―Runal World Guide―

世界名称:ルナル

形状:表面には海と3つの大陸、1つの島。周囲を太陽と7つの月が回る(厳密に言うと、白き輪の月は常に天頂に静止している)。黒き歪みの月を除く6つの月は自分自身で発光。
 ※神話の大陸創造のくだりには「世界は平面」と解釈できるような文が書かれています(実際に縁まで行った人は知られていないようですが)。でも「地平線」「水平線」は存在するんですよねぇ(またもや、単なる言葉の綾かもしれませんが)。

社会水準:人間の場合、封建制だが幾分開放的な中世末期〜近世的な社会が中心。もっとも倫理的にはもう少し進んでいるし、官僚制国家や中央集権制巨大帝国も存在する。異種族は人間国家の外で独自の政体(=生態)を築いているが、一部は人間国家の内部に居住している。通信は基本的にはミュルーンの種族組織「伝令ギルド」に依存。

経済水準:一次産品の国家間取引は一般的であり、遠隔地との交易や大陸間航路も存在する。通貨は交易用基準通貨(リアドでは「ムーナ」)に基いて価値は統一されており、為替手形や保険金詐欺もある。

技術水準:現世の中世後期レベルだが、場合によっては逸脱する点も。生活水準自体はやや高め。
 ※〈多足のもの〉は一歩どころか数歩抜きん出て、魔法技術と科学技術を結合させたサーバント(労働用人造生命体)や〈組み合わされた頭脳〉を作り出しています。

魔法水準:一般に普及しているが、魔力の源をもたらす月の特質に応じた魔法しか使えない(この世界の7つの月は単なる天体ではなくて、強大な魔力を持つ存在の力の中心)。魔力を付与した物品は白き輪の月のウィザードと黒き歪みの月のソーサラーによる物がほとんどだが、一部例外も存在する。魔法使いは魔法への親和性を示した突然変異である魔術師(ウィザード)と「魔法の素質」の有無に関わらず月の魔法を学んだ魔法使い(マジック・ユーザー)に大別され、それとは別に黒の月の邪悪な魔法の使い手は、突然変異者なら邪術師(ソーサラー)と呼ばれ、通常の体質でも広い意味での「ソーサラー(邪術使い?)」とされる。
 ※双子の月(青の月・赤の月)と銀の月には「神」、緑の月には祖霊、白き輪の月と黒き歪みの月には精神エネルギー生命体の〈天使〉〈悪魔〉がいます。万色なる彷徨いの月には、どのような存在がいるかは定かでありません。

生息する種族:様々だが人間が最も多い。しかし知的種族のほとんどは、〈源人〉と呼ばれる変幻自在の強靭な肉体と高い魔力を持っていた太古の種族を共通の先祖とする。

次元的に繋がりを持つ世界:元素界(ルナルと平行して存在する異次元世界。銀の月と深い関わりを持つ世界だが、異貌の神の故郷である「星々の深淵の彼方」と勘違いしないように注意。元素獣はここから召喚される)、〈至高なる輝きの地〉(太陽の彼方。百万の世界に善と生命をもたらすと伝えられる)、〈絶対の闇なる邪悪の地〉(黒の月の彼方の〈悪魔〉の世界)、その他の様々な世界(外法使いが行使する外法鬼が存在する。空間的な特異点であるカルシファード以外での接触は難しい)、ユエル(銀の月の神の移住先として用意された新たな世界の種。詳しくは「ガープス・ユエル」を参照予定)

 ルナルの信仰
 ルナルの種族
 ルナルの地域


◇ルナルの信仰◇

 ルナルの信仰とは、世界を構成する魔力の〈波動〉の源である7つの月のいずれかに信仰を捧げ、月の司る力の恩恵を得る行動です。特にほとんどの知的種族の先祖である〈源人〉の子孫である〈源人の子ら〉の場合、変身に適した肉体に影響を及ぼして形態を固定する(=種族として確立させる)効果を及ぼしています。

 
〜双子の月(青の月・赤の月)〜

信仰対象:一つの事象の二つの面をそれぞれ司る双子の月の神々、ガヤンとシャストアを主神格とする八大神とその協力神(古い時代の神学では「従属神」)。
 ※実はルナルを作った〈源初の創造神〉も、世界を赤と青に象徴される2つに分類しています。この事は〈遥か人〉の伝承を受け継ぐ外法使いくらいしか知りませんが。
神名一覧:ガヤン…言葉の側面、法と契約を司る。信者は法を守る職、すなわち神殿の法の守護者や為政者、軍の士官、商人が多い。光や肉体能力に関わる呪文を授ける。
     サリカ…思い出の側面、記憶と信念を司る。人の結び付きと忘れる事なき昼夜の移り変わりを司るため、農民や狩人の信者が多い。風と思考に関わる呪文を授ける。
     ペローマ…知恵の側面、知識と理性を司る。学者や研究者に信仰され、破壊を強く戒める。知識を得たり破壊を防いだりする呪文を授ける。
     ジェスタ…環境の側面、静けさと境界線を司る。平和を維持する守備隊、物を鍛える職人、鍛える事を重視するドワーフに信者が多い。大地や物体に関わる呪文を授ける。
     シャストア…言葉の側面、物語と伝承を司る。語り部や役者、物語作者の信仰を受け、「存在」しないものの中から真実を汲み上げる。闇や幻に関わる呪文を授ける。
     アルリアナ…思い出の側面、気紛れと忘却を司る。留まらぬ風と季節に関わる遊牧民や気紛れな恋を求める若い女性に信仰される。風と心の惑いに関わる呪文を授ける。
     タマット…知恵の側面、直感と感情を司る。幸運を求める兵士(特に傭兵)、商人、賭博師、盗賊の信仰を受ける。目くらましや危険回避に関わる呪文を授ける。
     リャノ…環境の側面、ざわめきと流れを司る。流れ行く存在に繋がりの深い音楽家、船乗り、料理人、水道職員、商人、漁師が信仰する。音と水に関わる呪文を授ける。
     協力神…八大神のいずれかに属する神々。数を司るガヤンの協力神シュターや生死の境にある霊を司るリャノの協力神ナーチャなどが存在する。
位階制度:平信者/入信者(信者の1/5)/神官(信者の1/50〜1/100)/高司祭(信者の1/500)。神殿長は基本的に高司祭が、神殿内の部門の代表は神官以上が務める。個人的能力、特に魔法能力が高ければ若くても位階昇進を優遇される。位階が高いほど神殿での地位が高くなるが、この「地位」は神殿外の地位とリンクしていない。一般に、位階が高くなるほど生活上の拘束も厳しくなる。
 ※高司祭になるには、正式叙任以外に仮叙任(弟子を高司祭が個人的に得度させる。ルナル・サーガ第2部のエフィなど)があります。また高司祭であっても、若ければ神殿内で上位の役職に就いている訳ではありません。特に大都市(大陸最大のザノス=トルアは、高司祭の総人数が単純計算ですら1000人。グラダス最大のエグでは400人)ではその傾向が強いようです。
実生活における宗教的影響:信仰と職種にある程度の対応は見られるが、それから外れる例もまま見られる。社会的束縛は比較的緩いが、地域によっては例外あり。
信仰種族:人間
宗派:ルークス派(リアドの主流宗派)、紫の群島諸派(多くは普通の宗派だが、複数の神の同時信仰を認めるものもある)、トルアドネス派(青の月の信仰のみ、他の宗派には不寛容)、マーディール派(双子の神を1柱の双面神として信仰、他の宗派には不寛容)、その他の少数派や異端信仰。
 ※カルシファードの武戦士・武浪士・武豪士はガヤンとジェスタの入信者待遇を受けられますが、あくまでも形式的な物に過ぎないため異端信仰ではありません。

 
〜双子の月(青の月)〜

信仰対象:青の月の神々、特に主神格であるジェスタとその協力神。人間と違い、ジェスタ以外の大神も協力神扱い。
神名一覧:ジェスタ…鍛える事を重視するドワーフの守護者であり、総人口の約8割の信仰を受ける。ジェスタの協力神も信者のほとんど全てがドワーフ。
     ガヤン、サリカ、ペローマ…人間の信仰を参照。ただし教えられる技能が少し異なる。
     デルバイ…炉と金属を司るジェスタの協力神。新しい技術を切り開き不安定な存在を安定させる技術者の信仰を集め、大地と炎に関わる呪文を授ける。
     ファウン…生死の境界線を司るジェスタの協力神。信者は出産と葬儀に深く関わり、医術や死者の眠りの守護にも携わる。治癒と不死の怪物退治の呪文を授ける。
位階制度:双子の月の通常例に従う。
実生活における宗教的影響:双子の月の通常例に従う。ただしジェスタ信者が人口の大半を占め、古来のドワーフ思想と相まって社会に強い影響を与えている。
信仰種族:ドワーフ
宗派:特に差は無し。

 
〜緑の月〜

信仰対象:循環する生態系を象徴する、動物と植物の祖霊。1つの氏族は動物の祖霊1つと植物の祖霊1つを信仰し、植物の祖霊の名を冠せられる。
 ※動物の祖霊は哺乳類(豹、狼、鼠、ハリネズミ、鯨、ニェコヴァス)、爬虫類(蛇)、鳥類(梟、鷲)、魚類(鮫)、甲殻類(大シャコ)が確認されていますが、虫の祖霊はジャナストラのラルファにしか存在しません(カルシファードの〈遥か人〉は昆虫を祖霊としていましたが、関わりがあるかどうかは不明)。植物の祖霊は緑色植物に限らず、菌類(幻覚キノコ)も含まれます。
 ※動物の祖霊は大半が人間にも馴染みのある生物ですが、植物の祖霊はなぜか(笑)人間に馴染みのない生物が大半を占めるようです。
氏族名一覧:レスティリ…全体が治療効果を持つ樹木と「月へ死者を導く」と伝えられる豹を祖霊とする、医療と葬儀を行う氏族。
      プファイト…炸裂する実で周囲を薙ぎ払う樹木と狩猟者である狼を祖霊とする、戦いと狩りを行う氏族。海エルファではワイアール(食肉海藻。動物祖霊は鮫)が相当。
      ジャング…毒の塊である蔦と有毒の銀鱗大蛇デスパイソンを祖霊とする、処罰と禁忌を司る氏族。
      カアンルーバ…不可思議な示唆を与える幻覚茸と全てを見通す梟を祖霊とする、探索と情報操作の氏族。
      シグルリード…木々を渡る蔦と重みを担う乗用動物ニェコヴァスを祖霊とする、移動と伝達の氏族。
      フェルトレ…部族の中心となる巨木と天高く飛ぶ鷲を祖霊とする、長老と見習いしか属さない氏族。海エルファではルバナアス(巨大海藻。動物祖霊は鯨)が相当。
      その他の祖霊…植物を養うセローハマ/ハキリネズミ、住居を守るモルトゲ/コヤツクリネズミ、道具を作成するウェリガンテ、植物を採取するケルティカ、歌と踊りで伝承を伝えるナクセル、追跡と偵察のサリミナル/ムササビ、刺青のカクタス/ハリネズミなど。
      分氏族…元の氏族と近縁の祖霊を持つ氏族で、元の氏族の周囲で補助的な役割を果たす。武具を作るプファイトの分氏族や食肉を管理するジャングの分氏族など。
位階制度:〈弟・妹〉/〈兄・姉〉/〈導き手〉。位階はそのまま社会での役割の高さにリンクしており、氏族の長は〈導き手〉が務める。位階が高いほど生活上の拘束も緩くなる。
実生活における宗教的影響:信仰と社会制度・職種が完全に対応。例外は森の外の滞在者(はぐれ者を含む)だけ。
信仰種族:エルファ、海エルファ、ラルファ
宗派:エルファ達の一部では、永遠不動の古い「円環」に固執する保守派と循環しながら上昇する「螺旋」を奉じる改革派の間で抗争が生じている。海エルファは陸のエルファとは違い、「円環」を「球」と捉えている。

