◇謹製呪文之書・分冊5◇


 21.光・闇系
   ├(21-1.光系)
   └(21-2.闇系)
 22.物体操作系
 23.防御/警戒系
 24.魔化系
   ├24-1.武器魔化系
   ├24-2.防具魔化系
   ├24-3.制限魔化系
   └24-4.魔法道具魔化系
 25.無系統

 目次に戻る


―光・闇系呪文―

 この系統の呪文による「光」の色彩は、《持続光》の記述に従って、基本的に白色系とします。


・「マジック」の呪文

 「光系」と「闇系」の亜系統に分ける場合、以下のように分類されます。「光系」は光を発生させる呪文、「闇系」は光を消去する呪文、「その他」はどちらの系統にも入らない、光を操作する呪文です。
・光系…《光》《持続光》《光条》《閃光》
・闇系…《闇》《闇操作》《ぼやけ》《隠匿》《透明》、《真闇》《影操作》(ルナル)
・その他…《色彩変化》《赤外線視覚》《暗視》《闇視》《鷹目》《透明看破》

《光》
 「グリモア」の《魔法の光》と同じく、エネルギー消費を大きくしてより明るくする事も可能です。

《持続光》
 「維持」される呪文ではないので、発動している状態でも他の呪文への不利な修正は存在しません。もちろん、術者がエネルギーを消費して効果を中断させる事もできません。
 また、魔化を追加します。
魔化:杖、錫杖、装身具、照明器具。常動型ではなく、呪文を掛けるのに使用する。必要エネルギーは他の物に掛けられるなら400、アイテム自身にしか掛けられないなら200。

《色彩変化》
 術者の属する種族が、通常状態で認識できる色にしか変えられません。「色盲」「視覚障害」の場合、それが先天的であるならこの呪文を使用できません。また、光の量を変化させる事もできません。
 天体(太陽、月、星)からの光は、光が通過する窓、レンズ、鏡などを光源と見なしても構いません。

《閃光》
 忘れがちですが、この呪文は術者から離れた場所にも掛けられます。合図する暇が無い場合、味方の背後で光らせる事も可能です。

《赤外線視覚》
 動物の体温によって暖まった場所が分かりますが、「《透明》になったが同じ所にじーっとし過ぎて、地面が暖まって発見される」というのは可哀想かもしれません。《透明-25》使いをいぢめる場合はともかくとして、
・「魔法は論理的な現象ではない」と言い切る(笑)。
・「拾い上げた物」扱いにして、暖まった場所に触れている限り赤外線視覚で看破できなくする。
 のどちらかにするのではないかと。


・「グリモア」等の呪文

 「光系」と「闇系」の亜系統に分ける場合、以下のように分類されます。
・光系…《白光》《魔法の光》《魔法の持続光》《陽光》《持続陽光》《光の壁》《陽光撃》
・闇系…《影消し》《鏡像消し》《消灯》《日傘》《肉体影化》、《影の衣》(パワーアップ/SKA)
・その他…《光変化》《拡大視覚》《閃光防御》《鏡》《映像再生》

 「パワーアップ」にのみ存在する呪文は、以下の通りです。
 《影の衣》(SKA)

《光変化》
 光源の扱いは、《色彩変化》と同じとします。

《白光》
《消灯》
 効果範囲内の明かりを暗くしないのに《消灯》という名前は気になるなら、それぞれ《明かり》《暗がり》に変えてもいいでしょう。

《魔法の光》
 魔法の生物とは、「マジック」に記載されている悪魔、精霊、使い魔、ゴーレム、アンデッドがまずは含まれます。ただし使い魔以外の存在は、GMと世界設定の如何によっては、そもそも「闇視」があるので光が不要だったり、魔法感覚で周囲を認識するため普通の視力が存在しなかったりするでしょう。他には「ルナル」の〈悪魔〉、アンデッド、元素獣、竜、魔法生物、それ以外でも魔法的能力を行使する存在、「マジカルシーフ」の悪魔、「SKA」の魔生物と虚獣などが該当します。「百鬼」の妖怪は、基本的には魔法の生物ではありません。

《魔法の持続光》
 記述では維持ができる事になっていますが、《持続光》と同じく維持はできない事にして構いません。

《陽光》
 上方向に天井がない場合、完全な効果が及ぶ範囲の限界は、普通の世界では1.5kmとします。効果範囲の外では、光線は徐々に薄れていきます。

《拡大視覚》
 《鷹目》と同時に使う事はできません。《拡大視覚》と《鷹目》は互いに抵抗し合い、技能レベル同士の即決勝負に負けた方の呪文は解除されます。

《閃光防御》
 この呪文を明るい場所で目が眩む目標(梟族のミュルーンなど)に使用した場合、普通に明るい場所で目が眩まなくなります。《閃光》などに対しては、普通に生命力で抵抗できるようになります。


・自作呪文

《鳥目》通常/生命力で抵抗
 目標の目の暗順応を狂わせます。暗闇のペナルティが倍増し、−5以下の修正を受ける環境では完全に目が見えなくなります。「鋭敏感覚」のボーナスは視覚に得られますが、「鋭敏視覚」は何の意味も持ちません。普通のミュルーンのように元から「夜盲症」のキャラクターには、何の効果もありません。
 この呪文は光・闇系と同時に、肉体操作系にも属します。
持続:1分
消費:3・2
前提:《ひきつり》+光・闇系2種、または《暗視》
魔化:(A)杖か錫杖。魔術師か「夜盲症」のキャラクターしか使えず接触が必要。必要エネルギー400。
   (B)常動型の装身具。必要エネルギー150。
◇ルナル:シャストア神官、爬虫人(蛇人)、グルグドゥ、白の月、黒の月

《梟目》通常/生命力で抵抗
 目標の目の暗順応を強化して、代わりに明順応を弱めます。ほんの僅かな光さえあれば「暗視」を持つようにはっきりと見えますが、昼間の明るさでは目が眩んでしまい視覚に−5の修正を受けてしまいます。「鋭敏感覚」のボーナスは視覚に得られますが、「鋭敏視覚」は何の意味も持ちません。《閃光》などで目がくらむかの判定には自動的に失敗します。ミュルーンの梟族のように元から明るいと目が見えないキャラクターには、何の効果もありません。
 この呪文は光・闇系と同時に、肉体操作系にも属します。
持続:1分
消費:3・2
前提:《ひきつり》+光・闇系2種、または《暗視》。「夜盲症」のキャラクターは使えない
魔化:(A)杖か錫杖。魔術師しか使えず接触が必要。必要エネルギー400。
   (B)常動型の装身具。《暗視》+《発電》のアイテムの代用品としても使える。必要エネルギー150。
◇ルナル:シャストア神官、爬虫人(蛇人)、グルグドゥ、白の月、黒の月

