◇新大陸通信・14号◇


 ケルディオン大陸の、また別の一例です。


☆ケルディオン大陸の習作

 
◇概要

 “帰らずの大地”、または“楽園の海”“神の花環”“ラクシアの星座”“半大陸”などの別名を持つケルディオン大陸は、アルフレイム大陸の南東の熱帯の海に広がる亜大陸や島々の総称です。陸地をつなぐ海は浅く、場所によっては歩いて渡れます。堤道(コーズウェイ)、底の浅い船、騎獣などで陸地は結ばれていますが、〈大破局〉でつながりは大幅に切断されています。全域が亜熱帯または熱帯で、昼間は蒸し暑いですが、夜は海風で気温が下がり過ごしやすくなります。
 魔動機文明時代は陸地はもっと多く、また北西にあった堤道を走る街道と鉄道でアルフレイム大陸ともつながって、リゾート地や熱帯作物のプランテーションとして栄えていましたが、〈大破局〉で多くの陸地が沈み、アルフレイムと分断されました。混沌海を流れる海流により、船ではケルディオンからアルフレイムへは戻れなくなっていますが、アルフレイム大陸にたまに現れる熱帯の産物は、ケルディオン大陸からテレポーターで輸送されているという説があります。
 また、ケルディオン大陸はぎりぎり“奈落の魔域”の発生圏内に含まれます。“壁の守人”の組織はまばらながらも存在していたようですが、アルフレイム大陸のような全土に跨る冒険者ギルドはありません。本拠と連絡できなくなった“壁の守人”の末裔は、魔神討伐を請け負う専門家として、各地の共同体に溶け込んでいます。

 熱帯にあるケルディオンでは雨が多く、樹木も生育が早くなります。土地は養分が分解されやすく、大抵は痩せているため、魔動機文明時代までは焼き払った灰を肥料にする事が多く、そのまま植生が回復していない荒れ地も見られます。一部の樹木や作物は塩分に耐性を持ち、海沿いどころか海中でも(浮き島のようになって)育ちます。金属類は鉱石が海面に浮上するマナタイトを除いて不足しがちであり、金属の代用品として黒曜石や貝なども使っています。海生生物の共生プランクトンから発光物質を取り出して使う技術が発達しており、発光物質の照明をランタンの相当品として使えます。真水は小さな島では貴重であり、貯水槽や池に蓄えられ、大事に使われます。塩水を真水に変える魔動機も普及しています。

 〈大破局〉で大幅に陸地が失われ、可住地も耕地も限られるケルディオンでは、ある程度周囲から守られた場所――島、環礁(アトール)、高い丘など――に人口が集中するため、都市だけでなく村落でも高層住宅や集合住宅が一般的です。魔動機文明時代には海上都市も多くありましたが、〈大破局〉により破壊され、あるいは放棄されています。
 人族の居住地は、外部に向けて開放された市場町(マーケットタウン)はむしろ例外的で、ほとんどは、魔動機文明時代にはプライベート空間を保つため、現在では外敵から身を守るため、居住者以外の立ち入りを拒む「農場(ファーム)」「工場(ファクトリー)」「荘園(マナー)」「地所(エステート)」「要塞(フォート)」「宿営(カントンメント)」「包領(エンクレーヴ)」「入植地(プランテーション)」などのコロニーになっています。無数にあるコロニーですが、〈守りの剣〉がないのが普通であり、閉鎖的な環境で犯罪の温床となる例もままあり、外敵や内患からの防御がもろい事も指摘されています。かつての外洋人居住地は「キャンプサイト」「ロッジ」「コテージ」「バンガロー」「ダーチャ」「ガーデン」などの保養地や行楽地を連想させる名付けをしている事も多いです。これらのコロニーは独自の政府・法律・警察(ケルディオンのほとんどの地域では警察と軍隊の区別はあいまいです)を持ち、事実上の独立国としてふるまっていますが、蛮族などの外敵がいる場合は共同で防衛や外交を行う例もあります。

 ケルディオンの魔動機の騎獣には、水上魔動バイクがあります。バイクの下にマナタイトのフロートや舵を付けた乗り物で、基本的には水上しか走れません。魔船艇にもマナタイトを使用して浮力を増した船があり、水面との摩擦を減らして高速で走れます(我々の高速船とホバークラフトのいいとこ取りをしたような船です)。浮遊岩がアルフレイム大陸よりさらに多いため、空を飛ぶ魔航船は衝撃に弱い気嚢型ではなく、翼で飛行するタイプが主に使われていました。

