01.移動系
02.音声系
03.技術系
├03-1.機械系
├03-2.動力系
├03-3.放射線系
└03-4.金属・プラスチック系
04.幻覚・作成系
05.呪文操作系
―移動系呪文―
・「マジック」の呪文
《べたべた》
「表面がねばねばの状態に」なる標準設定の状態では、生物にしか効果がない《足止め》とは違い、一定以上の大きさの無生物も張り付く事にします。GMの好みにより、生物にしか効果を持たないという設定に変更しても構いません。
履いている履物や、足元の薄い敷物(ござやカーペット辺りまで)は、この呪文の力が貫通すると見なします。《べたべた》の掛かったキャラクターが乗っているカーペットを無理やり引き剥がすと、足元の部分を残したまま引き裂かれたカーペットを回収できる事でしょう。
目標が張り付いている面積は、脱出する際の抵抗判定とは無関係とします。もちろん《べたべた》の発動時に転倒していれば半身が床に張り付き、自由になるまで姿勢変更ができなくなります。
《念動》
浮かせたりする必要のない場合、以下のボーナスを得る事をGMは認める事が可能です。「ベーシック完訳版」P120の「持ちあげる」を参照して下さい。速度は秒速1mのままです。
滑らかで平坦な面の上を引きずる:重量を半分に計算
雪の上をそりで引きずる:重量を4分の1に計算(乗り物の重さも忘れないで下さい。以下同じく)
二輪車に載せて曳く:重量を10分の1に計算、道が舗装されていれば更に半分に計算
四輪車に載せて曳く:重量を20分の1に計算、道が舗装されていれば更に半分に計算
《倍速》
強制的に解除された場合、目標の疲労は《倍速》の恩恵を受けて行動できたターン数の半分(端数切上げ)とします。
《錠前師》
〈鍵開け〉で鍵を使わずに錠前を閉じる行為を認めているなら、この呪文(および《鍵開け》)でも錠前を閉じる事が可能とします。《魔法の鍵》とは違い、錠前が付いていない扉を閉じる事はできません。
《鍵開け》
この呪文では、かんぬきやつっかい棒を取り外す事はできません。これらは機械的な仕組みを持つ錠前ではないからです。電子ロックを開けるかどうかは、施錠部分の構造とGMの判断次第です。
《従者》
武器に掛けてもルーチンワークでしか作動しないため、同じ無生物に振るい続ける事しかできません。扉を殴り続けるのがせいぜいで、戦闘に使うのは論外です。
《騒霊》
敵の武器に掛けて弾き飛ばす事も可能です。呪文の体力(15)と武器所有者の体力、または使用している武器技能で抵抗を行いますが、何らかの手段で使用者の身体に固定しているサイバーウェアの鉤爪や翼人のジャイグ等を吹き飛ばす事はできません。《飛ぶ剣》でも同じ事は可能ですが、特定の相手に射撃する事はできません。ましてや使用者に命中させるのはもっての外です。
《瞬間移動》
術者の体重+装備重量が5kgまでなら、《他者移動》と同様に消費エネルギーを半分(端数切上げ)にできます。
《瞬間回避》
人間より小さな障害物のあるヘクスに飛び込んだ場合、術者と障害物は基本的に衝突する事はありません。軽く押しのけられる固体(羽毛の山など)、液体、気体は、ヘクス全体を占めていても障害物とは見なしません。
《瞬間回避》する先に障壁があったり、足場のない空間になっていたりする場合、術者は危険を覚悟で飛び込むか、飛び込まずに攻撃をそのまま受けるかを選択できます。障壁の向こうの状態は、あらかじめ透視できない限り知る事はできません。
《他者移動》
「物体の一部だけを移動させる事はできない」ので、敵の周囲の空気5kgを転移して窒息させるような事はできません。もしくは「繋がった部品を分けて」「装備品を移動させる」と見なして−6〜−10の修正を与え、空間内にいる相手全てに抵抗を行わせます。気体の場合、1ヘクス分を5kgと換算するという手もあります。
・「グリモア」等の呪文
《半速》
体の動作が必要でなければ呪文の詠唱速度は伸びないようですが、単なる動作だけではなく目標に流れる時間流そのものが遅くなると見なして、この例外規定を取り払っても構いません。この場合、防御呪文は普通に唱えられますが、防御呪文を使ったターンだけでなく、その次のターンの終わりまで、防御呪文の使用が不可能になります。
《飛躍》
影響を受ける対象となる能力は「体力」「敏捷力」「〈跳躍〉」の3つから術者が選択するのですが、処理が面倒ならば3つ全てが上昇する事にして下さい。
《滑走》
進行方向を制御するストックには、一般装備の「2mの棒」か、長さ2以上の棒状の手持ち武器(クォータースタッフ、スピア、ポールアームなど)が使える事とします。「マーシャルアーツ」などにある穂先が重く技能自体に不利な修正を受ける武器は、ストックとして用いる事はできません。
《空飛ぶ絨毯》
魔化された乗り物の場合、起動/維持のエネルギーは「パイロット」が消費します。特に大型の乗り物の場合、ただ乗るだけではなく「操縦席」に入らないと「パイロット」になる事はできないのが普通です。操縦中のパイロットは休息により疲労を回復する事ができないため、長時間の飛行には交代要員が不可欠です。
《遠隔攻撃》
打撃しか転送できないので、《遠隔打撃》に名称を変更するのが適切ではないかと……(汗)。
・自作呪文
《三倍速》(至難)通常
《倍速》を上回る速度を与え、1ターンに3回行動させます。行動順のタイミングは《倍速》に準じます。「重要器官攻撃→ダメージ+2で脳狙い→技能+4で喉狙い」だろうと、「フェイント&昇竜→昇竜&降竜→竜破墜天」だろうと何でも構いません。追加行動の2回分を全て全力攻撃に使っても、能動防御は不可能にはなりません。強制的に解除された場合の疲労は、上記の《倍速》に準じます。
持続:10秒
消費:10・維持は不可。術者以外の目標は終了時に10点疲労する。
準備:4秒
前提:素質3+《倍速》
◇ルナル:白の月、黒の月
《圧殺》通常/知力で抵抗
目標の体に圧迫を加え、防護点を無視して身体組織にダメージを与えます。超能力の[念動]とは違い、握り続けてダメージを与えたりはできません。
