◇剣の粉末◇
『ソード・ワールド2.0』の、データ諸々や雑文めいた物です。
◇暗視できたっけ?
『ソード・ワールド2.0』の蛮族は種類が多く、暗視が可能な種族と不可能な種族が混ざっているので、蛮族の混成集団を設定する場合など、設定が不自然にならないように注意する必要があるかもしれません。例えば、配下のギルマンとリザードマンの戦力がほぼ同等なのに、リザードマンにわざわざ人族の集落を夜襲させるドレイクはあまりいないでしょう。拠点内の居住箇所も、ドレイクなら文書を紐解く程度にしか必要としない明かりを、バジリスクは常に必要とするハンディキャップがあります。
そこで、「人族」「蛮族」と、蛮族と紛らわしい人型の幻獣(と言いつつ、顔だけ人の面々や、メンタリティが三本の剣や神々と関係が深いというだけの種族も入っています)について、暗視の可不可を列記しました。
※順番は、人族はルールブックとサプリメントの掲載順(改訂版初登場の分は後回し)、蛮族と幻獣は『バルバロステイルズ』とそれ以降のサプリメントの掲載順です。
※蛮族は同種族ごとにまとめました。順番は、その種族の一番低いレベルのバージョンの掲載順に合わせています。
(例)レッサーオーガ、オーガ、オーガウィザード、オーガバーサーカー、オーガウォーロードは、項目上は「オーガ」にまとめ、レッサーオーガの掲載順に合わせて並べています。
※「†」を付けているのは「現在」での絶滅種です。
※記述の抜けはたぶんあります。
(暗視可能)
人族:エルフ、ドワーフ、ルーンフォーク、シャドウ、ミアキス、ダークドワーフ、レプラカーン、ノーブルエルフ†
蛮族:コボルド(シューター)、レッドキャップ、グレムリン、ゴブリン、サハギン、インビジブルビースト、ボガード、メデューサ、オーガ、アンドロスコーピオン、ギルマン、マーマン、トロール、フォルミカ、ラミア、ドレイク、ミノタウロス、ゴーリー、スキュラ、フェイスレス、ライカンスロープ全種、ザーケラ、リャナンシー、レッサーヴァンパイア、サキュバス/インキュバス、スペルジャマー、リストリカン、ヘカトンケイレス、ヴァンパイア全種、ウィークリング(ミノタウロス)、ラルヴァ、ドラゴニト、バルカン、タロス、ハイゴブリン、レイヴン、ガネーシャ、ゴルゴーン、ルサルカ、アンビデクストリアス、スレイガー、ソードブレイザー、サイクロプス、ケイブジャイアント、バジリスク(モーントバジリスク)、クレセントテール、シャルトゥン†、ケイロス†
人型の幻獣ほか:ディーラ、ハルピュイア、マンティコア
(暗視不可)
人族:人間、タビット、ナイトメア、リルドラケン、グラスランナー、ハイマン、フィー、フロウライト(※発光可能)、ヴァルキリー、ソレイユ、マナフレア†
蛮族:コボルド(シューターを除く)、ケンタウロス、リザードマン、アードラー、サテュロス、セイレーン、バジリスク(モーントバジリスクを除く)、イエティ、ヒルジャイアント、ガルーダ、フォレストジャイアント、ファイアジャイアント、ウィークリング(ガルーダ、バジリスク、マーマン)、リャグ、フォモール、ローン、ギガントール、ヒポトール、ガンダルヴァ、ピアスホッパー
人族または蛮族:センティアン
人型の幻獣ほか:プーカ、ジィ、アダンダラ、スフィンクス、ヨーウィ、ウェンディゴ
◇それっぽい真語/操霊/深智魔法の呪文を作るための詠唱解析
小説版で色々と出てきた、魔法文明語による呪文の詠唱。「ウィザーズ・トゥーム」において色々と公開されましたが、構成は、
「[系統]、第[レベル]階位の[種別]。[要素1]、[要素2]――[魔法名]」
となっています。
※要素は1〜5レベルで2つ。6〜10レベルで3つ、11〜15レベルで4つに増えます。6レベル以上では、同じ要素が2つ列記される場合もあります。
※「の」にあたる部分(接語か接辞)の詠唱は、種別ごとに異なります。魔法文明語ではそれぞれ(日本語で表記できない)違う意味を持つのでしょう。
以下に系統、レベル、種別、要素の抜き書きを作りましたので、それっぽく組み合わせてそれっぽい呪文の詠唱を作るのに役立てて下さい。
系統
表記 | 読み | 意味 |
真 | ヴェス | 真語魔法 |
操 | ザス | 操霊魔法 |
深 | ダヴ | 深智魔法 |
レベル
表記 | 読み | 意味 |
第一階位 | ヴァスト | 1レベル |
第二階位 | ゼガ | 2レベル |
第三階位 | ザルド | 3レベル |
第四階位 | フォルス | 4レベル |
第五階位 | フィブ | 5レベル |
第六階位 | ジスト | 6レベル |
第七階位 | セヴティ | 7レベル |
第八階位 | オルダ | 8レベル |
第九階位 | ノヴィエ | 9レベル |
第十階位 | ツェンド | 10レベル |
第十一階位 | エレヴェント | 11レベル |
第十二階位 | トゥベルフ | 12レベル |
第十三階位 | ザルツェン | 13レベル |
第十四階位 | フォルツェル | 14レベル |
第十五階位 | フィブレド | 15レベル |
種別
(「の」部分を含む)
表記 | 読み | 意味 | 例 |
〜の攻 | ル・バン | 攻撃 | エネルギー・ボルト、スパーク |
〜の衰 | リ・ドム | 弱体化 | ブラント・ウェポン |
〜の彩 | テ・リル | 視覚効果 | ライト、ウィザード・サイン |
〜の封 | ガ・レガ | 封印・施錠 | ロック、スティール・メモリー |
〜の幻 | ラ・ガス | 幻覚 | スリープ、コンシール・セルフ、ダーク・ミスト、ディスガイズ |
〜の感 | ソ・セナ | 感知 | センス・マジック、カウンター・センス |
〜の破 | イ・レス | 解除 | ディスペル・マジック |
〜の強 | フォ・ルタ | 強化 | バイタリティ、イモータル |
〜の技 | ス・デラ | 技術・機械 | アンロック、ウェポン・マスター |
〜の創 | リ・クス | 創造 | ファミリア、クリエイト・ゴーレム |
〜の付 | フ・ルド | 付着・付与 | ウォール・ウォーキング、エンチャント・ウェポン |
〜の動 | ア・ザル | 移動 | レビテーション、フリー・フライト |
〜の転 | ラ・フザ | 転移・転送 | アポート、テレポート、スケープ・ドール |
〜の呪 | ザ・デス | 呪い | スティール・マインド、フォビドゥン・マジック |
〜の縛 | ギ・ルオ | 束縛 | ブレード・ネット |
〜の快 | ロ・オン | 回復 | レデュース・マジック、アース・ヒール |
〜の変 | ア・ラギ | 変化・変質 | スロウ、ポリモルフ、ヘイスト |
〜の精 | ユ・オラ | 精神作用 | デスルーテリィ、ファナティシズム |
〜の守 | レ・アレ | 守護 | マジック・リフレクション、プロテクション |
〜の糸 | ニ・トカ | 命令 | コマンド・ドール |
〜の魂 | ユ・ヤム | 霊魂 | クリエイト・アンデッド、リザレクション |
〜の拡 | ナ・ヌン | 拡張 | マルチターゲット |
〜の(A)双(B) | (A)・バオ・(B) | 複数効果 | バランス・ウェポン、タフパワー |
要素
(エネルギー)
瞬閃/スルセア、熱線/ヒーティス、光/シャイ、輝き/テルア、閃光/シャイア、電撃/エルタリア、衝撃/ショルト、炸裂/スラーパ、火炎/フォレム、灼熱/ハイヒルト、爆裂/バズカ、冷気/グラート、吹雪/ヘイル、嵐風/トルメラ、迅雷/ボーデル、破壊/タドミール、雷雲/ラクラウ、暗闇/ソンブル、氷結/サルグ、業火/インヴォイア、旋風/ヴィンド
(物質)
鋼鉄/ストラル、物体/チエーラ、鋭刃/ナバッハ、毒雲/クラーズン、暗雲/ダーウ、邪雲/バクラ、猛毒/トキシラ
(生命)
生命/ラーファト、治癒/イーア、地精/グラド、亡骸/ガイス、霊魂/(魂)ソウル・(霊体)リンヘウン、再生/リナシタ、肉体/コルプス、致死/マウト
(肉体・感覚)
失感/ロス、痙攣/クラム、歩行/ホウズ、発音/ポネマ、剛力/フォルツァ、豪腕/スィーラ、視線/ウイユ、疾走/スカーム、幻惑/モルガナ、麻痺/キリア、幻想/ウアン、虚像/カヤール、苦痛/ドロール、感覚/センティル、熱さ/ヒッツェ
(精神・知識)
ささやき/ウィスプ、誘い/デルプ、敵意/イヴィル、理解/カタラン、読解/バネイン、精神/アニムス、共感/サンパテ、支配/サイタラ、戦意/ファイス、記憶/マイラス
(魔法)
魔力/マナ、従僕/メド、創造/ゲネシス、刻印/ソー、呪詛/カーズ、創出/クレエ、転換/シャン、抗力/ヴァヴァリ、人形/アネール、仮名/モメント、失魔/ヴィゾ、忘術/プロヒト
(状態/強化・増強)
強化/ディッグ、習熟/レルネン、練達/ディスケレ、熟練/マテュリテ、防御/シルド、強靭/ドゥーロ、守備/ディフェイン、威力/レーティル、強靭/スクルル、高揚/ヴァリキ、増強/バルスト、増加/オグマンテ
(状態/弱化・減少)
弱体/ドゥル、鈍化/ラクマナ、消去/ドレナス、消失/ヴァン、流出/ドロウ、制限/カペレ、滅殺/スロウダル、減衰/ダル、停滞/グレド、拘束/バイデン、無効/(対抗)ヴィンシブ・(上書き)ナシン、束縛/ペリオズモ
(状態/その他)
吸着/コタ、透明/ルフト、隠密/(身隠し)アリア・(機密)ツスト、誘導/サフォーレ、捕縛/ハイレイン、透過/リーヤ、隠蔽/クラーハ、変化/フォーシェイフ、変質/カンビオ、変容/アラギ、反射/ゼルカロ、噴出/(湧き出す)コルリス・(溢れ出す)シュフ、付加/ツネメ、循環/キルクイ、転嫁/シシア、複製/ディレイト、接触/トッカーレ、集中/エルコト、拒絶/アントル
(時空間)
封印/シルト、閉鎖/グロス、探知/ディスカーバ、開放/オブカ、解錠/ドルア、感知・探知/センティール、重力/ゴルド、移動/(通常)モートゥス・(魔法的)クリル、召喚/イステドア、瞬間/カイロス、遠隔/モートゥス、解放/ウヴェール、空間/コーロス、次元/ディメント、切断/カンジェン、遮断/クロクレ、誘導/サフォーレ
(接辞)
「〜/〜」/「〜・ン・〜」 ※「〜」部分には複数の要素を入れられます。
◇神統譜
≒神様の力を授けた・授かった関係図は、こんな感じです。「ルーフェリアの神殿には、本尊のルーフェリアの神像の左右にライフォスとザイアの神像が置かれる」「ラトクレスはティダン神殿で祀られる事がある」といった風に、関係が深いのが普通です。
(第一の剣ルミエル)
ライフォス
├ザイア
│├ルーフェリア
│└ヒューレ
├*サカロス …教義が近いため。
├エセルフィン
├シムルグ
├ニコラ†
└ルイファ
ティダン
├シーン
│├リルズ
│├レータン†
│├マール
│└ジャージュ
├フェトル
└ラトクレス
アステリア
└?
