◇謹製呪文之書・分冊2◇


 06.情報伝達系
 07.植物系
 08.食料系
 09.死霊系
 10.精神操作系

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―情報伝達系呪文―


・「マジック」の呪文

《生命感知》
 戦闘データが「群れ」となる大きさの生物は、範囲内にいる数が「群れ1つ分」に達すると、それ以降は数える単位が「群れ」(群れ1つ、群れ2つ……)になります。
 知力2以下で、なおかつ体長が1cm未満の生物(主に小さな虫、微生物、ウイルス)は、特に要求しないと感知の対象とはなりませんし、感知の対象にしても「いる」「いない」程度の事しか判別できません。生きている組織の一片(単独では知力を持たないもの。折れた枝、千切れた尻尾、熟して落ちた果実など)も感知できません。

《敵感知》
 魔化を追加します。
魔化:赤い球体。常動型で設定した範囲内に所持者に敵意を持って踏み込むと点滅しながら鳴り始める。必要エネルギーは範囲に使用する時の基本消費の100倍(最低200)。「ルナル・サーガ」リプレイ第2部のアメンボ男が所持していた。

《思考転送》
 送り込む思考には、術者の肉声に似た固有のトーンが付随します。トーンを偽るには、術者の〈演技〉か「グリモア」の〈夢制御〉と目標の「知力+鋭敏感覚」か〈嘘発見〉による即決勝負で勝利する事が必要となります。

《精神感応》
 受け入れる意思のない相手には掛からないため、呪文のタイプを「通常/抵抗は自動」とします。
 思考に伴うトーンについては、《思考転送》と同じです。目標からもトーンの偽装が理論上は可能ですが、全く意味がないでしょう(通常呪文なので、たとえファンブルにより混信しても、術者が気付かないという事はありません)。

《技能賦与》
 魔化を追加します。この魔化を《言語賦与》に転用しても構いません。一部の技能(特に社会系と芸術系)は、魔化で賦与できない技能としても構いません。
魔化:(a)常動型。特定の技能レベルに+1〜+4のボーナスを与える。術者は賦与しようとする技能を12レベル以上で修得が必要。エネルギーは以下の通り。
 +1:100(重要でない精神技能)/200(肉体技能、重要な精神技能、「精神/至難」の技能、重要でない戦闘系技能)/400(重要な「精神/至難」の技能、重要な戦闘系技能)
 +2:200/400/800
 +3:400/800/1600
 +4:800/1600/3200
   (b)常動型。技能を所持しない相手に技能を「基準能力値」レベルで与える。エネルギーは(a)で+3ボーナス(重要な技能なら+4ボーナス)を与える時と同じ。与える技能レベルにボーナスを与えたいなら(a)も同時に魔化が必要。


・「グリモア」等の呪文

《精神通信》
 デフォルトの前提呪文に情報伝達系が皆無であるため、ルナルのサリカ信者と同じく、前提の《魔法の目》《遠耳》を《精神感応》としてもよいでしょう。

《夢のぞき》
 《映像再生》と同じく、《幻影》での映像化を認めてもいいでしょう。


・自作呪文

《心眼》通常
 目標に「感情察知」を与えます。元から「感情察知」を持つキャラクターには意味がありませんし、テレパシーや[心の声]にもボーナスを受けません。
持続:10分
消費:4・2
準備:10秒
前提:《読心》
◇ルナル:ガヤン高司祭、サリカ高司祭、カアンルーバの〈導き手〉、グルグドゥ、白の月、黒の月

《思考記録》通常
 思考による伝言を術者が触れた物体に刻み込み、その物体に再度《思考記録》を掛けた人物に伝えます。伝言は思考として受け取り手に伝わりますが、それ以外の者には聞こえません。受け取り手に伝え終わった伝言は自動的に消去されます。
 1つの物体に刻み込んだ伝言は全体で1つの伝言と見なされ、伝言を生物に刻み込む事もできません。また、この呪文は「維持している」とは見なしません。
持続:思考を伝えるまで
消費:1文ごとに3、簡単な図や絵は1つごとに3、思考を開封するには量に関わらず1
準備:4秒。思考を開封するには1秒
前提:素質1+《思考転送》
魔化:通常の50倍のエネルギーで(自動消去されない)永久化が可能。
◇ルナル:サリカ神官、シグルリードの〈兄・姉〉、グルグドゥ、白の月、黒の月

《防諜精神感応/種別》(至難)通常/抵抗は自動
 通常の《精神感応》で環に入る事ができない他は、《精神感応》と同じ効果を持つ呪文です(もちろん、種別の異なる《防諜精神感応》で環に入る事もできません)。持続、消費、準備、魔化に関するデータは《精神感応》と変わりません。
前提:素質2+知力13+《精神感応》
◇ルナル:白の月、黒の月(狭義のソーサラーのみ)

《技能窃取》(至難)通常/知力で抵抗
 《技能取得》とほとんど同じですが、目標の承諾を得る必要がありません。
持続:1分
消費:6・5
準備:6秒
前提:素質2+《憑依》《技能取得》
◇ルナル:黒の月(第一師団)

《叫び》防御・範囲
 テレパシー的な警報の叫びを上げます。この叫びには術者個人に固有のトーン、及び術者の判断による危険の度合いを加味する事ができますが、それ以外の情報は一切加えられません。叫びを聞かせる目標を選択する事もできません。
 この呪文は必ず、術者を中心として使用しなくてはなりません。
消費:1/5(最低2)
前提:素質1+《思考転送》
◇ルナル:サリカ神官、グルグドゥ、白の月、黒の月

《肉体従属》通常/知力で抵抗
 《肉体支配》と似ていますが、術者の肉体を目標に操らせます。詳しい点は《肉体支配》に準じますが、目標が意に沿わぬ行動を取った場合、術者は呪文を中断できます。予告せずにこの呪文を使った場合、術者の肉体に感覚を移された目標は精神的な朦朧状態になり、ターン毎に意思判定を行い、成功するまで回復しません。
持続:1分
消費:6・3
準備:10秒
前提:《他者知覚》、または《精神感応》
魔化:頭部に着用する物。魔術師しか使えない。必要エネルギー1500。
◇ルナル:サリカ神官、グルグドゥ、白の月、黒の月

《託身》(至難)通常/知力で抵抗
 《憑依》と逆に働く(つまり、目標を術者に憑依させる)呪文です。ただし術者は意識を完全には失わず、この呪文の維持と中断だけは行えます。予告せずにこの呪文を使った場合、術者の肉体に感覚を移された目標は精神的な朦朧状態になり、ターン毎に意思判定を行い、成功するまで回復しません。
 この呪文は、《憑依》の代わりとして《解呪》の前提に使えます。
持続:1分
消費:10・4
準備:1分
前提:素質1+《肉体従属》
魔化:頭部に着用する物。魔術師しか使えない。必要エネルギー2500。
◇ルナル:サリカ神官、グルグドゥ、白の月、黒の月