持続:永久
消費:1〜3(1点につきダメージ1D−1点)
準備:2秒
前提:《騒霊》+移動系呪文6種
◇ルナル:アルリアナ神官、ジャングの〈導き手〉、グルグドゥ、白の月、黒の月
《役畜》通常
《従者》と似ていますが、動作で想定する物は透明な役畜(体力60)です。命令できる動作も、家畜が行えそうな事(水車を回し続ける、犂で畑を耕す、1頭立ての馬車を曳かせる、扉を一方向に押さえ続けるなど)だけです。
持続:1時間
消費:8・4
準備:1分
前提:《従者》
魔化:《従者》と同じ。必要エネルギー800。1000ドル相当の材料が必要。
◇ルナル:グルグドゥ、白の月、黒の月
《罠外し》通常
罠を魔法で外します。複雑な(または簡単な)罠には、技能の〈罠〉と同じく不利な(または有利な)修正を受けます。
持続:永久
消費:4
準備:10秒
前提:《見えない手》、または素質2+《鍵開け》
魔化:やすり、ペンチなど罠を外す道具型のお守り。必要エネルギー2000。800ドル相当の材料が必要。
◇ルナル:タマット神官、グルグドゥ、白の月、黒の月
《揚力変化》通常/知力で抵抗
目標の揚力を変化させます。翼を持つ種族が大荷物を持って飛ぶのに役立ちますが、逆に鳥やグライダーを墜落させるためにも使えます。気球は揚力により浮かんでいるのではないので、この呪文で動きを操作する事はできません。無生物に掛けた場合、乗っている者がいれば最も高い抵抗力を持つ者が抵抗を行います。
持続:1分
消費:揚力を2倍、または1/2倍する毎に2・1
前提:《軟着陸》、もしくは《念動》+「翼による飛行」
魔化:杖、錫杖、装身具。必要エネルギー800。
◇ルナル:白の月、黒の月
《振動》通常
物体を振動させます(低速振動ならごく近くで耳を澄まさないと分かりませんが、高速振動なら1ヘクス離れた所で聴覚判定に成功する事で気付きます)。高速で振動をさせると攻撃型が「切り」の武器のダメージは防護点を貫く前に+2されますが、武器狙いで受けるダメージが防護点を引く前に2倍になります。石やガラスのような脆い物質は、この呪文により崩壊する可能性もあるでしょう。生物を振動させる事はできません。
持続:1分
消費:《念動》と同じ、高速振動させるなら2倍
前提:《念動》
魔化:(a)常に振動し続けるアイテム(高速振動はできない)。《連動》と併用するのが一般的。必要エネルギー50。
(b)杖、錫杖、装身具。魔術師にしか使えない。必要エネルギー900。
(c)高速振動剣(「マーシャルアーツ」参照)。非常に高度な魔法技術を持つ世界にしか存在しない。必要エネルギーはGMの判断。
◇ルナル:アルリアナ神官、グルグドゥ、白の月、黒の月
《沈没》通常/知力で抵抗
目標は水に対する浮力を奪われ、自動的に底まで沈みます。もちろん、水中で息ができなければ窒息します。目標は全ての〈水泳〉判定に自動的に失敗します。
持続:1分
消費:6・3
準備:3秒
前提:《水変化》《浮揚》
魔化:(a)杖、錫杖。魔術師にしか使えず、目標に触れて使う。必要エネルギー800。
(b)常動型の金鎚か金鎚型の装身具。必要エネルギー300。
◇ルナル:白の月、黒の月
《後ずさり》防御/知力で抵抗
術者がいるヘクスに踏み込んだ目標を1ヘクス前に押し戻し、そこでそのターンの行動を終了させます。
消費:2
前提:《瞬間移動》
◇ルナル:白の月、黒の月
《べたつく武器》通常/知力+1で抵抗
この呪文の掛かった武器はべたつき、その瞬間に持っていた者を除く全ての物体にくっつきます。引き剥がすには命中した直後か、それ以降のターンに体力判定に成功する必要があります。「切り」「刺し」武器はあえて引き剥がさず、そのまま押し込んでダメージを与える事も可能です。この場合は通常の攻撃として体力判定を行い、成功すれば通常の半分(端数切捨て)のダメージを与えます。くっついた状態の武器は「受け」には使えません。ただし魔法の杖がくっついていれば、接触して使う呪文が自動的に伝わります(技能判定成功直後に目標に掛かるため、接触に1ターンを費やす必要がありません)。
攻撃された側がべたつく武器から逃れるには、体力による即決勝負が必要です(武器が両手持ちなら攻撃した側に+2します)。逃れる側が10以上の差で勝てば、逃れると同時にくっついていた武器を攻撃者の手から落とします。逃れる側が10以上の差で負ければ、武器が「切り」「刺し」なら余計に食い込み通常の半分(端数切捨て)のダメージを受けます。「叩き」なら武器がくっついたままその場で転倒してしまいます。
捕獲用の武器(ネット、投げ縄など)にこの呪文を使うと、攻撃者の技能または体力を基準とした判定に+3します。
持続:1分
消費:3・2
準備:2秒
前提:《べたべた》
魔化:武器。その武器自身にのみ掛かる。必要エネルギー200。
◇ルナル:ガヤン高司祭、グルグドゥ、白の月、黒の月
《瞬間受身》防御/知力で抵抗
瞬間的に姿勢を立て直し、それまでに受けていた落下や転倒の運動ベクトルを全て相殺します。この結果として落下ダメージは呪文の発動時点の位置から計算をやり直し(最低でも2m)、転倒した状態から瞬間的に立ち上がった姿勢になれます。生命力の半分を超えるダメージにより転倒した場合も、「我慢強さ」があれば直前にこの呪文を使用する事が可能です。そうでなければ、「転倒判定の直前に既に朦朧状態である」と見なし、この呪文を使用する事はできません。
この呪文は裏技として、しゃがんで射撃から身を隠す敵を強制的に立ち上がらせたり、【飛び蹴り】などの飛翔系の格闘動作を失敗させたりする事も可能です。
消費:2
前提:《軟着陸》、または素質1+《足もつれ》
◇ルナル:アルリアナ神官、グルグドゥ、白の月、黒の月
《ぐちゃぐちゃ》範囲
範囲内の面に《足枷》(肉体操作系データ参照)の効果を与えます。
持続:10分
消費:5・5
準備:2秒
前提:素質2+《べたべた》