 
〜銀の月〜

信仰対象:元素の力を司る〈異貌の神〉。地水火風の四大元素に関わる4グループに大きく分類されるが、存在のありようも神毎に大きく異なる。
神名一覧:サシュリカ…虚空を渡るエネルギーを司る風の元素神の長で、歪んだ骨を継ぎ合わせたような姿をしている。「千の翼の鳥」と呼ばれるが、鳥にはほとんど似ていない。
     グラグドリア…全てを破壊(そして再生)する熱エネルギーを司る火の元素神の長で、絡まりボール状になった隙間から高温の炎を吹き上げる蛇として表現される。
     バガラガ…あらゆる物を埋める大地を司る地の元素神の長で、宝石を組み合わせた殻の腹から鋏を持つ無数の触手を生やした姿を取る。「蟹と蝦蟇蛙のハーフ」とも。
     リューシャーン…浸し、溶かし、押し潰す力を司る水の元素神の長で、巨大な渦として存在している。
     〈一千の瞳の小山〉…スティニアの地下に存在する地の元素神。ニフトールを変異させた根源でもある。
     〈のたうち焼き尽くすもの〉…未踏砂漠周縁に住む爬虫人の一部族が崇めていた火の元素神。〈星を降らせる柱〉の力を得た元素獣や〈多足のもの〉の巨大機械に倒される。
     〈星を降らせる柱〉…〈のたうち焼き尽くすもの〉と仲が悪い、近隣部族が崇める火の元素神。
     〈黒き炎の轟き〉…カルシファードのヒガン山に眠っていた元素神。実体化した「夢」が〈大撃龍ズボウグ〉の「怨念」と共に暴れ回った事がある。
     〈光を越える千の水晶〉…バドッカに出現した風の元素神の1柱。全長数百メルーの水晶のウニのような形をしており、内部を流れる光を集束して「凄いびーむ」を発射する。
     その他の神々…銀の月には無数の〈異貌の神〉が存在し、存在のありかたや力の階梯は千差万別である。
位階制度:定かではない。翼人では「まじない師/風の呼び手」、爬虫人では亀人が神官の役割を持つ。翼人には「僧正」という位階もあるらしいが詳細は不明。
実生活における宗教的影響:一般的に強い。特に爬虫人は部族毎に1つの神を崇め、完全に統制されている。他の種族も眠れる小神の間近に居住している事がある。
信仰種族:翼人、爬虫人(蜥蜴人(、カメレオン人)、亀人(、カミツキガメ人)、蛇人(、毒蛇人)、鰐人、恐竜人、男性爬虫人、飛行爬虫人、水棲爬虫人、「人間やドワーフとほとんど変わらない」爬虫人)、〈多足のもの〉、〈姿なきグルグドゥ〉(沼沢種、海洋種)、その他の奇怪な種族
宗派:四大元素別に分かれ、更に崇拝する神により分かれる。実質的にはほぼ部族やそれに類する集団別。

 
〜緑の月と銀の月〜

信仰対象:祖霊と〈異貌の神〉。祖霊は集団として、〈異貌の神〉は1つの元素の神々を集団として崇拝。基本的に「円環」と元素の繋がりを追求するエルファから分離したもの。
位階制度:存在しない。
実生活における宗教的影響:生活サイクルまで教えに従うケラーグを除いて、あまり影響は強くない。
信仰種族:ケラーグ、オレアノイ(バジャノイ)、ビジュラ、ボック(ノーム)
 ※括弧の中はリアド大陸本土やグラダス半島での名称。
宗派:各種族毎に分かれる。

 
〜彷徨いの月〜

信仰対象:強大な力を秘め、運命すら捻じ曲げるという月そのもの。
位階制度:無し。
実生活における宗教的影響:無いも同然。しかし彷徨いの月の軌道の如く気ままに生きているのは、ある意味全身で崇める月を体現しているとも言えるかもしれない(笑)。
信仰種族:ミュルーン(通常種、梟族、ラグアツ・ミュルーン等)、フェリア(通常種、セルティック・フェリア、ライバラー・フェリア、クティクティ・フェリア等)、シャロッツ(シャロッツ・フォーン、シャロッツ・ケストレル)、ギャビット(ギャビット・ラー、ギャビット・ビー)、ディワン(通常種、ラプゲシュ・ディワン、ヒューワ・ディワン等)、マーマン、ウーティ、ニュール(各種)、アーハンの蟻人、その他の少数種族
宗派:特に差は無し。

 
〜白き輪の月〜

信仰対象:理念的には〈源初の神〉だが、ウィザードは〈天使〉と契約を結び巨人は月そのものを崇拝する。
位階制度:無し。ウィザードには師弟関係があるが、魔術師団でも1人の弟子の面倒を見るのは1人の師匠だけ。
実生活における宗教的影響:あまり無いが、現世に対する超越的視点はある程度共通。
信仰種族:ウィザード、巨人、シェイパー
宗派:特に差は無し。

 
〜黒き歪みの月〜

信仰対象:〈悪魔〉の統率者である八魔元帥と三魔獣王。更に上位に存在する〈悪魔〉皇帝は対象とならない。
魔元帥一覧:ヌラチャク…第八師団の魔元帥。腐敗と汚濁、疫病を司る。ソーサラーの肉体は腐敗して病毒を受け付けなくなる。
      ガルダ…第七師団の魔元帥。殺害(特に理由の無い殺害)と苦痛を司る。暗殺者や闇の傭兵、サディスト集団が信奉する。ソーサラーは牙や鉤爪、体毛や鱗を得る。
      ザンガーニ…第六師団の魔元帥。肉欲と異常な性的欲望を司る。ソーサラーは非常に美しい肉体と異様な体色を持つ。
      トルトカ…第五師団の魔元帥。ありとあらゆる過剰な欲望を司る。ソーサラーは干からびたように痩せ細り、翼や嘴を得る事もある。
      テクラ…第四師団の魔元帥。妬みや憎しみを司る。ソーサラーは昆虫や節足動物に似てきて、鎧のような殻に覆われる。
      ハーディリータ…第三師団の魔元帥。ありとあらゆる嘘と偽り、幻により他者を傷付ける行為を司る。ソーサラーは特異な容貌や身体縮小、ぼやける能力を手に入れる。
      ゾーンネル…第二師団の魔元帥。死への恐怖と停滞、退化を司る。ソーサラーは死者のように変化して行く。
      シファール…第一師団の魔元帥。特定の感情には拘らず邪悪な者に力を与える。ソーサラーは通常の物質組成を越えた様々な姿に変化する。
 ※各大陸の魔獣王はそれぞれ、リアドの水の魔獣王ネラウス、マーディールの地の魔獣王モーデウス、ジャナストラの空の魔獣王サラトゥス。いずれも現在は封印されている。
位階制度:魔元帥を崇める〈悪魔〉教団では外陣/内陣/首領。魔獣王を崇める黒の月の種族では邪術師が統率を取る単純な形態。
実生活における宗教的影響:全ての死と破滅を求める思考に完全に支配されている。他の種族との共存の余地は少しも存在しない。
信仰種族:ゴブリン(大頭鬼)、オーク(豚鼻鬼)、ホブゴブリン(武頼鬼)、オーガー(大牙鬼)、トロール(美王鬼)、ゲルーシャ、シェクラシュ、シルキー(海褸鬼)、その他の怪物
 ※括弧の中はカルシファードでの名称。
宗派:魔元帥、魔獣王別に分類される。利害次第で協力も敵対もあり得る。特に魔獣王同士は仲が悪い。

 
〜〈龍〉信仰〜

信仰対象:ルナル最強の生命体、〈龍〉。具体的にどの〈龍〉を崇めるとかいう事はあまり聞かない。
位階制度:無し。
実生活における宗教的影響:「力を鍛える」という点を除くと特に見られない。
信仰種族:ドワーフのごく一部
宗派:特に無し。
※〈龍〉信仰は、肉体に変容を起こしたり力を授けたりする事はありません。
※基本的なルナルのプレイでは使用できませんが、「パワーアップ/武侠」をアレンジして功夫ポイントを使う事が可能です。

 
〜寺院信仰〜

信仰対象:銀の月の神々や虫の祖霊。
位階制度:行僧という聖職者が存在する。最高位は大司教。
実生活における宗教的影響:寺院がフダラクにしか残っておらず、事実上影響は無いも同然。
信仰種族:人間、それもカルシファードのごく一部。
宗派:特に無し。
※寺院信仰は、変異をもたらすほど強い信仰ではありません。

 
〜〈源人〉崇拝〜

 非常にマイナーな秘密信仰。ディワン社会で隠れて行われた〈渦巻き立ち上るもの〉へのもの以外には知られていない。
※やはりこれも、変異をもたらすほど強い信仰ではありません。

 
〜魔神崇拝〜

 銀の月の小神や強大なソーサラーが〈悪魔〉と合体している魔神への崇拝(魔神は大半は封印されているが、封印されていないものも存在する。その多く、特に封印されているものは邪悪だが、封印されていないものは中立的な存在が多い)。以前のコンプRPGによると、稀に祠も存在するらしい。

 
〜サンダミオン崇拝〜

 双子の月の異端の一種。双面を持つ神に変じたサンディとミオン(=サンダミオン)の神としての再臨を望む教団で、人造の〈月に至る子〉の資格者の片割れ、〈教主〉ルナリスの下に集結していたが、ルナリスの敗北により崩壊する。

 
〜信仰組織のまとめ〜

*双子の月の信仰組織*

 信奉する神ごとに存在する神殿組織を中心とする。青の月やリャノの神殿は社会運営に深く関わっているが、ルークスやパベールのような例外を除いて直接統治を行う事はない。例外的にガヤン神殿は、警察権と司法権をほとんどの国家から委ねられており、政治組織が弱体な地域では行政にまで関与している。異端者の教団組織は通常は潜伏しており、社会に関わる事はまずない。

〈施設と組織上の位置〉
 大神殿…広域範囲の神殿組織の中心。各国の首都かその近辺に存在する事が多い。聖地ルークスの神殿の傘下ではないが、魔法の品の流通の関係でリアドのほぼ全域に支配力が及んでいる。
 神殿(テンプル)…街レベル(サリカの場合は村レベルでも)の神殿組織の中心。高司祭(小さければ神官)が長を務めており、その下で信者が社会的な職務を果たしている。修行を積むための修道院のような神殿(多くは街を離れた場所にある)も存在するが、その数は多くない。
 分神殿…主に村レベル(信者が多くない神は街レベルでも)の神殿組織の中心で、近隣の神殿に属している。人口が万単位の大きな街では地区毎に存在する。
 祠…通常は、信者が祈りを捧げるだけの場所。稀に管理役が常駐している事もある。
 聖堂…人々が寄り集う場所ではなく、修行や〈波動〉の中継のために存在する場所。信者は常駐していないかいても少数。

〈神殿組織の構造〉
 神殿長…神殿を統率する代表者で、大抵は高司祭。高齢者の場合は補佐役がいる事もある。
 部署の長…同一の役割を果たす信者達をまとめて指揮・管理する。神官か、大きな神殿なら高司祭。
 部署内のグループの責任者…必ずいるわけではないが、大きな神殿の大きな部署にはしばしば見られる。バドッカ左目地区ガヤン分神殿警邏部の輪の日班〜青の日班など。
 部署の構成員…一般の神殿勤めの信者。入信者から高司祭までランクは様々。
 神殿勤めでない信者…入信者の9割、神官の半分、高司祭のごく一部は神殿の外で仕事を持っているが、人手が必要な場合は召集される事がある。

〈神殿内の部署名:代表者の名称〉
 ガヤン…〜部:〜長 (例…警邏部:警邏長)
 サリカ…〜社:〜の司 (例…教導社:教えの司)
 ペローマ…〜門:〜長 (例…医療門:医療長)
 ジェスタ…〜部:〜長 (例…技術部:技術長)
 シャストア…不明
 アルリアナ…〜部:〜の束ね (例…施療部:癒しの束ね)
 タマット…〜部:〜の束ね (例…賭博部:賭けの束ね)
 リャノ…〜社:〜の司 (例…船舶社:船の司)
 (この部分はガープス・ルナル文庫版より、和語の役職名に付く職種を和語にしたのは筆者の独断)

*緑の月の信仰組織*

 部族…生活組織であると同時に信仰組織。部族長(=フェルトレ氏族長)が中心となる。
 氏族…全てのエルファが属し、職能により部族の機能を支えるもの。氏族長(〈導き手〉の長老格)が中心となり、更に内部で〈兄〉〈姉〉が小さな集団を個別に率いる事がある。
 ※海エルファやラルファも、氏族名が違うくらいで組織はほぼ類似。

*銀の月の信仰組織*

 生活組織とは別個に存在せず、翼人は「呪い師」「風の呼び手」、爬虫人は亀人が神官に相当する役割を果たす。翼人で「僧正」なる二つ名を持つ者がいるが、正式の位階かどうかは不明。

*白の月の信仰組織*

 巨人は不明だが、ウィザードは教団(魔術師団)を構成する事がある(厳密には「信仰組織」ではないが)。教団の内部は師匠・弟子関係が寄り集まっているにすぎず、厳密な組織制度とは縁遠い(例:ピール)。リアドのウィザードは人間の領域に住んでいる者が多いが、ジャナストラのウィザードは大半が「四法山」に引き籠っている。

*黒の月の信仰組織*

 しばしばソーサラーが部族を統率するゴブリンを例外として、他の種族にはあまり大きな組織性は見られない。人間などの〈悪魔〉崇拝者の〈悪魔〉教団(カルト)は下を参照。

〈〈悪魔〉教団の構造〉
 首領…通常はソーサラー。複数存在する事もあるが、大抵は序列も定めている。
 内陣…首領直属の構成員。邪術を使いこなし、通常は「魔法の素質」の持ち主。
 外陣…首領に直属せず、内陣を通じて指令を受ける構成員。邪術は大した事はないが、金持ちや権力者である事も多い。
 (この部分はガープス・ルナル・モンスターより)

*〈龍〉信仰の信仰組織*

 〈龍〉院(〈龍〉寺院)…「投破術」「蹴撃術」を修行する場所で、人里離れた場所に存在する。格闘術を鍛える以外はほとんど何もしない。
 (「マーシャルアーツ」完訳版では伝説の彼方に封印された(笑)が、「パワーアップ」で復活を遂げた)

*〈遥か人〉の信仰組織*

 神殿…他の地方の神殿と同じだが、細部が微妙に違う事も多い。
 寺院…緑の月の虫の祖霊や銀の月に祈りを捧げる所だったが、侯国成立後は廃れてフダラクにしか残らない。フダラクの寺院の最高位は大司教と呼ばれる。


