―ガープス・ルナル特殊呪文リスト―

 ルナル世界の特殊呪文の名称リストと、読んで役に立ったり役に立たなかったりする解説です。呪文は「系統順(アルファベット順)→「ルナル」における信仰の紹介順→「マジック」におけるデータの配列順」という順序に並べました。


動物系

《疾駆》
 騎乗用の移動力増加呪文で、なんと1時間も有効です。目標は動物に限るそうですが、霊獣や神馬でも構わないでしょう。馬車馬やそりを引く犬には効きませんし、車輪式ゴーレムやカニバブラーでは問題外だと思われますが。

《人馬一体》
 落馬しなくなり、馬上での武器の扱いも容易になります。ただし馬を完全コントロールする事はできないのでお間違えの無いよう。


肉体操作系

《柔軟》
 地味な呪文ですが、12レベルあれば動作も呪文も不要、15レベルあれば一切疲労しないという恐るべき呪文です。修得しておいて損は無いでしょう。《超柔軟》とは違い、「通常」呪文ですので他人に掛ける事もできます。登攀にはガヤンの《登攀》などよりよっぽど役に立つかと(笑)。

《超柔軟》
 ゴム人間作成呪文です(笑)。色々と便利なのでしょうが筆者は絵的にイヤ。

《弓使い》
 肉体操作系であるにもかかわらず、前提呪文が物体操作系という変な呪文です。エネルギー消費の記述が要領を得ませんが(--;)、集団射撃戦に使用するには非常に強力な呪文である事は異論がないでしょう。《矢強化》と共に最大パワーで使えば技能+8・ダメージ+3、ガヤン神官の協力で《すばやさ》最大パワーと《鷹目》を得れば目狙いでも距離不問で技能修正−3、次々と瞬殺する事も夢ではありません。……ただし呪文の目標が武器ではなく射手であるため、《矢返し》に対しては無力です(笑)。

《毒の手》
 この呪文もやはり、肉体操作系であるにもかかわらず前提呪文が食料系という変な呪文です。毒への抵抗に不利な修正を課せられないため、強い相手には弱く弱い相手には強いという結構ヒドイ代物ですが……。もちろん〈空手〉を修得しない限り、ほぼ全く意味がありません。

《化身》
 実はこの呪文が肉体操作系だったという事に驚いたプレイヤーは、星の数ほどに及ぶと思われます。これは恐らく「動物系に限定した「魔法の素質」の濫用」を防ぐための処置なのでしょうが、実は高司祭共通呪文内の肉体操作系を〈導き手〉は修得できないため、この処置で得するのは《痛み止め》を取れるジャングくらいしか存在しないのも確かです(汗)。
 ちなみに、《変身》との相違点は以下の通りです。
 ・知力が低下しない。
 ・手に持っている持ち物も一緒に消える。
 ・「軽荷」を越える持ち物は消えない。(《変身》は、身に付けてさえいれば全て一緒に消える)
 ・魔法の掛かった品物は消えない。
 ……何だかデメリットばかり多いような気もしますが。
 なおエネルギー消費が完訳版では文庫版より1点高いため、常に維持して動き回るような真似はできません。

《斬殺》
 〈悪魔〉の呪文らしい凶悪な代物ですが、「ウィザードリィ」の忍者を連想させる効果を持ちます(笑)。2倍消費すれば「刺し」になりますが、それくらいなら喉を狙って首を刎ねた方がお奨めでしょう。
 暗殺者の攻撃!
 兵士Aは首を刎ねられた!(笑)

《精神打撃》
 魂が歪みに囚われた黒の月信者に相応しい、《斬殺》より更にねじけた呪文です。術者が怒りや憎しみを感じている相手にしか効果はありませんが、第四師団との契約者が怒りや憎しみを感じていない相手などいる訳がないのであまり気にしない方がいーでしょう(笑)。最大パワーでのエネルギー消費も9点と派手ですが、命中すれば体力の低いキャラクターならほぼ確実に戦力外にする事が可能です。ちなみにこの呪文、手元から落として暴発しても自分はダメージ受けません(自分自身を憎んでいるなら話は別ですが)。

《涙目》
 サングラスに次ぐガヤン信者の敵です(笑)。

《命の刈り取り》
 《死の手》と比べると媒体が「受け」ると壊れる木のシャリフォリのみである点では弱く、前提呪文が不要な上に「受け」が不可能な点では強い呪文です。
 あと欠点なのは、木のシャリフォリの模型の値段が抜けている事くらいかと(汗)。