 
◇種族

・人間
 褐色や黒の肌を持つ多数派の海域民と、白や薄いピンクから淡褐色の肌をした少数派の外洋人(魔動機文明時代の移民の子孫)がいます。今ではかなり混血していますが、社会の上層・下層問わず、移民の血と文化の濃い人々が今でも多くいます。地方語としては、海域民はリージョナル語(「地方の言語」くらいの意味で、大きな方言差があり)、外洋人はオーバーシーズ語(「海外の言語」。魔動機文明語の口語から元々の母語の表現を取り込み変化したもの)を使っています。高温多湿の環境で、民族を問わず、露出の多い服装が好まれます。

・エルフ
 赤い肌をした海エルフが大半を占めており、白い肌のエルフは淡水の水辺の森に住む少数派です。森エルフはアルフレイム大陸とあまり変わりませんが、海エルフは魔動機文明時代のリゾート地で働いていた事も多く、他の人族に閉鎖的ではなく、魔動機術にも親しんでいます。

・ドワーフ
 社会的には少数派ですが、金属をはじめとするさまざまな加工業についています。マナタイトを加工して船体に使う技術はドワーフ発祥のものです。

・タビット
 熱帯の気候が合わないためか、あまり見ない種族です。自分を特に高尚な存在と思わないリアリスティックなタビットが多く、俗世の雑事に関わるのを苦としません。

・ルーンフォーク
 保養や行楽に来る人族のために作られたルーンフォークが多かったため、魔動機のインフラは(生きていれば)ルーンフォークに握られています。亜大陸や島々の鉄道(内陸の生産地と港湾を結ぶ貨物鉄道が主体)も、ルーンフォークが中心になって管理しています。

・ナイトメア
 ケルディオン大陸でも忌み子扱いされやすいため、ひどい場合は幽閉されたり奴隷にされたりしています。裏社会に足を突っ込んだり、蛮族社会に走ったりするナイトメアは少なくありません。露出の多い服が一般的なため、身体のあざをどう隠すかが(リルドラケン生まれ以外では)課題となります。

・リカント
 ケルディオン大陸へは人間より早く、神紀文明時代に移住したといいます。人間のうち海域民や、赤い肌のエルフと親しくしています。魔動機文明時代に土地を奪われたりしたため、多くのリカントは外洋人を何となく嫌に感じていますが、いちいち口に出すほどではありません。

・リルドラケン
 島の高所や岩肌に集落を築き、商人や戦士として各地を行き来しています。コロニーもリルドラケンとの取引をしている所は多く、人口が少なめな割には奇異の目で見られません。

・グラスランナー
 草原が乏しく、自然の恵みも豊かでないため、あまり見られない種族です。基本的に市場町か自然の中に住んでおり、閉鎖的なコロニーは好みません。

・ティエンス
 “壁の守人”の関係で移住してきた人々の子孫です。ケルディオンでは魔神に立ち向かう戦士のイメージではなく、騎獣と心を通わせ合う騎手のイメージが強くなっています。

・レプラカーン
 職人の多いコロニーに隠れ住んでいるか、自然の豊かな島で遺跡に住み着いています。

・テラスティア大陸の種族
 地域的条件に左右されない種族(フロウライトなど)はいますが、テラスティアやレーゼルドーンに由来する種族(シャドウなど)は基本的にいません。

・蛮族
 魔動機文明時代にはほぼ根絶されていたため、ごく一部の上位蛮族(隠れ潜む知性と力がある)やコボルド(むやみに暴れない)を除いて、ほとんどは〈大破局〉でアルフレイム大陸から攻め込んできた軍勢の子孫(上位蛮族の一部は当人)です。元の軍勢への帰属意識が強く、かつての軍旗や馬印・船印を共有する兵団単位で活動する事も多いです。