◇ルナルの種族◇

 種族は信仰する月に応じてその姿を変え、世代を重ねるに従って種族としての特徴を強めていきます。彷徨いの月の種族の場合、万色のうちのどの色に共感するかで姿が分かれて行きます。


〜白の月の種族〜

ウィザード(魔術師)

身体形状:他の種族に準じるが、色素が乏しく痩せている。一部の個体はより激しい変容を示す。
支配領域:特に無し
使用言語:居住地域の人間の言語(ウィザードの大半が人間出身のため)。古代神聖語は魔術関係に用いる。
社会形態:魔術の師弟関係で結び付きを持つ。研究や自衛のために魔術師団を構成する事も多い。魔法の品物の作成や呪文のサービスで生計を立てる事もある。
家族制度:師弟の集まりが家族に相当する。元の種族に準じて結婚する事はあるが、通常は生殖能力を備えない。
一般的性向:魔術に対する探求心が強い。多かれ少なかれ浮世離れする傾向がある。
長所:知性と魔力に優れ敏捷性も高い。魔術には他の月の魔法のような修得制限は存在しない。
短所:生命力が虚弱。〈天使〉を封印した魔術具がないと魔術を普通に使えない。カルシファードでは特別扱いされ、敬して遠ざけられる。
命名法則:「通り名(師匠が決め、法則は特に無いが魔術・伝承関係が好まれる)」1つだけ。魔術名(〈天使〉との契約に使われる)も持つが、普段の生活には決して使われない。カルシファードでは「通り名+号」で呼ばれる。

 
巨人

身体形状:非常に巨大な人間。身長は10〜100m。
支配領域:様々だが、他の〈源人の子ら〉から離れた場所。特にジャナストラの雲の原ドウラか世界創世の島。
使用言語:古代神聖語
社会形態:不明だが、少なくとも大集団は作らない。産業があるかは不明。
家族制度:?
一般的性向:種族毎にバラバラ。特に知性は甚だしい格差が存在する。
長所:非常に大きな体格。知性に恵まれた種族は魔法を使用。
 ※魔法の力の源は不明ですが、ソーサラーでない黒の月種族と同様に、恐らくは何らかの形で白の月の波動を用いているはずです。
短所:大きすぎる体格。
命名法則:?


〜彷徨いの月の種族〜

ミュルーン

身体形状:人間より小柄で脚が頑丈な鳥。翼には3本ずつ指がある。
支配領域:草原地帯。リアドではゼクスが中心。ラグアツはクールヘンレントの南岸に居住。
使用言語:ミュルーン語
 ※リアドの彷徨いの月の種族の言語は、互いにかなり通用可能。
社会形態:繁殖・営巣を除いてはばらばらで放浪する。ただし人間社会では伝令ギルドを構成しており、ラグアツは部族毎にまとまって定住する。昔は狩猟採取で暮らしていたが、今は伝令が一般的で、ラグアツは養殖漁業が普及している。
家族制度:繁殖期から巣立ちまで片親+子供達のグループを作る。ラグアツは一生分かれずに家族で暮らす。ちなみに爬虫人やディワンと同じく卵生。
一般的性向:陽気でお喋り。どこか抜けていて人が良いが、「銭」には異様に執着する。
長所:敏捷で飛行も可能*。視力は非常に鋭い*。脚力に優れる*。体が小さいので鎧も軽い。[天候操作]能力を持つ。
短所:体力に欠ける。鳥目(逆に梟族は昼に目がくらむ)*。キラキラした物への執着が激しい。成長は速いが老化も速い。
 …*はラグアツには適用されない。代わりにラグアツは泳ぎが上手で寒さにも強く、動物を暴走させる技術を持つ。
命名法則:「巣名(親が付ける。短く促音を多用)+走り名(巣立ちの際に自分で付ける。身体的特徴などに由来)」。

 
フェリア

身体形状:虫の羽(通常は蜂か蜻蛉、甲虫や鈴虫や蝶などもある)を持つ小柄な人。耳の代わりに触角を持つ。
支配領域:森林
使用言語:フェリア語
社会形態:村(十数人〜数十人)を作って定住。普通は小さな家を作るが、セルティックだけは地底の洞窟に住む。主産業は採取、養蜂、養蚕などで、ライバラーは芸人が多い。
家族制度:人間と同じく結婚を行う。
一般的性向:陽気でお祭り好きで、歌や踊りを好む。他人の事情に無断で踏み込む事を無作法と見なす。戦闘時はかなり獰猛。
長所:敏捷で飛行も可能(ライバラーを除く)。体が小さく狭い所にも侵入可能。[心の声]を使う。セルティックは頑丈な殻を持つ。クティクティは[癒しの手]も使える。
短所:体が小さすぎて非力な上に虚弱(セルティックを除く)。武具が高価。セルティックは極度に気が荒い。クティクティは生命維持に特殊な蜜を必要。
命名法則:「個人名+姓」。姓は異性の親の物を用いる(父→娘、母→息子)。クティクティは「個人名+集落名+姓」。全て短くて簡潔。

 
ギャビット

身体形状:動物の体と人間の上半身。家系や自分の来歴を示した刺青が一般的。
支配領域:草原(ラー)、森林(ビー)。ジャナストラの密林に多数存在。
使用言語:ギャビット語
社会形態:部族(十数人〜数百人)単位で移動。狩猟採取で生計を立てているが、技術はあまり発達していない。
家族制度:結婚はするが、亜種の男女比に応じた形態を取る。ラーは一夫多妻、ビーは多夫一妻。
一般的性向:勇敢で気性が荒い。思考は単純で、「力こそ全て」という風潮も見られる。
長所:体力に恵まれ生命力も豊富。蹴りが強力。
短所:技術水準が低い。金銭的に貧困。知性も一般的に劣る。特殊能力である[叫び]の使い勝手が悪い。専用の鎧が高価な上に重い。
命名法則:「“字(あざな)”+個人名」。男性は「〜アン」「〜オン」、女性は「〜ネス」「〜ヌス」が多い。

 
シャロッツ

身体形状:人間の子供に類似。脚は鹿や馬に似ており、フォーンは角、ケストレルは第三の目を額に持つ。
支配領域:草原。リアドの中ではゼクスの草原に、外ではジャナストラの密林に多数存在。
使用言語:シャロッツ語
社会形態:家族(最大数十人)単位で横穴式住居を作り、ある程度大きくなったら夫婦単位で分家。農耕(高級嗜好品も含む)と狩猟が中心だが、人間社会で盗賊、道化、毒見役、賭博師として暮らす者もいる。
家族制度:人間と同じく結婚を行う。
一般的性向:好奇心旺盛で悪戯好き。美味しい食事とゲームも好む。
長所:すばしこく感覚も鋭い。脚力が強い。身体も丈夫。毒が効かない。フォーンは[見えない腕]を、ケストレルは[虹の輝き]を用いる。
短所:腕力が無い。悪戯が異種族から嫌われる。好奇心が身を滅ぼす事も。フォーンの[見えない腕]は疲労が激しく使い辛い。
命名法則:「個人名+生まれた洞窟名」。ゲームに名前を使うため、ややこしく言いにくい個人名(ココンコット、ククロポーン、レザベラバリス等)や洞窟名(ドロンドルズ、エングラバンラ、カタングリューク等)も多い。

 
ディワン

身体形状:魚や蛙に似た頭と鱗に覆われた身体。鰭や水掻きも持つ。
支配領域:浅い海
使用言語:ディワン語
社会形態:部族(百人単位)毎に放浪していたが、現在は海底都市(最大で万単位)に居住する者も多い。指導者は〈先を進む者〉と呼ばれ、都市なら逆円錐形の窪地「集議洞」で合議を行う。元は漁猟中心だが、今は養殖や海中植物による農業も営む。
家族制度:人間と同じく結婚を行うらしい。卵を産む。
一般的性向:陸上の甘い者や宝石を好む。「居宅」の概念に慣れておらず、物の隠匿も不得手。一度決めた物事を状況に従って修正できない。
長所:水中行動が得意で、陸上でもある程度行動できる。硬い鱗を持つ。[碧の恵み]と呼ばれる水を操る能力を持つ。
短所:陸上では動きが鈍い。乾燥に弱い。陸上の言語が苦手。
命名法則:「個人名」のみ。ブクブク言うような名前が多く、同音の繰り返しやガ、バ、パ、ラ行の音も多用される。

 
マーマン

身体形状:人間の上半身と魚の下半身。
支配領域:海
使用言語:マーマン語
社会形態:?
家族制度:?
一般的性向:?
長所:水中で自由に行動できる。
短所:陸上でほとんど行動できない。陸上種族との関係に乏しい。
命名法則:?

 
ウーティ(雪巨人、ユーミール)

身体形状:白く長い毛に包まれた、人間の倍近い巨体。
支配領域:寒冷地。リアドでは絶滅寸前で、クールヘンレントの〈緑の谷〉にほとんどが居住している。
使用言語:ウーティ語
社会形態:小人数の家族毎に洞窟に居住。狩猟採取が中心だが、技術水準はかなり低い。
家族制度:父系家族。父親の権利が強い。
一般的性向:普段は大人しいが血を見ると興奮して狂暴化する。強靭な肉体に過剰な自負を抱いている。歌が好き。
長所:寒冷地でも自由に行動できる。力が強く頑丈。特殊な[息]を吐ける。
短所:知性が低く技術水準も低い。無謀な行動に出やすい割に、武器や防具を嫌う無防備さもある。
命名法則:?

 
氷雪の種族(仮名)

 マーディール北部の氷雪と森林に覆われた地域の種族。リアドには生息していない。


〜銀の月の種族〜

翼人

身体形状:猫や齧歯類に似た顔をした、全身が毛皮に包まれた蝙蝠人間。
支配領域:高山。リアドでは南西部のラランの台地やカルシファードのジャビ山が有名。ジャナストラの高山地帯(ギゾル大高地のクルロスコなど)にも居住。
使用言語:翼人語
社会形態:部族単位で居住し、〈族王〉と呼ばれる指導者を呪い師/風の呼び手(魔法使い)が補佐する。狩猟採取が中心で、神学と独自の哲学により生態学を構築している。
家族制度:人間と同じく結婚を行う。
一般的性向:勇敢で誇り高く、「復讐」(≒自らと関わりあるものを損ねた相手に対する、等価交換に基いた応酬。相手が「地震」や「己の拳」でも構わない)を重視する。受けた侮辱は忘れず、受けた恩義も忘れない。
長所:制限の無い高度な飛行能力。非常に鋭い聴覚。武器となる鉤爪。風の元素魔法。他の月の種族と相互理解がしやすい。
短所:誇りが高過ぎ他者を見下しがち。「復讐」の倫理が他種族との諍いを起こしやすい。身体的に虚弱。閉鎖空間に耐えられない。
命名法則:「(父の名)と(母の名)の(息子・娘)、(個人名)」という形式を取る。しばしば「個人名+父の名」と記される事も。

 
爬虫人

身体形状:爬虫類の特徴を備えた人型生物。
支配領域:砂漠や岩山などの乾燥地帯。高温でないと卵が孵化できないため暑い所を好む。リアドでは北東部のシュルシュシシィやグラダスの北の未踏砂漠、カルシファードのマダスカル島に多い。マーディールの南部は爬虫人が圧倒的。……ただし、人間が住むような地域にも居住するため問題が起きやすい。
使用言語:爬虫人語
社会形態:数百人〜数千人の家族=部族で、女王を中心としたピラミッド構造で複雑な巣穴を維持する。恐らく狩猟採取が中心。
家族制度:上記参照。繁殖用に存在する男性が女王の卵を受精させ、生殖と無縁な仕事用の亜種を生み出す。
一般的性向:部族を最優先し、異部族や異種族の利害や生命には無頓着。拡張主義者で侵略や略奪、異種族の虐待も平気な者が多い。稀には他者と共存できる者もいる。
長所:鱗が身を守る。赤外線視覚を持つ。亀人や蛇人は火の元素魔法を用いる。その他亜種毎に様々。
短所:部族以外の利害を考慮できない者がほとんど。部族の役割に束縛され、蛇人以外は使命がない限り冒険ができない。異種族からは不信感どころか敵対心を向けられ、一般には〈悪魔〉信者並の扱いを受ける。その他亜種毎に様々。特に女王は火炎袋を破られて自爆する危険性あり(笑)。
命名法則:上位亜種は「個人名」を持ち、火や星、身体特徴にちなんだ名前を付ける。蜥蜴人は年齢・番号・職種で呼ばれる。
 ※マーディールには、他にも様々な爬虫人系の種族がいるそうです。

