◆続・義経人名辞典◆

 「少女義経伝・弐」を彩る(一部、「壱」からの人もいますが)キャラクター達の人名辞典です。

・年齢と身長は、コンプリートガイド記載のものです。
・年齢は、……もー追求しません(笑)。
・年の表記は旧暦ですので、便宜的に( )内に記してある西暦とは完全には一致しません(平均して1ヶ月ほど年始が遅れます……というか西暦も、1月1日が年始に統一されるのは比較的新しい時代ですが)。また、改元した年には2つの年号が同居する事にも注意が必要です。
・史実における官職は、時期を問わずに著者が調べて分かった範囲で列記しています。ゲーム開始以前や終了後の官位も含んでいますのでご注意を。

 新登場キャラクター
 既出キャラクター


◇新登場キャラクター◇

佐藤楓(忠信)/さとうかえで(ただのぶ)
/17歳、146cm

 紅葉の双子の妹。双子であるために天分を半分に引き裂くとして忌み嫌われ、九羅香が積極的に付き合うまでは両親や姉ともほとんど触れ合いがなかったが、そんな事を気にしない九羅香のおかげで家族とも少しは接触するようになった。幼い頃から山寺に入れられ、荒行を重ねて奥州随一の巫女と呼ばれるまでになっているが、閉鎖的な環境で育ったために人付き合いに乏しく、初めての友達である九羅香に友情だか恋愛だか分からない態度を取るわ弁慶には殊更に攻撃的になるわと問題も多い。また弁慶に匹敵する妄想の素質を持ち、肩に付いた虫を取られると手籠めにされると勘違いしたりする(汗)。罠作りが得意だったり、寒冷地である平泉で毒サソリを所持していたり、他にも様々な謎がある。300戦不敗のグレイシー柔術呉石呪術の達人であり、戦闘でも「九尾の狐」「孤高の黄華(ここうのおうか)」などの術攻撃で活躍するものの、共感力に欠けるのが災いしてか治癒は下手。
 なお姉と同様「忠信」の名を持つが、何のために持っているかは不明である。
〈史実〉
 ?-文治2(1186)。奥州(平泉)藤原氏や紀伊佐藤家(西行法師の実家)と同じく藤原秀郷の子孫であり、奥州藤原氏当主の乳母を代々出した信夫佐藤家の次男。義経に従い、逃亡中に京で討たれるが、摘発されたのは愛人の密告によるものらしい(汗)。なお、頼朝の家臣と共に無断任官の一員になった際に、頼朝は「秀衡ごときの家臣が任官など前代未聞だ」と罵倒している。

源九郎/げんくろう

 楓が飼っている「狐のような何か」(牙で妖魔にダメージを与える狐が、普通の動物であるはずもないだろう。飼い主も「動物じゃない」と言ってるし)。主人の肩を定位置にしており、命令(口笛)に従い敵を攻撃するが、稀に弁慶の口笛で情報が混信する事もある。
〈史実〉
 もちろん存在しないが、源九郎というのは「義経」の別名(「源氏の血を引く9人目の男子」という意味)でもある。またゲーム内で「忠信」が狐を持っているのは、能(猿楽)や歌舞伎に登場する忠信狐(鼓にされた母の皮を取り戻すため、吉野で忠信に化けた狐)の影響があると思われるが確証はない。

狐2/きつね・に

 源九郎と同じく、楓が飼っている「狐のような何か」(名前は不明)。第二章の一枚絵で狐が2匹登場しており、戦闘シーンでも狐を2匹背負っているのだが、どちらが源九郎でどちらが狐2なのかは分からない。

右助/みぎすけ
左助/ひだりすけ

 玲奈の忍ねこ。右足に模様があるのが右助、左足に(中略)で、右助は左助の兄(つまり雄)だが、左助の性別は不明(名前からすると雄だろうが)。

大天狗/おおてんぐ

 九羅香に鞍馬剣法を伝授した人物(?)。ゲーム本編には登場しない。
〈史実〉
 僧正坊(生没年なし)。実在はしないはずだが、鞍馬の大天狗に義経が剣術を学んだという話は古くから存在し、その剣術は京都で発達した「京八流」と呼ばれるうちの一派という。現在の剣術は鹿島と香取で発達した「坂東七流」に由来するものが多いが、京八流の流れを汲む流派も僅かに存在している。

