装備は重量1/3で価格1.5倍)(-5CP)

 妖精は身長30cm程度にしかならない小さな種族で、耳はエルフのように尖っており、背中からは透き通った虫によく似た羽が生えています(飛行は羽の持つ魔力に頼っており、物理的に羽ばたく訳ではありません)。体格はサイズに比べても細身である事が多く、淡い色の瞳は影の民にそっくりな不思議な輝きを持っています。妖精は人間やその他の種族より寿命が約5倍ありますが、成長速度は1.5倍なので20代前半(ルール上は22歳半)で成人として認められます(技能に消費できるCP限界については、学習能力が低いわけではないので他の種族と同様に実年齢の2倍で構いません)。
 普通の妖精は森で動植物や精霊と共に暮らしていますが(住居は木のうろか、樹上の小さな鳥の巣状の家です)、ごく稀に街に出てきているのを見られるでしょう。性格は子供っぽい割に妙にすれている事もありますが、大抵は賑やかな事やいたずらが大好きな陽気な性格です。
 妖精の好む武装は杖・ナイフ・短剣・弓矢・手槍と非金属製鎧です。それ以外を使用する事はまずありません。
・妖精の特徴
 妖精の大半が高いレベルの「魔法の素質」を持っており、「危険察知」や「幸運」を持つ者も見られます。「好奇心」「お祭り好き」「くいしんぼ」はよく見られますし、「かんしゃく」や「自信過剰」もありがちです。「嫌な行動/おしゃべり」「嫌な行動/一言余計」なども目立ちます。
 妖精は「肥満」「太り気味」の特徴を得られません(体が小さく、余分なエネルギーは熱として排出してしまいます)。元から細身なので「やせっぽち」も取得できませんし、「巨人症」「矮人症」も存在しません。
・妖精特有の特徴
「精霊共感」(取得済み)
 全ての精霊の反応に+3されます。精霊を傷付けたり奴隷にしたりする事はよほどの理由がない限り嫌でたまらなくなり、他人がそのような事を行うのも妨げようとします。
「飛行障害」(-20CP)
 羽を傷付けて飛べなくなっています。移動するには歩くしかありませんが、妖精は体が小さいため、移動力とよけは本来の半分(端数切捨て)にまで低下してしまいます。人込みを突っ切ろうとしたりするなら踏み潰されるのがオチでしょう。
「祈願能力」(200CP) 前提:「魔法の素質3レベル」
 この特徴を持つ妖精は、シナリオ1つにつき1回、1人につき1回に限り《大祈願》を15レベルで、しかも集中もエネルギー消費も無しで行使できます(失敗してもペナルティは全く受けません!)。しかし本来の《大祈願》とは違い、CP総計に恒久的に影響を与える能力を行使する事は基本的にできません。CP総計を上げたなら、CPが相応する不利な特徴を代償として与えるか、差額を経験点で埋め合わせて下さい。
 祈願能力は、使える用途や状況を限定して必要なCPを下げる事も可能です(「防御的な用途だけ(攻撃的防御はダメ)」「子供の願いにだけ(言いくるめ不可)」なら−30%、「荒野に水を取り戻すだけ」なら−60%など。通常は−60%が限界)。特殊な増強・限定として、「ささやかな3つの願いだけ(±0%)」というのも可能です。
 なおこの能力は、絶対にPCに取得させてはいけません。どうしても欲しいというなら取らせても構いませんが、能力目当ての邪術師や金持ちに追い回させてあげましょう(笑)。
・妖精特有の技能
〈飛行〉(肉体/並)
 「ベーシック完訳版」を参照して下さい。
〈暴走〉(精神/難)
 ルナルのラグアツ・ミュルーンの所持している技能と同じ物です。〈植物使役〉を持つ妖精の場合、歩行植物も暴走する群れに仕立てられます。
〈治癒術〉(精神/難) 技能無し値:知力−6(妖精のみ)
 ルナルのレスティリ・エルファの〈高級処置〉と同様に扱って下さい。ただし特別な道具は不要ですし、種族の差によって不利な修正を受ける事もありません。
・妖精の名前
 名前のみで姓を持ちません。名前も簡単な物が多いようです。
例:フィリー
・妖精の地位
 妖精には「地位」という概念がありません。人間社会でも地位レベルは一律「0」と見なされます。
・PC(プレイヤー・キャラクター)への適性
 ありふれた種族ではありません。GMが許可を出さない限りPCとしては使えません。


#獣人族

 人間型種族の中でも、獣に似た部分が強い種族の総称です。主に都市を離れた範囲を領域としており、街に住んでいる割合は多くありません。
 獣人族相互の間には仲間意識は存在せず、時には激しい対立関係や一方的な捕食関係(!)すら存在します。


牙人族(25CP)(EM)

体力+1(10CP)、敏捷力+1(10CP)、知力−1(-10CP)、生命力+1、最低でも10(10CP)、鋭敏感覚2レベル(10CP)、暗視(10CP)、高速治癒(5CP)、腹ぺこ1レベル(通常の2倍の食料が必要、生活費は2割増し、「くいしんぼ」を重ねて取れない、-10CP)、直情(-10CP)