グレンダール
└?
エルピュセ
└?
ガメル
└?
(第二の剣イグニス)
ダルクレム
└カオルルウプテ …あのダルクレムなのに珍しく普通に神格を与えられている。
ザールギアス
└フラクシス …竜刃星に触れて神となった説あり。
ブラグザバス …大神。第二の剣に一瞬触れて神となったという神話がある。
└テメリオ
メティシエ …大神。
├キュリアドラル†
└ネアン
アーメス …小神。
ル=ロウド …大神。他者に神格を与えた事はないらしい。
ヴァ=セアン …小神。第二の剣から神格を得ていて、蛮族発祥の神でもある。
ソーンダーク …大神。
ニディスニオ …大神。ダルクレムの臣下だったというが、「力を得て神となった」というので、神格を与えられたのではなかったらしい。
イズマイア …小神。
(第三の剣カルディア)
キルヒア
├ニールダ
├レパラール
├クス
├マキシム
└エッケザッカ
ユリスカロア …キルヒアの娘(キルヒア神官達からは非公認)だが、直接カルディアから神格を得ている。
(異世界からの神)
ラーリス …大神。第二の剣の陣営として扱われているが、あてはまらない点が多い。
(注記)
神格を与えた・与えられた関係が中心ですが、相関図で明確に「神格を授ける」と書かれていない組み合わせもあり、本文からも確証が取れない場合、「*」を付けて区分しています。神紀文明時代から存在する第一の剣の神の場合、ライフォスなどの神から間接的にではなく、ルミエルを直接手渡されて神格を得た可能性も十分にあります。
◇神官の階位の整理
『アルケミスト・ワークス』P51では、以下の通りです。
階位 | プリースト技能の目安 | 補足 | |
最高司祭 | ---- | 大司祭のうち、複数の神殿を統括する者 | |
大司祭 | 13レベル | (大規模な)神殿を束ねる | |
高司祭 | 大神官 | 10レベル | 小規模な神殿を束ねる |
司祭 | 7レベル | より小規模な神殿を束ねる | |
侍祭 | 4レベル | ---- | |
神官 | 1レベル | ---- |
同書P31のコラム「魔法を使えない神官」にもある通り、資産、人脈、説法能力とかで、プリースト技能の目安を超えて昇進する事もあるでしょう。しかし、具体的な力を示せずに昇進するのも、それはそれで限界が生じるものです(特に、小さな神殿とか、蛮族の脅威にさらされている地域の神殿では)。プリースト技能を持たない場合、一般技能のクレリック技能が4レベルで神官、7レベルで侍祭、10レベルで司祭、13レベルで高司祭くらいでしょうか。逆に、神殿組織を離れて俗人として生活している、他の冒険者技能のレベルが示す力量が高い、などの場合も、プリースト技能から考えられる階位を持っていなさそうです。
他の冒険者技能を基準にして地位を当てはめられるのは、マギテック協会くらいでしょう。軍隊はファイターばかりの世界ではありませんし、指揮能力は上位の将校になるほど重視されます(ウォーリーダーか、一般技能のソルジャー。指揮能力のない15レベルファイターは、指揮官ではなく決戦兵器です)。ソーサラー/コンジャラーは、大規模な魔術師ギルドがあまり存在しないラクシアでは、大抵の場合は「師匠」「弟子」だけで事が足ります。むしろ職人系のギルドで、レベルを目安にした区切りが存在するかもしれません。
◇テラスティアの地方区分と、勝手に地方を設定できる余地
『フェイダン博物誌』付図によりますと、テラスティア大陸の大まかな地域区分は以下の通りです。
(ルキスラ帝国暦/大陸新暦308年現在)
ザクソン海
→ |
レーゼル
ドーン 大陸 エイギア地方 |
アレスタ海 | 謎の陸地
(レーゼル ドーン 大陸の 一部か) |
(アルフ
レイム 大陸) |
→ | ||||
エデオラ湾
→ |
リーン
シェンク 地方 |
ザルツ地方 | オーラン
トレック 海 |
||||||
北
マルキアス 海 |
リーン
シェンク 地方 |
リーゼン地方 | ダグニア地方 | ダノス海 | モーロック
地方 |
||||
レンド
リフト 地方 |
ユーレリア
地方 |
ユーレリア
地方 |
カルゾラル
高原 |
アノン地方 | プロセ
ルシア 地方 |
||||
トーレス湾
→ |
ユーレリア
地方 |
シエナ
クェラス 地方 |
カルゾラル
高原 |
カルゾラル
高原 |
カルゾラル
高原 |
ザナル海 | プロセ
ルシア 地方 |
||
南
マルキアス 海 |
ハインラト
地方 |
シエナ
クェラス 地方 |
シエナクェア
湾 |
千竜崖 | ビオ地方 | 帰れぬ凍土
コンルー |
|||
フェイダン
地方 |
ディル
フラム |
ディル
フラム |
ディル
フラム |
ノルダール
地方 |
|||||
エンド
レイア島 (アザリア島) |
エイデル島 | ミミルディア
海 |
緑=人族の地方
各地方および蛮族領のほとんどは、直接は隣接しておらず、間には人口が希薄な区域がある。
リーンシェンク地方、ユーレリア地方、プロセルシア地方は広いため、便宜上2つ以上の区画にまたがっている。
プロセルシア地方の一部は大陸本土にある。
(街道で陸路移動できる区域)
※「現在」におけるもの。魔法文明時代には一部異なる。
ザルツ〜エイギア(南東部)
リーンシェンク〜ザルツ〜リーゼン〜ダグニア
レンドリフト〜ユーレリア〜ハインラト
ユーレリア〜シエナクェラス
ビオ〜ノルダール
(辛うじて陸路移動できるが、それが冒険になる区域)
リーンシェンク〜ユーレリア
(理論上は陸路移動できるが、基本的に死ぬ区域)
ノルダール〜コンルー〜プロセルシア
(確立した航路で海路移動できる区域)
ザルツ〜エイギア
ザルツ〜ダグニア
アノン〜プロセルシア
ザルツ〜リーンシェンク〜ユーレリア北部〜レンドリフト〜ユーレリア南部〜ハインラト〜シエナクェラス〜フェイダン〜エイデル島
(確立した航路で空路移動できる区域)
すべての地方(蛮族領その他の危険区域を迂回すること!)
赤=蛮族領
小規模な蛮族領(特に、人族の地方の一部扱いのもの)は記していない。
カルゾラル高原は東西にまたがって広いため、便宜上4つの区画にまたがっている。推定範囲はユーレリア地方、リーゼン地方、シエナクェラス地方、千竜崖に接しており、リーンシェンク地方との間にはティラの樹海が、ダグニア地方との間にはダグニア連山とトラキア山脈が、ビオ地方との間には森があり、接していないらしい。
ダノス海はダグニア地方に含まれるが、大きな蛮族領であるため記している。
ディルフラムは東西に長いため、便宜上3つの区画にまたがっている。
黄色=その他の陸地
山脈・森などは、地方レベルの広がりがない限り記していない。
エイデル島は東部がフェイダン地方に入る。
コンルーの東端部のごく一部がプロセルシア地方に入る。
クロストルム半島は全域がリーンシェンク地方に、グリシア諸島は全域がアノン地方に、シレスカ列島は全域がプロセルシア地方に入るため省略する。
ソルトラ平原はダグニア地方に含む(実際の位置はダノス海の南東〜東)。全域がアンデッドの巣窟であり、蛮族も立ち入る事ができない。
青=水域
河川・湖・小さな湾は記していない。
ザクソン海の実際の位置は、ザルツ地方とレーゼルドーン地方の間の西寄り部分。
ザナル海はカルゾラル高原に接していない。
各地方の大きさはばらばらで、最小クラスのザルツ地方やハインラト地方と比べると、ダグニア地方(人族の領域部分)やフェイダン地方は2倍、ユーレリア地方は6〜7倍くらいの広さになります。ただし、広い地方は往々にして人族が実際に住んでいる面積の割合も低く、力の差を広さだけで判断する事はできません。
大陸の東寄りには空白地がありますが、公式設定との抵触も考えると、既存の地方の近くにオリジナルの地方を設定するのは避けた方がよさそうです。地形の詳細は自由に設定できそうですので――〈大破局〉で地殻変動が起きていますから、魔動機文明時代の地図はそのままではあまり役に立ちません――、自由に山や湖を設定する余地はあるでしょう。『フォルトナコード』では中原にメガトン(24レベル動物)が棲息している事になっていますが、まあ、その辺はあまり考えずに。
で、時差もあるはずですが、アフリカ大陸(北緯37度21分〜南緯34度50分、西経17度25分〜東経51度19分)を横倒しにした大きさで、ラクシアの大きさが地球と同じだとすると、東西幅は約70度で、東西の時差は自然時間で5時間弱。時間帯で分けると6ゾーンくらいです。実際にはもう少し横に扁平で、でないと、ザルツ地方を熱帯(もしくは北半球)にするか、フェイダン地方をツンドラ気候にするかしないと、地理上で収まりが付きません。
現実世界で地域単位の標準時が必要になったのは、鉄道が長距離を走り始めたころで、ラクシアでも飛空船が定期路線で飛ぶ都合上、魔動機文明時代の末期には、標準時が必要になっていたと考えられます。
たぶん、こんな感じでしょうか。
-2【レンドリフト標準時】レンドリフト地方
-1【テラスティア西部標準時】リーンシェンク地方、ユーレリア地方、ハインラト地方、アザリア島
±0【テラスティア中西部標準時】ザルツ地方、リーゼン地方、シエナクェラス地方、エイデル島
※エイギア地方のうち、少なくとも旧ダーレスブルグ領でも使用。
※カルゾラル高原の西寄りでも(便宜上)適用。蛮族領でも、人族の物を受け入れるのにためらいのない一部の上位蛮族が、行軍や作戦の管理に標準時を使い、曖昧な時間感覚しかない大抵の蛮族に対して有利に立ち回っている。
+1【テラスティア中東部標準時】ダグニア地方、フェイダン地方
※カルゾラル高原の東寄りでも適用。
※ディルフラムのうち、旧アイヤール領でも適用。
+2【テラスティア東部標準時】モーロック地方、アノン地方、ビオ地方、ノルダール地方、帰れぬ凍土コンルー(プロセルシア地方に含まれる東端部を除く)
※ディルフラムのうち、旧ユッシャー領・バリーリエルズ領でも適用。とはいっても運用するのは蛮族なので、境界にあたる地域ではどちらを適用するのか個人によりばらばらで、共同作戦を取らない、あるいは都合の悪い場所に出ないための口実によく使われる。
+3【プロセルシア標準時】プロセルシア地方
本初子午線の場所は、たぶんそこまで設定が出る事はないでしょうし、そもそも〈大破局〉の天変地異で測定どころではない状態になっているかもしれません――地軸が移動するとか、ダルクレムを5回くらい【コール・ゴッド】すればできそうですし。
◆テラスティア大陸は南半球にある
という設定を、つい忘れてはいないでしょうか。
忘れているプレイヤーに対しては、
・北向きの部屋が日当たりがいい。
・太陽は南の空に昇らない。
・7月のノルダール地方で泳ぐ? 死ぬ気か!?(※南半球では真冬)
のような不意討ちを掛けてみましょう。
プレイヤーが本気で忘れていた場合のみ、キャラクターは「危険感知判定」で5以上を出せば気付きます。地底から外へ出た事がないとかそんな設定があっても、「見識判定」までする必要はまったくありません(「判定するまでもなく成功する行為」と見なして、1ゾロとかの余地もなく、自動で成功します)。いいね?
