―ルナル・データファイル/追加信仰・氏族・流派―

 データファイル第1弾、双子の月の追加信仰と緑の月の追加氏族、そして追加の流派です。名前だけ存在するものや、かつての「コンプRPG」で名前が登場したものを主に取り上げました。

追加信仰
追加氏族
追加流派


追加信仰

◆ナウビィ◆…参考資料:ガープス・ルナル完全版

 ナウビィはリャノの協力神であり、渦と流体を司ります。ナウビィはこの2つが象徴する「不安定な存在」を司る神でもあり、「全てを押し流す存在」とも呼ばれます。このため信者は滅多に存在せず、稀にいる信者は海賊や密輸業者がほとんどです。このため一般人のほとんどはナウビィの存在自体を知らないか、水を司る銀の神であるリューシャーンと混同しているのが精々です。
 ナウビィは水の衣を纏った長い髪の乙女として描かれ、手には千切られた〈悪魔〉の首を掴んでいます。大きな渦としても表現される事が、リューシャーンとの混同を助長する事にも繋がっています。ナウビィの聖印は流れる渦を模したもの(日本で言う三つ巴に類似)であり、カルシファードの武戦士には勇猛さを愛して家紋に用いる家も見られます。
 ナウビィと対になる青の神は、炉と金属の神であるデルバイです。

A.本質
 環境の協力神。

B.司る側面
 渦と流体。

C.二次的に司る対象
 激流、水害、略奪、破壊、流出。

D.神殿の役割
 表立った神殿は存在しませんが、海賊の大半がナウビィを祭った祠を本拠地か旗艦に構えています。ナウビィ神殿は陸の犯罪者にとっての裏タマットや闇タマットと同じ役割を果たしており、海岸の洞窟や海上の孤島、時には船の内部で技能や呪文の伝授を密かに行います。神殿は信者なら誰でも迎えますが、内部で事を荒立てる事は堅く戒められています。
 紫の群島の一部では、海難を防ぐためにリャノ神殿付属の祠に捧げ物を行います。

E.戒律
 安定したものを不安定にせよ。
 不変の姿は偽り。絶えず変動する激しき動きこそが真実。
 全てを流し去れ。そして流れ去ったものを振り返るな。
 悪しき存在を破壊する事に全力を尽くせ。手加減は無用。

F.特徴
 ナウビィの信者は、「かんしゃく」「残忍」「自信過剰」「直情」「乱暴者」が大半を占めます。そして細かい事は気にせず、他人を押しのけて我が道を行くタイプが中心です。

G.特殊武器
★メイルストローム
 先端が鋭く突き出た渦巻のような形状をしている刺突用の片手・両手兼用の剣で、引き抜く際に肉体を引き裂いて激しい痛みを与えます。突き刺した場合に限りダメージによる「衝撃」を2倍として扱い、「我慢強さ」を持つ相手(大半の〈悪魔〉を含む)にも通常通りの衝撃を与えます(「痛みを感じない」相手には影響しません)。「痛覚過多」を持つ相手の場合、普通の武器と同じく2倍の衝撃を受ける上に「生命力±意思」判定に失敗すると即座に気絶します。
メイルストローム
刺し/突き+2/+3、長さ1・2、「衝撃」を2倍に計算、「/の前が片手、後が両手」
叩き/振り+1/+2、長さ1
600ムーナ、2.5kg、必要体力10

H.独自の技能
〈メイルストローム〉(肉体/難) 技能無し値:剣−2(片手のみ)、両手剣−2(両手のみ)
 メイルストロームを使いこなすための技能です。技能無し値で使用した場合、「衝撃」を倍増する能力は発揮できません。両手で持ち荷重が「軽荷」以下なら、「受け」が技能の2/3になります。
 この技能を持っていれば、普通の剣と両手剣も技能レベルに−2して用いる事が可能です。

〈呼吸法〉(精神/至難)
 ルナル世界では、この技能は限られた信仰でのみ修得できます。

〈荷重水泳〉(肉体/難) 技能無し値:なし、前提:〈水泳〉
 〈水泳〉と併用して、泳ぎ始める際に判定に成功すれば荷重による不利な修正を無視する事ができます。水に入る際に失敗しても、5分毎に再判定する事が可能です。判定は〈水泳〉技能の判定の前に予め行って下さい。

