トリーシャ:さー、いよいよ最後の対決!! 決勝戦でありまーす!!!
観客:うおおおおおおお!!
トリーシャ:さてさて、今のお気持ちはいかがですか、主人公(1)さん?
主人公(1):……もうどうにでもしてくれ……。
トリーシャ:ふむふむ。すでに覚悟は完了している模様! これならたとえ王水だけを使った料理でも食できそうです!!
主人公(1):……いくらなんでも、そんなもん食えるか……。
トリーシャ:うーん、ツッコミにも元気がなくなってきています! これは是非とも決勝戦の料理を食べて、一気に復活していただかなくては!!
主人公(1):……何を期待している、トリーシャ……。
トリーシャ:(無視)さーて、それでは決勝戦の選手を紹介しましょう!!
(ジャジャーーーン!!)
トリーシャ:まずは、赤コーナー! パティサイド総代、この戦いの元凶その2であるさくら亭の料理人、パティ・ソールー!!
(おおおおおおおお!!!)
パティ:こら、主人公(1)!! あたしの料理の腕前を侮辱したその罪、ここで償ってもらうからね!!
主人公(1):うー……。
トリーシャ:続いて、青コーナー! 連合軍サイド……。
主人公(1):そういや、連合軍って、一体……?
トリーシャ:連合軍サイド、総代! ヴァネッサ・ウォーレン&ローラ・ニューフィールド!! さらに構成員として、ディアーナ・レイニー、クレア・コーレイン、さらにマリア・ショートがもう一度参加して、総勢5名の大集団です!!
(うおおおおおおお!!!!)
主人公(1):おいこら待てぃぃぃっ!!
トリーシャ:おおっと主人公(1)さんから何かご意見が!?
主人公(1):なんだって、クレアを除いてA級殺人料理ライセンス所持者が出ぞろってやがるぅぅぅぅ!!
トリーシャ:と、いうことですが、連合軍のみなさん??
ヴァネッサ:私の腕前を信じられないっていうの?
ローラ:あたしの料理の腕を教えてあげるからね、お兄ちゃん!!
ディアーナ:あたしだって、やるときはやるんです!!
クレア:女性を侮辱しておきながらなんという態度!! 女の敵は私がお兄さまに代わっておしおきです!!
マリア:えへへ☆ そんなの関係ないもん。おいしい料理を作ってあげるから、待っててね、主人公(1)☆
トリーシャ:と、いうことのようですが、主人公(1)さん!?
主人公(1):あう〜……(滝涙)
(……略!)
(どどぉぉぉぉぉぉぉぉん!!!!)
トリーシャ:終了ーーーっ!! 2時間にわたる決勝戦、終了しました!! 両サイドの料理人、肩で息をしております!!
パティ:ぜい……ぜい……な……なんとかできたわ……。
5人:ハア……ハア……で……できたぁ……。
主人公(1):うう……処刑宣言のドラの音……。(涙)
トリーシャ:えー両チームの皆様、主人公(1)さんが「処刑宣言」とかなんとかほざきましたよー!
主人公(1):言うなぁぁぁっ!!
パティ:く……重ね重ねの侮辱……。
5人:ふ……この料理のすばらしさを分からないなんて……。
トリーシャ:あらら、両チームとも本気になっているようですね、主人公(1)さん!
主人公(1):誰のせいだ、誰の!?
トリーシャ:今のエキサイトの原因はボク。でも、ことの元凶は主人公(1)さん。
主人公(1):……ううう……反論できない自分が悲しい……。
トリーシャ:てな訳で、さっそくパティサイドから参りましょう!!
パティ:あたしの料理は……これよ!!(ばさっ!!)
トリーシャ:おおっと、料理にかけられていた布が取り払われたぁつ!! こ、この皿の多さは!?
パティ:ふっ……これこそ、必殺料理「満漢全席」!!
主人公(1):こら待てぃぃぃっ!!
パティ:何よ、うるさいわね主人公(1)。
主人公(1):なんだって、異世界中国の、三日三晩をかけなけりゃ食えないというだけの種類の料理を2時間で完成するかぁぁぁっ!?
パティ:決まってるじゃない。あたしの実力よ!!
トリーシャ:決まったぁぁぁっ! これは主人公(1)さん、反論できない!!
主人公(1):(しくしく……)そうだよな、パティなら、これぐらいのこと、平気でやっちゃうよな……。
パティ:さーてと、みなさん準備はいーい?
謎の一団:オッケェェェィ!
トリーシャ:ああっ、なんだあれは!? ハメットさんそっくりの仮面をした怪しい軍団が、パティサイドの方へ集合した!!
主人公(1):な……なんだあれは?
トリーシャ:それにしても前の3名は筋骨隆々としたガタイの持ち主!! 残る二人はどう見ても非力! って、あれ? なんか見覚えがある服……。
ヴァネッサ:んん? あの下品な服、確か……。
クレア:ヴァネッサ様もですか? たしかに私にもあちらの方に見覚えが……。
ディアーナ:それより、あたしはあの白衣を着た人と上半身裸の方が誰だかわかりません!!