◇ルナル:サリカ高司祭、アルリアナ高司祭、グルグドゥ、白の月、黒の月
《天駆ける絨毯》(至難)通常
《空飛ぶ絨毯》と似ていますが、最高速度は術者の技能レベルの4倍になります。しかも加速する際には、一瞬で限界速度に達する事が可能です。
持続:10分
消費:1ヘクスの乗り物で9、更に1ヘクス追加するごとに3。維持は半分。
準備:5秒
前提:《空飛ぶ絨毯》《高速飛行》、または《空飛ぶ絨毯》《気流》
魔化:《空飛ぶ絨毯》と同じ。
◇ルナル:サリカ高司祭、グルグドゥ、白の月、黒の月
―音声系呪文―
・「マジック」の呪文
《作音》
《発声》
魔化を追加します。
魔化:楽器や貝殻など。必要エネルギーは《作音》が200、《発声》が300。
《雷》
雷を落とす呪文ではないので名称を紛らわしく感じられる場合、名称を《雷鳴》に変更する事が可能です。
《静寂》
魔化を追加します。
魔化:(b)どんな品物でも可。常動型で、品物そのものは音を立てなくなる(他の物にぶつけると、ぶつかった方の物だけが音を立てる)。必要エネルギー200。
《魔法の耳》
魔化を追加します。
魔化:ラッパ型の器具や巻貝。2つ1組で音を伝え合う。必要エネルギー600。「ルナル・ジェネレーション」登場の「吠える鯨」「歌うイルカ」の船長室に置いてあった。
・「グリモア」等の呪文
《不明瞭》
呪文の言葉そのものに魔力はなく、あくまでも精神集中の手段に過ぎないルナルのような世界でも、呪文の準備を妨害する効果は変わらない事にします。
《銀の舌》
英語名そのままの名称ですが、日本語(というか漢文)の表現っぽくすると《口に蜜》くらいでしょう。
・自作呪文
《衝撃波》通常
破壊音波を指先から噴射します。ダメージはエネルギー1点毎に叩き/1D−1点で、射程はエネルギー1点毎に1ヘクスです。命中させるには〈呪文噴射〉を使います。破壊音波に対しては、金属鎧の防御効果は電気に対するのと同じだけしか働きません。電気に対する選択ルール(生命力+2判定に失敗したら朦朧状態になる)を採用している場合、この呪文による破壊音波に対しても適用されます。
持続:1秒
消費:1〜3・同
前提:《音噴射》
魔化:杖、錫杖、装身具。魔術師のみ使用可能。必要エネルギー400。
◇ルナル:リャノ神官、翼人、白の月、黒の月
《音波剣》通常
術者の手元に超音波の剣(片手用。振り回して使う。エネルギー消費に関わらず長さ1)を作ります。「剣」は〈剣〉〈刀〉その他類似の技能で扱い、命中すると相手にエネルギー1点毎に叩き/1D+1点(突いたら叩き/1D点)のダメージを与えて消えます。「剣」では「剣」やソニックブレードを普通に受けられます。他の武器も受けられますが、その場合は相手の武器にダメージを与えただけで消えてしまいます。「受け」「止め」されても武器や盾にダメージを与えて消えてしまいますが、超音波視覚(ソナー)でもない限り「よけ」以外の防御に−4修正を与えます。
持続:1分、または命中して消えるまで。維持できない。
消費:1〜4
前提:素質2+《音噴射》
魔化:剣の柄。必要エネルギー1000。ソニックブレードが存在する世界ではコストは急減してダメージも増える。
◇ルナル:リャノ高司祭、翼人、白の月、黒の月
《爆音》通常
《雷》と似た効果ですが、それに加えて知力判定に失敗するとショックで精神的な「朦朧」状態となります。
持続:一瞬
消費:4
前提:素質1+《雷》
◇ルナル:リャノ神官、翼人、白の月、黒の月
《超音波聴覚》通常
目標は通常の音に加えて、高周波や低周波の音が聞こえるようになります。
持続:1分
消費:3・1
前提:《聴覚強化》、または「鋭敏聴覚」
魔化:装身具。身に着けている者にしか働かない。必要エネルギー200。
◇ルナル:リャノ神官、翼人、白の月、黒の月
《雷鳴弾》射撃
雷鳴を放つ球体を作り上げ、投げ付けます。呪文の技能判定に成功すると手の中に半透明の球が生まれ、目標に命中した地点で弾けて《雷》と同じ効果を与えます。射撃は〈呪文射撃/電光〉で行い、射撃武器としてのデータも同じ物を使います。命中判定に失敗した場合、失敗度に応じて適当な場所に命中させて下さい。
消費:3
準備:2秒
前提:《雷》+音声系5種
◇ルナル:リャノ神官、翼人、白の月、黒の月
《振動感知》通常
目標は、皮膚で感じる振動により、周囲の地面や床の上で動いているものを感知する事ができます(ただしぼやけて感じるため、振動だけで感じている相手に攻撃すると−2の修正を受けます)。[接触感知](「百鬼」P85)のように温もりまで感じ取れるわけではないため、その他の特殊な能力を得る事はできません。聴覚に頼ってはいないため、聴覚を喪失した目標でもこの呪文の恩恵を得られます。
持続:1分
消費:4・2
前提:《注意力強化》、または「鋭敏感覚」
◇ルナル:翼人(前提不要)、白の月、黒の月
―技術系呪文―
文明レベル呪文
現実の文明レベルは、同じ社会内でも分野によりばらつきがあります(地球上では例外は恐らく、中世までの西アジアと近世以降のヨーロッパくらいです)。しかし通常の世界では、ゲーム内の現在時点で学ばれている呪文は、その時代における一般技術全てに対応すると見なして構わないでしょう。その場合、最新技術(TL=標準+1)による機械は「対応する機械系呪文がまだ開発されていない」と見なして、全ての文明レベル呪文の判定に−5の修正を与えます。
―機械系呪文―
・「マジック」の呪文
「グリモア」にある通り、この系統に関連すると見なされるのは《祝福》《呪い》《測定》《筆記》《複写》《弱点看破》《騎手》《動物知覚》《変身/機械/種別》《他者変身/機械/種別》です。このうち機械系と見なす事に問題がありそうな《祝福》《呪い》《騎手》《動物知覚》を除いた、《測定》《筆記》《複写》《弱点看破》《変身/機械/種別》《他者変身/機械/種別》を、この場では機械系にも属すると見なします。
・「グリモア」等の呪文
《再構築》
