◇新大陸通信・12号◇


 アルフレイムの街、あるいは村や砦などを創作するサンドボックスです。


◇街に必要な物

・住民
 生産したり増えたり、病に倒れたり思うようには増えなかったり、条件が有利なら流入して不利なら流出する、そんな人達です。
 一旦は20世紀初頭レベルまで進化した社会なので、ファンタジーとしては住民の声の重要性が高く、人権もある方のはずです(Wikipediaで20世紀初めのあれこれを巡回しながら)。
 通常の街では多数派は人間ですが、ラクシアでは他の人族という事もあります。蛮族や幻獣などは基本的に圧倒的少数派です。

・リーダーと政府
 リーダーは世襲か選出か、というのが思い当たりますが、「特定の枠から選出」という中間タイプもあります。選挙制度は情報が広く行き渡らないと難しいため、広範囲で実施するのは難しく、選挙権や被選挙権が限定されているかもしれません。
 政府は封建制度が多いようですが、対蛮族・魔神のために、トップの権力はそれなりに強めでしょう。官僚を大勢使うより、有力者にある程度丸投げするのもありがちです。
 この辺りはあまり詳しくやっても実プレイには絡みにくいため、ほどほどにとどめましょう。楽しいのは分かりますけど、ね?

・主産業の生産地
 農業の集積地、畜産でにぎわう街、魔晶石の採掘で潤う集落、屋根を並べる工廠、交通の要衝に立ち並ぶ駅前の宿屋……街の繁栄の源となる産業は様々です。特に大規模な街では、1つの産業にしか頼っていないという事はそうそうありませんので、複数の産業をバランスよく、なおかつ重点産業も考えながら割り振ってみましょう。

・団体
 神殿や職業団体、店舗などです。どの神殿や団体が有力なのかで、街のカラーも変わってくるでしょう。

・外部との交通手段
 あまり不便だと、自給しきれない産物(金属とか農産物とか)を手に入れるのが難しくなります。街道や航路はもちろん、アルフレイムでは鉄道の有無は発展に大きく影響します。

・対外関係
 上位の中心都市があったり、対等関係の街があったり、服属している村や砦があったりします。外部の大組織との関係も重大です(特に関係が悪い場合!)。

・冒険者
 「ソード・ワールド2.5」が冒険者のゲームである以上、冒険者は重要です(というくらいに割り切ってください)。冒険者ギルド支部の設定は、名前と受付のキャラクターくらいで最初はいいかもしれません。冒険者ギルドは、「2.0」のテラスティアの冒険者の店とは違い、基本的に政府からは自立した存在になっている事に注意してください。


ここで実際に作ります。


◇ナニモ村

 マグノア草原国の、ドーデン横断鉄道からやや離れた場所にある、村人はこぞって「何もない」というような村です。大麦やライ麦やビートや馬鈴薯などを作る畑、家畜を飼う牧草地、水場になる小さな川、露天掘りの小規模な魔晶石鉱山などがあり、遊牧民の冬営地にもなっています。遠くの街の伯爵の領有下にあるのですが、普段はほぼ伯領政府との関係はなく、収穫後に税を物納したり、外敵から守るために雇った冒険者を派遣したりするくらいです。

◇西集落
 人口は約100人。魔動機文明時代中期にできた集落で、おもに農業や林業をしています。中央に通っている広い道沿いに、村の寄り合い所を兼ねたライフォス神殿、住民は「店」としか呼ばない雑貨屋、食堂兼宿屋があります。人口比は人間とリカントが4割ずつ、他が2割くらいです。

・村人の家
 直系家族(祖父母・父母・子)がまとめて住んでいます。2〜4部屋くらいの居室、台所、風呂とトイレがあり、水は近くの井戸や川から汲んできます。木材が少ない草原のため、壁や屋根には石を使っています。

・村長の家
 村長(リカント(ビーグル犬)、女、40歳くらい)の家です。村では珍しい2階建てで、中庭に井戸があります。村長は村の寄り合いで決め、仕事はライフォス神殿でしているため、仕事関連の書類はこちらにはありません。

・ライフォス神殿
 寄り合い所や村役場として扱われていますが、ちゃんと神聖魔法の使える神官(人間、女、30歳くらい)がいます。毒や病気は神官が癒してくれますが、村人でなければお礼の喜捨くらいしてあげましょう。