《満面の怒り》
 怒った顔になる(だけの)呪文です。《快活》と同時に掛けると面白いでしょうが、事後の責任は自分自身で取るように。


情報伝達系

《過去視覚》
 一見便利な呪文ですが、範囲型の呪文でありその上にエネルギー消費が激しいため、ごく短時間遡る事しかできません。通常のキャラクターなら直径3メルーの範囲内を1/3刻(30分)遡るのが精々でしょう(この場合のエネルギー消費は12点になります!)。おまけに飛ばし見もできないため、死体の転がっている場所で唱えても死亡推定時刻が間違っていると何の意味もありません(文庫版シナリオ集掲載の「時の向こうの殺人者」で、これを悪用した殺人事件が起こっています)。そして当然ですが、殺人犯が変装していても見抜く事は不可能に近いのです! ……もちろん現場を《清掃》されると、掛けるべき地点すら判断できません(汗)。
 散々粗捜しばかりしましたが、それは要するにポピュラーな呪文である事の裏返しでもあります(《過去視覚》のごまかし方を闇タマットが研究していた事がその好例でしょう)。となれば当然、現場検証以外の使い道を探るべきです。ちらりと遠目に見た人物の人相を確認する、他人の取っていたメモを盗み見する、引っ掻き回した後の机の上を元の状態に戻す、金庫のダイヤル番号を確認する……という使い道もありますが、ここは女性が着替えをした後で時間差覗き見をしたり、その他様々な(【飛び蹴り】で蹴り倒されてペローマ神殿に収容)。

《過去聴覚》
 こちらは特殊型でエネルギー消費も《過去視覚》の基本消費の半分ですので、エネルギー消費9点で1刻(90分)遡る事が可能です。「《過去視覚》で確認した状況を再チェックするための呪文」としての使い道が中心となるでしょう(「時の向こうの殺人者」の場合、《幻覚かぶせ》をしたゴム人形が死体を刺し殺す真似をしても《過去聴覚》の前ではバレバレです)。当然ながら、《幻覚》以上で《幻覚変身》されると全く分かりませんが……。
 では粗捜しが終わった所で、現場検証以外の使い方を。遠くにいて聞こえなかった発言を再確認する、秘密の会話を「未来から」盗み聞きする、扉や魔法の品物の合言葉を確認する……といった所が考えられるでしょう。18歳以上推奨な使い方も考えられるかもしれませんが、命が惜しいのでこれ以上は申し上げません(笑)。

《罪意感知》
 「法的な罪悪感」を感知する呪文です。《感情感知》があれば不要にも見えてしまいますが、「その瞬間の」感情しか分からない《感情感知》とは一線を画する事はお分かりでしょう。もっともこの呪文は「法的な罪悪感」の具体的な内容もクリティカルしない限り分かりませんし、あくまでも目標の主観に頼る呪文ですのでフォーセリアの〈センス・イービル〉(悪意感知)と同レベルで運用の難しい事は確かです。

《哀しみのわけ》
 用途が激しく限定され、結構使い辛そうな呪文です。……アンデッドにしか意味の無い呪文満載なナーチャに比べればマシとはいえ……。


地霊系

《転倒》
 スネアです(笑)。残念ながらエルファには使えません(再度笑)。
 ……でもこの呪文、同じ効果を持つ上に場所を限定されない《足もつれ》よりエネルギー消費が多いのですが……。

《まきびし》
 使いようによっては凶悪な呪文です。しかしダメージ1Dではヘビー・レザーを着て生命力9以上なら一発で足を潰される事はありませんので、逃走支援用にしか使う機会はないでしょう。どーせほとんどNPC専用ですし。


風霊系

《気象制御》
 「まっとうな」サリカ高司祭の奥義で、《体力回復》無しでも半径1メイル以内の「要素×変化量の合計」を6点(15レベル以上なら7点)まで操作し、眠らない限り維持し続けられます。当然ですが、《体力賦与》役が付いているのならば最大で「体力−1」点まで操作・維持を行えます。一度使った範囲内では1年間働かなくなるため、凶作の村には仲の悪い村の高司祭があらかじめ1時間だけ温度を1度変化させ、船で進む航路上には40余巡り前に《気象制御》で進んだ船を通過させましょう(悪)。
 ちなみに「まっとうでない」サリカ高司祭の奥義とは、例のリセットボタンです(笑)。

