◇GURPS moo Series Games◇

その1:キャラクターの作成


その0:背景世界

その1:キャラクターの作成
キャラクターの作成
 ・特徴総覧技能総覧
 ・魔法ルール戦闘と負傷CP獲得仕事

その2:エタメロ・悠久世界のキャラクター達

その3:種族

その4:装備・モンスター/NPC


〜キャラクターの作成〜

 一般に、PC(プレイヤー・キャラクター)は150CP前後(125〜175CP程度)で作成されますが、場合によっては300CP程度まで許されます。派手なゲーム展開が中心なためこのようになっていますが、何事にも限度は存在するので適当な範囲で抑えて下さい(笑)。その他、一般の人間用でない特徴は適宜取得を禁止/制限されます。
 場合によっては(レミットやリオ、ローラのような)15歳未満のキャラクターを作成する事もありますが、その場合もPCの場合は能力値を大人のキャラクターと同様に扱います(「特殊な背景」の一種である「早熟」と「未成年」を相殺しているとでも考えておいて下さい。その都合上、PCになれるのは12歳程度が限界です)。
 なお、後に記すキャラクターデータは何度も冒険を繰り返した後のデータである上にCP計算も適当です(汗)。


〜特徴〜

 以下に、特徴についての細則を記します。

「ベーシック」などにレベル制限が書いてないレベル制特徴の全て
 必要なCPが2CPまで(「音楽能力」「鋭敏視覚」など)なら5レベル、3〜5CP(「意思の強さ」「鋭敏感覚」など)なら3レベル、6CP以上なら2レベルまで取得可能です。不利な特徴も同様に扱って下さい。

CPの現金化
 ルナル同様、キャラクター作成時に2CPを限度としてCPを現金化可能です。これで稼げるCPは、1CPあたりで装備に本来使用できる金額の2分の1(中世で「標準」なら1CPあたり500ゴールド)になります。


*既に存在する特徴*

>社会的特徴<

「法の番人」
 この特徴を取得したキャラクターは、同時に所属する治安機構から「使命」を授からなくてはいけません(危険が少なく頻度が「ときどき」以下である、CPを稼げないランクの物は除く)。この「使命」により獲得したCPは、「法の番人」に費やしたCPと同点までは不利な特徴の取得制限に含めなくても構いません。
 例:主人公(2)は自警団の部隊長(「法の番人」2レベル)です。自警団からの「使命(頻度は「ときどき」)」で5CPを稼いでいますが、これとは別に不利な特徴を−40CP取得する事が可能です。
 また、この特徴を2レベル以上で所持しているキャラクターは、臨時に他のキャラクターを「法の番人」1レベルを持つ者として所属する治安機構に推挙を行う事が可能です(いわば見習いやお手伝いとして。エンフィールド自警団第三部隊の一般人メンバーや、シープクレスト保安局刑事調査部第四捜査室のティセがその例です)。

「聖職者」
 必要CPは5CPになりますが、正式な聖職者でないセリーヌやローラのようなキャラクターの場合は「聖職見習い」と見なされ、CPを費やす必要はありません(簡単な儀式や聖職者の補佐に預かれるが、反応の修正は無し)。特に反応+以外の特典はありませんが、聖職者は魔法使い、それも神聖魔法の使い手である事が多いでしょう。「神聖魔法」の源は神そのものではなく、術者自身の強固な意思による世界法則への干渉なのです(というのはあくまでも仮説に過ぎないのですが)。
 後述する「ルナルと合成」パターンでは無視して下さい。

「未成年」
 一般に18歳で成人と見なされますが、法的責任能力は15歳で生じます。極めて稀ですが14歳以下で公的任務に就いた場合にも同様の扱いを受け、そのキャラクターは「未成年」でCPを稼ぐ事はできません。

「特殊な背景」
 様々な「特殊な背景」は、次のように処理をして下さい。新しい「特殊な背景」は、GMや他のプレイヤーの承諾を得てから使うのが良いでしょう。
・些細な「特殊な背景」:5CP、特定集団のみの特殊技能を近い社会的位置のキャラクターが取得する、1系統の呪文を規定外で取得可能、実際の権力を伴わない著名人の縁者、通常のキャラクターよりやや有利になるような背景社会/団体の出自
・標準的な「特殊な背景」:10CP、特定集団のみの特殊技能を掛け離れた社会的位置のキャラクターが取得する、呪文の詠唱作業のうち1種類を無視できる、特別な集団しか魔法が使えない世界で魔法が使える、権力者の関係者、通常のキャラクターより有利になるような背景社会/団体の出自
・非常に「有利な背景」:20CP〜、魔法が一般的でない世界で魔法が使える、背景世界と全く違うシステムの魔法や特殊能力を使う(moo系世界では外法、影闘法、ルーン魔法など)、通常のキャラクターより遥かに有利になるような背景社会/団体の出自
・不利な「特殊な背景」:−5CP〜、通常は不利な「名声」「地位」「社会的弱者」などで表現すること。

「地位レベル」
 種族により、地位レベルには上限・下限が存在します(一部の種族には「地位」の概念が無いので、地位レベル自体が存在しません)。詳しくは各種族の解説を参照して下さい。

「軍人階級」
 PC全員が軍人だったりしない限り、使う事のないと思われる特徴です。めんどくさければ「地位レベル」に一本化してしまって下さい。

「社会的弱者」
 種族や民族、階層の違いによる「社会的弱者」は存在しません。より正確に言うならば、全て「地位レベル」で処理します。
 ちなみに、「ベーシック」で「価値ある財産」の例として中世日本の女性を挙げているのは間違っています(むしろ政治・経済的には、江戸時代より活発でした)。せいぜい村座の正式構成員となれず、普通の場合は家長になれない事による「二等市民」で十分です。「価値ある財産」なのはむしろ、狂言で主人である大名が賭けに負けたからといって他人に勝手に渡されたりする太郎冠者の方でしょう。

「特権階級」
 この特徴は「法の番人」と同じく、常に「使命」と抱き合わせでしか得られません。GMの判断の上で、「誓い」や「義務感」も組み合わせると良いでしょう(もちろんこれらの特徴は、特権を与えた対象を裏切ると即座に「敵」や「悪い名声」へと変化します)。

「身元」「無登録」
 ゲームの雰囲気上身元が重要点となり得ないので、この特徴は存在しません。

「原始的」
 世界の標準文明レベル(及び技術レベル)は、世界の主流種族である人間の、そして良かれ悪しかれ関係を持つエルフやヘザーやライシアンの一般的なものです。「一般的でない」少数集団や人間と縁のない種族の場合は1レベル程度低くなる事もありますが、あまり低すぎるとゲーム進行できなくなりますので絶対によしましょう。

「仲間」「足手まとい」
 ベーシック完訳版記載の「味方キャラクターのCP総計」には、「キャラクター本人のCP総計の100分の1」を掛けます(端数切上げ)。125CPキャラクターの場合1.25を掛けて、「76〜100CPの仲間」は「95〜125CPの仲間」に、「26〜50CPの足手まとい」は「33〜63CPの足手まとい」になります。ただしこの場合の係数は、「1」を下回らない方が良いでしょう。
 キャラクターのCP総計が上昇した際には、「仲間」「足手まとい」にも相応のCPを獲得させて下さい。

「敵」
 CP表記されている敵の場合「仲間」「足手まとい」と同様にキャラクターのCP総計に応じて能力を変化させて下さい。
 例:ジョートショップの青年の「敵」であるアルベルトは、青年が美術品窃盗犯だと決め付けている上に憧れのアリサと同棲……もとい同居している事に嫉妬を覚え、完全に犯罪者扱いで事ある毎に妨害を仕掛けて来ます(アリサは青年を庇ってくれますが、24時間一緒にいてもらう訳にはいかないのです)。青年は150CPで作成されたので、同じ150CPキャラクターであったアルベルト(部下が2人付いていますが、青年にも仲間がいますのでお互い様です)は「ときどき」登場する敵(自警団第一部隊は激務ですので、邪魔ばかりしていられるほど暇ではないのです)として−10CPとして扱います。

*「仲間」「足手まとい」「敵」「仲間グループ」「後援者」「情報屋」の共有について
 「ガープス・ルナル」におけるトルアドネス帝国や四姉妹は、アンディとエフィが別個に「敵」として取得し、それぞれの規模と確率に応じたCPをそのまま獲得していました。しかし「ベーシック完訳版」P29の「情報屋」に関する記述では、「情報屋」のCPをパーティ全体で分担できると記してあります。この食い違いを解決するには、以下の基準を適用して下さい。
 (a)2人以上で取得すると1人あたりの恩恵や脅威が目減りする「個人」「人数が増えても支援できる量が変化しない団体(「情報屋」はこれに相当します)」の場合、共有を認めても構わないでしょう。ただし「仲間」の場合、複数のPCを「仲間」として設定する事により実質的なCP総計が減ってしまう事に気を付けて下さい(笑)。
 (b)それ以外(「敵/トルアドネス帝国(まれ)」や「敵/四姉妹(ときどき)」など)の場合、共有してもCPは1人で所持している場合と変化はありません。これらは何人で取得しようと、PC1人1人に対する影響に変化は見られないからです。

「武器の達人」(20CP、「片手剣」「両手斧」「弓矢」などの武器1種類(機械的な弩や銃器は対象外)で与えるダメージに技能レベルの5分の1(端数切り捨て)を追加、前提:古代〜中世の武器系技能16レベル)
 「マーシャルアーツ」では1種類の武器へは20CP、万能の「武器の達人」は45CPとなっていますが、moo系世界では万能の「武器の達人」は取得を禁止します。またこの特徴をPCが取得するにはGMの許可を必要としますが、NPCに取得させる際にもゲームバランスを崩さないか慎重に検討してから与えて下さい(リカルドやランディ、紅月やファーンと同ランクの存在になりますから)。特に実質ダメージが+6〜+8となる「刺し」武器には注意が必要です。