 
〈多足のもの〉

身体形状:岩のような殻と、そこからでたらめに突き出した多数の触手や蟹の脚。
支配領域:地底。はぐれ者は地上近くに出てくる事も。リアドでは南西部の無限回廊山脈やグラダスのスティニアに多い。
使用言語:多足のもの語(足で地面を叩いて会話するため、異種族が話す事は不可能)
社会形態:地下洞窟や地底都市で暮らし、徹底した無政府社会主義的個人主義を持つ。集団全体に関わる決断は〈組み合わされた頭脳〉で精神結合を行い、その結果作られる1つの人格で行う。工業が発達しているものと見られるが、具体的な産業は不明。
家族制度:人間と同じく一夫一婦(両性具有だが)で結婚を行うが、責任の共有は生じない。子供も放任状態で育つ。
一般的性向:好奇心の赴くままに活動するが、自分が動くような面倒事を嫌う。異種族から見ると支離滅裂。
長所:硬い殻。赤外線視覚。酸の唾による攻撃。壁や天井を自在に這い回る脚。高度な技術を持ち、しもべとして機械を使う。大半の個体が地の元素魔法を用いる。
短所:好奇心が激しいくせに怠惰。高度な発明を行っても「面倒だから」広めようとも考えない。発声器官を持たない。異種族との関わりが極度に乏しく精神的な共感も難しい。
命名法則:音による名前を持つが、普段は「自分」「配偶者」「子供」「他人」で済ませてしまう。

 
〈姿なきグルグドゥ〉

身体形状:色とりどりの球体を内部に浮かべた、ゼリー状の不定形な姿。肉体は沼沢種なら泥のような色、海洋種なら透明。
支配領域:沼地、または深海。
使用言語:グルグドゥ語(発光器官を光らせて会話するため、異種族が話す事は不可能)
社会形態:沼沢種は十数人の小集団。海洋種は千人単位の直接民主制都市国家(一般の市民と戦士階級である「闘士」が存在し、闘士は議長就任権と2票分の投票権を持つ)。漁猟を行うようだが、主な産業構成は不明。
家族制度:不明だが、海洋種には「家系」という概念も存在する。両性具有であり、数人が同時に交接して子孫を残す。分裂はしないので注意。
一般的性向:沼沢種は偏執的で残虐。海洋種は温厚だが高慢。
長所:水中で自由に行動できる。物理的打撃に強い。行動に支障をきたすような痛覚を持たない。消化液攻撃や発光攻撃を持つ。海洋種は水の元素魔法を使える。他の月の種族と意外に付き合いやすい。
短所:陸上では動きがかなり鈍い。擬似腕では物理的行動を起こしにくい。発声器官を持たない。沼沢種は知性が乏しく凶暴。海洋種の大半は性格的に戦闘に不向き。
命名法則:光による名前を持つ。


〜緑の月の種族〜

エルファ

身体形状:背が高く細身の人。耳は先が尖っている。服装は自然の素材をあまり加工していない物で、刺青やペインティングもよく見られる。
支配領域:森林。リアドでは南西部のサイスの森、グラダスのラジスの森、ルークスのタイバの森が中心。マーディール北部の氷雪の森や、ジャナストラのバ・ソンヌの森とン・ドゥカの森にも多い。
使用言語:エルファ語
社会形態:長老(フェルトレ氏族に所属)が導く千人前後の部族を作り、内部は祖霊毎に氏族を構成する。大きな森の複数の部族は長老会議(フェルトレの環)を構成する。非常に高度な狩猟と採取の体系を作り上げており、森林への適応性が非常に高い。
家族制度:夫婦で子供を作るが、子供は〈しるし〉が下り次第指示された氏族へ移る。氏族単位で生活するため親子の結び付きは小さい。
一般的性向:元々温厚で気が長いが、〈悪魔〉戦争の打撃により現在は閉鎖的で無気力な者が多数派に。性格は祖霊動物のイメージに類似しやすい。〈悪魔〉に対する敵意は特に激しい。
 ※これは「一般人の一般的性向」であり、森の外に出てくる異端者は積極的な者が多い。
長所:俊敏で頭も良い。動物に懐かれやすく、夜目も利く。病気への抵抗力が強い。成長は遅いが老化も遅い。動植物に関わる魔法に親しい。上位者は祖霊動物に変身できる。
短所:腕力が弱い。自然への守護意識に引きずられがち。〈悪魔〉が関わると冷静さを失いやすい。金銭の概念に馴染みが無い。人間と肉体的に近過ぎるために恋愛騒ぎが起こる事もある(笑)。
命名法則:「個人名+氏族名」。個人名は長音を多く使った柔らかい語感。氏族名は「特定部族の特定氏族」に付けられた固有の名前。氏族名の代わりに、動物の〈しるし〉の持ち主はそれにちなんだ名前で、追放者は氏族名と逆の意味(テンダーハンド→ブラッディハンド等)で呼ばれる。

 
海エルファ(海の同朋、ハウ・アドルラ)

身体形状:肌が分厚く、緑か青みがかっているエルファ。
支配領域:海
使用言語:エルファ語
社会形態:エルファと同一
家族制度:エルファと同一
一般的性向:エルファと同一
長所:水中行動が可能、精神面はエルファと同一
短所:陸上行動が不得手、精神面はエルファと同一
命名法則:エルファと同一


〜緑の月と銀の月の種族〜

ケラーグ

身体形状:鳥の翼を持ち、耳の尖った人間(成人前は華奢、成人後は逞しい)。成人すると後頭部の髪がトサカ状になる。
支配領域:カルシファードの森林、高山。特にタノガ島。
使用言語:カルシファード語、ケラーグ語
社会形態:個人個人がバラバラに居住。タノガ島で繁殖を行う時以外は集団にならない。産業は存在せず基本は自給自足。
家族制度:「家族」は存在しない。「育ての師」にある程度育てられたら山や森に放り出されて自活する。
一般的性向:成人前は陽気で好奇心旺盛、そして悪戯好き。成人頃から陰鬱になり、孤独を好む。
長所:翼人に匹敵する飛行能力と鉤爪。高い敏捷性と知性。風と幻の魔法の行使。
短所:風への生理的欲求。乏しい腕力。隠し立てできず好奇心旺盛な性癖。文字に馴染みが無い。
命名法則:「個人名」のみ。意味の違いを除けばカルシファードの人間に類似。

 
オレアノイ(バジャノイ)

身体形状:淡い緑の肌をした、頭に皿は無いが河童に似た生物。
支配領域:川。本来はカルシファードのみだが、戦乱期の虐殺を逃れた一団がファイニアや大湿圏にも居住。
使用言語:カルシファード語、オレアノイ語
社会形態:数十人〜数百人単位の部族で、〈組み手〉が全体を導く。居住地は〈溜まり〉と呼ぶ。漁猟と湿地農耕で暮らしているが、街道沿いで川渡しをしている者もいる。
家族制度:人間と同じく結婚を行う。
一般的性向:幾分閉鎖的だが恩義は忘れない。賭けや試合も大好き。治療薬目当てに虐殺された事があるため、人間に対しては「金に汚い」行動を取る事が多い。
長所:頑強で俊敏。泳ぎが上手。水や肉体能力に関わる魔法の行使。霊薬を作れる。
短所:知性が高くない。かなり乾燥に弱い。
命名法則:「個人名」のみ。意味の違いを除けばカルシファードの人間に類似。

 
ビジュラ

身体形状:人間に似ているが、浅黒い肌と尖った耳を持つ。
支配領域:今は特に無いが、住んでいるのはカルシファードのみ。
使用言語:カルシファード語、ビジュラ語
社会形態:かつては集落に居住していたが、現在は「一座」で放浪している。結果として芸人として生活するしかない。
家族制度:親子で暮らすが、ビジュラの親は片親だけ。詳しくは下記の「短所」を参照。
一般的性向:芯は強いが戦いは苦手。好みの相手にすぐに惚れ込むが熱しやすく冷めやすい。変わった性格の者も多い。
長所:炎や高温に強い。火や治癒に関わる魔法の行使。治外法権を持つ。一座の長は月から授かった生ける炎(使い方によっては封領ごと抹殺が可能)を行使できる。
短所:両性具有だが自分達だけでは子供を作れない。「真剣な恋」に突っ走る。被差別民族で法の庇護を受けられない。
命名法則:「個人名」のみ。意味の違いを除けばカルシファードの人間に類似。

 
ボック(ノーム)

身体形状:丸い体格を持つ小人。
支配領域:地中。カルシファード以外にも大柄な亜種(ノーム)が居住している。
使用言語:カルシファード語、ボック語
社会形態:不明。
家族制度:詳細は不詳。
一般的性向:穏和で親切。「球」を理想として他者との摩擦を嫌う。体型まで球形を目指す(笑)。
長所:小柄な体型。浮遊能力。地や植物に関わる魔法の行使。鉱物や植物と親しい能力を持つ者もいる。
短所:非力。能力目当てに狩り出された事があるため人間を避ける。積極的な戦いを行えない。文字に馴染みが無い。
命名法則:?


〜双子の月の種族〜

人間

身体形状:言うまでも無い人間型。より簡単に言うと「通常状態の〈源人〉の縮小コピー」。
支配領域:平野。しかしそれ以外の場所にも散在する。リアドやジャナストラでは大勢力だが、マーディールでは南北境界地帯に少数が住むのみ。
使用言語:各地方の言語。リアドではルークス語の系統に属する言語が支配的だが、カルシファード語はその例外。
社会形態:数十人単位の「村」から数十万人単位の大都市に居住するか、部族単位で移動生活。「王」や「統領」などと呼ばれる指導者を中心として「国」を形成する。村落では農耕、牧畜、狩猟、漁猟などが、街では商工業が主に行われる。
家族制度:男性と女性が結婚して同居を行い、そこで子供を育てるのが主流。同居先は男性の実家が多いが、女性の実家や全くの新居という事も多い。外部で活動するのは男性が中心で、家系も母系を取るルークスやクールヘンレント、男女問わず長子相続を行うリアド大陸中央部を除けば父系を取る。
一般的性向:バラバラで統一性が無い。誠実で高潔な者から卑屈で卑怯な者まで存在する。
長所:際立った短所を持たない。比較的高い技術水準を持つ。双子の月の魔法を使える。
短所:際立った長所を持たない。人口が多過ぎて種族としての一体感に欠ける。
命名法則:一般のリアド人は「個人名+姓」。国により例外は意外と多い。

 
(人間の民族)

旧ザノン人
 大陸中央部にあるトルアドネス帝国の主要民族。比較的華奢な体型をしており、色白で瞳の色は淡い。ザノス公国は元王都ザノス=トルア周辺を支配しているだけであり大半は帝国直轄領。
使用言語:帝国公用語(元はザノン語の北西方言)、ザノン語
一般的性向:「自分達こそが世界の中心」という風潮が根強く、他の地域を見下しがち(その上に、ザノンの旧貴族の大半は無能で傲慢な者が多い――というか多すぎ)。帝国の青の月信仰の強制で社会的に混乱を来している。
信仰の傾向:青の月信者が中心だが、他の地域からは「異端者」「狂信者」呼ばわりされて軽蔑・嫌悪される。赤の月信者は潜伏するか口先だけ改宗している。この点は旧ザノン領のみならず帝国全土で共通。
命名法則:「個人名(長めで通常は省略形も用いる。男性は末尾が「ウ」「オ」、女性は末尾が「ア」「エ」)+姓(短め)」。

旧ペテルギュア人
 帝国南西部の旧ペテルギュア王国領(現在のペテル公国領)の民族。海洋王国であったため、異国へ亡命した者も多い。
使用言語:帝国公用語、ペテルギュア語
命名法則:旧ザノン人に準じる事もあるが、短い個人名や長い姓を持つ事もある。

旧クルブネ人
 セレン内海沿岸の旧クルブネ国領の民族。詳細は不明。
使用言語:帝国公用語、クルブネ語

(名称不明)
 帝国北部の民族。クールヘンレント語に似た言葉を話す。

ルークス人
 大陸最北端の寒冷地、ルークス聖域王国に住む民族。大柄で色白な者が多い。
使用言語:ルークス聖域王国語
一般的性向:神官・高司祭への聖職者扱いの度合いが強い。口数は少なめだが怒らせると延々と説教される。聖地の守護者である事への自負を持つ。
信仰の傾向:双子の神々をまんべんなく信仰。
 ※この記述は街での物で、村落規模の社会では信仰対象が偏ります。農村ではサリカ、漁村ではリャノの信者がほとんどでしょう。
命名法則:「個人名+父の姓+母の姓」。子供へは母の姓が受け継がれ、「個人名+父方祖母の姓+母方祖母の姓」となる。

ゼクス人(エタン)
 大陸南部の大草原国、ゼクス共和国に住む民族。厳密にはエタンは遊牧民のみの呼称であり、しかも移動生活を送るなら他の種族も含む。
使用言語:ゼクス共和国語
一般的性向:自主性が強いが割と呑気で、「明日出来る事は今日片付けたりしない」が信条。お祭り騒ぎが好きで束縛を嫌う。
信仰の傾向:アルリアナとリャノが中心。青の月の信者は天幕の街(トーナ)以外で見る事は少ない。
命名法則:「個人名」のみ。

カルシファード人
 セレン内海の島国、カルシファード侯国に住む民族。ザノン人と原住者の〈遥か人〉の混血であるが、外見的には〈遥か人〉の血の方が強め。
使用言語:カルシファード侯国語
 ※カルシファード語は他のリアドの言語と違い、ルークス語の系統に属していません。銀の月の言語の影響を受けているらしいため、ルナル全土の言語の中でも異端の部類に入るでしょう。
一般的性向:名誉を重んじる性向と荒々しい態度が同居している。男性は女性を見下す傾向が強く、同性愛にも寛容。武戦士は堕落が進み、誇りを履き違えすぐに刀を振り回す者も数多く見られる。異種族蔑視も特に武戦士の間で甚だしい。魔法への忌避感も強く、神殿で魔法を学ぶ者も少ない。
信仰の傾向:ガヤン、タマット、リャノへの信仰が盛ん。
命名法則:神官や武戦士は「姓+個人名」。所民は「個人名」のみ。
 ※所民出身の神官が姓を持たなかったり(キクノ)、所民でも有力者は姓を持っていたり(カノー・エジム)、影タマットが姓を持っていたり(コヨウ・リン)、例外は多々あるようです。武戦士は分家すると姓を変える事もありますが(アンデン家→ショウラ家)、逆に変えない事もあります(スイゲン家)。