 「人間と獣人のハーフ」と俗称される半獣人種族です。尖った耳と牙、爪くらいしか人間との相違点はなく、半ば動物の姿である一般の半獣人や獣人とはあまり近い種族ではありません。むしろ外見はエルフに近いですが、牙人族は魔法に疎く、素質を持つ者に至ってはほとんど存在しません。男性はエルフと違い体毛が多く、女性はとある牙人族の少女曰く、「お肌つるつる」だそうです。
 亜熱帯〜熱帯の森や草原の中に木造の家屋で集落を築き、狩猟と採取を主体にして生活しています(気候のせいか衣装も薄着です)。その肉体を維持するために大量に食物を摂取する必要があるのか、牙人族は食物にかなり執着を見せ、機会さえあれば人間の数食分を一度に食べてしまいます。牙人族の祭の最大の山場は大食い大会で、ある異世界から来た人間が牙人族の胃袋を「ブラックホール」なる謎の存在に例えた事から、大食い大会の優勝者は名誉の称号「ブラックホール」を与えられる事になっています(をい)。
 牙人族、特にジェクリ地方の一族はかなり人間と親しく、時折産物の売買や武者修業(美味い物巡り?)のために街を訪れます。
・牙人族の特徴
 気性が荒い分、「かんしゃく」「自信過剰」が多めです。戦士としての素質に長けた種族なので、「我慢強さ」「戦闘即応」「頑強」もかなり見られます。大盤振舞いが賞賛される種族ですので、「強迫観念/散財」もしばしば見られるでしょう。
・牙人族特有の特徴
「腹ぺこ」(0/-5/-10CP、基本取得している「腹ぺこ1レベル」を差し引き済み)
 「腹ぺこ」を2レベル以上にする事も可能で、1レベル増す毎に必要な食料は通常の1倍ずつ、生活費は2割ずつ増えます。牙人族の場合は3レベル(通常の4倍食べる)までしか増えません。また、この特徴は基本的に買い戻せず、もし許可されても「腹ぺこ1レベル」までにしかできません。
・牙人族特有の技能
〈暴走〉(精神/難)
 ルナルのラグアツ・ミュルーンの所持している技能と同じ物です。「植物共感」〈植物使役〉を前提として持つ牙人族の場合、歩行植物を暴走する群れに仕立てられます。
〈大食〉(肉体/並) 生命力基準、技能無し値:生命力−3(牙人族のみ)
 消化器官を活発に動かし、普通の限界より多くの食物を食べる技能です。この技能を持てば通常の「技能レベル/4」(最低1)倍の食料を口にする事が可能となり、更に1食分毎に−2のペナルティを受けて判定に成功する事によりそれ以上の量を食べ尽くす事が可能となります。霊薬を除く遅効性の毒を飲んでしまった場合も、意識があれば〈大食〉−2判定を試みて成功すれば抵抗が2回可能となります。牙人族の場合、「腹ぺこ」により増加している許容量をそのまま足し合わせます(技能レベル12で「腹ぺこ2レベル」なら、3+3=6倍です。目標値10の判定に成功すれば7倍食べられます)。
 この技能を用いて食べ放題の店を荒らす牙人族が非常に多いため、牙人族の多い地域の食堂では割増料金を請求する事が多くなっています。
〈骨牙細工〉(精神/並) 技能無し値:知力−5、宝石屋−3
 骨や牙(鼈甲や象牙も含む)を加工する技能です。作った品物に模様を彫り込むには〈彫刻〉を使って下さい。この技能は異種族も修得可能です。
・牙人族の名前
 姓と名前の順序は人間と同一で、双方共に簡潔な響きが好まれるようです。結婚した際通常は夫婦どちらかの姓に統一しますが、新たな姓を名乗る事もままあります。
例:アルザ・ロウ
・牙人族の地位
 集落内では地位レベル1(族長)と0(一般人)くらいしか存在しません。人間社会で軍人にでもなれば話は違うのですが、せいぜい巨大傭兵団の団長(地位レベル4程度)でしょう。
・PC(プレイヤー・キャラクター)への適性
 パーリアではかなりありふれていますので、特に禁止しない限りPCとして使用可能です。エンフィールドやシープクレストの存在する〈大陸〉には生息していないので、基本的にはGMが特に許可を出さない限り〈大陸〉では使えません。


フォーウッド(30CP)(EM)

体力−1(-10CP)、敏捷力+1(10CP)、移動力倍増1レベル(「よけ」は変化しない、10CP)、跳躍倍増1レベル(10CP)、鋭敏感覚2レベル(10CP)、危険察知(15CP)、動物共感(5CP)、義務感/地上の自然(-10CP)、義務感/部族(-5CP)、誓い/菜食主義(-5CP)、不器用1レベル(「器用」取得及び「不器用1レベル」の買い戻し不可、-3CP)、〈生存/森〉を知力と同レベルで取得(2CP)、〈跳躍〉を敏捷力と同レベルで取得(1CP)

 森に住む半獣人で、身体の一部(耳と尻尾、それに手足の先)がウサギの物になっています。手の指も太めであるため、手作業は不得手です。人間の耳にあたる部分には、髪が生えているだけで耳はありません。髪の色はピンクや水色などの淡い色で、耳や手足の毛と同じ色になっています。
 フォーウッドは温暖な森の中で、長老を中心として部族単位で村を作っています。農耕と採取で生計を立てており、事あるごとに祭りを開いて騒ぎます。部族内部は非常に緊密な関係で結ばれ、その分家族の枠組は緩やかです。技術水準はやや低く、家や衣服も比較的簡素な作りです。なおフォーウッドは基本的に草食で、特にニンジンが好物です。
 性格は温和で、動物と草木を愛しています。そのため滅多に森から出る事はありませんが、たまに好奇心に駆られて森の外に出るフォーウッドが存在します。
・フォーウッドの特徴
 感が鋭いフォーウッドですが、その反面「臆病」な場合も見受けられます。「戦闘硬直」や「フラッシュバック」、「恐怖症」なども多いでしょう。
 半獣人らしく、「戦闘即応」を持つ場合もよくあります。
・フォーウッド特有の特徴
「肉食拒否」(本来-15CPだが、「誓い/菜食主義」を引いて-10CP)
 肉食(魚や蝦、蛸、蜂の子なども含んだ動物性食料全てです)が体質的に適合せず、食べさせられても即座に吐いてしまいます。生命力判定に成功すれば飲み込む事は可能ですが、それから6時間の間全ての能力値に−4のペナルティを受け、HPに1D点のダメージを受けます。本来の獲得CPは15CPなのですが、フォーウッドは既に「誓い/菜食主義」を持っていますので獲得CPは10CPとなります。
 「くいしんぼ」を同時に取る事は差支えませんが、そのようなキャラクターは肉を食べ物と見なしていない事に注意して下さい。
「義務感/地上の自然」(-10CP)
 フォーウッドの持つ、自然への義務感です。フォーウッドの生活範囲内である森を中心とした地上の自然にのみ働き、海や宇宙空間、異次元空間など異質な環境の自然環境には興味を持っていません。この特徴は、人間を始めとする地上種族も取得が可能です。
 フォーウッドが「義務感/自然」を取っても、獲得できるCPは5CPだけです。
・フォーウッド特有の技能
〈総合森林学〉(精神/至難) 技能無し値:なし 前提:〈生存/森〉〈動植物知識〉、森に関係深い場所の〈地域知識〉
 森の中に関するあらゆる知識の総合体です。森の中での〈生存〉〈動物学〉〈植物学〉〈農業〉〈地質学〉〈生態学〉〈探索〉〈罠〉〈毒物〉〈動物使役〉〈獣医〉として機能しますが、自然の森の外では何の役にも立ちません。
・フォーウッドの名前
 姓と名前で構成される事は人間と同様です。名前を植物の名前から取る事もしばしば行われます。姓を名乗る事は、部族内では意味がないので滅多にありません。
例:キャラット・シールズ、セロ
・フォーウッドの地位
 集落内では牙人族と同じです。人間社会でも地位レベルの上がるような職業には恐らく就きません。
・PC(プレイヤー・キャラクター)への適性
 牙人族と同じです。