>肉体的特徴<

「近視/遠視」
 文明レベルが4でも眼鏡(とコンタクトレンズ)は存在しますが性能が悪く、近視の場合は手持ち武器の攻撃に−1、射撃の距離は1.5倍として計算します。遠視の読書速度は2倍、精密作業の修正は−1です。このため、文明レベル4の場合は−15CPの特徴として扱われます。
 文明レベル5以上なら普通の眼鏡が入手可能なので、この特徴は通常通りに扱われます。

「高齢」
 この世界では老化判定(知力に限り、この世界では老化判定の基準値が知力になります)でファンブルしない限り表の能力値は低下せず、老化判定で出した能力値が0になって永眠するまで老化の影響を受けません。「長命」を持っていれば、ファンブル時にも表の能力値は変化しません。そのため、この特徴で獲得可能なCPは半減します(1レベル毎に−1CP)。
 なおプレイ上気にする事ではあまりありませんが、老化判定に「医学の文明レベル−3」を生命力(ないし知力)に加える事が可能です。

「言語障害」
 魔法使いがこの特徴を取得している場合、(呪文の基本レベルである「知力+素質−2」が18以上に達していない限り)「特殊な背景/呪文の詠唱不要」に10CP消費して下さい。

「追加疲労点」
 moo系世界では3CP/Lとします。種族の能力としてか、「特殊な背景」を取得したキャラクターにしか使われる事はなく、moo系世界では本来の体力の半分(端数切捨て)を限度とします。人間より遥かに大きい、あるいは小さい種族の場合でも同様です。
 「減少疲労点」として疲労点を通常より減少させる場合も、−3CP/Lとして計算して下さい。

「追加HP」
 moo系世界では3CP/Lとします。種族の能力としてか、「特殊な背景」を取得したキャラクターにしか使われる事はなく、moo系世界では本来の生命力の半分(端数切捨て)を限度とします。人間より遥かに大きい種族の場合はこの限界を無視できますし、逆に極端に小さければHPは生命力より遥かに小さくなります(蟻の生命力がいくら高くても、HPは1点未満しかありません)。
 「減少HP」としてHPを通常より減少させる場合も、−3CP/Lとして計算して下さい。

「受動防御」
 moo系世界では25CP/Lとします。種族の能力としてか、「特殊な背景」を取得したキャラクターにしか使われる事はありません。通常の限界は5点までです。

「防護点」
 moo系世界では5CP/Lとします。種族の能力としてか、「特殊な背景」を取得したキャラクターにしか使われる事はありません。通常の限界は5点までです。

「性的不能」
 原著の「eunach」は「去勢」という意味です(汗)。moo系世界では基本的に人間を去勢する事はなさそうですので、原因は事故に限って下さい。

>精神的特徴<

「我慢強さ」
 後天的に取得可能です。訓練の機会がある時に任意の時間を費やし(防御訓練で痛みに耐え抜く、鳥の羽で足の裏をくすぐられるなど)、意思判定に成功してからCPを消費して下さい。エンフィールド自警団員の約半数、シープクレスト保安局員の約1/3がこの特徴を所持しています。また、この特徴があれば呪文に集中している間に負傷しても目標値へのペナルティを受けません。《痛み止め》や「無痛覚」でも同様です。

「魔法の素質」
 エンフィールドでは住民の2割程度、シープクレストでは約1%が所持を確認されています(どちらでも半分以上が1レベル。エンフィールドではほぼ確実に魔法を取得するが、シープクレストでは《魔化》取得可能な2〜3レベルはないと普通は魔法を取得しない)。これを持つと素手と手持ち武器、及び「機械的でない」投擲・射撃武器が「魔法の武器」扱いになり、通常武器でダメージを受けない魔物にも有効になります。また、魔法関係の現象に対しては「鋭敏感覚」と同様に判定にボーナスを加えますが、魔力酔い(マナ溜まりやマナの暴走現場で発生する現象)などに対する抵抗判定では「魔力に敏感」と考えて逆にペナルティを与えても良いでしょう。
 例1-1:「魔法の素質3レベル」を持つルシードが長さ2のバスタード・ソード(魔化されていない。以下同じ)でトリアケラスを攻撃すると、ダメージが普通に与えられます。
 例1-2:ルシードがコンポジット・ボウでエンプレスを攻撃しました。エンプレスにはちゃんとダメージを与えられます――《矢返し》が掛かっていなければ。
 例1-3:ルシードが拳銃でシンカーを撃ちます。意味ありません(ダメージの1/8のヘクスだけ、跳ね飛ばされて後退する事にしても構いませんが)。
 例1-4:「魔法の素質」を持たないレスターが召還魔獣を猟銃で撃ちました。当然ながら召還魔獣はダメージを受けません。
 例1-5:同じく「魔法の素質」を持たないローワンが魔剣でクロベエに斬り掛かりました。この場合はちゃんとダメージを与えられます。
 例2-1:フローネは「魔法の素質3レベル」を持っています。呪術の使われた痕跡の燐光(視覚判定に−8のペナルティ)を探す際に、知力16のフローネは19を基準にできますので、3Dで11以下を出せば発見できます。
 例2-2:フローネが墓地で、アンデッドの歪んだマナの範囲に入りました。生命力判定に成功すれば朦朧状態にならなくてすみますが、生命力は9しかありません。しかも魔法の素質が不利に働いて、判定の目標値が6以下に低下してしまいます。
 エンフィールドでは特に地位レベルや反応は変動しませんが、シープクレストでは「地位レベル+1」「反応−1」されます。また、魔法的な格闘動作の前提条件になる事もあります。
 ゲーム開始後にも取得したり上昇させたりする事は可能ですが、GMの許可を得てからにして下さい。そう易々と「魔法の素質」は高まる物ではありません。また「百鬼夜翔」P263〜264を参照して「魔法の素質」を4レベル以上にする事もできますが、通常のPCには(シェリルやマリア、リオやフローネのように)特に魔法に長けていても4レベル(50CP)までしか許さない方が良いでしょう。魔法王タナトスや大魔王様のような伝説級のNPCなら7レベル(105CP)や8レベル(130CP)でも構わないでしょうが……。

「魔法の素質/種別」
 魔法の素質の働く呪文、環境、同時に作用する副作用などで、消費CPを上下させる事ができます。また修行なり能力の覚醒なり理由を付けて、作成後に限定を外したりレベルを上昇させたりする事も可能です(滅多に起こらない事ですので、特殊な魔法の品物や霊薬、修行の場が必要な事にした方が良いでしょう)。
“単系統の素質(10/16/22CP)”
 1つの系統と《体力回復》にのみ有効な魔法の素質です(「マジック完訳版」に従うと治癒系以外の「単系統の素質」のみを持つキャラクターは「感情察知」を持たないと《体力賦与》を修得できませんが、GMとプレイヤーの合意により《体力賦与》にも効果を認めて構いません)。精霊系を対象にする際の「相性」などについては「マジック完訳版」の通りです。
 マナの「相性」(「マジック完訳版」P101。一定範囲の特定条件の呪文に−5〜+5までの技能レベル修正、境界線を越えると密度の境界線と同様に感知が可能)のルールを使う場合、その素質が有効な系統にしか「相性」への感知能力は働きません。
“二系統の素質(11/18/25CP)”
 関連付けられる2つの系統と《体力賦与》《体力回復》にのみ有効な魔法の素質です。その他は“単系統の素質”と変わりません。相反する系統の魔法(風霊系と地霊系、治癒系と死霊系など)に対してこの特徴を持つ事も可能です――理由をちゃんと付けられれば。
“三系統の素質(12/20/28CP)”
 関連付けられる3つの系統と《体力賦与》《体力回復》にのみ有効な魔法の素質です。その他は“単系統の素質”と変わりません。
 なお、「精霊系全て」を除く4系統以上の“限定”で消費CPを減らす事はできません。
“精霊系の素質(12/20/28CP)”
 精霊系全ての系統と《体力賦与》《体力回復》にのみ有効な魔法の素質です(「グリモア」収録の派生系統を含む)。その他は“単系統の素質”と変わりません。
“未覚醒の素質(5/8/11CP)”
 封印やその他の理由で覚醒していない魔法の素質です。魔法取得の助けにはなりませんが、魔力濃度の感知や魔法の品物の感知にだけは役に立ちます。
 何らかの事情で目覚めた場合には「覚醒後の素質に必要なCP−既に消費していたCP」点の負債をCPに負い、それを払い終えるまでは呪文の取得以外にCPを回せません。呪文の取得に費やせるCPも、借金分の半分に限られます。
 例:「未覚醒の素質」3レベルを持つシェールは、検査により魔法能力が発見されました。発見後の「魔法の素質」には限定は存在しなかったので、シェールには「35−11=24」点の負債が課せられ、これを払い終えるまでの間は呪文に最大12CPを費やす以外に能力値や特徴、技能を成長させる事はできなくなります(これがプレイの際に支障を来すと思われる場合は、「誓い」や「義務感」、「熱狂」「恐怖症」など何らかの不利な特徴で一部を埋め合わせても構いません。しかし全て埋め合わせる事を認めるのは避けた方がよいでしょう)。
“暴発性の素質(15/25/35CP)”
 強力ですが不安定な魔法の素質で、クリティカルとファンブルの範囲が1だけ大きくなります(通常は5以下がクリティカル・16以上がファンブル。目標値が15なら6以下がクリティカル。16以上なら7以下がクリティカル・16は自動的失敗・17以上がファンブル。目標値より9以上大きければ必ずファンブル)。クリティカルやファンブルの効果も、通常より大げさにして構わないでしょう。
 この素質は、能力を限定された素質と要素を組み合わせる事は出来ません。
“封印された素質(5/8/11CP)”
 何らかの理由により封印された素質です。呪文の使用に際しては非常に厳しいペナルティ(大きな−修正を受けた意思判定や使用中の大ダメージなど)を得る上に、キャラクター作成時に取得した魔法以外は一切覚えられません。GMの許可がない限り、PCの取得は禁じられます。

「魔法の耐性」
 この特徴を持つと、シープクレストでもエンフィールドでも軽度の身体障害者と認定されます。この場合でも必要CPは変わりません。
 また、先天的に魔力を持つ種族はこの特徴を取る事ができませんし、そのような種族からの反応も最低でも−3されます。通常は種族社会から排斥されるでしょう。