《くすぐり》
 ゴーントの使う呪文として名高い、元ネタを知らないと笑えない代物です(ちなみに筆者も名前しか知りません)。一見抵抗しやすそうですが、いくら+2されても元から低いキャラクターの多い生命力ではたかが知れていますし、意外と危険な呪文と言えるでしょう。

《くすぐりの矢》
 《呪いの矢》・風霊系版です。特に言うべき事はありませんが、射撃に関わるデータが《呪いの矢》よりちょっと有利になっているのがポイントでしょう。

《雲操作》
 《雲》と併用すればかなり大掛かりな撹乱も可能です。霧を上空に持ち上げて「雲」にできないのは残念なところ。

《雲硬化》
 通常通りの距離修正が掛かるため、《雲操作》がないと役に立ちません(笑)。以上。

《電撃鞭》
 女王様(おい)。


火霊系


水霊系

《逆流》
 魔化系を除いて、恐らくは特殊呪文でもエネルギー消費の豪快さでは右に出る者の無いであろう呪文です。緑色海流逆流など一度やってみたいシチュエーションですが、儀式呪文で2000秒=33分20秒掛かるような代物では超巨大パワーストーンでも無い限り試みたくもありません。
 まあ、普通はそんな事には使いません。水霊系射撃・噴射呪文の反射に使うでしょうが、GMが許すならばこぼれた飲み物やスープを「こぼれなかった」事にするのも可能です(笑)。

《大雨》
 戦闘妨害や地滑り誘発にも役立つかと思われます。戦闘後にこの呪文を使って血を洗い流し、「空が哭いている」とでも格好付けたいところですが(笑)。

《雲操作》《雲硬化》→風霊系


魔化系

《素早い斧》
 ルナルのドワーフに不可欠な呪文(笑)。……というのはさておき、ガープスでは不遇な扱いを受けている〈斧・メイス〉を救済する効果を持ちます(もっとも世界のデザイン次第で、他にも救済方法は色々とあるのですが)。協力神の特殊武器までサービスするという辺り、融通が利くのかいい加減なのかいまいち分かりません(笑)。
 ちなみに他の特殊武器の場合、高司祭が素材を鍛錬する呪文を使って初めて作成が可能になるという事です(リプレイ天空の蹄編参照)。
※他のサプリメントの武器でも「これは道具兼用」と言い張れる場合、GM裁量の上で《素早い斧》を認めても構わないでしょう(最新技術や地方限定武器として)。「MA」「武侠」の鎌や「SKA」のハンマー辺りなら使い勝手もよろしいかと。


食料系

《肥料化》
 技術文明レベル3〜4の世界には珍しい、環境に配慮した呪文です。これは元々〈悪魔〉戦争時代の避難所や砦の衛生を良くするために授けられた呪文だったのでしょうが(でないと、第八師団の邪術師の格好の餌食です)、無闇に水を汚染すると異種族との関係が悪化する危険が高いというルナル世界の特殊条件により使われ続けたようです。もっとも双子の月の神々はルナル世界の外の知識も有しているようですので、「技術が上昇した時に環境汚染による被害が手遅れにならないように」という事を配慮している可能性も高いでしょう(ファイニアのビレナラなどは、その観点からすると天罰覿面かも)。各地の街ではこの呪文で排水を浄化しているそうですが、どー考えても高司祭がちまちまと汚物を浄化しているとは思えませんので(笑)常動型の魔化アイテムを使用していると思われます。そもそも悪用しようもないですし。
 しかしこの呪文、食料と無縁なのに何故食料系に属するのでしょう。この系統が「有機物系」とかいう名称ならまだ分かるのですが。

《毒強化》
 もはや全然食料系などと言い訳できない呪文その2です。毒のダメージ、もしくは抵抗目標値を「エネルギー」点だけ操作できますので、ここはやはり3点消費で『睡眠』の塗薬の抵抗目標値を「生命力−7」まで引き下げるべきでしょう。これならオーガーやトロールでも一撃で眠ります(「毒無効」は霊薬とは関係ありません)。