あと真面目な話をすると、地球で南半球におもに生息する生物をインターネットで検索して(ナンヨウスギとかジャカランダとか)、その場その場での背景描写で出せば、ファンタジー感とはまた別の異国情緒を楽しめそうです。
なお、レーゼルドーン大陸ではエイギア地方がほぼ赤道直下、それ以外は北半球。
アルフレイム大陸は北半球なので気にしなくていいよ! やったね!
◆レーゼルドーン大陸暫定図
神紀文明時代の神々の都があった場所で。
ウォーリーダーの技術が盛んだった場所で。
人族の勢力が〈大破局〉で壊滅した場所。
そんなレーゼルドーン大陸の暫定図です。大陸の形は(情報がないので)南端部以外は適当。
|
||||||
|
人族の
領域 |
|||||
|
||||||
|
||||||
|
蛮族の
国(西) |
蛮族の
国(中) |
蛮族の
国(東) |
|||
|
→ | |||||
|
(アルフ
レイム 大陸) |
|||||
|
エイギア
地方 |
|||||
|
ザルツ
地方 |
アレスタ
海 |
オーラン
トレック海 |
「レーゼルドーン開拓記」2巻・3巻の情報によると、
(2巻)
・〈大破局〉から落ち延びた人族は北部(ソレイユの大規模な居住地)へ逃げて、蛮族との戦いを経て北部の一部に領域を確保した。
・中央部には蛮族の大国が3つあり、南への往来が遮断されている。
・レーゼルドーン北部の人族は、南部やテラスティア大陸の状態を確認できなくなっていた。
・レーゼルドーン大陸の北側には大陸がなく、他の地域へ連絡を取る事もできない。
・北部からエイギア地方への通信装置とテレポーターが機能しているので、今後連絡を取れる望みがある。
(3巻)
・赤道はエイギア地方の〈霧の街〉のあたり。北東部は(少なくとも内陸では)冬には氷点下になり雪が積もる。
・北東部の人族の勢力はあまり強くなく、長期間定住すると人族狩りの蛮族に襲われる。そのため、冬に住む氷の家はすぐに壊せるようになっている。
ということです。
エイギア地方はほぼ赤道直下なのですが、地球の熱帯ほど暑くはないようです。ラクシアの平均的な気温は地球より低いのでしょうか。……描写が抜けているだけで、地図上の森が熱帯雨林だったりするのかもしれませんが。あと、赤道環流を妨げるような大きな陸塊がラクシアにはなくて、熱帯と寒帯の差が地球より小さいとか。
そして北が亜寒帯なので、最北端が北緯45度(北海道の道北並み)としても南北の差し渡しが5000kmオーバー。東西方向の大きさは今のところ不明です。
◆その他の場所
テラスティア大陸でもレーゼルドーン大陸でもない別の大陸(や大きな島)も、ラクシアにはあります(はずです)。
それっぽい事例には、
・グラップラー技能の発祥地。
・リーンシェンク人の起源にあたる土地(レーゼルドーン大陸かもしれない)。
・『彷徨ノ塔』で出てきた、レーゼルドーン大陸から亡命した船団がたどり着いた場所(テラスティア大陸かもしれない)。
・ディルフラムの蛮族ニンジャではなく、本来の「ニンジャ」が存在した「別の大陸にあるとおぼしき地方」(小説の中なので、架空の産物である恐れあり)。
・「2.5」で使用するアルフレイム大陸。
・「2.0LARP」で使用するラファリア群島。
といったものがあります。概ねこういった地域とは、
・神紀文明時代に第一の剣の神々(特に古代神)が外部の大陸へ教えを伝えた。その後も小規模な大陸間交流が持続する。
・第二の剣の神々が戦いに巻き込み、蛮族を放った。
・神々が地上からいなくなり、ただでも少なかった大陸間交流はさらに衰退する。
・魔法文明時代には交流は乏しいままだった。真語魔法や操霊魔法は、別々に開発されても似たようなものになったのではないだろうかと思う。
・魔動機文明時代に乗り物(船、飛空船、テレポーター)の技術が発達して、テラスティア大陸/レーゼルドーン大陸と外部の大陸の間に大規模な交流が生まれる。
・〈大破局〉で交流が途絶える。
という経緯があったのでしょう。たぶん。
めんどくさいなら〈大破局〉で滅亡した事にしても構いませんが(よくない)、オリジナルの大陸を設定する余地もあるでしょう。……公式設定と矛盾するのが嫌なら、ラクシアではない別の惑星に移住した人族や蛮族がいてもいいですし。
◆宇宙!
ラクシアは宇宙に浮かぶ惑星であり、恒星(ラクシアの“太陽”)の周りを回っています。衛星が1つあり、単に「月」と呼ばれています。「太陽神」ティダンは、太陽を神の力であれこれできるわけではなく、天候を操る力の偉大さを形容されているだけです……ですよね?
まあそこまでは現実の地球めいていますが、あくまでもファンタジー世界のファンタジー宇宙です。月にも、もしかしたらある他の見えにくい衛星にも、他の惑星にも、人族や蛮族が住める環境があるかもしれません。
◆フォーセリア
ラクシアの宇宙にはフォーセリアはありません。魔神がいる魔界は完全な別世界で、同じ宇宙の中ではありません。あれはあくまでもクリフの妄想で、水野さんや清松さんは関知しない。いいね?
◇テラスティアの言語
……を、言語学っぽく語族・語派に分けてみました。
余談ですが、言語習得の一番の難関は、人間の地方語でしょう。「交易共通語が分かるから」と思っていると、NPC同士の仲間内の会話の意味が不明だったりしますから。種類が多いのが最大の理由ですが、公式設定だけでテラスティア大陸に14種類。セージとバードを共に極めないと習得はほぼ無理です。素直に魔法に頼れという事でしょうか。
☆自然言語
人族の地方語
人族の起源は神紀文明よりも前に遡りますから、その当時にはすでに地方語が分化していたようです。各地方語は神紀文明時代から存在が確認されており(ただし、地方語の文字記録は魔法文明時代の初期から)、時代を遡ると現代語との差が大きくなりますが、母語にしているキャラクターか、その言語を習得しているセージやバードなら、古い時代の地方語でも何とか理解できます。
なお、現在は蛮族の領域となっている地域では、隣接する地方と同じ、あるいは類似した地方語が使われていました(という事に便宜上します)。蛮族の支配下に置かれている人族に、蛮族の支配層は地方語の使用を禁止する事はなく、反逆をたくらむ有力な蛮族に抱き込まれないようにするため(主にドレイクは)、あるいはただめんどくさくて(主にバジリスクは)、むしろ汎用蛮族語などの蛮族の言語を教えないようにしています。魔動機文明時代の都市や国家には、魔動機文明語を(第一の、もしくは唯一の)公用語としていた所もありましたが、蛮族の攻撃目標にされて滅亡したか、再建時に交易共通語が公用語にされたかで、魔動機文明語を母語とする社会はルーンフォークにしか残っていません。レプラカーンも魔動機文明語を母語としていますが、家族ごとにばらばらに潜んでいるのを「社会」と呼んでいいのかはいろいろと疑問です。
西テラスティア語族
├アレスタ語派
│└┬ザルツ地方語
│ └リーゼン地方語
└マルキアス語派
└┬ユーレリア地方語
├レンドリフト地方語
├ハインラト地方語
└旧リーンシェンク地方語(イスカイア語)
テラスティア大陸の西部を中心に話される言語で、間に挟まるリーンシェンク地方語の分布地域で2つの語派に分けられています。魔法文明語や魔動機文明語に文法や単語が似ており、源流として有力視されています。アウリカーナ共和国(自治都市ロシレッタを除く)ではザルツ地方語とリーゼン地方語はどちらも公用語として扱われず、魔動機文明語が日常的に用いられていたため、魔動機文明時代のアウリカーナの都市の遺跡からはほとんど両地方語の記録は出てきません。そのため現在でも、ザルツ地方語の標準語はフェンディルの都で使われるものとなっています。
なお、エイギア地方では独自の地方語がありましたが、ダーレスブルグ王国領ではザルツ地方語の使用が優先されていたため、ダーレスブルグ王国関係の遺跡(ハーゼなど)にある記録はザルツ地方語を使用しています。ウルキア連邦などが領有していた竜槍山脈以西・ソラス湖以北(ブルームなど)や、ダーレスブルグ王国が征服する以前の遺跡(アンキローゼなど)では、エイギア地方語が使われていました。
ユーレリア地方語は現在でも地域差が大きく、魔法王国時代のシュバイゼンの森(跡)を境に、南側(ユレヒト、オルブリュークなど)と北側(アルデンなど)が別の方言に分けられます。北方言は魔法文明時代まで、ユーレリア地方語(の南方言)との違いが大きく、独立した「ネレスドー語」として扱われる事もありました。
レンドリフト地方語は、魔法文明時代末期に地方をノスフェラトゥから解放したレンドリフト達が使っていたユーレリア地方語が基になっています。レ=マリア蛮王国のノスフェラトゥの支配下の人間は、ユーレリア地方語に似た言語であるレ=マリア語(後付けで「前レンドリフト語」とも呼ばれます)を話していましたが、ノスフェラトゥ語からの影響を強く受けていたため、レンドリフト王国ではユーレリア地方語を基にして言語浄化運動を行い、現在のレンドリフト地方語を生み出しました。ノスフェラトゥに飼育されている人間であっても、「潜伏の妨げになる」「純粋なノスフェラトゥ語を汚す」「維持する必要はない」「めんどくさい」としてノスフェラトゥが外界のレンドリフト地方語を使わせるようになり、〈銀炎〉が王国を打倒してレンドリフト帝国を建国しても変わっていません。
西テラスティア語族に属していた失われた言語として、魔法文明時代までのリーンシェンク地方語がありました。魔法文明崩壊後に大陸の外から移民した民族による「現在」のリーンシェンク地方語と区別して「旧リーンシェンク地方語」と、神聖大イスカイア帝国の版図で使われたために「イスカイア語」と呼ばれる事があります。魔法文明時代後期にはカルゾラル高原の西部、蛮族勢力を放逐した地域でも使われていましたが、神聖大イスカイア帝国末期にリーンシェンク地方が魔導大公大戦で壊滅した際に話者が激減して、魔動機文明時代初期にはほとんど使われなくなっていました。神聖大イスカイア帝国では魔法文明語が公用語であり、旧リーンシェンク地方語の記録はほぼ残っていませんが、ごくわずかな記録からユーレリア地方語に似ていたと考えられています。なお、魔動機文明時代に、リーンシェンク地方南部にはユーレリア地方語を使うごく限られた地域がありましたが、これは旧リーンシェンク地方語を使っていたのだという説があります。……〈大破局〉でたぶん全滅したので、もう考える必要はなさそうですが。