源頼朝/みなもとのよりとも

 見た目は俗に言うイケメンだが、鎧の趣味が最低な九羅香の腹違いの兄。長年の一族間の抗争(と、恐らくは幼少時の家族離散の記憶)により極めて猜疑心が強く、しかも貴族らしく弁慶の無礼な態度には我慢ならない。もっともその実は、自分で出陣しなかっただけで「女の手柄を横取りした」呼ばわりをされた劣等感が募り、神機の力に目が眩んでしまった情けない兄貴だったりする。また、第十章の政子に対する「私とひとつになろう」発言に見られる通り、実は弁慶に匹敵する鬼畜大王……という事は多分ない。清和剣術なる謎の剣術を使いこなし、奥義「天下統一」「草薙」は極めて凶悪な威力を発揮する……5〜6周目あたりではちょっぴり痒いだけだが。
 好物は鮭の干物。
〈史実〉
 「壱」人名辞典を参照。

北条政子/ほうじょうまさこ

 頼朝の奥方で(なぜか)術使い、しかも使い手のほとんどいない霊攻撃(悪霊を放ち、相手の魂を徐々に蝕ませて殺してしまう)「玄武黒呪殺(げんぶくろじゅさつ)」の使い手で、「獄門開錠」なる奥義も持つ。旦那を煽り立てて神機を使わせるべく、弁慶を再度この時代に呼び寄せた張本人。神機のために狂気に堕ちた頼朝を思いのままに操るつもりだったようだが、鬼畜モードの頼朝に無理矢理合体されてしまう(一部嘘)。
 頼朝を煽り立てて鎌倉源氏を滅ぼし、先祖のものであった鎌倉を取り戻すのを悲願としている……とかいう設定がないのは少し残念。
〈史実〉
 保元2(1157)-嘉禄元(1225)。従二位。伊豆の北条時政の娘、北条(江間)義時の姉。頼朝の正室であり、夫の死後に出家して頼家、実朝、藤原頼経の将軍3代の後見を務める。その間、阿野全成頼家(乳母は比企家の出身)、比企能員(頼朝の乳母であった比企尼の養子、頼家の乳母の夫・妻の父)、一幡(頼家の息子、能員の孫)、時政、牧の方(時政の後妻)、平賀朝雅(比企尼の孫、時政と牧の方の娘婿)、実朝(乳母は政子の妹)、公暁(頼家の息子、実朝を殺害、乳母は三浦家の出身)、後鳥羽上皇、順徳上皇、伊賀光宗(義時の後妻の兄弟)が次々と政争の犠牲になっており(うち、斜体は殺害された人物)、時政とか平賀朝雅とか伊賀光宗とかは政子に責任があるとはいえ、子や孫が次々と殺されるという悲劇の女性でもあった(乱を起こせるほどの大豪族でもない伊賀家を陥れたのはかなり無意味だが)。結果として鎌倉幕府では尊敬されるものの、後の評判は芳しくなく、特に明治以降は逆賊だの息子殺しだの言いたい放題にされてしまう(前者は鎌倉幕府VS上皇の院という権門同士の抗争、後者は……頼家はともかく実朝は乳母も北条家出身なので、殺害しても何の利益もない冤罪と考えられる事が多い)。頼朝が他の女性に興味を向ける事に非常に厳しかった事でも有名。

土佐坊昌俊/とさのぼうまさとし

 教経の二番煎じ的キャラクター(待て)。頼朝の命を受けて九羅香の元へ刺客として送り込まれ、そこで同じお坊さんの弁慶をライバル視する。負けてもライバルらしく高笑いして立ち去るが、頼朝の館で登場した時は何の臆面もなく妖魔を従えて登場し、挙句の果てには景時と共に人間をやめて妖魔と化してしまう、いわば好敵手もどきの末路を辿る。奥義は「豪腕!土佐坊!」なるただの正拳突き。
〈史実〉
 ?-文治元(1185)。「まさとし」ではなく「しょうしゅん」。興福寺の堂衆であり、寺領の代官を夜討ちしたために大番で上洛していた土肥実平に預けられる。源平の合戦では範頼に属して豊後に渡る。文治元年10月に義経の六条室町邸を襲撃するが敗れ、鞍馬で捕まり六条河原で首を晒される。ゲーム内の静曰く、「いわゆる雑魚さん」。

