―魔法と錬金術のバリエーション―
◇部首魔法
漢字を魔法の紋章語として使用する場合、少なくとも5万以上(一般用でも5千くらい)に及ぶ文字をいちいち覚える必要はありません。〈魔法シンボル/漢字〉を前提とした、部首ごとにまとめた〈紋章〉技能(第27章「さまざまな魔法」内の「紋章魔法」(P198)を参照)を習得して、それを組み合わせればよいのです。
部首の〈紋章/種別〉は、「精神/並」とします。GMの判断次第で、用途が乏しい部首(「鼎」「龠」など)は「易」に、用途が多く解釈も多様な部首(「木」「水」など)は「難」にして構いません。
〈紋章〉として使う漢字の表記には、甲骨文字、金文、篆書を使います。
>部首魔法の部首
基本は以下の通りです。
・部首は、漢和辞典なりWikipediaなりを参考にする。
・検索の便宜だけのために作られた、単独で意味のない部首は使わない。
・便利なように、近い意味の部首をある程度統合する。現実の部首と整合させる必要はあまりない。
・漢和辞典で部首とされていない構成要素でも、拡大解釈して構わない。
・要はゲームバランス。
>定例文
あらかじめGMとプレイヤーが漢和辞典を見ながら相談して、キャラクターに使わせたい魔法と、それに見合った部首の組み合わせを探します。即興性は薄れますが、「その字はあるか」で水掛け論になったり、頻繁に漢和辞典を開いたりする事態を減らす事ができます。……特に、GMよりプレイヤーの方が漢字の知識が豊富な場合。
(例)
防壁→阜+土
治癒→水+病、または水+心
火球攻撃→火の弾丸、または火の矢→火+弓、または火+矢
>通常の紋章魔法に従った部首魔法
紋章魔法の各〈紋章〉名を、それっぽい漢字1字(できる限り部首と同名の)にします。使い方は通常の紋章魔法と変わりありません。
精神/易:「食」「音」
精神/並:「言」「小」「大」「行」「家」「風」「火」「卜」「光」「木」「水」
精神/難:「生」「耳」「工」「手」「力」「虫」「肉」「土」「示」「心」「鬼」
>便宜的な部首一覧
使い勝手の良さそうな部首をまとめたうえで、一部の部首は解釈を広げています。
「一」:数、統合
「人」:人間、知的生物
「刀」:刃物、刀剣、分割
「力」:筋肉、物理的な力
「十」:計算、充填
「卜」:占い、予言
「口」:口、言葉
「国」:壁、囲い、集団
「土」:大地、固体
「大」:拡大、増加
「女」:血統、生殖、祈り
「子」:種、成長、増殖
「家」:家屋、保護、空間
「小」:縮小、減少
「工」:技術、工具
「弓」:湾曲、射撃
「行」:道路、通行、時間
「心」:精神、中心
「戈」:武器、戦闘
「手」:手、腕、手段
「文」:文字、紋章
「日」:太陽、昼、暑さ
「月」:月、夜、涼しさ
「木」:樹木、材木
「止」:停止、終了
「気」:気体、空気、風
「水」:水、冷気、液体
「火」:火、熱
「牛」:牛、農耕
「犬」:犬、警戒
「玉」:宝物、宝石
「肉」:肉体、食肉
「草」:植物、繁茂
「進」:進行、開放
「生」:生命力、素材
「目」:目、視力
「石」:岩石、硬さ
「示」:神、奇跡
「禾」:穀物、食糧、収穫
「衣」:衣服、被覆
「耳」:耳、聴覚
「虫」:昆虫、両生類、爬虫類
「言」:意思伝達
「貝」:金銭、財産
「足」:足、脚、移動
「金」:金属、金属製品
「門」:門、開口部
「雨」:雨、雪、雲、気象
「食」:食事、分解
「音」:音、波動
「馬」:馬、騎乗
「鬼」:霊魂、霊気
「魚」:魚類、水中生物
「鳥」:鳥類、飛行、滑空
「龍」:ドラゴン、地形
>右文説魔法
単なる音を現す部分(音符)と考えられる事が多い、漢字の「部首でない方」の部分(大抵の場合は文字の右側の部品)にも、共通の意味があるという考えが、「右文説」です。荒っぽい解説をすると、大まかに、
・「海」、「大晦日」の「晦」、「教誨」の「誨」はそれぞれ「暗い水(=底知れぬ暗黒の水域)」「暗い日(=新月の前日で、行き着く所まで暗くなった日)」「暗い所まで広がる言葉(=奥深い言葉)」
・「浅」、「銭」、「残」、「便箋」「処方箋」の「箋」はそれぞれ「水の破片(=ほんの少ししか深くない水)」「金属の破片」「削られた破片」「竹簡の破片(=小さな書き付け)」
といった具合です。もちろん(比較的)新しくできた文字には例外も多く、右文説は万能ではないのですが、それを言うなら部首だって一緒で、「到」の右側が元は「人」だったのが甲骨文字から金文に移る時点で「刀」になってしまったとか、意味の転用で「六」「七」には「天幕」「切る」という意味は既にないとか、部首が意味を成していない事も実はよくあります。
基本的にPCは右文説魔法の〈紋章〉を習得する事はできませんが、太古の秘儀を伝える(もしくは解明した)NPCには右文説魔法を使える者がいるかもしれません。