《血液毒化》
 ほとんど嫌がらせのような呪文です。この呪文を使うという事は、対象を「捨て駒宣言」したのとほとんど同一でしょう。もう完璧に黒の月な使い方です。

《寄生虫》
 更に嫌がらせそのものの呪文です……《血液毒化》とは違って戦闘中にも効果はあるのですが。PCに濫用した場合、「魔元帥」の称号くらい覚悟して下さい。
 ちなみに〈手術〉の技能無し値に「〈医師〉−5」がありますので、この呪文を受けた場合は思い出して下さい。しかし手術鞄が無いと更に−2修正を受けます……。


治癒系

《安産》
 あまり冒険に役立ちそうにありません。キャンペーンで1回でも「難産の女性を助けたら云々」というシチュエーションがあれば僥倖でしょう。

《自己治癒》
 自分を回復させる際に不利な修正を受けないという便利な呪文です。このルールは恐らくHPを削った《大治癒》による自己増殖を禁ずるための物と思われますので、確かにこの程度の回復力なら適用しなくても弊害は少ないかと。

《異種交配》
 あまり生々しい話題に踏み込むのもアレですので、解説は省かせて頂きます(汗)。


幻覚系

《知的幻覚》
 幻覚に知性を与え、自律機動を行わせます。自分の判断ができますので、主人が馬鹿な事をしそうになっても注意してくれるかもしれません。自分で作った知的幻覚に突っ込まれては、人間――赤の月信者ですから、それ以外の〈源人の子ら〉という事はないでしょう――として何かが終わっていますが(汗)。なおこれにファンブルして以来、仲間として幻覚生命を連れ歩くシャストア高司祭がルナル全土に結構いるとかいないとか(笑)。

《白昼夢》
 強制的に妄想させる恐るべき呪文です(違)。通常の幻像を作り出す幻覚呪文とは違い、心理的に幻覚を感じさせる効果を持つのがポイントでしょう。敵を妄想(おい)の中で戦わせるだけなら集中も不要ですし、「不信」できない知力の低い相手には絶大な威力を発揮します。妄想(だから待て)で敵を自滅させるという点では、シャストア信者最強の武器と言えるかもしれません。

《完璧幻覚》
 ありとあらゆる感覚を欺瞞する、シャストア信者の最終兵器です。偽の射撃呪文を作って偽のダメージを与える事も可能ですが、GMの負担が激増する事間違いないでしょう(汗)。しかし所詮は幻覚であって作成物ではないため、味方に有利な効果を及ぼす事はできませんのでお忘れなく。

《幻聴》
 視線が通れば距離修正を無視するというとんでもない呪文です……実は《拡声》でも似た事はできますが。しかし術者が声を出して喋る必要がありませんので、人込みでの密談(というか一方的なメッセージ通達)に使えるという点ではこちらが断然有利でしょう。15レベルでエネルギー不要になりますので、偽の指示で攪乱するというスイフリー戦法にも使えます。


知識系

《完全記憶》
 ど忘れした事のみならず、覚えようとしなかった事まで思い出せるというとんでもない呪文(準備に5分も掛かるため試験のカンニングには使えませんが(笑))。視覚/聴覚判定に失敗して見逃した/聞き逃したあんな事やこんな事も、この呪文なら完璧に思い出せるのが有難い所です(というかPCのサリカ高司祭は、知力14〜15が普通なのでそんな事は滅多にありませんけど……)。情報呪文ではないため持続時間がある上に、《過去視覚》《過去聴覚》のような「特定のポイントを指定する」呪文ではないため、記憶力の悪いキャラクター及びプレイヤーにもきっと便利なことでしょう。単純に思い出すためだけではなく、覚える時間のなかった事(ちらりと見た人物の正確な容姿、すれ違った馬車の紋章、流し読みの時間すらなかった帳簿など)を強引に「覚える」ためにも使えます。なにしろ2時間以内の事なら、15レベル以上あれば維持にエネルギーを使わないのですから。

《常識》
 プレイヤーに「常識」があれば不要そうな呪文ですが、(プレイヤーやキャラクターが)往々にして暴走するのを防ぐにはあった方がいいかもしれない呪文です。「常識」とは違って自発的に発動させないとダメですので、暴走するプレイヤーの場合キャラクターに持たせても何の意味も無い危険性が高いでしょーけど(笑)。
 なおこの呪文は精神的な朦朧状態を解除するためにも使えますが、エネルギー消費が小さい上に全ての朦朧状態に有効な《覚醒》を持っていると何の意味もありません。ただし近接戦闘中なら話は別で、範囲呪文であるために敵にも無差別に効力を及ぼしてしまう《覚醒》よりも有効です。