ルナルの《復元》とは違い、必要エネルギーは莫大ですが、補う材料は不要で(ただし稀少な素材だと構築が困難)、大物を修復するのに向いています。同一の世界に双方が混在する場合、《復元》で機械を直す場合にも《設計図》を必要として、《再構築》に珍しい素材を提供する事により判定の修正と再生速度を通常通りにする事を認めてもよいでしょう。
《動く機械》
《コンピューター覚醒》
ファンブル表の18と同じく、術者や呪文がGM判断で純粋で善良なら、ファンブルした場合は普通にファンブル表を振るだけとします。
また、ファンブル時の効果が非常に危険なため、ほとんどの世界ではこれらの呪文は厳重に修得・使用を制限されています。〈運転〉や〈操縦〉と同じく、呪文の技能レベルが15以上なら致命的な状況を防ぐために再度判定を行える事にしてもいいでしょう(この判定に成功すれば、呪文は単に失敗しただけとして扱います)。
ちなみに一部の業界用語として、この呪文の精霊(や悪魔)は「小人さん」と呼ばれているとかいないとか(笑)。
・自作呪文
(無し)
―動力系呪文―
動力/体力換算表
きりの良い単位時間あたりでエネルギーを1点消費する出力は、以下の通りです。この表の「馬力」は英馬力(1馬力=745.7W)であり、仏馬力(1馬力=735.5W)ではないようです。
(1時間で1点)
100W
(10分で1点)
600W
(1分で1点)
6kW、8.04馬力
(10秒で1点)
36kW、48.25馬力
(1秒で1点)
360kW、482.5馬力
(参考:人間1人分)
186.4W(人間の体力10、馬の体力40(騎馬)とした場合)
124.3W(人間の体力10、馬の体力60(荷引き馬)とした場合)
・「マジック」の呪文
「グリモア」に関連を示されている《腐敗》《老朽化》は、動力系呪文として扱わない事にします。ただしこれらを文明レベル別の呪文とするならば、TL6以上では動力系にも属すると見なします。
・「グリモア」等の呪文
《燃料作成/文明》
燃料には、以下のようなものが存在します。
燃料の定義の「消費する」は、「何らかの形で変質して再利用が不可能になる」と見なします。
・炭素・水素系の可燃物
TL7以下の燃料のほぼ全て(薪、石炭、泥炭、植物油、石油、天然ガス、アルコール……)が該当します。この文明レベルで本来燃えない固形物質を固形燃料に変えても、水気が多い生木を焼くのに劣る程度の効率しか得られませんが、物質の外見が変わる事はありません。
常温で液体/気体の物質は、《燃料作成》の対象外です。《水を燃料》で作成して下さい。
・核燃料
ウランの同位体のごく一部、重水素などのような、比較的核分裂/核融合が安定して起こせる物質が該当します。固形物質を固体の核燃料(ウランなど)に変えても、物質の外見が変わる事はありません(もちろん、燃料としての効率は元が重い元素でもない限りたかが知れています)。
・反物質
通常の物質が「裏返った」もので、通常の物質と対消滅する事でエネルギーを発します(……多分)。固形物質を反物質に変えると、ほとんど全ての質量が反物質化に費やされ、極めて微量の反物質をその場に残します。《燃料保存》の容器があれば、微量の反物質でも安定化させて保存する事ができますが……。
・(完全物質転換/次元エネルギー)
これらは燃料ではなく動力です。物質転換の実行や次元エネルギーの方向付けには(少なくとも最初には)他の動力が必要でしょうが、その動力も燃料から発生させているとは限りません。
・(自然の動力源)
水力、風力、地熱、光といったものです。これらは動力そのものであり、「動力を発生させるために消費するもの」ではないと見なします。
※水力と地熱を発生させるのは「地球の重力」、風力を発生させるのは「地球の自転」と「太陽の核融合」、光を発生させるのは「太陽の核融合」から「蛍の体内物質の化学変化」まで様々です。いずれにせよ、《燃料作成》の対象になりそうにないものがほとんどです。
・(マナ)
「ガープス」の標準設定では、マナを魔術師が蓄えているのではなく、空間に満遍なく存在するマナを魔術師が生命エネルギーを一時的に消費して方向付けしているので、魔法にとっての「燃料」はマナではなく生命エネルギーになります。もちろん、物質的存在ではない生命エネルギーを《燃料作成》などで作る事はできません。
《水を燃料》
GMの判断次第では、《燃料作成》と同じく、この呪文も文明レベル呪文にする事ができます。
水を常温で気体になる燃料(液化天然ガスなど)に変える事を許可できますが、その場合は同時に《冷凍》を使う必要があります。準備時間とエネルギー消費は合計して、どちらか低い方の技能レベルで1回だけ判定して下さい。
《動力賦与》
「悠久3(PB)」の「魔法動力プロセッサ」、「FF7」の「魔晄炉」、「英雄伝説VI」の「オーブメント」のように、魔法エネルギー(「ガープス」で言う「マナ」。前述の世界ではそれぞれ「魔法力」「魔晄」「導力」)を動力化する装置が様々な作品に存在します。……元々人間が魔法を行使する能力を持たない世界も含みますが。
それはさておき、《動力賦与》をどうやって魔化すべきか悩んでいたところ、ELIZAさんから、
> 発電機に《動力賦与》なり《出力上昇》なりを普通に魔化して、《発電》で常動化させたり、専用型の《パワーストーン》と組み合わせたりするのが一番適切だと思います。
とのご意見を頂きましたので、特殊な世界はさておいて(汗)、とりあえずは普通の魔法世界(マナが「並」)での実用性を計算してみます。
(厳密には、《動力賦与》(動力を装置に与える呪文)を使う対象は、発電機(燃料を消費して電力(=動力)を発生させる装置)ではなく充電器になるでしょうが)
・《発電》
(a)持続時間不定。
(b)飲料水を溜める装置の疲労が「45分で1点」。ホログラフ装置は「1時間で1点」。磁気ニードラーは「1回射撃ごとに1点」。
(c)つまりエネルギー消費は、長時間作動を続ける装置なら(よほど大出力でない限り)常に発動・維持共に1点。