仮面の男/かめんのおとこ

 鎌倉から腰越へ戻る途中の弁慶達を襲った妖魔を率いていた男。後に平泉でも泰衡を罠に掛けて惨殺し、京でも鈴がいる寺を襲撃する。術者としては大した事はないが、斧で放つ奥義「滅死斧撃(めっしふげき)」は高い威力を誇る。その正体は、変装看破能力の低さを誇る某自警団第一部隊隊長の養女でない限り、「壱」をプレイしていれば分かるはず。

藤原秀衡/ふじわらひでひら

 奥州(陸奥国)を広く支配している領主で、平家亡き後は鎌倉に対抗できる唯一の武士と目されている。佐藤姉妹の主家にあたり、九羅香にとっても父のような存在(当然、弁慶よりは頼りがいのありそうな人物)。鎌倉に追われる九羅香一行を快く迎え入れ、鎌倉からの引き渡し要求も跳ね除けるが、甘言に乗せられた泰衡に殺害されてしまう。
〈史実〉
 「壱」人名辞典を参照。細かい事を言うが、「ふじわらひでひら」ではなく「ふじわらのひでひら」。歴史講座で言っているように勝手に藤原姓を称したのではなく、京でも公認されたれっきとした藤原秀郷の末裔で、西行法師や佐藤一族とも親族にあたる(とはいっても佐藤一族とは200年以上前、摂関家とは500年近く前に枝分かれした遠い親戚だが)。奥州全土を支配していたわけでもなく、本来の勢力圏外の領主は、信夫佐藤家のような例外を除くと、大半があっさりと鎌倉に付いている。

藤原泰衡/ふじわらやすひら

 秀衡の息子。都の名門の出であるうえに、人々を惹き付ける魅力を持つ九羅香を快く思っていない。鎌倉の刺客を誘い込んで秀衡を殺させ、さらに妖魔を操り九羅香まで殺そうとするが、制御できない妖魔の集団になぶり殺しにされ哀れでない最期を遂げる。
〈史実〉
 ?-文治5(1189)。陸奥・出羽押領司。正しくは「ふじわらのやすひら」。次男だが母が藤原基成(元陸奥守)の娘であるため、長男の国衡ではなくこちらが跡取りとなっていた。ゲーム内とは違い秀衡を殺したりはしていないが、秀衡が死んだ1年半後に義経と弟の忠衡を殺している。頼朝に奥羽へ攻め込まれ、館を自ら焼いて蝦夷ヶ島(北海道)に落ち延びようとするが、比内郡で郎従の河田次郎に殺害され、紫波(斯波)郡で首を晒される(この時に頼朝は、安倍頼時の首を晒した際の故実に厳密に従わせ、泰衡の首を鉄釘で打ち付けている)。その後首は中尊寺に返還され、秀衡の棺の中でミイラ化して現在に至る。
 金色堂に収められていた首の調査結果によると、享年は20代半ばで血液型はB型。

比企/ひき

 鎌倉方の武士の家。九羅香一行(と巴)が奥州から関東に攻め込んだ際に、手薄な鎌倉へ援軍を出すように言われたが、頼朝と九羅香のどちらが生き残っても構わないため命令を無視する。
〈史実〉
(a)比企朝宗(生没年不明)。北陸道観農使。頼朝の乳母であった比企尼の子。義仲の滅亡後は北陸道の管理にあたり、後に範頼に従って西国へ下る。その後再上洛し奈良で義経の家臣を捕らえ、奥州追討にも従軍している。娘は北条義時の妻。
(b)比企能員(?-建仁3(1203))。右衛門尉、上野・信濃守護。比企尼の甥であり養子となる。源義高の残党と信濃で戦い、後に豊後まで下り、平泉との戦では北陸道大将軍として出羽を平定、翌年の大河兼任の乱でも東山道将軍となっている。頼朝の没後は頼家の周囲を一族で固めるが、頼家が危篤の際に将軍としての権限を時政が一幡と実朝に分割させる事を決めさせたため、頼家と共に時政を排除しようとするが、本人は時政におびき出されて時政の館で殺され、一族も一幡の館で殺される。