トリース人
 グラダス半島の西方、豊かな緑に恵まれたトリース森林共和国に住む民族。セレン内海の覇者ゼラン王国が滅ぼされた後のトルドット王国属領セラーノとトルドットの属国ペノン国が合体して誕生した。
 ※ペノンがトリースのどの地域にあたるかは言及されていませんが、(1)セレン内海側ではなく、(2)オータネス(元トルドット)に接しており、(3)海に面して海軍を持てる(トルドットがゼランに攻め込んだ時、ゼランの海上軍は〈悪魔〉海におびき寄せられて壊滅しています)という条件から考えて、ターデン〜クラース一帯を中心とした南部地方でしょう。
使用言語:グラダス語(トリース方言)
一般的性向:のんびりとしてお祭り好き。ゆったりとした感じの服装を好む。家では膝を横倒しして床に座る。
 ※トリース以外のグラダス諸国では椅子に座り、大陸本土とカルシファードでは床に正座します。
信仰の傾向:官僚機構の整備と関連の深いガヤン、林業や牧畜と関連の深いサリカ、アルリアナ、リャノが多い。
命名法則:「個人名(男性は末尾が「イ」、女性は末尾が「ア」「オ」である事が多い)+姓」。いずれも短め。
 ※エフィ(エフェメラ・クルツ)の場合は、幼少時にやんちゃだったために男性形の仇名を付けられています。「名前を聞いた人がオカマと勘違いする」というネタもありましたが(汗)。

ファイニア人
 グラダス半島の北西、干拓地と湿地だらけの漁業と傭兵で著名なファイニア低地王国の主流民族。
使用言語:グラダス語(ファイニア方言)
一般的性向:短気で感情の浮沈が激しいが、殴り合いまでする事は滅多にない。スティニアが大嫌い。
信仰の傾向:タマットが中心。そのためにこの国ではガヤン神殿の力が弱い。
命名法則:「個人名(末尾が「オ」なら男性、「ア」なら女性である事が多いが必ずしもそうとは限らない)+姓」。個人名と姓の間には、王族は「デュ」、建国時からの貴族は「ラ」、建国以降の貴族は「ル」が入る。

ソイル人
 グラダス半島の東方、「広大なる」と称される半島の食料庫ソイル選王国の民族。源流は諸王国の連合国家であったソイル選帝国。
使用言語:グラダス語(ソイル方言)
一般的性向:豪快で頑固、そしてやぼったい。オータネス人から見ると「田舎者」。
信仰の傾向:サリカやジェスタが多い。
命名法則:「個人名(特徴的な音が多い)+姓(「カナンストライド」「リーデンスベック」「ブラーデンブルッケン」等の極端に長い姓も存在する)」

オータネス人
 グラダス半島の中央、オータン湖を囲む優雅な学術の地オータネス湖王国の民族。起源は代々女性を王としたトルドット王国。
使用言語:グラダス語(オータネス方言)
一般的性向:自国の文化への自負が強く、他国を見下すような態度を取る。洗練された振舞いと作法に拘る。誤解されがちだが軟弱ではない。レディーファーストが定着している。
信仰の傾向:ペローマやシャストア、リャノの信者が多いが、元々信者が少ないペローマやシャストアに関しては「少なくはない」程度に認識した方が良いだろう(笑)。
命名法則:「姓(単音節〜2音節程度)+個人名(流麗な響きの物)」。

スティニア人
 グラダス半島の南方、険しい峰に囲まれたスティニア高地王国の主流民族。
使用言語:グラダス語(スティニア方言)
一般的性向:無口で根暗に見えるほど物静か。ファイニアが大嫌い。他の都市との間に古い遺恨が残っている事もある。
信仰の傾向:特になし。
命名法則:「個人名+姓」。大した特徴はないが、トリースに似た名前が多い。

バドッカ人
 グラダスの四大不思議都市の1つにして独立都市でもある、鬼面都市バドッカの住民。
使用言語:グラダス語(バドッカ方言。ソイル方言の影響が強い)
一般的性向:商業都市であるため、個人主義が強く独立心に富む。豊富な遺跡を漁る「休日冒険者」の慣習が強く根付いており、小集団による搦め手の戦法に強い。
信仰の傾向:ガヤン、タマット、リャノが多い。
命名法則:家のルーツに準じるが、基本的にはソイルと同じ。

クールヘンレント人
 大陸北東の寒冷な火山島、クールヘンレントの南岸に居住する民族。
使用言語:クールヘンレント語
一般的性向:?
信仰の傾向:サリカ、アルリアナ、リャノが多い。
命名法則:?

ザムーラ人
 グラダスの南西にある熱帯の火山島、ザムーラの沿岸に居住する民族。島と同名のザムーラ王国に属している。
使用言語:ザムーラ語、ジャナストラ語――双樹帝国の公用語?――の系統に属する
一般的性向:のんびりとした平和的な性質。物資に恵まれているため、ガヤン神官にも贅肉が付くほど(笑)。
信仰の傾向:?
命名法則:「姓+個人名」。

紫の群島人
 大陸西方に浮かぶ南・北ネクロス島を中心とする小国家群の住民。遠洋航海による貿易により栄えている国が多いが、その実情は謎に包まれている(笑)。
使用言語:紫の諸島語(各島の方言)
一般的性向:?
信仰の傾向:ごく普通で特筆しようも無いが、少数派信仰を行う特殊な教団も存在するらしい。
命名法則:?

沼人
 ファイニアの大湿地に住み、珍獣クララルを乗りこなす民族。ファイニア人の母体となった「タマットを信仰する蛮族」と別の存在かは不明。
使用言語:沼人語
一般的性向:かつてはのんびりとして素朴な風潮を持っていたが、外部との接触が増えて「素朴な振りをして商売を有利に」という事も多くなっている。ファイニア人以上に頭に血が上りやすい。
信仰の傾向:?
命名法則:詳細は不明。同音の繰り返しが多い。

タラール族
 グラダスの北、未踏砂漠の外縁部に住む遊牧民。駱駝を飼育しており、近くの3つのソイル人の村とは交易を行っている。
使用言語:タラール語。外部の人間とグラダス語ではなく大陸共通語で話をしているため、グラダス語とはかなり違う言語らしい。
一般的性向:牧畜民にありがちだが、細かい時間をあまり気にしない。外部との商業的な接触もあるため、金銭関係では結構すれている。
信仰の傾向:ごく普通の双子の月信仰のようだが、飛行鮫を神の使いとして崇めているのが特徴。
命名法則:よく分からないが、少なくとも響きはグラダス人とは似ていない。

スティニア独立民族
 スティニアの山奥に住む様々な少数民族。奇怪な風習と得意な能力を持つ者が多い。代表例は脳に針を突き刺し時間操作能力を得る「紫斑一族」。
使用言語:様々だが、多くはグラダス語も通じると思われる。
一般的性向:少数民族の総称でもあり、「一般的性向」と呼べるような物は存在しない。
信仰の傾向:少数民族の総称でもあり(以下省略)。
命名法則:様々。

グモーツ人
 〈悪魔〉海に面した火山島に住んでいた人食い人種。族長が〈悪魔〉と手を組み帝国海軍に討伐されたためほとんど絶滅した。
使用言語:グモーツ語。戦士はグモーツ戦闘語という戦闘指揮用暗号も使用する。
一般的性向:食人の性癖を持つ。族長にひたすら服従する。
信仰の傾向:形骸化しており(というか元々影響が無く)、ほぼ全員が平信者。
命名法則:「個人名」のみ。

現代〈遥か人〉
 世界創世の島に逃げ延びた〈遥か人〉の子孫。苛酷な環境に行き詰まりを見せており人口は減少を続けている。
使用言語:中世蛮族語
一般的性向:長幼の序と名誉を重んじる傾向は不変。集団が小規模であるため、身分の格差も小さい。
信仰の傾向:?
命名法則:「個人名」のみ。

マーディール人
 西の大陸マーディールの、南北境界地帯に細々と居住している民族。
使用言語:?
一般的性向:閉鎖的。他の大陸との関係も悪い。
信仰の傾向:双子の神を「双面を持つ一柱の神」として崇め、しかも神々に上下関係も付けている。その上に他の宗派を異端として排斥する。
命名法則:?

ジャナストラ人
 南の大陸ジャナストラの沿岸部に居住する黒い肌(主に褐色。地球の熱帯〜南半球人に近い)の民族。ドワーフとは逆にすらりとしている。リアドと恒常的な交流を持つのは、北東沿岸のカラカヤ連邦人。「ルナル」におけるジャナストラの記述も、基本的にカラカヤのもの。
使用言語:様々
一般的性向・信仰の傾向・命名法則:様々。


〜青の月の種族〜

ドワーフ

身体形状:やや小柄でがっちりした筋肉質の人間型。男性は髭が濃い。一般に色黒だが、リアド在来のドワーフは色白だった。
支配領域:山地。リアドでは特にトルアドネス帝国北部、ソイル、スティニア。ジャナストラの山地、特にビルパラにも多数が居住。
使用言語:ドワーフ語、周辺地域の人間語
社会形態:半地下式の村や街に居住(人間とは違い、地下洞窟や巨大建築に密集する事を好む)。いくつかの貴族の家系から「総領」を選出する。都市は基本的に各々が独立した小国家で、その領域を支配する人間の国の属領や自治領となっている。工業が盛んであり技術水準も高いが、食料は人間からの輸入が多い。
 ※トルアドネス帝国のハン公国は、ドワーフのハン王国を母体として周囲の人間領域をも支配しています。もっともトルアドネス自体は人間が主導する国家なのですが。
家族制度:女系家族であり、発言権が強いのも女性。男性は生家に住んで女性の所に通い続け(男性の方が多く生まれるため、実質的に多夫一妻という事も多くなる)、子供の養育は母方の伯叔父が担当する。
 ※現実世界の女系家族の場合は母方の伯叔父が家の指導権を持ちますが、ルナルのドワーフの男性の発言力は微々たる物です。
一般的性向:不屈の精神を持つがかなり頑固。実力主義だが秩序も重視する。エルファを見下す傾向がある。
長所:力が強い。高度な技術力を持つ。暗い所でも平気。青の月の魔法を使える。カルシファードでは唯一刀を作れる。
短所:食欲旺盛で食べ物につられやすい。赤と緑が灰色に見える。カルシファードでは被差別民族で奴隷同然に扱われていた。
命名法則:姓があるが普段は使わず「個人名」のみ。男性は濁音を、女性は半濁音をよく使う。


〜黒の月の種族〜

ソーサラー(邪術師)

身体形状:ウィザードと同じだが、契約した〈悪魔〉によっては特異な変異を起こす。
支配領域:特になし
使用言語:〈悪魔〉語。人間の地方語や古代神聖語も多くの個体が使いこなす。
社会形態:邪術の師弟関係で結び付きを持つ。黒の月種族の社会の外では〈悪魔〉教団を形成する事が多い。
一般的性向:契約した〈悪魔〉の属する師団に影響を受けるが、邪悪さは共通。概ね浮世離れしている。
長所:知性と魔力に恵まれ、敏捷性も高い。邪術はほとんど何の制限も無く呪文を行使できる。
短所:生命力が虚弱。〈悪魔〉を封印した魔術具(邪術具?)がないと呪文を行使できない。〈悪魔〉に乗っ取られる危険を常に持っている。他の月の種族から特に憎悪されており、捕縛されればほぼ確実に処刑される。
命名法則:ウィザードと同じだが、ウィザードが選ばないような邪悪な単語も用いる。
 ※以上は狭い意味での「ソーサラー」、つまり魔法に親しい体質を持つ存在です。広い意味での「ソーサラー」とは、〈悪魔〉との契約者や魔法を使う黒の月種族を全て指します。

 
ゴブリン

身体形状:頭と目が大きく貧弱な体格の小人。シャロッツに似た種類の彷徨いの月の種族が歪んだもの。
支配領域:山奥や大きな洞窟
使用言語:〈悪魔〉語
社会形態:100匹程度の群れで狩猟採取、もしくは流浪して略奪生活。強力なソーサラーが率いると遥かに膨れ上がる事も。内部の地位は使える魔法の数に左右される。
一般的性向:狡猾だが、策略が裏目に出る事も多い。魔法に執着する。
長所:素早く頭も良い。黒の月の種族としては例外的に殺戮衝動を持たない。黒の月の魔法を多くの者が使いこなす。
短所:非力。直情的で長期的計画には不向き。内部で魔法を覚え合う機会に乏しい。
命名法則:「個人名」のみ。他の月の種族にとって不快な響きを持つ事が多い。