《赤外線色彩変化》通常/知力+2で抵抗
 《色彩変化》と同様ですが、可視光線を赤外線に、赤外線を可視光線に変化させる事が可能です(もちろん、赤外線内で波長を変える事もできます)。生物の発する赤外線を可視光線に変化させた場合、暗さによる命中判定の修正が最大で−7(変温動物なら−9)となりますが、「赤外線視力」《赤外線視覚》で見る事ができなくなります。
持続:1分、目標が抵抗を試みれば10秒
消費:2・1
前提:《赤外線光》《色彩変化》
◇ルナル:爬虫人(蛇人)、グルグドゥ、白の月、黒の月


―光系呪文―


・自作呪文

《赤外線光》通常
 蝋燭の火のような小さな光を作ります。しかしこの光は赤外線のみを発しており、「赤外線視力」を持つ生物と《赤外線視覚》の影響下にある者にしか見えません。それ以外は《光》と同じですが、ゲーム上影響しない程度の僅かな熱も放ちます。
持続:1分
消費:1で蝋燭(視覚−5)、2で松明(視覚−3)、3で電球(視覚修正無し)・維持も同じ
前提:《光》《赤外線視覚》、または「赤外線視力」+《光》
魔化:杖、錫杖、装飾品、照明器具。必要エネルギー100。
◇ルナル:ガヤン神官、爬虫人(蛇人)、グルグドゥ、白の月、黒の月

《赤外線持続光》通常
 拳大か0.5kgまでの小さな品物か大きな物体の一部に掛けて、《赤外線光》で照らします。
持続:2D日
消費:2で蝋燭(視覚−5)、4で松明(視覚−3)、6で電球(視覚修正無し)
前提:《赤外線光》《持続光》
魔化:100倍のエネルギー消費で永久に光る。
◇ルナル:ガヤン神官、爬虫人(蛇人)、グルグドゥ、白の月、黒の月

《赤外線光条》通常
 術者の指先から、明るい赤外線の帯が伸びます。もちろん、赤外線を見る能力がなければ、たとえ術者でも見る事ができません(この場合、赤外線の帯の命中判定に−4の修正を受け、部位を狙う事もできません)。
持続:1分
消費:2・1
前提:《赤外線持続光》《光条》
◇ルナル:ガヤン神官、爬虫人(蛇人)、グルグドゥ、白の月、黒の月

《赤外線閃光》通常
 赤外線の閃光を作り出します。赤外線を感じ取れる上に術者の方を見ていた者は生命力判定を行い、成功/失敗によって「閃光」距離/効果表(「ベーシック完訳版」P206及び「マジック完訳版」P79)に記された通りの効果を受けます。
 赤外線でなく紫外線の閃光を放つ呪文もあるという噂ですが、それを目にした人間はいません(人間に紫外線は見えないので当たり前ですが……)。
消費:4
準備:2秒
前提:《赤外線持続光》《閃光》
◇ルナル:ガヤン神官、爬虫人(蛇人)、グルグドゥ、白の月、黒の月

《魔法の閃光》通常
 魔法の光による《閃光》を作り出します。
消費:4
準備:2秒
前提:《魔法の持続光》《閃光》
◇ルナル:グルグドゥ、白の月、黒の月

《蛍》通常
 《光》と似ていますが、作り出した光はかなり自由に動かせます。術者が集中しなくても一定の位置関係を維持して追尾したり、特定の相手を追い掛けさせたりする事が可能です。移動させる場合の移動力は5です。
持続:1分
消費:2〜6(《光》の2倍)・半(《光》と同じ)
前提:素質1+《光》
◇ルナル:ガヤン神官、シャストア神官、グルグドゥ、白の月、黒の月

《鬼火》通常
 何も無い空間に固定された光源を作り出します。作り出した光源は《色彩変化》《光変化》でのみ(移動力5として)移動させる事が可能で、物理的に干渉を行う事はできません。
持続:1日
消費:2〜6(《持続光》と同じ)・維持不可
準備:2秒
前提:《蛍》
◇ルナル:ガヤン神官、シャストア神官、グルグドゥ、白の月、黒の月

《日照灯》通常
 太陽の光に合わせて光の強さが変化する《持続光》です(天候の影響は受けませんが、日蝕の影響は受けます)。日の出の時間になると次第に光が強まり、日中は最大限の光を発し、日の入りが近付くと次第に暗くなり、夜中はほとんど光を発しません(線香の先程度には光りますが、せいぜい完全な暗闇でも修正−9にして辛うじて見えるようになるだけです)。地底や密閉された部屋で長時間に渡り活動する際に、この呪文があれば体内時計の狂いを最低限に抑制できるでしょう。
 この呪文は、惑星や衛星の圏外の宇宙空間では、恒星圏内にいる限り《持続光》と同様に光を発します。非常に地下深くや恒星圏外では光を発しません。複数の太陽が存在する地域では、対応する太陽を1つだけ決めるか、全ての太陽の総和を取り入れるかを決めて下さい。
持続:2D日
消費:3〜9(《持続光》の1.5倍)
準備:2秒
前提:《持続光》《時報》、または「時間感覚」+《持続光》
魔化:どんな物でも、永久に光るようにできる。必要エネルギーは通常の100倍。
◇ルナル:ガヤン高司祭、シャストア高司祭、グルグドゥ、白の月、黒の月(第一師団)

《月照灯》通常
 月の光に合わせて光の強さが変化する《持続光》で、効果は《日照灯》に準じます。GMは、月齢に合わせて《月照灯》の光の量も変化する事にして構いません。
持続:2D日
消費:3〜9(《持続光》の1.5倍)
準備:2秒
前提:《持続光》《時報》、または「時間感覚」+《持続光》
魔化:どんな物でも、永久に光るようにできる。必要エネルギーは通常の100倍。
◇ルナル:ガヤン高司祭、シャストア高司祭、グルグドゥ、白の月、黒の月(第一師団)

《集束閃光》通常
 効果は《閃光》と同じですが、この呪文は閃光を浴びせる角度を選択可能です。ヘクスを使っている場合、目標となるヘクスの6つの角と6辺の中心点、合計12ヶ所の中から点を2つ選び、ヘクスの中心からそれらの点に伸ばした線の延長線上に効果を持つ事にします。半分以上引っ掛かったヘクスは範囲内として見なして下さい。この呪文では半円より大きな角度に閃光を放つ事はできません。
消費:4
準備:2秒
前提:《閃光》《光変化》
◇ルナル:ガヤン神官、グルグドゥ、白の月、黒の月

《灼光》(至難)通常
 光のエネルギーを目標(通常の距離修正が掛かります)の至近距離で爆発させ、エネルギー1点につき叩き/1D+1点のダメージを与えます。呪文の判定に成功すれば自動的に命中し、目標は「よけ」のみ可能です。盾の受動防御は使えず、《矢よけ》《矢返し》では防げません。
持続:瞬間。ダメージは永久
消費:1〜4
準備:2秒
前提:素質2+光・闇系8種、GMが認めるなら「神聖」なキャラクターも可能。
◇ルナル:ガヤン高司祭、ナーチャ高司祭、グルグドゥ、白の月、黒の月