ライシアン(5CP)(UQ/PB)

体力−1(-10CP)、生命力−1(-10CP)、容貌/美人(下降不可、15CP)、動物共感(5CP)、暗視(10CP)、鋭敏感覚2レベル(10CP)、義務感/自然(-15CP)

 ライシアンは、〈大陸〉や東方の島々で人間と関わり合う事が多い半獣人の一族です。身長は人間と同じ程度かやや高め、体格はほっそりとしており、頭から狐の耳を、腰の後ろから大きな狐の尻尾を生やしています(人間の耳にあたる部分には耳はなく、頭髪が覆い隠しています)。髪と体毛の色は茶色や金色、灰色が多く、それ以外は滅多に見られません。爪は鋭く出し入れ可能ですが、攻撃のダメージが増えるほどではありません。性質的にも大人しく人間とも交流がありますが、個体数が遥かに少ないため目撃する機会も少ないでしょう。大陸東方では「お稲荷様」を信仰しているため、種族名の「ライシアン」は魔法記述言語の「rician(稲の民)」に由来するという説があります(今の言語では綴りは基本的に「Lithian」と記されます)。ライシアンには酒好きが多いですが、人間とは違ってアルコールへの中毒にまで発展する事はありません(依存症レベルにはなりますが)。
 ライシアンは元々は部族単位で村に住んでいました。一部のライシアンが街に出るくらいで(美しさを生かして、接客業や俳優を営む事が多く見受けられました)、大半は森の中で静かに日々を過ごしていたのです。とはいえ全てのライシアンの本家である王家を中心として、緩い紐帯を持ち続けてはいたのですが。
 しかし美しさと力の無さ(物理戦闘能力が総じて低く、魔力も弱い)が災いしてハンターに狩り出され、種族独自の社会は大幅に減少しました。「PB」現在では保護が進みましたが未だに法の網をくぐってライシアンを狩り出す者がおり、時代が推移しても問題の完全解決は見えていません。対抗するために人間国家の国籍を取り、人間と変わらない生活を営むライシアンも増えています。
 なお、ライシアンは人間と混血が可能です。どちらの特徴が出るかは五分五分ですが、隔世遺伝で発現する事はエルフとは違いまず起こりません。
・ライシアンの特徴
 有利な特徴は半獣人らしい「鋭敏〜」「危険察知」がよく見られますが、「戦闘即応」はあまり見られません。なぜか「うわばみ」もよく見られます。
 不利な特徴としては、都市生活に染まったライシアンでは「好色」「怠惰」などがかなり一般的です。人間外種族の中では気性の荒くない方で、ありがちな「かんしゃく」や「直情」はあまり見られません。しかし虐待を受けた場合には、「恐怖症」や「偏執狂」などの不利な特徴を持つ場合がままあります。
 ライシアンは生まれつき「美人」なので、「やせっぽち」を取る事は不可能です(代わりに「華奢」を取って下さい)。「アルコール中毒」には決してなりませんが、「アルコール依存症」にはなり得ます。
・ライシアン特有の特徴
「華奢」(-5CP)
 ライシアン限定の「やせっぽち」です。容貌の上限が無くなりますが、生命力に加えて体力も最大10までに制限されてしまいます。
・ライシアン特有の技能
〈誘眠術〉(精神/至難) 技能無し値:なし 前提:「魔法の素質」〈催眠術〉〈呼吸法〉
 〈催眠術〉に似ていますが、1秒で掛かる上に積極的に抵抗しても「意思」そのままのレベルでしか即決勝負を行えません。しかし負担も大きいため、使用者は1点疲労します。
・ライシアンの名前
 人間の名前でも、姓が先で名前が後になる和風系統を主に使います(古代的姓と雅語的な名前の組み合わせです)。ライシアンの王族は姓を持たず個人の名前だけです。
例:橘由羅(たちばなゆら)、更紗(さらさ)
・ライシアンの地位
 地位レベル5(種族の王)・4(王家の血を引く3氏族+貴族筆頭の1氏族の当主)を頂点として、-1(追放者)・-2(犯罪者)まで存在します。
 部族外でスターとして成功すれば3〜4程度まで上昇可能ですが、見世物扱いされている場合は-1にもなり得ます。
・PC(プレイヤー・キャラクター)への適性
 数が多くなくても人間と接触の多い種族であり、特に禁止しない限り自由にPCとして使えます。


人狼族(65CP)(UQ)

体力+2(20CP)、敏捷力+1(10CP)、知力−1(-10CP)、生命力+1、最低10(10CP)、高速治癒(5CP)、暗視(10CP)、鋭敏味覚・嗅覚2レベル(4CP)、動物共感/狼&平和愛好/非殺/狼(0CP)、月の狂気(-10CP)、他種族の反応−1/変身中は−3(-5CP)
#以下は変身時限定、CPは通常の25%(端数切上げ)
体力+4(12CP)、生命力+2(5CP)、牙1レベル(「切り」、ダメージは「ベーシック完訳版」P179参照、2CP)、鉤爪2レベル(ダメージが「切り/突き」、7CP)、毛皮の防護点2点(3CP)、跳躍倍増1レベル(3CP)、吠え声(周囲1D+2kmに声が響く、30m以内の者は恐怖判定の場合も、2CP)、鋭敏味覚・嗅覚+6レベル(合計8レベル、3CP)、不器用3レベル(-3CP)、変身中は武器・防具を持てない(-3CP)