I.ボーナス技能
 格闘、船乗り、ボート、水泳、生存/島・海岸、造船、航法、指揮、裏社会、脅迫

J.呪文
★入信者の呪文:水探知、水浄化、水作成、水破壊、水変化、水面歩行、水噴射、氷剣、発火、空気浄化、鉱物探知、弱点看破、弱体化、粉砕
★神官の呪文:氷結武器、脱水、水中視覚、霧、雨傘、氷球、念動、浮揚、水泳、空気作成、水中呼吸、方向探知、追跡、毒見、腐敗、老朽化、土変化、変形
★高司祭の呪文:空気破壊、空中呼吸、聖水、肉体液化、分解、怪力、不安定化、激流噴射、沈没、高司祭共通呪文(見せかけ、応急修理、修理、鎧を除く)

K.呪文データ
《不安定化》 通常/持ち主の知力で抵抗 物体操作系
 この呪文を掛けられた手持ち武器はバランスが崩れ、余分に1ターン掛けないと準備状態になりません。本来バランスの取れている剣やナイフなどは1ターン、斧やメイスなどは2ターン、「振り」で使用したポールアームは3ターン費やして準備ができます。呪文の目標は「武器」ですので、予備の武器があれば持ち替える事で使用者は影響を免れます。
 メイルストロームは構造的に、この呪文の影響を受けないように作られています。
持続:1分
消費:4・2
準備:2秒
前提:《変形》

《激流噴射》 通常 水霊系
 《水噴射》の拡大版です。リャノの特殊呪文《轟音噴射》の扱いに準じて下さい。
持続:1秒
消費:2〜8(幅を広げると2倍)・同
準備:4秒
前提:《水噴射》

《沈没》 通常/知力で抵抗 移動系
 目標は水に対する浮力を奪われ、自動的に底まで沈みます。もちろん、水中で息ができなければ窒息します。目標は全ての〈水泳〉判定に自動的に失敗します。
 この呪文は月の波動をフルに使った通常の「特殊呪文」とは違うため、魔術師や邪術師にも類似の呪文が知られています。
持続:1分
消費:6・3
準備:3秒
前提:《水変化》《浮揚》

 …リャノの教えから外れるような「海の犯罪者」が属する信仰です。オリジナリティを入れたくて、「〈悪魔〉を殺す神」という要素を付け加えました。


◆ナーチャ・改◆…参考資料:ガープス・ルナル完全版

 そのままではいまいちな能力しかないナーチャ信者のデータを、それなりに強化したブースト版です。

A.本質
B.司る側面
C.二次的に司る対象
 以上は、「ルナル完全版」と同じです。

D.神殿の役割
 「ルナル完全版」と同じですが、ルークスと紫の群島の一部には聖堂が存在し、慰霊や葬儀(戦死者や行き倒れが中心)、医療(特に不治の病の軽減や末期療養)などを行います。聖堂は人里離れた場所にあるのが普通ですが、稀に聖堂の創設後に街や村ができて同居する事もあります。

E.戒律
 「ルナル完全版」と同じです。

F.特徴
 「感情察知」や「意志の強さ」、「誓い」はまだしも、「群集恐怖症」もしばしば見られます。慎み深く激しい感情には縁が遠いのか、「自信過剰」「かんしゃく」を持つ事はほとんどありません。ただしその反面、心の奥に「執念」や「嫉妬」を秘めている事もままあるのですが。

G.特殊武器
 特殊武器はありません。ナーチャの信者は杖、ナイフ、短剣など、威嚇的でない武器を好んで使います。

H.独自の技能
 「ルナル完全版」と同じです。

I.ボーナス技能
 神秘学、心理学、[外交、精神防御、嘘発見]
※[]内が追加分。

J.呪文
★入信者の呪文:敵感知、感情感知、恐怖、間抜け、眩惑、誘眠、光、持続光、闇、ぼやけ、体力賦与、生命力賦与、小治癒、死の幻影、霊魂感知、霊媒、死人使い、死人返し
★神官の呪文:隠匿、作音、沈黙、忘却、安眠、死人奪取、悪霊召喚、体力奪取、生命力奪取、精神捕獲、[闇操作、透明、静寂、恐慌、心神喪失、悪夢、大治癒]
★高司祭の呪文:人払い、降霊術、慰め、死人の癒し、死人の安眠、[透明看破、完全忘却、偽記憶]、高司祭共通呪文([狂戦士、発声、雷、拡声、音噴射を除く])
※[]内が追加分。