・ケルディオン大陸の冒険者
 ケルディオンに攻め込んだ蛮王を退けた冒険者が大陸全土の支配に出たのを、残存していた諸集団の連合が破った歴史があり、ケルディオンの諸勢力は冒険者を警戒して、ばらばらに雇用して団結されないようにしています。しかし、そもそも諸勢力も団結していないため、冒険者は個人が別々の組織に所属しながらも、パーティを組んで組織間の連帯を働く傾向があります。バー、サルーン、ティールーム、カフェなどの酒場や茶屋に集まったり、高レベルの冒険者なら貴族のサロンに集まったりしますが、これらの場所は依頼の取りまとめや裏取りはしていないので、その辺りは冒険者個人の伝手が必要です。「信頼できる依頼人」は、冒険者の身内(家族、同業者、同郷者など)が多くなります。自己防衛権が強く、警察権が弱いため、他者を殺傷しても不問に付される事が多くなります。
 戦士系なら2つの大きな戦士ギルド、〈自由槍(フリーランス)〉と〈売剣(セルソード)〉へ、魔法使い系なら魔術師ギルド〈月を歩くもの(ムーンウォーカー)〉、操霊術師ギルド〈降霊術(ファンタズマゴリー)〉、妖精使いの宝石名を冠した自然結社、神殿、マギテック協会へ参加しています。スカウトは様々な組織に所属するとともに、〈情報交換会〉で有益な情報を得る事ができます。重要さや秘匿段階に応じて、情報の代価は異なります。ドルイドは種族を問わず原住系の民族に多く、デーモンルーラーは移民系の民族に偏っています。

 
◇歴史など

 ケルディオン大陸に人族が到達したのは、神紀文明時代といわれ、古代のエルフやメリア、リカントの遺跡がわずかに残っています。
 魔法文明時代には、アルフレイム大陸を支配する魔法王や貴族(ブルーブラッド)達から逃れるために、自由を求めた平民(コモン)が島伝いに亡命してきました。しかし、紛れていた貴族や自然に生まれた貴族が持つ“支配力(ドミニオン)”により社会は裏から支配されていき、仮初めの平穏の裏では貴族が国々を遊戯の駒のように弄んでいました。貴族が滅び、外界でも魔法文明時代が終わるまで。
 魔動機文明時代には、珊瑚礁の蓄積や地殻の変動で陸地が増えていき、アルフレイム大陸との間にも陸路が開けましたが、燐鉱石や漁場目当てで大陸外の勢力の影響が及んでいき、保護領や租借地として支配下に置かれていきます。後期になると交通手段の発達により大陸外からの保養地として開発が進み、海域民や在来のリカントは開発地の外へ追いやられます。
 〈大破局〉では大地震が津波や火山噴火を引き起こし、いくつもの陸が波や溶岩の下へ消えました。蛮族は1つの群島を征服し、そこを拠点に他の群島も荒らし回ります。しかしケルディオンに攻め込んだ蛮族は統率がされず、蛮王が下克上で殺されてからは小勢力に分裂して、人族は辛うじて社会を再建できました。一旦は功績を上げた強力な冒険者が全土を支配しようとしますが、支配下に置かれるのを拒んだ各地の集団に敗れて、個別の島や集落ごとの勢力に分裂したままになりました。
 現在では、地域ごとの技術レベルの差や貧富の差が激しく、魔動機文明の産物を活かしている地域から、ほぼ原始生活から立ち直っていない地域まで、違いが極端です。海賊行為で生計を立てている地域や、奴隷制や食人が一般的な地域のような、外部の者にとって非常に危険な地域もあります。コミュニティごとの自由を尊重する文化が団結の弊害となり、複数のコミュニティをまとめた国家があっても、コミュニティの格差を埋めたり法制を統一したりするのは非常に困難です。

 ケルディオン大陸では、アルフレイム大陸と同じ神が信仰されています。“奈落の魔域”の発生はアルフレイム大陸より少なく、イーヴやハルーラの信徒は少ないですが、名前を知られていないほどではありません。
 以下は独自の大神です。

・“六人姉妹”
 魔法文明時代に人族をケルディオンに導いた神で、人間、エルフ、ドワーフ、リカント、ナイトメア、蛮族(種族は不明)の6柱をまとめて、あるいは個別に信仰しています。それぞれの名前は伝承により異なります。限られた資源をはぐくみ、共同体を守り、他の人族と交流することをすすめています。目標への配分により、閉鎖的な共同体や、外へ侵略的な共同体が爆誕する事態もあります。

・“四凶”
 ケルディオンの蛮族が信仰する神で、ドレイク、バジリスク、ダークトロール、ラルヴァの4柱からなる集団です。蛮族らしく、奪い、殺し、そして食らうことを是としていますが、頭脳を働かせて計略を練り、欲望に不必要な戦いは避けるため、ダルクレムとの関係は険悪です。信仰が現れた魔動機文明中期以来、閉鎖的なコロニーや、市場町の暗部で、人族も含めた信徒がギャングとして暗躍しています。アンデッドと魔神は最大の禁忌と見なしており、両者を討伐するためなら手段を選びません。