 
オーク

身体形状:ぶくぶく太り、潰れた大きな鼻と下顎から生えた長い牙を持つ、直立した黒豚のような生物。ドワーフが歪んだもの。
支配領域:主人の種族に準じる
使用言語:〈悪魔〉語
社会形態:群れを形成している事も稀にあるが、大抵はゴブリンかゲルーシャに酷使されている。
一般的性向:臆病で卑屈。自分の頭で判断ができず、しかも残虐。
長所:身体が比較的頑丈。
短所:不器用で知性も低く、性格のために他の黒の月種族から軽蔑されてこき使われている。全体的な能力にも恵まれず、強いオークでも異種族からすればザコ扱い。
命名法則:ゴブリンと同じ。

 
ホブゴブリン

身体形状:人間に似ているが力強い体格を持ち、全身を毛皮が包み、頭は肉食獣に似ている。人間が歪んで変化した種族。
支配領域:ゴブリンと同じ
使用言語:〈悪魔〉語
社会形態:ゴブリン部族と共に行動している事が多い。そうでなければ単独行動。
一般的性向:戦闘と喧嘩と酒と女に明け暮れる。優秀な戦士だが頭は悪く、大抵は肉弾戦しか行わない。
長所:力が強く俊敏で、痛みにも強い。戦士の適性に長けている。
短所:喧嘩好きで酒浸りで好色で、常に戦わないと気が済まない。種族に男性しかおらず、他の種族と子供を作るしかない。魔法を使う事はほとんど無い。
 ※人間が黒の月で歪んでホブゴブリンに変化したのですが、人間の女性は歪むと一体どうなるのでしょうか(笑)。
命名法則:ゴブリンと同じ。

 
オーガー

身体形状:巨大な人間型。頭はホブゴブリン以上に千差万別。どんな種族が歪んだかは不明。
支配領域:荒野
使用言語:〈悪魔〉語
社会形態:2〜3匹の兄弟か姉妹で生活。他の黒の月種族の用心棒になる事も。
一般的性向:愚鈍で凶暴。同族とトロール以外の〈源人の子ら〉を食べる事を好む。
長所:怪力と旺盛な生命力。分厚い皮膚。
短所:敏捷性に欠け知性に乏しい。その上に傷を受けると凶暴化する。他の知的生物を餌にするため特に嫌悪されている。
命名法則:ゴブリンと同じ。

 
トロール

身体形状:大柄で非常に美しい人間。伝説の大ソーサラー、〈黒〉のゴーソンが数多の種族を掛け合わせて生み出したと伝えられる。
支配領域:特になし
使用言語:〈悪魔〉語
社会形態:他者との共同生活に耐えられないため、単独で生活する。
一般的性向:プライドが高く孤高を保つ。知的である上に自分の身を労する事を避けない。
長所:あらゆる能力に秀でている。老化しない。傷が素早く再生する。
短所:生殖能力が偏っていて純血の子孫をほとんど作れない。太陽光に極度に弱い。他者との共同生活に耐えられず団結ができない。
命名法則:ゴブリンと同じ。

 
ゲルーシャ

身体形状:眼球が真っ黒なエルファ。当然エルファが歪んだもの。ジャナストラでは、ラルファが歪んだ種族もゲルーシャと呼ぶ。
支配領域:特になし。ただし森が比較的多い。
使用言語:〈悪魔〉語。大半はエルファ語も使える。
社会形態:数人〜数十人で集団を作るが団結力は無い。強いほど単独行動を好む。
一般的性向:極めて残虐。黒の月種族で最も〈悪魔〉に近い。
長所:俊敏で知性が高い。光が無くても物が見える。不老の肉体を持つ。
短所:非力。エルファから特に憎悪されている。子供を育てられないため自然増がほとんど起こらない。
命名法則:エルファだった頃の名前を、不快感を催す響きに変えた物が多い。

 
シェクラシュ

身体形状:頭が二つある爬虫人。見た目通り爬虫人が歪んだ種族。
支配領域:高温の乾燥地帯
使用言語:〈悪魔〉語
社会形態:爬虫人と同じだが、蜥蜴人の割合が極度に高い。
一般的性向:?
長所:鱗が身を守る。爬虫人より知能が高く生命力も旺盛。広い視界と柔軟な関節でどこからの攻撃にも対処できる。脳が頭の付け根にあるため攻撃を受けにくい。
短所:赤外線視覚を失っている。爬虫人から特に憎悪されている。
命名法則:?


◇ルナルの地域◇

 広大なルナルには、様々な地方が存在します。この場ではリプレイや小説の主な舞台であるリアド大陸を中心として取り上げましょう。


◆リアド大陸◆

大陸西方

*紫の群島

居住種族:人間、その他様々な種族
政治体制:小国の連合体で、国際商取引に用いるムーナ貨を製造している。大陸本土の動乱に対しては中立を貫いているようにも見えるが……?
 ※ゲーム内では通貨は「ムーナ」を使用していますが、実際には各国で独自に通貨を作っています。他の国々でも1ムーナ銅貨や10ムーナ金貨、10分の1ムーナ鉄貨と同質の貨幣を作っているのでしょう。なおルナルでは銀は魔法の品物(銀の月とは限らない)に使われ、日用品には用いられません。
首都:特になし
主要都市:メイル(長さの単位「メルー(m)」を統一する条約が結ばれた所。メルーの1000倍にあたる単位「メイル」とメイルの弓の伝承でも有名)、その他多数
技術水準:比較的高い。特にマーディールやジャナストラとも往来する航海技術はルナルでもトップクラス。
特有産物:他の大陸からの輸入品、その他には国によって何でも
注意事項!:GM次第で設定が変わる(笑)。太古の遺跡が多く白の月、銀の月がらみの事件が多い。


大陸中央部

*ルークス聖域王国

居住種族:人間、エルファ、ドワーフなど
政治体制:神殿がそのまま国家組織でもあり、「巫王」と呼ばれる女性を神聖な君主として仰ぐ。国家機構には〈俗僧〉(ラアーム)と呼ばれる神官・高司祭達が関わり、〈名を捨てし者〉(サーラーフ)と呼ばれる神官戦士団が存在する。政府で実務を司る中枢は「八聖師」と呼ばれる各神殿の長。
首都:宗教都市ルークス(ゼモス山の麓にある神殿都市で、リアド全土から巡礼者が来る。魔法の品を作る鍛冶師や魔化師も多く居住。神殿と巫王の宮殿は山腹にある)
 ※双子の月信仰には、全体の総本山はなく地方毎に分かれています。〈三つの輪〉から供給される魔法の品の配布をコントロールするルークスの神殿の支配力は強大ですが。
主要都市:タウナン港(巡礼路の起点。リプレイでは所属が曖昧だったが)、渦巻都市アルブレフ、狩猟都市バレブ、極北港ナハブ(リアド最北の街)、エルマ(角鹿の平原北端付近、火山の麓の賑やかな温泉町。〈竜嫌いの竜〉ドラクスの息子である火竜ドレイクスが山にいる)、弓矢都市ベドヴィ、境界都市ボロクシ(共に大鹿の平原にある街)
名所:エデラ山地(トルアドネス帝国との国境)
   巡礼路(タウナン港とブラン公国方面からルークスに通じる道路)
   大鹿の平原、角鹿の平原(巡礼路沿いの平原地帯で、様々な種類の鹿が棲息。意外と街や村も点在している)
   ニアベ湖(アルブレフの西側にある大きな湖)
   牙魚海岸(アルブレフの東に広がる海岸)
   タイバの森(針葉樹林。リアドで3番目に大きなエルファの居住地)
   ゼモス山(標高1000メルー。人間が双子の神々と契約を結んだ聖地。富士山やフダラク山と似た形らしく、登るのは難しいが下るのは楽)
   ラ・カー氷原(北部に広がる凍て付いた地。リアド最大の魔術師団〈三つの輪〉の本拠が存在する。山地には氷の住居と精密機器を扱う特異な文化を持つドワーフ部族も)
技術水準:人口が少なく産業は少ないが、技術は平均レベルと推測される。〈三つの輪〉やドワーフ部族の存在もあり、特殊技術でも侮れない。活字印刷発祥の地でもある。
特有産物:魔化製品、毛皮、精密機器
注意事項!:巫王に関して批判がましい事は口にしないように(君主なので当たり前だが)。帝国と対立しているので、青の月の信者は帝国のスパイと誤解されるような行為は避けること(この点は1095年当時に留まらず、1115年頃でも同様)。ルークスの神殿の不興を買うと、魔法の品物の供給が停止させられる危険がある。寒冷地であるため防寒は重要。

 
*トルアドネス帝国

居住種族:人間、ドワーフなど
政治体制:元ディネス領主であったジェム家の皇帝を頂く君主制(現皇帝は初代ライテロッヒの末の弟ナーデベントで、まだ2代目なのだが)。ベルト状に全土を覆う直轄領、国家の最有力者を封じた四公国、地方軍の将軍が統括する封軍領が存在し、内部には中小の貴族の領地が存在する。現在最大の実力者は建国以来の宰相サンバート・デルフ。
 ※軍隊は第一〜第十地方軍、3つの近衛軍、各公国軍、水軍(川船が所属)、海軍、ドワーフ軍団、魔法兵団により構成される。明らかに陸軍中心の構成であり、ペテル公王が管理する海軍は本拠もペテル=トルアに存在する。
首都:帝都ディネス=トルア(ザノン時代からのジェム家の本拠。ザノン軍に破壊されたため現在は都市計画に基き復興中。壮麗な帝都が完成するか帝国が滅びるまでは……)
主要都市:セルターク(グラダス行きの船の出航地)、ディエンレン(北部の修道学院がある街)、アーノジー(カルシファードに面した港街)、その他諸公国の都市
名所:エデラ山地(ルークスとの国境。「冬を止めるもの」「戦場山地」と称される)
   バクシュー川(ルークスからエデラ山地と北西部の荒野を抜けて西大洋に流れる。山脈と海流の影響で北にある割に暖かく、開発が期待されている)
   ブラネス山地(確認される範囲内でのリアド最高峰グラバードート(標高5784メルー)を始めとして険しい山並がそびえる山地。魔術師団〈第二の夜明け〉が存在する)
   バウル湖(リアド最大の湖)
   ナーレンス川(バウル湖からうねうねと曲がりながらセレン内海に至る川。支流や運河が四通八達する帝国の動脈)
    ※河口付近が敵性国家であるゼクス共和国に面していますが、相手が遊牧民だから平気なのでしょうか?
   水晶連峰(銀の月の神々が運んできたと言われる、帝国で最も危険な山地。奇怪な生き物が多数生息し、深部では時空が混乱するという)
技術水準:〈第二の夜明け〉の存在もあり、魔法兵器が発達している。技術面では戦争からの立ち直りが問題。運河網が発達しており、物資輸送のコストは低い。
特有産物:普通の物ならほぼ何でも――醤油含む(笑)
注意事項!:赤の月信仰は禁止されているため、外国人でも青の月信者を装うように。青の月信者でも過激派を避けるのが望ましい。場合によっては他の月の種族も難癖を付けられる恐れがある。旧ザノン地域では、ザノン残党の悪質なテロ事件が発生している。
 ※甚だしい腐敗にも関わらずザノン王国は強大な軍事力を持っていたため、大陸中央部では中央集権的巨大国家の伝統が既に存在したようです。トルアドネス帝国の政治組織その物は、ザノンとそんなに変わらないのかもしれません。

 
*ザノス公国

居住種族:人間など
政治体制:初代皇帝の姻戚であるティーグ家の公王が、トップとなり領域を管理する。現在の当主は先代カータリオンの末子サーライトだが、思惑があるのか位はまだ継いでいない。
首都:元王都ザノス=トルア(人口50万近く。街路が直角に交わり、整然とした街並みを誇ったリアド最大の都市)
主要都市:キーンブルグ(ナーレンス川の大きな滝の直中に領主の城があった所。船は脇の運河を通行する。カータリオン前公王が暗殺された場所でもある)
技術水準:帝国内部としては高い方。文化的にもレベルは高く、奇岩巨木を配した庭園やオータネス料理と並んで評判の高いザノス料理が楽しめる。
特有産物:料理
注意事項!:ザノス=トルアの東半分は戦災の痛手が残り治安が悪い。

 
*ハン公国

居住種族:ドワーフ、人間など
政治体制:ハン王国が帝国に組み込まれた形を取り、内部ではドワーフが主導権を得ている。現在の公王は高齢ながらも矍鑠とした「ドワーフ女王」デボル。
首都:ハン=トルア(巨大な半地底都市。帝国の青の月信仰の中心であり、人間のほとんどはガヤンかジェスタの神官)
技術水準:帝国の鉱業生産の中心で高度な工業技術を持つ。軍備的にも重要。
特有産物:鉱物、金属製品
注意事項!:帝国の青の月信仰の中心でもあり、特に過激派が多いと思われる。外国人はできる限り避けて通った方がよいかと。

 
*ブラン公国

居住種族:人間、ドワーフなど
政治体制:ジェム一族の公王が支配する。現公王は皇帝の従姉ランナカイ。
首都:魔術都市ブラン=トルア(魔術師団〈第二の夜明け〉の本拠)
主要都市:ドーナルトン(鉱物の集積地。街の規模としてはブラン=トルアより大きい)
技術水準:魔法兵器関連はともかく、それ以外は決して高くはない。そもそも人口も希薄。
特有産物:鉱物、毛皮、スピリッツ(「ウォッカ」と呼ばれる)
注意事項!:〈第二の夜明け〉に下手なちょっかいは出さない方が良い。冬山は特に危険なので装備を整えてから立ち入るように。