・雑貨店〈燕の寝床〉
 村で唯一の雑貨店です。保存食など、比較的安価な消耗品はここでも買えます。衣服や装飾品も在庫があれば買えるかもしれません。店主(メリア(長命種、バウヒニア)、女、約100歳)は自分用のゴーレムの素材を持っており、永久化していない素材は交渉次第で通常価格で譲ってくれるかもしれません。

・食堂兼宿屋〈サヨナキドリ亭〉
 仕事で来る役人や商人、そして冒険者が食事や宿泊をできる唯一の場所です。行商人が店を開いたり、吟遊詩人が歌ったり、医者が巡回診療所を開いたりもします。店主(リルドラケン、男、50歳くらい)は元冒険者で、前にいた別のリルドラケンから店を譲り受けました。人当たりが良く料理上手で、小鳥を丸のままかじる癖以外は、村人からも好評です。

・馬具屋〈銀の蹄鉄〉
 蹄鉄を作ったり、馬車の修繕をしたりする店です。店にいる技師(人間、男、40歳くらい)は、村で共有している農業用魔動機を修理するノウハウを持っています。

・穀倉
 穀物の倉庫です。湿気を避けるために床が張ってあり、その上に麻布の袋に詰めて積んでいます。

・鳩の塔
 集落を取り囲むように立ち並ぶ、石造りの塔のような鳩小屋です。鳩の大半は近くの街に出荷されていますが、それなりに村人の口にも入ります。

・養魚池
 水草の茂る池で、鯉やソウギョなどを飼っています(たまにイトウやチョウザメのような大物もあります)。一人の漁師(エルフ、男、200歳前後)が[剣の加護/優しき水]で魚を簡単に獲ってしまうため、乱獲を防ぐために水揚げが制限されています。

◇東集落
 西集落から1kmほど東にあります。こちらも人口は100人ほど。〈大破局〉の避難民が住み着いて大きくなった集落で、おもに牧畜と鉱業で暮らしています。集落の中央に元からあったティダン神殿があり、学校もこちらにあります。人口比は人間が6割、ドワーフ2割、その他2割くらいです。

・冬営地
 遊牧民の冬営地です。遊牧民のうち乳幼児や老人などは東集落に定住していますが、自分で馬に乗れる年になったら遊牧に出ます。ここを冬営地にしている遊牧民は100人くらいの集団で、大半が人間です。

・遊牧民のテント
 アルフレイム大陸で一般的な、円錐形のテントです(地球でいうと、ティピーに近いものです)。この形は神紀文明時代のアルフレイムの先住民から受け継がれたといいます。大きさは様々ですが、一般的なものは4〜5人くらいで使います。

・ティダン神殿
 東集落の寄り合い所になっていて、穀倉も併設しています。ティダン神官はいませんが、シーン神官(リカント(リビアヤマネコ)、女、20代半ば)が代わりに堂守りをしています。戦士としての技量は高いのですが、神聖魔法はあまり得意ではありません。

・ナニモ村初等学校
 6〜12歳くらいの子供が通う学校です。キルヒアの祠がありますが、今のところキルヒア神官はおらず、街で教師をしていたお爺さん(人間、男、60歳くらい)と侍女(ルーンフォーク、女、5歳(外見15歳))が先生をしています。中等学校へ進学するには、街へ出なくてはいけません。

・鍛冶屋〈山椒魚の黒焼き〉
 農具や工具、鍋などを作っている鍛冶屋です。武器や防具は専門外です。鍛冶屋(ドワーフ、男、50歳あたり)は同業者の多い街で仕事にあぶれて流れてきたため、街の住民に冷淡です。

・グレンダールの祠
 集落の近くに湧いていた泉が、〈大破局〉の影響で熱湯を噴き上げるようになりました。グレンダールの祠では熱湯を引き込み、スチームバスや野菜蒸し器にして村人に提供しています。祠の管理人は鍛冶屋の息子(ドワーフ、男、20歳前後)で、妖精魔法も学んでいます。