 人狼族は普段は人の姿を取りますが、太陰暦13日にあたる満月の光を浴びると直立する狼の姿を取る種族です。伝承に通じた者の間では「古き血の子」とも呼ばれる古い種族ですが、個体数の少なさと異種族(人間だけではありません)による迫害により衰退を続け、現在ではまず見られない稀少種族と化してしまいました。現在では存在を知る者も少ないため、反応のペナルティは変身を目撃されない限りありません。
 普段の人狼族の身体能力は通常の人間を力でやや上回る程度ですが、満月の下では圧倒的な力で敵を粉砕します。手の構造上武器は持てないものの、その鉤爪と牙だけで大抵の敵は引き裂けるでしょう。変身時に体格が大きく変わるため鎧は脱げ落ちるでしょうが、代わりに分厚い毛皮が身を守ります。
 ちなみに満月の光は、一定以上の強さで浴びないと変身機能が働きません。変身には2ターン掛かり、その間は能動防御を含む一切の行動が取れません。月光が遮られると1D分後に元に戻り、2D点疲労します。
・人狼族の特徴
 特筆すべき特徴はありませんが、変身する動物に近い性格になる事が多いです。なお、基本セットの中で「変身時限定」となっている物と同じ特徴を人間時にも取得する場合には、差額分のCPを消費、ないし獲得して下さい。しかし能力値の増加と、通常の人間に適用できない「牙」「鉤爪」「跳躍倍増」などはこの処置を取る事が禁止されます。
・人狼族特有の特徴
「牙」「鉤爪」(特殊)
 牙と鉤爪の威力を上げたい場合は、「百鬼夜翔」を参照して必要CPを計算して下さい。牙の最大レベルは「体力/2」レベル(端数切捨て)です。
「月の狂気」(-10CP)
 満月の夜には感情的で移り気に(全ての意思判定に−2)、新月の夜には非常に受身になり「怠惰」の特徴を持つのと同じ状態になります。月が満ちて行く途中では次第に積極的に、欠けて行く途中では次第に消極的にもなりますが、この期間は数値的なペナルティは付きません。
「コントロール欠如」(-15/-30CP)
 獣に変身した際に、人としての理性が働かずに完全な獣として振舞います。だからといって邪悪な行動を行うわけではありませんが、「サディスト」や「偏執狂」の人狼族の場合に何が起きるか考えない方がいいでしょう(汗)。獣として振舞っていた間の行動が記憶に残っていれば-15CPの、そうでなければ-30CPの特徴として扱います。
・人狼族特有の技能
 特にありません。
・人狼族の名前
 普通の人間と何ら変わりありません。
例:ピート・ロス
・人狼族の地位
 人間と変わりありません。
・PC(プレイヤー・キャラクター)への適性
 GMが許可を出さない限りPCとしては使えません。特殊能力もプレイ中のほとんどの時間は使えない物ばかりですので、PCとしての適性も残念ながら低いとしか言えません。もしPCとして使うなら、満月の日をシナリオ内に持って来たりする工夫が必要です。


#危険な種族

 一般的な人間やエルフとは相容れない性質と危険な能力を持つ種族で、しばしば「魔物」と見なされて排斥されます。これは決して偏見によるものではない事実である事を踏まえ、これらの種族をPCにする際は慎重に扱って下さい。
 ……とかいうのはmoo系世界に似合いませんが(笑)。


魔族(35CP)(EM)

体力+1(10CP)、知力+1(10CP)、暗視(10CP)、魔法の素質1レベル(15CP)、魔物共感(10CP)、名誉重視/魔族の名誉(-5CP)、かんしゃく(-10CP)、他種族の反応に−1(-5CP)

 魔族は白〜銀系統の髪と虹彩の細い赤の瞳を持ち、先の尖った耳を持つ種族です。体格は人間よりやや大きめで、筋肉質ですらりとしています。革の服や金属のアクセサリー、赤い刺青などを好んでおり、衣服の感覚はこの世界の人間からは掛け離れた物です。魔界の出身であると言われていますが、一般の魔族は魔界と行き来する事はできません。
 「EM」の時点では、大半の魔族は街や村に住み、人間と同じような職に就いています。かつては大魔王と呼ばれる統率者に従い世界中を荒らしていたのですが、大魔王の封印後は世間に揉まれて大人しく――というか世知辛くなっており、「大魔王様の復活」や「世界征服」を目指したりする事はありません。……普通は。
 しかし元の性質は抑え難いのか、魔族は例外なく種族独自の名誉(「海賊の名誉」に近いがそれより過激)を掲げており、傭兵として戦場を蹂躙したり強力な魔法兵器を求めて遺跡を荒らしまくったり、砦を構えて山賊を支配したり魔物を率いて村や街を襲撃したりする事が頻繁に見られます。
 魔族は力を頼む傾向がある一方、綿密な計略もどこか抜けているのが普通です。味方にすれば頼もしいながらも不安で、敵に回すと恐ろしいながらも楽しい種族でしょう。
 最後に余談ですが、広義の「魔族」は魔界の生物一般を指しています。
・魔族の特徴
 魔族は「臆病」「戦闘硬直」「平和愛好(全て)」を取得できません。自我が強いせいか「高慢」「自信過剰」が数多く見られ、痩せ型なので「やせっぽち」を持つ事が多いですが、「肥満」する事はまずありません。「我慢強さ」「戦闘即応」や高レベルの「魔法の素質」を持つタイプも数多く見られます。
・魔族特有の特徴
「魔物共感」(10CP)
 魔物(動物や植物、霊的存在に属する物のみです)と感情疎通が可能であり、反応に+2の修正を受けます。もし魔物が何者かに飼われていれば、反応修正は+4です。
 また、〈魔物使役〉及び魔物が対象の〈騎乗/種別〉〈鷹匠(に類する技能)〉〈獣医〉にも+4の修正を受けます。
「不名誉」(-10CP、「魔族の名誉」を放棄するため実質は差し引きして0CP)
 魔族の名誉に反した生き方をする魔族の持つ特徴で、名誉に従わない代わりに魔族の反応が−3されます。何らかの理由で(または何の理由もなく)堕落したNPC専用の特徴であり、PCは取得できません。
・魔族特有の技能
〈魔物使役〉(精神/至難) 技能無し値:知力−6(魔族のみ) 「魔物共感」は技能レベル+4
 〈動物使役〉のように魔物を使役する技能です。知力8以上の魔物に対しては使えません。
 この技能は魔族特有の技能ですが、人間やその他の種族でも修得する事は可能です。
・魔族の名前
 魔族も人間と同様に、姓と名前を持ちます。しかし、姓を使う事は人間より少ないようです。
例:カイル・イシュバーン、リリト、エルフィン
・魔族の地位
 実力主義と個人主義の強い魔族の場合、地位レベルに意味はあまりありません。人間の地位レベルをとりあえず参照して下さい。
・PC(プレイヤー・キャラクター)への適性
 やや特異な文化を持つ種族ですので、キャンペーンが破綻しないかどうかGMが判断してPCとして使う事を許可して下さい。通常は大丈夫でしょうけど。