 
◇地誌

 ケルディオンには5つの群島があり、ドーナツのようにまとまっている群島を東西南北の方向別の4つに分け、その中央にあり周囲と隔絶している群島が5つめの群島になります。神聖魔法において、群島はそれぞれが1つの地方として扱われます。

 
・混沌海
 アルフレイムとケルディオンの間にある海で、〈大破局〉から海流がケルディオン大陸に向けて強く流れるようになり、船ではアルフレイム大陸に帰れなくなりました。海上には暴走した飛行型魔動機兵が巡回しており、魔航船による飛行を試みると撃墜されます。海流と魔動機兵の危険範囲は検証するのが危険すぎるため、いまだに解明されていません。

 
・ノースステラ
 ケルディオンの北部、アルフレイム大陸から混沌海を挟んだ向こうにある群島です。北西端にケルディオンで最大の亜大陸があり、ケルディオンの鉱物資源のほとんどを供給しています。混沌海に迷い込んだり海上で撃墜されたりすると、この地域に漂着します。住民は人間の割合が大きく、海域民と外洋人の割合は半々くらいです。

・監視哨(かんししょう)
 〈大破局〉後に、ケルディオン大陸を守るために集まった人々による武装集団が混沌海沿いに建てた多数の拠点で、周りを農地に開発して食糧を自給自足しています。それぞれの監視哨を“軍閥(ウォーロード)”と称される勢力が支配しており、漂流者を見付け次第捕縛します。捕縛した漂流者の扱いは軍閥の考え次第です。
 ……だったのですが、10年ほど前に、何らかの原因でお互いに攻撃し合い壊滅、わずかな生き残りも監視哨を放棄しました。現在は、漂流者のうち戦闘能力を持たない者が、生き延びるために集まっています。

・鉄の山脈
 ケルディオンの鉄鉱山で最大のもので、魔動機を使った露天掘りをした鉱石を、火山の高熱を汲み上げた高炉で溶かして鉄を得ています。原材料だけでなく、鉄製品の製造も盛んです。住民のほとんどはドワーフ、ルーンフォーク、レプラカーンです。他の金属や鉱物も山脈から採掘されていますが、マナタイトは各地に浮かび上がった浮遊岩から、肥料用の燐は海鳥の生息地から採掘されています。

・グレナディーン・マーケット
 鉄の山脈の最寄りの市場町で、食品から魔動機まで様々な物が取引されます。表の平和な賑わいの陰で、危険な薬品や呪われた魔法の品、奴隷用のコボルドなども、闇のマーケットで売買されています。人族の奴隷売買が禁止されている一方で、債務で人身を束縛された債務労働者の斡旋も盛んですが、“現物”は逃亡を恐れて専用の船で直送します。

・クリッパー・セツルメント
 大規模なコロニーで、植林地の木材を使った造船業が盛んです。また、保存食の干物や瓶詰の製造もしています(缶詰が今でも作れるかは設定次第です)。植林地は厳重に監視されており、盗伐すると首を晒されるといいます。

・スチールスター・カントンメント
 戦士ギルド〈自由槍〉の本部があるコロニーです。港と業務オフィスまでは外部からの自由な出入りができますが、宿舎、演習場、工廠などがある地域へは立入に許可が必要です。ケルディオンでは戦士ギルドにライダーギルドが付属しており、海上に適した騎獣の訓練や整備も行っています。

・ハイタワー・エステート
 魔動機文明時代から維持されている高層住宅地で、水道などのインフラも生きており、魔動機が警備をしています。かつての庭園は農地となり、蛮族の度重なる攻撃で破壊された区域もありますが、相続などで居住権を引き継いだ富裕層が今も住み続けています。

・フリーワーカー・ファーム
 債務労働者や乱造したルーンフォークを奴隷同然に使い潰して、高い収穫を上げている農場です。農場を支配している冒険者グループの戦闘能力が、反乱の隙も与えずにいます。安価な農作物に依存している周辺のコロニーも、ここには強い態度に出る事ができません。

・三百七十五兵団
 蛮族のコロニーで、航路から外れた場所に位置しており、しばしば遠征部隊を出して交易船やコロニーを略奪します。周辺には危険な動物や幻獣も多く、近隣の人族のコロニーは戦力が心もとないため、討伐できずにいます。兵団の首領は船印を受け継いでいる者で、どうやら年単位で変わっているようです。

・ケルディオン周回鉄道
 魔動機文明時代にケルディオンの陸地を結んで一周していた鉄道です。各群島の内部で一部の路線が今も運行されていますが、大半の区間は堤や橋が壊れたままになっています。