・水車小屋
 魔法文明時代は神秘的な目で見られたり蔑視されたりした水車小屋も、現在では普通の職業です。ここの水車はおもに脱穀用の動力として使われており、配水機能はありません。

・魔晶石鉱山
 露天に露出している魔晶石の鉱脈です。大半は屑魔晶石で、村や近隣の魔動機の所有者へ直接売られます。

◇北集落跡
 西集落から2kmほど北にある、魔動機文明時代の集落跡です。大きさは現在の西集落よりやや大きいくらいで、最盛期でも200人を超えなかったとみられています。〈大破局〉で壊滅して以来、もともと土地が痩せていたため放棄されました。動かせる遺物は村人が回収済みですが、現在は住居跡にグラスランナーが居ついたり、蛮族が潜んで冒険者が呼ばれたりしています。

・城塞跡
 魔動機文明時代前期の城塞の跡で、集落ができた時には既に廃城になっていました。住居として一部が再利用されていたため、原形をとどめておらず、防御力はありません。

・旧墓地
 魔動機文明時代の墓地がそのまま残されています。〈大破局〉の死者も埋めたのですが、レブナントが発生してしまい、それも集落を放棄する理由になりました。宝探しに立ち入る者もいますが、魔法文明時代の貴族ならともかく、魔動機文明時代の一般人の墓にそんなものはなく、ただの墓荒らしです。

・修復された家屋
 北集落の跡に移住しようとした村人が、家を1棟修復して住めるようにしました。その村人は行方不明になり、蛮族に襲われたものと考えられていますが、無責任な噂が話をどんどん膨らませている真っ最中です。

・工場跡
 魔動機文明時代の工場で、〈大破局〉で破壊されて大勢の死傷者を出しました。村で使える物はできるだけ回収しても、大型の産業用魔動機が回収できずに残っているそうですが、引き上げるコストに見合わないと考えられて放置されています。

・魔術師の塔
 魔法文明時代の塔の遺跡で、上の方は半分崩れています。地下にも遺跡が広がっているのですが、通路が落石でふさがっているため、そのまま放置されています。

・グラスランナーの小屋
 グラスランナーの“愉快な三人組”が簡易的な小屋を組んで、近くで狩りをしたり野草を採集したりしています。それぞれ石、キノコ、いろいろな欠片を集めているため、貴重な物を偶然手に入れているかもしれません。

・廃街道
 小さな街道でしたが、ドーデン横断鉄道ができてから人の流れる方向が変わって廃れてしまいました。今では遊牧民が通ったり、草原国軍の騎兵隊が通ったり、街道沿いの遺跡を探す冒険者ギルドの探し屋が巡回したりしています。

◇村の周辺

・火焚き小屋
 収穫期に動物が畑を荒らさないように、火を焚いて見張る小屋です。リカントやドワーフなど、暗視の利く種族が見張りに立ち、蛮族などが現れると信号を送って冒険者に知らせます。

・ダリオンの祠
 森の入口にあるダリオンの祠です。村人は祠の近くの樹や下草を手入れして、伐採しては新しい苗を植えています。管理人は近くのエルフの集落から交替でやって来ます。

・272km駅
 ナニモ村から南へ4km、歩いて1時間くらいの場所にあるドーデン横断鉄道の駅ですが、標識とプラットホーム、そして数本の側線と手旗信号士の小屋しかありません。こちらに集落がないのは、いい牧草地がなく、土地も痩せていて、近くにエルフの集落の狩場があるからです。
 利用者が少ないため、ほとんどの列車は通過します。1日2本の旅客列車と不定期の貨物列車が停車して、キングスフォールまで7時間くらいかかります。

・三本木の岩
 上に生えていた3本の木ごと浮かび上がった浮遊岩で、元の木はすべて枯れて、今は新しい木が生えています。マナタイトを含んでいるはずなので、回収しようとする案が村でも出ましたが、安全に回収する手段と期待できる収益が釣り合わずにいます。

