苗床の押韻詩

「マザー・グース」とかの、かなり不真面目な和訳。
個人的に「マザー・グース」の本領と思っている、いわゆる「パワのある」「ニューロンに悪い」詩に重点しています。

Wikipedia英語版の「Category:英語のナーサリーライム」などから。

作成:2018/7/14、更新:2018/8/7


As I was going to St Ives

私がセントアイヴズに行ってる時、
私は一人の人に会って――七人も妻を連れてるって、それ何てエロゲー?――
各妻が七袋を持ち、
各袋は七匹の猫を入れ、
各猫には七匹の子猫がいた。
子猫ー、猫ー、袋ー、妻ー、
セントアイヴズに行ってるのは、さあいくつ? *英語に助数詞はない。

人は一人妻は七人袋は四十九猫は三百四十三子猫は二千四百一、合わせて二千八百一。私を足すと二千八百二。
だけどもそれは会っただけ。セントアイヴズから来たかも行くかも分からない。
セントアイヴズに行ってるのが確かなのは、ああ私だけ、私だけ!


Baa, Baa, Black Sheep(Original version)

べえべえ鳴くよ黒羊
どれだけ羊毛あるのやら
へえへえ、よろしいほどにありますだ
三つの袋一杯に
二袋はうちの旦那様
一袋はうちの奥様へ
ちっちゃい子のためには何もない
嘆きは路地に満ち満ちて

*生産者の取り分がないだけ、一般バージョンよりさらにひどい。


I do not like thee,Doctor Fell

我は汝を好かぬ、フェル博士よ
無二の所以は何ぞや、我語るまじ
されど我は知る、満ち満ちて知る
我は汝を好かぬ、フェル博士よ


Hey Diddle Diddle

おーい、だまし野郎、だまし野郎
猫はフィドルを弾いててさ
牝牛は月を飛び越えた
ちっこい犬は笑ってら
見たとこなかなか面白い
皿の料理はスプーン添えて走り去った

*ちなみに私は、粥村をブリー村に変更されたのを納得できない旧訳過激派です。


Monday's Child

月曜の子はうるわしい顔
火曜の子はほまれに満ちて
水曜の子はつらさに満ちて
木曜の子はどこまでも遠くへ
金曜の子は愛して与えて
土曜の子は猛勉強、生きるため
そして安息日に生まれた子は
愛らしく朗らか、そしていい子で賑やかだ *「gay」はそういう意味ではない。

そして日曜はどこ行った、安息日は土曜なのだから


Sing a song of sixpence

歌え六ペンス銀貨の歌を *六ペンス=半シリング=1/40ポンド。
懐はライ麦で満たされて
四と二十の黒歌鳥は
練粉で包み炙り焼き

練粉を開けてみたときに
総出で鳥は歌い出し
うまい御膳でないとでも
君の御前へ出す物が

館の君は勘定場
君のしろがね数えつつ
館の北の方は書院
パンと蜂蜜召しまして

館の女房は庭におり
お召の衣干しており
ちいさき鳥が空から来たり
女房の鼻はそがれたり *「ミミヲキリ、ハナヲソギ」とは関係ありません。


What Are Little Boys Made Of?

男の子たちはなんでできてるか知ってるかい?
男の子たちはなんでできてるか知ってるかい?
なんかの切れ端とナメクジたちに
ちっこいわんこたちの尻尾だよ
あんなので男の子たちはできてるよ

女の子たちはなんでできてるか知ってるかい?
女の子たちはなんでできてるか知ってるかい?
お砂糖と香辛料ざっくざくに
とってもいい物ありったけ
あんなので女の子たちはできてるよ


To market, to market(later in the nineteenth century)

市(いち)へ行こう、市へ行こう、肥えた豚を買おう、
うちへ帰ろう、うちへ帰ろう、足取りジグティ=ジグ。

市へ行こう、市へ行こう、肥えた去勢雄豚を買おう、 *日本語にすると長いので、同じ節回しにするのはあきらめて。
うちへ帰ろう、うちへ帰ろう、足取りジグティ=ジグ。

市へ行こう、市へ行こう、プラムの入った丸パンを買おう、
うちへ帰ろう、うちへ帰ろう、市はもう終わったよ。


Roses Are Red(the modern clich? Valentine's Day poem can be found in Gammer Gurton's Garland)

薔薇は赤く 菫は青い
蜜は甘く 貴方もまた
君は私の想い人 我が身細るほど
私は君の気を惹く 私のウァレンティヌスの日に
他と無いくじ引きは宣言された 私が惹かれた時
そして運命は述べる それは 貴方であろうと


Bobby Shafto's Gone to Sea

ボビー・シャフトーは海へ行った
銀の留め金が奴の膝に
奴は帰ってきて私と結婚
素敵なボビー・シャフトー!

ボビー・シャフトーはきらきらして色白
翻してるぞ奴の黄髪
奴は私の愛しい人、もうずっと
素敵なボビー・シャフトー!

