―ルールセクション1―


特徴総覧

 基本的に特徴は、「ベーシック」の扱いに準じます。「百鬼夜翔」「マーシャルアーツ完訳版」などの特徴も、GMの許可により使用して構いません。


◇既出の特徴◇

―社会的特徴―

「ベーシック」などにレベル制限が書いてないレベル制特徴の全て
 必要なCPが2CPまで(「音楽能力」「鋭敏視覚」など)なら5レベル、3〜5CP(「意思の強さ」「鋭敏感覚」など)なら3レベル、6CP以上なら2レベルまで取得可能です。不利な特徴も同様に扱って下さい。

CPの現金化
 ルナル同様、キャラクター作成時に2CPを限度としてCPを現金化可能です。これで稼げるCPは、1CPあたりで装備に本来使用できる金額の2分の1(中世で「標準」なら1CPあたり500ドル)になります。

「地位」(様々)
 日本の複雑な地位制度については、世界解説を参照して下さい。「ベーシック」の記述は外国人にのみ適用されます。

「軍人階級」
 日本では古来から、全ての階層が身分に応じて武力を行使する権限を留保し続けました(平民だけのレベルでは小競り合いが中心ですし、近世には武家のみになりましたが)。そのため幕末に至るまで、「南北朝時代までの公家と寺家・社家」「全ての時代の武家」は組織内での役割に応じて自動的に「軍人階級」を持つものとして扱います。もちろんこれには例外もありますが、そこまでは言及致しません。

「聖職者」
 近世までの日本では、聖職者は独自の地位体系に属していましたので「地位」の特徴のバリエーションで処理します。ただしキリスト教徒の場合は例外です。

「社会的弱者」
 女性は「二等市民」、奴婢は「価値ある財産」、被差別民は「局外者」として扱われます。ただし女性の「社会的弱者」は他の「社会的弱者」との同時取得はできず、「/Magical」では無視しても構いません。また「局外者」でも、被差別民の集団は非常に小さいため仲間同士での反応ボーナスは滅多に受けられません。また、奴婢は近世には違法となったため存在しません。奴婢や被差別民は人口比が非常に低い上に行動の制限が非常に多く、PCにするとプレイの円滑な進行を妨げやすいため、基本的にNPC専用です。
 また東アジアでは歴史的に見てもかなり早期に100万〜1000万単位の人口を抱える国家の枠が確立したため、国境はヨーロッパ人には想像できないほどの障壁となりました。そのため外国人は、以下の通りの「社会的弱者」として扱われます。
 ・「文明を持つが文化が異質な、もしくは強大で鬱陶しい連中」(日本における明人、明における日本人・安南人、日本や明における朝鮮人・南蛮人・紅毛人、蝦夷地における日本人、モンゴルにおける明人など)…-5CP
 ・「文明水準の低い、もしくは野蛮なだけの連中」(日本におけるアイヌ、明におけるモンゴル人・女真人、朝鮮における日本人・女真人など)…-10CP
 ・「あれを人間とは思いたくない」(朝鮮における紅毛人など。基本的に「存在するはずのない」集団に対して)…-15CP
※例は14〜15世紀におけるものです。

―肉体的特徴―

「近視/遠視」
 文明レベルが4でも眼鏡は存在しますが性能が悪く、近視の場合は手持ち武器の攻撃に−1、射撃の距離は1.5倍として計算します。遠視の読書速度は2倍、精密作業の修正は−1です。このため、文明レベル4の場合は−15CPの特徴として扱われます。
 文明レベル5以上なら普通の眼鏡が入手可能なので、この特徴は通常通りに扱われます。

「性的不能」
 原著の「eunach」は「去勢」という意味です(……だから男性のみなんですね)。日本には宦官や刑罰による去勢は存在しないため(ついでに言うと家畜も去勢しない)、原因は事故による負傷に限られます。

―精神的特徴―

「我慢強さ」
 後天的に取得可能です。訓練の機会がある時に任意の時間を費やし(防御訓練で痛みに耐え抜く、鳥の羽で足の裏をくすぐられるなど)、意思判定に成功してからCPを消費して下さい。また、この特徴があれば呪文に集中している間に負傷しても目標値へのペナルティを受けません。《痛み止め》や「無痛覚」でも同様です。

「アルコール中毒」
 程度の弱い特徴として、通常の中毒と同じ扱いをする「アルコール依存症」(−10CP)が存在します。現世では比較的酒に弱く飲酒の習慣を長い間持っている民族(日本人など)に多く見られる特徴で、そのような民族では「アルコール中毒」に達する事は滅多にありません。

「読み書き」
 日本の場合、時代に応じて「読み書き不可」「簡単な読み書きのみ可」「読み書き可能」に必要なCPは以下の通り変動します。
  縄文前期〜縄文中期:0/―/―CP
  縄文後期〜飛鳥:0/5/10CP、〈中国古文語〉の修得が必要
  奈良〜戦国:-5/0/5CP
  桃山〜:-10/-5/0CP
 「/Magical」では、簡単な読み書きしかできないキャラクターも複雑な呪文の学習に要する時間(=修得に必要なCP)が2倍になります。

「盗癖」
 この特徴は、容易にキャラクターの死に繋がる特徴です! 律令では盗賊は他の国と同程度の処罰しか受けない事になっていますが、在地の民衆は盗みに対して極度に厳しく、中世では些細な物を盗んだだけで犯人は処刑されます(しかも処刑権は町や村が持ちます)。近世ではそこまでの事はありませんが、「盗んだ金額が合計10両に達すれば死刑」「錠前破りは死刑」「脚の不自由な者から奪えば卑怯者として死刑」「天皇の御所や格式の高い寺院から盗めば死刑」「すりは3回捕まれば死刑」となっていました。そのため-25CPの特徴として扱いますが、PCはGMの許可なしに「盗癖」を取得してはいけません。