ヴァンパイア(30CP)(EM)

体力+1(10CP)、知力+1(10CP)、牙1レベル(「切り」、ダメージは「ベーシック完訳版」P179参照、5CP)、暗視(10CP)、魔法の素質1レベル(15CP)、《体力奪取》《生命力奪取》を「知力+素質」レベルで使用可能(接触必要だが詠唱不要、8CP)、〈性的魅力〉を生命力と同じレベルで取得(2CP)、吸血性(後述、-15CP)、陽射しに弱い(「色素欠乏」相当、容貌の制限はなし、-10CP)、他種族の反応に−1(-5CP)

 ヴァンパイアは魔族と類縁関係にある、普通の生物です。日光を浴びても灰にはなりませんし(薄曇りでも立ちくらみを起こしますが)、噛んだ相手に伝染する事もありません。個体数は少なく、多くは人間の村や街に居住しています。外見は人間と変わりませんが、よく見ると赤い瞳の虹彩が魔族と同様に細くなっています。
 生命活動に必要な血(特にCPを得てはいませんが、普通の食物で代替可能なので)を吸う際には、適当な人間(生命力に溢れた若い人間、特に異性)を選び、腕力や魔法、生まれ持つ〈性的魅力〉による誘惑などで無力化して首筋に牙を突き立てます。吸った後は痛みはありませんが、同時に《生命力奪取》を行う必要があるため、ヴァンパイアは身体の弱い人間からは吸血を避けます。
 血を提供してくれる人間の夫や妻になる事もあり、その場合は人間と子供を作ります。こうして生まれたハーフはデータ的にはヴァンパイアと同じに扱いますが、吸血の習性が異種族から嫌悪されている事もあり、多くの場合は正体を隠して生活しています。ハーフが人間と子供を作った場合、体質が遺伝する確率は五分五分です。
 最後に記しておきますが、「PB」の連邦でS級危険種族に指定されている魔物のヴァンパイアとは全くの別物です。他にもこの世界には、血を吸う人間型の「ヴァンパイア」が何種類も存在するかもしれません。
・ヴァンパイアの特徴
 ヴァンパイアは「好色」である事も多く、この場合には特定の人間からは吸血せずに大きな街で様々な異性(時には同性)を捕えて吸血しています。逆に恋人や配偶者に「義務感」を抱いている事も多いです。自分の正体を「秘密」にしている事も、特にハーフではよく見られます(反応のペナルティを隠すだけなので、特にCPは獲得できませんが)。
 当然の事ながら、「血液恐怖症」を取得する事はGMの許可がない限りできません(笑)。
・ヴァンパイア特有の特徴
「吸血性」(-15CP)
 吸血衝動を抑制するには、意思判定に成功が必要です。血の匂いを感じるなら−2の修正があります。
 ヴァンパイアの吸血は、実は肉体の維持には必要不可欠な物ではありません。ただし思春期には心因性の吸血衝動が発生する事があり、抑えるには毎日意思判定に成功する必要があります。衝動を抑える事に成功しても、1日に1点ずつ疲労点とHPにダメージが蓄積されてしまい、これは丸1日休息を取るか吸血衝動を満たす(相手の疲労点とHPに蓄積分と同じダメージ)まで回復しません。
「牙」(+3CP/L)
 牙のレベルを1増やすごとにダメージは+1されます。最大レベルは「体力/2」レベル(端数切捨て)です。
「鉤爪/手のみ」(14/23/36CP)
 手の指先に鋭い爪を備え、パンチのダメージに+2/ダメージを「突き/切り」/ダメージを「突き/刺し」・「振り/切り」とします。また、武器の攻撃もこの爪と〈格闘〉〈空手〉〈柔道〉技能で「受け」が可能です。足に鉤爪は無いのでキックのダメージは増えませんが、人間同様にブーツを履いてダメージを増やせます。
 必要の無い時は体内に収納できますので、見た目で気付かれる事はありません。
「太陽光恐怖症」(-20/-40CP)
 太陽光線に対する恐怖症です。これを持つキャラクターは普通、「陽光過敏」(後述)も所持しているでしょう。
「陽光過敏」(-15CP)
 太陽光線を浴びるとダメージを受けます。ダメージは10分あたり1点です。この特徴はハーフが取得する事はできません。
・ヴァンパイア特有の技能
 特にありません。鉤爪は人間と同じ格闘用技能で扱えます。
・ヴァンパイアの名前
 ヴァンパイアの名前は普通の人間とあまり変わりませんが、やや姓が長めの場合が多いようです。ハーフの場合には、普通の人間と大差ありません。
例:ティナ・ハーヴェル(ヴァンパイア・ハーフ)
・ヴァンパイアの地位
 人間の地位レベルと同じです。
・PC(プレイヤー・キャラクター)への適性
 魔族に準じます。


召喚魔族(40CP)(UQ)

体力−4(最大14、-30CP)、敏捷力+1(10CP)、知力+2(20CP)、生命力−1(-10CP)、飛行(移動力は通常と同じ、30CP)、暗視(10CP)、魔法の素質1レベル(15CP)、魔物共感(10CP)、長命(人間の5倍、ただし成長速度は1.5倍、10CP)、強迫観念/天邪鬼(-5CP)、好奇心1レベル(-5CP)、嫌な行動/いたずら(反応−1、-5CP)、くいしんぼ(-5CP)、体が小さくて通常の武具を使えない(攻撃された時の命中判定に−2のペナルティを与えるが、専用品は重量1/3で価格1.5倍、-5CP)

