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◇本当は怖い高レベル呪文◇

 「ガープス」の魔術師、いや、素質を持たない者も含めた魔法使いの最大の武器といえば、やはり21or25レベルに達した高レベル呪文です。エネルギーは減るわ集中時間は短縮するわ、普通は無駄に終わりやすい抵抗型呪文でさえちょっと離れても効くようになるのですから。
 この事自体は周知の事実なのであえて「本当は怖い」などと付ける必要はなさそうですが、具体的にどの呪文を強化するかは悩みの種となるでしょう(ルナルの神官なら選択肢が絞られるのでやや楽ですが)。そこで参考になるデータを挙げてみました。

高レベル呪文必要CP表
知力+素質
(+その他の
 ボーナス)
魔法使いとしてのランク 基準レベル
(「難」に1CP)
15Lv 20Lv 21Lv 25Lv
14 副業魔法使いの
最低条件
12 6CP 16CP 18CP 26CP
17 一般的な
100〜125CP専業魔法使い
15 1CP 10CP 12CP 20CP
18 有能な専業魔法使い 16 --- 8CP 10CP 18CP
19 100〜125CPでの限界線 17 --- 6CP 8CP 16CP
20 100〜125CPではほぼ不可
(ルナルのウィザードは
魔術具で達する事が可能)
18 --- 4CP 6CP 14CP
*「至難」の呪文の場合、必要CPはこの2倍。

―危険な高レベル呪文一覧―

動物系

《昆虫制御21》/0秒/1・0
《爬虫類制御21》/0秒/2・0
《鳥制御21》/0秒/2・0
 操るには集中が必要とはいえ、調教の必要もなく動物使いになれる。都合良く動物が出るとは限らないため、NPCか気心の知れたGM相手のプレイ向け。

肉体操作系

《ひきつり21》/0秒/0
 毎ターン武器落としが可能になる。

《朦朧21》/0秒/0
 毎ターン朦朧とさせられるため、生命力9以下の相手には危険極まる。

《目くらまし21》/0秒/2・0
 視覚に頼る大半の敵は、一発でほとんど戦闘不能に陥る。視力の低い動物の場合ペナルティを緩和するのもいいが、その場合聴覚や嗅覚の妨害に対してもそれなりの不利な修正を考慮が必要。

《死の手21》/0秒/0〜1
 素手や《魔法の杖》での攻撃に、毎ターン防護点無視で2D点の追加ダメージを与えられる。

《足もつれ21》/0秒/0
 毎ターン足引っ掛けが可能。対人向けではないが、敏捷力9の馬に使って騎兵をころころと面白いように落馬させられる。

地霊系

《地中歩行25》/0秒/1・0
 《土を空気》もあれば意識が続く限り地底潜伏が可能なため、剥き出しの地面さえあれば潜入も逃走も思うがままとなる。ただし地中では視界が利かないため、《地中視覚20》も取っておかないとGMの罠により崖や洞窟の天井から飛び出て転落する危険もあり。

火霊系

《火炎噴射21》/0秒/0〜1・同
 疲労なしで2D点ダメージの炎が吹き出る。しかも準備時間が0秒になるため、2ターン目には2本の《火炎噴射》で全力攻撃可能。

水霊系

《脱水21》/1秒/0〜1
 毎ターン2D-2点ずつ敵が干からびる。同時に武器戦闘を行いたいなら25レベルでも良いが、敵がアンデッドやゴーレムばかりになっても責任は負えない。
 なお《凍傷》は25レベルにならないと集中時間の点で有利にならないので、おとなしく《脱水》を21レベルにしてから対アンデッド・ゴーレム用に《凍傷》を取っておきたい。

《間欠泉21》/3秒/3〜・0〜
 「至難」なのが難点だが、自動的に3D点ダメージ+かなりの率で転倒する。GMをする機会にNPCに使わせると面白いかも。

治癒系

《小治癒21》/0秒/0〜1
《大治癒21》/0秒/0〜2
 瞬発で治癒が可能な上に、4回目の使用でも離れていなければ12以下で成功する。自分に対して使っても、重傷でなければ成功を見込める。

幻覚・作成系

《動物作成21》/1秒/0・0(〜50kg)
 チンパンジー、鹿、鷹、蛇、狼を1ターンに1体作成可能(25レベルならゴリラ、ヒグマでも可能)で、しかも命令すれば勝手に行動してくれる。「ガープス王国」のルナルーさんの命名に曰く「ムツゴロウハメ」(笑)。