《完全託身》(至難)通常/知力で抵抗
 《完全憑依》と逆に働く呪文です。ただし術者は意識を完全には失わず、この呪文の中断だけは行えます。予告せずにこの呪文を使った場合、術者の肉体に感覚を移された目標は精神的な朦朧状態になり、ターン毎に意思判定を行い、成功するまで回復しません。
 この呪文は、《完全憑依》の代わりとして《肉体交換》の前提に使えます。
持続:永久
消費:30
準備:5分
前提:素質3+《託身》
魔化:頭部に着用する物。魔術師しか使えない。必要エネルギー3000。
◇ルナル:サリカ高司祭、グルグドゥ、白の月、黒の月

《防諜精神通信/種別》(至難)通常/抵抗は自動
 通常の《精神通信》で環に入る事ができない他は、《精神通信》と同じ効果を持つ呪文です(もちろん、種別の異なる《防諜精神通信》で環に入る事もできません)。持続、消費、準備、魔化に関するデータは《精神通信》と変わりません。
前提:素質2+知力13+《精神通信》
◇ルナル:白の月、黒の月(第一師団、狭義のソーサラーのみ)

《通信塔》範囲
 転送系の《標識》と似ていますが、思考を伝達する呪文の必要エネルギーと不利な修正を半分(端数切捨て)にします。対象となる呪文は、「マジック」では《思考転送》《精神感応》、「グリモア」では《精神通信》《夢送り》《夢投射》です。
持続:1日
消費:8・半
準備:30秒
前提:素質2+思考を伝達する呪文2種
魔化:(a)100倍のエネルギーで効果を永久にできる。
   (b)品物に魔化して持ち運び可能な通信塔を作る。必要エネルギー800。効果範囲の半径が1ヘクス増えるごとに800。
◇ルナル:白の月、黒の月(第一師団、狭義のソーサラーのみ)


―植物系呪文―


・「マジック」の呪文

《植物治癒》
 具体的なHPの回復量を算出したい場合、「エネルギー1点ごとに2点回復」とします。またこの場合、《〜治癒》と同様に複数回使用に不利な修正が加わります。
 なお、治癒系呪文は基本的に植物にも有効とします。

《植物繁茂》
 GMが望むなら、急速に成長した植物は地中の養分をそれ相応に吸い取ってしまう事にして構いません。この呪文を盆栽の作成に用いる事は、基本的に邪道と見なされます。


・「グリモア」等の呪文

《植物再生》
 知性を持つ植物が死んでしまった場合、この呪文を掛けても知性や能力が蘇る事はありません。


・自作呪文

《浮き島》通常
 草と土から、水の上に浮く浮き島を作り出します。浮き島の基本サイズは1ヘクスで、50kgまでの重量を支えられます。重い生物や物体の場合は2ヘクス以上に跨る浮き島で支える事ができますが、生物や物体のサイズに応じて限度が生じます。人間なら2ヘクスが限度でしょう。呪文が切れたら浮き島は普通の重さしか支えられなくなりますが、しばらくの間は崩れずに漂います。確保しておけば再利用も可能です。浮き島を動かす際には〈ボート〉技能か技能無し値の「知力か敏捷力−5」を使いますが、慣れていなかったり波が高かったりすればその修正も普通に受けます。オールか竿(クォータースタッフで代用できます)が無い場合には、《魚制御》で魚に押させたり《念動》で横に引っ張ったり(浮き島は仮に40kgとします――水面を滑っているからです)波間に漂い続けるかしなくてはならないでしょう。
 この呪文は植物系と同時に、地霊系にも属します。
持続:1時間
消費:8(何も無い所から)、4(草と土があれば)、2(既に存在する浮き島に掛ける)。維持は1ヘクスあたり2
準備:4秒
前提:《植物作成》《土作成》
◇ルナル:〈導き手〉共通、白の月、黒の月

《枝矢》射撃
 木の枝を矢として放ち、目標にエネルギー1点あたり刺し/1D−1点のダメージを与えます。射撃には〈呪文射撃/飛ぶ剣〉を使用し、抜撃13、正確さ+2、半致傷30、最大射程60です。この呪文には適度な長さの木の枝が必要で、枝は枯れていても構いませんが加工されていると使えません。植物が生きてさえいれば、次のターンに枝は再び生えてきます。
消費:1〜3
準備:1〜3秒
前提:《植物作成》
◇ルナル:〈兄・姉〉共通、白の月、黒の月

《絡む植物》通常/敏捷力−1で抵抗
 目標に周囲にある植物の枝や蔓、根などを絡み付かせて動きを封じます。抵抗に失敗した目標は全身を束縛され、解放されるまで移動も攻撃もできません。自分から脱出するには、動物捕獲用ネットと同様に、敏捷力−4判定に合計3回成功しなければなりません。片手しか使えない場合や手先が器用でない動物の場合は敏捷力−6判定です。判定に3回連続で失敗すると、よけいひどく絡まり、呪文が終了するか他人に切ってもらうまで脱出できなくなります。この呪文は、低い丈の草しか生えていない所や植物の存在しない所では使用できません。
持続:1分、または目標が自由になるまで
消費:5・3
前提:《動く植物》
◇ルナル:〈導き手〉共通、白の月、黒の月

《植物の天蓋》範囲
 《避難所》と同じ効果を持つ植物のドームを作ります。所々に隙間が開いており、術者が認めた相手の出入りには支障がありません。少なくとも茂み程度の植物の無い範囲では使えません。
持続:6時間
消費:2・1
前提:《植物繁茂》+四大精霊系から各1種
◇ルナル:〈導き手〉共通、白の月、黒の月

《光苔》範囲
 発光性の魔法的な苔を範囲内に生やします(同一ヘクス内では対象を限定できないので、苔を生やしたくないものは避難させておきましょう)。極度に乾燥していない日の当たらない場所なら、特に栄養がなくても半永久的に大丈夫です。
※現実に存在する光苔は、自分で発光しているのではなく、差し込んでくる弱い光を体内で増幅して光っているだけなので、日の全く当たらない場所では生育できません。
持続:永久
消費:2で星明かり(視覚−7)、4で月明かり(視覚−5)
準備:1点につき1秒
前提:《植物作成》+光/闇系5種
◇ルナル:〈導き手〉共通、白の月、黒の月

《樹脂作成》通常
 べたべたする樹脂を作り出します。滑り止めや接着剤としても使え、手足に少量を付ければ〈登攀〉に+3し、4リットルを1ヘクスに落とせば成功度0の《べたべた》と同じ効果を1時間持ちます。
持続:1時間で固まる。持続不可
消費:4リットルにつき3
前提:《植物作成》
魔化:杖、錫杖、装身具。必要エネルギー200。
◇ルナル:〈兄・姉〉共通、白の月、黒の月