(コンセプト)
 普通の、でもドーデン地方っぽさがある村です。村レベルなので神殿がぽろぽろと欠けていたり、そもそもお店も少なかったりします。


◇“沈める街”サンケン

 ドーデン地方の、キングスフォールから南西に行った先にある海沿いの街で、南方国際鉄道の支線が通じています。元は平地にあった街ですが、〈大破局〉で平地の半分が沈み、街も東側だけが残りました。おもな産業は干し魚の製造と農産物の取引です。人口は2000人ほどですが、拠点にしてスィーク海に出ている漁師が多く、周辺の土地で働く農民も多いため、商工業で生計を立てる住民は1000人くらいです。住民の大半は人間かリカントで、漁師には赤い肌のエルフも混じっています。

◇旧市街
 魔動機文明時代の前期にはあった市街地で、〈大破局〉の被害を免れた区域です。人口が減ったため、無人の区画も多く、石造りの廃屋や空き地を転用した家庭菜園もあちこちにあります。

・広場
 旧市街の、物理的にも機能的にも中心です。午前中には市場が立ち、午後にはスポーツや散歩でにぎわいます。

・ライフォス神殿
 広場に面した神殿です。正面に演説壇があり、休日の説法などで使われています。市会議員やキングスレイ代議員の選挙の投票所にもなります。

・市庁舎
 ライフォス神殿の隣にある役所です。市会議員から互選で選ばれた市長がいます。警邏隊もありますが人数は少なく、治安は住民を組織した民兵に、防衛は鉄道卿の私兵に頼っています。

・ティダン神殿・シーン神殿
 ライフォス神殿の向かいにある神殿で、こちらの方が大きく立派です。

・ミィルズ神殿
 朝昼晩に料理が作られ、1ガメル以上(だいたいは2〜3ガメル)の寄付をすれば大皿1つ分下げ渡されます――明白に神々の信徒でないタビットやルーンフォークなど、あるいは非常に態度が悪い者を除いて。大広間や中庭は、大規模な会食に使われています。

・カジキの上顎亭
 お茶や檸檬水などを飲める喫茶店です。昼には焼き魚も出しています。

・マギテック協会
 マギスフィアやガンの販売もしていますが、ほぼ農業や漁業用の魔動機の修理屋です。一応、不定期で魔動機術の初級講義もあり、1〜2レベルになるには十分なものです。

・職人街
 農機具や漁撈用具をおもに作っている店が集まっています。

・ミルタバル神殿
 神殿というかほぼ祠ですが、職人街のコミュニティの中心として、1人だけですが神官もいます。

・マスタードロータス
 蓮根の穴にマスタード入りのペーストを充填して揚げた料理が名物の宿屋兼冒険者ギルド支部です。ほぼ宿屋が本業で、依頼の受付や裏取りは本部から派遣された連絡員が行っています。所属している冒険者も基本的に住民であり、レベルが上がるとよそへ行きがちです。支部のシンボルは、蓮の花をあしらった真鍮の装飾品です。

・黒い鎌刀(コピシュ)
 武具と冒険用品の店で、魔法の品も扱っています(貴重な品は注文取り寄せになります)。売り物だったブロードソード+1が作り出した“魔剣の迷宮”により、店内は外見より拡張されています。

・上善之滴
 蒸留酒をおもに売っている酒屋です。店飲みはできません。もとは〈大破局〉後の食糧配給所であり、薄暗さも感じる重々しい外見と、路地の奥という見つけがたいアプローチが新規の顧客を大幅に拒んでいると思われますが、客に合わせた魔法のような品揃えと、レプラカーンの店主の引きこもりがちの性格が、リニューアルを拒んでいます。

・潮の泡
 洗濯屋であり、近くの湖で採れる天然ソーダを使った石鹸も売っています。神殿や宿屋のリネン類の洗濯を請け負っています。

・ミリッツァ神殿
 住宅に埋もれたようにある小さな神殿で、幼児の保育や孤児の育成もしています。

・初等学校
 5〜10歳くらいで通う初等教育の学校です。1学年1クラス(30人くらい)、先生は10人くらいいます。教科は「交易共通語」「地方語」「算数」「科学」「歴史地理」「宗教」。人間以外は種族語を選択教科で学びます。ルーンフォーク、メリア、タビットのような学習期間が異なる種族には対応できないため、家庭教育も組み合わせます。

・中等学校
 成人前に通う中等教育の学校です。遠くの集落から来る生徒のために寮舎もあります。初等教育に加えて、「工学」「家政」「美術」「音楽」などの選択教科もあります。