*なお実在の人物。→Wikipedia英語版「Robert(Bobby) Shafto」


Eeper Weeper

イーパー・ウィーパーは煙突掃除人
ワイフを持ったが続かない
別に持ったが愛せずに
煙突登ってワイフを押し込む


The Lion and the Unicorn

かの獅子と、かの一角獣
冠かけて争って
獅子は一角獣を噛んで
町の周りをぐるぐると

こいつらにいくらかのパンをやり
こいつらにいくらかの黒パンをやり
こいつらにいくらかのプラムケーキをやり
太鼓のように叩いて町から出した


The Grand Old Duke of York

おお、偉大なるヨーク公
かのお方は千を十倍した数の勇士を率い
勇士を丘の上へと勇ましく進軍させたもうた
そして勇士は丘の下へと降りてきた

上がった時には上がってく
下がった時には下がってく
半分の道のりだけ上がった時には
勇士は上がりも下がりもしない


Hot Cross Buns

熱々(あつあつ)の十字丸パン! *ちょっと狂信的な目つきで。
熱々の十字丸パン! *ちょっと狂信的な目つきで。
一つ一ペニイ、二つも一ペニイ、 *価格は原詩ママ。
熱々の十字丸パン! *ちょっと狂信的な目つきで。

もし貴方様に娘さんがおらずとも
貴方様の息子方に差し上げましょう
一つ一ペニイ、二つも一ペニイ、 *価格は原詩ママ。
熱々の十字丸パン! *ちょっと狂信的な目つきで。


I Had a Little Nut Tree

うちにはあるよ、幼い堅果の木
まだまだ全然実はなってない
白銀(しろがね)のナツメグだけでなく
黄金(こがね)の洋梨もなるだろう

イスパニアの王女がおりまして
うちにいらして御滞在
そしてすべてはそのために
私の幼い堅果の木

王女のお召しは茜色
黒玉こそは王女の御髪(おぐし)
王女が問うたはうちのナツメグに
うちの黄金の洋梨も

「極めて麗しき王女殿下
 未だかつて目にしておりません
 殿下に全ての果実を献上いたしましょう
 ここのまだ幼き堅果の木から」


As I was going by Charing Cross(Modern versions)

私がチャリング・クロスに行ったとき
黒馬に乗った黒衣の人を見た *「black man」がまさか「色黒の男」という事は……。
みなが言うには、それはチャールズ1世王
ああなんと、私の心臓は弾けそう!


Little Arabella Miller

小さなアラベラ・ミラーちゃん
見つけたふさふさした毛虫
毛虫はお母さんによじ登り
ちっちゃな弟に乗っかった
「うぐあ」とアラベラ・ミラーちゃん
「除去せよそこな芋虫を!」

(やり直し)
「いやあ」とアラベラ・ミラーちゃん
「毛虫をどこかやっちゃって!」


Humpty Dumpty

ハンプティ・ダンプティは壁に腰下ろし *「wall」は城壁のような分厚いのを想定。
ハンプティ・ダンプティは大落下
全ての王の馬と王のしもべも
再びハンプティ・ダンプティを押し戻せぬ

ところで、ハンプティ・ダンプティを卵ではないと仮定した場合、どのような答が適切なのでしょう?


The Queen of Hearts (poem)
〜ウンスンカルタと混ぜてみた〜
*なお、バージョンにより札の名前は異なるみたいです。

コツの御札のカバ殿は *「コツ」はウンスンカルタの札で、「杯」に相当する。「カバ」は騎馬武者の札。
タルトを焼いておられたと
暑い盛りの夏通し

コツの御札のソウタめは *「ソウタ」は女従者の札。
数多のタルト盗みおる
立つ鳥跡を濁さずに

コツの御札のレイ殿は *「レイ」は王様の札。
タルトにつきて公事(くじ)開き *公事は訴訟。
怒りに満ちてソウタ撃つ

コツの御札のソウタめは
盗みしタルト差し戻し
二度といたしはせぬと誓(ちこ)うた

でも中世なら死刑か、情状酌量でも鼻をそがれるよね。


Aiken Drum

月に住まう桂男、月に、月に
月に住まう桂男
それはエイケン・ドラム

お玉の上で遊ぶよ、お玉の、お玉の
お玉の上で遊ぶよ、
それはエイケン・ドラム

髪は素敵なクリームチーズ、クリームチーズ、クリームチーズ
髪は素敵なクリームチーズ
それはエイケン・ドラム

上着は素敵なローストビーフ、ローストビーフ、ローストビーフ
上着は素敵なローストビーフ
それはエイケン・ドラム

留め具はちっちゃいパンの塊、塊、塊
留め具はちっちゃいパンの塊
それはエイケン・ドラム

上っ張りはかりかりパイ皮、パイ皮、パイ皮
上っ張りはかりかりパイ皮
それはエイケン・ドラム

半ズボンはハギス丸ごと、丸ごと、丸ごと
半ズボンはハギス丸ごと
それはエイケン・ドラム


Who killed Cock Robin

だあれが殺したクックロビン? *「パタリロ!」を思い出しながら。思い出さなくてもいい。
私と言うたのは雀
私の弓と矢を以て
私が殺したクックロビン

だあれが見てたか死ぬところ?
私と言うたのは羽虫
私の些細な目を以て
私が見てた死ぬところ

だあれが受けてた血溜まりを?
私と言うたのは魚(うお)よ
私の小皿を掲げ持り
私は流るる血を受けた

だあれが作るの奴の死衣(しえ)?
私と言うた黄金虫
私の糸と針以て
私が死衣を繕わん

だあれが掘るのさ奴の墓?
私と言うたのは梟
私の鶴嘴と円匙で
私は奴の穴を掘る

だあれがなるのか牧師様?
私と言うたは深山(みやま)の鴉
私の携う小さな書にて
私は牧師を営まん

以下略!クックロビンは死んだ!解散!!


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