ローラ・マリア:う……うぷぷぷ……。
主人公(1):って、おい。なんであいつらがパティの方にいやがる!!
トリーシャ:わかるんですか、主人公(1)さん!?
主人公(1):ああ、とりあえずわかった。おい、おっさんにアルベルト、あとはクランクにマーシャル、それとなんでそこにいる、ドクター!!
トリーシャ・ヴァネッサ・クレア・ディアーナ:えええええっっっっ!!!???
トリーシャ:な、なんでそんな変な仮面をかぶってるんだよ、お父さん!!
ヴァネッサ:あ、あの筋肉バカ、なんでパティさんのところに!?
クレア:に、兄さま、なにゆえ、そのような格好を!?
ディアーナ:せ、先生、気は確かなんですか!?
マーシャルらしき人物:……私だけ何のツッコミもなしアルか!?
主人公(1):心配するな。あそこにいるぞ。(といってある方向を指さす)
エル:あのバカ……なんだってあんなまねを……。
ローラ・マリア:きゃーーーーっはっはっはっは!! なーによ、あれー! んきゃははははははは!!
連合軍の3人+トリーシャ:……ローラ? それとマリア?(激怒)
ローラ・マリア:きゃはは……は? じょ、じょーだんよ、じょーたん。
リカルドらしき人物:(小声)娘が酒を飲ませてくれないもので、パティちゃんがボトル1本くれるって……。
クランクらしき人物:(小声)いや、全メニュー制覇を許可してくれるといわれてのう……。
アルベルトらしき人物:(小声)クレアに化粧品を全部始末されたと思ったら、パティのやつが「あたしが預かってるわよ」って……。
マーシャルらしき人物:(小声)同じく……。エルさんにコレクションを始末されたと思ったアル……。
ドクターらしき人物:(小声)ディアーナのあの料理を毎日食べさせられてみろ。人間の料理が恋しくなる……。
主人公(1):……お前ら、結構恵まれてないんだな……。
仮面軍団:うるさいっ!! 第三者から見れば幸せな人間にしみじみいわれたくはないっ!!
主人公(1):今の俺のどこが、幸せなのか、はっきり言ってもらいたいねっ!!
仮面軍団:全部。
主人公(1):嘘をつけこらてめえらぁぁぁっ!!
パティ:はいはい、漫才はそこまで。それよりはじめるわよ!!
仮面軍団:はいっ!!
トリーシャ:(茫然自失状態から立ち直り)はっ! な、謎のハメット軍団、満貫全席の前へ集合しましたっ!
主人公(1):そーいやこいつら、何のためにパティに雇われたんだ……? って、おい、おっさんとアルベルト、何で俺の両腕を極める?
リカルドらしき人物:なに、すぐにわかるとも、主人公(1)君……。
アルベルトらしき人物:おい、おまえら、こっちの準備は完了したそ!
パティ:よーし、3人ともGO!
残りの3人:OK。
主人公(1):お、おい! なんで料理を手に持ってこっちに来る!?
もが。
トリーシャ:おおおおお!! ハメット軍団、料理を主人公(1)さんの口の中に押し込んでおります!!
リカルドらしき人物:ほら諸君、もっと早く口の中に詰めるんだ!!
アルベルトらしき人物:こんな幸せな奴に手加減なんかすんじゃねーよ!!
残りの3人:了解!!
主人公(1):もごごごごごごご!!!!
……10分経過……
仮面軍団:終わりました!!
パティ:うん、ごくろうさま!! 報酬はこの試合が終わった後にちゃんと払うから、もう行っていいわよ!
仮面軍団:了解! では!(といって立ち去る)
トリーシャ:…………。(はっ!)こ、これは一体!? あれほどあった料理がすでになくなっているうっ!!
主人公(1):……もが。(体がだるま状態)
パティ:……さて、主人公(1)? たしかあんた、「あたしの料理を食べきれない」とか言ってたそうね……。
でも、食べ切れたんだから、あたしの勝ちよ!!
トリーシャ:(そんなこと言ったって話だっけ? まあいいや)おおっと、勝利宣言! 勝利宣言が出ましたー!
主人公(1):もごぉぉ……。
連合軍:ちょっと、まったぁぁぁぁ!!
パティ:何ぃぃぃぃっ!?
トリーシャ:出たぁっ! 「ちょっと待った」だぁっ!
主人公(1):げぐごんがんがががぐがぐごぐんが……?(「ねるとん」なんぞわかる奴おるんか……?)
ヴァネッサ:あのねぇ、パティさん! 主人公(1)くんはまだ私たちの料理を食べてないのよ!?
ローラ:みんなでがんばって作ったんだからね!!
ディアーナ:あたしだって、やるときは……えーっと……やるんですけど……。
クレア:主人公(1)さまっ! すみませんっ!
マリア:何をあやまってるのよ、クレア! せっかくおいしそうにできたのに!
主人公(1):ぎ……ぎぐがいごんがごうぎが……?(い……一体どんな料理が……?)
トリーシャ:それで、連合軍のみなさん、一体どのような料理を作ったのですか?
ヴァネッサ;よくぞ聞いてくれたわ!!
