レイズ・ア・ウォークライ(妹作)


 
 

「どうしても戦わなきゃいけないの?」
シーラのかぼそい声は、夜の静けさのせいか聞いている相手の鋭敏な聴力のせいか、
しっかりと彼女の話かけた相手へと届いた。
青白い月の浮かんだ、人一人いない橋のたもと。
橋のふちにたたずんだ相手は、ゆるりとシーラの方を振り返る。
さくら亭の看板娘パティ。
 

今のパティはシーラの知っていた昔のパティではない。
赤い唇の端からのぞく、白くなまめかしい輝きをもつ白い牙。
黒いマントに覆われたその下の肢体は、月光の下でのみ生きられる青白い闇の身体。
求めるのは――あの青年。
今のパティにとって、キスは味見。
血をすするのは愛しい人を自分の中に閉じ込めるため。
命を食むのは永遠に自分のものにするため。
それが今の彼女の愛しかただから。
 
 

シーラの、ダガーを握った手に力がこめられた。
「あの人は……渡さない!」


 
 
 
 

ダガーっちゅうかドス?



 
 
 
 

シェリル・クリスティア脚本『愛の吸血鬼』。
リヴェティス劇場で好評上映中!(笑)

 
 

というわけで、妹に描いてもらった「暗殺者シーラVSヴァンパイア・パティ」です(笑)。
説明文も、オチ以外は全て妹の作ったものです。
では、パティから見た説明文・逆パターンでもお届けしましょう。


 
 

「あたし……手加減なんてしないからね!」
パティのかぼそい声は、夜の静けさのせいか聞いている相手の鋭敏な聴力のせいか、
しっかりと彼女の話かけた相手へと届いた。
青白い月の浮かんだ、人一人いない橋のたもと。
橋のふちにたたずんだ相手は、ゆるりとパティの方を振り返る。
シェフィールド家の令嬢シーラ。
 

今のシーラはパティの知っていた昔のシーラではない。
赤い唇のそっとくわえた、白くなまめかしい輝きをもつ白いダガー。
黒いスーツに覆われたその下の肢体は、暗殺術の奥義を染みつかせた闇の身体。
求めるのは――あの青年。
今のシーラにとって、かかとは愛情。
ピアノ線で縛るのは愛しい人を自分の中に閉じ込めるため。
命を奪うのは永遠に自分のものにするため。
それが今の彼女の愛しかただから。
 
 

パティの、噛み締めた牙に力がこめられた。
「あいつは……渡さない!」


 
 
 
 

ダガーっちゅうかドス?



 
 
 
 

シェリル・クリスティア脚本『切ない暗殺者』。
リヴェティス劇場で好評上映中!(笑)

 
 

――以上(^^;)


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