《戦士作成25》/1秒/1・1
 某所(←どこか忘れた)のリプレイ曰く「式神使い」。作成戦士は装備が無いため、普段から武器を背負っておくか〈格闘〉専門の盾にするか、よく考えて行使しよう。

光/闇系

《透明25》/0秒/2・0
 潜入活動と戦闘にとても役立つが、掛かった相手は魔法使いの盾になってくれないので戦闘時には要注意。

呪文操作系

《呪い21》1点分/1秒/1
 前提が面倒なものの、抵抗ができないという点がとても嫌らしい。敵のラッキーヒットが消滅するのでバランス取りに悩むGMに感謝される事請け合いだが(嘘)。

精神操作系

《忘却25》/3秒/0・0
 敵戦士の主武器技能を《忘却》状態にできる。槍・長刀使いが「受け」のために取った〈杖〉や剣使いの〈短剣〉(0.5CP以上消費)は封じられないので気を付けて。

《心神喪失21》/0秒/0
 毎ターン精神的朦朧状態に。あらかじめ《間抜け》で目一杯知力を下げておけば、動物や専業戦士はほぼ永遠に復活できなくなる。

《誘眠25》/0秒/1
 準備時間とエネルギーが多すぎるために使い勝手が悪かったが、ここまで上げれば文句なし。CPに見合うかは判断次第だが。

《集団誘眠25》/2秒、3秒…/3、6…
 こういう取り方をする例は多いようだが、それでも準備時間が少し長い。集団や動物の「群れ」を相手にするには役に立つ。

《狂気21》/1秒/2・0
 エネルギー消費は低いものの、結果にリスクが付きまとうのはかなり問題。NPC向き。

《魅了25》/0秒/3・0
 普通に戦いながら1ターンに1人ずつ味方が増える。行動を指示するために魅了する相手の言語も覚えておきたい。

死霊系

《死の幻影25》/0秒/0
 抵抗不可能というとんでもない呪文。恐怖判定も要求できるので戦士相手に一考の余地あり。

《死人奪取21》/0秒/1
 対アンデッド廉価呪文としては、準備4秒の《死人返し》よりずっと役に立つ。

防御/警戒系

《矢よけ21》/0秒/3・0
 エネルギー0で維持できるため、戦場に出てもかなり安心できる。要人の狙撃防止用に雇われれば生活に困らない。

音声系

《音噴射21》/0秒/0〜2・同
 瞬間でスタナー発射が可能。麻痺させても10ターン前後で回復する事に要注意。

《沈黙21》/0秒/0・0
 「ガープス」の呪文の発動タイミングはターンの行動宣言直前であるため、集中の最終ターンでヘクスに《沈黙》が掛かると高レベルでない限り発動が不可能になる。乱用し過ぎて自分や仲間が《沈黙》ヘクスに突っ込まないように要注意。


◇初心者に分かりやすい連動系呪文◇

 ひじょーに分かりにくい事で名高い、《遅発》《連動》《瞬間防御》の連動系呪文御三家の微妙な違いと具体的な使い方の例をまとめます。
 ……直接的な目標以外に使う際の−5修正を考えると、知力+素質が18以上(1CP消費で16レベル以上)になる秀才専門系統になるかもしれません。