「義務感/種別」
 あまり多くの義務感を設定すると煩わしい上に範囲が重複する事が多くなるため、「敵」同様に2種類までに限定する事がGMの判断により可能です。
 なお特定の種族に対する義務感は−10CPの特徴としますが、個体数の少ない種族では−5CPとして扱って下さい。「人間」に対する義務感は、影の民や地の民のような亜種を含むなら−15CP、含まないなら「人間の一般的人種に対する義務感」と見なして−10CPの特徴として扱います。

「恐怖症」
 「死体恐怖症」:アンデッドや霊が実在する世界ですので、それらに対する反応は以下の通りに処理されます。
  死体が動いている…魔法に親しみのあるキャラクター(一般のPCやエンフィールドの住民)は修正を受けません。魔法に親しんでいないと「ベーシック」通り−4の修正を受けます。
  幽霊…人格や姿を残している霊には、上の場合と同じ修正を受けます(たとえ生霊でも)。人間から掛け離れた悪霊やポルターガイストは「死体恐怖症」の範疇外です。
 「機械恐怖症」:魔法を使用した機械も対象となります。
 「怪物恐怖症」:動植物系の魔物は、よほど異様な姿をしていない限り「自然でない」生物とは見なされません。
 「先端恐怖症」:接近戦用武器の使用が衰えていないため、文明レベルの上昇にもかかわらず獲得できるCPは低い文明レベルの世界と同一です。
 「魔法恐怖症」:−15/−30CPです。魔法動力プロセッサを組み込んだ器具の使用の際には恐怖判定は不要ですが、意思判定に成功しないと器具の内部に接触できません。PCが取得する事も、まともな冒険の障害になりますのでお勧めできません。
 「血液恐怖症」:通常と同じく−10/−20CPですが、戦闘中の恐怖判定のタイミングは基本的に「戦闘開始後に初めて「切り」「刺し」ダメージを視界内で目撃した時」のみです。
  (この場合は戦闘中ですので、「待機」していない限り恐怖判定に+5されます(「ベーシック完訳版」P126参照)。「待機」していれば修正0です。ダメージが「切り」で、しかも最終的な数値が8点以上になった場合には、激しい出血を目の当たりにしてしまい恐怖判定の修正は+3/−2になります。ダメージが16点以上なら修正は+1/−4です)
  それから戦闘が続く限り「切り」ダメージが8点以上出なければ判定の必要はありませんが(しかも、最初の恐怖判定に成功していればペナルティも受けずに行動できます)、10分以上続く場合は戦闘行為を続行する10分毎に修正無しでの恐怖判定が必要です。
  ちなみに自分自身と血の色や質が違う種族の血を見た時は、あまり怖くないので恐怖判定に+修正を受けます。
 非常に特殊な恐怖症:「左利きの配管工恐怖症」「さくら亭の桜の落ち葉恐怖症」「クーロンヌの残り物のケーキ恐怖症」といった類です。GMは断固として却下するべきですけど(笑)、どうしてもとプレイヤーが言う場合は「癖」として認めて下さい。もちろんその場合には、対象物をちょくちょく出して恐怖判定をさせましょう。

「お祭り好き」
 moo系世界では、プライベートなパーティーにはあまり大勢集まりません。よほど図々しいのでもない限り、つまらないパーティー(笑)よりは食堂や居酒屋や広場や商店街で楽しむ方が普通です。何といっても楽しいですし。
 なお現世でも、国によっては友人の友人だろうが友人の友人の友人だろうがお構い無しで数十人〜数百人規模のパーティーを開くのが普通の所があります(アメリカ合衆国がどーかは知りませんが(汗))。moo系世界でもどこかにはそのような地方がある事でしょう。

「アルコール中毒」
 程度の弱い特徴として、通常の中毒と同じ扱いをする「アルコール依存症」(−10CP)が存在します。現世では比較的酒に弱く飲酒の習慣を長い間持っている民族(日本人など)に多く見られる特徴で、そのような民族では「アルコール中毒」に達する事は滅多にありません。

「読み書き」関連
 長い歴史と魔法の発達による教育上の必要性、そのごく初期における紙の発明、そして行政文書の一般化により、読み書きはできるのが普通です。これは人間と関わる異種族でも同様であり、読み書きできない事にするなら適切な理由を考えて下さい。

「読み書き/基礎のみ」(−5CP、読み書きできないのが普通なら5CP)
 基礎的な水準の読み書きしかできません。言語にもよりますが、この水準では夕飯の買い物のメモを取れても小説を読むのもたどたどしく、長い手紙を書いたり学術書を読んだりは一切できません。
 どの程度が「基礎的」を超えるかはプレイヤーやGMの判断に任せますが、以下の基準を参照して下さい。
・日本語:小学校低学年で習わない漢字の使用、同音異義語の文章での使い分け、古文の読解など
・英語:発音からずれた単語の正確な綴り、ギリシャ語やラテン語起源の単語の理解、古英語の読解など

「幸運」
 「ベーシック完訳版」P28によると、サイコロを振った後でも「幸運」を使い、あと2回振って3回中で最も良い結果を使えるという事です。文庫版に無かった記述であり、見落としがちなので注意しましょう。

「平和愛好/種別」
 「ベーシック完訳版」P55の「完全非暴力」を見ると、「いかなる理由であれ、他の知的生物に暴力を振るう事はありません」「あなたは動物や蚊から身を守る事はできます」と記してあります。この場合は「知的生物以外には全く適用されない」「知的生物以外にも緩い拘束力を持つ」という2通りの理解が可能ですが、私的には、
  「平和愛好」は、知的生物以外でも危害を及ぼす生物でなければ「癖」程度の影響力を持つ。
 といった辺りが望ましいと思います。
 ちなみにこの特徴は、「誠実」と同じく「明らかに平和に反する行動を取る相手」には無関係と見た方が良いでしょう。連続暴行殺人犯、大量虐殺を行っている敵軍兵士、テロリスト、ルナルの黒の月の信者などは、「非殺」「完全非暴力」のキャラクターにとっては他者の尊い命を守るために排除しなくてはならない存在でしかありません。「専守防衛」でも、自分達を攻撃ないし殺害しようとしている相手には「予防攻撃」が可能と思われます。

「放火魔」
 日本と同様かそれ以上に放火には厳しく、逮捕されれば長期間の懲役に課せられます。「義務感/自然」の持ち主も多く、一般人は放火魔には−3の反応修正を向けます。取得できるCPは−15CPとなりますが、遅かれ早かれゲームから脱落するこのような特徴はキャンペーンにも単発プレイにも向きません。PCは取得しない方がいいでしょう。
 ……ですが単なる「火炎愛好(pyromania)」なら、−5CPで構わないかもしれません。ただしこの場合もあれこれと疑いを受けやすく、反応に−1の修正を受けます。

>その他<

「種族/種別」
 エルフ、ヘザー、ライシアン、ヴァンパイア、牙人族、フォーウッド、魔族……といった人間以外の種族については、後の方で種族データを記します。
 なお、魔法に適応した突然変異であるウィザード以外は、ルナルの物をmoo系世界にそのまま適用する事はできません。ウィザードについては下を参照して下さい。

「種族/ウィザード」
 「ルナルと合成」パターンでのみ使用可能です。エンフィールドでの割合はルナルの人間と同様ですが(街の周辺まで含めて10000分の1〜2、市街地なら更に高率)、シープクレストでは皆無に等しいです(師匠となるウィザードがほとんどいないので、素質を見込まれれば市外に出てしまうのです)。
 この特徴を使用する場合のエルフ・ウィザードやライシアン・ウィザードの作り方は、ルナルのルールに準じて下さい。

「信仰/信仰上の地位」
 「ルナルと合成」パターンの場合のみ意味があります。信仰は青の月、赤の月、緑の月、白き輪の月(ウィザードのみ)、銀の月(主にNPC用)、黒き歪みの月(NPC専用)、〈龍〉信者(主にNPC用)に分かれますが、銀の月信者となり技能や呪文を取得する場合には、「特殊な背景」に10CPを費やして下さい(火の元素神の信者の場合、取得可能な魔法は亀人と「蛇人−高司祭共通」のパターンのどちらかを選択するように)。いずれの信者でも更に5CP(合計15CP)を費やせば「高司祭共通」に含まれる魔法を取得でき、「魔法の素質」に必要なCPは通常通りになります。青の月の場合ジェスタの協力神の信者になるために「特殊な背景」を取得する必要はないですが、ガヤン信者がドワーフ拳撃術を学ぶ際にはソードブレイカーと投極術の取得権利を失います。〈銃器〉技能も信者を問わず取得可能ですが、デルバイ信者のメリットが少ないと感じられる場合は一部の銃をデルバイ信者専用にして構いません。
 種族と信仰の結び付きについては、種族の説明に各々記します。moo系世界では信仰により種族変化が起こる事はありえません。

(補足:信仰の形態)
 moo系世界ではリアド大陸の物を基本的に援用しますが、以下の点に注意して下さい。
・双子の月の信仰はリアドの、それも紫の群島型が基本です。ドワーフ形やトルアドネス型(赤の月排除タイプ)は存在しませんし、カルシファード型(武戦士の複数信仰が可能)やマーディール型(双面神として信仰)はエンフィールドやシープクレストの存在する大陸ではほとんど見る事ができません。
・複数の神の信仰は、以下のパターンのみ許されます。ただし(2)と(3)は、既にほとんど廃れているので特別な理由の無い限り使わない方が良いでしょう。
 (1)対になる2柱を、どちらも同じ信者レベルで信仰する(ガヤン&シャストアか、サリカ&アルリアナがほとんど。キャラクターは双方の戒律を合成して自分なりの戒律を見出さなくてはならない)。
 (2)同じ月の中心的な2柱を、どちらも同じ信者レベルで信仰する(ガヤン・サリカ、ガヤン・ペローマ、ガヤン・ジェスタ、シャストア・アルリアナ、シャストア・リャノ、アルリアナ・リャノのみでほぼ全て。戒律については(1)と同様)。
 (3)八大神のどれかとその協力神1柱を以下同文(例えばジェスタとデルバイ、リャノとナーチャなど。協力神のデータはGMとプレイヤーが共同で作り、有利過ぎたり不利過ぎたりしないようにして下さい。協力神にはナウビィのように、普通信仰されない神もありますので要注意)。
・信者の少ない協力神の信者の場合、その神の属する本質を司る神(及び、その協力神)の信者を「同じ神の信者」と見なして反応修正を行っても構いません。
・緑の月は複数信仰は不可能ですが、分氏族の祖霊を信仰している場合は本氏族(及び、その分氏族)にも便宜を図って貰えます。もちろんキャラクター自身も、逆の立場の場合便宜を図らなくてはいけません。
・銀の月には補足はありませんが、特定の1柱ではなく1つの元素の神々を全てまとめて崇めています。銀と緑の複合信仰も存在しません。