《樹脂噴射》通常
 べたべたする樹脂を指先から噴射します。射程はエネルギー1点につき2ヘクスで、命中すると樹脂を全て拭い去るかエネルギー1点につき1D分経過するまでは手先を使う判定に−1され、剥き出しの武器は「切り」のダメージが−1され《切れ味》が無効化されます(《鋭さ》は有効)。この攻撃に対して、鎧の受動防御は効果を持ちません。
持続:1秒
消費:1〜3
前提:《樹脂作成》
魔化:杖、錫杖、装身具。必要エネルギー500。
◇ルナル:〈兄・姉〉共通、白の月、黒の月

《木人形》(至難)通常
 約100kgの加工されていない木を材料として、ウッドゴーレム(データはフレッシュゴーレムと同じ)を一時的に作り出します。持続時間が切れると人形の体はばらばらに壊れ、元が生きた木ならその場に根付こうとします。同じ呪文なら再利用が可能ですが、《動像》を使う事はできません。
 この呪文は植物系と同時に、死霊系にも属します。
持続:1分
消費:6・3
準備:4秒
前提:《植物変化》《動像》
◇ルナル:白の月、黒の月

《落葉》範囲/生命力で抵抗
 範囲内の植物を落葉させます(花も落ちますが、実は落ちません)。自然には落葉しない植物(一年草や海藻など)の場合、実や胞子を除く全体が《枯死》と同じ効果を受けます。
持続:永久
消費:2
準備:10秒
前提:《植物繁茂》
魔化:落葉樹から作った杖、錫杖、装身具。必要エネルギー200。
◇ルナル:〈兄・姉〉共通(祖霊植物には使えない)、白の月、黒の月

《接ぎ木》通常
 植物に使用する《接合》です。切断された部位を付け直す場合でも、不利な修正は掛かりません。近縁でも異なる種類同士(キュウリとカボチャなど)で接ぎ木を行うのにも使えますが、−1以上の不利な修正を伴います。
持続:永久
消費:3(草や小枝)〜15(木の幹)
準備:1分。完全に繋がるまで1日〜1週間。
前提:素質1+《植物繁茂》
魔化:若葉の模様を刻んだ杖、錫杖。魔術師しか使えず、目標に触れる必要がある。必要エネルギー500。
◇ルナル:〈兄・姉〉共通、白の月、黒の月

《瞬間接ぎ木》通常
 《接ぎ木》と同じですが、効果は一瞬です。
持続:永久
消費:10(草や小枝)〜50(木の幹)
前提:素質2+《接ぎ木》
魔化:若葉の模様を刻んだ杖、錫杖。魔術師しか使えず、目標に触れる必要がある。必要エネルギー750。
◇ルナル:〈兄・姉〉共通、白の月、黒の月

《芽生え》通常
 植物に使用する《再生》です。
持続:永久
消費:4(草や小枝)〜20(木の幹)
準備:1分。完全に再生するまで1日〜1週間。
前提:素質2+《植物作成》《接ぎ木》
魔化:若葉の模様を刻んだ杖、錫杖。魔術師しか使えず、目標に触れる必要がある。必要エネルギー700。
◇ルナル:〈兄・姉〉共通、白の月、黒の月

《瞬間芽生え》通常
 《芽生え》と同じですが、効果は一瞬です。
持続:永久
消費:16(草や小枝)〜80(木の幹)
前提:素質3+《芽生え》
魔化:若葉の模様を刻んだ杖、錫杖。魔術師しか使えず、目標に触れる必要がある。必要エネルギー1000。
◇ルナル:〈兄・姉〉共通、白の月、黒の月


―食料系呪文―

 食料で攻撃を行う呪文の場合、「食べようとしても食べられない」「食べても栄養にならない」「しばらくすると消える」という事にして《食料作成》の代わりに使えないように処置を施して下さい。
 「食料」の定義は、術者の属する文化における主観に基づきます。現代日本の術者は《食料探知》に犬を含めませんが、中世日本の術者は犬も探知してしまいます(汗)。ただし、個人的な好き嫌いは反映されません。術者がよく知らない、あるいは全く知らないものを食料と認定できるかは、そのものに近いカテゴリーから類推して下さい(鶉→野鳥→食べられる、ブルーチーズ→アオカビの付いたチーズ→食べられない、のように)。


・「マジック」の呪文

《保存食》
《腐敗》
 「食料でない有機物質」、例えば敵の死体などには……効く事にしましょう(爆)。

《毒化》
 より厳密には《食料毒化》です。

《調理》
 通常の調理を超える時間を要する、日単位以上の準備が必要な料理(鱶鰭スープ、熊の掌の煮込みなど)、あるいは発酵や乾燥などの熟成を要する食品(味噌、鰹節、納豆、チーズ、サラミソーセージなど)は作れません。
 目標が生きた動物でも、知力5以下でサイズ修正-2以下(全長1m以下)なら調理可能ですが、その際には食材のうち最も高い生命力を持つ1体が代表として生命力で抵抗します。
 既に調理された嫌いな食べ物や失敗作を、改めて「調理」する事はできません。
 また、魔化を追加します。
魔化:(b)特定の調理法にしか対応しない調理器具(炊飯しかできない飯盒、浅漬けしかできない漬物桶など。形状は自由だが密閉できる物だけ)。必要エネルギーは、1日の使用回数1回ごとに10(最低30)。

《食料作成》
 これで作られる食料は、完全栄養食である事にしても差し支えないでしょう。良質な材料でない場合、同じ物を食べ続けると何らかの栄養失調を起こす事にして構いません。
 有害物質(毒、ウイルスに汚染された物質、汚物、重金属、放射性物質など)は、他の手段で無害な物質に浄化されない限り、この呪文の対象にはできません。

《水を酒》
 《聖水》で作成した魔法の水に使う事により、魔法の酒を作り出します。この酒は非常に美味で、しかも悪酔いしません。通常の1/3の量で気持ち良く酔えます。もし販売される場合、その値段は、聖水の値段と蒸留酒の値段を足したものか、やや割増ししたものになるでしょう。

《断食》
 持続時間中に飲食物を摂取しても、栄養素や水分の過剰摂取を引き起こす事はありません(《断食》による栄養補給がその分減るだけですので、食べ過ぎれば当然後で太ります)。GMが望むなら、目標は持続時間中には一切の排泄を行わない(もちろん悪影響も受けない)事にして構いません。……ダイエットが可能かどうかも、GMの判断次第です。