「放火魔」
 可燃物が非常に多い世界ですので、字義通りの「放火魔」は時代を問わず-15CPの特徴として扱います。やはり、明治初期までに放火で捕まるとほぼ確実に処刑されます。
 ……ちなみに原著の「pyromania」は、そこまで深刻に犯罪的な特徴ではないようです(汗)。しかし-5CPの「火炎愛好」も、あれこれと疑いを受ける事が多く反応に−1されます。

「虚言癖」
 日本では嘘付きは嫌われます。少なくとも反応に−1の修正を受け、通商や援助要請には−3の修正を課されます。このため-20CPの特徴として扱います。

「狭量/種別」
 日本ではあまり一般的ではありませんが(偏見を持っている相手には、攻撃より無視を選ぶ事が多いので)、中世の極端な日蓮宗信者や(個人的に嘆かわしい事ですが)浄土真宗信者、切支丹、近世の朝鮮国からの使節の一部(……だと思いたい)などに時折見受けられます。単に嫌に思うだけではなく侮蔑的行動があまりにも甚だしい場合は、同時に-5〜-15CPの「嫌な行動」としても取得して下さい。この場合、「狭量」を抑え込むための意思判定に±0・−2・−5の修正を受けます。以下にその例を挙げましょう。
「本願誇り」(-10CP)
 浄土真宗、浄土宗、時宗、融通念仏宗(=浄土系宗派)以外の宗派の信徒を見下してしまい、特に真言宗や日蓮宗の信徒を毛嫌いします(通常は、攻撃ではなく拒絶します)。神祇信仰にも排撃しないものの極めて消極的です。ただし善光寺と四天王寺、法隆寺に対しては普通に敬意を払います。一般人の反応にも−2されます。
「日蓮宗信徒の狭量」(-10/-15CP)
 他の全ての仏教の宗派ばかりか、甚だしい場合は同じ日蓮宗でも他の門流の流れを汲む者にまで攻撃的に反応し、機会さえあれば相手の信条を一方的に否定しようとします。ですが神祇信仰は排斥しません。一般人の反応にも−2〜−3されます。
「近世儒学者の狭量」(-10/-15CP)
 仏教的慣習を嫌い、僧侶の教えには耳を傾けず仏教式の葬儀すら拒絶します。男女が親しく付き合う事には我慢がならず、(日本で常識である)近い親族との結婚や別の名字を持つ家からの養子は汚らわしい物でしかありません。一般人の反応にも−2〜−3されます。「国学者の狭量」や「切支丹の狭量」も、これらに準じて設定が可能でしょう。
「薩摩隼人の狭量」(-15CP)
 鹿児島藩の人間以外を見下し、藩内でも城下士は郷士を見下し、武士全体で平民を見下し、武勇のみを頼みとして学問や芸術、信仰には冷淡です(武術や戦術に関わる事なら積極的ですが)。もちろん日本全土より鹿児島藩の利害だけを追及して恥じる事はありません。一般人や「狭量」でない鹿児島藩士の反応に−2、相容れない奄美人、琉球人、浄土真宗の信徒、学問や芸術に従事する人々の反応に−3されます。体力9未満または知力11以上のキャラクターはこの特徴を取得できません。
「朝鮮朝後期両班の狭量(重度)」(-20CP)
 「自分の政治・学問派閥が宇宙で至高の物であり、それ以外には一片の価値もない」という考えを常に実践しています。日本人や中国人は畜生にも劣る存在としか思っていません。(日本や中国では)一般人の反応に少なくとも−3(しかも下限なし)の修正を課せられますが、言葉が通じない一般人に悟られる事はまず有り得ないでしょう。〈朝鮮語〉を修得している幕府高官や儒学者、対馬の人間、朝鮮からの帰化者の末裔に知られたら、本人だけでなく祖国をどう思われるかは分かり切った事ですが……。もちろんこんな特徴は「畜生にも劣る」NPC専用で、PCが取得する事はできません(笑)。体力11以上または敏捷力11以上のキャラクターはこの特徴を取得できませんし、儒教以外の〈神学〉〈哲学〉や技術系技能も修得するべきではありません。


◇新しい特徴◇

―社会的特徴―

「座構成員」(5CP(近世は0CP))
 中世の特権商工業団体、または近世の指定物品管理組織である「座」の構成員です。構成員は「座」の庇護を受けられる反面、「座」の命令や要請に従わなくてはなりません(ルール的には「治外法権1レベル」「後援者(出現頻度は規模に反比例)」「義務感」「使命(やはり頻度は規模に反比例)」を含みます)。中世には特に京都を中心として様々な「座」が存在しましたが、近世の座は「秤座」「金座」「銀座」「水銀座」などごく少数しか存在せず、「治外法権」も所持していません。
 「/Magical」に存在する「呪法座」の構成員も、これらの中に含まれます。

「免状所持者」(5CP)
 マタギ(奥羽地方の山地の猟師)や木地屋(山で木工製品を作る一団)のように、特別な「免状」を所持している職能者です。ルール的には「座構成員」と同じ権利と義務が科されますが、「後援者」「使命」は滅多に発生しません。