三浦/みうら

 鎌倉方の武士の家。ゲーム内での行動については「比企」を参照。……ちなみにこの一族の本拠は、鎌倉のすぐ隣にある三浦郡。
〈史実〉
 三浦義澄(大治2(1127)-正治2(1200))。三浦介、相模守護。石橋山で敗れた頼朝が安房に逃亡するのを助け、後に周防まで下り、奥州でも戦功を立てる。上洛した際に右兵衛尉を授ける旨を打診されるが、その権利を息子の義村に譲っている。没後は侍所別当である甥の三浦(和田)義盛が一族の代表となったらしいが、義村は和田合戦(建保元(1213))で義盛一族の排斥に加わり宗家の地位を取り戻した。また、義村は公暁(乳母が三浦家の出身)による実朝(乳母が北条家出身)殺害の黒幕と目されているが、頼ってきた公暁を見捨てて事無きを得ている。しかし義村の息子の泰村が宝治元年(1247)に北条時頼と安達景盛により一族の大半と共に殺され、宗家の地位を分家の佐原家に奪われると共に三浦家は政界の中枢から脱落していった。なお三浦郡に居残った宗家は戦国時代初期に滅亡するが、数多い分家は現在も存続している。

源氏兵/げんじへい

 黒い鎧と弓矢を標準装備した、「壱」とは似ても似つかぬ源氏の兵士……というか平家兵の色違い。弓による攻撃を好み、できるだけ隣接せずに相手を仕留めようとする、ゲームの雑魚としては非常に珍しい行動を取る(笑)。しかも大半が術の使い手でもあり、某自警団員もどきと侮ると痛い目に遭うだろう。
 一応言っておくが、奥義の説明文にある「板東武者」は正しくは「坂東武者」。
〈史実〉
 「壱」人名辞典を参照。出自は大半が平氏か藤原氏であるが、その事は指摘しないのが良いプレイヤーであろう。

関守/せきもり

 平家兵の色違い・その2(笑)。北陸道の途中の安宅に関所を構えている。旅芸人を装った九羅香一行を通そうとしたところで正体に気付きかけるが、九羅香を(演技で)折檻する弁慶を見て騙され、結局そのまま通してしまう。
〈史実〉
 存在しない。ただし歌舞伎の「勧進帳」では、加賀でも有数の領主である富樫家の侍として登場し、旅の山伏の仲間には見えない義経を怪しむが、弁慶の行動を見て疑念を解いて見逃してしまう(実は弁慶の振る舞いに感動した富樫が鎌倉の処罰も恐れず通したともいうが)。ちなみに富樫家は鎌倉幕府でも室町幕府でも外様であったために厚遇されず、管領細川政元の敵となったために親政元派の加賀一向一揆と戦った政親が戦死してから衰退していった。

奥州兵/おうしゅうへい

 平家兵の色違いではない兵士。国境から紅葉が療養していた所へ馳せ参じてくれた時は頼もしい味方だが、実際に戦闘で支援してくれたりする事はない。秀衡が殺された際に泰衡に煽動され、九羅香達が秀衡を殺したものと勘違いさせられ、さらに泰衡が妖魔に殺されたために誤解が助長され、九羅香達を追い回す事になるが、やはり戦闘で敵として出てきたりする事はない。……なお、エンディング後にはあっさり誤解が解けている。
〈史実〉
 厳密には奥州・羽州兵。その内実は、平泉の本来の勢力圏である陸奥奥六郡・出羽山北の小領主がそれぞれ率いる忠誠心の比較的強い集団と、他の地方にいて平泉に対して忠誠心が期待できない集団に二分される。もちろん、その装備は他の地方の武士と大して変わらない。

検非違使/けびいし

 第一章で、妖魔出現の知らせを受けて真っ先に向かった一団。紅葉に「恐らく歯が立たない」と言われたが、弁慶の目の前に一度も登場しなかったあたり、やっぱり歯が立たなかったらしい(汗)。
〈史実〉
 「令外の官」と呼ばれる律令規定外の官職の中でも古株で、この時代より400年近く前から(200年近く後まで)存在している、京都の警察に相当する職(なぜか防水や衛生管理も担当しているが)。官庁は「検非違使庁」と呼ばれ、別当(長官)は公卿と、一般構成員は(「義経」のように)衛門府と兼任。律令官職である京職とは違い、治外法権を持つ貴族達(武家の上位者も含む)にも裁きを及ぼせるように、検非違使の指令は天皇の命令(勅令)に準じる効力を持たされている。下っ端は「放免」と呼ばれ、江戸時代の江戸で町奉行所の与力や同心が使う「岡っ引」と似た存在である。なお地方でも、「検非違所」と呼ばれる官庁に検非違使が所属していた国が存在する。