東テラスティア語族
├大陸語群
│├ダノス語派
││└┬ダグニア地方語
││ ├モーロック地方語
││ └アノン地方語
│└シエナクェア語派
│ └┬シエナクェラス地方語
│ └フェイダン地方語
└ザナル・シレスカ語群
├ザナル語派
│└┬ビオ地方語
│ └ノルダール地方語
└シレスカ語派
└プロセルシア地方語
西テラスティア語族とは系統が異なる言語ですが、古い時代からお互いに外来語のやり取りがあり、隣接する言語は「言語連合(別系統の言語が互いに影響して似たものになる現象)」を形成しています。魔動機文明語とは違いが大きいため、西テラスティア語族の地域より魔動機文明語の使用頻度は低くなっていました。
ダグニア地方語(特にセフィリアの標準語)は魔法文明時代からの変化が少なく、話し言葉も相互に理解できるほどです。ダノス方言はスルティア島に、ソルトラ方言は防人の国(辺境王国群と宿場町)にしか残っていません。……実は、ダノス方言は蛮族の奴隷達の間でも使われていますが、言い回しが蛮族社会の影響を受けてきていて、標準的なダグニア地方語の話者からは「どこか違和感を感じる」ような差ができてしまっています。そのせいでイレスデアルの上位蛮族達は人族の奴隷を人族領域への密偵や内通者に使うのが困難で、策士が策に溺れるオーガか、滅多に生まれないウィークリングに密偵を頼るしかない事態に陥っています(そして警戒心の強いセフィリアやラ・ルメイアで、頻繁にばれては殺されます)。
シエナクェア語派は西テラスティア語族の影響が特に強く、他の語派と異なる特徴が見られます。
シエナクェラス地方語は、地域差が激しいうえに、境界線を引けるようにきれいにまとまった特徴が少なくなっています。魔法文明時代中期以降にほかの地方から多数の魔法王に侵略されてばらばらに支配されて社会的に統合が進まず、魔動機文明時代に社会上層で進んだ融合も〈大破局〉で粉みじんにされ、蛮族から解放されてもばらばらの国による支配が続き、現在ではある程度は国ごとに似た言葉を使うようにはなりましたが、国ごと・地域ごとの差は激しいままです。
フェイダン地方語は、大きく分けて、大陸大方言とエイデル島東部の東エイデル大方言があり、大陸大方言はさらに各方言に分けられます。エイデル島西部では、人間の大規模な居住は(少なくとも現在時点では)確認されていません。
ザナル語派は文法自体が他の語派と大きく異なりますが、魔動機文明時代の研究によりこの語族に含まれています。
ノルダール地方語は、魔法文明時代のビオ地方からの移民の言葉が元で、その後次第に差が大きくなり、魔動機文明時代の初期にはお互いに通じないほどになりました。“帰れぬ凍土”コンルーの永久凍土に住む部族でも使われているようですが、魔動機文明時代末期ですら外部からの探索が覚束なかった地域ですので、その詳細は定かではありません。
プロセルシア地方語は、プロセルシア地方の人族がノルダール地方に由来するため、元はノルダール地方語やビオ地方語に近い言語だったはずなのですが、ドラゴン語からの文法レベルに及ぶ影響のため、少なくとも単語や発音はほぼ類似点を持ちません。東テラスティア語族に一応含まれているとはいえ、語学上は単独の語群を立てられる事があるほどです(上記の表では、分化したのが魔法文明時代だという事を考慮して、単独の語群を立てていません)。魔動機文明時代には魔動機文明語の通用度は低く、むしろ〈大破局〉以降になって、魔動機文明都市ナグラスの情報・物流ネットワークにより、交易共通語が広まっています。それより前のプロセルシア帝国の種族間共通語は魔法文明語とドラゴン語であったため、プロセルシアの交易共通語は魔法文明語から発音や言い回しに影響を受けています。方言は、島(と大陸側のごく一部)ごと、大貴族の領地ごとに分かれています。ナグラスの住民はアウリカーナ共和国からの移民に由来しますが、ザルツ地方語やリーゼン地方語の影響はほぼありません。
クロストルム語族
└新リーンシェンク地方語
「現在」のリーンシェンク地方語は、魔法文明時代までの旧リーンシェンク人の言語と区別して、「新リーンシェンク地方語」と呼ばれる事があります。「現在」のリーンシェンク人は、魔法文明時代の末期から魔動機文明の初期の間、記録がほぼ残されていない時期に大陸外から移民したと見られ、リーンシェンク地方語には大陸の他の言語と類縁関係はありません。魔動機文明時代には他の地方との交流が盛んだったため、魔動機文明時代の魔動機文明語の使用率はかなり高かったようです。魔動機文明時代のユーレリア地方への移民は、リーンシェンク地方語を固持するのにはあまり熱心でなかったようで、〈大破局〉後にはほぼ忘れ去られてしまいました。
レーゼルドーン語族
├(北部の地方語)
└エイギア地方語
エイギア語がエイギア地方の本来の言語ですが、南部の旧ダーレスブルグ王国領では魔動機文明後期にザルツ地方語が使われるようになり、末期には南部方言の話者は消滅しています。ブルームの遺跡で使われていたのはこの言語です。現在も灼熱の砂漠のオアシスの住民が使用していますが、ザルツ地方でエイギア地方語を使えるのは、ほとんどが旧ウルキア連邦領に出自を持つシャドウです。アシュラウトの住民のうち人間は、元からの住民は(訛りの強い)エイギア地方語を使っていますが、入植者はザルツ地方語を使っているため、当初は魔動機文明語で、現在は交易共通語で、お互いの意思疎通をしています。
レーゼルドーン大陸の大半は蛮族領ですが、そこの人間の言語をいちいち設定するのがめんどくさい場合、「魔動機文明時代に魔動機文明語を日常でも使うようになり、元の地方語が日常語ではなくなった」「地方語の記録は魔動機文明時代の後期に魔動機文明語へ翻訳され、原文は軽視されて失われてしまう」「〈大破局〉で過去の文化の蓄積をほぼ完全に失った。特に地方語の文書記録は蛮族にとってもどうでもよかったために、ほぼ残っていない」のような理由付けで、地方語は誰も理解できず、地方語の記録も存在しない事にしましょう。
アルフレイム大陸とラファリア群島の人間の言語
「2.5」の主要な舞台である北東の海の彼方のアルフレイム大陸と、テラスティア大陸との航路上にある「2.0LARP」の主要な舞台になるラファリア群島の言語は、テラスティア大陸(特に西方)ではほとんど知られていません。
恐らくは同じであろう交易共通語は使いますが、アルフレイム大陸は北半球にあるため、アルフレイム人が話す交易共通語は、方角や生態系にかかわる言い回しが大幅に異なる(「北」という単語に「寒い」「物陰」など、テラスティア大陸では「南」にかかわる語感を混ぜたり)のが特徴です。
種族語
テラスティア大陸で知られる限りでは、人間以外の種族が話している種族固有の言語は、人族・蛮族問わず、方言の差はあっても「同一の言語」と見なされています。
・エルフ語やドワーフ語のように、文字による規範を持ち、なおかつ守旧的で大きな変化がない。
・妖魔語のように、語彙が単純で変化の余地に乏しい。
・妖精語や魔神語のように、言語が本質に結びついている(と見られている)。
などが魔動機文明時代に出ていた仮説です。
人間に多様な地方語が存在する理由は、
・様々な土地への適応力が高いため、土地に応じた地方語の変化を生み出した。
・そもそも、言葉を持つ種族の中ではドラゴンや一部の幻獣に次いで生まれたのが早いのだから、多様な地方語が存在するのは当然である。
といったものが唱えられていました。
人間の地方語と種族語の間には(そして種族語の間にも)、いろいろな影響が生まれています。単語の借用がほとんどですが、まれに文字の借用や文法への影響にまで及んでいる事があります。
アステリア語族
└エルフ語派
├エルフ語
└マーマン語
アステリアの従者達の主な出身地の地方語から変化した(いや、していない)と言われ、神紀文明語の文字が急激に使われなくなった魔法文明時代の黎明期にいち早く文字の使用を始めた語族です。言語に関しては守旧的で、少なくとも魔法文明時代の黎明期から、大きな変化を受けていません。
エルフ語は、西方の方言が魔法文明語の影響を受けているのに対して、東方の方言は影響をほとんど受けておらず、発音レベルでは違いが大きいため、慣れない人が聞くと、まったく異なる言語のように感じます。プロセルシア地方でも、竜騎士が少ないためか、ドラゴン語からの影響はごく一部の単語に留まります。
魔法文明時代には、ノーブルエルフは言語においても「美」を追求して、粗野な兄弟達との違いを求めていました。しかし、「美しい言語」についての見解の相違がいたずらに大きくなるばかりで、不毛な水掛け論と殴り合いの末に決着はつかずそのまま種族は滅亡。後世のエルフ達は、「始祖が授けた言葉をもてあそんだ」として、ノーブルエルフが残した記録には見向きもしませんでした。あるエルフの賢者は、「お前それサバンナでも同じ事言えんの?汝ら、傲慢にして永劫の死に囚われしはとこ達よ、かのような事を叢林の奥にても言えるものかな」と言い残しています。
グレンダール語族
├ドワーフ語派
│└ドワーフ語
├巨人語派
│├巨人語
│└ミノタウロス語
└ケンタウロス語派
└ケンタウロス語
グレンダールに導かれた人族が、技術を極めながら確立した言語とされています。源流はテラスティアの外にあったらしく、テラスティアの人間の言語とは似ていません。
ドワーフはエルフほどではありませんが守旧的で、絶えず密かに人族社会へ接触を取っていたダークドワーフも含めて、魔法文明時代と大きな違いはありません。しかしドワーフ語のプロセルシア方言は、ドラゴン語からの影響を比較的強く受けており、訛りが強く感じられる事も多いようです。巨人語も、上位の巨人の方言は魔法文明時代とほぼ変わりありません。