「キリシタン」(禁止以前は-10(-20)、禁止以降は-20(-40)CP)
 戦国時代後期に伝来したキリスト教(カトリック)の信者です。キリシタンは他の信仰を一切認めず、自分達以外の全ての宗派を抹殺しようとしたために日本から徹底的に放逐されました(実際にキリシタン大名の中でも熱心な者は、強制改宗や寺社の破壊という言語道断の行為を演じています)。その上に禁教後にはイメージもあやふやな物となり、大坂の陣で籠城したキリシタンや島原の乱のせいで妖術使い扱いされる事になります。キリシタンは他者に不寛容な態度を取るため、禁止以前でもキリシタン以外の反応に−1、禁止以降は−4の修正を受けます。その上に禁止以降はキリシタンであるという事が即ち犯罪となり、発覚したら処罰(通常は処刑)されます。もちろん禁止以前の場合、「狭量」や「嫌な行動」で更にCPを稼げますがPCにはあまりお奨めできません。
 「/Magical」ではキリシタン(上帝教キリスト宗カトリック派の信者)は、日本の神々に敵対する邪教集団として常に呪法座に敵視されるため獲得できるCPが倍になります。キリシタンの余命は更に短くなるでしょう。

「隠れキリシタン」(-10CP)
 信仰を守るため隠れ住んだキリシタンとその末裔で、日本人の精神性に受け入れられない部分を教義から切り捨てて次第に変化して行きました。その結果多少は大目に見られるようにはなりましたが、「公然の秘密」であっても表沙汰になればタダでは済みません。居住地域も肥前(平戸・大村・長崎・五島)・肥後(天草)にほぼ限定され、町や主要な村には滅多におらず、大半が辺鄙な地域の住民です。
 「/Magical」でも、呪法座から邪悪な存在と見なされなくなったために獲得できるCPは変わりません。

―肉体的特徴―

(特になし)

―精神的特徴―

「名誉重視/武芸者の名誉」(-10CP)
 武術を常に重視して、技を鍛える事に専念します。武術に差障りの無い限り家庭生活や趣味生活も許されますが、それすら認めない極端な人物も稀に存在します(そのようなキャラクターの場合、獲得できるCPは-15CPとなります)。武術に対する侮辱は決して許さず、決闘の作法は必ず守らなくてはなりません(とはいえ、しばしば「計略」と称して現代人からすると卑怯っぽい振舞いに出る事がありますが)。
 この特徴は、アレンジして学者や茶人などが修得する事も可能です。

「名誉重視/武家の名誉」(-10CP)
 「マーシャルアーツ」掲載の「武士道精神」に似ていますが、主人の命令を絶対視する必要はありません。あまりに理不尽な命令や、一方的に主人の一族・同僚・配下・領民に危害が及ぶような命令には、積極的に反抗する事が推奨されます。

「誓い/獣肉食禁止」(-2CP)
 この特徴を持つキャラクターは、陸生哺乳類全ての肉を摂取する事を禁止されます(鯨や鳥は構いません)。日本では、この特徴が無いキャラクターでも、貴族や武士の大半は家畜の肉を進んで食べようとはしません。
 全ての飲食規制の誓いは内容の重複するものを同時に取る事を禁止され、内容が重複しなくても合計が-15CPより大きくなる事は許されません。

「誓い/肉食禁止」(-5CP)
 この特徴を持つキャラクターは、魚を除く全ての動物性食品を摂取する事を禁止されます。

「誓い/飲酒禁止」(-5CP)
 この特徴を持つキャラクターは、アルコールを摂取する事を禁止されます。

「誓い/葷酒禁止」(-7CP)
 この特徴を持つキャラクターは、アルコールに加え、葷菜(葱、大蒜などの「精の付く野菜」)を摂取する事も禁止されます。なお、葷菜のみを禁止する「誓い」はありません。

「誓い/完全菜食」(-10CP)
 この特徴を持つキャラクターは、全ての動物性食品を摂取する事を禁止されます。

「誓い/五穀断ち」(-15CP)
 この特徴を持つキャラクターは、全ての動物性食品と穀物を摂取する事を禁止されます(これは「木食(もくじき)」と呼びます)。茶を除く全ての嗜好品も、通常は堅く遠ざけられます。


技能総覧

 「百鬼夜翔」の技能の一部と「マーシャルアーツ完訳版」のリアル世界用技能、および〈経穴〉〈砕打〉は、GMの許可により使用が可能です。マンガ技能は専用のキャンペーンでのみ使用が可能です。


医学系技能

運動系技能

〈ランニング〉(肉体/難) 生命力基準
 ルナル世界と同様に、移動力の上昇に従って「よけ」も上昇します。技能によって受けるボーナスの処理は以下の通りです。
・移動力ボーナス:通常通りの移動が可能な状態ならば、いかなる場合にも適用されます。何らかの能力により通常歩行より速い移動ができる場合は、〈ランニング〉のボーナスを足す→荷重のペナルティを引く→移動力に倍率を掛ける、という処理を行って下さい。
・「よけ」ボーナス:処理が煩雑になるのを避けるために、「よけ」が可能な状態ならばいかなる場合にも適用されます。たとえ騎乗していても、《べたべた》に足を取られていても、このボーナスは有効です。

〈荷重水泳〉(肉体/難) 技能無し値:なし、前提:〈水泳〉
 〈水泳〉と併用して、泳ぎ始める際に判定に成功すれば荷重による不利な修正を無視する事ができます。水に入る際に失敗しても、5分毎に再判定する事が可能です。判定は〈水泳〉技能の判定の前に予め行って下さい。

学術系技能

〈錬金術〉(精神/至難)
 日本で修得できるのは、中国系の煉丹術です。「/Historical」では霊薬を作る事はできませんし、古代の畿内以外で修得するのは大陸に渡らない限り不可能です。