K.呪文データ
 「ルナル完全版」と同じです。

 …神官呪文に《大治癒》があるため、赤の月版サリカ信者として使える……かどうかは定かでありません。ボーナス技能に〈外交〉があるのは、人相手ではなく霊相手の交渉や説得を想定しています。


◆シュター◆…参考資料:コンプRPG

 シュターは数(実数)を司るガヤンの協力神であり、社会を支えるための統計や税も司ります。シュターの信者が携わる数字はあくまでも社会の管理のためであり、ペローマ信者が用いる学問のための数字とは意義が異なります。このためシュターの信者は非常に少なく、都市国家レベルの国では全員が顔見知りになれる程度しか存在しません。信者も全員が統治機構の仕事に携わるため、PCとなる機会は皆無に等しいでしょう。
 シュターの姿は地味な服を纏った中年の男として描かれ、手には物指しや秤、枡などを持ちます。聖印は多数の線を碁盤目状に交差させたものです。
 シュターと対になる赤の神は虚数と無限数を司る神であるベラームですが、信者は特に存在しません。

A.本質
 言葉の協力神。

B.司る側面
 数(実数)。

C.二次的に司る対象
 計算、統計、税、貨幣、徴収。

D.神殿の役割
 単独で存在する事はほとんどなく、ガヤンの大きな神殿の内部に併設されています。行政資料の作成や税の計算が主な仕事であり、一般人との関係はほとんどありません。対外的な作業はほとんどガヤン信者に任されます。紫の群島のシュター神殿は、鋳造したムーナ金貨の品質を特殊呪文《測定視覚》を用いて検査しています。

E.戒律
 数こそが社会を把握する手段であり、より良い社会を築く術でもある。
 細かい事をないがしろにするな。
 物事を統計した中に、個々を見ただけでは分からない真実が見えてくる。

F.特徴
 「計算力」は必携です。それ以外には「記憶力」「時間感覚」「数学能力」もよく見られますが、「内気」「狭量」「高慢」「ユーモア感覚の欠如」などの人付き合いの悪い性格も同時に見られます。しかし理性のタガが外れた「かんしゃく」「直情」などはまず存在しません。一般的に細かい事にこだわり過ぎて、大局を見る事ができない性格になりがちです。

G.特殊武器
 シュターには特殊武器は存在しません。

H.独自の技能
〈記憶術〉(精神/至難)
 サリカの同名の技能と同じ内容です。

〈統計学〉(精神/難) 技能無し値:知力−6、経済学−4、会計−4、管理−4
 様々なデータを元にして、数値的変動から秘められた事実を明らかにする技能です。データその物の信憑性を識別する事も可能です。

I.ボーナス技能
 経済学、数学、調査、法律、会計、管理、外交、嘘発見、偽造

J.呪文
★入信者の呪文:時計、時報、測定、方位計、光、持続光、敵感知、感情感知、嘘発見、説得、読心
★神官の呪文:視覚強化、聴覚強化、嗅覚強化、注意力強化、念動、従者、魔法の目、暗視、赤外線視覚、鷹目、思考転送、技能賦与、技能取得、言語賦与、言語取得
★高司祭の呪文:背中の目、知恵、闇視、透明看破、言語理解、文字理解、測定視覚、高司祭共通呪文

K.呪文データ
《測定視覚》 通常 知識系
 目に見える品物の全てを、《測定》を使ったかのように分析できます。見ただけでは情報は勝手には飛び込んで来ず、術者が意識的に情報を求めなくてはなりません。
持続:1分
消費:3・2
前提:《測定》

 …戦闘向きでないどころか冒険向きでもない信仰です。しかしたまには……そういう信仰もいいでしょう?