光/闇系

《真闇》
 「闇視」を持つゲルーシャや魔法感覚を持つゴーレムにも有効な呪文です。一応、《闇》と同じく中から外を見る事が可能という事はくれぐれも忘れないで下さい。サーガ第1部でエフィが行ったように、射手や非戦闘員を庇うための呪文として使う事が多いかと。

《影操作》
 何に役立つかよく分からない呪文ですが、あえて用いるなら「曲がり角の待ち伏せで影を消す」という辺りでしょうか(15レベル以上あれば維持にエネルギーを使わないので)。
 ……そういった殺伐とした目的よりも、影絵芝居にでも使うべきでは。


物体操作系

《復元》
 ・エネルギー消費が多い。(《応急修理》《修理》の最低限消費が10kgの線である事を考えると、《復元》は最低でもエネルギー消費10)
 ・巨大な物を直す場合、集中時間が半分。
 ・欠片と補う材料さえあれば、技能判定に不利な修正を受けない。(《修理》だと原型が残っていないとダメで、しかも−5修正を受ける)
 という違いを持つ、《修理》の上位呪文です。これさえあれば灰になった古文書も糸しか残っていないぬいぐるみも復元できますが、悪用すれば新品の美術品や重要文書を複製する事すら可能になります(!)。もちろんそういう行為はペローマの戒律に抵触しますので、PCは基本的にやってはならない事でしょうね?

《金属純化》
 冒険での使い道は少ないですが、職を得るにはもってこいの呪文です。逆に言うとそれ以外にはあまり意義がありません(待て)。

《矢強化》
 「ダメージが小さくて個人戦には使えない」とご近所で評判のガープスの弓矢が、この呪文1つで使える武器に。21レベルあれば番える矢が全て瞬間的に技能+2・ダメージ+2にできるため、レスティリの弓使いならひたすらCPを注ぎ込むのも良いでしょう。

《爆砕》
 針金だろうがヘビー・プレートだろうが同じダメージを与える訳の分からない呪文です(ヘビー・プレートなら胸甲、籠手、兜といった部位毎にダメージを与えても構わないでしょうが)。扉は金具を発破するだけで破壊できますし、牢屋の鉄格子を破壊して脱出する事も可能です。ただし鉄製の鎧を着ていると、自分の防護まで丸裸にしてしまうのでご注意を(汗)。

《爆裂》
 アード君御用達の爆発呪文。21レベルにしてひたすら組み付けば最強……という訳には、難易度が「至難」なのでなかなか行かないようです。盾や「我慢強さ」「意思の強さ」はくれぐれもお忘れなく。

《神聖精錬》
 神聖武器(神殿特殊武器)を作るための呪文です。他の信仰の高司祭にも流用できますが、非金属武器を作る神殿で「精錬」は変ですので要注意。


呪文操作系

《幸運分与》
 英語名が「女神の口付け」ですが、これではタマットではなくアルリアナの呪文です(笑)。まあそんな話はさておき、実はこの呪文は、
 ・与えた「幸運」が使われるまで、術者は「幸運」を使えない。
 ・しかし、術者の「幸運」は失われない。
 という事ですので、実はシルフィがやっていたよーにパーティ全員に「幸運」を与えるという荒業も可能なのです。もっともそんな事ばかりやっていると、維持中による不利な修正が嵩み過ぎて他の事ができなくなりかねませんが(汗)。

《幸運》
 術者に「幸運」を追加してくれる有難い呪文です。ちなみにこれは通常の「幸運」とも同時に使えますが、使えるタイミングがプレイ時間基準ではなくゲーム内時間基準ですのでお間違えのないように。

《感知の壁》
 感情関係の感知にしか嘘情報を流せないという、相手に《罪意感知》がないとほぼ役立たずでしかない呪文です。追加エネルギー無しで触れている者にも恩恵が及びますが、本格的な尋問でそんな事を許してくれるわけもないでしょう。いざとなったら味方に《偽記憶》でも使って、本心から知らぬ存ぜぬを貫いてもらうしか……。