*新たに登場する特徴*

>社会的特徴<

「過去の地位レベル」(2CP/L)
 辞職した大統領や退位した国王、騎士と駆け落ちした王女、数百年間山奥で修行を行っていた元宮廷魔術師長、クーデターで追放された独裁者、処刑の寸前に他人に肉体交換を行い逃亡した超能力者、異世界に飛ばされた皇帝、息子に跡を譲った村長など、高い地位レベルから退いたキャラクターが所持する特徴です。「地位レベル(元国王なら6、元大統領なら4〜5(亡命したならそれ以下)など)」に上乗せする形でこの特徴を取り、完全に公的な場やキャラクターが好意を持たれていない場を除いては「地位レベル」+「過去の地位レベル」に応じた待遇を受けられます。生活費は現在の「地位レベル」に応じますが、「過去の地位レベル」との格差が激しいと元の地位をなかなか認めてもらえないでしょう。

「過去の軍人階級」(1CP/L)
 退役した軍人、あるいは放逐されたり亡命したりで軍属でなくなったキャラクターが所持する特徴です。扱いは「過去の地位レベル」に準じて下さい。

「高度文明」(5CP/L)
 この特徴を持つと、取得する技能の文明レベルをゲーム世界の平均レベルより「高度文明」のレベル分高い文明レベルの物として扱えます。キャラクターがゲーム開始前にもゲーム世界の平均的文明にも触れているなら、この特徴を必ずしも全ての技能に適用する必要はありません。1人の「高度文明4レベル」キャラクターが、〈応急処置/3〉と〈応急処置/7〉を両方覚えていても構わないのです。もちろんこの場合なら、「高度文明」を持つキャラクターが一般社会の技術を扱う際にも特に不利な修正は受けません。
 この特徴はGMがゲーム世界に適切な物と認め、そして使用を許可しなければPCが持つ事はできません。世界背景によっては「特殊な背景」を必要とするでしょう。

「早熟」(2CP/L、最大6CP)
 レミット、リオ、ローラ、「悠久1」開始時のピートが持っていた特徴で、14歳以下のキャラクターの能力値基準値を1レベル毎に1歳分繰り上げます。通常は利点の無い特徴ですが、何らかの理由により「未成年」としての扱いを受けないキャラクターの場合は「早熟」と相殺する事が可能です。この特徴は成長により失われますが、その分のCPで不利な精神的特徴を打ち消す事ができます。

>肉体的特徴<

「弱視」(−30CP)
 アリサの持つ特徴です。「近視」と「遠視」のペナルティの双方が適用され、しかも眼鏡などで矯正する事ができません。GMの許可を得ない限り取得は出来ません。

「夜盲症」(−10CP)
 一般に「鳥目」と呼ばれる、ルナルのミュルーンが一般に持つ物と同じ特徴です。暗所では視覚判定に−5され、暗闇による戦闘修正は2倍にして適用します。「鋭敏視覚」のボーナスも暗闇では適用されませんが、その代償として「鋭敏視覚」を取得する際のCP消費が半減(1CP/L)します。

「特異な外見/両性具有」(−10CP)
 この特徴を持つキャラクターは男女両方の性機能を備えており、それを知られると反応に−2されてしまいます。精神的には男女どちらかに属していますが、容姿は中性的、プロポーションも半ば男性型、半ば女性型です(細身の女性に男性の生殖器が付いたような状態)。容貌や〈性的魅力〉の修正は、精神的に属する性に基本的には従います。

「老化停止」(10CP)
 この特徴を持つと老化しませんが(GMが望むなら「成長」すら止まります!)、種族本来の寿命限界の数倍を経ると肉体的限界により命が尽きてしまいます。「不老不死」ではないという事に注意して下さい。生まれつき消費CPがこの水準に属する「長命」である種族が重ねて取る事もできません。
 「老化停止」になるには《老化停止》による儀式が必要ですが、これを受けるには限定のない「魔法の素質」が最低でも1レベルは必要ですので注意して下さい。

「不老」(15CP)
 この特徴を持つキャラは老化を起こさず、老衰死しません(しかし、怪我や毒、病気で死ぬ事は有り得ますし、その際には何の助けにもなりません)。
 非常に稀な特徴なので、この特徴はGMの許可がない限りPCは取得不可能ですし、NPCも然るべき理由がない限り取得できません。またこれを得るには、限定のない「魔法の素質」が最低でも1レベルは必要です。

「無痛覚」(−10CP)
 痛覚がありません。戦闘でいくらダメージを受けても行動に影響を受けないのですが、キャラクター自身は自分の受けている正確なダメージを理解できないのです。キャラクターのHPはGMが管理し、気絶判定や死亡判定が必要な時はプレイヤーに振らせて下さい。〈応急処置〉に要する時間と同じ時間を費やして〈診断〉か〈生理学〉判定に成功すれば、自分のおおよそのダメージを知る事が可能です。「百鬼夜翔」の[無痛]とは違い、折れた腕や脚を使う事はできません。
 この特徴を持っていても、疲労点はプレイヤーが管理できます。

「鋭敏触覚」(1CP/L)
 触れた時や触れられた時の感覚判定(触覚判定)に、レベル分のボーナスが含まれます。触覚判定を行う機会が少ないために必要CPも低くなっていますが、触覚が重要なキャンペーンを行う際にはGMは「2CP/L」として「鋭敏触覚」を扱う事が可能です。

「視野狭窄」(−15CP)
 「広視界」とは逆に、かなり視野が狭くなっています。周囲で何かが起こったとしても、それが正面でない限り知力判定に成功しないと気付く事ができません。戦闘中は前のヘクスにしか通常の攻撃はできず、右前は「右側」、左前は「左側」、右後ろと左後ろは「後ろ」として扱います。長射程攻撃を行う際も、右前ヘクスの延長線上とそれより右側のヘクス、左前ヘクスの延長線上とそれより左側のヘクスは「視界」として扱われません。

「器用」(5CP/L)
 この特徴があれば、手先が関係する作業にレベル分のボーナスを受けます。これを1レベルでも所持していれば、手先を使う行為の技能無し値の計算の際、基準能力値を最低でも12と見なします。

「不器用」(−3CP/L)
 この特徴の所持者は手先が不器用で、関連作業にレベル分のペナルティを受けてしまいます。これを所持していると、手先を使う行為の技能無し値の計算の際、基準能力値は最高でも13としか見なされません。芸術系能力にはこの特徴による不利な修正は無縁です。

>精神的特徴<

「方向感覚欠如」(−10CP)
 若葉やセリーヌレベルの凄まじい方向音痴で、知力判定に失敗すると現在位置を見失って迷子になります。当然〈オリエンテーリング〉〈追跡〉〈航法〉《方位計》《方向探知》《追跡》などは取得禁止され、技能無し値にも−4されます。〈尾行〉は可能ですが、元の所に帰って来られなくなる危険が常に付きまといます。地図を見ても書いてある内容が全く理解できません(頭の中で、地図と現実の環境を結び付ける事ができないのです)。知力判定にファンブルした場合、話が面白くこじれるような場所へなぜか辿り着いてしまいます。クリティカルすれば、GMの判断によって都合のよい場所に着いた事にしても構わないでしょう。
 居住している所や毎日通い詰めている所相互の移動については、判定にファンブルしないと道に迷う事はありません。セリーヌの場合「教会から自警団事務所に通う」のは構いませんが、「夜鳴鳥雑貨店に買い物に来たついでに、教会への帰り道にローレライに寄る」際には適用されません。
 なお、〈地域知識〉の取得は構いませんが、自分の位置関係を知るための判定には一切役に立ちません。《〜探知》を使っても距離は分かりません。

「好色/種別」(−5〜−10CP)
 「ハイティーンの女の子だけ」「ナイスミドルのおじさまだけ」「ショートカットの女の子だけ」「10代前半の可愛い男の子だけ(笑)」という、対象限定型の「好色」です。対象選択が社会的に好ましくないと見なされる場合には、「好色」だけではなく「嫌な行動」も取得しているとして扱って下さい(恐らくNPC専用ですが……)。
 同性愛者や両刀使いの場合には、「好色」とは別に「性的倒錯」として別に−5〜−10CPの取得が可能です。「好色」でない「性的倒錯」のキャラクターでも構いません。

「軽度の好色」(−5CP)
 「好色/種別」のバリエーションである、度合いが激しくない「好色」です。相手が「美人」「超美人」でも意思判定にペナルティを受けず、他のキャラに制止されればペナルティ無しの意思判定を行う事で引き下がれます。普通は「好色」の対象になる場合でも、性格の合わない相手に対してはこの特徴が働かない事にしても構いません。いわば普通の「強迫観念」の一種です。

「アルコール依存症」(−10CP)
 「アルコール中毒」より程度の弱い特徴で、通常の中毒と同じ扱いをします。

「強迫観念/孤独癖」(−5CP)
 他人と極力付き合わず、1人かせいぜい数人でいる事を好みます。多人数と関わり合う事を余儀なくさせられても、意思判定に成功しないと一切の能動的働き掛けが取れません。

「強迫観念/魔法偏愛」(−5CP)
 「魔法」その物に価値の中心を置き、物事を解決する手段には極力魔法を使います。魔法を使えない相手を蔑視する事はあまりありませんが、やはり魔法使いの方を好ましく感じる事は確かです。アイテムも品質はさておいて、魔法を使用した物を喜びます。
 この特徴を持つキャラクターのほとんどは、高レベルの「魔法の素質」の持ち主です。