以上から、《動力賦与》に1点分の《発電》を付加すれば「1秒ごとに1点」まで補給可能なようです。この場合は完全な「常動型」となり、物理的消耗を度外視すれば半永久的に作動するようになります。
(《発電》の補給頻度は書いてありませんが、普通の呪文の使用可能回数(1ターン1回まで)に準じて解釈しました)
1秒以内に360kWまたは482.5馬力を超える大出力を要求される場合は問題がありますが、普通ならこれで十分でしょう。
・パワーストーン、専用型パワーストーン
マナが「並」なら1日に1点充電、《動力賦与》は最低でも1時間に1点使うので、補助動力ならともかく、常時作動させるには速度が追い着きません。専用型パワーストーンはエネルギーを「3倍有効に引き出せる」だけであり、単位時間ごとに1点(実質的には3点分)消費されてしまうのは変わりません。
《パワーストーン充電》しても充電速度は12時間に1点なので、《発電》には太刀打ちできないと思われます。
これなら、《動力賦与》+《発電》1点で中型自動車(160馬力)も易々と動かせるようになるでしょう。魔化の必要エネルギーは、12.5tと360kWまでなら250+500=750です。
なお、エンジンが存在する世界なら下記の《出力上昇》の方が安上がりです。
《出力上昇》
必要なエネルギーは、端的に言うならば「《動力賦与》の必要エネルギー÷この呪文の技能レベル」です。機械にエンジンが付いているなら間違いなくエンジンの方を動かすべきです……よほど小さな機械を別として。
動力を完全に魔法に依存している世界では、《出力上昇》の対象となるべき「『動力を発生させその際に変質して再利用が不可能になるもの』を機械的な運動に変換する装置」が存在しない可能性もあるでしょう。マナを消費する機械が製造可能な世界があるかもしれませんが、そのような機械を乱用すると世界のマナが枯渇する恐れがあるので注意して下さい。
《動力消費》
この呪文を追加で魔化した品物により、動力からエネルギーを引き出す際の計算式――ああ長い――において、「生命力」と「素質」は、魔化の作成者の生命力と素質を用います(集団で作成した場合、儀式の判定を行ったキャラクターの生命力と素質)。魔化の助手や品物の使用者の方が能力値が高くても、それは一切影響をしません。
・自作呪文
(無し)
―放射線系呪文―
・「マジック」の呪文
関連する呪文はありません。
・「グリモア」等の呪文
(無し)
・自作呪文
(無し)
―金属・プラスチック系呪文―
金属系は地霊系の亜系統、プラスチック系は植物系の亜系統(石油の元は植物であるため)とも見なします。
・「マジック」の呪文
「グリモア」にある通り、《鉱物探知(金属探知)》《土を石》《石を土》《肉を石》《石を肉》《土を空気》が金属系と関係を持つ呪文です。
・「グリモア」等の呪文
《金属探知》
……という呪文名はありますが、《鉱物探知》の事と見なします。
・自作呪文
《金属弾》(至難)射撃
《石弾》と似た呪文ですが、発射するのは《石弾》より小さいものの致傷力には遜色のない金属の弾丸です。ダメージはエネルギー1点毎に叩き/1D+2点で、射撃には〈呪文射撃/球体〉を用います。
消費:1〜4
準備:1〜4秒
前提:《石弾》
◇ルナル:ジェスタ高司祭、多足のもの、白の月、黒の月
《応急鍍金》通常
目標となる物体を、金属の極薄の皮膜で覆います。皮膜にする金属はあらかじめ用意する必要がありますが、柔らかく展性に富んだ金のような金属なら微量で広範囲を覆う事が可能です。持続時間が過ぎると、皮膜は物体から剥がれ落ちます。
持続:1時間
消費:2(拳大)、4(一辺30cmの立方体)、6(1ヘクス)、更に1ヘクスにつき3。維持も同じ。
準備:1分
前提:《金属変化》《応急修理》
◇ルナル:ジェスタ高司祭、多足のもの、白の月、黒の月
《プラスチック分解》(至難)通常
プラスチックを分解して、原材料(ほとんどの場合は石油)に戻します。装備品に対して使用すると判定に−5の修正を受け、しかも所持者が知力で抵抗します。
持続:永久
消費:対象となるプラスチックのHPの1/4
準備:1分
前提:《プラスチック変化》《老朽化》
◇ルナル:なし
―幻覚・作成系呪文―
各種幻覚呪文の性質は、まとめると以下のような相違を持ちます。
幻覚呪文性質表
幻影 | 幻覚 | 完全幻覚 | 完璧幻覚(ルナル) | 幻像(グリモア) | |
物体と触れる | すり抜ける | すり抜ける | すり抜ける | 押し返す | 押し返す
(幻像から触れて 持ち運ぶ事も可能) |
平均知力8以上の
知的生物に触れる |
消える | すり抜ける | すり抜ける | 押し返す | 知力と即決勝負して
結果により変化 |
幻覚系以外の
呪文を掛けられる |
消える | 変化なし | 変化なし | 変化なし | 変化なし |
攻撃される | 消える | ダメージ1点で
消える |
ダメージ1点で
消えるが、 すぐに復活する |
実在するかのように
ダメージを計算して、 破壊されると消える |
呪文の成功度を超える
ダメージで消える |
影響する感覚 | 視覚 | 視覚・聴覚 | 触覚以外の五感 | 五感全てと魔法感覚 | 五感全て |
壁にする | 普通に通れる | 普通に通れる | 普通に通れる | 壊さないと通れない | 攻撃で消さないと
通れない |
橋にする | 渡れない | 渡れない | 渡れない | 普通は渡れないが、
飛べるキャラクターは 無意識に「渡って」しまう |
渡れるが、
幻像の体力で 支えられないと 橋が壊れる |
また幻覚が放てる光の量は、《幻影》が星明り、《幻覚》が月明り、《完全幻覚》が篝火、《完璧幻覚》《幻像》が陽光に相当すると見なします。「グリモア」の《虚像》(精神操作系ですが)やルナルの《白昼夢》のような精神作用する呪文の場合、具体的に不利な修正を与えないならどんな明るさでも演出として可能です。《完全虚像》ならもはや何でもありです。
・「マジック」の呪文
《幻影》《幻覚》《完全幻覚》