ローラ:あたしたち連合軍の料理、それは……。
二人:カレーライスよ!!
主人公(1):……………………。がぎ?(何?)
トリーシャ:……………………。はい?
二人:だから、カレーライスよ! 何度も言わせないで!!
トリーシャ:た、たしかに、どこから見てもカレーライス!! もしかして、珍しくも成功作かぁぁぁっ!?
マリア:ぶーーー☆ それってどういう意味?
主人公(1):ぎーが、ごげがげがげっがぎがい。がんげ、ごごげんがーがががが……。(いーや、それだけは絶対ない。なんせ、このメンバーだからな……。)
ヴァネッサ:……主人公くん、言っている意味が何となく分かるんだけど……。
ローラ:お兄ちゃん……あたしたちの料理を食べて、まだそんな口をきけるかしら……。
主人公(1):ぐがー! ぎゃげげー!(うわー! やめれー!)
ヴァネッサ:……と。その前に、この口の中のものをなんとかしなきゃ。
ローラ:ちょっと、トリーシャちゃん! また「あれ」持ってきて!
トリーシャ:はーい、「あれ」ですね! ちょっと待って……。
パティ:待ちなさい! これ以上料理を粗末にするつもり!?
ヴァネッサ:何よ、パティさん。他の方たちのはあっさりと見逃したくせに。
パティ:あんなのに料理の価値があるもんですか! それにこの中にあるのはあたしの料理よ!
ローラ:なーんだ、ただ単に「主人公(1)さんに料理を味わってもらいたい」だけかー。
パティ:ちちちち違うわよ!! あたしは純粋に……!
ヴァネッサ:はいはい、言い訳はそれまででいいわ。どうやら後一息入りそうだし。
主人公(1):……ごぎ。(……おい。)
ローラ:うん、この隙間からルーだけでも流し込めば……。
主人公(1):ごっごががんがぎ!! ごげごごごぐぐごぎが!?(ちょっと待たんかい!! 俺を殺すつもりか!?)
パティ:……まあ、成功作みたいだからいいと思うけど……。
トリーシャ:ちょっとお聞きしますが、パティ選手。連合軍の調理の仕方はおわかりですか?
パティ:ん? わかんない。料理をするのに夢中になってたから……。
主人公(1):ごぎごが!! ごがげがごがんごがぎがんがぎ!!(おいこら!! お前らも何か言わんかい!!)
マリア:えへへ☆ マリアたちが作ったカレー、じっくりと味わってね☆
ディアーナ:すみません主人公(1)さん。あたしたちには止める力がありません……。
クレア:同じく……。それに兄さまが敵に回ってしまわれては、私はそちらに行くわけにはまいりませんし……。
主人公(1):んがごごぎぎがががぐげげぐげ!! ごげがががじじがぐがいご!!(んなこといいから助けてくれ!! 俺はまだ死にたくないぞ!!)
ヴァネッサ:さーて、主人公くん。よーく味わってね。
ローラ:入るだけ入れてあげるからね、お兄ちゃん。
パティ:ふん。どうせたかがカレーでしょ。あたしの料理にかなうはずはないわ。
トリーシャ:さあ、いよいよ連合軍の料理の試食にかかります!! はたして主人公(1)さんの運命は!?
主人公(1):ぐがああああぁぁぁぁ…………。(とぽとぽとぽ……)
1分経過……
主人公(1):……………………。(しーん……)
トリーシャ:……反応、ありませんね……。
ヴァネッサ:あまりの料理のうまさに声も出ないんでしょうね。
ローラ:ほらほら! 早く料理の感想を言ってよー!
主人公(1):……!!(ぼむ!!)
パティ:きゃっ!?
トリーシャ:ああっ!? しゅ、主人公(1)さんの体が……元に戻ったあっ!!
ヴァネッサ:な、なんで?? 別に何もしていないのに??
ローラ:ねーねー、お兄ちゃんってば!!(と言いつつ、主人公(1)の頭をはたく)
ぺし。
ぐらっ……ぱた。
(シーン……………………)
パティ:しゅ、主人公(1)!? ちょ、ちょっと、だ、大丈夫!?
トリーシャ:だ、ダメ! 完全に白目をむいちゃってるよ!!
ヴァネッサ:ど、ドクター! ほら、早く来て!!
ローラ:お兄ちゃん、お兄ちゃん大丈夫!? おにいちゃあん!!
結局……。
最終的に、主人公(1)は2ヶ月の入院を余儀なくされた。
原因は(やっぱりというか何というか)連合軍の作った料理で、ドクター曰く、パティの料理でだるま状態になっていたからこの程度ですんだという。
もしふつうの人間が連合軍の料理を食べていたら、「即座に全身が乾燥し、骨だけになり、最後には全て灰に戻る」という、恐るべき結果が魔術師組合から提出されていた。
どちらにせよ、最終的にはパティの料理で助かったのだ。
そして……。
さて、naoです。
後編、いかがでしたか?
これで終わり……なんて言ったら、大甘ですな。
アレがありますので、ちょっとお待ちを。
最後に、感想下さい。
では。
……ホラーですか、これ(^^;)
(「悠久書店」店主・大橋賢一)