◇双面信仰:エサリア派◇

 紫の群島の南部にある(群島としては)大国、エサリア王国に伝わる宗派です。現在はエサリアの人間の7割、従属国のガルゴア自治国の人間の4割が信仰しており、紫の群島でも最大の教派であるルークス派との関係も安定しています。

平信者(0CP)
 何の特典も義務もない段階です。通常はPCとして使う事はありません。

入信者(9CP)
 双面信仰の入信者(や神官、高司祭)は、双方の神の教えを十分に理解し、相互対立する部分を止揚する必要があり、そのために必要CPが多くなっています。……具体的に言うと、通常通り双方の神の信者レベルを上げてから、重複する〈神学〉分のCPを差し引いているだけです。
 双面信仰の入信者は、双方の神の通常の入信者の得られる呪文、技能、〈神学〉技能無し値を獲得し、神への奉仕義務、神殿からの使命を負います。反応修正は、双面信仰の相手には通常通り、そうでない双子の月信者には通常のものから−1した値になります(特に敵対的な神殿からは、正負逆転させた数値から更に−1します!)。
 特殊技能や呪文を通常の双子の月の神殿や信者から教わりたい場合、反応判定で「普通」以上を出す必要があります。

神官(16CP)
 内容は入信者に準じます。

高司祭(24CP)
 内容は入信者に準じます。

戒律
 双面信仰の主な戒律は以下の通りです。

*ガヤン&シャストア
 言葉は力なり。
 厳然たる事実を見据え、そして内に潜む真実を見出せ。
 世界は舞台。法の加護の下で物語は綴られる。

*サリカ&アルリアナ
 人と人との絆は、何よりも尊いものである。
 留めるべき記憶とそうでない記憶を分別せよ。
 必要なら意見の対立を恐れるな。ただし不必要な意見の対立は単なる独りよがりでしかない。

*ペローマ&タマット
 直観は知識が裏付けとなる。
 行動しながら思考せよ。
 自分の行動の意義を常にわきまえ、そして最善の行動を選べ。

*ジェスタ&リャノ
 静寂を尊び、喧騒を尊べ。
 壁を守れ。ただし壁には門を作るのを忘れずに。
 あるべき環境をあるべきように。

*デルバイ&ナウビィ
 一見不安定であり続ける事も、それは一種の安定である。
 永遠は不断の更新と共にある。
 汝、移ろいゆく世の灯火たれ。

*ファウン&ナーチャ
 苦しみ彷徨う者に安らぎを与え、そして行くべき所を示せ。
 境界は越え行く所、そして途上で休息する所。踏み止まり逆走する場ではない。
 魂に休息を。


◇二柱信仰:ソディーネ派◇

 エサリアの近くにある古い小国、ソディーネ王国に伝わる宗派です。今では主に田舎に集中しており、王都では信者は全体の3割弱です。
 データ上の扱いは、双面信仰とほぼ同一になります。二柱信仰の組み合わせは、大神だけでも理論上は月ごとに4×(4−1)÷2=6通り、合計で12通りありますが、実際に見られるのは下にある8通りにほぼ限られます。ソディーネでは協力神を直接信仰対象にする事はありません。神殿はパンテオン(万神殿)方式になっており、ソディーネ社会(特に田舎で)のあらゆる面での中心となっています。

*ガヤン+サリカ
*ガヤン+ペローマ
*ガヤン+ジェスタ
*サリカ+ジェスタ

*シャストア+アルリアナ
*シャストア+タマット
*シャストア+リャノ
*アルリアナ+リャノ


追加氏族
※「ルナル完全版」に言及されている氏族の細かい説明は省きます。

◆フェルトレ◆

A.祖霊
 天空を飛ぶ鷲と、天に登る樹フェルトレ。

B.役割
 調停と統率。

C.特徴
 フェルトレは基本的に「誠実」で、「カリスマ」や「美声」の持ち主も多く見受けられます。強くリーダーシップを取るタイプが多い一方で、自分は一歩後ろに引いて潤滑剤となるタイプも存在します。