 この魔族は、前記の人間型の魔族とは違う種族です。身長は妖精と同じ程度ですが背中に羽は無く、魔力で空を飛びます(速度は人間の足と同じ程度ですが、「翼による飛行」より遥かに高い機動性を持っています)。瞳も赤く、人間型の魔族と同様に虹彩も切れ長なのが特徴です。体格は妖精以上に細く、ほとんど筋肉が付いているように見えません。妖精と同じくらいの寿命を持っていますが、大抵はその前に何らかの危険に飛び込んで命を落としてしまいます。
 召喚魔族は普段は異世界である「魔界」に生息しており、滅多にこの世界に現れる事はありません。時折召喚されて使い魔として使われますが、魔法の束縛がない限り素直に働く事はありません。性質は非常にひねくれている上にいたずら好き、その上に非常に食べ物にいやしく、扱い辛い事この上ないため、現在では滅多に召喚される事はないでしょう。
 召喚魔族の好む武装は杖・ナイフ・短剣・弓矢・フォーク(スピアに相当)と非金属製鎧です。それ以外を使用する事はまずありません。
・召喚魔族の特徴
 人間型の魔族と違い、直情径行型より策略型やわがままなタイプが多くを占めています。「怖いものなし」「好奇心」「お祭り好き」「嫌な行動/騒がしい」「虚言癖」「トリックスター」「自信過剰」「喝采願望」などが適しているでしょう。
 また、天邪鬼と相反する「無感動」「ユーモア精神の欠如」を取得する事はできません。「誠実」で「天邪鬼」という事は少ないですが皆無ではありません。「肥満」「太り気味」「やせっぽち」「巨人症」「矮人症」は存在しません。
・召喚魔族特有の特徴
「魔物共感」(10CP)
 魔族の種族データを参照して下さい。
「強迫観念/天邪鬼」(0/-5/-10CP)
 素直になれません。感謝の言葉は悪態と一緒にしか出ず、素晴らしい案にも一応反対を唱えます。悪口と小突き合いが友情の証であり、嫌な相手には常に辛辣な報復を狙います。一応は召喚魔族特有のユーモア精神なのかもしれませんが、普通の人間にはなかなか理解できないでしょう。〈外交〉〈礼儀作法〉〈言いくるめ〉〈裏社会〉などの「相手と協調するための判定」に−1の修正を受けます。更に-5CPを獲得する毎に、−3まで修正を下げる事が可能です。
「使命」(様々)
 召喚され使役される魔族は、魔法により様々な使命を負わされます。魔族の性格上、「不本意な使命」となる事も多いでしょう(PCには向かないでしょうが)。
・召喚魔族特有の技能
〈飛行〉(肉体/並)
 「ベーシック完訳版」を参照して下さい。
〈隠身〉(精神/並) 技能無し値:〈偽装〉−4
 エルフの同名技能と同じ物です。
〈魔物使役〉(精神/至難) 技能無し値:知力−6(魔族のみ) 「魔物共感」は技能レベル+4
 魔族の同名技能と同じ物です。
・召喚魔族の名前
 この種の魔族は、名前だけで姓を持たないようです。
例:ヘキサ
・召喚魔族の地位
 地位という概念は召喚魔族にありません。一律「0」です。
・PC(プレイヤー・キャラクター)への適性
 あまり数の多い種族ではないので、GMが許可した場合のみPCとして使用する事が可能です。


ヘザー(0CP)(PB)

知力+1(10CP)、魔法の素質1レベル(15CP)、残忍(-10CP)、倫理隔絶(及び反応−3、-15CP)