《光子弾》射撃
 光のエネルギーを集束、そして目標へと撃ち込んで解き放つ事により、エネルギー1点毎に叩き/1D点のダメージを与えます。射撃には〈呪文射撃/電光〉を使い、その際のデータも《電光》と同じ物を使用して下さい。
消費:1〜3
準備:1〜3秒
前提:《光条》《灼光》
魔化:白か透明の宝石をはめ込んだ先端から光を撃ち出す杖や錫杖。魔術師のみ使用可能。必要エネルギー1200。
◇ルナル:ガヤン高司祭、ファウン高司祭、グルグドゥ、白の月、黒の月

《光明武器》通常
 武器を光の粒子で包み、追加ダメージを2点(光に弱い生物には3点、目には2倍)与えます。《火炎武器》とは違い、木製の武器に掛ける事も可能です。《持続光》2点相当の照明としても使えます。
持続:1分
消費:4・1
準備:2秒
前提:素質1+《光条》《閃光》、またはGMの判断で「神聖さ」
魔化:エネルギー消費なしで、所有者が望んだ時に光を帯びる武器。必要エネルギー750。400ドル相当の日長石が必要。
◇ルナル:ガヤン神官、白の月

《光の弓》通常
 《光明武器》を射撃武器に掛けます。射出した弾体は目標に命中するか発射して10秒たつと、エネルギーの解放と共に破損してしまいます。
持続:1分
消費:4・2
準備:3秒
前提:《光明武器》
魔化:エネルギー消費なしで、所有者が望んだ時に光を帯びた弾体を発射できる武器。必要エネルギー1000。500ドル相当の日長石が必要。
◇ルナル:ガヤン神官、白の月

《閃光弾》射撃
 閃光を放つ球体を作り上げ、投げ付けます。呪文の技能判定に成功すると手の中に白い光の球が生まれ、目標に命中した地点で弾けて《閃光》と同じ効果を与えます。射撃は〈呪文射撃/呪いの矢〉で行い、射撃武器としてのデータも同じ物を使います。術者は命中判定に成功すれば閃光の影響を受けませんが、命中判定に失敗すると影響を受けてしまいます。命中判定に失敗した場合、失敗度に応じて適当な場所に命中させて下さい。
消費:5
準備:3秒
前提:《閃光》+光・闇系5種
◇ルナル:ガヤン神官、グルグドゥ、白の月、黒の月(第一師団)


―闇系呪文―


・自作呪文

《影》範囲
 範囲内の物体の表面に、二次元の影を作り出します。影を作られた物体の表面は見えにくくなり、細部の状態を判別するための視覚判定に−3の修正を受けます。影は《闇操作》で操れます。
 光系の呪文と闇系の呪文が相容れないという設定の場合、《光》《持続光》の代わりにこの呪文を闇系呪文の前提として扱えます。この呪文自身には、前提条件はなくなります。
持続:1分
消費:1/2・同
前提:《光》
魔化:(a)杖、錫杖、装身具。必要エネルギー80。
   (b)常動型の仮面やマント。装着者は常に二次元の影に包まれる。必要エネルギー120。
◇ルナル:シャストア神官、グルグドゥ、白の月、黒の月

《無明の闇》範囲
 《闇》と似た効果を持ちますが、内部から外部を見通す事もできなくなります。
持続:1分
消費:2・1
前提:《闇》
魔化:(a)《闇》と同じ。必要エネルギーは1ヘクスにつき120。
   (b)杖、錫杖、装身具。必要エネルギー400。
◇ルナル:シャストア神官、ナーチャ高司祭、グルグドゥ、白の月、黒の月(第一師団)

《逆闇》範囲
 《闇》とは逆に、範囲の内部から外部が闇に閉ざされたように感じられます。「逆闇」の中にいるキャラクターは、自分のヘクスや「逆闇」に包まれた他のヘクスを見る事はできますが、外を見通す事はできません。外から「逆闇」の中を見ても、全く普通に視界が通るだけで、そこが特別な空間だとは判別できません。《暗視》の呪文を使えば、「逆闇」の範囲の外を見る事ができるようになります。
持続:1分
消費:3・半
前提:素質1+《闇》
魔化:《闇》と同じ。必要エネルギーは1ヘクスにつき150。
◇ルナル:シャストア高司祭、グルグドゥ、白の月、黒の月(第一師団)

《暗黒弾》射撃
 闇を凝縮したような弾丸により、エネルギー1点毎に1D−2点の疲労ダメージを与えます。射撃には〈呪文射撃/電光〉を使い、その際のデータも《電光》と同じ物を使用して下さい。またこの呪文に対しては、全ての防護点は0として扱います。
消費:1〜3
準備:1〜3秒
前提:素質1+《ぼやけ》《死の幻影》
魔化:黒い宝石をはめ込んだ先端から闇を撃ち出す杖や錫杖。魔術師のみ使用可能。必要エネルギー1200。
◇ルナル:シャストア高司祭、ナーチャ高司祭、グルグドゥ、白の月、黒の月(第一師団)

《暗黒武器》通常
 武器を凝縮された闇で包み、追加で疲労ダメージを防護点無視で2点(闇に弱い生物には3点)与えます。やはり武器の素材は選びませんが、《持続光》の掛かった武器に重ねて掛けると《持続光》と相殺し合い、片方が解除されるまでどちらも効果を及ぼさなくなります。
持続:1分
消費:5・1
準備:2秒
前提:素質1+《ぼやけ》《死の幻影》
魔化:エネルギー消費なしで、所有者が望んだ時に闇を帯びる武器。必要エネルギー1000。600ドル相当の月長石(ムーンストーン)が必要。
◇ルナル:シャストア神官、グルグドゥ、白の月、黒の月(第一師団)

《闇の弓》通常
 《暗黒武器》を射撃武器に掛けます。射出した弾体は目標に命中するか発射して10秒たつと、朽ち果てて使い物にならなくなります。
持続:1分
消費:5・2
準備:3秒
前提:《暗黒武器》
魔化:エネルギー消費なしで、所有者が望んだ時に闇を帯びた弾体を発射できる武器。必要エネルギー1200。750ドル相当の月長石が必要。
◇ルナル:シャストア神官、グルグドゥ、白の月、黒の月(第一師団)

《防光》通常
 目標とその持ち物は、強力な光エネルギーによる影響を受けなくなります。《陽光撃》やレーザー兵器によるダメージを無視しますが、視力は全く妨げないため、《閃光》の影響は受けてしまいます。長時間維持しても植物の光合成や人間のビタミンDの生成は損なわれませんが、太陽電池はエネルギーを作れなくなります。
 《日傘》の効果は、この呪文でも全て受ける事ができます。
持続:1分
消費:2・1
前提:素質2+《日傘》
魔化:杖、錫杖、装身具。身に付けている者にしか効果がない。必要エネルギー800。
◇ルナル:シャストア高司祭、グルグドゥ、白の月、黒の月