 
・ウェストステラ
 ケルディオンの西部にある群島です。人間の海域民に次いでエルフが多く、外洋人はあまりいません。開発もあまり進んでいなかったため、〈大破局〉でのダメージは比較的ましでした。

・ファンタズマゴリア・マーケット
 魔動機文明時代から操霊術師ギルド〈降霊術〉の施設があり、ゴーレムなどを使った降霊劇をしていた劇場や観光客用の宿舎などを、〈大破局〉で出た難民の居住地に作り替えました。現在では周辺の交易の拠点にもなっており、操霊術師も一般人になじんでいます。

・鱈船海域
 アルフレイム大陸から来ていた鱈漁の漁船団が〈大破局〉で帰れなくなり、そのまま地元に定住して漁を続けている海域です。鱈は干し鱈にして遠くへ販売しています。

・世界樹の島
 海のただなかに根を張っているユグドラシルの根や枝に、人族(大半がエルフやメリア)が居住しています。ユグドラシルの枝は浮力が強く硬いため、自然に折れたものが船の材料として使われています。

・隕石環礁
 魔動機文明時代に真語魔法を組み込んだ兵器の実験に使われていたという環礁です。「竜刃星の欠片」を用いた魔動機兵が空間を汚染しており、「ドラゴンレイド」を導入するきっかけになってくれるでしょう。やめてー。

 
・サウスステラ
 ケルディオンの南部にある群島です。魔動機文明時代には低地にプランテーションが広がっていましたが、今はほとんどが海の底になっています。〈大破局〉直後は人口が多かったものの、資源不足により戦争が慢性化して、コロニー間の戦争、占領、破壊、殺戮が繰り返され、大幅に人口が減りました。コロニー間の抗争に蛮族を引き込む例も多く、今や公然とドレイクやバジリスクがマーケットを歩いています。

・ペルニプラ・マーケット
 エンシェントドラゴンの“寝つきの悪い”ペルニプラと、共生するリルドラケンの氏族が開いている市場町です。市場は奇怪な仮面をかぶったナイトメアの一団が守衛をしており、商売を妨害する者に容赦しません。

・月の上なる島々
 〈月を歩くもの〉の拠点がある浮遊島です。数年周期で空を巡回しており、今は代表的な市場町からは遠い位置にあります。周辺には非常に多くの浮遊岩があり、空飛ぶ箒に乗った魔術師が防衛拠点にしています。

・静寂島
 魔動機文明時代の大都市が〈大破局〉で破壊された残骸です。自然に飲み込まれた高層建築群に、死んだ人族や蛮族のアンデッドが徘徊しています。

 
・イーストステラ
 ケルディオンの東部にある群島です。魔動機文明時代にはあまり開発されず、今も大半の地が人の手の届かないままになっています。

・ナバリ・マーケット
 迷路上の島々と水路の中に点在する“隠れ市場”です。蛮族を排除する“魔剣の迷宮”の中に避難した人族が開いたマーケットで、部外者は必要な物資を求めるのにも一苦労です。

・ニンジャ島
 魔動機文明時代にニンジャをテーマにした保養施設になっていた島で、現在の住民までニンジャ文化が受け継がれています。

・バンブーの森
 様々な竹が密生している森で、竹を利用するエルフが暮らしています。塩への耐性を得た竹は複数の島と周囲の浅瀬に広がり、外敵を寄せ付けません。

 
・セントラルステラ
 ケルディオンの中心にある群島です。魔動機文明時代には最も開発が進み、多くの居住地や外洋人のリゾート地がありましたが、〈大破局〉で蛮族に攻め落とされて、周囲が永続的な暴風雨に包まれました。暴風雨の中がどうなっているのかは定かでありません。

 
◇アイテム

 人族が水上を渡るおもな手段は、マナタイトで浮力を増した魔動船、イルカなどの騎獣、魔動水上バイク(○水中戦闘のある魔動バイク)などの個人用魔動機、推進式の水上靴です。
 魔動機には海水を真水と塩に分離する濾過機があり、海岸や海上の居住地に備わっています。

 
◇イメージソース

 多島海と島の散らばる海洋の間くらいです。「沈んだ大陸」伝説とも混合しました。社会イメージはモルディブとかカリブ海とかにアメリカの西部劇とゲーテッドコミュニティを混ぜています。


『ソード・ワールド2.5』:(C)北沢慶/グループSNE/KADOKAWA

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