 ヘザーは、エルフよりやや大きく分厚い尖った耳とほっそりとした身体(ヘザーは身体にぴったり張り付いた服を好みます)、「ヒースの花の色」という種族名の元となったピンクや白、紫の髪をしている種族で、主に〈大陸〉の南方南部や近辺の島々に居住しています。魔法の素質を生まれつき持つ点ではエルフとも似ていますが、性質的にはかなりの隔たりがあります(種的にはやや近いのですが、エルフと人間の共通点の方が大きいでしょう)。詳しく知らずにヘザーを初めて見たキャラクターは、〈神秘学〉〈異種族学〉〈生理学〉のいずれかの判定に成功しないとエルフと間違える可能性があります(状況に応じてボーナスやペナルティを付けて下さい)。
 ヘザーは人間と全く異なる価値観を持ち、善悪の基準や愛情などの捉え方が相容れません。このために人間やその他の種族に平然と凶行を働くため、現在でもヘザーは危険種族の中でも最高であるランクS(発見次第即刻排除)に指定され、時折ハンターに狩られています(ハンターの方が返り討ちに遭う事も多いですが)。ヘザーはエルフに外見が似ているものの、人間と全く異なるヘザーの常識では「エルフを装う」という考えは浮かばないようです。
 現在、ヘザーの多くは人里から離れた所に単独か家族単位で居住しており、人間と接触する事はほぼありません。非常に稀に人間の街でも変わり者のヘザーが見掛けられますが、その場合は個人的に親しい人間が常に側にいるでしょう。ヘザーには頼もしい人物を「ご主人さま」にするという慣習があり、完全な庇護を受ける代わりに相手に自分の持つ全てを尽くします。愛し合う男女が結ばれるのも、ヘザーの感覚では恋愛関係ではなく主従関係の延長です(爆)。
 ヘザーは人間やエルフと混血が可能ですが、普通はそのような事はまず起こりません。残虐行為を理解し難い理由で平然と行う種族ですが凌辱のみは最大の犯罪と見なしているため、例外は「倫理」(後述)を備えたヘザーと「ご主人さま」だけです。
・ヘザーの特徴
 ヘザーは極端に気性が荒く、「高慢」「かんしゃく」「バーサーク」「自信過剰」「乱暴者」「サディスト」などがありふれています。また、「臆病」「戦闘硬直」「平和愛好」「誠実」を取得する事はできませんし、「倫理隔絶」を「倫理」で買い戻さない限り「常識」もダメです。種的に戦闘への適性も高く、「我慢強さ」「戦闘即応」「意思の強さ」もよく見られます。
 人間と共に暮らすヘザーの場合、「ご主人さま」に対する「熱狂」を持つのが普通でしょう。この場合は基本的に何らかの手段(種族をエルフと偽るなど)で公民権を得ている物と見なすため、種族を「秘密」にしてCPを稼ぐ事はできません。
・ヘザー特有の特徴
「倫理隔絶」(-15CP)
 他の種族の倫理を全く理解しません。ルール的には重度の「妄想」に近い扱いを受け、異種族からの反応に−3の修正を受け、異種族に対して行う〈裏社会〉〈脅迫〉を除く全ての対人関係技能に−3の修正を受けます。悪い反応が出ても、気味悪がられはしても哀れまれたりする事はありません。
 この特徴は、「倫理」で買い戻す事が可能です。
「倫理」(15CP)
 他の種族の倫理観を理解可能で、それに従った行動ができます(台所のゴキブリを可愛がったりと、どことなく妙な点は残ってしまいますが)。このため、他種族の反応に受ける不利な修正が初対面の場合を除いて無くなり、「常識」の取得も可能になります。また、この特徴があっても精神的に不利な特徴の効果は変化ありません。ヘザーをPCとして使う場合には、この特徴を取得する必要があるでしょう。
 この特徴を持つと、「倫理」を持たないヘザーからの反応が−1されます。
・ヘザー特有の技能
〈拷問〉(精神/難) 技能無し値:なし 前提:「倫理隔絶」、〈脅迫〉15レベル
 器具や薬、その他様々の非道な手段を使って相手を言うなりにする最低の技能です。これと相手の意思(「我慢強さ」は+3、「痛覚過多」「臆病」は−4、意思堅固さを表す不利な精神的特徴は-5CP毎に+1)で即決勝負を「20−技能レベル(最低1)」時間毎に1回行い成功度の差だけ相手の意思力を低下させ、繰り返し行い意思を限界値の2まで下げた所で相手を為すがままにできる奴隷に変えられます。また、元から意志の弱いキャラクターの場合、〈拷問〉が精神的な中毒を引き起こすかもしれません。通常の中毒のルールの「生命力」を、全て「知力」に読み替えて応用して下さい。
 この技能を持つキャラクターに対しては、反応が−8されます。他人にこれを使用した事が知られれば最低でも年単位の懲役、最悪(最良?)の場合は処刑も十分有り得ます。
〈殺戮〉(精神/難) 技能無し値:知力−4(ヘザーのみ)、〈犯罪学〉−3
 自らの手に持つ技能や装備を応用して、効果的に殺戮を行うための歪んだ技能です。戦闘系技能が最も役に立ちますが、〈毒物〉〈罠〉〈爆発物〉も有効でしょう。方法を思い付いても実行する際にはこれらの技能を使う必要が高くなります。装備不足は技能判定にペナルティは付けませんが、判定に成功しても「実行手段無し」となるでしょう。合法的にこの技能を行使するには〈法律〉も不可欠ですが、ヘザーはそんな事は普通考えません。
 なお、〈動植物知識〉か〈動物学〉も持っていれば、この技能は害虫や害獣を退治する際にも応用は可能です。
 例:ティセはチョコレートを食べたゴキブリさんを、ご主人さまに面倒を掛けずに自力で始末しようとしました。ティセは〈殺戮〉を取得していないので技能無し値の「知力−4」を使用します。〈動植物知識〉判定に成功してゴキブリの生態を知っていたのでペナルティ無しで判定して、目標値10に対して出目は8。「ゴキブリ退治器」「スプレー式殺虫剤」「スリッパ」「ゴキブリ団子」といった辺りを想定できましたが、スプレーとスリッパはとろいので自信がありません。ゴキブリ退治器も在庫が切れていた上にお小遣いも残り少ないので、ルーティの〈化学〉技能を頼りにしてゴキブリ団子を作ってもらう事にしました(笑)。
 例2:ティセはチョコレートを食べた魔獣マモンガーを(中略)。〈神秘学〉判定に失敗したのでペナルティを4点受けて、目標値6に対して出目が16。ファンブルしたために魔法式殺戮トラップを思い付いてそのまま仕掛けますが、マモンガーは魔力を食べてしまいますので失敗するのは目に見えているでしょう(笑)。
〈凶器〉(肉体/難) 技能無し値:敏捷力−6
 金属製の柄からねじ曲がった金属の刺や刃が何本も突き出しているヘザー独特の武器を作成、使用、修理する技能です。特に決まった様式がある訳ではないのでヘザーの間では名前はありませんでしたが、人間達によっていつしか「正体不明の凶器」の総称として名付けられました。
 この武器は肉を引き裂き痛覚を痛め付けるため、ダメージを受けるとあたかも「痛覚過多」であるかのように痛みの衝撃が2倍になります(「我慢強さ」があっても通常通りの衝撃、「痛覚過多」だと生命力判定に失敗すると気絶)。
 この武器を所持しているだけで、ヘザー以外のキャラクターからの反応が−3されます。「平和愛好」のキャラクターからの反応は最高でも「良くない」にしかなりません。
 *凶器
 ヘザー独特の武器です。金額はあくまでも目安であり、通常は自作するか他のヘザーから奪い取るかします。
 切り/振り+2、長さ1、500G、2kg、必要体力9、最大致傷1D+4、ダメージの衝撃が2倍
 刺し/突き+3、長さ1、最大致傷1D+2、ダメージの衝撃が2倍
・ヘザーの名前
 前が名前で後ろが姓という順番は人間と同様ですが、他種族との交流が少ないせいか特異な姓と名前が多く存在します。男性名と女性名の区別もほとんどありません。家族制度もかなりあやふやで、いわゆる「姓」も二つ名と呼んだ方が相応しいかもしれません。
例:ティセ・ディアレック
・ヘザーの地位
 謎に包まれていますが、ヘザーの倫理観からして「地位」などという代物が成り立つ事はないでしょう。上下関係が成り立っても、転覆の可能性を常に含んだ一過性の物です。
・PC(プレイヤー・キャラクター)への適性
 価値観や倫理基準が人間と著しく掛け離れた種族である事を決して忘れてはいけません。強くプレイヤーが望んでGMが許可した場合のみ、なぜ異種族と関わるのかきちんと考えてPCとして使用して下さい(ルナルで銀の月の種族をPCとして使う時の扱いも参考にするように)。PCとして使う場合、「倫理」の取得は必須です。
*ヘザーの倫理観について
 ヘザーは人間やエルフが「悪」と感じる殺人や盗み、破壊行為に禁忌を感じない種族とされています。しかしゲーム内に登場したティセは極めてのんびりしている上にドジで台所の物を破壊しまくり、ゴキブリを可愛いと感じるようなずれた感性が目立つに過ぎません(って、それでも十分無茶苦茶ですが)。
 この点については様々な説が立てられますが、とりあえずこのコーナーでは以下のように解釈させて頂きます。もちろんGMやプレイヤーの皆様が別のヘザー像を抱いているのでしたら、それを大事に育んでもらうに越した事はありませんが。
(a)極度の個人主義と刹那性
 他人の存在や意見や主張やその他諸々を全く気にせず、自分に必要なら平気で踏みにじります。しかもそれには大した理由を必要とせず、「気に食わないから」程度の理由でもヘザーが納得するには十分でしょう。「昨日の敵は今日の味方」「今日の味方は明日の敵」というのがヘザーの日常的な在り方なのです。
 またこの精神的特徴は、他人の価値基準の――尊重でもなく否定でもなく――無視に繋がります。他人がどんな価値基準を持っていてもヘザーは意に介せず自分の価値基準にだけ従うため、ヘザーが集団で何かを行うというのは到底考えられない事です。
(b)自我の希薄さと相対的観点
 ティセが自分を「ティセ」と呼ぶように、「私」という物への認識にこだわりを見せる事はありません。あくまでも存在の基盤は外部と常に繋がりを持つ「私達」であり、「私達」との関係が全てを位置付けます。とはいってもヘザーは徹底的に個人主義ですので、互いに飽きたら自然と関係は解消されます。この自我の希薄さは徹底した相対的視点にも結び付き、何物も絶対視する事はありません。よっていかなる権威も権力も、ヘザー1人すら動かす事は不可能なのです。
 ただしこれの例外は「主従関係」であり、一度結んだ「主従関係」は何にも増して優先されます。婚姻関係や成人するまでの親子関係もヘザーの概念では「主従関係」にあたり、これを破るのはヘザーにとって最大(というかほぼ唯一)の犯罪として扱われます。特に性的暴行は「主従関係」を冒涜する物として憎悪され、ヘザーは暴行犯を苦痛も無しに生かしておく事は決してないでしょう。たとえ暴行犯・被害者の双方がヘザーと縁の無い異種族でも。