ドラゴン語族
├ドラゴン語派
│├ドラゴン語
│└ドレイク語
└リザードマン語派
└リザードマン語
ドラゴン語に文字がない理由は、「記憶力が良いからだ」とする説がありますが、「単独で生きていけるため、見知らぬ他者と知識を共有する必要性を感じていない」「物を書く時は神紀文明語や魔法文明語で用が足りる」という考えの方が正しいようです。それでも話し言葉が意思の疎通をできなくなるほど分かれていないのは、ドラゴンの場合はまだ分化に必要なだけの年月を経ておらず、リルドラケンは外部との交流が盛んなためにラクシア全体での差異を抑え込むようにしている……というのが有力な説です。リルドラケンの場合、記録には各時代の対異種族コミュニケーション用の言語を使っています。
ドレイク語は、各一族が自己流の使い方をしているために統一性がなく、文法・単語・発音・表記に大きなずれが生じています。命名に濁音を含むのを好む一族が多いのですが、その一方で、それを「自己顕示欲が過大だ」と見なす一族もいます。
オーガ語族
├オーガ語派
│├妖魔語
│└オーガ語
└ギルマン語派
└ギルマン語
確立の経緯は知られていません。それどころか、方言間でも文法や基礎語彙レベルで相違が激しく、蛮族が一族以外の他人のために記録をする(しかも、力を得る足しにならないような記録をする)風習が乏しい事からも、研究はほとんどされていません。
シャドウ語族
└シャドウ語
レーゼルドーン大陸の人族の言語と類似点があるようですが、同音異義語や近い意味の多様な単語があるのは、各時代・各地の地方語や種族語から取り込んだと見られています。他種族からの先入観に反して、発音や文法は極度に難しいわけではありません。
ソレイユ語族
└ソレイユ語
音声言語である部分はレーゼルドーン大陸の人族の言語といくらか似ていますが、ハンドサインというかボディランゲージというかが発達の極みを見せたため、別の語族として扱われています。軍の斥候、野伏、盗賊ギルド員などが使う様々なハンドサインは、あくまでもソレイユ語の肉体言語、いや、ハンドサイン的な意思疎通にヒントを得ただけで、ソレイユ語自体にはほぼ無関係です。
独立した/系統不明の言語
バジリスク語
アードラー語
獣人語
アンドロスコーピオン語
フォルミカ語
海獣語
ハルピュイア語
妖精語
魔神語
グラスランナー語
ミアキス語
バルカン語
ヴァルグ語
レイヴン語
ガネーシャ語
ホッパー語
相互の関係すら不明な言語の一群です(もしかしたらお互いに関係あるか、既存の語族に編入できるかもしれません。バジリスク語はドラゴン語族に、ミアキス語はアステリア語族に含まれ、アードラー語と獣人語とハルピュイア語、アンドロスコーピオン語とフォルミカ語とホッパー語はそれぞれ同一の語族に属するという説があります)。
こういったマイナー言語にも文字はあり、メジャー言語の文字と同様に、神紀文明語の文字の系譜を引いている事が、魔動機文明時代の研究で明らかになっています。あまり書記をしない言語の文字は概ね、関係の深い他種族の文字を転用したもので、日常的な記録やメモしか取れない場合が多く、書き手によって表記も違いが激しくなっています(一応、セージ技能で理解できるレベルの統一性はありますが)。妖精や魔神が文字を持たない理由は、本人達は何も言いませんが、ドラゴンと似たような「単独で生きていけるため」などだと考えられています。
例外はグラスランナー語で、他の文字と系譜的につながらない独自の文字を持っています。「神」「マナ」「妖精」などの信仰や魔法にかかわる固有の単語を持たない、きわめて古い言い伝えに見られる「フィーのようにふるまうエルフ」「〈夜の王〉ラーリスと対立する双子の〈昼の王〉」「水時計になっている世界」「ラクシアの歴史からは存在が確認できない魔法王」などのモチーフ、呪歌にあるどこの言語かも分からない単語らしきもの、その他さまざまな「ラクシアらしくない」要素から、「グラスランナー語は元は異世界の言語で、魔神語の遠い親戚にあたる」という説があります。
魔神語は、魔神だけでなくリャグも使っています。リャグが種族語を持たない、あるいは種族語を失ったのは、「すべてはラーリスがもたらす狂気によって生み出された妄想である」「リャグが魔神の一種だから」「ラーリスを信仰するために魔神の言語を受け入れた」などの説があります。リャグ自身は「元はエルフに似た姿だった」と主張するのに、リャグの魔神語にエルフ語に似た要素が見られないのは、「すべてはラーリスがもたらす狂気によって(略)」「姿が似ていたという話しかない。エルフではない別の種族だろう」「もしエルフでも異世界なら、言葉が違っても問題ない」などの(略)。少なくとも、“穢れ”を受け入れて蛮族になるより前の姿が、彩色された壁画では一貫して肌が黒で、生贄にされるエルフの白や赤茶の肌とは完全に区別されています。魔神語も文字を持ちませんが、魔神はグラスランナー語の文字を断片的に用いる事があります。ユーレリア地方で発見された、魔法文明語や魔神語と類縁の言語を使っている腰みの族は、魔法文明時代の召異術師の末裔だという説もありますが、詳細は不明のままにしておいた方がよさそうです(汗)。
☆人工言語、もしくはその疑いがある言語
西テラスティア語族・アステリア語族系
└魔法文明語
西テラスティア語族系
├魔動機文明語
└交易共通語
ドラゴン語族系
└汎用蛮族語
基礎言語不明
└ライカンスロープ語
基礎言語不明
└ノスフェラトゥ語
魔法文明語は、西テラスティア語族の諸言語をもとに、エルフ語の構成要素も応用して誕生したようです。ラクシアはフォーセリアとは違い、言葉自体に力があるわけではないため、その気になれば異なる人工言語で真語魔法や操霊魔法を使う事も可能なはずですが、実際には一から体系を構築するのは困難なため、蛮族も同じ魔法文明語を使用しています。その過程で逆に人族の魔法文明語へも、ドレイク語やバジリスク語由来の要素が入り込んでいます。また、地域・種族・魔術流派により、方言差のようなものがあります。一般社会での使用を目的とした言語ではなく、魔法の記述に用いるための言語であり、魔法文明時代には種族間の共通語ではありましたが、特に平民の言葉では訛りや誤用とされる物が頻繁にあったようです。
現在時点でも、各地方語・(真語魔法・操霊魔法を使える)種族語に影響を残しているだけでなく、魔術師・操霊術師の社会では共通語として扱われ、人族の古い家柄の貴族や蛮族のエリートでは、使用する事がステータスの一つとなっています。ハイマンの魔法文明語には魔法文明時代の話し言葉としての要素も多いため(特に生活用語)、魔法文明語を「学習」した者にはよく分からない事もあります。
魔動機文明語は、ザルツ地方語(もしくは失われている近縁の地方語)をもとにしていると考えられています。アル・メナス文明は実用を第一とした反面、自然科学や社会科学に比べて人文科学が軽視された(そのため、堕女神シリーズで言及されたように、魔法文明時代以来の知識が魔動機文明時代に大幅に失伝している)ため、魔動機文明語という完成品ができてから速やかに成立経緯は忘れられていきました。魔動機術は厳密に構築しないと働かない術ですので、魔法用の言語としての魔動機文明語に方言差はほぼありませんが、日常で使用された話し言葉(ルーンフォークと、今は滅びた高層都市群が中心)としては方言差があります。魔動機文明時代の人間でも、伝統にこだわる社会では地方語を主に使っていましたが、技術・社会用語を中心に、多かれ少なかれ魔動機文明語の影響を受けています。……が、何かと例外であるプロセルシア地方はやはり例外です。
レプラカーンが魔動機文明語を母語としていますが、魔法文明時代のレプラカーンの母語が何だったのかは明らかではなく、魔法文明語説、妖精語説、ドワーフ語説、失われた独自言語説があります。
交易共通語は、もとは魔動機文明時代後期の、魔動機文明語の文法や発音を簡略化した(俗語的な)口語です。文章語としての性質も兼ね備えた「交易共通語」というものは、人族の国家の中でいち早く立ち直った、ザルツ地方のルキスラ帝国が、諸地方・諸種族の意思疎通のため、文法や発音に改めて規範を与える形で生まれました。
ザルツ以外の地方でも、近い系統の言語を用いる大陸西部では、異なる地域や種族間の共通語として、海路でザルツ地方から速やかに広まりました。しかし、東寄りのモーロック、アノン、ビオ、ノルダール、プロセルシアへは海路が断たれていたため、交易共通語の規範はあまり確立されておらず、各地方の有力な言語の影響を受けた交易共通語を話しています。しかしそういった「方言」も、意思疎通が難しくなるほどではありません。系統が異なる言語を用いる大陸東部ではほぼ業務用にしか使われず、お互いに突っ込んだ話をするためには相手の母語を習得するのが普通です。
魔動機文明語を母語としていたタビットの社会でも、(実は不器用なせいで)研究以外の書き物をあまりしない事もあり、魔動機文明語の文章語にはあまり執着が強くなく、〈大破局〉後のタビットの話す言葉は、ごく自然に交易共通語と見なされました。
あと、魔法文明語と共通の弱点ですが、タビットの方言以外では特定文化に根差した細かい表現を使うのも不得手であり、文学作品にはあまり使われません。「タビットが文学に疎いのは、母語を各時代の共通語に依存しているからだ」という意見もありますが、元から情感に訴える表現に価値を感じないほとんどのタビットは、別に気にしていません。
汎用蛮族語は、魔法文明時代にドレイクが開発したものと考えられています。構造が簡単なため、ほぼ日常会話レベルのやり取りしかできないものの、代わりに基本部分では方言差がほぼ存在しないため、稀にドレイク同士でも汎用蛮族語でやり取りする事があります。「基本的でない」単語には他の言語による名称をそのまま拝借する事も多いのですが、そのような場では交易共通語やドレイク語を使う方が普通です。