〈神学〉(精神/難)及び〈哲学〉(精神/難)
 日本とその周辺では以下の種類が存在し、それぞれを別の技能として扱います(宗派の境を越えたニュートラルな「神学」のルールは、前近代では採用できません)。「ベーシック完訳版」に記された「知力を基準とした技能無し値」は、その思想に馴染みの深いキャラクターにしか存在しません。「自発的専門化」は禁止しますが、〈哲学/仏教/日本/新義真言宗〉や〈神学/道教/関帝信仰〉といったより狭い範囲なら可能です。
 ちなみに東アジアの場合、複数の教えを同時に信奉する事は決して変な事ではありません。ユーラシアの西方とは違い、複数の教義を「矛盾した物」ではなく「相互補完できる物」として見なすのが普通です。

〈神学/神道〉
 技能無し値:神学/沖縄信仰−3、神学/アイヌ信仰−5、哲学/仏教/日本−3、哲学/儒教/日本−3、神学/道教−10、神学/朝鮮固有信仰−12
 …日本(の本土)の神祇信仰に関する技能です。神官や巫女、国学者が持つ技能ですが、僧侶も普通は修得します。
〈神学/沖縄信仰〉
 技能無し値:神学/神道−3、哲学/仏教/日本−6、哲学/儒教/日本または中国−6、神学/道教−10、神学/朝鮮固有信仰−12
 …沖縄の神祇信仰に関する技能です(本土式の神社も一部存在し、〈神学/神道〉を適用します。仏教は本土の宗派に、儒教(儒学)は中国の学派に属します)。
〈神学/アイヌ信仰〉
 技能無し値:神学/神道−5、神学/北方民族の信仰−6
 …アイヌの神々への信仰に関する技能です。神道と共通する要素もありますが、北方の民族の影響も受けています。古代の蝦夷や南部・津軽アイヌの場合、神道からの技能無し値はもう少しペナルティが小さい(−3程度)でしょう。

〈哲学/仏教/日本〉
 技能無し値:哲学/仏教/朝鮮−3、哲学/仏教/中国−3、哲学/仏教/その他−7、神学/神道−3、神学/沖縄信仰−6、哲学/儒学/日本−3
 …天竺(インド)より伝来した思想と、それに付随する仏や守護神への信仰に関する技能です。僧侶が持つ技能ですが、神官も普通は修得します。
〈哲学/儒学/日本〉
 技能無し値:哲学/儒教/その他−3、神学/神道−3、哲学/仏教/日本−3
 …中国の社会規範を形作った思想「儒教」ですが、日本では神道や仏教に比べると重要度は落ち、一般には「信仰」とは見なされません。儒学者が持つ技能ですが、よほど他の教えを排斥する(-5〜15CPの「嫌な行動」)のでない限り他の教えも学びます。

〈神学/道教〉
 技能無し値:神学/神道−10、神学/朝鮮固有信仰−7、哲学/儒教/中国−3
 …中国の伝統信仰を集大成した思想です。日本では一般的な技能ではありませんが、ごく一部の渡来人(およびその子孫)や陰陽師が学んでいます。
〈神学/朝鮮固有信仰〉
 技能無し値:神学/神道−12、神学/道教−7、哲学/儒教/朝鮮−3
 …朝鮮半島における固有思想に関するものです。日本の神道とは違い、時代が下ると共に知識人の必須技能とは見なされなくなります。

〈哲学/仏教/中国〉
 技能無し値:哲学/仏教/日本−3、哲学/仏教/朝鮮−3、哲学/仏教/その他−7、神学/道教−3、哲学/儒教/中国−3
 …中国(「/Magical」では「大秦」と「大越」の総称ですが……)における仏教に関するものです。
〈哲学/仏教/朝鮮〉
 技能無し値:哲学/仏教/日本−3、哲学/仏教/中国−3、哲学/仏教/その他−7、神学/朝鮮固有信仰−3、哲学/儒教/朝鮮−3
 …朝鮮半島(時代によって国名は変わりますが……)における仏教に関するものです。日本の仏教とは違い、朝鮮王朝成立後は知識人の必須技能とは見なされません。
〈哲学/儒教/中国〉
 技能無し値:哲学/儒教/その他−3、神学/道教−3、哲学/仏教/中国−3
 …名前の通りの技能です(笑)。
〈哲学/儒教/朝鮮〉
 技能無し値:哲学/儒教/その他−3、神学/朝鮮固有信仰−3、哲学/仏教/朝鮮−3
 …言うまでもありません(笑)。

〈神学/キリスト教/カトリック〉
 技能無し値:神学/キリスト教/プロテスタント/種別−1、神学/キリスト教/その他の宗派−3、神学/イスラム教/種別−7、神学/ユダヤ教/種別−7
 …カトリックの信徒が持つ技能です。江戸時代に学ぼうとするならば、多大な危険を冒さなくてはならないでしょう。
〈神学/キリスト教/プロテスタント/種別〉
 技能無し値:神学/キリスト教/プロテスタント/他の宗派−1、神学/キリスト教/カトリック−1、神学/キリスト教/その他の宗派−3、神学/イスラム教/種別−7、神学/ユダヤ教/種別−7
 …プロテスタントの信徒が持つ技能で、宗派ごとに別々の技能として扱います。特異な宗派の場合他の宗派との技能無し値に更にペナルティが掛かりますが、近世までの日本にそのような信者が現れる事はまずありません。イングランド人はイングランド国教会、スコットランド人とオランダ人はカルヴァン派に属します。
〈神学/キリスト教/隠れキリシタン〉
 技能無し値:神学/キリスト教/カトリック−2、神学/キリスト教/その他の宗派−5、神学/神道−10
 …近世を通じて細々と存在した隠れキリシタンが持つ技能で、信徒以外が修得する事はまず不可能です。