#人工的種族

 魔術師や科学者などにより、人為的に作られた存在です。


人工生命体(47CP)(UQ)

敏捷力+1(10CP)、容貌/魅力的(下降不可)(5CP)、超嗅覚(嗅覚判定+6、〈追跡〉+4、1分間掛けて知力判定で匂いを記憶可能、15CP)、暗視(10CP)、柔軟(5CP)、鉤爪2レベル(25CP)、動物共感(5CP)、動物会話(猫限定、5CP)、強迫観念/猫の本能に従う(-15CP)、行動不能/マタタビ(匂いで酔っ払い生命力基準以外の全ての判定及び移動力に−4、-10CP)、好奇心1レベル(-5CP)、不器用1レベル(-3CP)

 ハメットと科学研究所の博士の共同作成で偶然誕生した人工生命体です。猫をベースに作られており、外見は猫の耳と尻尾、それに手足を持つ人間です。手足には出し入れ可能な鋭い爪が付いており、戦闘時には武器として活用されます(手足の構造のため、ブラスナックルを填めたりブーツを履いたりしてダメージを増す事はできません)。髪と体毛は違う色であり、確認された唯一の例であるメロディの髪はピンク、体毛は白です。尻尾には特に注意が必要で、戦闘時に部位狙いされた場合は鼠蹊部と同様に扱われます。
 精神的にも猫の要素を多分に含んでおり、マタタビで酔ったり爪研ぎをしたりする点は全く猫と変わりありません。一代限りの種族ではなく生殖能力も備えていますが、混血した子供がどんな姿や能力を持つのかは今のところ定かではありません。
・人工生命体の特徴
 人工生命体がメロディしか確認されていませんので、種族的特徴と言えるものは基本セット以外に存在しません。
・人工生命体特有の特徴
 特有の特徴についても、今の所は分かっていません。
・人工生命体特有の技能
 ありません。
・人工生命体の名前
 名付け親にもよりますが、人間と同様に名付けるようです。
例:メロディ・シンクレア
・人工生命体の地位
 「家族」として迎えられれば、メロディと同じく通常の人間(など)に準じます。ペットや奴隷として扱われる場合、地位レベルは−1〜−2です。
・PC(プレイヤー・キャラクター)への適性
 基本的にPCとしては使えません。強くプレイヤーが望んでGMが許可したのなら話は別です。


人形(0CP)(UQ)

特になし

 人の姿をした物には、人の心が宿るという伝承があります。特に名人の作った物がそうなりやすいらしく、その中に人形師ルーク・ギャラガーが恋人のヴィオラをモデルにした人形がありました。
 こうして誕生したイヴは人間に近い肉体を備えており、見た目では人形だとは分かりません。傷付くと血も流れます。精神的にも人間と変わりありませんが、やや無愛想で無感情です(肉体と精神のアンバランスが発生させる現象であり、年齢を重ねればギャップは減少するはずです)。生殖能力も備えているため、人間との混血も可能です。
・人形の特徴
 モデルとなった相手や作成者の特徴を引き継ぐ事が多いようです。イヴの菜食や書物好きは、ルークやヴィオラの特徴にも恐らく見受けられたでしょう。年が浅い内は「無感動」「ユーモア感覚の欠如」がよく見られ、経験を積んでもそのまま引きずる事がよくあります。
・人形特有の特徴
 特にないですが、若ければ若いほど感情に乏しい傾向があります。
・人形特有の技能
 ありません。
・人形の名前
 人工生命体と同様です。
例:イヴ・ギャラガー
・人形の地位
 環境によりますが、通常は「0」程度です。
・PC(プレイヤー・キャラクター)への適性
 人工生命体と同じく、普通はPCにできません。


その他の少数種族

 moo系世界には、他にも様々な種族が存在します。GMはバランスを崩さない範囲でデータを作り、シナリオに登場させる権限を持ちます。非常に少数派の種族の中には、生息地域以外ではモンスター扱いされるものもいるでしょう。


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