 
*ペテル公国

居住種族:人間など
政治体制:ジェム家の母方の親族であるベイト家の公王が統率する。現公王は帝国海軍総司令官を兼ねるウォルフィリー。
 ※ウォルフィリーはグラダス人の女性(笑)と内密に結婚しているようです。詳しくは「ルナル・ジェネレーション」シリーズと「月に至る子」を参照。
首都:ペテル=トルア(港湾都市。海軍の中枢にして紫の群島との交易の中心)
 ※〈悪魔〉海の航海が危険なため、バドッカやソイル、トリース南部からも外洋を迂回してこちらに来るようです。
技術水準:ペテルギュアの技術を引き継いで、航海技術に見るべき物がある。赤の月信仰を積極的に弾圧していないため、船員の人材(多くがリャノ信者)が流出していない。
特有産物:他国からの輸入品
注意事項!:一応表向きは、赤の月信仰は禁止だという事をお忘れなく。

 
*ゼクス共和国

居住種族:人間、ミュルーン、ギャビット、シャロッツなど
政治体制:部族の連合体で、全ての部族を統率する〈ハーン〉の下で合議制度を取っている。組織は大まかで流動的。サイスの森やラランの台地と対帝国軍事同盟を結んでいる。
首都:天幕都市イーア(内陸部最大の都市だが、固定された建造物は少なく大半が街の外と同じようなテント。この国では数少ない青の月の神殿も存在する)
名所:皇帝の呪い(元は「呪いの沼地」。トルアドネスの皇帝が戦死してからしばらくして改称された)
   野牛の台地、黒馬峠、風山羊岬(双子の月の使いである「神の乗騎」が存在する場所)
   天上の湖(ゼクス最大の湖)
技術水準:移動生活が資源の蓄積に向かないため、あまり高くない。天幕の街(トーナ)ですら立地が気に入らないと頻繁に移動する。
特有産物:様々な家畜、羊の丸焼き、乳酒
注意事項!:失敗を組織がフォローしてくれず、自分で何とかするしかない。数少ない青の月信者は肩身が狭い。定住者が少ないため、人を探すのも苦労する。
 ※トルアドネス帝国とは違い、赤の三国は青の月信仰を禁止していません。
 ※リプレイのラースデン・ティーグの発言によると、トルアドネスでもゼクスの家畜を輸入しているそうです。かつての中国の帝国と北方の遊牧民の関係に近いでしょうか。
 ※沿岸地方では人々は定住しており、漁業を主な産業にしています。政治は網元達が中心となり、青の月の信者も草原より多く見られます。詳しくはSNEサイトのシナリオを参照。

 
*カルシファード侯国

居住種族:人間など
政治体制:カルシファード・ブレードを用いる武戦士が支配層。大軍監(起源はザノン軍の大将軍。侯爵位を持つ)が幕僚府の頂点に立ち、旗将が各地の封領(ほうりょう)を個別に支配する。武戦士と所民の間の身分格差は大きく、神殿も他国ほどの力を持たない。現在の大軍監はアンデン・イキサキ(小説版では殺害されてアンデン・コウマに代替わりするが)。
 ※小説版ラストではソウメイ・ツグトキやコエノマエ・ライゼンのような重要人物がどさくさ紛れに殺害されており、ツチスケ家やナガス家もぞんざいっぽい扱いしか受けていません。この際小説版はあまり気にしない方が良いでしょう(笑)。
首都:「軍都」ダイハン(巨大な城塞都市であり、アンデン家の本拠でもある。居住者のほとんどは幕僚府の関係者であり、城内に店を開けず夜間は出入りが禁止されるため産業らしい産業は存在しない)
主要都市:「港」マツトキ(唯一の公認貿易港)、カノー(マツトキの隣街)、「南天」ヒルイ(〈遥か人〉の家系に属するツチスケ家の本拠。グラダスとの密貿易を行っているらしい)、「王城」コウルイ(カルシファード最古最大の都市で文化の中心、人口も10万を超える。ザノンの亡命政権が所在している)、サンジョ(コウルイから移転した、〈遥か人〉の血を引くスイゲン家の本拠)、「北天」セイヨウ(ナガス家の本拠。武術の中心地)、ランルイ(〈遥か人〉の伝統を強く受け継ぐコエノマエ家の本拠)、ド(マダスカルにあるマツサ家の本拠。原住部族の戦士を「下士」としており、その間ではダスカギ(獅子の技)と呼ばれる格闘術が盛ん。召霊人(カムリ)と呼ばれる霊に関わる術を使う者もいる)
名所:フダラク山脈(カルシファードの中央を分かつ巨大山脈。未踏の地が多く、黒の月の種族の拠点、遺跡、神秘の地が数多く存在すると言われる)
   フダラク山(同名の山脈の中央にある美しい形の山。〈遥か人〉の伝統を継ぐ寺院や双子の月の神殿群(と門前町)、幕僚府の同盟者である翼人の部族が存在する)
   大本殿(カルシファードの神殿の中心。内紛に際して完全中立を宣言)
   タノガ島(「狂宴の島」と呼ばれる異様な自然環境の島。特に巨大昆虫で知られる)
   リュートゥク島(幕僚府直轄領。西部の鉱山では幕僚府直属のドワーフ達がカルシファード・ブレードやリアン金貨を製造。東部には〈九頭の竜〉水軍を名乗る武豪士が存在)
   リガの森(南端にある、この国で唯一残ったエルファの大居住地。カルシファードのエルファは森から出る事はまず有り得ない)
   風の源(ダイハンの北西にある山岳地帯。この地域の〈遥か人〉部族が影タマットの起源)
   コウザ洞(ランルイの南にある巨大鍾乳洞。爬虫人の部族が住んでいる)
   リュウホウ川(カルシファードの中部から南部へうねりながら流れる。オレアノイが大勢居住している)
   スオウ湖(北部にあるカルシファード最大の湖で、リュウホウ川の水源。〈源初の創造神〉がここから太陽の彼方へ旅立ったという伝説もある。かつて外部の軍勢にオレアノイが虐殺され、ここを逃げ出した者の一部が大陸本土や半島まで渡っている)
   王竜山脈(北西の冷涼な山岳地帯。ザノン軍と〈遥か人〉の戦争時代にカルシファードを焦土と変えた巨龍アガツが眠っている)
   黒原(北東部の荒野で、黒の月の種族が多数居住している)
   ジャビ山(低地から単独でそびえ立つカルシファード最高峰。ナガス家の同盟者である最大の翼人の部族が住んでいる)
   マダスカル島(西方に浮かぶ暑熱の島。人間は北岸に住むだけで内陸には爬虫人が住んでいる。トルアドネス帝国との紅碧戦争で多数の死者を出した)
技術水準:他国との行き来を制限し続け積極的導入も図らなかったため、他の地域より水準は低い。特に魔法に関しては、幕僚府や旗将がウィザードの分断支配に勤めたために魔化技術が発展せず、更に武戦士が魔法を好まなかったために、どうしようもなく遅れを取っている。
特有産物:米、米酒、味噌、陶磁器、刀
注意事項!:武戦士の腐敗が進んでおり、一部では汚職や搾取が目立つ。生活水準の格差も激しく、幕僚府直轄地や大きな封領では生活は豊かだが、貧しい封領では飢饉や人身売買も珍しくない。すぐに刀を抜くような武戦士や武浪士、喧嘩を売りたがる弾華者が多い。人間以外への種族に対する差別が甚だしい(ドワーフは刀を作らせるためだけの奴隷扱いであり、オレアノイ、ビジュラ、ボック、エルファは過去に虐殺された事がある)。裏タマットが暴力的で完全にヤクザ化している(外国人が運営しているマツトキは例外)。外国人や魔法使いは良くて奇異の目、悪ければ嫌悪の目で見られる。女性は露骨に見下される場合が多い。刀術使いや影タマット、外法使いのような、他の国には無い特殊能力者が多い。国内では他の地域で通用するムーナ通貨ではなくリアン通貨を使用する。
 ※注意事項が多すぎるようですが、それだけ他国と違う要素が多いという事です。


グラダス半島

*トリース森林共和国(旧・トリース森王国)

居住種族:人間、エルファなど
政治体制:ウェブス家の王は退位させられ、今は無血革命の理論指導者で共和思想を唱えたゴード・ワイズ総統領と議会による共和制(選挙権は一家の長が保有する)。組織を運営するのは試験により選抜された官僚達。
 ※王は名誉職として存続していますが、統治権を国家に返上させられて実権は所持していません。王城も取り上げられ、総統領公館と代表議会議事堂になりました。
首都:デューラー(城壁より高い建物を建てる事が禁止されている、平坦で広大な都市。リアド全土の指導的立場にあるペローマ神殿が存在する)
主要都市:サレイン(大陸本土への港。トリースとしては珍しく領主が存在した)、ターデン(エルファと交流を持つ街。無血革命への尽力者が多い)、クラース(南部の大都市。保養地としても有名であり、トリース海軍や半島船員組合の中枢でもある)、マイテ(エデールの森の入口。ガイドを務めるペローマ信者が多い)
名所:植林地(トルドットによるゼラン滅亡、兄弟王子の旗揚げ、ファイニアとスティニアの戦争によって荒れ果てた国土を復興させた際の名残。特にデューラー周辺の植林地は有名)
   ラジスの森(リアドで2番目に大きなエルファの居住地)
   山岳地帯(セレン内海側に僅かに存在する。昔のコンプRPGのカラーページに乾燥した巨大峡谷が描かれており、かなりトリース離れした光景であった)
   エデールの森(「異界の森」と呼ばれる奇怪な森。稀少物資が入手できるが危険は多い)
   〈悪魔〉海(ゼクスとの間、セレン内海の入口に開いた、黒の月の欠片が穿った傷跡。比較的安全なルートが解明されているが、それでも危険は大きい)
   ゲンディシャー大空洞(宝石鉱山の拠点ゲンディシャーが、はぐれ〈多足のもの〉の実験失敗により陥没して消滅した跡)
技術水準:比較的高め。ペローマ大神殿の存在は大きいであろう。
特有産物:馬、材木、葡萄酒
注意事項!:革命以前にはびこっていた官僚の腐敗がまだ問題となっている。官僚試験に関わるトラブルが多い。のんびりしたお国柄のせいで、軍隊が他国ほど頼りにならない。ガヤン神殿が非常に強力なために、敵に回すと面倒な事に。

 
*ファイニア王国

居住種族:人間など
政治体制:王権の強い絶対王制で、代々ランベルテ家が王位を継ぐ。海軍大将軍、陸軍大将軍、国営傭兵隊長、情報組織〈赤い兎〉の長、闘技場のチャンピオン(笑)、タマット最高司祭の「タマットの6本指」が強い発言力を持つが、錠前細工が趣味の平凡なガルディ王をよそに国を動かしているオータネス出身のリン・アンネロット王妃により抑え込まれている。
 ※「錠前細工が趣味の平凡な王」「外国女」「絶対王制」で何かを連想したい所ですが……。
首都:イルゼ(大堤防工事の中心。賭博場や闘技場でも有名)
主要都市:ビレナラ(大規模工場群の都市。「燃える黒水」や銃器、魔法動力船の研究も行っているが、環境汚染によりサリカ神殿やリャノ神殿、付近の農民や漁民、下流のカリサの森のエルファ、河口近くのディワンと軋轢が生じている)、ラルテーヌ(ソイルに通じる国境の街(厳密には間にピールがあるが)。穀物輸入の拠点)、ベスタンティア(ワインの産地。王の愛人であった元領主が〈悪魔〉との契約者であった)、ペレート(数少ない鉄鉱石の産地であり、武器生産が盛ん)、デント(北部の漁港。大陸本土へ行く船も出ている)、マドート(ファイニアでも古い部類に入る都市。大堤防工事のもう1つの拠点であり、大湿地帯の入口でもある。しかし神殿としては左遷先)
名所:干拓地(国土のほとんどを占めた湿地帯を開発した名残。今でも堤防と排水施設群は大事に扱われる)
   大堤防(狭い国土を広げるために浅い海を干拓しようと作られた物。計画開始以来30年が経過するが完成までにあと70年は必要と言われる)
   大湿地帯(マドートの南にあり、沼人が居住している。奥には〈魔境〉と呼ばれるソーサラーの城も存在)
   歪みの沼地(国の北側にある、黒の月の欠片に抉られた魔境。奇怪な怪物が多く生息するが、強大な〈悪魔〉が現れる事はそう多くない)
技術水準:工業では恐らくリアド最高峰。軍事技術も高いと思われる。
特有産物:傭兵、海産物、沼人特有の産物(特殊な米、クララルなど)
注意事項!:急速な工業化により自然破壊が急速に進んでおり問題化している。特に大堤防は30年来ディワンや〈姿なきグルグドゥ〉の反発を受け続けており、いつ攻撃を受けるか分からない。タマット信仰が盛んなためガヤン神殿の力が弱く、政府からの圧力を無視する事ができない。