連動系呪文早見表
#準備 #発動!
発動のきっかけ 連動系呪文 連動される呪文の用意
(連動系呪文から1分以内)
あらかじめ決めておく、
発動の基点は《遅発》の目標である
個人か物体
(a)普通の人間が見て判断できる事
※離れていても構わない
(b)普通に分からない事を判断するための呪文
 (維持必要/発動修正-1)
《遅発》/準備10秒
(2時間毎に5点消費)
(維持必要/発動修正-1)
他の呪文1つ準備
(通常消費)
(維持不要/発動修正-1)
※判定は後回し
判定
目標は…
 (a)あらかじめ特定した目標
 (b)「スイッチ」を入れた相手
  (判定に-5修正)
※消費なし、
 追加維持する際には追加消費
※発動は1ターン掛かる
あらかじめ決めておく、
発動範囲は《連動》の範囲内のみ
(a)普通の人間が見て判断できる事
※離れていても構わない
(b)普通に分からない事を判断するための呪文
 (維持不要)
《連動》/準備4時間
(8点基本消費)
(維持不要/
発動修正は3つで-1
(端数切捨て))
他の呪文1つ以上
 準備+判定
(呪文の直接的な目標が
いないと判定に-5修正)
(通常消費)
(維持不要)
自動発動
目標は範囲内のヘクス
※判定と消費なし、
 追加維持は不可
術者の判断で自由に発動する、
発動の基点は《瞬間防御》の目標である
個人か物体
(a)防御呪文として一瞬で発動
(b)通常の呪文として1秒で発動
《瞬間防御》/準備10秒
(1時間毎に元の呪文と
同じだけ消費)
(維持不要)
他の呪文1つ準備
※判定と消費は
 後回し
(維持必要/発動修正-1、
それ自身の発動に
際しては含まない)
判定+消費
目標は発動時に術者が選択
*《遅発》は、「発動すると呪文が停止する」ように設定する事が可能。この場合は《遅発》の維持が不要となるが、連動される呪文は維持が必要となる。
*《連動》は、「発動すると呪文が停止する」ように設定する事が可能。この場合は連動される呪文に維持が必要となる。「特定条件で発動・停止を繰り返す」ような設定の場合、維持の扱いは通常通り。

#連動系呪文使用法
《遅発》
 魔法戦士が2交代の護衛(維持エネルギーを休息で回復できる)の際に、あらかじめ戦闘補助呪文を「武器を構えると発動」「目標=自分」として掛けておく。
 魔術師が護衛の戦士に、あらかじめ戦闘補助呪文を「武器を構えると発動」「目標=護衛」として掛けておく。
 「填めた指で触れられると発動」とした《大治癒》を指輪に封じて、治癒魔法の使えない仲間に渡す。目標はあらかじめ特定するか、触れられた相手なら誰でも良いか選んでおく。
 身振りやキーワードで発動する逃亡用の《高速飛行》《他者移動》などを、1人で潜入する盗賊に掛ける。
 キーワードを唱えると、手にした魔法の杖から次のターンに《火炎噴射》が噴き出す。(目標に直接掛ける攻撃呪文は「スイッチを入れた本人に掛かる」ため、この手段は取れない)
 触れると《脱水》《死の手》《呪い》《他者移動》が掛かる罠のアイテムを作る。(「戦闘即応」がない戦士や動物相手なら有効だが、そうでない相手には気休め程度にしかならない)
 《念動》を停止させて落石を脳天直撃、あるいは目標選択式落とし穴を作動。
 杖で突付かれた相手に掛かる《死人使い》を準備しておき、敵味方を問わず強そうな戦士が死んだら即座にゾンビ化する。
《連動》
 踏み込んだ相手を、《狂戦士》《肉を石》《埋葬》《間欠泉》《物質障壁》などでストレートな罠に掛ける。複数仕掛けるか、何度も掛け直してクリティカルさせれば反則技に。
 近付いた相手を、《戦士作成》《悪霊召喚》《動像》などで作成した敵と戦わせる。こちらの方がストレートな罠より使いやすい。特に後ろから不意打ちすれば……。
 《闇視》《透明看破》《対抗呪文/透明》《持続光》《作音》《染色》を全て仕掛け、夜中に《透明》で忍び込む盗賊対策にする(発見されると《透明》を解除され明かりが点いて警報が鳴り響き、しかも全身をピンクに染められる)。《対抗呪文》はできる限り複数仕掛けたい。
 《魔力視覚》《完全障壁》で、対魔法生物専用の罠を仕掛ける。
 相手が開いたままの扉を通過した後、《従者》+《魔法の鍵》で閉じ込める。扉がなくても《土作成》+《土を石》で通路塞ぎが可能。
 後からやってくる仲間のために、《他者移動》で簡易テレポーターを作っておく。
 足を踏み入れただけで《体力賦与》や《大治癒》2〜3個が一度に掛かる緊急回復ポイントを作り、いざという時に備えておく。これを使えば自分で自分を治癒する事も可能。
 足を踏み入れただけで《怪力》《すばやさ》《盾》《鎧》《倍速》などが一度に掛かるパワーアップポイントを(以下略)。
 スイッチで点けたり消したりできる《持続光》を部屋に作る。
 非常時にキーワードと身振りで閉鎖できる《魔法の鍵》を扉に仕掛けておく。
 洞窟の中で出口が塞がれ空気も食料も乏しい時に、救援が来ると発動する《石を肉》を仕掛けてから自分を《肉を石》で石化させる。《活動中断》→《覚醒》というアレンジも可能。
《瞬間防御》
 《矢返し》《物質障壁》《ひきつり》《瞬間移動》のような、防御呪文として扱って効果のある呪文を用意しておく。
 《忘却》《肉体支配》《殺菌》《解毒》のような普通に掛けるには準備時間が長過ぎる呪文を、1秒集中で使えるように仕込んでおく。