紅葉と楓の両親

 信夫佐藤家の当主夫妻(……のはず)。双子の片割れである楓を忌み嫌い、巫女の修行をさせるために山寺に放り出している。一応後には和解できたらしいが、母親は紅葉エンディング2では既に死亡しており、弁慶が娘を連れて墓参りに来ている。

紅葉の娘

 紅葉エンディング2で、弁慶と共に「お母さんのお墓」をお参りしている子供。ちなみにお母さんとは紅葉の事ではなく、紅葉の母親(娘からすると「お祖母ちゃん」)を指している。

佐藤家の家臣

 紅葉が妹に会おうと家出をした時に、夜間に山狩りをして探し出した人達。以上。

与一の父

 第一章の章末に与一が読んだ手紙を書いてよこした人。情勢だけ書いて判断を与一に任せる辺り、十分信頼を寄せているらしい。

与一の弓の師匠

 与一に眼鏡を渡した人物。…………という事は、この人も未来人、しかも京都に思い出がある長野先生という可能性が……(←ないない)。

真菩提樹/しんぼだいじゅ

 知盛が大陸から苗を手に入れていた霊的な樹木。800年に一度花を付け、その蜜はいかなる病も癒し、死者を呼び戻す事もできる。知盛は清盛復活にこの樹を使おうと考えた事もあったが、結局は観月を清盛の依代とした。政子に魂を殺され絶命したヒロインを救うために、弁慶は(今回は)自分の意思で神機の封印を解き、観月が植えてから800年後(つまり現代)の真菩提樹から花を手に入れる事になる。


◇既出キャラクター◇

主人公(武蔵坊弁慶)/しゅじんこう(むさしぼうべんけい)

 今回のデフォルトネームは「武蔵坊弁慶」。今回も性懲りなく(?)、傷心旅行中に旅館の窓から転落して、前作終了から2ヶ月後の京に出現するが、ここでお約束の記憶喪失を起こしてしまう。噂を聞いた九羅香に保護され戸惑うものの、その数日後の妖魔との戦いの中で記憶を取り戻し、九羅香と一行に待ち受ける死の運命を退けるために、再び薙刀を手にして戦う事となる。
 ……と言うと何だかかっこいいが、煩悩は前作を大きく上回り、いけない妄想の数々はさておくにしても、九羅香の笛で間接キスをせがんだりするあたり、人として何かが終わっているとしか思えない。しかし前回とは違い歴史にも堪能になっており、とはいえ高校生レベルなので、筆者のよーないらん突っ込みで世界設定を崩壊させたりする事もない。
 戦闘では相変わらずの肉体派。しかし「武」攻撃ばかりでは近接しないと攻撃できないので、「飛」攻撃も装備しておきたい。「現代人」により与える術ダメージが少なくなるので、「術」攻撃は合体技を使うのがせいぜいだろう。
 また、自称は「平教経をうならせた男」(おい)。静曰く「野人のような人」(更におい)。ふたりっきりになると意外と甘えん坊らしいが、楓じゃなくてもそんな情報はいらないだろう。ついでに言うとバナナが好き。

源九羅香/みなもとのくらか

 相も変わらず「ぶらこん」気味の源氏の(一応は)姫君。女性だとばれたにもかかわらず、武士としての務めを続けている稀有な存在……でもないかこの世界だと。憧れの兄との対立に身悶えしながらも、仲間を護り戦い抜く。行動はヒロインというよりヒーローだが、その分をサービスシーンで補っている(待て)。
 今回は基本的に、「武」「飛」攻撃を頻繁に使う事になる。奥義に広範囲攻撃の「瞑想螺旋」が追加されたが、これは「術」攻撃なので2周目以降に期待しよう。
 寝る前に甘い物を食べるのが好きで、その栄養は主に胸へ向かっているらしい。また書類仕事の時にも甘い物を食べるのが好きで、弁慶に「普段頭を使わないから」とひどい事を言われている。

佐藤紅葉/さとうもみじ

 九羅香の副官で、こちらは男装をやめていないらしい(汗)。戦闘中に体調を崩すという設定が、めでたく戦闘システム上で再現された(ランダムで「毒」状態になるだけだが)。世話していた戦災孤児は、そろそろ自活できるかどうかという所である。そこに妹の楓が訪れて一波乱あるのだが……。
 日常の役立ちぶりとは裏腹に、今回も戦闘では微妙に中途半端だが、移動力の高さを活かして遊撃兵として活動可能。弁慶や九羅香ほど頑丈ではないので、あまり最前線に立たせるのはやめておこう。
 最近ますます胸が大きくなってきており、さらしを巻くのも一苦労するようになっているとか。しかもこのシーンは、弁慶の妄想のおかげで一枚絵として拝めます(笑)。