・「グリモア」等の呪文

《解体》
 目標を捌く度合いは、「料理するのに都合がいいように分離されるだけ」の範囲内で自由に調整できます。分離の埒外である「すり身や挽肉にする」「穀物を挽いて粉にする」水準まで“捌く”事はできません。
 小型の目標(大半の魚や鳥、穀物など)の場合、エネルギー消費を「1ヘクス分ごとに2点」として処理して構いません。GMが認めるなら、田畑の作物(特に穀物や芋類)を刈り取る/掘り起こすだけの場合、《解体》を範囲呪文として用いさせてもよいでしょう。


・自作呪文

《食料測定》情報
 食料の味と栄養、硬さ・軟らかさ、消化効率などについて調べます。腐敗については分かりますが、《毒見》とは違って毒や異物は検出できません。
消費:1回分の食事や飲み物1本で2点。巨大な物なら1ヘクス毎に6点。
前提:《毒見》
◇ルナル:リャノ入信者、ジャングの〈弟・妹〉、白の月、黒の月

《酒作成》通常
 何も無い所から酒を作り出します。その他は《水を酒》と同じです。強い酒なら消毒用にする事もできるでしょうし、アルコール度数がブランデー以上に強ければ火もつけられます。ただし油とは違い、温度が低いのでダメージも小さくなります(せいぜい毎ターン1点で防護点も有効、ダメージを与えるほどの着火もしません)。
 術者が《聖水》も修得していれば、エネルギーを4リットルにつき1点追加する事により魔法の酒を作れます。
持続:永久
準備:10秒
消費:4リットルにつき6点(弱い酒は4点、強い酒は10点)
前提:《水作成》《水を酒》
魔化:飲み物の容器。1日に1度中にアルコールを生み出す。品質はそこそこ良い。必要エネルギーは4リットルにつき700。
◇ルナル:リャノ高司祭、白の月、黒の月

《酒噴射》通常
 酒を指先から噴射します。顔に浴びると《水噴射》と同じ効果(次のターンの敏捷力にエネルギー1点あたり−3)の他に、生命力判定(エネルギー1点あたり−1修正)に失敗すると肉体的な朦朧状態になります(回復の際の判定にはペナルティはありません)。「アルコール中毒」を持つキャラクターは、意思判定に失敗するとこの攻撃に対して能動防御を行えません。
持続:1秒
準備:2秒
消費:1〜3
前提:《水噴射》《水を酒》
◇ルナル:リャノ高司祭、白の月、黒の月

《酒霧》範囲
 アルコール分を含んだ霧を作り出します。通常の《霧》の効果に加えて、踏み込んだターンと内部に留まり続けた10ターン毎に1回ずつ生命力判定を行い、失敗すると酒気に当てられて知力判定の目標値が−1されます(重複しません)。
持続:1分
消費:2・半
前提:《霧》《水を酒》
◇ルナル:リャノ高司祭、白の月、黒の月

《酒を水》通常
 《水を酒》の反対に、アルコール飲料をアルコールを含まない飲める液体に変化させます。度数の高いアルコール飲料にも効きますが、その他の液体には効果がありません。
持続:永久
準備:10秒
消費:4リットルにつき4点(弱い酒は2点、強い酒は8点)
前提:《水を酒》
◇ルナル:リャノ高司祭、白の月、黒の月

《クリームパイ》射撃
 クリームパイを手元に作り投げ付けます。このクリームパイは当たっても痛くはないですが、汚れを落とすのには苦労するでしょう。顔に当たれば1D−3秒(最低1秒)の間目が見えなくなります。使用する技能は〈呪文射撃/騒霊〉で(〈呪文射撃/クリームパイ〉と呼んでも構いませんが)、抜撃13、正確さ+1、半致傷25、最大射程60です。
 ちなみにこのクリームパイは、投げずに食べようとすると術者(または食べようとした人物)の顔に自動的に命中します。
消費:1
準備:1秒
前提:《食料作成》+〈調理〉12レベル
◇ルナル:リャノ高司祭、白の月、黒の月

《バナナの皮》範囲
 範囲内にバナナの皮を敷き詰めます。踏み込むと《氷面》と同じ扱いを受けますが、よほど注意力散漫でない限り見れば分かるでしょう。しかし《幻覚かぶせ》の下や曲がり角の向こうにある場合は、かなり避けるのが困難です。
 バナナの皮は魔法的な物ですが、普通のホウキとちりとりで1ヘクス毎に1分掛けて片付ける事が可能です。
持続:取り除かれるか腐るまで
消費:3/2、最低直径3ヘクスで3点
前提:《食料作成》、または《植物作成》
◇ルナル:リャノ高司祭、カアンルーバの〈導き手〉、白の月、黒の月

《胡椒爆弾》範囲
 範囲内に胡椒の粉を発生させます。胡椒の充満したヘクスは視界を妨げ、催涙ガスとしての効果も持つため生命力判定に失敗すると涙と咳で何もできなくなります。胡椒は風によっても消し飛ばされるため、屋外では10秒ほどしかもたないでしょう。
 なお、この呪文で作り出した胡椒は刺激が強く、容易に空中の塵や地面のごみと混ざりますので、料理への使用や売却はお勧めできません(清潔な密閉空間で使うと、採取者が大変な事になります)。もし料理に使うと、食べた者は適当な修正を受けて生命力判定を行い、失敗すると涙と咳に見舞われます。「毒」として使う場合、犠牲者に味覚判定に成功されると、摂取する前に気付かれます。
 文化によっては、同様な刺激物による《わさび爆弾》《辛子爆弾》《唐辛子爆弾》などもあるでしょう。2つ目は英訳禁止。
持続:5分
消費:1・維持不可
前提:《食料作成》《ひきつり》
◇ルナル:リャノ高司祭、白の月、黒の月

《挽き割り納豆》射撃
 大量の挽き割り納豆を目標に絡め、戦闘用ネットのように敵の動きを封じます(ネットに関しては、「ベーシック完訳版」P88を参照して下さい)。防御は「よけ」のみ可能で、絡み付かれると振りほどくまで移動も攻撃もできません。振りほどくには敏捷力−1(片手のみ、あるいは大半の動物の場合は−3)判定に3回成功しなければなりません。判定に連続3回失敗するとひどく絡まり、納豆を時間を掛けて取り除く以外の方法では脱出できなくなってしまいます。投げ縄やボーラと同じ使い方も可能です。射撃は〈呪文射撃/粘液〉で行い、抜撃13、正確さ+1、半致傷−、最大射程20です。
 他聞に洩れず、この挽き割り納豆は魔法的な物なので食べようとしても粘着力が強過ぎて食べられません。
持続:取り除かれるか腐るまで
消費:4
前提:《食料作成》《発酵》
◇ルナル:リャノ高司祭、白の月、黒の月