・キルヒア神殿・魔術師ギルド支部
 学校の管理を請け負っています。素質のある生徒に真語魔法や操霊魔法を教えたりもしています。

・港
 元にあった港は〈大破局〉で沈み、新たな海岸に新しく港が作られました。おもな用途は漁港ですが、たまに交易船が立ち寄ります。

・イーヴ神殿・ハルーラ神殿
 港の灯台や砦を兼ねた神殿です。

・森林区
 街ができる前からある巨木……から芽吹いた大木……から芽吹いた木が立ち並ぶ一角です。妖精使い、メリア、エルフなどが住んでいます。

・アステリア神殿
 森林区にある古い木造建築です。

・倉庫街
 旧市街のところどころにある倉庫の区画です。〈大破局〉直後は難民キャンプに利用されていましたが、定住や再移転などで難民は出ていき、いま定住しているのは倉庫の管理人くらいです。人気が少ないため、子供達は倉庫街へ行かないように言いつけられています。

・ストレージ(物置)
 倉庫街の放棄された区画(〈大破局〉で所有者が死んだり倒産したりした区域です)を、難民、ギャング、蛮族の勢力圏から逃げ出した蛮族などが不法占拠しています。遺跡ギルドの密売買施設も隠されているそうですが、民兵や私兵からは見過ごされています。

・城壁
 魔動機文明時代中期にできた、星型の平面をした丈が低く分厚い城壁です。東西南北に門があり、鉄道は城壁のすぐ外を通っています。〈守りの剣〉の聖堂がどこかに隠されているそうです。

・水堀
 城壁の外側にある堀で、海水が入り込んで汽水域になっています。年に一度底ざらえをして、ついでに魚や貝を獲っています。

・サンケン駅
 旧市街の南にある駅です。旅客列車が1日に2本、貨物列車が5〜6本あります。駅の西に続いていた線路はそのまま海に突っ込んでいて、夕方には線路の先に沈む太陽が見られます。
 駅自体にも防壁があり、街の出城(でじろ)のようになっています。

・ストラスフォード神殿
 駅に併設されている神殿です。キングスレイの国教ですが、キングスフォールにおけるほどの信仰は得られていません。信徒はほとんどが鉄道関係者です。

・ライダーギルド
 駅の西側(海側)を使っています。水棲の騎獣も扱っています。

◇新市街
 魔動機文明時代後期にできた市街地で、今はほとんどが海に沈み、高層建築の上層が水面に出ています。

・水没ティダン神殿
 港のすぐ外にある、沈んだ神殿です。屋根だけが水の上に出ており、釣り人が釣り糸を垂れています。

・アパートメントエリア
 高層住宅が並んでいた区画です。屋根から天水を集められる一部の建物には、今でも定住者がいます。定住しているのはおもに漁師のエルフで、建物に寄ってくる魚を取っています。

・高級住宅地
 海底に並ぶ朽ちかけた住宅の合間を、動作異常を起こした魔動機が巡回しています。

・新サンケン駅
 駅舎の塔だけが海面に突き出ています。海底の駅には車両が残されており、いい漁礁になっています。

・ビズクオーター
 新市街の商業区画で、商会や銀行などが集まっていました。アンデッドの巣窟になっており、近付くだけで危険です。

◇街の周辺

・耕地
 周辺の平地に広がっていた耕地は、西側は水没したため、東側にだけ残っています。農作物を出荷しやすい鉄道沿いから復興が始まり、それでもまだ放棄されたままの耕地や農村跡が散らばっています。

・ダリオン神殿
 放棄された農村跡にある、崩れかけた神殿です。現役の神殿であり、礼拝も行われています。

・漁師の島
 魔動機文明時代に洪水対策でかさ上げされていた神殿や役所などが〈大破局〉で避難所となり、生き延びた人々は本土へ移住しました。取り残された島は漁師の水揚げ場や作業場所になっています。

・航路
 〈大破局〉で沈んだ土地は海になっていますが、非常に浅いため、大型船はもとの河道を通るように誘導されています。

・魔法の島
 魔法文明時代の街だったらしい遺跡が、〈大破局〉の地震により海上に浮上しました。探索を試みようとしたらしい蛮族の死体がたまに流れているため、人族サイドはどうなっているか確認をしていません。