《瞬間防光》通常
 防御呪文として用いる《防光》です。
消費:2
前提:《防光》
魔化:装身具、武器、鎧。必要エネルギー300。
◇ルナル:シャストア高司祭、グルグドゥ、白の月、黒の月

《闇の壁》
 効果範囲内を闇の帳で包みます。基本的な処理は《光の壁》に準じます。《暗視》の効果を受けていれば、この壁を見通す事ができます(ただし最大エネルギーの場合、《闇視》でないと見通すのは不可能です)。
持続:1分
消費:1〜3・同。壁の暗さは順に月明かり(視覚−5)、星明かり(視覚−7)、完全な闇(視覚判定不可)。
前提:《闇》
魔化:(a)杖、錫杖、装身具。必要エネルギー200。
   (b)100倍のエネルギー消費で永続させる。
◇ルナル:グルグドゥ、白の月、黒の月

《夜光》範囲
 《陽光》に似た呪文ですが、範囲内は夜の星明りに包まれます。昼に唱えれば、太陽が月よりも弱く光り、普段は見えない星が瞬いて見えます。晴れた屋外で使えば、《神託/占星術》や〈航法〉などを行う際に役に立つでしょう。
持続:1分
消費:2・1
前提:素質1+《消灯》《色彩変化》
魔化:《陽光》と同じ。
◇ルナル:シャストア高司祭、グルグドゥ、白の月、黒の月

《持続夜光》範囲
 範囲内を《夜光》に包みます。
持続:2D日
消費:3
前提:《夜光》
魔化:《持続陽光》と同じ。
◇ルナル:シャストア高司祭、グルグドゥ、白の月、黒の月


―物体操作系呪文―


・「マジック」の呪文

《弱点看破》
 「目標の弱点」とは、「目標に物理的ダメージをより多く与えられる攻撃タイプや部位」と解釈します。例えば吸血鬼に掛けた場合、「聖水を浴びると肉体が焼かれる」「心臓に木の杭を打たれると死亡」「太陽光線を浴びると破壊される」といった事は分かりますが、「生存に血が必要」「聖職者の聖印を嫌う」「招かれないと家に入れない」といった事は分かりません。

《粉砕》《分解》
 相手がゴーレムやロボット等の場合、生命力による抵抗に失敗するとダメージを与えられる事にしても構いません。複数の部品で構成される機械の場合も、完全に破壊できなくてもダメージが及ぶ事にしてよいでしょう(その場合、壊されると致命的な部品を〈技師〉や〈機械工〉で判別する事が必要となるかもしれませんが)。

《変形》
 魔化を追加します。
魔化:ノミやたがね等の小型の工具。《変形》が掛かっている状態で持っても工具自身は変形せず、先に触れた物だけが軟らかくなる。必要エネルギー80。

《清掃》
 付着物のどこまでが「ほこりや汚れ」かは、術者と目標の持つ認識により決定します。術者と目標の認識がずれている場合には呪文のレベルと目標の意志で即決勝負を行い、勝った側の認識を適用します。目標が意思を持たないか完全な無防備状態であれば、術者の認識が自動的に適用されます。この呪文は、メイクやボディペインティングにも適用されます。

《修理》
 魔化を追加します。
魔化:(A)工具。目標に接触させて使う。魔術師か該当する技術系技能を15レベル以上で所持するかしないと使えない。工具の形状に該当した物(こてなら金属製品、ネジ回しなら機械)しか直せないなら必要エネルギー200。全ての物体を直せるなら必要エネルギー1200。
   (B)品物に掛ける常動型。1ターンで破壊しないとHPが完全回復する! 必要エネルギー1000。

《複写》
 魔化を追加します。
魔化:インク不要で印刷を行う印刷機。必要エネルギー300。社会組織の発達した世界では、紙幣や有価証券を複写できないように処理してある事が多い。

《切れ味》
 魔化を追加します。
魔化:小さな刃物型の装飾品か実際に使える小さな刃物。必要エネルギー500。


・「グリモア」等の呪文

 「パワーアップ」にのみ存在する呪文は、以下の通りです。
 《粘糸》(SKA、動物系の《蜘蛛の糸》とほぼ同じだが前提が異なる)、《毛づくろい》(MC)

《動く物体》
 機械である物体は、自主的に動力を使用する行動を行う事はありません。電熱式ポットはテーブルの上を動き回る事はありますが、勝手にお湯を沸かす事はないのです。機械の機能を発揮させたいなら、機械系呪文の《動く機械》を用いて下さい。
 メルヘン的な色彩の強い世界では、この呪文は集中が不要になり、動く物体はある程度の知力(最低3)を得ます。

《変身》《他者変身》《部位変身》
 機械に変身するバリエーションが存在し得る(「グリモア」P16参照)のと同様に、機械以外の物体に変身できる呪文が存在するかもしれません。こうして変身した物体が自分で活動できるか否かは、基本的に世界観とGMの判断によります。


・自作呪文

《老朽化阻止》通常/劣化させる呪文に抵抗
 有機物、無機物を問わず劣化を阻止します。呪文が維持されている間は酸化、風化、腐敗、侵蝕作用は全て受けなくなります(硫酸の中の鉄の棒は溶けず、角砂糖は紅茶に溶けません)。《弱体化》《粉砕》《老朽化》などの呪文に対しても技能レベルで抵抗を行います。水溶性の毒にこれを掛けてから飲み物に入れ、毒見してから維持を切れば、同じ物を飲んだ相手に毒を盛るのも容易です(汗)。生物には効きません。
持続:1時間
消費:0.5kg毎に2・同
準備:0.5kg毎に5秒
前提:《老朽化》
魔化:対象の劣化を阻止する。必要エネルギーは0.5kg毎に100。
◇ルナル:高司祭共通、プファイトの〈兄・姉〉、爬虫人(蛇人)、多足のもの、白の月、黒の月

《複写阻止》通常
 紙やその他の平面上に記された文字や絵、もしくは活字や木版などが複写されるのを妨害します。プリンターは働かず、活字にはインクが乗りません。精密写真を撮ろうとしない限り写真は普通に写りますが、細かい部分はぼやけて分かりません。《複写》を使って複製を試みた場合は−5の修正を受けます。
 この呪文は、自作データの印刷系呪文でもあります。
持続:1日
消費:1+1m2(A4版は約16.03枚、B4版は約10.69枚)につき1(最低3)・維持は同じ。エネルギーを2倍消費すれば《複写》に−10修正。
準備:1分
前提:《複写》
魔化:永久に対象を《複写阻止》する。必要エネルギーは通常の100倍。破られると魔化は消滅するが、切り離して複数の紙片にしても魔化は消滅しない。権利証書や国家の重要書類、文明レベルの高い世界では高額紙幣や有価証券に魔化される。
◇ルナル:ペローマ高司祭、多足のもの、白の月、黒の月