《冷凍マグロ》通常
 術者の手元に冷凍マグロを出現させます。冷凍マグロは〈剣〉やその類似技能で扱い、片手なら「叩き/振り+2」点、両手なら「叩き/振り+3」点のダメージを与えます。更に冷凍マグロは強烈な冷気を放っており、《氷結武器》が常時掛かっているものと見なされてダメージが防護点を貫通したら追加ダメージを2点与えます。この呪文で作り出した冷凍マグロは非常に硬くて食べられず、溶けると即座に腐ってしまいます。
 一部の魔術師は、この呪文の変形版として《サンマ手裏剣》《撲殺マンボウ》などを作っているという噂があります。
持続:腐るまで(気温が氷点下なら半永久的)
消費:4
準備:3秒
前提:《食料作成》《氷結武器》
◇ルナル:リャノ高司祭、白の月、黒の月

《ヤシの実》(至難)通常
 目標(通常の距離修正が掛かります)の頭上にヤシの実を出現させてぶつけ、頭に「叩き/1D+2」点のダメージを与えます。呪文の判定に成功すれば自動的に命中し、相手は「よけ」のみが可能です。《矢よけ》《矢返し》では防げません。頭蓋骨と防具の防護点は有効ですが、当たり所が悪いと死んでしまうでしょう。呪文の発動判定にクリティカルした場合は自動的に命中し、頭部クリティカル表を参照します。この呪文で作り出すヤシの実は熟しておらず、非常にまずくて栄養はありません。呪文の目標の頭部が体の上にない場合は、体の上部にある別の急所か、急所がなければ単に胴体に当たります。
持続:一瞬。ダメージは永久
消費:3
準備:2秒
前提:素質2+《食料作成》、または素質2+《植物作成》
◇ルナル:リャノ高司祭、カアンルーバの〈導き手〉、白の月、黒の月

《肉人形》(至難)通常
 約100kgの腐っていない肉(生き物に付いている肉は使えません)を材料として、フレッシュゴーレムを一時的に作り出します。持続時間が切れると人形の体はばらばらに壊れます。同じ呪文なら再利用が可能ですが、《動像》を使う事はできません。
 この呪文は食料系と同時に、死霊系にも属します。
持続:1分
消費:6・3
準備:4秒
前提:《復活》《動像》
◇ルナル:白の月、黒の月

《食料冷凍》通常
 固体(またはスープ状)の有機物を冷凍します。
持続:自然に溶けるまで
消費:1(拳大)、2(30cm立方)、3(1ヘクス)、更に1ヘクスにつき3/2。気温が氷点下でない時は、同じだけのエネルギーを消費すれば維持できる。
準備:10秒
前提:《冷凍》
魔化:(a)杖、錫杖、装身具。必要エネルギー150
   (b)常動型の箱。必ず蓋で密閉する必要がある。必要エネルギーは通常使用時の100倍。
◇ルナル:白の月、黒の月

《粗食》通常
 目標は味にメリハリが無くなり、食感もはっきりしなくなります。食べても何で美味しくないのか、食べている本人には理由が全く分かりません。この呪文は、元々食べられる物にしか掛けられません。
持続:1日
消費:食事1回分につき2
前提:素質1+《調理》《間抜け》
魔化:杖、錫杖、装身具。魔術師のみ使用可能で、目標に接触する必要がある。必要エネルギー600。
◇ルナル:リャノ高司祭、白の月、黒の月

《猫跨ぎ》通常
 目標は人を遠ざけるほどまずくなります。《ごちそう》の逆呪文だと考えて下さい。この呪文は、元々食べられる物にしか掛けられません。
持続:1日
消費:食事1回分につき2
前提:素質1+《調理》《間抜け》
魔化:杖、錫杖、装身具。魔術師のみ使用可能で、目標に接触する必要がある。必要エネルギー600。
◇ルナル:リャノ高司祭、白の月、黒の月

《冷製》通常/生命力で抵抗
 《調理》とほぼ同じ呪文ですが、食材を火を使わない料理――刺身、酢の物、押し鮨、マリネ、サンドイッチ、生牡蠣のレモン掛けなどに変えます。もちろん、生で食べて差し支えない食材にしか使えませんのでご注意下さい。
持続:一瞬、効果は永続
消費:食事1回分につき1
準備:5秒
前提:《毒見》《水作成》
魔化:包丁。必要エネルギー400
◇ルナル:高司祭共通、白の月、黒の月


―死霊系呪文―

 死霊系の呪文には、反社会的なために修得や使用が厳しく制限されそうな呪文が多く存在します。特に《悪魔召喚》だけは、いかなる世界でも邪悪な呪文とされ、どのような社会でも違法とされています(邪悪な知的生命の中には普通に修得している者もいるかもしれませんが、その多くは悪魔に破滅させられているでしょう)。
 その大雑把な指針として、以下のリストを作成しました。

・禁忌呪文リスト
マジック:《死人使い》《死人奪取》《悪霊召喚》《体力奪取》《生命力奪取》《異次元召喚/危険な次元》
グリモア:《死人召喚》《不妊》

 不死の存在を操る呪文と、生命力を削ぐ呪文のうち永続性を持たない呪文を、この禁忌呪文に含んでいます。禁忌呪文は修得に許可が必要で、使用する際にも事前に当局(魔術師ギルドや警察署など)からの許可を必要とします。「敵対的な知的種族」の存在しない世界では、《死人使い》《死人奪取》《悪霊召喚》《生命力奪取》《死人召喚》の使用は非常に厳しく制限されます。
 「神聖さ」を持つキャラクターは、禁忌とならない呪文を修得する際に、前提である禁忌呪文を抜かして前提条件を計算できます。例えば、「神聖」なキャラクターが《死人返し》を修得する場合、前提は(本来は《死人使い》の前提である)《霊媒》《生命力賦与》になります。

・禁断呪文リスト
マジック:《精神捕獲》《老化》《若さ奪取》《疫病》《悪魔召喚》《異次元召喚/非常に危険な次元》
グリモア:《血液弱体化》《治癒力低下》《治癒力停止》《容貌奪取》《技能奪取》《(能力値)奪取》《炎の死神》《腐敗の死神》《内臓摘出》《小悪魔召喚》

 悪魔と関わる呪文と、永続的に生命を傷付ける呪文を、この禁断呪文に含みます。禁断呪文は修得も使用も厳禁され、もし当局に判明すれば少なくとも年単位の懲役刑を受けるでしょう。ものによっては、問答無用で処刑されても文句は言えません。たとえ何らかの世界/社会固有の理由で修得や使用が認められていても、修得できる者や使用する際の使い道が非常に厳しく制限されるでしょう。

 他の系統の呪文でも、情報伝達系の《憑依》《肉体交換》、呪文操作系の《呪い》《素質除去》、精神操作系の《完全忘却》《永久狂気》《偽記憶》《魅了》《奴隷》《ささやき》《命令》、魔化系の《祈願》グループの呪文(特に他者への使用)などは、何らかの規制を受ける場合が多くなります。