*1分以内に唱える?*

 えー、テキスト(「マジック完訳版」)の35ページ1段目2行目〜4行目に目を通して下さい。

  さらに、連動呪文が唱えられてからただちに――1分以内に――連動される呪文も唱えなければなりません。

 ――と書いてありますが、NiKeさんから頂いた情報によると原著の該当部分は、

  「and must be cast immediately after the linking spell is cast -- starting within one minute.」

 ……つまり、呪文の準備を1分以内に「開始」すればよい(つまり準備時間が1分を超える呪文も連動させてよい)のではないかという事です。
 まあ、《瞬間防御》+《殺菌》以外でこんな事するのはほとんどGMになるでしょうが。あとプレイの際にこちらの解釈を導入するには、GMや他のプレイヤーともめないように説得材料(英語版「マジック」第2版)を用意した方が安全かと。


◇はじめての儀式◇

 意外と使う人の少ない「儀式呪文」の使い方を、実践を交えて説明します。

#初級:《再生》の儀式

 ウィザードとレスティリ・エルファ(2人とも素質持ち、《再生15》)が、戦闘で片目を失った戦士に《再生》を使います。《再生》のエネルギー消費は20点ですので、小さなパワーストーンしか持っていない自分達にも何とかできそうです。

(儀式の前準備)
 一般的な儀式には道具は必要ありません。呪文を使うウィザードとレスティリ・エルファが物理的に接触し合い(握手し合っても手を繋いで輪になっても構いませんが、精神集中を妨げるような接触(おんぶ、抱擁、お姫様だっこ、スープレックス、関節技、その他諸々)はダメでしょう)、そのまま精神を集中します。
(準備時間)
 通常の1分の10倍で、10分です。
(エネルギー消費)
 技能レベルが高くても、通常通り20点です。2人とも素質があって技能レベルも高いので、好きなように分担してエネルギーを消費します。
(技能判定)
 儀式に参加した中から1人が、中心となった術者として技能判定を行います(《祝福》や「幸運」で確率操作する事はできません)。無事に成功して、戦士の目は1ヶ月……ではなく4巡りほどで視力を取り戻します。この呪文は1度しか試せませんが、もし片方の術者が失敗しても、もう片方の術者が中心となって儀式をやり直せるでしょう。

#中級:《精神感応》の儀式

 バドッカのサリカ本神殿で、サリカ高司祭(素質持ち、《精神感応16》)、サリカ神官(素質持ち、《精神感応13》)、サリカ入信者(《精神感応》を使えない)、ウィザード(《精神感応15》)の4人が、遠距離に《精神感応》を使うために集まりました。呪文の対象は、ルークス聖域王国の北部、ルークスの街にいるウィザードの師匠です。
 グラダス半島の東西の幅が2500メイル(km)と仮定すると、地図から計算してバドッカ〜ルークス(の街)は7500メイルほどになります。遠距離修正は−12に達しますので、儀式を使って達成値を上げない限り高司祭でも2%程度でしか成功できません。そこでウィザードは、魔法の儀式によりエネルギーを大量に注ぎ込み技能レベルを上げる事を提案しました。