《幸運逆転》
 「幸運」《祝福》の乱用に対して効果的な呪文です。ただしNPCが使うならともかく、PCが使うのは難しいでしょうが。


精神操作系

《魅了の踊り》
 色気で誘惑するのではなく(爆)、踊りで誘惑する呪文です。準備に30秒掛かるというかなり悠長な呪文ですので、いくら部外秘の呪文とはいえ使い所を考えないと何の意味もありません(笑)。名前に反して与える効果は《忠実》相当でしかありませんので、相手が寄せ集めでもない限り同士討ちさせる事もできないという意外な使えなさも目立ちます。

《魅了の歌》
 《魅了の踊り》の類似呪文ですが、準備時間が10秒と比較的短い上に行為があまり怪しくない(笑)という点で有利な呪文です。しかし疲労も激しい上に命令の度に〈歌唱〉判定を要求されるため、使い辛さは似たような物かもしれません。

《慰め》
 精神的外傷を一時的に抑制する呪文です。GM裁量次第であれこれと便利な呪文ですが、「恐怖症/種別(重度)」(あるいはその他の重度の特徴)が完全には消し去れない事だけは気を付けて下さい(恐怖症の場合は《勇気》で大丈夫ですが)。

《カリスマ》
 《説得》より疲れますが長続きし、一度に全ての相手に影響を及ぼせる呪文です(系統も前提も関係ありませんが)。でも準備に1分掛かるため、とっさに使う事など不可能だという事にはご用心を。

《流言》
 空気感染の疫病さながらにデマを伝染させるという、悪用の仕方によっては破滅的な威力をもたらしかねない危険な代物です。準備時間が1分もあるので滅多な相手には掛けられませんが、使用人かザコを気絶させてから目標にし、仕上げに〈催眠術〉か《偽記憶》で気絶した事自体を忘れさせれば滅多な事では足が付きません(おい)。もちろん通常は酒場や広場のような人の多い所で、15レベル以上の術者が雑踏に紛れて使うのでしょう。ちなみに伝播の際の知力判定は呪文の達成値と無縁ですので、高司祭や魔術師にデマを流す事はほぼ不可能と見て下さい(笑)。荒唐無稽な嘘を流すのも不可能だという事もお忘れなく。
 ……ところでこの呪文、(目標判断で)「嘘でない事」を流布させる事はできるのでしょうか(笑)。

《欲望増幅》
 ほんの少しでも抱いた欲望でも歪めて増幅させるという効果を持ちます。思春期のPCに使ってサービスシーンなどとゆー邪悪な事を目論むのも一興(ソードブレイカーで斬首)。

《不信》
 目標が狼少年にされてしまう悪質な呪文です。わざと嘘ばかり付いていればそれが信じてもらえず結果として真実が伝わるでしょうが(笑)、しばらく評判が落ちるのは覚悟の上で。

《快活》
 他人を愉快にさせる手軽な呪文ですが、戦闘に役立つほど劇的な効果はありません。「どうしようもなく相手を怒らせた時にこの呪文で切り抜ける」そうですが、呪文が切れた後のフォローまでは記されていませんので注意(汗)。

《奔放》
 データの大半は《快活》と一緒ですが、異性相手にはずっと役立ちます。ただし乱用し過ぎると、重要NPCがホモに設定される危険もあるのでほどほどに(待て)。

《詠嘆》
 データの大半は《快活》と一緒ですが(以下略)。

《涙の忘却》
 《安産》と同じくらい使い所の難しい呪文です。更にイアナン信仰は追加データのマイナーなものなので、実際にゲーム上で使われた事はないでしょう(おい)。

《執着》
 データの大半は《快活》と(以下略)。

《絶対の怒り》
 こんなのでも一応、双子の月の呪文です。こーいう呪文を使えるエレアラがのーのーと動き回りナーチャが迫害されるのはある意味納得できません(汗)。

《強き想い》
 はっきり言うならば、「グリモア」の呪文の引き写しです(総合データ集から必要な物だけ抜粋、というのは他の背景世界でもやっている事が多いですが)。しかも「パワーアップ」ではそのまま《意思強化》という名前で登場し、その上にサリカとジェスタの特殊呪文として使用が認められています(汗)。

《かりそめの封印》
 独自の技能や呪文を封じる、一時改宗用呪文です。他の神殿にも改宗用呪文はありますが、そちらは「かりそめ」ではないため、名前を変えて使わせて下さい。