・「マジック」の呪文

《死人使い》
 生物で、死後に肉体が形状を保ったまま残るものだけが、死体をゾンビにする事ができます(死体が蒸発してしまう悪魔はゾンビにはなりません。妖怪は、死んでも肉体が残るものだけがゾンビになります)。動物だけでなく植物、菌類、原生生物もゾンビにできますが、自律的に動けなければ事実上何もできません。単独では生命としての機能を果たさないウイルスはゾンビにはなりません。
 生物で、死後に肉体が形状を保ったまま残り、しかも全身に硬い骨を持つものだけが、死体をスケルトンにできます。顎以外が全て軟骨の鮫は、スケルトンにはできません。外殻を持つ節足動物も、スケルトンにはできないでしょう。
 生物で、死後に肉体が形状を保ったまま残り、水分を失っても原形を保つものだけが、死体をマミーにする事が可能です。軟体動物はゾンビにできますがマミーにはできません。
 通常の生物ではない、高度な技術や魔法による擬似生命体(ロボットやゴーレムなど)は、通常の生命を持っていないので、いかなるアンデッドにもなりません。……ただし高度な自我を持つ人工知能が存在する世界では、「人工知能の幽霊」が出現する事もありえるでしょう。
 大型の生物をアンデッドにする場合、ゾンビやマミーなら体力+10%、生命力・HP+50%、スケルトンなら体力−10%となり、「マジック」の記述通りエネルギーが増加します。

《死人返し》
 データのままでは使い手が悪いので、何らかのデータ変更をした方がいいかと思われます。以下の案を参考にしてみて下さい。
(a)呪文の対象を「全てのアンデッド」や「実体を持つ全てのアンデッド」、せめて「死霊系呪文で作り出せるアンデッド(悪霊や死の猟犬も含む)」に拡大する。
(b)ダメージを増やす。「基本消費量2〜6」「エネルギー2点毎にダメージ1D点」程度に。上級のアンデッドにも効果がある場合、この効果に対しては知力で抵抗できた方がいい。
(c)退散率を上げる。ランダムではなく、「術者の技能レベル+意思」と「目標の知力+意思」で即決勝負くらいに。
(d)準備時間を「2秒」程度に短縮する。
 これらの強化を行う場合、何らかの神聖な力の助力(「聖職者」、聖印、聖遺物など)を要求するべきでしょう。

《疫病》
 慎重に疫病の種類を選べば、害虫や害獣だけに効果のある病気を発生させる事が可能かもしれません。しかしよほど文明レベルが高くないと、疫病で特定の生物を狙い撃ちにするのは、まかり間違って他の生物(術者の種族も含む!)まで根絶やしにしてしまう危険を常に孕んでいます。特定の疫病を発生させる呪文はいくつかの世界で存在するかもしれませんが、そのような呪文がファンブルする事により予想外の疫病が蔓延して滅亡した社会もあることでしょう。

《幽体離脱》
 ……となっていますが、所々で《幽体》になっています。確かに元の肉体が残るでもなし、《幽体》の方が適切な名前でしょう。


・「グリモア」等の呪文

 「パワーアップ」にのみ存在する呪文は、以下の通りです。
 《亡霊退散》(MC、内容はほとんど《悪霊返し》と同じ)

《血液弱体化》
 他の《〜弱体化》と同様に、《血液弱化》にしても構いません。

《容貌奪取》
《技能奪取》
《(能力値)奪取》
 「ルーンロード」の世界のように、犠牲者が死亡すると奪取した能力が消失する事にできます。もちろんその場合、奪取した敏捷力のCPを「百鬼」の運動速度を強化する妖力([超反射神経][加速]など)に回せますが、常に限定として「老化速度も加速(−50%)」が加わります。


・自作呪文

《亡者使い》通常
 《死人使い》とは違い、知性を残したアンデッド(ゾンビ、スケルトン、マミー)を作り出します。亡者の能力値は《死人使い》の死人と同じですが知力は低下しておらず、精神技能もそのまま所持しています(魔法や特殊能力は失います)。しかし生前の記憶は持っておらず、「魂」があるように見えますがそれは肉体に染み付いた残留思念でしかありません。亡者は《死人奪取》の目標にはできません。
 亡者は普通の死人と違い、術者に絶対忠実なのではありません。+4のボーナスで反応判定を行って忠実さの度合いを決めて下さい(この場合は最低でも「良くない」になります)。技能判定にファンブルしても死体は亡者として復活しますが、反応が自動的に「最悪」となり術者への攻撃を開始します!
持続:破壊されるまで
消費:人間大で12、それ以上大きいとエネルギーも比例して増大。
準備:10分
前提:《死人使い》+精神操作系6種
◇ルナル:黒の月(第一師団、第二師団)

《死人破壊》通常/知力で抵抗
 肉体を持つアンデッドの活動を阻害して、存在を破壊する呪文です。エネルギー1点毎に1D−1点のダメージを、防護点を無視して与えます。
 普通の生物に掛けても何の効果もありませんが、完全な幽体にも《死人返し》のアンデッドを遠ざける効果を与えます。
持続:永久
消費:1〜3
前提:《死人返し》
◇ルナル:ファウン神官、ナーチャ神官、爬虫人(蛇人)、白の月、黒の月

《呪傷》通常/知力で抵抗
 相手を直接呪文で傷付け、防護点を無視してエネルギー1点につき1D−1点のダメージを与えます。相手が生物でもアンデッドでも有効ですし、ゴーレムや霊体にも直接効果を及ぼします。
持続:永久
消費:1〜3
準備:2秒
前提:《生命力奪取》《死人返し》
◇ルナル:ナーチャ高司祭、爬虫人(蛇人)、白の月、黒の月(第一師団、第四師団)

《幽体投射》(至難)特殊
 術者の精神体を幽体として肉体から分離させます(幽体については移動系の《幽体離脱》の解説を参考にして下さい)。残された肉体は気絶状態になります。呪文の目標としては幽体と肉体は個別に扱い、原理的に幽体に掛かりそうにない呪文(《肉を石》《べたべた》等)以外は全て幽体にも作用します。精神に関する呪文(精神操作系や情報伝達系の大半)を肉体に掛けた場合には、その呪文はいかなる効果も発揮しません。
 なお何らかの理由で呪文が中断されたら、即座に精神体は肉体に戻ります。
持続:10分
消費:10・4
準備:1分
前提:素質3+《憑依》、または素質3+《霊媒》
◇ルナル:サリカ高司祭、ナーチャ高司祭、白の月、黒の月

《完全幽体投射》(至難)特殊
 《幽体投射》に近い呪文ですが、術者が自分で肉体に戻るまでずっと続きます。残された肉体は《活動中断》状態になり、投射中に肉体が死ぬと呪文が永久化して術者は完全な精神体になってしまいます。
持続:永久
消費:30
準備:5分
前提:《幽体投射》
◇ルナル:サリカ高司祭、ナーチャ高司祭、白の月、黒の月