 
*ソイル選王国

居住種族:人間、ドワーフなど
政治体制:連邦制。貴族達により選王が5年任期で選出される。選王を出すのはハルシュタット(前選王ジョアネスの出た家)、フォルベルト(前当主はエーリッヒ、現当主はエインリッヒ)、ウォーランゲル(現選王セイヤーを出した家)、ザルベスタン、カナンストライド(現当主はリエーゼ)、ベークリンガー(現当主はハンナ)の6家で、他の王家を服従させようとして滅ぼされたゲルンシュバルト家もかつては名を連ねていた。
 ※下級貴族が六王家に属するか否か、皇家やゲルンシュバルト王家に属していたならどうなるかは不明です。
 ※皇家は最後の皇帝ヒスターにより手当たり次第に処刑され、ヒスターの戦場での横死により歴史から姿を消します。ゲルンシュバルト王家はほとんど全員処刑されました。
首都:カーベルデルク(公共機関は多いが一般住民は少ない。各選王家の拠点の方が都市としては繁栄している)
主要都市:カーニヒスデルク(バドッカとの国境に面する街)、ベルンクース(バドッカとの陸上交易の拠点)、リューベルツ(銀の月の遺跡である水晶の尖塔が存在する)、ヒューレック(温泉の湧く保養・歓楽都市)、タースシャス(染色産業で有名)、ベルベンバルト(ウォーランゲル家の拠点)、ヘンデルク(北部の港町。文庫版シナリオ集に名前のみ登場)、ディグ(歪みの沼地の東の地峡を越えた先、未踏砂漠に面した小さな村で、兵士の詰める砦がある。周辺のタルサ、アレーナと併せてグラダスの北端になる)
名所:ベルント山(ベルベンバルトにある、ソイル選帝国を結成した際に協約を結んだ7人の君主の像が彫られている山)
 ※当時の皇帝デニアス1世がどうして彫られていないのか、その辺は少々謎ですが。
技術水準:平均レベルと思われる。
特有産物:食物全般、ビール
注意事項!:冬はかなり冷え込むため体調に注意。分権体制であるため、選王家相互の対立が内乱にまで発展しやすい。貴族が非常に多いが、内部での貧富の差が激しい。

 
*オータネス湖王国

居住種族:人間など
政治体制:王を中心として、貴族の合議で国政を運営。王家はトルドット王家の血を引くリュイ家で、現在の王は何かと謎が多い(笑)フランシー。
 ※「コンプRPG」でキャラクター募集を行った際、王の隠し子が20人を超えたそうです。
首都:エグ(湖畔の埋立地に築かれた学術と芸術の本拠で、ペローマ神殿はグラダス最高の教育機関。城から広がる同心円状の街には大勢の貴族が住んでおり趣味を競い合う)
 ※エグの人口20万はグラダスでも最大で、デューラーやイルゼもこの数に匹敵します。
主要都市:ノーフェイ(西岸にある交易拠点。街の上にまばゆく輝く巨大建造物の遺跡があるため「白昼都市」と呼ばれる)、シャルペー(スティニア国境付近の街。スティニア戦争で要塞化した丘が存在する)、タリス(ソイルに通じる街道沿いの街。画家が多く「絵画都市」と呼ばれる)、コースシー(東岸の交易拠点。街全体が水上に突き出ており「水路都市」と称される)
名所:ケレスト山脈(北部の山脈。〈三つの輪〉や〈第二の夜明け〉に匹敵する大きな魔術師団が存在するが、研究や芸術のためを除いては俗世に関わる事を非常に嫌っている)
   オータン湖(国の中心にある、リアドで2番目に大きな湖)
   魔性湖(オータン湖の中央の円形の岩壁の内側にある、不定形の〈悪魔〉の群れが封じられた場所。岩壁の見張り塔には凄まじい力を持つ見張り手が常駐している)
   ゼナ川(オータン湖から流れ出し、バドッカの近くで海に注ぐ川。オータネス〜バドッカの主要交通路)
   セイル川(エグの中心を流れる川)
技術水準:比較的高度。ペローマ大神殿のみならず、魔術師団も影響を及ぼしている。
特有産物:衣服、芸術品、料理、様々な酒
注意事項!:レディーファーストが徹底している。儀式ばった行動が多く、他国人には付き合い辛い。危険な学術研究や芸術がまま見られる。

 
*スティニア高地王国

居住種族:人間、ドワーフなど
政治体制:現在は貴族連合により再建を進めている。王家はランバート家だが、受肉した〈悪魔〉であった〈黄金の姫〉ラテルア3世が滅ぼされてからは空位のままらしい。
首都:王城はパディート(高山オルソンバドリスの頂上。現在は〈悪魔〉の跳梁する地となり半ば放棄状態)、行政府はハルドゥル(パディートの麓に所在。貴族連合の本部が存在する)
主要都市:ムルマイル(南西部の山中の歴代ガノット侯爵の領地で、当主が最高司祭となるスティニアのガヤン神殿の中心。谷間に遺跡である無数の橋が掛かり、「中空都市」として名高い。「スティニアの裏側」と呼ばれる地底空洞網の中心)、モムグリム(スティニア最大の食料生産地。高名な野外劇場が中心にある)、ジェヌクア(バドッカの隣街だが関係は乏しい)
名所:高山群(グラダス最高峰メルドネル(標高4092メルー)や「月への梯子」アルダンミドレスを始めとする険しい山並み。当局ですら把握していない謎の村や特異な独立民族、黒の月の種族、古代の遺跡、〈天空の龍の島〉を目指したドワーフの飛行機械の残骸などなどが見られる)
   地底洞窟網(火山性洞窟とドワーフの地下都市が繋がった迷路。様々な時代の遺跡や〈多足のもの〉の居住地が存在する)
技術水準:不明だが、人口が乏しいためあまり高くないものと思われる。
特有産物:鉱物
注意事項!:スティニアを支配していた〈四姉妹〉の配下の残党や〈獣の悪魔〉の能力を取り込んだ改造人間〈異形〉や黒の月の種族が跳梁しており、未だに国情が不安定。

 
*ピール

居住種族:様々、特にウィザード
政治体制:ウィザードから互選された評議会による合議制。大事件でもない限り活動は不活発で、出席率はたいてい3割以下。
首都:垂直都市ピール(ウィザードの研究都市。様々な魔法の物品を各地の神殿や国家機関に供給しているため、独立都市としての地位を認められている)
名所:円柱群(高さ数十〜数百メルーに達する円柱が数メイルに渡って林立。内部を刳り抜くと魔法の儀式が安定する空間を得られるため、ウィザードが塔にして住み着いている)
技術水準:魔法に関しては特に高いが、変な方向に進化した物も多い。かなりの確率で傍迷惑。
特有産物:魔法の品
注意事項!:危険な魔法の産物が横行しており、しかも責任者に悪意が無いため始末に負えない。地下にはソーサラーなどが多数居住しているため要注意。

 
*バドッカ

居住種族:人間、ドワーフ、ミュルーン、ディワン、翼人など
政治体制:パドル家が領主であったが、現在は頭部議会の名誉議長を務めるのみで市長は大商人の互選。「貴族(爵位無し、一代限り)」の称号を受けた大商人から20人ほどの議員が出て方針と費用の配分を行う。実際に動くのは神殿や頭部議会の傘下組織。
首都:鬼面都市バドッカ(「バドッカの鬼面」内部に収まった都市)
名所:バドッカの鬼面(大断崖に刻み込まれた巨大な鬼面。頭(政治の中枢)、右目と左目(ごみごみした庶民の町)、鼻(暗黒街)、口(港がある商業の中心)、眉(森や果樹園)がある)
   ドゥルーダ湾(バドッカが面している海)
   ギョロロの街(ドゥルーダ湾にあるディワンの大都市。海小麦をバドッカに輸出しており、政治的にも独立した存在)
   鬼の手群島(沖合いにある10個の島。2つの漁村やいくつかの遺跡が存在する)
   グルグドゥの大都市(ギョロロの更に沖合いにある。バドッカとは間接的な付き合いしかない)
   海底神殿群(月への扉を開くためのもの。〈黄金の姫〉をアンディが倒したのもここ)
   荒野(バドッカの周囲を取り巻く地形。小さな村や遺跡が点在するが、他国との国境付近まで殺伐とした景色が続く)
技術水準:比較的高いと思われる。しかし実利と関わりの無い文化について多くは望めない。
特有産物:他国や他の大陸からの輸入品、情報
注意事項!:直接税はほとんど存在しないが、移住の際の入市税が1000ムーナと高い。外部で行った犯罪が罪に問われないため犯罪者も流入している。鼻地区にはよほどの事がない限り立ち入ってはならない。絶対中立地帯であるため、諸外国の対立抗争に巻き込まれる事がある。
 ※バドッカで行った犯罪は、外へ逃げてもバドッカのガヤン神殿により追求されます!

 
*エサレーグ

居住種族:様々
政治体制:収容された犯罪者により様々な組織が作られ、互いに抗争を繰り広げている。統一的な組織は存在しない。
首都:魔界都市エサレーグ(ファイニア、ソイル、オータネスの国境が接する場所にある監獄都市。1日で1周する逆四角錐の上の遺跡を利用して囚人を放り込んでいる)
名所:エサレーグ監視所(「ガープス・ルナル完全版」では乗っ取られた事にされているが、リプレイではちゃんと機能している)
   合成食料生産装置(空気からゼリー状の完全栄養食品を作る。今は持ち込まれた動植物が増えたり外部から密輸したりしているが、昔はこれを巡って戦いもあった)
   異常気象(零下50度の局地的吹雪、「濃密」な魔法エネルギーの〈龍の吐息〉など)
   その他の怪現象(路地の迷宮化、食料生産装置が暴走して作り出すブロブ、魔法汚染により人間が変異したチャドなど)
技術水準:閉鎖環境であり、基本的に低い。
特有産物:なし
注意事項!:監獄であるため出入りが厳しく制限される。内部は無法地帯であり外部の法は通用しない。
 ※エサレーグの内情は、多分にGMのイメージとプレイヤー達の適応範囲に左右されます(笑)。


周辺地域

*ザムーラ

居住種族:人間
政治体制:王の下で長老会議が活動する。
首都:ザムーラ(旅人が観光目的で訪れる他にも、熱帯の産物をグラダスへ輸出する拠点ともなっている)
名所:密林(ジャナストラの密林と似た環境を持つ森。内部には様々な危険地帯や秘境が散在する。ムカシオオトカゲの生息地)
   白の谷(ムカシオオトカゲが死ぬ際に訪れる場所。〈龍〉の遺骸が存在する)
技術水準:人口が少ない事もあり、特に高度という事はない。
特有産物:熱帯産の物(特にゴムなど)
注意事項!:ムカシオオトカゲの生息する密林へ入るにはそれなりの用心が必要。

 
*クールヘンレント

居住種族:人間、ラグアツ・ミュルーンなど
政治体制:長老による合議体制。
首都:特になし
主要都市:フィヨルニル(ラグアツの大居住地の近隣)、ギーラアウヴ(黄金川の河口の街)、ベルネンゲン(温泉で有名な港町)、タンメルク(東部にある大森林の毛皮の輸出拠点)
名所:黄金川(砂金が発見された川。これによりギーラアウヴの人口は10倍に激増)
   緑の谷(古代の獣が大量に生息する場所。ウーティや爬虫人も居住している)
   レントの大煙突(北部の大火山)
   大温海(大煙突の麓の湖。水温が常に30度近い)
技術水準:平均レベルか、それよりやや低めと推測される。
特有産物:毛皮、泥炭、金
注意事項!:耐寒装備を整えないと街の外へは出られない。

 
*シュルシュシシィ

居住種族:爬虫人など。北岸にはドワーフ、地底には〈多足のもの〉も住む。
注意事項!:よほどの事が無い限り行ってはならない。貴方が爬虫人でも相手は別の部族だという事をお忘れなく。

 
*未踏砂漠

居住種族:周辺部に人間と爬虫人。中心部は酷暑と乾燥が激しく、爬虫人すら居住していない。
名所:黒い黄金都市(伝説に語られる遺跡都市)
注意事項!:ここ以外を踏破し尽くした物好き……もとい強者に、今更注意する事はありません(笑)。

 
*サイスの森

居住種族:エルファなど
注意事項!:森を領域とする種族の地であり、人間などは細心の注意を持って振舞うように。

 
*ラランの台地

居住種族:翼人など
注意事項!:と言われても困るが(笑)、ここの翼人は人間の影響を受けていないのでトラブル回避のためにも忘れないように。変わった生き物が多いので、初対面する際には注意。

 
*大湿圏

居住種族:グルグドゥ沼沢種、オレアノイなど
注意事項!:ご存知でしたら連絡下さい(笑)。

 
*無限回廊山脈

居住種族:多足のもの、ドワーフなど
注意事項!:ここを舞台として出すGMに聞いた方がよいかと(汗)。


◆マーディール大陸◆

居住種族:北はエルファと彷徨いの月に属する氷雪の種族、南は様々な爬虫人。人間は少数派。


◆ジャナストラ大陸◆

居住種族:人間は北東部と西部沿岸に集中。中央部に変身種族シェイパーが存在。詳細は「ユエル」参照だが、時代背景が異なるので注意。


◆世界創世の島◆

居住種族:巨人など。人間も様々な民族が少数居住している。


七つの月夜から・Menuに戻る