静御前/しずかごぜん

 相も変わらず暢気な一行の軍師。弁慶を「明るくえっちな男の子」と認識し、隅から隅まで研究しているという魔性の女だが、実は異国に旅立つ前に、日本での心残りがないようにあれこれ体験しておこうとも計画している。今回はゲーム内でも「静の鎌倉講座」を準備万端整えており、EDの必須イベントとなっている。
 やはり戦闘では術中心。一応は扇でもMA基準ダメージを与えるが、「天然ボケ」によりクリティカル率が低くなっているので、普通に「術」攻撃をするのが得。
 なお公式ガイドによると、誕生日は1月31日。当時の暦(旧暦=太陰太陽暦)では全ての月が29日か30日(年により変動)で、31日になる月は存在しないのだが、「弐」電子密書Vol.13によるとスタッフが(恐らくはユリウス暦に)換算済みらしい。

那須与一/なすのよいち

 あまり見た目や言動に変わりはないが、一応は鎌倉からの与力なので、鎌倉との関係がもつれる中、将来の身の振り方に悩んでいる。今回、眼鏡が弓の師匠から貰ったものだと判明し、「師匠=未来人」疑惑が急浮上している。
 戦闘ではイメージ通り、「飛」攻撃で活躍する。「武」攻撃は、移動力が低くて「武」ダメージにも弱いため、手を出さないのが無難である。
 好きなものは柿、嫌いなものはかたつむり。更に言うならば、「那須与一だからナスが好き」などという下らないダジャレも嫌い。前作では温泉シーンで涙を飲んだプレイヤーも多いだろうが、今回はちゃんとサービスシーンがあるのでご安心を。

伊勢玲奈/いせれいな

 「壱」では弁慶に「胸が無いから密着しても平気」と断言され、今回も弁慶に「成長している部分を発見できない」と断言された、静曰く「人気層がマニアック」な忍者少女。隣接攻撃なのに「飛」攻撃という伊勢流体術(というか手裏剣術)を駆使して、忍ねこの右助・左助etc.と共に戦う。
 戦闘ではイメージ通り以下同文。移動力は高いが打撃力に欠けるため、1周目の序盤で十分強化しないと後々苦労するだろう。
 相変わらず女性らしいものに憧れており、忍ねこをかつらに化けさせてまで「忍法・女装の術」を披露してくれ――、
(ただいま虐殺中です。チャンネルはそのままでお待ち下さい)

平観月/たいらのみつき

 今回はとうとう術使いとして戦場デビューを果たす元ラスボス(おい)。一族全滅の悲劇の前に抜け殻のようになっていたが、九羅香達の力になろうとする強い意志が心を引き戻した。その後は健気にも「外法・魂喰らい」「盛者必滅」をはじめとする様々な術攻撃を駆使して、義経軍の「えーす」として輝く事となる(汗)。
 前述の通り、戦闘では2大必殺技を連発するだけで大抵の敵は薙ぎ倒せるので、時々心眼が曇り(?)「暗闇」状態になるのも苦にならない。移動力も高いので、使い勝手では術使いでも一番良いだろう。
 余談だが清盛は「おじい様」で知盛は「お兄様」。つまり重盛(知盛の兄)の末子あたりで、父が死んでから知盛を兄と慕っていたと考えたい(かなり無茶だが)。

長野先生/ながのせんせい

 言わずと知れた主人公(弁慶)達の担任。京都は思い出がある場所だという。B90、W60、H90のナイスバディ(情報提供:鈴木)。今回も京都まで来て同じ旅館に泊まっているのだが、残念ながらゲームの画面には出てこない。

鎌田/かまた
鈴木/すずき

 京都への旅行に同行してくれた、主人公(弁慶)の悪友コンビ。コンプリートガイドでも正式に、眼鏡の有無で2人の識別がなされている(汗)。どことなく吹っ飛んだ味わいの鈴木に対して、鎌田は淡々と煩悩を口にするが、性格面での識別は至難の業であるといえよう。