・硫黄の山
 東にある台地の上から〈大破局〉にともなう噴火でできた山です。硫黄を採掘するためにできたドワーフのキャンプが、旅人のために温泉宿を開いています。

・妖魔放りの谷
 〈大破局〉で死んだ下位蛮族を埋めた谷です。たまにアンデッドが出現して、そのたびに冒険者や私兵が退治する悪循環を起こしています。

・ダルクレム神殿
 〈大破局〉で一帯を荒らしまわった蛮族が、既存の建物を改造した神殿です。放置されて無人のはずですが、夜中にどうなっているかの話は一切聞きません

・魔動機工場群
 魔動機文明時代の工場跡です。1つだけが現在も操業しており、他の工場跡からの発掘品を修復しています。夜間には敵対的なアンデッドが出るため、退勤は日没までに!

(コンセプト)
 管理しやすい大きさをした、小さな街です。〈大破局〉の影響がどれだけ残っているのか想定するのもポイントだと思っています。


◇“白樺の街”ホワイトバーチ

 フレジアにある森林の街で、エルフだけでなくメリアも多く住んでいます。人間名で呼ばれているのは、エルフ語でも妖精語でもない中立的なものとしてです。

・門の樹
 街道沿いに並ぶ一対の樹です。昼間はもちろん、夜間も暗視のできるエルフと眠らないメリアがともに見張っています。

・外縁(罠ゾーン)
 部外者には分からないような罠が、街の外縁部に仕掛けられています。獣や下級蛮族よけです。

・大通り
 並木と草木で飾られた通りです。吊るされたランタンには、夜な夜な魔法の明かりが灯されます。

・ティダンとシーンの広場
 夫婦神の神殿に面した広場で、曜日ごとに様々な市場が開かれます。固定店舗は少ししかありません。

・ハルーラの広場
 ハルーラ神殿の境内にある広場で、夜にはメリアが集まっておしゃべりをします。

・木陰の光
 ハルーラの広場にある冒険者ギルド支部で、商人宿と戦利品買取所を兼ねています。

・果樹園と木下畑
 果樹の合間に、直射日光に弱い作物を育てています。

・湖沿いの港
 フレジア各地の湖沼を結ぶ水路を熟知するエルフは、マグノア国境からフレジア市までの水上輸送を支配しています。

・沖の島
 島にもエルフがいて、漁業の拠点にしています。

・ライダーギルド
 水棲の騎獣に強い品揃えをしています(魔動機も含む)。

・養魚池
 ラクシアのエルフの、狩猟肉を上回る好物を育てています。メリアは、湿地を好む草木のメリアでもない限り、大抵は魚より肉の方が好きです。

・泉と水路
 エルフの治水技術の結晶により、各家庭の最寄りの貯水池まで浄水を引いています。飲み水としては、そのまま飲むのではなく、薬草茶にするのが一般的です。

・水車とアルキメディアンスクリュー
 これも高度な治水技術によるものです。

・樹木の家
 樹木を生育とともに魔法的な造形を施し、家の形にしたものです。

・キルヒア神殿
 普通の木造建築に見えますが、魔法で強化されています。この街の魔術師ギルドと“知識の剣”塔はここにあります。

・アステリア神殿の樹
 樹木と一体化した建築で、神官だけでなく妖精使いや森羅導師も集まっています。

・領主の館
 湖の上に、半ば沈んだようになっている、魔法文明時代以来の城です。

・ダリオンの樹
 長命種メリアのダリオン司祭が変じた大木を中心とした、野外神殿です。附属する建築がありますが、そちらは神官たちの住居や倉庫で、神殿そのものではありません。

・塚山
 〈大破局〉で死んだエルフやメリアたちの墓です。墓守の操霊術師が、報酬を払えば仲間を蘇生させてくれることでしょう。

・ナイトメアの塔
 隠遁したナイトメアたち(エルフ生まれに限らない)が集まって暮らしています。タイムスケールがエルフや長命種メリアと合いやすいため、ストレスも少なくて済みそうです。