技術系技能
 日本には様々な技術系技能(漆芸、螺鈿、彫金、ビードロ…)が存在しますが、特筆されない限り全て専門技能を参考にして自作して下さい。
 また日本では高度な技術を持つ者は敬意を払われ、技能レベル15以上の達人は同業者に限り反応に+1、技能レベル20以上の名匠は反応に+1(同業者には+2)されます(この反応修正は、基本的には累積しません)。GMの判断次第でこの修正を他の系統の技能に適用しても構いませんが、基本的に日本社会で賞賛される「技術」に関わる物に限定されます。名医や大数学者、笛の名人や優れた刀鍛治は敬意を払われますが、スリの頭領や毒使いは誰にも尊敬される事はありません。縄抜け名人や応急処置の達人も「技術」と見なされる事はありませんし、それ自体が反応修正に関わる技能(〈外交〉〈言いくるめ〉〈性的魅力〉〈裏社会〉などの交渉系技能)も論外です。

〈宝石屋〉
 日本では宝石は珍重されず、古代の翡翠や軟玉を除いてはほとんど使用されないので、実質的にこの技能は貴金属加工専門となっています。〈金工〉と呼んでいいでしょう。

芸術系技能
 芸術系技能に関しては、基本的に「ベーシック完訳版」の技能で最も近い物を適用するか、専門技能を参考にして自作するかします。伝統芸能に必要そうな技能を以下に挙げますので参考にして下さい(ちなみにこれら全てを1人で扱うわけではありません。役割分担に応じて必要な技能を重点的に所持して下さい)。
  能(猿楽・狂言)…〈演劇〉〈吟遊詩人〉〈楽器/種別〉〈神学/神道/日本〉〈哲学/仏教/日本〉
  茶道…〈茶道〉(精神/難、「百鬼」参照)、〈礼儀作法〉〈調理〉
  和歌・俳句…〈日本古文語〉〈文学〉〈作詞〉、その他〈神学/神道/日本〉〈哲学/仏教/日本〉〈心理学〉〈動植物知識〉〈歴史〉など様々な技能
  浄瑠璃…〈人形操作〉(専門技能)、〈吟遊詩人〉〈演劇〉〈楽器/種別〉
  歌舞伎…〈演劇〉〈軽業〉〈跳躍〉〈大工〉〈機械工/舞台装置〉

言語系技能
 「同一言語」の基準には、「書き言葉の共有」を最優先します。話し言葉が掛け離れていても、全く同じ文語を共有するなら「別種の言語」ではなく「同一言語の方言同士」です。
 そのため、「同一言語の方言同士」なら書き言葉の理解に不利な修正を基本的に受けません。「別種の言語」なら近い関係でも書き言葉の理解に不利な修正を受けます。

―「GURPS Nippon」の言語―
 文字で記される可能性がある言語は、*が言語名の後に付けられている物のみです。ただしその事は、当該言語の文字表記が格式ある物として受け入れられる事を必ずしも意味するわけではありません。朝鮮王国におけるハングルが官僚や学者に軽視され、公文書には完全に中国式の漢文を使い続けた事からも察する事ができるでしょう。
 PCや大半のNPCは、言語技能を母語として体得している場合、「出身地の口語」「最も威信のある地方・階層(中世の日本なら京都の官人や武家)の口語」「標準的な文語」を扱えます。言語技能を通常の技能のように修得している場合、「最も威信のある地方・階層の口語」「標準的な文語」を扱えます。もちろん、「読み書き」が不十分なキャラクターや威信的な口語方言に馴染んでいない田舎のキャラクターはその限りではありません。威信的な口語方言を話せない事は、「才能がない」の一種として扱っても構いません。

〈日本語〉*(精神/並) 技能無し値:琉球語−5 修得可能時期:全て
 日本の本土で使用される言語で、古い時代は〈倭国語〉と呼ばれました。日本語には数多くの方言が先史時代から存在し、お互いに−1〜−5修正で通用します。GMの判断により、弥生時代までは東日本と西日本で別の言葉を話していた事にしても構いません。

〈日本古文語〉*(精神/難) 技能無し値:日本語−2、琉球語−4 前提:読み書き 修得可能時期:平安時代後期〜
 平安時代中期に規範を取った文語です。日本語及び琉球語からの技能無し値が存在しますので、単に文章を書くだけなら改めて修得する必要はありません。

〈山言葉〉(精神/並) 技能無し値:日本語/北奥羽方言−3 前提:日本語 修得可能時期:鎌倉時代〜
 マタギが山の中だけで使う隠語の集まりで、かつての蝦夷語の単語の断片が見られます。マタギは別に異民族ではなく普通の猟師なので、日常生活では日本語を使います。他の地域の猟師や漁師も様々な忌み言葉を持っていますが、改めて技能として取るほどのものではありません。
 〈山言葉〉の技能レベルは、〈日本語(京都方言か江戸方言)−3〉か〈日本語/北奥羽方言〉を上回る事はありません。

〈琉球語〉*(精神/並) 技能無し値:日本語−5、古代先島語−8 修得可能時期:〜江戸時代
 奄美・(狭い意味での)沖縄・先島の各地で話される言語です。本土の日本語と類縁関係にあり、標準的な方言を理解できる者同士なら辛うじて意思疎通が可能……かもしれません。やはり内部には様々な方言が存在し、お互いに−1〜−5修正で通用します。明治以降は〈日本語〉の方言扱いとなりますが、文章理解に不利な修正を基本的に受けなくなります。

〈古代先島語〉(精神/並) 技能無し値:琉球語−8 修得可能時期:〜鎌倉時代
 沖縄本島と交流を持つ前の、宮古と八重山の言語です。琉球語とかなり異なる言語であり、互換性はほとんど存在しません。GMの判断により、〈琉球語〉との間に技能無し値を認めなくても構いません。