移動系

《絡みつく縄》
 片方の端を動かせないという制限こそあるものの、縄を自由に這わせられる呪文です。十分な長ささえあれば、足場が無くても崖の上の木に縄を結び付ける事すら可能でしょう。ただし術者は疲労困憊して動けない確率も高いですが。
 この呪文は一応戦闘にも使えますが、縛り上げる際には目標値に−4されてしかも相手は敏捷力で即決勝負できるため、オーガーか馬相手でもないと有効な攻撃とは言えません。ここは鎖でも持ち歩いて、呪文を掛けてから〈投げ〉で同一ヘクスに放り込んで差し上げましょう。抵抗呪文の目標値上限の「16or目標の抵抗目標値」ルールが適用されないため、レベルを目一杯高くするのも有効です。

《絡みつく鞭》
 特殊武器にしか効かないという、非常に典型的な用途限定呪文です。特に言う事はないので以上(笑)。

《稲妻のごとく》
 投擲武器や射撃呪文を高速発射する呪文です。くれぐれも《電光》に使って受けを取らないように(……というかそもそも、射撃呪文を持っている状態で防御呪文以外は使えないはずなのですが……この呪文が例外でない限り)。

《滑走》
 そりやスキーの滑る向きを操作できる、まさしくルークス以外では用途の少ない呪文です(おい)。高司祭専用呪文ですが、《素早い斧》と同様に魔化が可能です。
 「速度は変更できない」そうですが、上へ「滑る」際の傾斜角はどーいう扱いになるのでしょう。

《疾駆》《人馬一体》→動物系


死霊系

《死人祓い》
 《死人返し》のバージョンアップ版です。特殊呪文であるにもかかわらず神官が修得できるという変わった呪文ですが、強力であるという点には異論はありません。ただし準備時間が長いのも元の呪文そのままですので、集中している間にやられないように(汗)。

《武器聖化》
 武器でアンデッドに与えるダメージをちょっぴり増加する……だけの呪文です(汗)。「通常の武器では傷付かない」アンデッドには確かに有効ですが、「いかなる武器でも傷付かない」アンデッドには効くか怪しいというのは悲しい所でしょう。持続時間は長いので、《火炎武器》《氷結武器》とは違って連戦にも耐えられるのですが。

《降霊術》
 死霊系が必ずしも邪悪でないという事を示す、ナーチャの特殊呪文の1つです(情報伝達系や精神操作系にも、《肉体交換》《奴隷》といった邪悪度の高い呪文は多く見受けられますから……)。あんまりPCが使う呪文でもないでしょうが、《霊媒》との間には、
 ・《霊媒》より素早く唱えられ(準備時間が、《霊媒》の1/30である10秒のみ)、持続時間も長い(維持はできないが)。
 ・抵抗される事もなく、死んでからの年月による不利な修正も受けない。
 ・霊に嘘を付かれる可能性もあるが、得られる情報数は遥かに多い。
 という多くの相違点が存在する事に注意しましょう。《霊媒》が死霊に掛ける《精神探査》っぽいのに比べると普通の情報収集に近いですので、〈外交〉〈言いくるめ〉〈嘘発見〉などといった技能の使い所です。

《死人の癒し》
 これは治癒呪文ですが、アンデッドに何の抵抗もなく《大治癒》が有効なガープスではあまり意味の感じられない呪文です。自分に掛ける際にも不利な修正を受けませんが、アンデッドをPCとする事は普通有り得ないのでそんな事はプレイヤーにとって何の意味もありません(汗)。

《死人の安眠》
 あまりPC向きでない呪文です。《安産》同様にストーリーのフレーバーとするのが最適でしょう(待て)。

《ワイト作成》
 黒の月の呪文であるにもかかわらず、グラダスではシュラナート時代やそれより以前に公然と使われていたというとんでもない呪文です(笑)。恐らくは黒の月の波動をフルに使用したいわゆる「邪術」ではなく、単に違法化されてからおおっぴらには使われなくなったと解釈するべきなのでしょうが……。ワイトは結構強力ですが材料の吟味にやかましく、呪文の準備時間が《死人使い》の10倍掛かる事もあり、窮地に追い込まれても泥縄式に作ったりできない事に気をつけて。

《死の猟犬作成》
 息の臭い犬を作成する呪文です(笑)。《ワイト作成》同様に準備時間が長いですが、材料入手がまだしも楽ですのでお奨め……してどーする!