《元素変換》(至難)通常
 元素構成を組替えて、物質を別の物に変化させる呪文です。しかしそれは簡単な事ではなく、稀有の資質と経験、莫大なエネルギー消費と高価な触媒を必要とします。まずは〈化学〉技能の判定を行い、変換する前後の物質の組成を知らなくてはなりません。それから変化させたい物質と触媒(変換する前後の物質の価格の差の1/2の金額に相当)を用意して呪文を唱えます。呪文の判定に成功すれば物質変換は完成しますが、失敗すると失敗度に応じてとんでもない変換をしてしまいます。ファンブルすると錬金術のファンブルと同じく致命的な事故が発生します(「神聖な」キャラクターが試みた場合は、通常のファンブル表を参照して下さい)。
 なお、変換する元の物質の組成が複雑だと−1(塩化ナトリウム、琥珀金(金銀合金。小判の材質))〜−10(不燃ゴミの塊)、変換させた後の物質の組成が複雑でも更に同様のペナルティを呪文の目標値に受けます。
(補足1)
 邪悪な魔術師の場合、元の物質と触媒の双方に違法な、もしくは倫理に抵触する物を使う事により負担を減少させられるという噂があります。
(補足2)
 この呪文を濫用してお金を稼ぐ事のないように、触媒の入手はGMが操作して下さい。
持続:永久
消費:変換させる前の物質と後の物質の価格の差(ドルで計算)と同じ(1ドル銀貨を金(価値50倍)に変えるにはエネルギーが49点必要。逆の場合も同じ)。この倍率は中世と現代を基準にしており、物価に応じて倍率を変化させるのを忘れないように。元素周期表で掛け離れた物(マグネシウム→金、硫黄→プルトニウムなど)に変化させようとすると飛躍的に増大。最低でも10。
準備:エネルギー100点毎に1時間(最低1時間)。元素周期表で掛け離れた物に変化させようとすると飛躍的に増大。
前提:知力15+素質3+四大精霊系から各12種+〈化学〉15レベル+〈錬金術〉15レベル。更にGMの判断次第で「神聖な」キャラクター。
魔化:1つの都市を全て特定の物質に変えてしまう魔化が存在すると言われていますが、その方法は定かではありません。
◇ルナル:白の月、黒の月

《ゲル化》通常
 目標が触った液体は手に取れる範囲内で凝集性が高まり、塊として扱う事が可能になります。手元から離せば液体は即座に元に戻りますので、ゲル化した液体を2ヘクス以上先へ投げ付ける事はできません。凝集性が高まる以外に性質は変化しないため、インクや濃硫酸を直接手に取るのはよした方が賢明です。
持続:1分
消費:3・2
準備:10秒
前提:素質1+《弱体化》《水変化》
魔化:手袋。必要エネルギー300。
◇ルナル:ジェスタ神官、リャノ高司祭、多足のもの(《水変化》不要)、白の月、黒の月

《染色筆》通常
 術者は物体の表面に指で文字、記号、絵などをペンや鉛筆と同じ太さの線で書き込めます。書き込んだ文字は《染色》と同じ耐久性を持ちますが色は1種類しか作れませんので、他の色を使いたければ呪文を唱え直しましょう。
持続:1分、書いた線は2日。
消費:3・3
準備:5秒
前提:《染色》
魔化:ペンや筆。必要エネルギー200。
◇ルナル:ペローマ高司祭、多足のもの、白の月、黒の月

《魔法の筆》通常
 《染色筆》と同様ですが、書いた物は「魔法の素質」を持つキャラクターと《魔力視覚》の影響下にあるキャラクターにしか見えません。この呪文では線に「色」は付きません。
持続:1分、書いた線は2日。
消費:3・3
準備:5秒
前提:素質1+《染色筆》《魔力視覚》
魔化:ペンや筆。魔術師のみ使用可能。必要エネルギー200。
◇ルナル:ペローマ高司祭、多足のもの、白の月、黒の月

《なまくら》通常/持ち主の知力か《切れ味》で抵抗
 「切り」「刺し」武器の刃を鈍らせ、ダメージを「叩き」型にします。既に掛かっている《切れ味》は無効化されますが、《鋭さ》は無効になりません。《なまくら》と《切れ味》は、互いに抵抗し合います。
持続:1分
消費:《切れ味》でダメージを1点上昇させる場合と同じ
準備:2秒
前提:《修理》
魔化:常動型で《なまくら》が掛かっている武器。《解除指令》しないとまともに切れないが、鞘が無くても剣を持ち運べる。必要エネルギー100。
◇ルナル:ジェスタ入信者、プファイトの〈兄・姉〉、多足のもの、白の月、黒の月

《修復》通常
 無生物のHPを1D点回復します。完全に破壊された物には効果がありませんし、細部は少々傷付いたままです(例えば、欠けた壺に使用するとヒビが模様になって残ります)。ゴーレムやゾンビ、スケルトンにも有効ですが、同じ術者が同じ目標に1日に2回以上使用すると不利な修正が−1ずつ累積します。
持続:永久
消費:2
前提:《修理》
◇ルナル:ジェスタ神官、プファイトの〈兄・姉〉、多足のもの、白の月、黒の月

《鍛え》通常
 《切れ味》と似ていますが、「叩き」武器にのみ効果を持ちます。銃弾は1個ずつしか効果を持ちません。エネルギーで攻撃する武器にも効果を持ちません。
持続:1分
消費:《切れ味》と同じ
準備:2秒
前提:《修理》
魔化:小さな金鎚型の装飾品か実際に使える小さな金鎚。必要エネルギー500。
◇ルナル:ジェスタ神官、プファイトの〈兄・姉〉、多足のもの、白の月、黒の月


―防御/警戒系呪文―


・「マジック」の呪文

《盾》
 魔化を追加します。特に常動型の場合は戦闘を繰り返しても痛みませんし、防具無しでも有効ですので、危機的な状況では重宝する事でしょう。しかし常動型の場合、重ねて《盾》を使用しても効果が重複しないので注意して下さい。
魔化:(a)盾型の装飾品。必要エネルギー500。
   (b)装飾品。常動型で護符をあしらう必要がある。作成するには《防御》の知識も必要。必要エネルギーは同じ防御効果の《防御》の4倍(+1で400、+5では80000)。

《鎧》
 魔化を追加します。特に常動型の(以下略)。目を狙われても防護点は適用されます!
魔化:(a)甲羅や鱗をデザインした装飾品。必要エネルギー500。
   (b)装飾品。常動型で護符をあしらう必要がある。作成するには《強化》の知識も必要。必要エネルギーは同じ防御効果の《強化》の4倍(+1で200、+5では32000)。

《魔法の鍵》
 床の落とし蓋やポケット、剣の鞘にも有効にすれば、使用範囲が広がるでしょう。誰かの持ち物に掛ける場合、知力で抵抗が可能にしておいた方が無難です。
 また、魔化を追加します。
魔化:(b)常動型の扉。制限魔化系呪文を併用しないと閉じたままになる。《錠前師》《鍵開け》では「扉のパワーレベルとの即決勝負で上回った度数」分間開けられる。必要エネルギー200。

