カレイドスコープ
(「パラレル・トゥモーロー」を改題)


え〜、この話は店主が老人会本に提供しました、「実際には存在しない想像上のエンディング」を描いた作品です。
なお、同人誌「mooなやつら2ndコラージュ」は、老人会から99年度夏コミに発売です。
主役は、「かしまし娘+1」ことシーラとパティとトリーシャとローラ。
……キャラクターがやっぱり多少壊れてますが、気にしないように(笑)。


  〜シーラの場合・その1〜 

 あれからシーラは、格闘技に熱中し出したらしい。
 パティやトリーシャから格闘の話を聞いたり、エルやリサに特訓を付けてもらったり、以前のシーラからは想像できない毎日を過ごしている。
 俺は時々シーラの両親に、「娘さんをこんなにしてしまってすみません」と謝りたくなる……かもしれない。

シーラ「たあっ!」
(どかっ!)
アルベルト「うおっ!」
(ざわざわざわ……)
受付嬢「ご覧下さい! 特別出場のシーラ選手が、何とアルベルト選手を追い詰めています!」
アルベルト「ちっ……今のキックは一体何なんだ?」
シーラ「……アルベルトさん、今のはどう?」
アルベルト「いや、シーラちゃんにそう言われても返答に困るんだが……」
シーラ「ちょっとお願いがあるんだけど、私の勝ちは見えてるしこれ以上痛いのは嫌だから降参してくれる?」
アルベルト「で、できるかそんな事っ!」
シーラ「そう、そこまで言うのなら仕方ないわ……」
(そう言ってシーラは、黒髪の中から黒いピアノ線を取り出した)
シーラ「えいっ!」
アルベルト「うわっ! て、手足が動かねえぞ!」
シーラ「必殺、ホーリー・ヒール!」
(ばきっ!)
アルベルト「う、嘘……だ……」(ばたっ……)
(わあああああっ!)
受付嬢「これは大番狂わせです! シェフィールド家の令嬢が、何と自警団の団員を倒してしまいました〜っ!」
アルベルト「うぐぐ……」
シーラ「弱いから……そうなるのよ」


  〜シーラの場合・その2〜 

 シーラは芸術家を目指し、今日も特訓を続けている。
 何でもピアノだけじゃなくて、いろんな事に手を伸ばしたくなったんだそうだ。
 昔のシーラとは違った積極的な姿を見られるのは嬉しいんだけど……、
 その……、
 …………………………………………。

シーラ:「よし、これで仕上げは完成ね!」
イヴ「……まあ、絵はできた事には間違いないけど……」
シーラ「えっと……」
由羅「どこからどー見ても、外宇宙から飛来した異次元生物にしか見えないわね〜♪」
シーラ「どこをどー見たらそう見えるんですかッ!」
由羅「シーラちゃんの絵の全部」
シーラ「…………」
イヴ「由羅さん、これはシーラさんのお母さん譲りの抽象画を描いているんじゃないかしら?」
由羅「え、そーなの?」
シーラ「じ、実はそうなんです!(ホントは違うけど……)」
イヴ「……で、話は戻るけど、これは一体何をどのように抽象して描いているのか説明して頂ける?」
シーラ「えーと……………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………」
イヴ「じゃ、今日はお開きにしましょうか」
由羅「ねえイヴ、帰りにさくら亭で一緒に飲まない?」
イヴ「私はお酒に弱いから、ご飯だけならご一緒していいわよ」
シーラ「ああ〜ん! 見捨てないで、由羅さんにイヴさ〜んっ!」


   〜パティの場合・その1〜 

 最近パティは頻繁に、ジョートショップに遊びに来ている。
 主な目的はアリサさんへの差し入れと、自分の花嫁修行のための家事手伝いらしい。
 毎日明るい笑顔と共に店に訪れるパティは、心なしか性格も丸くなってるみたいだ。
 ……実は、俺もパティの差し入れが楽しみだったりするんだけど。