「嫌な行動/所有観念の欠如」(−5CP)
 所有権への理解が乏しく、他人が所持している物でも自分が必要なら平気で取って行きます(「盗み」とは考えていません。金銭的価値には無頓着です)。貴重品でも所有者より自分が持っていた方が有効に使えると(勝手に)感じた場合は自分の物にしたがりますが、通常は力に頼って強奪したりはしません。いらないと思えば、それまで執着していた物もあっさりと元の所に返します。
 中世日本のように(窃盗は微量でも死刑!)所有権に対する考えの厳しい社会では、獲得できるCPと反応の−修正が更に増えます。「放火魔」なども同様に扱いますが、そのような特徴を持っているキャラクターはすぐに投獄、または処刑されてしまう可能性が高いでしょう(汗)。

「動物会話」(18CP)
 この特徴は、「動物共感」が前提になります。「百鬼夜翔」の[異類会話]に「魔法的でない知力2〜7の動物全てに有効(+50%)」の増強を行い、そこから「動物共感」分を差し引いた物と考えて下さい。PCがこの特徴を取得する際には、GMの許可を得て下さい。

「植物共感」(5CP)
「植物会話」(5/10CP) 前提:「植物共感」
 「動物共感」「動物会話」の植物版で、細かい点は両者に準じます。植物の知力は多年草で2、木で3〜4、動き回る植物で更に+1、霊木などは7として扱って下さい。「植物会話」は通常10CPの特徴ですが、魔法的な植物に効かない場合は5CPとして扱います。

「神出鬼没」(15/30CP)
 この特徴を持つキャラクターは、プレイ1回につき1回だけ話の舞台にいつでも現れる権利を持ちます(ただし当然ながら、牢屋に潜入しても独房を開ける事はできません。現れる権利を持つのは常に「話の舞台」でしかなく、その中で具体的な出現場所を選ぶ権利を持つのはGMです)。しかし15CPで取得している場合、50%の確率で行方不明となり話が次の場面に転換するまで何もできない上に、「方向感覚欠如」が発動した時と同様に適当な場所に飛ばされてしまいます。話が舞台転換する前なら自由に退場する事が可能ですが、それ以外では退場するためにこの能力を使う事はできません。

「自信喪失」(−10CP)
 自分の能力に自信がありません。自分の能力を発揮できるような場面でも、意思判定に成功しないと積極的な行動に移れないのです。
 この特徴を持っているキャラクターは、通常の反応が−1、高い実力を知っているキャラクターの反応が−2されます。「自信過剰」の持ち主との反応は、お互いに−2されます。

「嫉妬パワー」(−30CP)
 この特徴は「嫉妬」とは違い、むしろ「熱狂」に近い特徴です。この特徴の持ち主は「熱狂」をも凌駕する盲目的な崇拝を対象に捧げ、それを妨げる存在を全て排除しようと試みます。この際に理性は働いていないため、その行為が「熱狂」している対象の不興を買う可能性など全く考えていません。理性的な説得も全くの無駄です(ジョートショップの青年を露骨に敵視していた「1」時代のアルベルトや、2・26事件で政府首脳を殺害して天皇の不興を買った青年将校がこれに匹敵するでしょう)。そのため、この特徴を持つキャラクターに対する反応は−3されます。
 しかしその代償として、この特徴を持つキャラクターは「排除行為」に使う能力(具体的には能力値と12レベル以上の武器技能・一部の盗賊系技能・戦闘呪文)を上昇させるために注ぎ込むCPを2倍として計算する事が可能です。ただし目的を喪失した時、激しい脱力感と共に嫉妬パワーで獲得した力は失われます。それまでに2倍に計算されたCPは元の量に戻り、「嫉妬パワー」を能力値や技能を削る事により買い戻さなくてはいけません。
 この特徴はNPC専用で、PCが取得する事は望ましくありません。

「魔法不信」(30CP)
 この特徴の所持者は、「魔法の不信観測効果」という現象を引き起こします。不信観測効果とは「魔法は存在しない」と強く思い込む事により周囲の魔法を不安定にする能力であり、特徴を持つ者から「意思+素質」m以内ではマナを「疎」にする事が可能です。
 例:科学万能主義者で「魔法は存在しない」と頑なに主張するジェクスン博士は知力16で「意思の強さ」を3レベル、「魔法の素質」を1レベル持っているため、博士から20m以内ではマナが「疎」になります。魔法の品物もパワーレベル20以上でないと働かなくなるため、博士の周囲では魔法機器が大量に動作停止を起こす事でしょう。
 この特徴は前提として、「魔法の素質」を1レベル以上と「妄想/魔法は存在しない」「強迫観念/魔法憎悪」のどちらか1つ(−15CP)を獲得しなくてはいけません。当然ながらこの特徴の所持者は、魔法を扱う事は一切できません。
 この特徴はNPC専用で、PCが取得する事は望ましくありません。

「採寸の才能」(5CP)
 他人の体に一瞬接触して知力判定に成功するだけで、その体格を精密に判断する事ができます(笑)。この能力は同種族、及び体型の非常に似通った種族にのみ有効です。この特徴の所持者は、しばしば「人間メジャー」と呼ばれます。


〜技能〜

 追加技能や補足が必要な技能について、ここで少々注記します。

*「技能無し値からの成長」に関する選択ルール
 〈医師〉と〈診断〉〈手術〉〈毒物〉、〈演劇〉と〈演技〉〈吟遊詩人〉、〈絵画〉と〈書道〉のように、1つの技能に重点的にCPを注ぎ込む事によって効率的に技能判定の目標値を吊り上げられる組み合わせが存在します。ただしこうして引き上げた「技能無し値」は技能レベルそのものではないので、そこから更にCPを消費していないと「技能を修得している」のではなく単なる「見よう見まね」ですし、技能無し値から他の技能無し値を引き出す事もできません。しかし元となる技能レベルが高い場合、「技能無し値」から1レベル上げるだけでも4CPや8CP消費が必要になるのが苦しい所でしょう(特に難易度が「至難」の〈手術〉や肉体技能の〈書道〉)。
 そこで、最大でも1CP消費して「マーシャルアーツ」の「複数流派修得の際の基礎訓練の重複(P107参照)」分にあたる経験を積む事で、技能レベルの上昇に不足しても「技能無し値」と同じレベルで「技能を修得している」と見なすと良いかもしれません。

医学系技能
 〈応急処置〉に限り、異種族間のペナルティは完全に無視します。ただしその他の判定では、よく知らない種族とみなし−2のペナルティを加えて下さい(人間(影の民を含む)、エルフ、ヘザー、ヴァンパイア、魔族など生理機能がほぼ同一の種族ではペナルティ無し)。生理機能が全く違う種族(moo系にはいませんが、ルナルの爬虫人やグルグドゥ、フォーセリアのリザードマンやミュルミドン、グローランサのダックやエルフ等)の場合、専門化した技能でないと効果がありません。〈応急処置〉を除く専門化していない医学系技能は、「哺乳類種族」に専門化されていると見なします。もちろん、専門化した〈医師〉の技能レベルをそのまま専門外の種族への〈応急処置〉に使う事は可能です。

〈医師〉(精神/難)
 この世界では文明レベルが上昇しても、魔法や魔獣の絡む症状に対して薬草などの助けを得なくてはなりません。文明レベルが5以上でも、薬草に対する能力は失われません。

〈応急処置〉(精神/易)
 以下の表に、文明レベルと所要時間、回復量を記しておきます。妖精の特殊技能〈治癒術〉(種族紹介で後述)やルナル・コンバート時の〈本格処置〉〈上級処置〉〈本格処置〉も、所要時間と回復量を変動させて下さい。所要時間は応急処置と同様(本格処置は2倍)、回復量は文明レベル3と比較しての増加分をそのまま加えて下さい。例えば文明レベル6の〈本格処置〉は、所要時間40分・回復量1D+2点となります。

*応急処置表
TL2〜3
TL4(パーリア)
TL5
TL6〜7(エンフィールド、シープクレスト)
TL8
30分、1D−3点
30分、1D−2点
20分、1D−2点
20分、1D−1点
10分、1D点

〈経穴〉(精神/難) 技能無し値:なし …ガープス・マーシャルアーツ参照
 ツボに対する技術の戦闘的応用です。使用に際しては、まず〈格闘〉や〈空手〉などの適切な手段を用いて、部位狙い攻撃(通常の修正に加え−2)でダメージを及ぼして下さい(この際、「頑強」による防護点は計算に入れません)。それから〈経穴〉と相手の体力との即決勝負に勝てば、ダメージに加えてその部位に対する麻痺効果を与えられます。
 麻痺による効果は以下の通りです。
 ・腕・脚:5Dターンの間使えない。
 ・胴体:窒息開始。毎ターン体力判定を行い、成功すると回復。
 ・頭:気絶。回復するには知力判定の成功が必要。
 動物に使う場合には−6修正(〈動物学−2〉〈動植物知識−4〉の判定に成功すれば修正無し)、異種族に対しては生理機能の違いに応じた不利な修正を受けます(人間からエルフへは0、ライシアンへは−2、……)。


運動系技能

〈呼吸法〉(精神/至難)
 呼吸法は一部の奥義・覚醒能力に不可欠な技能でもあり、東洋風の色彩も濃い世界ですので、格闘家や魔術師(特に大陸東方)の間に広く使われています。「ルナルと合成」パターンでも信仰を問わず修得を可能にして下さい。

〈ランニング〉(肉体/難) 生命力基準
 ルナル世界と同様に、移動力の上昇に従って「よけ」も上昇します。GMの判断次第では、水中種族や飛翔種族の水中・空中移動時にも移動力と「よけ」にボーナスを与えて構いません。ただし移動力に倍率が掛かる場合には、倍率を掛けてから上昇分の移動力を足して下さい。
 〈ランニング〉で水中・空中移動にボーナスが付くのを望ましく思わない場合は、働く場所が違うだけでデータが同じ〈スイミング〉〈フライング〉を追加してもいいですが、データが煩瑣になるためお勧めしません(汗)。