〈蝦夷語〉〈アイヌ語〉(精神/並) 修得可能時期:古墳時代〜
 蝦夷ヶ島(北海道)を中心として奥蝦夷(千島)・北蝦夷(唐太、樺太)の南寄り・奥州北端部に居住し、かつては東北北部まで文化圏に含んでいた蝦夷(後にはアイヌ)の言語です。日本語とは単語や発音形態で共通点がいくらかあるものの、相互に通用する事はできません。言うまでもありませんが、やはり厳密には方言により差が存在します。
 「/Historical」の場合、本州における時代に応じた通用範囲は以下の通りとします。
  〜平安時代初期:秋田県以北と大崎平野(仙台・多賀城の北)以北全域、及び南東北のごく一部の山間村落
  平安時代:上記に同じ、ただし南東北では完全消滅し、秋田・盛岡以南の平野部では通じない事も増加
  鎌倉時代:上記に同じ、ただし青森県以外では通じない事も増え、秋田・盛岡以南の平野部ではほぼ消滅
  室町時代:青森県内の一部と秋田県・岩手県の山間部の一部
  戦国時代〜江戸時代前期:青森県内のごく一部の村落

〈粛慎語〉〈ウィルタ語〉(精神/並) 修得可能時期:実質的には奈良時代〜
 樺太の中部〜北部、特に東寄りの地域に居住する民族の1つであるウィルタ(アイヌ語名オロッコ)が使用する言語です。アイヌと違い完全に北方系の外見と慣習を持つ事もあり、アイヌとの関係はあまり密接ではありません(完全に没交渉ではありませんが)。日本の記録に蝦夷より北方の民として名を残す粛慎(みしはせ、あしはせ。後述する靺鞨の祖先である「しゅくしん」とは別物)や、本土の鎌倉時代に前後して北海道のオホーツク海沿岸に居住していたオホーツク文化人も、このゲームでは便宜的にウィルタ語を話す事とします。

〈ニヴフ語〉(精神/並) 修得可能時期:実質的には奈良時代〜
 ウィルタと似た立場にある民族であるニヴフ(アイヌ語名ギリヤーク)が使用する言語です。あまり知られていませんが、これら2つの民族も現在の日本国内に居住しています。

〈イテリメン語〉(精神/並) 修得可能時期:実質的には室町時代〜
 カムチャツカ半島の民族であるイテリメンが使用する言語です。千島アイヌでもない限り、まず修得する事はないでしょう。

〈官話〉*(精神/並) 技能無し値:他の中国語−「官話をその言語の技能無し値として使う際の修正」 修得可能時期:縄文時代後期〜
 中国北方から長江を越えた南京や遥か南方の雲南までの広範囲で用いられる言語で、中国官僚の共通語にもなっています。官話内部にも方言差はあり、お互いに−1〜−5修正で通用します。
 「/Magical」では「大秦」の官僚共通語です。

〈中国古文語〉*(精神/難) 技能無し値:他の中国語−2、日本語−6、琉球語−5、高句麗語・韓語以降の朝鮮半島言語−5、ベトナム語−5 前提:読み書き 修得可能時期:縄文時代後期〜
 紀元前の文章語を元にした、中国語の文語です。表現を極力圧縮した表記用言語であるため、この言語を使って会話する事はできません。この技能を使えば筆談も可能ですが、判定にボーナスを得られる程度の短い文章にしないと誤解される危険が高くなります。
 「読み書き」ができても、ラテン文字によるクオックグー(国語)普及後のベトナム語使用者と漢字を学校教育で学んでいない韓国語使用者は、技能無し値を得る事ができません。

〈呉越語〉*(精神/並) 技能無し値:官話−6、他の中国語−5 修得可能時期:縄文時代後期〜
〈湘語〉*(精神/並) 技能無し値:官話−6、他の中国語−5 修得可能時期:縄文時代後期〜
〈ビン[門+虫]語〉*(精神/並) 技能無し値:官話−6、他の中国語−5 修得可能時期:縄文時代後期〜
〈粤語〉*(精神/並) 技能無し値:官話−7、他の中国語−5 修得可能時期:縄文時代後期〜
〈客家語〉*(精神/並) 技能無し値:官話−5、他の中国語−5 修得可能時期:縄文時代後期〜
 南方の地方で用いられる方言で、北方とは違い地域毎に極度に違う言葉を用いています(修正値は、英語版の「Swashbucklers」のドイツ語〜オランダ語間の−3、ドイツ語〜英語間の−7を参考にしています)。更にこれらの内部にも方言差があり、お互いに−1〜−5修正で通用します。
 「/Magical」の「大越」は、帝都が存在する会稽の〈呉越語〉を官僚共通語としています。文字は漢字を使いますが、楚の書体の系譜を引く、跳ねが強く飾りの多い書体です。

〈夫余語〉(精神/並) 技能無し値:高句麗語−2 修得可能時期:〜奈良時代
 現在の中国領東北地方に存在した牧畜民族・夫余の言語です。

〈靺鞨語〉(精神/並) 修得可能時期:〜鎌倉時代(以降は様々な民族に分岐するが、このルールでは女真以外はサポートしない)
 現在の中国領東北地方やロシア領沿海州付近に居住していた民族・靺鞨の言語で、部族ごとに様々な方言が存在します。渤海では高句麗語と共に使われました。粛慎とは類縁関係を持ちますが、互いの言語は技能無し値とならない事にします。

〈女真語〉〈満洲語〉*(精神/並) 修得可能時期:平安時代中期〜
 中国東北地方を原住地とする靺鞨の末裔で、「金」「清」を建国した狩猟採集民・女真(後には満洲人)の言語です。平安時代中期に北九州を襲撃した刀伊もこの民族の一派です。