D.特殊武器
 フェルトレ氏族に特殊武器は存在しません。

E.独自の技能
〈記憶術〉(精神/至難)
 サリカの同名の技能と同じ物です。

〈総合森林学〉(精神/至難) 技能無し値:なし
 森の中に関するあらゆる知識の判定に使え、しかも〈博物学〉とは違い専門家同様の深い知識を得られます。しかし森の外では何の役にも立ちません。

F.ボーナス技能
 政治、外交、礼儀作法、管理、指揮、吟遊詩人、嘘発見、尋問、裏社会、情報分析、言語技能

G.呪文
★氏族レベル1呪文:敵感知、感情感知、嘘発見、読心、念動、浮揚、空気浄化、空気作成、空気変化、空中歩行、共通呪文
★氏族レベル2呪文:精神探査、思考転送、精神感応、視覚強化、鷹目、赤外線視覚、軟着陸、飛行、天候予測、風、嵐、電光、共通呪文
★氏族レベル3呪文:他者知覚、肉体支配、解呪、闇視、透明看破、高速飛行、瞬間移動、瞬間回避、他者移動、自己浮揚、精神結合、共通呪文

H.呪文データ
《自己浮揚》特殊 移動系
 自分にだけ掛けられる《浮揚》です。準備時間が短くて済む他に、持続中に術者が意識を失った場合も《軟着陸》と同じ速度でゆっくり地上へと降下します。この呪文を維持していても、他の呪文の維持に不利な修正を受ける事はありません。フェルトレの長老はこの呪文を用いて樹上の住まいと地上とを行き来します。
持続:1分
消費:1・1
前提:《浮揚》《軟着陸》

《精神結合》特殊(至難)/抵抗は自動 情報伝達系
 術者が直接接触した相手、もしくは間に他者を介在して接触した相手にのみ有効な《精神感応》です。密かに割り込んで盗み聞きする事はできず、接触している者を意図的に排除する事も不可能で、参加者全員は常に《精神結合》の環に入っている人物が誰か分かります。「フェルトレの環」では、長老達が輪になってこの呪文を用います。
持続:1分
消費:4・4、いくら人数が増えてもエネルギーは変わらない
準備:4秒
前提:素質1+《精神感応》

《樹霊覚醒》
 フェルトレの木は高さが50〜100mに達する巨大な樹木で、エルファの部族1つの領域に1本しかありません。動くフェルトレの木は凄まじい耐久力と打撃力を持ちますが、歩き回るだけで森を必然的に荒らしてしまうため、滅多に使われる事はないでしょう。
体力500〜1000、敏捷力12、知力3、生命力(消費エネルギーの4倍/HPは生命力の10倍)
移動力10、よけ6
受動防御4/防護点10
枝(12、叩き/20D、長さ1〜10)

《化身》
 フェルトレの化身する鷲は、全長が化身前の身長に近い巨大な鳥です。
体力9、敏捷力15、知力(化身前と同じ)、生命力12
移動力20、よけ10
受動防御1/防護点2
鉤爪(15、切り/1D、長さ格闘)


◆サリミナル◆

A.祖霊
 樹上を渡り歩くムササビと、動物に実を付けて移動するサリミナル。
 ※牙ムササビも「祖霊動物」の対象に入ります。森の危険な動物でも名高い牙ムササビに襲われる確率が低いというのは大きな利点でしょう。……GMが牙ムササビを出すなら。

B.役割
 追跡と偵察。

C.特徴
 「鋭敏感覚」の持ち主が多く見られます。役割はカアンルーバに似ていますが、他者との交渉とは縁が遠いせいか寡黙な性格の者も多数を占めます。「味覚・嗅覚障害」の者は存在しません。

D.特殊武器
★サリミナルの実
 厳密には「武器」ではありませんが、この項で説明を行います。サリミナルの実には細かい刺が生え、動物や人に付着して運ばれるため、氏族のエルファはしばしばこの実を追跡するべき対象に付着させて追跡します。秋に森の中で採取するならば無料ですが、氏族が魔法的手段により保存している物も1個1ムーナで譲ってもらえます(非常に小さいため、重さは無視して下さい)。実は氏族の者にのみ判別できる特有の匂いを放ち、1時間以内に追跡する場合には+3の修正を受けられます。また、この実を目標にして《方向探知》《追跡》を使用する場合も、呪文の技能レベルに+2の修正を受けます。
サリミナルの実
張り付き、抜撃12、正確さ0、最大射程「体力×1.5」