《瞬間移動阻止》
 魔化を追加します。
魔化:100倍のエネルギーで永久化が可能。政府機関の資料室や魔術師組合の封印の部屋、銀行の金庫、国王の私室などに魔化されている。

《矢よけ》《矢返し》
 強力過ぎると考える場合、射撃に使用する技能や呪文のうち最もレベルの高いもので抵抗が可能です。ただし銃器の場合、攻撃者の抵抗に−5〜−10の修正を受けます。

《矢返し》
 攻撃者が命中判定にファンブルした場合は、初めから弾体が目標に当たるようなコースを飛んでいないと見なして、弾体が攻撃者に戻って来る事はないという事にできます。また、攻撃を返す際にも、攻撃者の命中判定の如何を(ファンブル以外では)問わず、改めて《矢返し》の技能レベル(射撃に関する全ての修正を無視)で攻撃者への命中判定を行う事にしてもよいでしょう。攻撃者が《矢よけ》を使っていればそれは正常に働きますが、攻撃者の《矢返し》は目標の《矢返し》と相殺し合い、弾体は攻撃者と目標の中間地点に落下します。
 部位を狙っている攻撃を反射しても、攻撃者に返ってくるときに該当する部位に当たる事はありません。
 遠隔操作や無人操作で射撃を行った場合、「攻撃者」は武器本体(仕掛け弩、パチンコ、機関銃の銃座、ロケットランチャーなど)であると見なします。


・「グリモア」等の呪文

《止め》
《鎧硬化》
 「止め」なくてはいけないわけでなし、相方と語呂も合わないし、という具合でストレートに《受動防御》《防護点》としてもよさそうな気もします。

《矢そらし》
《矢戻し》
 効果的には《瞬間矢よけ》《瞬間矢返し》です。

《物質防壁》
《完全防壁》
 《呪文防壁》のように水平方向に掛ける事も可能とします。頑丈な天窓や作業の足場として使えるでしょう。


・自作呪文

《具足》通常
 《盾》と《鎧》の効果を同時に発揮します。呪文が重複しても効果を現すのは最もボーナスが高い物だけです。
持続:1分
消費:3〜15(受動防御と防護点を1点高くする毎にエネルギー3点)・半
前提:素質3+《盾》《鎧》
魔化:存在しない。《防御》《強化》及び《盾》《鎧》を使うこと。
◇ルナル:ジェスタ高司祭

《鉄の拳》通常
 手足に掛け、攻撃を「受け」られてもダメージを受けなくします。手持ち武器を持つ戦士と戦う格闘家には必携でしょう。手足を直接狙われた攻撃を受けてしまうと、通常通りダメージを受けます。目標に手、足、尻尾、触手その他が何本生えていても、この呪文は全てに影響を及ぼします。「四肢」でない翼や触角、そして頭には何の効果もありません。たとえ頭突きを得意とする格闘家でも同じです。
持続:1分
消費:3・1
前提:《痛み止め》、または《倍速》
魔化:(A)ブレスレット、アンクレット、手袋やブラスナックル。使用者にしか効果は無い。必要エネルギーは250。
   (B)常動型のブレスレットやアンクレット。四肢全てにはめないと効果が無い。必要エネルギーは4個セットで400。四肢の本数の違う種族用はエネルギーが更に必要。「ルナル・サーガ」リプレイ第2部でリーシャが使っていたのもこれ。
◇ルナル:ガヤン神官、ジェスタ神官、アルリアナ神官、ジャングの〈兄・姉〉、白の月、黒の月

《貞操》通常/知力で抵抗
 この呪文の目標(体内受精能力を持つ性の個体に限られます)との交わりは自動的に妨害されます。それを無視して交わりを試みた場合、生命力と呪文レベルとの即決勝負に勝てば可能になりますが、代わりに防護点無視で1D+1点のダメージを鼠蹊部に受けます。生命力の1/3以上のダメージを受けると、その部位が使えなくなる事に注意して下さい。
 呪文を使う際に術者は特定のキーワードを決め、それを知る者には呪文の影響は及びません。
持続:1時間
消費:4・4
前提:素質1+《痛み》
魔化:常動型の首輪や鎖。必要エネルギー500。
◇ルナル:アルリアナ高司祭、白の月、黒の月

《永久貞操》通常/知力で抵抗
 永久に続く他は、《貞操》と内容的に同じです。
持続:永久
消費:20
準備:1分
前提:素質2+《貞操》+知力13以上
◇ルナル:アルリアナ高司祭、白の月、黒の月

《力の盾》特殊
 術者の手元に物質的な力や射撃呪文を弾く力場、ならして言うとフォースシールドと同等の存在(受動防御4、両手が自由)を作り出します。この力場は〈フォースシールド〉技能で扱いますが、世界観に齟齬を来すと判断される場合は技能名を変更して構いません(笑)。〈盾〉技能を所持していても、《力の盾》の技能レベルが15以上ない場合は継続練習ができないため「慣れる」事はできません。
持続:10秒
消費:4・1
前提:《盾》《物質障壁》
◇ルナル:ジェスタ高司祭、白の月、黒の月

《鉄の鍵》通常/《錠前師》《鍵開け》に抵抗
 《魔法の鍵》と同様ですが、扉の材質に《硬化》と同様の効力を同時に及ぼします。
持続:6時間
消費:6・4
準備:8秒
前提:《魔法の鍵》《硬化》
◇ルナル:ジェスタ高司祭、白の月、黒の月

《銃弾よけ》通常
 銃弾のみをそらす《矢よけ》です(ニードルガンの針には有効ですが、レーザーには効果ありません)。この呪文は銃器に対抗して開発された物であり、文明レベル5〜6にならないと開発されません。もちろん文明レベルが高くても、何らかの理由により実弾式の銃器が存在しない世界に《銃弾よけ》は有り得ません。
 攻撃者が《矢よけ》《矢返し》に抵抗が可能な世界でも、抵抗には更に−5されます。
持続:10分
消費:3・2
前提:《矢よけ》
魔化:《矢よけ》と同じ。必要エネルギー200。
◇ルナル:ジェスタ入信者、ペローマ神官、タマット神官、白の月、黒の月

《銃弾返し》通常
 銃弾のみを攻撃者に返す《矢返し》です。この呪文は銃器に対抗して開発された物であり、文明レベル5〜6にならないと開発されません。
 攻撃者が《矢よけ》《矢返し》に抵抗が可能な世界でも、抵抗には更に−5されます。
持続:10分
消費:5・3
前提:《矢返し》《銃弾よけ》
魔化:《矢返し》と同じ。必要エネルギー300。
◇ルナル:ジェスタ入信者、ペローマ神官、タマット神官、白の月、黒の月