魔化を追加します。
魔化:様々。必要エネルギーは《幻影》が200、《幻覚》が400、《完全幻覚》が600。同じ幻覚しか作り出せない、幻覚の範囲を移動できないなどの制限があれば必要エネルギーは更に低下する(最低でも1/2まで)。
《物体作成》
魔化を追加します。
魔化:100倍のエネルギー消費で永続させる。
《従者作成》《戦士作成》
従者や戦士は、粘土のような仮初めの物質でできています。死ぬとマナに還元されて消え去ります。
外見は、普通の人間程度の型と大きさならどんな姿でも構いません。ただし外見がゲーム的な効果を及ぼす場合は、従者なら「技能持ち」と見なすべきです。
従者や戦士に知力はありますが、自発的な創意工夫を行う事は期待できません。術者に助言を行う事も普通はありません。《魅了》などに対しては、知力ではなく作成した呪文の技能レベルで抵抗します。
従者や戦士の持つ感覚は、世界背景によって決まっていなければ「擬似的な五感」として扱います。また姿の如何を問わず、声を出して会話する事が可能です。
従者の移動力は4.5(〈ランニング16〉を持っていれば6.5)、戦士の移動力は6です。通常の世界では、移動手段は通常の人間と同じく、地上での二足歩行に限ります。
自然の状態で水中移動や翼での飛行を行う術者の作成した従者や戦士は、通常通りの呪文で術者と同じ部類の「自然な」移動を行います。(翼を使わない)飛行、地中歩行、物質透過、瞬間移動、次元間の移動などの魔法、超能力、妖力/妖術、スーパーパワー等に依存した「特殊な」移動を真似る事は、通常の《従者作成》《戦士作成》で生み出した従者や戦士には不可能です。
従者や戦士には、脳や内臓はありません。部位狙いは以下の効果を発揮します。
頭…通常のダメージのみ。頭蓋骨はないが、ダメージは4倍にならず、朦朧・気絶する事もない。気絶するかどうか生命力判定を行う必要はない。
顔…気絶するかどうか生命力判定を行う必要はない。
目…狙っても意味はない。ただし、《魔力視覚》の影響を受けたキャラクターは「視力の発生源(頭の前方に2ヶ所、目と同様にダメージで機能を停止できる)」を−9修正で狙える。
重要器官…胴体を攻撃した時と同じ。
胴体・腕・手首・脚・足首…通常と同じ。
喉…通常のダメージのみ。朦朧状態にはならないが、首を刎ねて即死させる効果はある。
鼠蹊部・顎・腎臓・鼻…狙っても意味はない。
従者や戦士はダメージを受けても「衝撃」を受けません。ただし気絶判定や生死判定は通常の生物と同様に行います。普通の意味で「生きて」はいないので、毒や病気は一切効果がなく、治癒系呪文はダメージを回復させる呪文だけが効果を持ちます。
また、これらの呪文に魔化を追加します。
魔化:(a)100倍のエネルギー消費で永続させる。
(b)角笛か呼び子。魔術師のみ使用可能。これを鳴らすと特定された種類の従者、または戦士が現れる(姿は作成者が指定)。必要エネルギーは掛ける際の200倍。
《動物作成》
作成した動物のデータは、自然に存在する動物と全く同じとします。ただし死ぬとマナに還元されて消え去りますので、作成した動物を食べてしまう事はできません。
また、魔化を追加します。
魔化:(a)100倍のエネルギー消費で永続させる。
(b)角笛か呼び子。魔術師のみ使用可能。これを鳴らすと特定された種類の動物が現れる。必要エネルギーは掛ける際の200倍。
《幻覚感知》《独立幻覚》
幻覚だけではなく作成物にも作用します。見落としがちなので要注意。
・「グリモア」等の呪文
物を持った作成物は、それぞれの呪文の準備時間とエネルギーに技能レベルによる減少を適用して差し引いてから、減少済みの準備時間とエネルギーを合計します。
例:《戦士作成21》で戦士を作り、《物体作成15》で突刺し用バスタードソードを持たせると、準備時間は(4÷2)+2=4秒、エネルギーは(4−2)+(2−1)=3点となります。
《複製》
この呪文による作成物は、《物体作成》のルールに縛られる事をくれぐれも忘れないで下さい。この呪文が存在する世界では、高額の貨幣は複製を禁止する魔法的処理を施してある事が普通でしょう。
また、作成物は「実際にあるもの」とは見なしません。
・自作呪文
《勇者作成》(至難)通常
《戦士作成》の上級呪文で、体力16、敏捷力14、知力10、生命力14/20、受動防御2、防護点2、接近戦用武器か〈格闘〉の中からどれか1つを20レベル(!)で修得している強力な戦士を作成します。武器や防具は持っていないので、欲しければあらかじめ用意するか《物体作成》で作るかして下さい。この呪文で作り上げた「勇者」は、《作成物奪取》への抵抗が自動的に成功します。
持続:1分
消費:8・8
準備:4秒
前提:知力14+《戦士作成》
◇ルナル:カアンルーバの〈導き手〉、白の月、黒の月
《小人作成》通常
愚かながらも忠実な小人の従者(身長30〜40cm、体力3、敏捷力・知力・生命力は全て9、HP3)を1D+2体作り出し、術者の命令に従わせます。扱いは《従者作成》の従者に準じ、小人の従者1体ごとに別の命令を出す事も可能です。ただし体格が小さいので、できる事に制限がある事に注意して下さい。《作成物奪取》《作成物破壊》に対して、小人は1体ごとに別の目標と見なします(1回の呪文でまとめて奪取・破壊する事はできません)。
持続:1分
消費:3・1、技能のある従者なら2倍
準備:3秒
前提:素質3+知力13+《物体作成》
◇ルナル:カアンルーバの〈導き手〉、グルグドゥ、白の月、黒の月
《幻覚地形》範囲
この呪文の範囲内は、範囲の端から10m以上離れた所からは本来と違う風景に見えます(視覚、聴覚、嗅覚はもちろん、《地中視覚》《水中視覚》などの視覚系呪文もごまかせます。ただし(視覚系呪文を介さないで直視すれば)《魔力視覚》には反応します)。範囲の端から10m以内に入ると、この呪文による幻覚は一切効果がありません。
持続:1時間
消費:1(最低直径9ヘクス)・同
準備:1分