ライカンスロープは固有の言語を持っていますが、どこから生まれたのかは知られていません(一部の長老は知っているかもしれませんが)。最初期のライカンスロープの出身地の地方語に由来する自然言語だという可能性もあります。人間に儀式を施してライカンスロープに変えるだけでライカンスロープ語をマスターできる理由と、ライカンスロープが儀式を施される前に知っていたはずの地方語を忘れる理由は、今も解明されていません。
ノスフェラトゥも固有の言語を持っていますが、やはり由来は不明です。新たに生み出されたノスフェラトゥがどのようにしてノスフェラトゥ語をマスターするのかもやはり不明です。
☆概念が異なるもの
神紀文明語
文字しか存在が確認されていない神紀文明語は、意味のみを示す(発音を伴わない)文字体系のみの言語で、当時は会話に各地方語・各種族語(の古語)を使っていたとする説が有力です。神々への信仰、魔剣関係の伝承でも最古に遡る部分、神紀文明時代に誕生した技術に関する様々な言語の単語から発音を復元しようとする試みもありますが、1万年の時の隔たり、盛んに行われたと思しき意訳、同時代記録の極端な乏しさ(魔法文明時代に収集された資料の大半が前回のドラゴンレイドで、魔動機文明時代に収集された資料の大半が〈大破局〉で失われています)のため、ほぼ何も進展していません。
セフィリア神聖王国には魔法文明時代の、ダグニア地方語と神紀文明語を併記した石碑が多数あり、テラスティア大陸の既知の神紀文明語の資料の大半を占めているといいます。
タビットの一部は「神紀文明語の失われた話し言葉こそタビットの母語だ」と主張をしていますが、圧倒的多数のその他のタビットからは無視されて、「タビットはテレパシーで会話をしていた」説を採るごく一部のタビットと言い争っています。
ヨーウィや天使は神紀文明語を「話す」事ができるのですが、セージ技能やバード技能で会話を習得する事はできないようです。ヨーウィは人族も蛮族も敵視していて、天使はよほどの事がない限り人族や蛮族の前に現れないからなのですが、その辺りの謎は超越者に任せておきましょう。
なお神の分体は、神紀文明語以外にも、神格ゆかりの言語を(神になる前に覚えて)話せるはずです。ルーフェリアの場合、フェイダン地方語とエルフ語とか。
☆おまけ
(読文なし)
ドラゴン語、魔神語、妖精語、妖魔語、ミアキス語、ヴァルグ語、ソレイユ語
ラクシアの言語は、神紀文明が終わりを告げ、神々の声を常に聞く事が次第にできなくなった時期に、授かった言葉を記録に留めるために、いくつかの種族が各々の母語を記録する方法を開発したと考えられています。マイナーな言語も、関連のあるメジャーな言語の文字を借りて、ある程度は統一された書記規則を持っている事が多くなっています。
文字を持たない言語は、書記に適さない身体構造をした種族の言語、長期的な記録を行わない種族の言語、文字を持たない理由が不明の言語などに分けられますが、大半が憶測の域を出ません。数多のマイナー言語のようにメジャーな書記言語の文字を転用するにも、これらの言語は支障が大きいようで、ドラゴン語の呼吸で立てる音素や複雑な声調、ミアキス語の「にゃあ」にしか聞こえない多数の音素、妖精語の多分にフィーリングの入った発音全般、種族間どころか種族内でも千差万別過ぎる魔神語や妖魔語、ソレイユ語の文字化しようのないボディランゲージは、数々の筆記の試みを打ち砕いています。
(キャラクターの名前)
本来は、人間なら地域ごと、それ以外なら種族ごとに特色がありましたが、人族は魔動機文明時代の世界的交流や〈大破局〉以降の種族間協力で、蛮族は潜伏時代の共同生活で、お互いの文化が少なからず交ざっています。文化的嗜好により「エルフは柔らかい音を、ドワーフは硬い音を好む」くらいの違いは残っていますが、異文化の名前が付いていてもそれほど奇異には見られません。
……いや、現実の違いに応じて「交易共通語でジョン、ザルツ地方語でヨハン、エルフ語でジャン、ダグニア地方語でジョアン、ユーレリア地方語でヤン、ドラゴン語でヤーノシュ、魔法文明語でヨハネ」とか言っても構いませんが。
◇天使と悪魔
「ソード・ワールド」では、「1.0」でも「2.0」でも、天使や悪魔は、少なくとも物理的に存在する敵としては登場しませんでした。
「1.0」では、天使は至高神ファリスの従者が住む物質界である「天界」に住んでいるという伝承があるのですが、暗黒神ファラリスの従者が住む物質界である「魔界」にいて、カストゥール王国の召喚術師が使役して巨人の王国も滅ぼした魔神とは違い、
・ファリスなどの光の神々は、異界からの召喚自体を(アンデッドや魔法生物と同様に)禁忌としている。神々の信徒が死後に赴くという世界も、ラーダの「星界」からは無生物であり自然にも落ちてくる隕石しか召喚された例はなく、チャ・ザの「至福の島」やマイリーの「戦いの野」から何かを召喚したという記録は形跡すらない。この原則は当人(当神?)達も、闇の神々との戦いでも厳守していたらしい。
・フォーセリアでは、「特定の物質界の住人は、召喚されないとほかの物質界へは行けない」という世界法則がある。人間が異世界へ召喚された記録も、「火の星」へ召喚されたという伝承1つしか残っていない。
・強大な召喚術師(“メテオ・ストライク”の発明者、ハドア・ゲラルク)が、カストゥール王国の魔法王の地位を争って敗れ、政敵に処刑されたため、召喚術の発達が止まってしまった。
・というか、欲望を満たしてやれば(少なくとも当座は)よく働いてくれるファラリス信者の魔神とは違い、ファリス信者の天使は、召喚者の都合の良いような仕事に使役するわけにいかない。
・カストゥール王国の末期には、(たぶん、蛮族(=魔法王国の市民でない、一般的に古代語魔法を使えない下位種族の人間)の反抗の中心になるのを恐れて)神々への信仰を禁止していた(そのくせ、死霊術師と関係の深いファラリス信仰は、ノーライフキングが怖いのか事実上黙認)。余談だが、末期以外には、魔術師が神官でもある例(聖ガルドベルク)もあった。
ため、天使を召喚術で召喚するような事はなかったのでしょう。
また、フォーセリアには、邪神ポジションのファラリスの従者が「魔神」であるせいもあり、「悪魔」は存在が確認されていません。終末の巨人由来の、破壊神カーディスの眷族とか魔精霊とか魔神獣とかが悪魔に該当するのかもしれませんが。
で、ラクシアでは、
・魔動天使のモデルが、神話上の天使。
・ニゲラの二つ名が「茂みに潜む悪魔」。
というわけで、「天使」「悪魔」という概念自体はあるようです(特に、「魔神」とは明らかに異なる「悪魔」が)。
そしてなんとなく妄想すると、
・魂が転生を十分に重ねて、神の側仕えになって生まれ変わったのが、ラクシアの天使。神紀文明時代は地上にもいたが、神紀文明時代が終わるとともに、ラクシアの地上を離れて、神々がいる天界へ移り住んだ。何らかの理由で居残った天使が存在したとしても、魔法文明時代以来現在まで、活動が確認された天使はいない。
・もとが人族ならやはり人型だが、魂の本質が外見に影響するため、ごくまれに人型でない天使が存在する。幻獣系の天使は、やはり幻獣型。
・天使のうち、ダルクレムをはじめとする第二の剣の陣営の神に仕えているのが、ラクシアの悪魔。ただし、神が神なら側仕えも側仕えで、天使ほど上司には従順ではない。やはり、魔法文明時代以降は活動が確認されていない。
・悪魔は“穢れ”を上位蛮族並みに取り込んでいるため、まさしく「悪魔のような」姿をしているが、魔神と比べるとまだ人型生物っぽい。
・神の側仕えとしての立場を見失った天使は、堕天使とも呼ばれる。
・天使や悪魔は、種族カテゴリーでは「神族」に属する。
・神自体より始まりの剣の理念を求めている魂は、神々がいる天界を通り抜けて、さらに高い境地にたどり着くという考えもある。始まりの剣に直接触れた古代神は、この境地にたどり着きながら、そこには安住せずに(ダルクレムやザールギアスの場合、「安住できずに」か)、神の地位に留まっているらしい。
なーんてね。
★追記
『フォルトナコード』に天使が登場しました。最も下位の天使でも22レベル神族で、15レベル以下の相手から受けた攻撃はすべて自動回避・抵抗するという驚異の性能。
……悪魔は出てきていませんが、第二の剣の天使はまさしく「悪魔」にふさわしいかもしれません。
『エイジ・オブ・グリモワール』のアストレイドは、戦闘用の天使が、作り主の神が滅びたり天界に去ったりしてしまったせいで放置された存在でした。とはいっても天使ほど強くはないので安心……できるわけではありません。
◇テラスティア・各地方/種族のイメージ
全体的には、西洋ファンタジー的≒中世ヨーロッパ的な中に、一度は20世紀初頭レベルまで進歩した社会のあれこれが混入した感じです。ほかの大陸ではもっと違うのかもしれませんが、それはさて置き。
・ザルツ地方
ネーミングが割とドイツ語寄りなので、そんな感じのイメージでいいかもしれません。
・リーゼン地方
こちらはフランス語寄り……自信ありませんが。
・リーンシェンク地方
稲作とか、額に模様とか、褐色の肌とか、色々と南アジアっぽいイメージです。
・レンドリフト地方
レンドリフト帝国は、あくまでも人族と蛮族が混在しているのを許容しているだけで、蛮族領みたいな世紀末・地獄・魔大陸的無法地帯ではありません。蛮族をストレス発散させるために侵略活動される側にはたまったものではありませんが。アメリカ合衆国の活気と治安の悪い地域を煮詰めたような、そんな感じでしょうか。
・ダグニア地方
大規模な神殿を中心とする国家、まばゆい日差しと荒れる海、大船団の戦い、そんな辺りが地中海沿岸(南ヨーロッパや西アジア)を連想させます。