〈高句麗語〉*(精神/並) 技能無し値:夫余語−2、韓語−4 修得可能時期:〜奈良時代
 中国東北地方南部〜朝鮮半島北部に存在した国・高句麗で使用された言語で、百済の王族や貴族も一部が使用します。〈高麗語〉と混同しないように注意して下さい。GMの判断により、技能無し値に「倭国語・日本語−8」を追加できます。

〈ワイ〔さんずい+歳〕狛語〉(精神/並) 修得可能時期:〜奈良時代
 朝鮮半島東部の民族により使われた言語です。後に高句麗に吸収されるため、面倒ならば〈高句麗語〉と一括しても構いません。

〈韓語〉*(精神/並) 技能無し値:高句麗語−4 修得可能時期:〜平安時代初期
 朝鮮半島の南側の3つの地域「馬韓」「辰韓」「弁韓」、そしてそこから発生した百済・新羅の2つの王国と加羅(伽耶)諸国で用いられた言語です。厳密には地域毎に(そして地域内でも)違いが存在するのですが、わずらわしさを避けるために一まとめにして扱って下さい。
 古代の日本でも、〈高句麗語〉共々渡来人系の村落で使える機会が存在するかもしれません。しかし移住が古い集落の場合、帰化して日本語しか通用しない方が普通です。

〈統一新羅語〉〈高麗語〉〈朝鮮語〉〈韓国語〉*(精神/並) 修得可能時期:奈良時代〜
 名前こそ異なるものの、全て朝鮮半島で用いられる(時代を度外視すれば同一の)言語です。一部の方言を除いて差は小さく、最大でも−3までしか修正を受けません。日本語とは発音体系や単語が甚だしく違い、文法が似ていますが相互通用は完全に不可能です。

〈州胡語〉〈耽羅語〉(精神/並) 修得可能時期:〜平安時代後期
 朝鮮半島の南西に浮かぶ済州島で、高麗に吸収される頃まで独自に使われた言語です。「韓語に類似の言語」として、−3程度の技能無し値を設定しても構いません。

〈契丹語〉*(精神/並) 修得可能時期:平安時代中期〜鎌倉時代前期
 遼を建国した牧畜民族・契丹の言語です。

〈モンゴル語〉*(精神/並) 修得可能時期:鎌倉時代前期〜
 旧大陸を横断する巨大帝国を築いた牧畜民族・モンゴル人の言語です。それ以前のモンゴル高原の言語は「GURPS Nippon」に関係ないので略しますが、モンゴル系とトルコ系が混在していました。

〈台湾原住民語/種別〉(精神/並) 修得可能時期:室町時代前期〜
 台湾のマレー系民族で、現在の台湾で「原住民」と正式に呼称される諸民族の言語です。平埔族・高山族の2つに大まかに分類されますが、その内部でも民族毎に言語が異なり、互いに通じない事もよくあります。

〈交趾語〉〈ベトナム語〉*(精神/並) 修得可能時期:実質的には奈良時代〜
 現在のベトナム北部(交趾、安南、東京)で使われ、大越(ベトナム)の南方拡張と共に使用範囲が広まった言語です。「/Magical」の「大越」でも南部で用いられます。

〈マレー語〉*(精神/並) 修得可能時期:実質的には奈良時代〜
 元はスマトラ島の東岸で使われていた言語で、移住と共にマレー半島にも広まりました。東南アジアの港湾都市では共通語として用いられ、現在はマレーシアとインドネシアで公用語として使われます(インドネシアでは〈インドネシア語〉と呼ばれ、互いに相違点もありますが)。

〈サンスクリット〉*(精神/難) 技能無し値:インドのインド・ヨーロッパ語族の言語−3、インドのその他の言語−5、哲学/仏教/上座仏教−5、哲学/仏教/大乗仏教−12(ネワール人は−5、チベット人は−7)、神学/ヒンドゥー教−5 前提:読み書き 修得可能時期:飛鳥時代〜
 インドの古語で、後の時代には信仰や哲学の分野で使われました。類似言語で共に仏典に使用された〈パーリ語〉も、便宜上同一技能で扱います。

その他の言語(精神/並〜難) 修得可能時期:様々
 地球には他にも無数の言語(ウイグル語、チベット語、チャンパ語、ジャワ語、ベンガル語、タミル語、ペルシア語、アラビア語、ポルトガル語、英語、オランダ語……)が存在します。プレイヤーは必要と思われる言語の詳細をGMと相談して、PCに修得させる事が可能です。

社会系技能

車輛系技能

趣味系技能

〈ゲーム/将棋〉(精神/易)
 このゲームは中国の「象棋」とは全く関係ないゲームで、駒の配置や動きは東南アジアの将棋の系譜を引いているようです。一般的なルールとしては中将棋(主に中世)と小将棋(主に近世)の2つが存在し、慣れない側のルールでいきなりゲームを行うと−4のペナルティを受けます。このペナルティは別のルールに慣れ親しむ事で軽減します。

戦闘系技能
 〈剣〉〈両手剣〉、〈斧・メイス〉〈両手斧・メイス〉のように片手用・両手用の技能が分かれている武器は、互いに−2したものを技能無し値とする事が可能です。

〈刀〉(肉体/並) 技能無し値:敏捷力−5、剣−2(片手)、両手剣−2(両手)
 日本で誕生した形式の刀を行使する技能です。詳しくは「マーシャルアーツ完訳版」を参照して下さい。

〈剣〉(肉体/並)・〈両手剣〉(肉体/並)
 日本では古代(平安時代初期まで)にのみ使用されます。それ以外の時代にこの技能を修得したいなら、朝鮮半島か中国に渡るしかありません。