〈強打〉(精神/難) 技能無し値:なし …ガープス・マーシャルアーツ参照
 瞬間的に筋力を引き出すための技能です。「20−技能レベル(最低1)」ターンの集中を行い意思判定(〈強打〉技能判定ではありません!)に成功すれば、直後の攻撃、物体の移動、跳躍などの体力を2倍として扱う事が可能です。ただし無生物以外に攻撃を行う場合は、通常の物に加えて目標値に−5のペナルティを与えます。
 この技能で瞬間的に筋力を引き出すと、その度に1D点ずつ疲労します。
*「マーシャルアーツ」とは違い、技能レベルが21レベル以上でも体力を3倍にする事はできず、攻撃の命中率も低下します。

〈砕打〉(精神/難) 技能無し値:なし …ガープス・マーシャルアーツ参照
 物体の弱点を見抜く技能です。「20−技能レベル(最低1)」ターンの集中を行い技能判定に成功すれば、HPの1割のダメージで対象となる無生物を破壊できます。鎧や生物には効きません。
*「マーシャルアーツ」(のマンガ世界)とは異なり、鎧を貫く効果も対象物による技能修正も存在しません。

〈蹴り〉(肉体/難) 技能無し値:なし
 足で物を蹴る時に役立つ技能です。〈投げ〉を基本的に参照しますが、重い物を高く蹴り上げる事はできないという事を覚えておいて下さい。サッカーや蹴鞠などで役に立ちます。

〈水泳〉(肉体/易)
 「ベーシック完訳版」P122〜123にある通り、自分から水中に入れば+3の修正を受ける事と、荷重レベルの倍のマイナス修正を受ける事を忘れないで下さい。

〈荷重水泳〉(肉体/難) 技能無し値:なし、前提:〈水泳〉
 〈水泳〉と併用して、泳ぎ始める際に判定に成功すれば荷重による不利な修正を無視する事ができます。水に入る際に失敗しても、5分毎に再判定する事が可能です。判定は〈水泳〉技能の判定の前に予め行って下さい。

〈発声〉(肉体/易) 生命力基準 技能無し値:生命力
 大きな声を上げるための技能です。軍の伝令やアイドル歌手、「オーフェン」シリーズの音声魔術士には必須の技能でしょう(笑)。「美声」があると技能レベルに+2されます。


学術系技能

〈神秘学〉(精神/並)
 moo系世界では魔法が実在するので、魔術系技能として扱われます。「組曲」の平行世界ではあやふやな知識しか伝えられていないので、学術系技能のままですが。

〈錬金術〉(精神/至難)
 学術系技能に含まれますが、応用範囲の広さとCP消費の高さを考えて「専門化」を禁止します。ルナルとコンバートする場合の〈錬丹術〉〈精製〉なども同様です。
 この世界の錬金術は「普通の」学問であり、調合表も違法な物を除いては広く流布しています。0.5〜1CP(知力14で10〜11レベル)程度なら、多くの医師や薬剤師、化学者がかじっている事でしょう。文明レベル6以上では技術の改良により、霊薬を一度に作れる量が4倍になります(同時作成のペナルティは、作成量を1/4(端数切り上げ)にして計算して下さい)。一度に1個しか作らない場合、技能レベルに+1されます。

〈動物学〉(精神/難)
〈植物学〉(精神/難)
 生態系の一部なので、動物・植物系の魔物に関する知識もこれで判定できます。それ以外の魔物に関しては〈神秘学〉を使って下さい。〈動植物知識〉より知識が詳細なので、成功度が大きな場合にはデータの全てを熟知していて構わないでしょう。知らない生物の性質推定も、〈動物学〉〈植物学〉でないと不可能な行為です。

〈異種族学〉(精神/難)
 人間と付き合いがありメンタリティも近い種族に対して、〈外交〉〈商人〉〈戦術〉等を行う際には判定は不要です。メンタリティの掛け離れたヘザーやオーガー、ドラゴン等と交渉する際にも、思考パターンの違いによりGMが設定したペナルティを帳消しにできるだけです。

〈技師/魔法機械〉(精神/難)(TL5〜) 前提:神秘学or魔法理論
 魔法を使用した機械を設計・製造・開発するための技能です。魔法動力プロセッサを扱う際にもこの技能を使いますが、元は機械的な魔法装置を扱うための技能でした。

〈コンピュータ・プログラミング〉(精神/難)(TL5〜)
〈コンピュータ・ハッキング〉(精神/至難)(TL7〜)
 この世界のコンピューターはプロセッサの魔法エネルギー(マナ)を使用しているため、通常の世界の同名技能はレベルに−5修正を受けてしまいます。
 また、〈コンピュータ・プログラミング〉を取得している魔法使いは、自分の使用できる魔法をコンピュータに使わせるプログラムを作成可能です(状況や要求に応じて最低でも−5のペナルティを受け、〈〜・プログラミング〉と使用させる魔法のどちらか低い方のレベルで判定しなくてはいけません)。これと〈〜・ハッキング〉を併用するとサイバーテロも行えてしまうため、コンピューター・ネットの拡大を進めるための障害となっています(プロセッサの疲労点が足りないと魔法が発動しないので、大型コンピューターでもない限り大魔法が発動する危険は考えられませんが。通常のパソコン用プロセッサの疲労点はせいぜい1〜2点です)。

〈原子物理学〉(精神/至難)
 この世界ではマナが濃密過ぎて、通常の核反応が起こりません。そのためいくら文明レベルが上がろうと、この技能は決して存在しません。

〈調査〉(精神/並)
 あらゆる学術系技能を、その専門に限って−2して技能無し値として使える事は忘れないようにして下さい(「ベーシック完訳版」P74参照)。

〈神学〉(精神/難)及び〈哲学〉(精神/難)
 現世と全く同じ思想が存在する訳ではない事に注意して下さい。例えば大陸南方北部の神学は一神教的ですがキリスト教やイスラム教とは違い輪廻を認めていますし(ドルーズ派と同じですが)、社会主義思想はあっても無神論や唯物史観は存在しません(「無神論」は「妄想」扱いです。エンフィールドやシープクレストなら変な目で見られるだけで済みますが)。
 ルナル世界と合成して遊ぶ際には、そのままの形で使えない事にくれぐれも注意して下さい。教義はルナルのリアド大陸の物を基本的に使います。
 合成して遊ばない場合、以下の種別への自発的専門化が可能です。
※以上の説明と以下の教派説明は便宜的な物です。ゲーム本編にはあまり準拠はしていません。

〈神学/教会〉
 至高神(一般には「神」とのみ呼ばれます)を崇めその存在の証である世界を愛する事を教義の中心に置き、大陸のみならず世界各地に広まっている教会の教えで、「世界の無限性」と「世界に遍く広がる光芒」を示す十字を象徴としています(宗派により形状が微妙に異なります)。他の宗教との習合や複合信仰も一般的で、他宗派や他宗教との争いはあまり見られません。その起源は非常に古く、分かっている限りでも太古の時代にまで遡ります。イメージとしてはキリスト教、特に現代のカトリック辺りを連想して下さい(あくまでもイメージで、教義的にはゾロアスター教の方が幾分近いかもしれませんが)。
 また教会に留まらず、この世界のほとんどの宗派は(江戸時代の国学者や「星界」シリーズのアーヴと同じく)「机上の理論や理想の強制は悪の温床」という考えを持っており、この事が世界全体における哲学の全体的な低調を招いています。
…〈神学/教会/南方教会〉
 大陸南方系の教会に自発的専門化した技能です。南方教会は「王国」の中部沿岸部に総本山を持つため、大戦の影響をほとんど受けませんでした。教義は教会系でも一般的な物であり、分派活動も穏健な物に留まっています。教圏は「政府」の全土と「連邦」及び東方の沿岸地帯です。紛争地帯では別系統の教会が存在します。
…〈神学/教会/北方教会〉
 大陸北方系の教会に自発的専門化した技能です。北方教会は元々中心地を持たず国単位で割拠しており、大戦とそれに続く混乱で上層部の大半が失われた事もあり分派活動や異端も頻発しています。教会系宗派としては不寛容な傾向も強く、沿海地域を除くと他の地域の教会ともほとんど関係を持っていません。
〈神学/寺院〉
 大陸東方を中心に広まる宗教です。「存在の相互の結び付き」と「全ての存在の輪廻」を中心に説き、世界全ての救済を目指します。宗派間の違いはその際の方法論による物であり、割と内省的な教えでもあるため外部対立もあまり見られません。イメージとしては日本仏教、特に浄土系や禅系の宗派に近いものです。
〈神学/神殿〉
 大陸南方南部や東岸の諸島で信奉されますが、祭る神毎に教えも異なるため異教徒にはなかなか理解できません。しかし基本的には、「清浄」であり「正直」である事を理想としています。イメージは神道に近い感じですが、南方南部の物は幾分毛色が違います。
〈神学/影の民〉
 影の民の宗教です。教義は寺院の物に似ていますが、霊に対する宗教的概念がかなり複雑なものとなっています。真言宗に近い感じをイメージして下さい。
〈神学/精霊信仰〉
 名前の通りの精霊信仰で、世界の各地に点在しています。
〈神学/悪魔崇拝〉
 見ての通りの、悪魔を崇拝して望みを叶えようという邪悪な物です。ルナルの〈悪魔〉教団やエルスフィアの降魔教団ほど恐ろしい存在ではないとはいえ、あらゆる社会で禁止されてきました。そのため時代や地域によって、その内実はかなりばらつきが存在します。
〈哲学/無神論〉
 神聖魔法の存在するこの世界で「神は存在しない」と主張する、リアリティの存在しない思想です。この思想を信奉(=自発的専門化)するには、「妄想」を−10〜−15CP分取得する必要があります。
〈哲学/社会主義〉
 社会全体の調和を重んじる、現世の社会民主主義に近い思想です。この世界には無政府主義や共産主義は存在しません。