なお、「修道士VS奴隷」ことテンプル騎士団VSマムルークとか、バーバリのコルセアとかも連想しますが、人族と蛮族、どちらがどちらの陣営とかいうより、イメージを混ぜ合わせているようです。法王の名前からして、アラビア人の伝説上の始祖+スペイン人の探検家で、イスラム教もキリスト教もごちゃ混ぜですし。
・モーロック地方(というかスピドゥロスの町)
リキュールや水煙草(香り付き)が、ダグニアよりさらに、ヨーロッパにとっての「東方」的な感じです。
・ノルダール地方
リプレイの挿絵に漢字っぽい字があるとか、高原にある神々の遺跡とか、もっと東洋的なイメージです。
・プロセルシア地方
立地や政治体制(ドラゴン基準封建制)は少し日本っぽくもありますが、細部はもっとファンタジー的です。ハイ・ファンタジー的でもあり、ロー・ファンタジー的でもあり。中世ヨーロッパから見た異境的な、イランとかコーカサスとかエチオピアとか、「西洋だけどいつもとは違う」感を醸し出したいところです。
・エルフ
ファンタジー系原典の『指輪物語』からはウェールズやフィンランドっぽく、優雅な感じはフランスの騎士とか芸術家とかっぽく。
・ドワーフ
こちらは、ドイツかスカンジナビアっぽい感じ。ベーテさんによると、イルムとユニスの名前の対比も含めて、「ドワーフ→ドイツ」「エルフ→フランス」という感じだとか。
・シャドウ
異国風のイメージで、やはり「東方」的な、しかしダグニア地方の光溢れるイメージよりは、もっと謎めいた影のような感じ。海要素はダグニア地方とかち合うので勘弁してもらい、カバラとかアサシンとかタントラとか忍者とか……あ、コボルドニンジャよりよっぽど忍者っぽい。
◇複合技能所持者の呼び名
神官戦士(ロイ王子とかエリヤとか血まみれ伯爵とか)、魔法戦士、妖精戦士(ジーク)、神官魔術師(フィオ姫)のように、冒険者技能、特に戦士系・魔法使い系をメインで複数持って、特別な呼び名がある人は結構います。「2.0」では魔法戦士が《魔力撃》《マルチアクション》で派手な活躍を見込めるため、魔法使わない戦士が公式作品で幅を利かせた「1.0」とは異なり、神官戦士以外も色々とバリエーションが増えました。
で、そんな冒険者技能の複数習得にどんな呼び名があるのかを、生まれ表で調査。
……B・追加に多いのは、少数派なのか変わり者なのか、それともネタ切れか。
・人間
A-6:軽戦士=スカウト+フェンサー
追加2-3:趣味人=レンジャー+バード
追加7:魔法戦士=ファイター+ソーサラー
追加9-10:参謀=セージ+ウォーリーダー
軽戦士とB8:剣士(フェンサーだけ)は、いまいち区別が分かりにくいのですが(能力値もほぼ同じ)、「隠密活動をして軽い武器(剣に限らず何でも)を使うのが軽戦士」「剣を巧みに使ってクリティカルを狙うのが剣士」という事なのでしょうか。
趣味人の技能パターンは、種族によっていろいろと異なります。多いのはセージ+バードで、レンジャー技能を含んでいる人間は珍しいパターンですが、まさか違法な薬を(以下削除)。
余談ですが、ほかの種族では複数の冒険者技能の組み合わせである、B3:狩人はシューター単独(野外活動能力の比重が低いのか)、B11:薬師はレンジャー単独(広範な知識までは要求されてないのか)です。
・エルフ
A11-12:薬師=セージ+レンジャー
B5-6:野伏=シューター+レンジャー
B10-12:吟遊詩人=レンジャー+バード
追加5-6:戦奏師=バード+ウォーリーダー
追加8-9:戦軍師=フェンサー+ウォーリーダー
追加10-12:魔導師=ソーサラー+コンジャラー
エルフの社会では、「レンジャー=野伏」というより、「シューターの射撃武器使用能力+レンジャーの野外活動能力=野伏」といった位置のようです。そして、セージ技能の広範な知識も要求されるのが薬師らしいほか、エルフの生まれ表にはセージ技能のみの「学者」的ポジションはありません(社会が小規模で専門の学者が存在しにくいのか、知識を得る事が特別視→専業化されていないのか)。
バード技能は、それだけでは吟遊詩人とは言えず、能力をどう使うかにより社会的位置が変わるのでしょう。ウォーリーダーも、前衛系と後衛系で分かれています。
魔導師も、「操霊魔法も使う魔術師」「真語魔法も使う操霊術師」ではなく、「どちらも均等に扱う魔導師」という、独立した形で存在するみたいです。
・ドワーフ
B10-12:軽戦士=フェンサー+スカウト
追加5-6:銃使い=マギテック+シューター
追加7:趣味人=セージ+バード
追加10-12:錬金戦士=ファイター+アルケミスト
ドワーフの場合、フェンサー単独やスカウト単独の生まれはありません。……だけでなく、レンジャーを含む生まれもありません。そこまで隠密活動が苦手なのでしょうか。
また、魔法使いも、神官と魔動機師ばかりです。自分で採掘した宝石を磨く妖精使いとか、自分でゴーレムの素材を作り上げる操霊術師とか、(対応する一般技能も持たせて)イメージとして面白そうなのですが。
・タビット
追加7:魔導師=ソーサラー+コンジャラー
追加8-9:錬金術師=セージ+アルケミスト
追加10-12:参謀=セージ+ウォーリーダー
タビットらしく魔導師があるほか、錬金術師にセージ技能も付いてくるのは珍しい所。
・ルーンフォーク
B8-9:軽戦士=フェンサー+スカウト
追加7:魔動戦士=ファイター+マギテック
追加8-9:狩人=シューター+レンジャー
魔動戦士が独特の生まれです。というかそれ以外に何書けと。
・ナイトメア
A7:軽戦士(A)=フェンサー+スカウト
B5-6:趣味人=セージ+バード
B10-12:軽戦士(B)=フェンサー+エンハンサー
追加2-4:参謀=セージ+ウォーリーダー
追加8-9:狩人=シューター+レンジャー
元となった種族とは大幅に異なる独自の生まれ表なのは、なぜなのでしょう。……能力性向がかぶらず、手先や頭を使う職で重宝されるリルドラケン社会はともかく、アウトサイダーにされがちなほかの種族社会では立場が似てくるのも分からないではありませんけど。
※ドワーフ社会では魔法使いとして、エルフ社会では戦士として、社会の隙間を埋められそうにも思いますが、[暗視]がないので、生きにくいというより暮らしにくいのかも。
・シャドウ
B8-9:趣味人=セージ+バード
追加7:戦軍師=ファイター+ウォーリーダー
追加8-9:軽戦士=フェンサー+スカウト
軽戦士とA5-6:剣士(フェンサー)の違いについては(二番煎じ)。
あと、敬虔なシーン信者が多いはずなのに、生まれ表にはプリーストがいません。ソレイユはおつむが弱くても頑張ってるのに、ねぇ。
・リルドラケン
B5-6:趣味人=セージ+バード
追加5-6:錬金拳士=グラップラー+アルケミスト
追加8-9:狩人=シューター+レンジャー
リルドラケンのA2-3:野伏はレンジャー技能のみで、狩人がシューター技能を兼任しています。……野伏でも、ファイター技能に物を言わせる事が多いのでしょうか(笑)。
しかし、錬金拳士って、なぜその組み合わせなのでしょう。謎が深まるばかりです。
・グラスランナー
A7:放浪者=スカウト+レンジャー
B7:密偵=フェンサー+スカウト
追加2-4:軍楽師=バード+ウォーリーダー
追加10-12:旅人=レンジャー+ミスティック
グラスランナーが軍隊勤めできるのかとか、旅人のミスティック技能はMPが「なし」のグラスランナーには代償的に危険なのではとか、まあグラスランナーなので気にしない方向で行きましょう。
で、グラスランナーのA8-9:薬師がレンジャー技能のみなのは人間と同じで、A10-12:趣味人は「セージ『or』バード」。セージだというだけで趣味人扱いされるグラスランナー社会のひどさが窺えます。……B2-4:学者(セージ)も追加されましたが。
・ハイマン
B7:魔導師=ソーサラー+コンジャラー
特にありません。
・ヴァルキリー
(なし)
ですが、B8-9:魔術師が、「ソーサラーorコンジャラー」です。操霊術師とはそんなに名乗りにくいのでしょうか。
・フィー
「妖精使い」以外すべて=フェアリーテイマー+ほかの技能
「1.0」のエルフさながらです。魔法使い系技能の複合版では、
追加2-4:召喚士=+コンジャラー
追加10-12:妖魔術師=+ソーサラー
があります。
魔法使い絡み以外で特筆したいのは、レンジャー兼任の2-4:癒し手(神聖魔法ないので)や、ファイター兼任の追加7:妖精戦士(「妖精魔法を使う戦士」というより、「妖精の戦士」)でしょう。あとはフェアリーテイマーじゃない方の技能をかっこよく言い換えただけで(以下略)。
・フロウライト
7:魔導師=ソーサラー+コンジャラー
思い切り余談ですが、生まれ表にマギテックはありません。いくら幼体が乱獲されていた事を今のフロウライトが気にしていなくても、本能的に魔動機術は嫌いなのでしょうか(汗)。
・ミアキス
追加10-12:軽戦士=フェンサー+スカウト
やはり5-6:剣士(フェンサー)とどう違うのか(以下略)。
・ダークドワーフ
(なし)
・ソレイユ
B8-9:趣味人=レンジャー+バード
やはりエキゾチックでデンジャーな薬を(無明殺手団により連行)。
・レプラカーン
B5-6:趣味人=セージ+バード
特にありません。影が薄(以下削除)。
・ドレイク(ブロークン)
追加2-4:神官戦士=ファイター+プリースト
生まれ表でわざわざ「神官戦士」がある珍しい種族です(で、単なる「神官」はない)。
ところで、敵ドレイクはみんなファイター+コンジャラーなのに、魔剣がないと何でバリエーションが生まれるのか。いやそれは都合で。
・ダークトロール
追加2-4:粛清者=ファイター+スカウト
追加5-6:神官拳士=グラップラー+プリースト
追加7:戦軍師=ファイター+ウォーリーダー
追加8-9:参謀=セージ+ウォーリーダー
戦軍師と参謀は人族にもありますが、あとの2つが思い切り異彩を放ちます。
・ラミア
追加7:狩人=シューター+レンジャー
で、何をコメントしろと。
・ライカンスロープ
(なし)
・コボルド
(なし)
・ウィークリング
追加10-12:狩人=シューター+レンジャー
で?