《復活阻止》通常
 死体に掛け、その死体を目標とする復活やアンデッド創造の呪文や特殊能力を阻止します。《復活》《霊媒》《死人使い》《悪霊召喚》『死人の口』、その他の妖術や特殊能力を及ぼす際に、改めて技能レベルに−5の修正を加えて判定を行って下さい。生きている生物に掛ける事はできません。
持続:永久
消費:3、6点消費すれば技能レベルに−10修正。
準備:1分
前提:《死人返し》
魔化:(a)杖、錫杖、装身具。必要エネルギー800。
   (b)所持しているキャラクターが死亡すると自動的に発動する護符。諜報組織や秘密結社の構成員、復活を禁止する神の信者が持っている。必要エネルギーは−5修正なら150、−10修正なら300。
◇ルナル:ファウン神官、爬虫人(蛇人)、白の月、黒の月(第二師団を除く)

《奪取治癒》通常/生命力−2で抵抗
 目標に防護点を無視してエネルギー2点毎に1D−2点のダメージを与え、代わりに術者のHPを同じだけ回復させます。しかし呪文にファンブルした場合、術者がダメージを受けて目標のHPが回復します。
持続:永久
消費:2〜6
前提:《大治癒》《生命力奪取》
◇ルナル:ナーチャ神官、爬虫人(蛇人)、白の月、黒の月

《神聖武器》通常
 武器が白い光に包まれて、邪悪な存在(世界観により判断。ルナルなら〈悪魔〉や黒の月信者、ナーチャの庇護を受けていないアンデッドなど)に追加ダメージを2点与えます。通常の武器が通じない相手にも、命中する毎にダメージを2点与えます。
持続:1分
消費:4・1
準備:2秒
前提:《死人返し》+「神聖さ」
魔化:エネルギー消費なしで所有者が望むと光を帯びる武器。「神聖」なキャラクターにしか使えない。必要エネルギー750。
◇ルナル:ファウン高司祭、ナーチャ高司祭、白の月

《邪悪武器》通常
 武器が黒い光に包まれて、神聖な存在(世界観により判断。ルナルなら黒の月以外に特に近しい高司祭、〈導き手〉、亀人、上位の元素獣、霊獣など)に追加ダメージを2点与えます。通常の武器が通じない相手にも、命中する毎にダメージを2点与えます。
持続:1分
消費:4・1
準備:2秒
前提:《死人使い》+「邪悪さ」
魔化:エネルギー消費なしで所有者が望むと光を帯びる武器。「邪悪」なキャラクターにしか使えない。必要エネルギー750。
◇ルナル:黒の月

《魔法の疫病》通常
 目標を自然には存在しない魔法的な疫病に感染させます。《療治》などに対して、この疫病は《魔法の疫病》のレベルで抵抗を行います。特に強力な疫病の場合、その疫病専用の特殊な呪文が存在すると噂されています。この疫病には完全免疫を含むあらゆる魔法的でない処置は効果がなく、「病気耐性」があっても抵抗に+5するだけの効果しか持ちません。
 この呪文に失敗すると、疫病は即座に術者に感染します。呪文にファンブルした場合、術者の疫病への抵抗に−10の修正を受けます。
持続:治療されるまで
消費:6
準備:5分
前提:素質3+《疫病》+死霊系呪文10種
◇ルナル:黒の月(第八師団)

《即死》(至難)通常/知力か生命力で抵抗
 抵抗に失敗した生物は、肉体と精神(あるいは生命力と霊魂、肉体と魂と魄など世界により様々)の結合を破壊されて死亡します。アンデッド、霊体、無生物には効果がなく、一部の魔法の生命体(精霊、悪魔も含む)にも効果がありません。
 この呪文を修得するには、高い「地位」、「法の番人」、「聖職者」、「特殊な背景」などを要求される事が普通です。
持続:永久
消費:15
準備:3秒
前提:素質3+《死の手》《霊媒》《生命力奪取》
◇ルナル:白の月、黒の月(第一師団)


―精神操作系呪文―


・「マジック」の呪文

《眩惑》
 「目標は、感覚判定に自動的に失敗する。ただし直接刺激を与えられた場合を除く」と見なします。つまり、呪文の影響する前から気付いているものが感じられなくなる事はありませんし、攻撃されればその相手に対しては《眩惑》されていないように行動できます。

《誘眠》
 原生生物や植物でも、「休息する時間=眠り」と見なして有効とします。ただし本来は眠らない生物の場合、妖術の[誘眠]と同様に抵抗と覚醒に+5されます。有機的な生物でないゴーレム(及び自動作動するその他の魔法の品物)、精霊、アンデッド、ロボット、コンピュータ等には一切効果を持ちません(意思を持つアンデッドの場合、GMの裁量で有効となる場合もあるでしょう)。

《知恵》
 呪文だけではなく、魔法系能力(外法など)の技能レベルも上がらないでしょう。その他の特殊能力(超能力、妖術、マンガ技能(の、その世界で達人しか使えない物)、影闘法など)の技能レベルも、紛らわしさを排除するためには上がらない事にした方が良いと思います。


・「グリモア」等の呪文

《意思弱体化》
 《意思強化》と字数の見た目を合わせるために、《意思弱化》に名前を変更します。


・自作呪文

《惑いの矢》射撃
 《呪いの矢》のように、精神操作系の呪文を矢のように飛ばします。
 (1)まず呪文を唱えると、手元に赤い光の球が生まれます(込められた呪文を知っている魔術師なら、それによる効果も分かります)。
 (2)次にこの呪文を、〈呪文射撃/呪いの矢〉技能で撃ち出して目標に当てて下さい。射撃呪文に有効な防御が可能です。この場合は《呪いの矢》と同じく、受動防御や防護点は意味を持ちません。
 (3)最後に込めた呪文の成功判定を行います。目標は抵抗する事ができます。
 《惑いの矢》に込められる呪文は、《間抜け》《酩酊》《吐き気》《眩惑》《誘眠》《狂気》です。《パニック》《恐慌》も基本消費エネルギーで込め、通常呪文として扱って構いません。
持続:射撃するまで
消費:2(成功すれば矢に込める呪文のエネルギーも)
前提:素質2+矢に込める呪文
魔化:杖、錫杖。矢は先端から発射される。魔術師しか使えず、作成者の設定した1種類しか発射できない。必要エネルギーは「込める呪文を魔化するエネルギー+600」。
◇ルナル:アルリアナ神官、爬虫人(蛇人)、白の月、黒の月

《熟睡》通常/生命力−1で抵抗
 《誘眠》より強力な眠りの呪文です。殴られても大きな物音がしても目が覚めず、《覚醒》でも生命力判定に−3の修正を受けます。
持続:一瞬。効果は6時間続く。
消費:5
準備:3秒
前提:素質2+《誘眠》
◇ルナル:ナーチャ高司祭、爬虫人(蛇人)、白の月、黒の月