パティ「そろそろお腹すいたでしょ、アリサおばさん」
アリサ「そうね。今日はパティちゃんが作ってくれる?」
パティ「は〜い。じゃ、今日のお昼は何にしましょうか?」
トリーシャ「ハンバーグ〜!」
ローラ「オムレツ〜! 上にケチャップで名前を書いて!」
パティ「……って、何であんた達が食事に来てるのよ?」
トリーシャ「だって、パティの料理ってアリサさんの次くらいにおいしいんだもん」
ローラ「そうだも〜ん!」
パティ「……うう、何だか育児ノイローゼの母親の気分……」
アリサ「まあまあ……。ところでパティちゃん」
パティ「何ですか?」
アリサ「食事の後で、いつものお礼にパティちゃんに秘伝のレシピ教えたいんだけど、パティちゃんはどんなのが教えてほしい?」
パティ「えーと……特にあいつが好きなやつ」
アリサ「あの子は私の作った物は、みんな大好きだって言ってたわよ」
パティ「そうですか? あたしには結構好き嫌い言いますけどね」
ローラ「そうやっておばさまとお兄ちゃんの点数稼ぐなんてずるいわよ、パティちゃん……」
パティ「ちょっとローラ、それってどういう意味よ?」
トリーシャ「そうそう。アリサおばさんの義理の娘になってあの人と義兄妹になろうなんてね」
アリサ「私はパティちゃんの事大好きだから、お母さんになるのはOKよ」
パティ「だ・か・ら、トリーシャもおばさんも変な事言わないで〜っ!」


  〜パティの場合・その2〜 

 パティはエンフィールド学園にスカウトされ、先生になった。
 しっかり者のクセにどこか危なげだった彼女がそれほど年齢差のない連中を面倒見るのははっきり言って心配だったけど、そういう心配も杞憂だったみたいだ。
 今では毎日、体育教師と家庭科教師を兼ねて元気にやっているけど、……やっぱり気苦労は絶えないらしい。

マリア「パティ先生〜!」
パティ「あら、どうしたのマリア?」
マリア「え〜、実はその……」
パティ「どうしたの? 怒ったりしないから正直に……」
トリーシャ「マリアが調理実習で使った精霊魔法が暴走して、実習室を吹き飛ばしちゃたんです……」
パティ「…………」
マリア「うっ……!」
パティ「あ・ん・た・ねぇ〜っ!」
マリア「ふえ〜〜ん! 殴っちゃいやだパティ先生〜っ!」
トリーシャ「マ、マリアに悪気はなかったんだから許してパティ!」
パティ「……しょうがないわね。今度からそんな事やっちゃダメよ」
マリア「は〜い!」
トリーシャ「それじゃ、ボク達はハモンド先生の授業に行ってきま〜す」
(ぱたぱたぱた……)
パティ「ふぅ……。まったくあの子達ってば元気なんだから……」
シェリル「パティちゃん、グラウンドに一緒に行きませんか〜?」
パティ「あ、今行くわ。……さあ、あたしもシェリルのクラスの体育頑張ろっと!」


  〜トリーシャの場合・その1〜 

 トリーシャは、さくら亭のパティの所でアルバイトを始めた。
 ジョートショップの青年が帰ってきてからパティはそちらに出掛ける事が多くなって、人手を確保するために店員を捜していたら、トリーシャが働くと言い出したらしい。
 あの二人は結構仲がいいから、さくら亭に行くのが楽しくなりそうだ。

パティ「トリーシャ、P定食をヴァネッサのテーブルに出してくれる?」
トリーシャ「は〜い、P定食ね」
パティ「次はこの、兎と鴨のクランベリーソース和えさくら亭風を第三部隊の隊長さんに……」
トリーシャ「……何?」
パティ「だ・か・ら、兎と鴨のクランベリーソース和えさくら亭風!」
トリーシャ「鰻と鱧のキャンベルスープ……?」
パティ「まるっきり違〜うっ!」
リサ「……まあまあ、パティもトリーシャも、ランチタイムにそんな事言い合ってる場合じゃないだろ?」
トリーシャ「……あ、ごめんねリサ」
パティ「そうよね。名前を覚えるのは後でいいから、早く隊長さんに持ってってね、トリーシャ」
トリーシャ「は〜い!」
パティ「頑張るのよ!」
トリーシャ「え? ボ、ボクは隊長さんとそんな関係じゃ!」
パティ「経験者の目はごまかせないわよ、トリーシャ」
リサ「そうそう。あんたと隊長はどこから見ても……」
トリーシャ「お、お願いだから二人掛かりで変な事言うのはやめて〜〜〜〜っっ!」
パティ&リサ「くすくす……」
トリーシャ「……パティとリサの、ばか〜〜〜〜っっ!」