E.独自の技能
〈サリミナル投げ〉(肉体/易) 技能無し値:なし
 サリミナルの実を投げるための技能です。実は非常に小さいため、通常の〈投げ〉では飛距離を稼ぐ事ができません。

〈隠身〉(精神/並)
 カアンルーバの同名の技能と同じ物です。

〈滑空〉(肉体/並) 技能無し値:なし
 特殊な植物繊維を薄く丈夫に織り上げ魔法により強化した布で、ムササビのように滑空するための技能です。影タマットの〈蝙翔法〉(リプレイ青嵐の島編(下)参照)も参照して下さい。布は1枚1kgで、100ムーナ(相当の労働や物品)で入手できます。

F.ボーナス技能
 追跡、尾行、忍び、登攀、探索、偽装、隠匿

G.呪文
★氏族レベル1呪文:水探知、鉱物探知、方向探知、追跡、敵感知、感情感知、嘘発見、読心、共通呪文
★氏族レベル2呪文:魔法感知、霊気感知、隠匿看破、歴史、道案内、透明壁、感情隠し、思考転送、視覚強化、聴覚強化、嗅覚強化、鷹目、遠耳、共通呪文
★氏族レベル3呪文:古代史、水中視覚、氷中視覚、地中視覚、精神感応、注意力強化、背中の目、超嗅覚、共通呪文

H.呪文データ
《超嗅覚》特殊 精神操作系
 術者は妖力や「闇の賜りもの」の[超嗅覚](「ルナル完全版」P174参照)と同じ能力を得ます。この呪文の効果を得ている間は、サリミナルの実の匂いを嗅ぎ分ける判定には自動的にクリティカルします。
持続:1分
消費:2・1
前提:《嗅覚強化》

《樹霊覚醒》
 サリミナルは小さな樹木であり、カアンルーバのような戦闘向きの特殊能力もありません。
体力15、敏捷力11、知力3、生命力(消費エネルギーの4倍)
移動力3、よけ5
受動防御1/防護点1
枝(11、叩き/1D、長さ格闘・1)、サリミナルの実(15、ダメージなし、抜撃10、正確さ1、半致傷20、最大射程40)

《化身》
 サリミナルの化身するムササビは、体長1m前後のやや大きな生物です。特殊な能力を持っており、牙ムササビを自由に手なずける事が可能です!
体力9、敏捷力16、知力(化身前と同じ)、生命力12
移動力8(滑空16)、よけ8
受動防御1/防護点1
牙(切り/1D−1、長さ格闘)


◆カクタス◆

A.祖霊
 針でしるしを彫り込むハリネズミと、鋭い刺を持つサボテンの一種カクタス(人間名イレズミサボテン)。

B.役割
 刺青と認定。

C.特徴
 特に目立った特徴はありませんが、規則にやかましくなる傾向があります。

D.特殊武器
★パラライザー
 カクタスに生えている長い刺を、魔法的な手段で精製した物です(大陸の南寄りでは稀に、ヤマアラシの刺を使う事があります)。データは影タマットの「千本」(リプレイ青嵐の島編(下)参照)に準じますが、価格は1本100ムーナとなります。

E.独自の技能
〈パラライザー〉(肉体/難) 技能無し値:なし
 パラライザーを扱う技能です。手に持って使う際も投げて使う際も同じ技能を用います。

〈刺青〉(精神/並) 技能無し値:知力−5
 刺青を彫るための技術に関わる技能です。これはカクタス氏族のみの技能ではなく、ギャビットや一部の人間にも伝えられています。美しく彫れるかどうかの判定は、〈書道〉か〈絵画〉で行って下さい。

F.ボーナス技能
 化学、生化学、書道、絵画、応急処置、紋章学

G.呪文
★氏族レベル1呪文:光、色彩変化、発火、空気浄化、鉱物探知、水探知、弱点看破、弱体化、見せかけ、染色、共通呪文
★氏族レベル2呪文:粉砕、応急修理、修理、切れ味、物質強化、体力賦与、生命力賦与、小治癒、痒み、ひきつり、痛み、痛み止め、共通呪文
★氏族レベル3呪文:複写、目くらまし、口封じ、腕痺れ、麻痺、腕萎え、死の手、苦痛の刺、共通呪文