前提:素質2+《完全幻覚》《幻覚かぶせ》
魔化:通常の50倍のエネルギーで永久化が可能。
◇ルナル:シャストア神官、カアンルーバの〈兄・姉〉、グルグドゥ、白の月、黒の月
《幻撃》射撃
他の射撃呪文の「幻」を作り出し、ダメージを受けたような感覚を与えます。ダメージは治癒されるか−2修正を受けての「不信」に成功すれば消えますが、「不信」はダメージを受けた本人にしか行えません。この呪文の効果は幻覚によるものですが、ダメージの累積により気絶や死亡する事もありえます。射撃は〈呪文射撃/幻撃〉で行い、射程などのデータは真似をする呪文のものを用います。集中が乱れて「幻」を落として自爆しても、術者はダメージを受けません。
この呪文による攻撃は、知覚を一切持たない相手には効果を及ぼしません。見た事のない呪文の「幻」を作るには技能判定の目標値に−3、完全に想像の産物の呪文なら−6以上の修正を受けます。発動時の技能判定にクリティカルしている場合、「幻」は実体であり現実にダメージを与えます(自爆した場合も、術者にダメージを与えます)。
消費:真似る射撃呪文と同じ
準備:真似る射撃呪文と同じ
前提:《完全幻覚》《痛み》
魔化:先端から弾体を発射する杖や錫杖。魔術師にしか使えない。必要エネルギー800。
◇ルナル:シャストア高司祭、白の月、黒の月
《金盥》通常
金属のタライを目標の頭上に作り上げ、頭に「叩き/1D」点のダメージを与えます。呪文の判定に成功すれば自動的に命中し、目標は「よけ」のみ可能です。盾の受動防御は使えず、《矢よけ》《矢返し》では防げません。頭蓋骨と防具の防護点は有効ですが、当たり所が悪いと死んでしまうでしょう。呪文の発動判定にクリティカルした場合は自動的に命中し、頭部クリティカル表を参照します。呪文の目標の頭部が体の上にない場合は、体の上部にある別の急所か、急所がなければ単に胴体に当たります。なおこの呪文で作り上げたタライは、呪文が発動した1秒後に消滅します。
この呪文のバリエーションで、他の物体を落とす呪文もあるようです。中にはダメージがより大きなものや、ダメージを与えない非戦闘用もあるでしょう。
持続:一瞬。ダメージは永久。
消費:2
準備:2秒
前提:《物体作成》
◇ルナル:白の月、黒の月
《身代わり》防御
幻覚の分身を作り出し、攻撃を代わりに引き受けさせます。防御判定の代わりに呪文に成功すれば、出現した分身が一瞬攻撃を受けて消滅します。「受け」「止め」られる攻撃に対してしか使えず、「待機」して割り込みで「不信」されると呪文が効果を発揮しない恐れもあるので注意して下さい。
消費:2
前提:素質3+《完全幻覚》
◇ルナル:シャストア高司祭、カアンルーバの〈導き手〉、白の月、黒の月
《人の盾》防御
隣接ヘクスに作成物の分身を作り出し、攻撃を代わりに引き受けさせます。防御判定の代わりに呪文に成功すれば、出現した分身が一瞬攻撃を受けて消滅します。「受け」「止め」られる攻撃に対してしか使えませんし、距離が「格闘」「1」の攻撃に対しても使えません。
消費:3
前提:《従者作成》《身代わり》
◇ルナル:白の月、黒の月
《巨人作成》(至難)通常
愚かながらも忠実な巨人(体力25、敏捷力9、知力9、生命力15)を1体作り出し、術者の命令に従わせます。扱いは《従者作成》の従者に準じますが、この巨人は細かい造作を全く持たない灰色の外見に限定され、言葉を話す能力もありません。危険に出くわした場合、通常の従者とは違って暴れ出し、ひたすらパンチやキックで全力攻撃を繰り返します。
持続:1分
消費:6・2
準備:4秒
前提:知力14+《従者作成》
◇ルナル:カアンルーバの〈導き手〉、白の月、黒の月
《複製阻止》(至難)通常
物が複製されるのを妨害します。手練の職人だろうとTL15の分子複製装置であろうと、複製された物体は実物と全く違う存在に成り果ててしまいます。《複写》《複製》を使って複製を試みた場合は−5の修正を受けます。
持続:1日
消費:2.5kgごとに1。エネルギーを2倍消費すれば《複写》《複製》に−10修正。
準備:エネルギー消費と同じ秒数
前提:《複製》《複写阻止》(物体操作系データを参照)
魔化:永久に対象を《複製阻止》する。必要エネルギーは通常の100倍。
◇ルナル:白の月、黒の月
《構築物作成》(至難)範囲
橋、建物、壁のような、大型の構築物を作成物として作り出します(城門のような可動部分を持つものや、発動機を持つ船のような「余分な」能力を持つものは作れません)。この呪文による構築物は細かい造作を全く持たない灰色の外見に限定され、1ヘクス毎に125kgまでの重量を支えられます。
持続:1時間
消費:10・半
準備:5分
前提:素質3+知力13+《物体作成》《物質障壁》+地霊系12種
◇ルナル:白の月、黒の月(第三師団)
―呪文操作系呪文―
・「マジック」の呪文
(無し)
・「グリモア」等の呪文
(無し)
・自作呪文
《戦陣結界/種別》特殊#
術者から「技能レベル」m以内の範囲に、マナの「相性」(「マジック完訳版」P101参照)を1種類持たせる結界を張ります。内部において掛かる修正は結界内のどこでも同じで、結界の境界を越えて外から中へ、中から外へ掛けられた呪文も、射撃呪文を除く全てがこの結界による修正を受けます。消費5点で「パワーアップ」P107の「特異環境表」の「精霊エネルギー強化空間/特定1属性」「精霊エネルギー弱体空間/対抗属性」が一度に張られる事にしても構いません(「SKA」のアリーナは、この種の魔法も組み込んでいるのでしょう)。
同一範囲内に2つ以上の種類の結界を張る事はできず、技能レベルによる即決勝負を行い勝った方の結界だけが有効になります。結界を維持するには精神集中が必要で、集中が乱れると結界は消滅します。
この呪文は、強化する相性の系統にも属します。世界背景によっては、結界が精霊・生命・死以外にも影響を及ぼしても構わないでしょう。
持続:10秒
消費:1〜5・同(与える修正と同じ)
準備:不要