  〜トリーシャの場合・その2〜 

 トリーシャは、魔法使いの腕を生かしてリヴェティス劇場でマジシャンとしてデビューした。
 ちょっとそそっかしい所はあるけど、持ち前の明るさで今では劇場でも人気者。
 俺もちょくちょく見に行って、彼女の手品を楽しんでいる。

トリーシャ「さあお立ち合い、この美少女が種も仕掛けもない箱の中から脱出しま〜す!」
シーラ(……ねえトリーシャちゃん、爆発に紛れてあっちの箱にテレポートさせるなんてほんとに大丈夫なの?)
トリーシャ(大丈夫! ボクに任せてよ!)
シーラ(そーゆー風に念を押されるとちょっぴり不安……)
トリーシャ(も〜っ! ボクはマリアじゃないってば!)
(ざわざわざわ……)
トリーシャ「では行くよ! ……ワン・ツー・スリーっ!」
(どか――――――――ん!)
トリーシャ「…………」
シーラ「…………けほっ」
トリーシャ「ん〜、爆発魔法のパワーを間違えちゃったかな?」
シーラ「『間違えちゃったかな?』で済ませないで……」
トリーシャ「あははははは……」
シーラ「せっかくドレス着てきたのに台無しじゃないの、もう……」
トリーシャ「とゆー事で、皆さん拍手をお願いします〜!」
シーラ「ごまかさないでってばトリーシャちゃ〜ん!」


  〜ローラの場合・その1〜 

 ローラはカッセル爺さんの所で、ホームヘルパーをやっている。
 いつもメロディと一緒に、爺さんの身の回りの世話をあれこれとしているらしい。
 爺さんも結構寂しがりやだから、二人を相手に長話して毎日を楽しく過ごしているみたいだ。

メロディ「おじーちゃん、おはよーございます」
ローラ「おはようございま〜す!」
カッセル「いつも世話してくれてすまんのう、メロディにローラ……」
メロディ「じゃあ、ごはんにしますか? それともおふろ?」
ローラ「それともあたし〜?」
カッセル「違うじゃろローラ……。まあとりあえず、食事を作ってくれんかの?」
メロディ「は〜い!」
ローラ「任せといて、カッセルおじいちゃん!」
(数分後)
メロディ「できましたぁ〜っ!」
カッセル「……こ、これは何じゃ?」
ローラ「シチューだけど?」
カッセル「いや、わしは刺激臭を放つ青紫のシチューなど、今までの人生で聞いた事も……」
ローラ「あたしの特別製なのよ。はい、あ〜んして♪」
カッセル「あ……あーん……」
(ぱくっ)
カッセル「…………」
ローラ「どう、おいしい?」
カッセル「うぐっ……!」
(ばたっ)
ローラ「あ……泡吹いてる……」
メロディ「ふみ〜〜〜〜っ! しっかりしておじーちゃ〜〜んっっ!」
ローラ「もしかしてあたし、お料理の才能ないのかな……?」


  〜ローラの場合・その2〜 

 なぜかローラは、反政府組織のリーダーになっている。
 彼女に流れるニューフィールド家の、ひいては王家の血が、時代を越えて騒ぎ出したのだろうか。
 リーダーというよりマスコットだが、彼女の下で組織は非常にまとまっているらしい。
 ま、過激な事はやってないから第一部隊に任せておけば彼女の事は問題ないだろう。
 ……多分。

(ざわざわざわ……)
ローラ「ここまでよ、テイラーさん」
テイラー「グヌ……!」
ローラ「あたし達フサ解放同盟が、自警団のお兄ちゃん達をいじめたおじさんの評議員再出馬なんて許さないからね!」
テイラー「そ、それは私の人権に対する侵害だぞ!」
ローラ「ふ〜ん。自警団に対する名誉毀損や狂言脅迫は別にいいんだ?」
テイラー「うぐぐ……」
ヤン「フサ解放同盟? 確か先週は『東方料理愛好会』とか名乗ってませんでしたっけ?」
ローラ「細かい事は気にしないでいいのっ!」
クラウス「細かい事じゃないよーな気がしますが……」
テイラー「そんな事はどうでもいいから、とっととあいつを捕まえろ!」
ヤン「何でですか? 器物破損の分は毎回弁償させてますよ」
クラウス「別に誰かを怪我させた訳でもないですし、エンフィールドでは罰する法律はないんですけどね?」
ローラ「そうそう〜。残念でした〜♪」
テイラー「ぐ、ぐああああ〜〜っ!」
(ばたっ)
ヤン「あ、壊れましたね」
クラウス「いつもといえばいつもの事ですけどね……」
ローラ(悪い事したかな〜? ま、テイラーさんだからいいか)