《鞘封じ》通常・防御/知力で抵抗
 鞘に収まった状態の武器に掛けます。この呪文が掛かった武器は、鞘から絶対に抜けなくなります(もし鞘を破壊しても、残骸が武器にへばり付きます)。鞘に入った状態では致傷力が−1され、攻撃型が「叩き」になります。
 防御呪文として使った場合、武器を鞘から引き抜くのを1ターンだけ遅らせます。
持続:10秒
消費:3・2
前提:《魔法の鍵》
魔化:(a)常動型の武器。魔化を何らかの手段で停止・解除しないと鞘から抜けない。必要エネルギー100。
   (b)《鞘封じ》が掛からない武器。必要エネルギー120。
◇ルナル:ジェスタ神官、白の月、黒の月

《打ち払い》防御
 射撃武器や射撃呪文を、手持ち武器や素手で打ち払います(片手を動かせないと、この呪文は試みる事すらできません)。《矢よけ》とは違い、射撃武器は「止め」られたものとして扱うため、射線上に流れ矢が飛び続ける事はありませんが、爆弾や《爆裂火球》はその場で爆発してしまうでしょう。
消費:1
前提:《鉄の腕》
◇ルナル:ジェスタ神官、白の月、黒の月


―魔化系呪文―

 呪文を掛けるタイプの魔法の品の場合、基本的に「術者」=使用者と見なします(ですので、呪文の維持や中断も魔法の品を持ち続けていれば思い通りにできますし、別の呪文を掛ける際には不利な修正もきちんと受けます)。ただし、回数制限がある治癒系呪文の場合は、術者の自前の呪文と魔法の品(および、魔法の品と魔法の品)の使用回数は、通算されずに別々に計算します。《発電》で発動も維持もエネルギーが不要になっている品物のような判断に困る場合は、状況に合わせてGMが判断して下さい。また、1つの魔法の品から発動できる呪文は、1ターンに1つだけです(《高速準備》で準備時間が0になっていても、大勢でたらい回しにして大量の呪文を放つ事はできません)。


・「マジック」の呪文

《魔化》
 高い文明レベルの世界の場合、魔化儀式の改良により「マジック完訳版」より手軽に魔法の品物が作れる事にしてもいいでしょう。
 完全破壊に至っていない「破壊された魔法の品物」に対して通常の何割か(普通は1/2)のエネルギーと材料を消費して修復する事も、世界によっては可能としても構いません。

《巻物》
 威力により消費エネルギーが変化する呪文(《すばやさ》《大治癒》など)の場合、範囲呪文の巻物の必要エネルギー計算処理に従い、最小段階のエネルギー消費を適用する事にします。例えば《盾》の巻物の場合、最小消費が2点ですので作成日数2日、価格50ドルとなります。

《発電》
 自家発電量の上限は、《発電》1点あたり1秒ごとにエネルギー1点とします。
 複数の呪文を魔化した品物を《発電》させた場合、上記の限界以内なら全ての呪文に恩恵が及びます。複数の呪文の維持のタイミングが全く同一になると2つ目以降は自家発電の恩恵を受けられなくなるはずですが、使用者が拒否しない限り維持のタイミングが1秒ずつ前倒しになる事にしても構いません。
 標準的なマナが「密」以上の世界では、0.5点単位の使用ができる事にします。もちろんこの端数は、マナが「並」以下の地域では切り捨てです。この場合に必要なエネルギーは「(すぐ下の整数にするのに必要な点数+すぐ上の整数にするのに必要な点数)÷2」です。0.5点の自家発電には(0+500)÷2=250、1.5点の自家発電には(500+1000)÷2=750のエネルギーを必要とします。


・「グリモア」等の呪文

(無し)


・自作呪文

《魔化転移》魔化
 魔法の品物の魔力を1つ以上、あらかじめ用意した別の品物(既に魔法の掛かった品物でもそうでない品物でも構いませんが、適切な形状が必要です)に移します。同じ品物に掛けられた他の魔化呪文には影響ありません。制限呪文は制限を与えている魔法と同時にしか移す事ができません。レベル制の魔法の品物の魔化を複数集めてより強大にする事も(レベルではなくエネルギーを足し合わせ、エネルギーの「余り」は無くなりませんがレベル計算上は切り捨てます)、強大な魔化をばらして数を増やす事も可能です。元の品物が壊れていても構いませんが、その際は破壊されてからの日数を「1日→1.5km」に換算して遠距離修正を用いて下さい。
 使用に関しての不利な技能修正については、《魔化解除》《魔化停止》と同様です。同時に複数の魔化を移す場合には、必要エネルギーは合計しますが技能に修正は受けません。
持続:永久
消費:移す呪文の魔化に必要なエネルギーの1/10。最低100。
前提:《魔化》
◇ルナル:白の月、黒の月

《力の品》魔化
 術者の修得している呪文を基にした、回数制限付きの魔法の品物を作ります。普通に呪文を唱えるタイプの品物なら何でも作れますが、必要なエネルギーと材料費は以下の表に準じて減少します。形態の似ている呪文なら併用可能なようにも作れますが、その場合エネルギーと材料費は高い方に準拠します。
 使用できる回数とエネルギー・材料費の割合は以下の通りです。この呪文による魔化に必要なエネルギーは、《巻物》1つ分のエネルギーの25倍を下回る事はありません。
  1〜20回:1回毎に1%、20回で20%
  21〜50回:1回毎に0.67%(3回毎に2%)、50回で40%
  51回〜:不可
 品物に《体力賦与》を込めてエネルギー消費無しで使えるようにもできますが、魔化に必要なエネルギーが「1回使用した際のエネルギー消費×使用回数」だけ増加します。
 魔化の成功判定は、関連した呪文の中で最も低いレベルの呪文の技能レベルで行います。ただし品物のパワーレベルには、《体力賦与》は関係しません。
(例1)
 普通にエネルギーを消費して、《すばやさ》(2000で魔化可能)を50回使える杖を作ります。必要エネルギーは2000×0.4=800になります。
(例2)
 《すばやさ》と《怪力》(1000で魔化可能)の双方を合わせて50回使える杖なら、必要エネルギーは高い方に準拠して800になります。
(例3)
 エネルギーを消費せず《すばやさ+5》を50回使える杖なら、必要エネルギーは10×50=500増加して1300になります。
(例4)
 《すばやさ》を20回使える杖なら、エネルギー消費タイプは必要エネルギーは2000×0.2=400、敏捷力に+5するのにエネルギーを消費しないタイプなら2000×0.2+10×20=400+200=600になります。
持続:永久
消費:本文を参照
前提:《巻物》《体力賦与》
◇ルナル:白の月、黒の月


―武器魔化系呪文―


・「マジック」の呪文

《確かさ》《鋭さ》
 必要エネルギーを規則的に上昇する事にしたい場合は、下の表を用いて下さい。基本的に1段階上昇するごとに×4、+4から+5へは×2.5としています。
  +1 +2 +3 +4 +5
《確かさ》 250 1000 4000 (16000) (40000)
《鋭さ》 250 1000 4000 (16000) (40000)
斜体は「マジック」と同じ数値。
・( )内は参考数値。通常の世界では不可能。