前提:素質2+該当する系統の呪文8種、または該当する系統の呪文4種+他の《戦陣結界》
魔化:(a)該当する系統のイメージを刻んだ杖、錫杖、装身具。必要エネルギー800。
(b)永久化させる方法があるという噂があるが、「相性の変化」の実践より上回る手段は考案されていない。
(c)品物に人為的に相性を持たせる手段もあるらしいが……。
◇ルナル:なし
《自陣結界/種別》特殊#
《戦陣結界》とほぼ同じ内容を持つ呪文ですが、(a)術者が味方と認識した相手のみか(b)術者が敵と認識した相手を除く全てに影響を与えます。
《敵陣結界/種別》特殊#
《戦陣結界》とほぼ同じ内容を持つ呪文ですが、(a)術者が敵と認識した相手のみか(b)術者が味方と認識した相手を除く全てに影響を与えます。
《不幸》通常/知力で抵抗
目標が「不幸」になります。既に「不幸」なキャラクターに掛けても意味は無く、その場合は術者が「不幸」になります(術者も「不幸」なら何も起こりませんが)。《呪い》と同様に、掛けられたキャラクターの成功を1つ打ち消すと共に解除されます。「幸運」や《祝福》の効果は妨げられません。
持続:10分
消費:4・3
準備:2秒
前提:《呪い》、または素質1+「不幸」
魔化:常動型で装備していると「不幸」になる。消費エネルギー400
◇ルナル:黒の月(第四師団)
《呪文標的》防御/呪文の技能レベル、及び知力−2で抵抗
《呪文反射》と似ていますが、攻撃を反射する先は術者が任意に定めた目標です。目標が抵抗に成功した場合、呪文は《呪文防御》と同じ効果にしかなりません。
消費:自分に掛けるなら4点、視界内の他者に掛けるには6点
前提:素質3+《呪文反射》
◇ルナル:白の月、黒の月
《呪文消散》(至難)防御/目標の呪文で抵抗
《呪文防御》に似ていますが、対象となる呪文を修得している必要は存在せず、術者の知らない呪文でも防ぐ事が可能です。
消費:自分に掛けるなら3点、視界内の他者に掛けるには4点
前提:《呪文防御》《呪文除去》
◇ルナル:白の月、黒の月(第一師団)
《魔力濃縮》(至難)範囲
範囲内のマナを濃縮し、濃度を周囲より1段階高くします。重ね掛けは2段階(「並」→「濃密」、「疎」→「密」など)まで有効です。この呪文の効果は《呪文除去》などでは解除できませんが、同じ呪文を逆用する事でマナの濃度を元に戻す事ができます。この呪文では、濃度を「濃密」より高くする事はできません。
持続:永久
消費:7
準備:1時間
前提:《呪文除去》、10系統から各1種
◇ルナル:白の月、黒の月(第一師団)
《魔力希釈》(至難)範囲
範囲内のマナを希釈し、濃度を周囲より1段階低くします。その他の取扱いやデータは《魔力濃縮》と同様です。この呪文では、濃度を「疎」より低くする事はできません。
《知的連動》特殊
術者本人が使用した《遅発》《連動》に連続して使い、術者と同じ点数の知力を持たせます。こうして与えられた「知性」は「何かを判別するための技能」を術者と同じレベルで持ち、普通の人間が見ても分からない事を「引き金」にする事が可能となります。「知性」は自己判断が可能であるため、《遅発》を罠として使用する際の−5修正を受けず、命令の実行により術者やその味方が被害を受けるような状況では命令を逸脱して「有効な」手段に切り替わる事も有り得ます。
持続:付与された呪文と同じ
消費:5・3(維持できるのは《遅発》に対してのみ)
準備:10秒
前提:《遅発》
◇ルナル:白の月、黒の月(第一師団)
《委任瞬間防御》特殊
《瞬間防御》と同じ効果を持ちますが、引き金を引くのは呪文を掛けられた目標の方です。術者は《委任瞬間防御》を自分の意思で発動させる事はできません。
持続:1時間
消費:目標となる呪文のエネルギー・同、技能レベルが上昇してもエネルギーは減少しない
準備:10秒
前提:《瞬間防御》
◇ルナル:白の月、黒の月(第一師団)
《厄除け》通常
危険な事態に直面した際に《祝福》がキャラクターを守るのと同じ力を目標に与えます。通常の判定に修正を掛ける事はできません。
持続:力を発揮するまで
消費:《祝福》の10分の1
準備:エネルギー1点につき1分
前提:《祝福》と同じ
魔化:《祝福》と同じような品物。エネルギーは通常の10倍。
◇ルナル:白の月
《感知遮断》(至難)通常/情報呪文に抵抗
目標とその所持品は触覚以外の全ての通常の感覚に捉えられなくなり、ゴーレムの魔法感覚や《魔力視覚》《透明看破》でも見破られなくなります。ただし足跡は付くので気を付けて下さい。
持続:1分
消費:8・5
準備:5秒
前提:素質3+《透明》《忍び足》《消臭》《感知防御》
◇ルナル:白の月、黒の月(第三師団)
《複数化》特殊
「通常」の種別の呪文を、複数の目標に同時に放ちます。消費エネルギーは目標数を掛けてから技能レベルによる減少分を差し引き、判定は一度にまとめて、一番大きな不利な修正を目標値に適用して行います。1つの目標に呪文を複数回振り分ける事はできません。追加する事が可能な目標数は、最大でこの呪文の技能レベルの1/5(端数切捨て)となります。
この呪文の判定その物は行いませんが、対象となる呪文の目標値はこの呪文のレベルが上限となります。
持続:一瞬
消費:1、減少は不可
準備:+1秒、減少は不可
前提:素質2+10系統から各1種
魔化:杖、錫杖、装身具。魔術師のみ使用可能。必要エネルギーは増加させられる目標数1つにつき500。
◇ルナル:白の月、黒の月(第一師団)
《範囲呪文固定》特殊/知力で抵抗
続けて掛ける(持続時間を持つ)範囲呪文の中心ヘクスを、特定の生物や物体(固体に限る)に固定します。
この呪文の判定その物は行いませんが、対象となる呪文の目標値はこの呪文のレベルが上限となります。
持続:対象となる呪文と同じ
消費:1、減少は不可
準備:+1秒、減少は不可
前提:素質2+10系統から各1種
魔化:杖、錫杖、装身具。魔術師のみ使用可能。必要エネルギー500。
◇ルナル:白の月、黒の月(第一師団)