・ラルヴァ
(なし)
・バルカン
追加7:魔法剣士=フェンサー+フェアリーテイマー
B-Book追加7:〃
筋力ありそうな種族なのに、意外な組み合わせ。
なお、フィーの場合、この組み合わせは「剣の舞手」と呼びます(フェンサーではなくファイターなら「妖精戦士」)。
・センティアン
「神官」以外すべて=プリースト+ほかの技能
まあそうだよねーという感じです。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆番外
◆剣◆ ニンジャ名鑑#2.0【シャドウファング】 ◆弐◆
コボルド・ニンジャクランのマスター階位にあるニンジャ。ギュスターヴの配下としてリリオの街に潜伏するが、ガッデムガーディアンズに討ち取られた。
なお、種の限界は越えられず、モンスターレベルは5。
ディルフラムのコボルドとオーガには、ニンジャがいます。PCデータで再現する場合、フェンサー(刀と手裏剣みたいな何か)+フェアリーテイマー(五遁)+スカウト(忍びの技)くらいでしょう。『ディルフラム博物誌』があれば、他の種族でもバルフォール式忍術道場へ入門が可能です。
元ネタはよその大陸を舞台にした人族の小説だというので、そちらにはもっとリアルっぽいニンジャ(というか忍者)がいるのかもしれません。
◇ところで、プロセルシアの人族って
ノルダール地方から亡命して、シレスカ列島に上陸できたのは数百人。200〜300人と500〜600人のどちらの範囲なのかは曖昧ですが、人間、ドワーフ、エルフ、リルドラケンが、母語を保てて、なおかつ近親交配をし過ぎない方向で人口を増やせる程度だと考えると、合計で500〜600人という事にしておきます。
その割合を手っ取り早く、北部の大公と南部の公爵の種族比率から見ますと、
アーレス島
アーレスディリア(リヒテル公)…人間
デイドン(ガッド公)…ドワーフ
レスフォール(カミーラ女公)…ナイトメア ※大司祭、非世襲
ブランドル(ドン公)…人間
ワラルド島・ハプルカ島
キリス(ハルタ公)…人間
スレス島
ヴィンカンデル(アナ=モニーク女公)…ヴァルキリー ※先代は人間
フォルクトゥン(シルヴェスタ公)…人間 ※レーヌ島から亡命
ガルガンチュリア(ドゥーク公)…ドワーフ
フェアヘイヴン(ゲイル公)…人間
サーギア島
ウェヌノース(フィリア女公)…ナイトメア ※初代(侯爵から昇進)
ビエルグラント(アレクサンドル公)…人間
グランヴァルーシャ(シド公)…リルドラケン ※高司祭、非世襲 ※レーヌ島から亡命
12人の公爵の種族内訳は、人間6人、ドワーフ2人、ナイトメア2人、リルドラケン1人、ヴァルキリー1人。ライダーに向いていなさそうな(HPが低く、騎獣より先に集中攻撃されやすい)エルフが1人もいません。帝都ラースでもエルフはあまり住んでいないというので、元から竜騎士を目指す率が低いのでしょう。リルドラケンも、神官になる率が高く、1人いる公爵も親友(種族不明)から禅譲されたのを考えると、やはり竜騎士は少ないのかもしれません。ドワーフは、まあ、筋力もHPも高いですし、足が遅いのを騎乗で解消できますし、火属性のブレスでダメージ受けませんし。
……全然割合判断になっていませんが、やはりプロセルシアでも人間が多数派で、とはいっても圧倒的多数派ではなく、最初の500〜600人のうち人間は半分くらい、ドワーフ、エルフ、リルドラケンが3等分くらい(各80〜100人くらい)だったのでしょう。その後の人口増加率の違いで、人間の割合が高くなっているでしょうから、NPCの一般人や竜騎士は、明言されなければすべて人間と見て差し支えないのかもしれません。……個人的には人間6、ドワーフ1.5、エルフ1、リルドラケン1.5くらいがいいなあ。
◇地域による、冒険者の扱いの違い
冒険者は「冒険者の店」に所属して、誰かから依頼を受けて、
依頼者が支払う報酬
− 店の仲介料を差し引いた金額
+ 店が仲介料の一部を積み立てた分からの補填
+ 地元を統治する機関から店への補助金からの補填
で生計を立てます(だから、お金のあまりない依頼人でも、適切な事情があれば冒険者に依頼できるわけです)。依頼を受けるかは緊急性がなければ割と自由ですが、非常事態(蛮族の人族領域への攻撃など)には力量に応じた対応を社会的に要請されます。依頼がない場合、他の事(副業、本業、自己鍛錬、宴会、休息、遺跡探検など)をしているのは当人の自由です。依頼や自主的な探検の比重が(主観的に)低いキャラクターの場合、自分を「冒険者」だと思っていない事もありがちです(「新米女神」シリーズのエアみたいに)。もちろん、冒険者より優先される社会的地位があるキャラクター(王子とか王女とか)が冒険者的な行為をしていても、それは冒険者ではありません。
……というのが普通のラクシアの冒険者ですが、地域によっては扱いが微妙に異なります。最初期は人族陣営の義勇兵兼サルベージ屋だったため、その色合いが残って、公的な立場がより強かったり、軍人に近い扱いを受けたりする例が多いようです。
・ザルツ地方/クーデリア侯爵領
侯爵領を二分する盗賊ギルドと海賊は、どちらも冒険者の店を公金で補助してくれません。依頼人が払う依頼料はよその地域より高くなり、依頼をためらっている間に手遅れになるかもしれません。その代わり、どちらの勢力の紐付きでもないため、依頼者としては二勢力の横暴に対処するほぼ唯一の手段です。
・ザルツ地方/グレイシア島
宿精剣を1本以上持ち、その剣精と契約した人物=ソードマスターが「冒険者ギルド」のギルドマスターになって、所属する冒険者に宿精剣の加護を与えます。マスターはMPを常に消費し続けて、脆い宿精剣を守らなくてはいけないため、事実上戦闘ができなくなるので、冒険者を続ける事はマスターを辞めない限りできません。スタルトの街にある冒険者ギルド評議会が、冒険者ギルドをまとめています。
・ダグニア地方/セフィリア神聖王国
規律を重んじるとか、“穢れ”を忌避するとかいう前に、〈大破局〉であまり被害を受けなかったために、よそでは当時の義勇兵をもとにしている例が多い冒険者への依存は低く、よくても「非常事態をしのぐための必要悪」のような扱いをされてしまいます。アーレの冒険者の店には、貴族が後援して、出資者のために情報収集などを行っている所もあります。
・ハインラト地方/ハインラト王国
ナイムハイラの街に、冒険者養成学校があります。学生は冒険者としての技能を磨きながら、提携している冒険者の店から依頼を受けます。
・フェイダン地方/アイヤール帝国
冒険者の店が信頼できる冒険者に持たせるエンブレムが、領と領の境界線を越える際の身分証明になります(そのため、エンブレムをもらうには、よそより強い信頼を得る必要があります)。こっそり活動する場合、エンブレムを隠す必要もあるかもしれません。
・フェイダン地方/カイン・ガラ
カイン・ガラの学生には、魔法の実地研修を兼ねて冒険者もしている者が多くいます。
・シエナクェラス地方
各国の軍が、軍属として冒険者を抱えています。軍属冒険者は、日々の生活費や住まいは軍から面倒を見てもらえますが、軍人である上司からの任務を受けなくてはいけませんし、戦争では軍から動員されます。軍の任務に支障がなければ、それ以外の通常の依頼を受ける事もできます。
シエナクェラス地方には、他の地域に近い「普通の」冒険者もいます。
・レンドリフト地方/レンドリフト帝国
世に知られている(戦勝神? 誰それ?)古代神系の名を冠した神軍(行政組織であり、軍事力をあまり持たない事も多い)が、冒険者の店を抱えて、正規軍を動かすのが難しい仕事を「ミッション」(依頼より強制度が少し高い)として冒険者へ渡します。祖神軍、戦神軍、賢神軍、武神軍、妖神軍、月神軍、死神軍(PC非推奨)が冒険者の店を抱えており、系統により、ミッションの傾向も異なります。
・プロセルシア地方
竜騎士(その大半が領地を持つ貴族)がいるため、魔物の討伐はまず竜騎士の仕事でしたが、竜が死ぬと殉死を強要されるようになった→戦場に出たがらない竜騎士が増えたせいもあり、冒険者の存在感が増しています。野生の竜に認められて竜騎士になる冒険者も出ています。
冒険者の店は、各貴族の領土間の交易も収入源です。そのため、冒険者は比較的自由に領土間を行き来できます。
・非常に高レベルのキャラクター
公的な地位が高い有名人揃いのため、普通の冒険があまりできません。というか、「いつもは依頼人の立場なのに、誰にも依頼できないから自分で解決する」ような事態が多いでしょう。飛空船や【テレポート】があれば、いつもは別々の地方に住んでいても、緊急事態でさえなければ支障ありません。
・蛮族領
蛮族には「冒険者」はいませんが、上位蛮族がパーティを組んで活動する事は割とあります。高レベルの蛮族からの依頼や命令は、相手が強いので強制力が大きくなります(逆に、命令者より敵の方が強ければ寝返ってしまう事態も……)。〈剣のかけら〉が強者を倒した証として評価されたり、報酬に名誉点が貰えたり、蛮族ならではの違いもあります。上位蛮族のパーティによる攻撃や防衛の対象は、人族ではなく蛮族である事が多いようです。
・魔法文明時代
この時代にも「冒険者」はいませんが、貴族や士族がパーティを組んで活動する拠点として、同好の士が集まる「サロン」が存在しました。誰かが依頼を持ってくるというよりは、関わるべき事件についての情報が流れてくる場所と思った方がいいでしょう。サロンの拘束は一般的にあまり強くはないものの、サロンのメンバーは社会的地位も高いため、その辺が行動を規制する指針になるでしょうか。〈剣のかけら〉にもちゃんと需要があります。
・アルフレイム大陸
冒険者の存在がより積極的に肯定される社会……ということで、詳細は「2.5」をお楽しみに。
◇魔動機文明の文明水準
は、公式には、現実世界の20世紀初期(第一次世界大戦の前、明治時代とかアール・ヌーヴォーとか)くらいだといいます。ドゥームみたいな魔動機に繊細な装飾がしてあるのも、まだ機能一辺倒の時代(アール・デコとかモダニズムとか)っぽくありませんので。
……が、「マギスフィアが多機能端末として機能していた」「コンピューターネットワークみたいな情報網があった」「まともな鉄道が登場していなかった(エイギア地方にあるのはほら、アレですし。「ウィアードテイルズ」で鉄道馬車駅が地図上にありましたが)」などの違いがありますので、「大まかなイメージだよ。すごい魔動機とかもあったし、その辺りはシナリオの都合で」程度の話だと思っておきましょう。
◇蛮族プレイで人族を襲いたいプレイヤーに困っています
「バルバロスブック」に非推奨だと書かれていても、それでも悪人プレイの延長で、蛮族を使って人族を襲いたいプレイヤーはいるかもしれません。
まあゲームマスターとプレイヤーの全員が同意できて、しかもご飯を美味しく食べられるというのならまだしも、そういう事は滅多にありません(はずです)。それでも「どうしても蛮族になって人族を襲いたい!」と言うのでしたら、
(事前に防止する)
・「楽に襲えるような人族を襲っても、それは経験点を得られる冒険と見なさないからね?」と指摘する。
・他のプレイヤーはたぶん同意しないし、それでも楽しいのか考えてもらう。
・「村からははした金しか奪えないし、街を襲うのはよほど大勢じゃないと無理だよ」と指摘する。
(思いとどまらせる)
・ちゃんとした報酬を期待でき、プレイヤーの興味も引きそうなシナリオを用意する。
・勝手な行動をする下位蛮族の群れがついてくる。勝手に。
(それでも聞かない相手に)
・数十〜数百人を襲う過程を全部プレイさせて消耗させる。もちろん襲われる人族のモンスターレベルは0(=獲得経験点は0)。「2.0」のシステム上、低レベルの敵からそれなりのダメージを受けるのを避けられないため、ちょっと能力値が高い程度でいきっている蛮族はたぶん死ぬ。
・たいした戦利品は手に入らない。
・レベルが高い人族に逆襲される。
・食人の生々しい描写を展開する。
・もちろん経験点はやらない。
(それでも反省しなければ)
・サークルから[編集済]して、近隣のサークルにも[データ削除]。
とかする必要がない事を願います。
……と書いたところで、
弱い人族ばかり襲う蛮族→楽→経験点が入らない→弱いまま
蛮族を相手にして戦う蛮族→大変→経験点が入る→強くなる
という理論が成立しそうな事実に気付きました。何だか納得。
◇さて、どこまで本当なのだろう?
(『エンドレスメイズ』ネタバレ注意)
『エンドレスメイズ』のストーリー完全クリア後に、世界の創生と魂にかかわる秘密めいた話をするキャラクターがいます。
……が、本人は「僕にとっての真実に過ぎない」「君には君にとっての真実があるはずだ」と言っているうえに、ラスボスの邪神その人ではないかとかいう疑惑もあったりして、そのまま受け取るには難があります。「三本の剣が人の肉体に封じた魂が、“穢れ”により魂の円環から切り離されて[編集済]に戻ると、肉体がアンデッドになる」とか言われても、そもそも人でない動物もアンデッドになりますし、肉体のないアンデッドもいますし、わけがわからないよ。
最悪の場合はカオルルウプテ案件になりかねませんが、「この世界の外側から来た」のが本当なら、世界の中の住人と理解の方法が異なる可能性もありますし、嘘でも「だから何なの」でしかありません。まあ話半分程度に。