(儀式の前準備)
 儀式の中心となる高司祭と神官とウィザードが物理的に接触し合い、入信者はその後ろで手伝う事になります。《精神感応》は面識が無くても不利な修正を受けないので、儀式の中心となる術者は技能レベルが最も高い高司祭が担当します。
(準備時間)
 4秒の10倍で、40秒になります。
(エネルギー消費)
 基本は4点ですが、儀式により多くのエネルギーを注ぎ込むので後で計算し直しましょう。
 高司祭とウィザードはエネルギー消費に制約はありませんが、神官は技能レベルが低いため3点までしかエネルギーを注ぎ込めません。入信者は技能を持たないため、儀式の観衆としてエネルギーを1点提供するのが限界です。
(エネルギーと修正)
 普通に《精神感応》を使っても、−12も修正が掛かると高司祭は4以下、ウィザードは3を出さないと判定に成功しません。それどころか10〜20%程度の確率でファンブルを起こす危険すらあります。そこでエネルギーを余分に使うと……、
  4点…-12
  5点…-11
  6点…-10
  7点…-9
  8点…-8
  12点…-7
  16点…-6
  20点…-5
  24点…-4
  28点…-3
  32点…-2
  36点…-1
  40点…±0
  44点…+1
  (以下略)
 という計算になります。神官と入信者に限界までエネルギーを使わせると合計4点ですので、残りを高司祭とウィザードが消費する事になります。2人とも体力10とすると、限界まで消費する事でエネルギーは合計24点、目標値12で《精神感応》が成功します。ただしこのままでは術者である高司祭が発動と同時に気絶して通話ができないので(笑)、儀式終了後直ちに神官が高司祭に《体力賦与》を掛ける事にしました。
(技能判定)
 3人で手を繋いで輪になり、40秒集中を続けて高司祭が目標値12(600%消費で+8し、遠距離修正の−12を引く)の判定を行います。無事に判定は成功し、高司祭はウィザードの師匠と意思が繋がりました。神官の《体力賦与》で復活してから、高司祭はウィザードから言付けられた用件を伝達します。1分より長く維持するとエネルギーを追加で24点消費するので通話は1分が限界ですが、この際にウィザードから師匠に定期的に連絡を行う事を連絡すれば、次回からは距離修正を無視してウィザード1人で《精神感応》が可能になります。

#上級:《復活》の儀式

 ピール訪問中のエインリッヒ・フォルベルト大公が、偶然起こった爆発事故に巻き込まれて死んでしまいました(汗)。幸いにも(?)死んだのは大公だけだったので、ピールの魔術師団は《復活》を使える術者を片っ端から掻き集めました(超巨大パワーストーンは全て魔化に使用中だったため、《復活》に使用する事はできませんでした)。丸1日掛けて連絡の取れたメンバーは以下の通りです。
  コーランス前議長:25レベル
  ラカニオク評議員:21レベル
  エルメイラ評議員:20レベル
  シャームエル評議員:18レベル
  フェイムクート評議員:18レベル
  ロズレイン:18レベル
  ザックス評議員:17レベル
  レンツ:17レベル
  ウィザード4名:16レベル
  ウィザード2名:15レベル
 この合計14人の体力合計は130(ウィザードなのでやや低め)、どうしても《復活》の必要エネルギー300に届きません。しかし大半の術者が大きなパワーストーンを持っていますので、それも合計すると何とか280程度にまで届きました。あと20点足りませんが、それは観衆で補充する事にします。とはいえ見習いウィザードを駆り集める訳にも行きませんので、大公の随員の経歴を調査した上で50名ほどを選び出しました。

(準備時間)
 2時間の10倍で20時間、ほぼ1日を費やすハードな儀式です。もちろんこれに少しでも嫌そうな感情を抱いた随員は、儀式の観衆からは優先的に外されます。
(集中の乱れ)
 儀式が終了する直前、ウィザードや随員のほとんどの意識がハイになりかけた頃に、いきなり随員1人が輪に参加していたシャームエルをナイフで突き刺します。輪に入っていたシャームエルは回避できずにダメージを4点受けましたが、生命力が10あるため朦朧状態にはなりませんでした。ダメージを受けたシャームエルは、集中を維持するために修正なしでの意思判定(目標値17)を行い、こちらには成功します。更に随員はシャームエルを突き殺そうとしますが、時々交替しながら警備にあたっていた風紀委員達に取り押さえられました。
(エネルギー消費)
 基本消費通りの300点を消費します。……と言いたいところでしたが、大公を嫌っていた随員5名が呪文に反対し、供給されるエネルギーが25点(5人が抜けた分も含めて30点)減少してしまいました。しかし幸いにも300点の条件をぎりぎり満たし、丸2日掛かりの騒ぎは無駄にならずに済みます。
(技能判定)
 コーランスが目標値19(死亡から2日経過しているため−2修正、シャームエルが刺されたダメージの分が−4修正)で判定を行います(ピールの塔の中ですが、16以上では失敗である事には変わりありません)。呪文は無事に成功してエインリッヒ大公は生き返りましたが、コーランス前議長は呪文に反対した随員の存在をそっと心の中にしまい込みました。何を考えて他人に黙っていたのかは、コーランス本人しか知りません。


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