〈天文学〉(精神/難)
 天体の配置が魔法的な影響を及ぼす事のあるこの世界では、〈占星術〉の要素も文明レベルが上がっても失われません。特に皆既月蝕(死霊系のマナが「濃密」)や皆既日蝕(全てのマナが「超濃密」)の予測は、天文学者に要求される最重要事項です。

〈物理学〉(精神/難)
 物理現象への魔力の影響も合わせて学びます。しかし魔法的現象の解明には〈魔法理論〉を使って下さい。


技術系技能

〈機械工/種別〉(精神/並)
 専門化の対象に、以下の物を追加します。
  灯火機関(ガソリン・エンジンに近い物です)/魔法機械(機械その物が魔力を導き出して直接動きます)/魔法動力プロセッサ(魔力を汲み上げて熱や電気に変えます)
 また、この世界では内燃機関が初期段階でプロセッサに敗れて淘汰された事に気を付けて下さい。文明レベル7では内燃機関は一切存在しません。

〈調理〉(精神/易)
 新鮮な素材への嗜好の強い世界であるため、文明レベルとは無関係に獲物を捌く際に使う事が可能です。ただし慣れていなければ、−1〜−5程度までの不利な修正を受けます。


芸術系技能

〈吟遊詩人〉(精神/並)
 「演説」により聴衆を惹き付けるには、この技能を用います(「ベーシック完訳版」参照。〈話術〉とでも呼ぶべきかもしれませんが)。

〈作詞〉(精神/並)
 音楽に歌詞を付ける際にも、この技能は有効です。ただし〈楽器〉や〈歌唱〉による修正が、言語による不利な修正と同じく加算されます。

〈書道〉(肉体/並)
 この技能はいわゆる「能書」やレタリング、アラビア書道に関する技能です。禅僧の書のような巧拙より精神性を重んじた書を書きたい場合は、〈絵画〉で判定を行って下さい。

〈写真術〉(精神/並)
 魔法式の初歩的な速写カメラである「フォート」もこれで扱えますが、普通のカメラに慣れた者がこれを使うと「馴染みのないカメラ」として扱われます(逆もまた真ですが)。

〈音楽指揮〉(精神/難)
 〈楽器〉の一種として扱われる、オーケストラ指揮用の技能です。

〈盆栽〉(精神/並) 技能無し値:知力−5、植物学−5
 モーリスやゼファーが使用する趣味系技能です。魔法盆栽を作る場合は別に、〈神秘学〉や〈錬金術〉の助けを必要とします。通常の園芸は〈農業〉〈植物学〉で行います。


言語系技能

〈大陸語〉(精神/並) 技能無し値:諸島語−5、セリーヌ大陸語−5
 「大陸」の共通語で、種族を問わず使用されています。かなりの方言差があり、地域により表記に使う文字や文法の微妙な点、綴りの慣用などがかなり違うため、見た事のない地方の方言に遭遇した際には〈大陸語〉の判定を行い、失敗すると失敗度に応じて内容を理解できなくなります。
 例:エンフィールド出身のパティの出した宿帳に、東方出身のリサが署名をしました。パティの〈大陸語〉技能(母語なので知力と同じ12レベル)で判定して3Dの出目は14。+2の失敗なので、発音を間違えて読んでしまいます(この場合は、すぐに本人が訂正してくれますが)。

〈連邦語〉(精神/並) 技能無し値:他の大陸語方言−1〜−5(南方北部方言との差は−2)
 シープクレストの所属する連邦の共通語です(ルール的には大陸語南方南部方言として扱われます)。やはり種族を越えて使用されており、ヘザーや魔物も使います。

〈諸島語〉(精神/並) 技能無し値:大陸語−5
 大陸の近くにある巨大な諸島国家(「組曲」の悠久学園の所在地)の言語で、大陸語と共通する語彙や文字を持っています。一部の島の少数民族や大陸系移民は固有言語を持っていますが、ほぼ確実に諸島語と併用しています。

〈多々良語〉(精神/並)
 南洋に浮かぶ魔獣の島、多々良島で使われる言語です。更に南にある大陸の言語の系統を引くとも言われ、大陸語との互換性はありません。

〈セリーヌ大陸語〉(精神/並) 技能無し値:大陸語−5
 エンフィールド編の時代に発見されたセリーヌ大陸の言語で、大陸語とある程度の互換性が存在します。

他の大陸の言語(精神/並〜難)
 他の大陸の言語ですが、大陸語と大差の無い言語から非常に掛け離れた言語まで千差万別です。

〈大陸古語〉(精神/並) 技能無し値:大陸語−3
 魔法王タナトスの時代の大陸語で、現代大陸語の祖先です。この時代は更に方言間の格差が大きく、大半の方言を理解する際には大きな−修正が課せられます。

〈地方古語/種別〉(精神/並〜至難) 技能無し値:大陸語の特定方言−3〜−10(現代語に要素が引き継がれた言語があり、キャラクターがその要素を持つ方言を母語とする場合)
 タナトスの時代の地方語や、それ以前に使用された言語です。

〈諸島古語〉(精神/並) 技能無し値:諸島語−3
 諸島国の中央地域の古語です。

〈オダナイト語〉(精神/至難)
 現在は廃れた魔法記述用言語です。魔法を使用する際の呪文とは関係ありません(呪文は精神集中の手段でしかなく、「お師匠様のバカーっ!」でも「おやつはプディング!」でも構わないのです(笑)。普通の魔法使いは大陸古語や現代大陸語の文語を使います)。

〈ジェクリ語〉(精神/並)
 大都ジェクリと周辺地域(徒歩50日以上の範囲に及びますが……)で使用される言語です。
 〈ダーヴァルザン語〉〈カーゼルーン語〉〈ツェンバルン語〉〈パーツィ語〉〈ウォール語〉(全て精神/並)もありますが、相互に−3修正で通用します。

〈カシミ語〉(精神/並)
〈チコ語〉(精神/並)
〈セハ語〉(精神/並)
 古代に使われていた言語(の一部)です。特に難しい言語ではありません。

〈イルム・ザーン語〉(精神/至難)
 超太古のイルム・ザーンで使われていた言語です。言語概念が掛け離れ過ぎており、一般人には到底理解できません。


社会系技能

〈性的魅力〉(精神/並) 生命力が基準
 「ベーシック完訳版」において、有利な容貌による修正値は2倍されなくなりました。ご注意下さい。

〈戦略/種別〉(精神/難)
 陸戦/海戦・水上戦/市街戦の3つが存在します。ゲリラ戦を行う際には全く予知していない相手の〈戦略〉に−1〜−5修正を与える事ができますが、戦線を秩序立った維持ができなくなるため出目が14以上でファンブルとして扱われます!


車輛系技能

〈運転/種別〉(肉体/並)
 専門化の対象に、以下の物を追加します。
  鉄道車輛(蒸気機関)/鉄道車輛(プロセッサ−熱変換)/鉄道車輛(プロセッサ−電気変換)/鉄道車輛(プロセッサ直結)

〈動力ボート〉(肉体/並)
 〈モーターボート〉と同じ技能ですが、この世界ではモーターではなくプロセッサをエネルギー源とするため名称を変更します。


趣味系技能

〈ポージング〉(肉体/並) 技能無し値:体力−5、体力基準
 筋肉質の肉体をポーズを取ってアピールする「漢」の技能です。敵対的判定の代わりに使って相手を威嚇したり、辻試合やコンテストで喝采を浴びたりできるでしょう。
 体力が13に満たない場合、不足分だけ技能レベルにペナルティを受けます。固太りになれる軽度の「肥満」は障害になりませんが、中度以上の「肥満」や「やせっぽち」の特徴を持つ者はこの技能を取得できず、技能無し値で試みる事すら出来ません。


戦闘系技能

 「ルナル」に登場する格闘動作から、イメージの合いそうな物のデータを選んで採用しても構いません。「流派」の扱いはルナルと同じで、武器技能が12レベル以上あれば格闘動作を取得可能です。もっとも、動作が強過ぎると魔法の存在意義が減少してしまうので控え目にした方がいいでしょう。キャラクター1人、格闘技能1つあたり格闘動作2つくらいを限度として考えて下さい。
 【フェイント】の限界は+2として扱われ(〈杖〉は例外として+4)、【射撃受け】【強化〜】は存在しません。〈射撃受け〉は独立技能として取得可能です。

〈射撃受け〉(肉体/難) 技能無し値:なし …ガープス・ルナル参照
 剣、杖、槍といった、「大型だが取り回しも利く」手持ち武器を使って射撃武器を「受け」る技能です。技能レベルの半分を「受け」の数値として、下記の修正を加えて下さい。
 (GMの判断次第では、杖やフェンシング武器のような「受け」の数値の高い武器では〈射撃受け〉でも「受け」が高くなる事にして構いません。というかそうでないと、moo系世界では戦士系キャラの場合「よけ」に対して見劣りし過ぎます)
  手投げ斧、投げ槍などの大型投擲武器…+4
  ナイフ、手裏剣などの小型投擲武器…+2
  矢…0
  弩の太矢、吹き矢…−5
  弾丸、ビーム…不可能
  射撃呪文…0(カルシファード・ブレードと同じ扱い。「魔法の素質」を持たないと不可能な上に、受けてから意思判定に成功しないと命中したものとみなす!)