・「グリモア」等の呪文

 「パワーアップ」にのみ存在する呪文は、以下の通りです。
 《攻撃安定》《浸透撃》《ぶれる刃》《自動装填》(SKA)


・自作呪文

《矢の召喚》魔化
 この呪文を掛けた射撃武器は、集中不要でエネルギーを1点消費すれば、手放すまで弾薬が常に射撃可能な状態に保たれます。弾薬は1ターンに1個しか作れないため、サブマシンガンに使う事はできません。
消費:弾薬の価格(ドル)の200倍。普通の矢(2ドル)を出すなら400。
前提:素質3+《豊饒の角》
◇ルナル:白の月、黒の月

《不確かさ》魔化
《鈍さ》魔化
 それぞれ《確かさ》《鋭さ》の反転版です。
 《確かさ》《鋭さ》がファンブルした際には、こちらの呪文に変化する事にしても構いません。
持続:永久
消費:絶対値が同じ《確かさ》《鋭さ》を掛ける際の1/2。反対の効果の呪文も修得していれば、《連動》を組み合わせて特定条件で逆転させる事も可能(エネルギーは3/4が基本。発動確率により変動する)
前提:反転させた元の呪文と同じ
◇ルナル:白の月、黒の月


―防具魔化系呪文―


・「マジック」の呪文

《防御》《強化》
 必要エネルギーを規則的に上昇する事にしたい場合は、下の表を用いて下さい。基本的に1段階上昇するごとに×4、+4から+5へは×2.5としています。
  +1 +2 +3 +4 +5
《防御》 100 400 1600 6400 16000
《強化》 50 200 800 3200 8000
斜体は「マジック」と同じ数値。

《防御》
 受動防御を使用者に与える武器(護拳、バトル・ファンなど)に、この呪文を魔化する事も可能です。ただしその場合、武器が受動防御を与えない状況では《防御》も機能しません。
 この呪文の濫用を恐れるGMは、以下の措置から対抗策を採用する事ができます。
 ・複数の《防御》が重複するような攻撃に対しては、最も高い段階の《防御》1つのみが有効。
  (例)スケイル・アーマー(防御+3)とミディアム・シールド(防御+2)の装備者を目標とする攻撃に対しては、受動防御は3+3+3+2=11ではなく3+3+3=9。
 ・鎧の重ね着を行う際に、《防御》(と《強化》)は重複せずに、最も高い段階のものだけが有効。

《対象設定》
 指定できる対象は、《対象設定》を1つ使っておけば、「王国人にダメージ+3、軍人には《踊る武器》が作動、ただし秘密結社に属している魔術師にはどちらも無効」のような極端に複雑な設定でも可能な事にします。もちろん、《対象設定》を使う際に関連のある物品を全て用意しておく必要があります。
 使用者と目標の双方を限定すると、「使用者による限定率」と「目標による限定率」の分母同士、分子同士を掛け合わせます。この場合、限定率は1/10を下回る事はありません。
例:エルフ(エネルギー1/2)が使うとファイアードラゴン(エネルギー1/3)に対して技能+2、ダメージ+2する剣を作ります。
  この場合、消費エネルギーは100+(1000+1000)X(1X1)/(2X3)=100+2000X1/6=100+334=434となります。


・「グリモア」等の呪文

 「パワーアップ」にのみ存在する呪文は、以下の通りです。
 《着脱》(SKA)、《防御時間延長》(SKA、防具魔化に制限のある世界のみ)


・自作呪文

《無防備》魔化
《劣化》魔化
 それぞれ《防御》《強化》の反転版です。防御弱化の呪文を用いた防具の能力の最低値は、受動防御・防護点共に0となります。
 《防御》《強化》がファンブルした際には、こちらの呪文に変化する事にしても構いません。
持続:永久
消費:絶対値が同じ《防御》《強化》を掛ける際の1/2。反対の効果の呪文も修得していれば、《連動》を組み合わせて特定条件で逆転させる事も可能(エネルギーは3/4が基本。発動確率により変動する)。
前提:反転させた元の呪文と同じ
◇ルナル:白の月、黒の月


―制限魔化系呪文―


・「マジック」の呪文

《限定》
 これと武器魔化系の《対象設定》、呪文操作系の《連動》との違いは、以下のようになります。GMの判断次第で、《対象設定》を他の系統の呪文(特に攻撃用の呪文)に使う事もできるかもしれません。
  使用タイミング 他の呪文の
エネルギー
単独での除去 影響する対象
《対象設定》 他の呪文を
魔化する前
減少する 不可 武器の攻撃力を
上げる呪文のみ
《限定》 他の呪文を
魔化した後
減少しない 可(抵抗に+5) 使用者か目標がある
呪文なら何でも
《連動》 他の呪文を
魔化した後
減少しない 可(抵抗に+5) 防御・射撃以外の
呪文なら何でも


・「グリモア」等の呪文

(無し)


・自作呪文

(無し)


―魔法道具魔化系呪文―


・「マジック」の呪文

《魔法の杖》
 掛けられる対象は、手にして直接加えた力が攻撃部位まで直接到達する武器に限られます。そのため一部が手元に残る投げ縄やネット、それと長さ4ヘクス以上の鞭やこれらに類する武器はこの呪文の対象にはできません。もっともこれは人間サイズの種族を基準とした物であり、例えば巨人の武器ならばこの制限を越えられるかもしれません。
 当然ながら「武器」ではない物、例えば紐やワイヤー、建材なども対象外です。

《パワーストーン》
 宝石以外の材料を認めても構いませんが、それなりに価値の高い物質でなくてはいけません。特殊な設定の世界でもない限り、認められるのはせいぜい貴石くらいでしょう。もちろんこの場合、価値に反比例して重量も増加します――とはいえ重量100倍でも1点あたり20gですので、大して気にもならないはずです。


・「グリモア」等の呪文

 「パワーアップ」にのみ存在する呪文は、以下の通りです。
 《魔弾操作/種別》(SKA)


・自作呪文

《魔法の剣》魔化
 《魔法の杖》と同じ効果を、剣を始めとする無機物に与えます。
持続:永久
消費:60
前提:《魔法の杖》
◇ルナル:白の月、黒の月


―無系統呪文―

 一般的な「マジック」「グリモア」の分類に当てはまらない呪文です。系統が判然としない呪文は大抵は呪文操作系に放り込まれますので(おい)、ここにたどり着くのはよほどの曰く付きの呪文である事でしょう。


・「マジック」の呪文

 ルナルの《〈悪魔〉変身》だけが属しています。
 即席呪文の「動詞」「名詞」、ルーン魔法の技能(《ルーン起動》は除く)は、ここでは「呪文」とは見なしません。


・「グリモア」等の呪文

 「パワーアップ/SKA」の《接触許可》を、とりあえずここに含めます。「マジカルシーフ」のルーン魔法の技能は、ここでは「呪文」とは見なしません。


・自作呪文

(無し)


目次に戻る