(コンセプト)
 人間の街との施設の違いとかを考えました。


◇“刀剣の街”シュヴェアト

 ファング山地の浅い所にある地底都市です。多数派のドワーフのほか、レプラカーンも住んでいます。

・鉄道駅
 鉄道本線から一駅だけ分かれる支線の終点です。長大な貨物列車が一日に数本と、分岐駅行きのレールコーチが一日に2本出ています。

・ストラスフォード神殿
 鉄道ギルド支部が同居しています。信徒はほとんどが鉄道関係者です。監査用レールコーチによる移動神殿を所有しており、鉄道事故の救援などに使われます。

・大門
 都市の入口だけでなく、地下道の要所にもあります。鉄とマナタイト製の重厚な扉で、周囲の岩盤も含めて魔法で強化されているため、破壊は容易ではありません。

・イーヴ神殿
 アルフレイム大陸でも北寄りの地方であるため、防衛拠点としての規模が大きくなります。

・主要地下道
 馬車がすれ違えるほどの広さがある、広い地下道です。異種族向けに、点々と魔動機の照明があります。

・鉄道トンネル
 貨車の引き込み線が、地下道とはまた別に延びています。

・市場広場
 自然の空洞を拡張した、広々とした空間です。壁沿いは何段かに分かれ、そして無数のトンネルが延びています。
 街には同様の広場がいくつかあり、お互いに地下道でつながっています。

・ライフォス神殿
 市場の管理と、対異種族の窓口となっています。

・ミィルズ神殿
 大食堂を併設しています。テラスティアのサカロス神殿とは違い、酒は食事の添え物程度にしかありません。

・真鍮の匙
 冒険者ギルド支部兼酒場ですが、冒険者のみ宿泊が可能です。定住している冒険者の大半は暗視可能な種族です。

・キルヒア神殿
 マナの神として、魔晶石関連業界が崇めています。ミルタバルも併せて祀っています。

・ガメル神殿
 街で産出される貴金属の一部を、ガメル硬貨にしています。

・アールマータ神殿
 魔動機を多用した多目的競技場を持っています。

・マギテック協会支部
 産業用魔動機に強く、部品のあれこれを発掘したら買い取ってくれることもあります。

・遺跡地区
 〈大破局〉で被害を受けて放棄された地区です。貴重品は持ち出されていますが、定期的に警邏隊の巡回をしています。

・遺跡ギルド
 遺跡地区や街近くの遺跡群の発掘者を束ねる組織で、発掘業者複数の看板を掲げています(そして、違法物品を横流しする部署は、看板なんか掲げていません)。危険な遺跡を掘り当てたり隠したりして、最終的に冒険者やヴァグランツに泣きつくこともしばしばです。

・地上への坂道
 地上にある農地や放牧地に通じる道です。農地と放牧地は険しいテーブル状の台地の上にあり、他の地上へ通じる道はありません。

・枝道
 ほぼドワーフとレプラカーン専用の、個別の住居につながる地下道です。照明は基本的にないので、暗視のない種族は明かりが必要です。

・大昇降機
 地下道網の要所をつなぐ昇降機です。24時間運行ですが、夜間は本数が少なくなります。

・自然洞窟との接点
 取水・排水・換気に使われます。

・グレンダール神殿
 石を岩盤から掘り込み、貴金属で彩った、重厚な建物です。ゴーレム使いの操霊術師や火の妖精使いも、神殿に集まっています。

・市庁舎
 グレンダール神殿の隣にあります。市長はドワーフの氏族会議で選出されます。

・採掘場と精錬場
 鉄の大半は鉱石のままキングスフォールの溶鉱炉へ送り、銅や貴金属は魔動機で精錬しています。

・鉱滓捨て場
 精錬で出る余り物は、廃坑の埋め立てに用います。

・地熱風呂
 熱すぎるのでドワーフにしか入れない蒸し風呂だけでなく、異種族用の区画もあります。

・温室農場
 地熱と魔動機の光で、ファング山地の冬でも野菜を作れます。

・ダークドワーフの隠れ家
 敵対的でないダークドワーフが住んでいる場所は、街の機密です。

(コンセプト)
 地底の街とはどんなのでしょう。その思いを放り込んでみました。


『ソード・ワールド2.5』:(C)北沢慶/グループSNE/KADOKAWA

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