  〜主人公達の場合〜 

 そして、俺達は……、
 ……まあ、いつもの事だ。

アリサ「子供がいっぱいできたみたいで嬉しいわ、私も」
主人公(1)「はは、そうですか……」
パティ「ねえ、あたしとシーラのどっちが好きなの?」
シーラ「パティちゃんと私、どっちが魅力的なのか正直に言って……」
マリア「も〜っ! 二人でマリア達の想い人を独占しないでよ〜っ!」
エル「同感だね。アタシもこいつの事大好きなんだぞ?」
シェリル「わ、私も……実はその……」
メロディ「メロディもなかまにいれてくださ〜い!」
リサ「うう……私もボウヤに甘えたいんだぞ……」

リカルド「すっかり両手に花束状態だな、隊長君」
主人公(2)「とゆーか、気分は連行される犯人です……」
トリーシャ「ねえ隊長さん、ボクと一緒にデートに行かない?」
ローラ「お兄ちゃんはあたしとお買い物するの〜っ!」
セリーヌ「あの、私とお祭りに行くお約束は……」
ヴァネッサ「私のトレーニング、二人っきりの個人指導してくれる?」
イヴ「論理的な話じゃないけど、私と公園でデートして下さるかしら?」
由羅「そーゆーのよりさ、温泉行ってお酒をいっぱい飲みましょうよ〜」
ディアーナ「健康診断の方が先です〜っ!」
クレア「皆様、隊長様とあんなに仲良く……」

ヘキサ「……どーしてあいつら、あんな理不尽にもてるんだよ?」
テディ「ボクに聞かれても分からないっス……」


〈各エンディング・偽前提条件〉

シーラ・シェフィールド
 コロシアムの闘士…戦闘術&護身術の合計が8レベル以上
 芸術家…錬金魔法&クラフトの合計が8レベル以上
パティ・ソール
 アリサの家事手伝い…神聖魔法&精霊魔法の合計が8レベル以上
 学園の教師…護身術&礼儀作法の合計が8レベル以上
トリーシャ・フォスター
 さくら亭の看板娘その2…技巧&交渉の合計が最高
 劇場のマジシャン…交渉&神秘の合計が最高
ローラ・ニューフィールド
 ホームヘルパー…信仰&神秘の合計が最高
 反政府組織のリーダー…体術&教養の合計が最高
主人公(1)&主人公(2)
 妻七人&妻八人…全員のテーマ別イベントを全て成功
         全員との絆度が一定以上

注意…この前提条件はフィクションです(笑)。


〈後書き〉

あんまり言う事はありませんが、一応ちょっとした言い訳でも。

#シーラ編:「コロシアムの闘士」はまるっきり大辞典準拠ですので、「こんなのシーラじゃな〜い!」とかゆー抗議は却下です(汗)。
      「芸術家」は未発表シナリオのアレと、テーマ別イベントで登場したママの抽象画が元になってます。
#パティ編:「アリサの家事手伝い」は、えぷろんパティのちょっと控え目モードとでも思って下さい。
      「学園の教師」の元は、ensemble2のエディットの野外訓練です。ローズレイクから鱒を運んでみましょう。
#トリーシャ編:「さくら亭の(以下略)」は、えぷろんトリーシャをイメージしてみました。
        「劇場のマジシャン」の元は、同人誌で見たトリーシャのイラストです。
#ローラ編:「ホームヘルパー」は、単なる出来心です(笑)。
      「反政府組織のリーダー」は……一体何の組織なんでしょ?(笑) 一応メンバーもいるというのに……。
#主人公編:ノーコメント(爆)。

ちなみに、老人会のアンフィニAZ-1会長さん曰く、

  編集しながら読ませてもらったんですが、一つ一つの「エンディング」それぞ
 れがかなり短いショート形式になっていたので、読みやすくってよかったです。
 気楽に読めるというか。もちろん中身の方もなかなかに破壊系で(笑)

とゆー事です。楽しんで頂けたでしょうか?


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