《死人修復》
 《死人の癒し》とは違い、アンデッドを道具扱いにするような名前です。回復量では劣るものの何回使っても不利な修正は受けないままですので、陰険なGM……もとい悪役はこれを21レベルで修得し、毎ターン再生し続けるといった荒業も可能でしょう。一緒にTRPGをしてくれる相手を無くしたくないのでしたら、くれぐれもヴァンパイア・ソーサラーやアンデッド・ソーサラーにそういう真似はさせないで下さい!


植物系

《樹霊覚醒》
 《化身》とは逆に、あまり巷で使う人の見られない(と思われる)〈導き手〉共通呪文です。確かに緑の月の祖霊植物など、森の外で見られるよーな代物ではありません。せめて森の中の冒険ならば、もう少しは有効な呪文ではないかと……。

《くすぐり枝》
 《見張り森》などと同レベルに役立たせにくい呪文です。持続時間も短いので罠にもなり辛いですし。

《収穫》
 冒険より日常生活で役立ちそうな呪文です。しかしゼクスの主産業は遊牧なので、日常生活でも草刈り程度にしか役に立ちません。


防御/警戒系

《時間遡航》
 「まっとうでない」サリカ高司祭の奥義(爆)。別名「リセットボタン」と呼ばれるだけあって、パワーストーンをフル活用した呪文がファンブルしようと、トロールの攻撃を防御ファンブルしようと、挙句の果てには生死判定に失敗しようと、全て時空の彼方に抹殺できるという最強の防御呪文です(ただし、クリティカル攻撃を受けると防御呪文で庇えないので一巻の終わり)。まあエネルギー消費が5点(文庫版では8点)もあるため、20点オーバーのパワーストーンを何個も所持しているような誰かさんでもないと乱発できないでしょうが(汗)。

《鉄の体》
 いかなる攻撃も完全ガード可能という、究極の防御呪文です。エネルギー消費4点はちょっと高過ぎるかもしれませんが、
 ・1点…《鉄の腕》:「受け」られる攻撃のみに有効。
 ・2点…《瞬間回避》:「よけ」られる攻撃なら全てに有効。〈身体感覚〉に失敗すると手順が空いてしまう。狭い場所で周囲を囲まれていると失敗率が高い(ランダムな回避方向の3ヘクス以内に空きがないとダメです)。その上に《瞬間移動阻止》にも引っ掛かる。
 ・3点…《退避》(グリモア、一瞬幽体化して回避する呪文):《瞬間移動阻止》に引っ掛かる以外、「よけ」られる攻撃なら全てに有効。
 ・4点…《鉄の体》:ありとあらゆる攻撃を、何のリスクも無しに防御できる。
 ……という点を考えると、結構妥当かもしれません。
 あと、この呪文は行動を凄まじく制限するために逃げ足封じや呪文封じにも使えます……何だか本来の使い方するのは誰もいないような……。

《鋭敏な番犬》
 便利版の《番犬》です。これさえあれば「腹を減らした獣攻撃」や「翼人がいる事を知らずに足を踏み入れた〈龍〉信者攻撃」などのGMが繰り出す数々の卑怯攻撃を鮮やかに無効化してくれる事でしょう(待て)。


音声系

《轟音噴射》
 最大でエネルギー消費16点により長さ16ヘクス、幅3ヘクスの麻痺轟音を噴射するという豪快な呪文です。もっともエネルギー消費が嵩む上に集中に4秒を要するため、そうそう有効な機会など存在しないでしょう。「大群」や密集集団でも出ない限り、《音噴射》で1体ずつ撃沈した方が安全です。


その他

《〈悪魔〉変身》
 呪文というよりも特殊能力です。面倒ならば、「〈悪魔〉との契約者」(−10/0CP)に1CP分含まれていると解釈する方が良いでしょう。

「パワーアップ」の追加呪文
 「SKA」「MC」の呪文のほとんどが、ルナル世界でも1095年頃を境として大挙して開発されている事にできます(……尻尾や毛皮付きウィザード専用呪文なんかもありますが)。銀の月については言及されていませんが、精霊系なら使わせても問題はないでしょう。
 なお、鎧の防護を完全無視する《陽光撃》は、凶悪なので封じ手にした方がいいかと愚考致します。


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