鈴/すず

 京のある寺で、紅葉の援助を受けながら生活している戦災孤児達の1人。静に懐き兵法を教わっているが、紅葉はもっと普通の生活を送ってほしいと思っている。

源範頼/みなもとののりより

 今回は九州で事後処理中の、九羅香の腹違いの兄で頼朝の腹違いの弟。ゲーム内には全く登場しない。

梶原景時/かじわらかげとき

 相変わらず性格設定に広がりのない頼朝に絶対服従して、九羅香を敵視して抹殺を図っている鎌倉の腹心(というか、1人しか腹心がいないなんて頼朝って寂しい奴……)。壇ノ浦で封印された神機を海底から引き揚げ、ついでに瀕死の廉也を捕獲して鎌倉に連れ帰った。腰越で九羅香達が鎌倉に入るのを妨害したり、北陸道で倒れた紅葉を庇っているところを周辺の武士団を掻き集めて襲撃したり、鎌倉の入口で妖魔を従えて登場したりするが、いつもとどめを刺せずに逃がしてしまう。最終決戦の直前では唐突に妖魔と化して登場するが、恐らくは逃げ出した後に政子の手により殺害か幽閉され、土佐坊と同時に妖魔に改造されたと思われる。静によると「交渉事が得意」らしい(ただし玲奈は信じていない)。
 今回は「卑劣な一撃」なる奥義を使うが、股間をクローズアップするのは何とかしてほしい。

法皇/ほうおう

 説明不要な人。九羅香と親しくしようとしていたらしく、そこを弁慶に警戒されるが、ゲーム内では(史実の後白河法皇のような)あんな事やそんな事は一切していない。

巴御前/ともえごぜん

 故・ゲーム内では登場する間もなく紅葉に討ち取られた義仲に仕えていた、長野先生にそっくりな女武者。「壱」の最後で九州に旅立ったはずが、船が難破して奥州にたどり着き(ただし本人の見解)、秀衡に厄介になりながら義仲の仇である鎌倉に抵抗するための活動を行っていた。しかし他出している間に秀衡は殺され、弁慶とヒロインの危機を救って平泉を脱出、九羅香一行の鎌倉攻めに協力する事になる。鎌倉攻めでは途中の障害を1人で排除するという男前振りを見せるが、京に戻った時に妖魔の大群を前に自爆して壮絶に果て……たかと思いきやしっかりと生きていて、鎌倉再挑戦の際にもあれこれと活動する。ただし戦闘には一切参加せず、もちろんエンディングもないのは残念なところ。

北条/ほうじょう

 鎌倉の有力御家人。以前は与一EDにしか名前が出なかったが、今回はめでたく本編内の与一の台詞で言及されている。当然ながら、北条政子の実家でもある。

足利/あしかが

 鎌倉の有力御家人。以前は与一EDにしか名前が出なかったが、今回はめでたく本編内の与一の台詞で言及されている。

安達/あだち

 鎌倉の有力御家人。北条や足利とは違い、今回も与一ED1で存在が言及されるだけだが、ちゃんと表記は「足達」から修正されている。

妖魔/ようま

 人の魂を喰らう魔物。本体は物理的な肉体を持たない怨念を持つ魂で、それを鎧に封じ込めてある。術者に「鬼門」から召喚・使役されるのが普通で、妖魔単独では現世に長時間存在する事はできない。ちなみに喰らわれた魂は新たな妖魔となるため、放っておくと増えて増えて増えて増えて手に負えなくなる。
 頭巾を被った弱い方を「妖魔兵」、覆面をしている強い方を「上級妖魔」と呼ぶ。使役はそこそこの術者でも可能だが、術者でない者が使役する事は絶対にできない。召喚は高位の術者でないと不可能。
 静御前説によると、人間の闇への恐怖(というか妄想)が具現化した存在ではないかという。真実は定かでないが。

神機/じんき

 今回は正式に剣、鏡、勾玉のセットとなり、頼朝のビームサーベル(違)に長射程通常攻撃を与えた恐るべき代物。天皇の血を引くなら使用は可能のようだが(なお該当キャラクターは、父系だけを考慮しても九羅香、観月、頼朝、政子、景時、範頼、義仲、知盛、教経、敦盛、清盛、法皇)、神機解放の鍵となる非常に特殊な人物がいない限り、実際に起動する事はできない。なお、九章の戦闘1で観月が言っているように、生贄をやっても無駄である。


※参考資料:前回に同じ。


(C) 2005 VRIDGE / (C) 2005 AMS / (C) 2005 WellMADE
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