〈槍〉(肉体/並)
 日本では古代以外は盾を併用しないため、「受け」のために〈杖〉も修得した方が良いでしょう。前提技能のルールに準じて、最低でも0.5CP消費すれば〈杖〉のレベル上昇に足りなくても〈槍−2〉で「受け」が可能な事にします。

〈盾〉(肉体/易)
 日本では平安時代以降、弓矢による射撃の邪魔になる手持ち式の盾の使用は廃れました。部分遮蔽用にも使えるラージシールドがそれ以降唯一存在する盾で、射撃戦や攻城戦で前衛が矢や銃弾から身をかばう場合にのみ使われ、接近戦では使われません。

〈格闘〉(肉体/易)
 「間に合わせの武器」(「ベーシック完訳版」P134参照)は、これ以外の技能では使えません。ダメージに+2される大型の「間に合わせの武器」で「受け」たり「受け」られたりした場合、基本的に「間に合わせの武器」が破損しますが使用者の手・腕にはダメージは及びません。

射撃・投擲武器技能
 日本では至近距離で射撃する事が多いため、射撃でも「百鬼夜翔」P256の「妖術でのフェイント」(技能レベルと「知力+感覚修正」で即決勝負)を使えるものとして構いません。

〈弩〉(肉体/易)
 日本では飛鳥時代〜平安時代前期にしか見られず、しかも軍団以外では修得できません。中国でも軍の主要装備として厳しい所持制限が存在した事も考えると、外国人でも持っている可能性は非常に低いでしょう。

〈黒色火薬銃〉(肉体/易) 知力10〜11で+1、12〜で+2
 鎌倉時代後期に襲来した元軍が使用し、室町時代の西日本でもごく稀に見られた手持ち式の火砲と、戦国時代の半ば以降に使用された火縄銃や燧石銃を使用するための技能です(歯輪銃はコストが高く実用化されていません)。日本では特定目標への狙撃が好まれたため、手元のぶれが大きい燧石銃は嫌われ本格的に導入されませんでした。なお銃器の使用は、武士には喜ばれこそすれ嫌悪されるような事はありません。例外は18世紀以降の、チャンバラと儀礼的な軍学に染められて実戦経験が頭から欠如した連中だけです。

〈銃器〉(肉体/易) 知力10〜11で+1、12〜で+2
 ヨーロッパではフランス革命頃、日本では幕末から使われる雷管式の銃器を扱う技能です。「ベーシック完訳版」には様々な銃器が載っていますが、基本的な物から性能の増減を行い価格を決めるオプションルールを自前で作るのも良いでしょう。なお実際の使用時には、半致傷より遠くの目標に向けて撃つ事はまずありません。

専門技能

 生活費を稼ぐための技能は、「百鬼夜翔」などの他サプリメントから採用する事が可能です。

超能力系技能

 基本的に存在しません。ただし〈精神防御〉は、魔法や妖術が存在する背景設定に限り使用が可能です。

盗賊系技能

〈忍び〉(肉体/並)
 接近して狩猟を行うにも、この技能は必須です。

〈毒物〉(精神/難)
 日本では毒物は嫌われており、戦争はもとより狩猟の際にも武器に毒を塗る事は忌み嫌われています(武器に毒を塗った場合、キャラクターへの反応が−4されます)。ただし蝦夷地のアイヌだけは例外で、ヒグマを倒す際にトリカブトを使います。

動物系技能

〈乗馬/種別〉(肉体/並)
 日本では軍馬は高価な貴重品であり(しかも「ベーシック完訳版」で想定している「軍馬」より小柄のものが普通!)、乗馬戦闘は一般的な物ではありません。戦争でも下馬するか、せいぜい機動力を活かしながら弓矢で射撃を行うくらいです。手持ち武器を馬上で、しかも両手で使用して命中判定に失敗した場合は敏捷力判定を行い、失敗すると落馬して2m転落した際のダメージを受けます。ファンブルすると頭から転落します。

〈御者/種別〉(精神/並)
 日本では家畜に引かせる車は発展せず、荷物は船に積むか牛馬に直接載せるか(この場合人間は徒歩)して運びます。例外は京都周辺(近世からは江戸周辺も)の牛車ですが、この場合も使用できる場所は非常に限定されるのでPCの修得には適しません。

魔術系技能

〈神秘学〉(精神/並)
 魔法の作用から魔物、超常現象に至るまで、あらゆる基礎的な魔法的知識の元となる技能です。「/Magical」ではこの技能は非常に重要ですが、より厳密さを求めたい場合には「パワーアップ」で追加された〈魔法理論〉を採用して下さい。

野外系技能

〈狩猟〉
 1つの技能で処理するには、かなり幅広い内容を持っています。獲物を捕獲するための〈生存/種別〉〈忍び〉〈偽装〉〈ネット〉〈投げ縄〉〈毒物〉〈槍投げ〉〈弓矢〉〈銃器〉、肉を取るための〈調理〉、解体用の〈動物学〉、革なめしや骨の彫刻に使う〈革細工〉〈彫刻〉、薬用部分を精製する〈医師〉などなどです。川や海で行う〈漁業〉に関しても同じように考えて下さい。

〈釣り〉(精神/易)
 大規模な漁業にも応用が可能ですが、漁法に応じて〈ネット〉〈槍〉〈槍投げ〉〈砲術/銛〉〈生存/島・海岸〉〈潜水〉〈毒物〉〈動物使役〉〈ボート〉〈モーターボート〉〈船乗り〉〈航法〉〈動植物知識〉〈動物学〉などなども修得して下さい。漁法に必要な技能を所持していないと、不足度に応じてGMが任意に定めるペナルティを受けるか操業が完全に不可能になります。


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