H.呪文データ

《苦痛の刺》通常/知力−2で抵抗 肉体操作系
 目標は、呪文を掛けられた際に術者に与えられた制約を破ろうとすると《痛み》の効果を連続して受け続けます。ただし、目標の生存を妨げるような制約や森を傷付ける事を強制するような制約は無効となります。
持続:1日
消費:8・4
準備:10秒
前提:《死の手》《読心》

《樹霊覚醒》
 動くカクタスは鋭い刺を持ち、恐るべき俊敏さで鎧の隙間を貫きます。
体力15、敏捷力14、知力3、生命力(消費エネルギーの4倍)
移動力6、よけ7
受動防御1/防護点1
長い針(19、刺し/1D−2、長さ格闘・1、鎧の隙間を狙う事が可能(−5修正、+1〜5失敗は普通に胴体に当たる))
体当たり(叩き/1D+2)

《化身》
 カクタスのハリネズミは、体長が化身前の身長の半分近くになります。
体力7、敏捷力14、知力(化身前と同じ)、生命力12
移動力6、よけ7
受動防御2/防護点2
牙(14、切り/1D−2、長さ格闘)
刺による反撃(「待機」状態のみ、1ヘクス以内から攻撃されるとカウンターで先手を取って「刺し/1D」点のダメージを与える)


追加流派

*カルシファード無刀武術
 カルシファード(の本島)に伝わる素手格闘術で、投極術や蹴打術の源流という説もありました(〈悪魔〉戦争時代にもこれらの使い手が確認されており1095年現在は否定された説ですが、俗説として広く流布しています)。かつては刀術と並んで広く使われた技だったのにもかかわらず、武戦士が刀術を磨き上げるのと同時期に急速に衰退しました。今の無刀武術は使い手の大半が武戦士の家の女性か双子の月の神官(信仰や性別問わず、特にフダラク系)、もしくは影タマットです。一部の封領(セイヨウやメジ等)では所民の修得は禁止されていますが、幕僚府直轄領を始めとする大半の地域では所民にも開放されています。技は剛柔共に兼ね備え、蹴りのみならず拳を使った技も見られます。昔の多数の流派は大半が断絶し、今は神殿が護身用に採用している統合流派の使い手がほとんどです。
 無刀武術の修得には、「特殊な背景」に5CP(所民の平信者は10CP)を費やさねばなりません。

〈空手〉
 【後ろ回し蹴り】
 【前蹴り】(=【キック】)
 【攻撃的受け】
 【手刀】
 【脛蹴り】
 【飛び蹴り】#
 【膝蹴り】
 【肘打ち】
 【回し蹴り】
 【飛翔蹴り】#
〈柔道〉
 【足払い】
 【腕/手首関節技】
〈空手〉or〈柔道〉
 【脚つかみ】
 【無刀取り】#
〈柔道〉or〈軽業〉、前提は〈柔道〉
 【受身】
〈呼吸法〉#
〈瞑想〉#
〈気合〉
〈強打〉
〈暗闇戦闘〉#
〈経穴〉
〈砕打〉
〈秘孔〉#
〈不動の構え〉#
#…一部の道場でのみ伝授

*リャノ暗殺格闘術
 かつて存在した異端信仰を奉じる信者達が、世界を混沌に返すために暗殺者の技を磨いた時に作り上げた技術です。現在は伝承者はほとんどいませんが、ごく一部のリャノ信者が極秘に伝承する事があります。
 修得にはリャノの入信者以上で、「特殊な背景」に5CPを消費する必要があります。

〈格闘〉
 【脚つかみ】
 【キック】
 【スレッジハンマー】
 【膝蹴り】
 【フェイント/格闘】
〈マンゴーシュ〉
 【逆腕訓練】
 【近接武器戦闘/マンゴーシュ】
 【フェイント/マンゴーシュ】
〈強靭精神〉
〈暗闇戦闘〉
〈経穴〉
〈催眠術〉
〈不可視〉


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