《集団熟睡》範囲/生命力−1で抵抗
 広範囲に《熟睡》を使います。
持続:一瞬。効果は6時間続く
消費:4(最低直径3ヘクス)
準備:エネルギー4点につき3秒
前提:《熟睡》《集団誘眠》
◇ルナル:ナーチャ高司祭、爬虫人(蛇人)、白の月、黒の月

《昏倒》通常/知力で抵抗
 《誘眠》に似ていますが準備時間も短く、しかも知力で抵抗します。戦士を眠らせるのには向いていますが、魔術師には効きが悪いでしょう。
持続:一瞬
消費:5
準備:2秒
前提:素質2+《誘眠》、または素質2+《パニック》
◇ルナル:アルリアナ高司祭、爬虫人(蛇人)、白の月、黒の月

《集団昏倒》範囲/知力で抵抗
 広範囲に《昏倒》を使います。
持続:一瞬
消費:4(最低直径3ヘクス)
準備:エネルギー4点につき2秒
前提:《昏倒》《集団誘眠》、または《昏倒》《パニック》
◇ルナル:アルリアナ高司祭、爬虫人(蛇人)、白の月、黒の月

《嫉妬》通常/知力で抵抗
 目標に「嫉妬」を植え付けます。既に「嫉妬」を持つキャラクターに掛けても意味は無く、その場合は術者が同じ成功度の《狂気》の効果を受けます。
持続:10分
消費:4・3
準備:2秒
前提:《狂気》、または素質1+「嫉妬」
魔化:常動型で装備していると「嫉妬」になる。消費エネルギー400。
◇ルナル:黒の月(第四師団)

《魅了の肉体》通常/生命力で抵抗
 目標の肉体的な魅力を高め、エネルギー3点毎に〈性的魅力〉〈社交〉と同種族異性の反応修正に+1、6点毎に同種族同性の反応修正に+1します。反応修正はプラスの容貌修正と重複しますが、相手が「好色」の場合は衝動を抑える意思判定にエネルギー3点毎に−1のペナルティを与える事にくれぐれも注意して下さい。色仕掛けが不適切な場面でも、エネルギーに関わらず反応修正に−1されてしまいます。
持続:1時間
消費:3〜12・同
準備:10秒
前提:《説得》《魅了》《生命力賦与》。「未成年」を持っていると修得不可能。
魔化:常動型の首飾りや腰帯。必要エネルギーは1段階毎に400。
◇ルナル:アルリアナ高司祭、白の月、黒の月(第六師団)

《性的快楽》通常/知力で抵抗
 目標に性的な快楽を感じさせます。快楽を感じた瞬間肉体的・精神的朦朧状態に陥ってしまい、それぞれ生命力判定と知力判定に成功しないと回復できません。それぞれの回復判定は別個に行い、双方の影響が無くなって初めて通常通りの行動が可能となります。
 この呪文(及び、この呪文から開発された上級呪文)は一般的に学ぶ事はできず、大っぴらに使われる事も普通はありません。他人に使用した場合、よくても問答無用で痴漢行為と見なされます(汗)。
持続:一瞬
消費:3
前提:《朦朧》《心神喪失》
魔化:(a)杖や錫杖。魔術師にしか使えず、目標に触れる必要がある。必要エネルギー800。
   (b)常動型の首輪や鎖(待て)。必要エネルギー600。
◇ルナル:アルリアナ高司祭、白の月、黒の月(第六師団)

《不実》通常/知力で抵抗
 目標は術者に対して不実になります。具体的な効果は《忠実》を正反対にした物です。使い道には乏しいですが、諫言をする臣下や忠実なだけで役立たずの手下を「正当に」始末する際に愛用されます……。
持続:1時間
消費:2・2。目標が術者を知らなければ2倍、術者の味方なら3倍必要。
準備:2秒
前提:《忠実》
魔化:(a)常動型の装身具で、対象となる人物が死ぬと魔化が失われる。必要エネルギー250(目標が術者以外ならエネルギーは倍)。
   (b)杖や錫杖。魔術師にしか使えず、目標に触れる必要がある。必要エネルギー1000。
◇ルナル:黒の月(第三師団、第四師団)

《色情狂》通常/知力で抵抗
 目標は性欲を植え付けられ、それを満たす機会を逃さなくなります。本来異性に対して抵抗感を持っていても呪文の持続中は抵抗感が無くなるため、心に受けた傷のリハビリに使われる事もあります。目標が女性で容貌が「普通」以上なら男性の反応が+1されますが、「悪い」以下の場合は−1されます。目標が男性の場合、女性の反応は通常は変わりませんが容貌が「悪い」以下に対しては−2されます。それ以外は通常の「好色」に近い扱いをしますが意思判定には常に−5され、14以上の出目を出すと魅力的な人物に対して場所を弁えない行為に及ぶ可能性があります!
持続:1分
消費:4・3
準備:2秒
前提:《魅了》
◇ルナル:アルリアナ高司祭、白の月、黒の月(第六師団)

《眠りの手》通常/生命力で抵抗
 《誘眠》と同じく目標を眠らせますが、接触した目標にのみ効果を持ちます。準備時間が《誘眠》より遥かに短いのが利点でしょう。
持続:起きるまで、扱いは《誘眠》と同じ。
消費:3
前提:《眩惑》
魔化:《誘眠》と同じ
◇ルナル:《誘眠》と同じ

《完全恐慌》範囲/知力−1で抵抗
 効果は《恐慌》と同じですが、恐怖判定の基準値が最大で9にしかなりません。通常は恐怖を感じない精神を持つ相手にも、《恐慌》と同じ程度の効果は見込めます。
消費:5
準備:2秒
前提:素質1+《恐慌》
◇ルナル:アルリアナ高司祭、ナーチャ高司祭、爬虫人(蛇人)、白の月、黒の月

《無気力》通常/知力で抵抗
《恐怖症》通常/知力で抵抗
《大間抜け》通常/知力で抵抗
 《狂気》の改造版で、特定の狂気を植え付ける事が可能な代わりに抵抗しやすくなっています。
持続:1分
消費:4・2
前提:《狂気》
魔化:《狂気》の(a)参照。必要エネルギーも同じ。
◇ルナル:《狂気》と同じ

《目眩》通常/知力で抵抗
 目標は一瞬だけ激しく目眩を起こし、平衡感覚を失って転倒してしまいます。転倒しないような状況(既に転倒中、水中にいるなど)でも、武器の準備や集中を乱してしまいます。
持続:一瞬
消費:2
前提:《パニック》《心神喪失》
◇ルナル:アルリアナ神官、タマット高司祭、爬虫人(蛇人)、白の月、黒の月


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