〈格闘〉(肉体/易)
 「間に合わせの武器」(「ベーシック完訳版」P134参照)は、これ以外の技能では使えません。ダメージに+2される大型の「間に合わせの武器」で「受け」たり「受け」られたりした場合、基本的に「間に合わせの武器」が破損しますが使用者の手・腕にはダメージは及びません。また、ブラス・ナックル(「ベーシック完訳版」P149参照)は文明レベル5以降で入手が可能になります。
 *ブラス・ナックル
 パンチのダメージを増加させるための武器ですが、一般的な物ではありません。装備していると指を自由に動かせないため、この世界では鍵開けやロープワーク、17レベル以下の呪文の使用などが阻害されます。
 叩き/突き、長さ格闘〜1、30G、0.5kg、価格と重量は1組分(両手に1つずつ)、準備に2ターン

〈空手〉(肉体/難)
 moo系世界では、〈剣術〉や〈槍術〉などと併用される事があります。武器を片手で持ち、逆腕でも「受け」を行うためです。また、以下のような手足をガードする武具も存在しています。これらの武具はどの素手戦闘用技能でも使用が可能ですが、武器ダメージに対する抵抗力は以下の通りになります。
  〈空手〉〈柔道〉、その他の武器技能判定に−4の修正を与える技能…アイテムデータの記述通り、「受け」られても、絶対にダメージは及ばない。
  〈ボクシング〉〈格闘〉、その他の武器技能判定に不利な修正を与えない技能、及び素手戦闘技能を何も持たない場合…相手の武器技能判定に−5修正を与えるだけ。
 なおグローブやブーツは、スケイル・アーマーまでの鎧、及び文明レベル6以降の全ての身体防具と同時に装備が可能です。
 *コンバット・グローブ
 鉄片や鋼線で強化を施した、手首までを包む戦闘用グローブです。頑丈ですが見た目はそれほどでもなく、手先の作業にペナルティを受ける事はありません。
 叩き/突き−1+技能による追加ダメージ、長さ格闘〜1、100G、1kg、必要体力−、武器に「受け」を行われた際にダメージを受けない、価格と重量は2つ1組分
 *コンバット・ブーツ
 鉄片や鋼線で強化を施した、足首までを包む戦闘用ブーツです。
 叩き/突き+1+技能による追加ダメージ、長さ格闘〜1、200G、2kg、必要体力−、武器に「受け」を行われた際にダメージを受けない、価格と重量は2つ1組分

〈柔道〉(肉体/難)
 moo系世界では生半可な防御や搦め手よりも力押しが好まれるため、対人戦闘を想定している治安組織や犯罪組織を除くと柔術使いは多くありません(魔物相手に向かない戦闘法だという事もありますが)。せめてもの強化策として、【腕関節技】を技能無し値で使えるようにする事も検討するべきでしょう。

〈クローク〉(肉体/並)
 「ベーシック完訳版」には価格が記されていませんが(笑)、「マーシャルアーツ完訳版」に書かれている通り、ヘビー・クロークは$50、ライト・クロークは$20です。またクロークは、種類を問わず1点の防護点を持ちます。
 なお「ルナルと合成」パターンの場合は〈クローク〉技能は存在しませんが、〈シャストアのマント〉技能でクロークを使う事が可能です。

〈シャストアのマント〉(肉体/並) …ガープス・ルナル参照
 「ルナルと合成」パターンの時だけ存在します。マハノチはこの世界にいないので、マントの材料はドラゴンの革です(壮マハノチ/老マハノチマントはそれぞれ、上質と最高品質のマントとして扱われます。上質の場合は通常の10倍の価格(2500G)で入手できますが、最高品質の物は滅多な事では手に入りません)。
 また、この技能でライト・クロークやヘビー・クロークを使う事も可能です。

〈剣術〉(肉体/並) 技能無し値:敏捷力−5、短剣術−2
 普通の剣を、この世界独特の技法で振るうための技能です。両手で剣を持つか片手に剣、片手に何も持たないかのどちらかで荷重が「軽荷」以下なら、「受け」が技能レベルの3分の2になります(「受け」の回数は1回のままですが、片手持ちなら〈格闘〉〈空手〉を使い逆腕で「受け」をもう1回行う事が可能です)。使用する剣は片手用・両手用を問いませんが、グレート・ソードはあまり使われません。なお格闘動作【片手振るい】を所持していれば、バスタード・ソードを片手で使用しても非準備状態にはなりません。ただしこの技能の使い手が盾を使用すると、動きがぎごちなくなり技能に−2(ラージシールドなら−4)の修正を受けます。クロークはこの制限に含まれません。

〈刀〉(肉体/並) 技能無し値:敏捷力−5 …ガープス・マーシャルアーツ及びガープス・ルナル参照
 刀を行使する技能です。「ガープス・ルナル」のカルシファード・ブレードと同じように扱いますが、強度も普通の剣と変わりませんし、特殊な構造が災いして入手も困難です。しかし刀のバランスが良いので、逆腕に何も持たず格闘動作【片手振るい】を所持していれば片手持ちでも「受け」の数値が低下する事はありませんし、攻撃に使っても準備状態のままです。
 余談ですが刀と剣、短刀・脇差と短剣は、相互に−2のペナルティを受けて使用する事が可能です。しかしこの場合、〈刀〉の「受け」回数増加の特典は得られません。
 *刀
 通常の刀です。
 切り/振り+3(片手は+2)、長さ1〜2、600G、2.5kg、必要体力10、片手/両手用
 刺し/突き+3(片手は+2)、長さ1
 *短刀
 カルシファードの影タマットが使う影刃に似た、短い造りの刀です。
 切り/振り+2(片手は+1)、長さ1〜2、600G、2kg、必要体力9、片手/両手用
 刺し/突き+2(片手は+1)、長さ1
 *脇差
 短い型の刀で、護身用や補助武器に使われます。
 切り/振り+1、長さ1、$300、1kg、必要体力9、片手用
 刺し/突き+1、長さ格闘〜1、格闘距離では技能修正が(通常の−2ではなく)−4
 *棒
 〈刀〉技能でも小型クラブやクォータースタッフ相当の長い棒を振り回せます。データは〈剣〉及び〈両手剣〉使用時を参照して下さい。

【片手振るい/種別】(1CP)
 一種の特徴として扱う特殊な格闘動作で、この動作を修得していれば「片手で攻撃すると非準備状態になる」バスタード・ソードや刀を片手で使っても準備状態が崩れなくなります。元となる技能が12レベル以上無いと、この格闘動作は修得できません。

〈短剣術〉(肉体/並) 技能無し値:敏捷力−5、剣術−2
 〈剣術〉とほぼ同様ですが、使用する武器は短剣です。

〈ナイフ〉(肉体/易)
〈ナイフ投げ〉(肉体/易)
 忍者が使用する手裏剣と、バネ仕掛けで刀身を射出可能なナイフを追加します。ルナル世界と合成して遊ぶ場合には、前者は赤の月信者の一部、後者はタマット信者のみの装備となります。
 *手裏剣
 投げてダメージを与える金属製の刃物で、威嚇用として主に使われます。手裏剣によるフェイントを選択した場合、投げる側の射撃目標値と相手の知力で即決勝負を行い、投げた側が勝てば直後のターンに行う攻撃への防御にペナルティを与えられます(当然ながら、負けると相手の防御にボーナスを与えてしまいます)。
 *(普通の手裏剣)
 価格が半分になる他は、データは各種ナイフと同じです。手持ち武器として使う事も可能ですが、切り付けて使用する事はできません。使い捨て武器であるため、高品質の物はまず存在しません。
 *(十字型や星型の手裏剣)
 手裏剣の変種です。投げないと使えない上にダメージが「切り」になりますが、フェイントの際には+2のボーナスを得ます。忍者以外が使うチャクラム(戦輪)やカードも含みます。
 *スプリング・ナイフ
 柄にバネが仕込まれており、ボタンを押すと弾けて刀身を打ち出します。データは大型ナイフの物を使いますが、射撃のバランスの安定により命中判定に+2され、刀身が飛び出す事を知らない相手の能動防御に−4のペナルティを与えます。ただし射程とダメージの基準になる体力はナイフのバネに左右されます。普通に投げる事も可能です。暗殺者だけでなく傭兵も使う事があるので、これを持っていても反応にマイナス修正を受けたりはしません。価格は200Gで、替えの刀身は40Gで購入できます。

〈ナイフ受け〉(肉体/易) 技能無し値:なし、前提:ナイフ、前提技能より高いレベルにはできない …ガープス・マーシャルアーツの〈マンゴーシュ〉参照
 利き腕で武器(ナイフや短剣、フェンシング武器)を使いながら、逆腕でナイフを防御に使う技能です。この技能があれば、1ターンに1回、技能レベルの3分の2で「受け」を行う事が可能です(使用するのはナイフですが、〈ナイフ〉で使用した場合とは違って−1の修正は受けません。逆腕でも不利な修正を受けません)。荷重は「軽荷」以下でなくてはなりません。この技能では攻撃は不可能です。

〈槍術〉(肉体/並) 技能無し値:敏捷力−5、杖−2(〈槍術〉を−2して〈杖〉の技能無し値にする事も可能)
 普通の槍を、この世界独特の技法で振るうための技能です。両手で槍を持つか片手に槍、片手に何も持たないかのどちらかで荷重が「軽荷」以下なら、「受け」が技能レベルの3分の2になります。ただしこの技能の使い手が盾を使用すると、動きがぎごちなくなり技能に−2(ラージシールドなら−4)の修正を受けます。クロークはこの制限に含まれません。また、両手で持ったスピアを振り回して「叩き/振り+2」点のダメージを与える事も可能です(長さは杖のデータに準じて下さい)。槍を投げる際にこの技能は使えません。杖をこの技能で振るうのも可能ですが、この場合には「並荷」以上では「受け」の数値が低下してしまいます。
 また、鉤槍をデータに追加します。
 *鉤槍
 穂先の手元寄りに鉤の付いた槍です。〈槍術〉技能で用いた場合、近接戦闘を行わずに「倒し」「押さえこみ」(「ベーシック完訳版」P147〜148参照)を行う事が可能です。「倒し」の基準値には体力、敏捷力、〈槍術〉のどれかを用いて下さい。
 データは通常のスピアと同じですが、鉤の価格と重量(40G、1kg)が追加されます。手で持って使う際に技能レベルに修正は受けませんが、投げる際には−2の修正を受けます。鉤槍を使い慣れないキャラクターも、慣れるまでは−2の修正を受けます。なおこの武器は小人数の戦闘用で、軍隊で使われる事はありません。

〈剣〉(肉体/並)
〈両手剣〉(肉体/並)
〈短剣〉(肉体/並)
〈槍〉(肉体/並)
 これらの技能は、盾を使わない戦法に特化した進化した上記の技能があるために一般には使われません。あえて〈盾〉〈バックラー〉を使う事にするか、技能をあまりきちんと学んでいない雑魚でない限り、これらの技能を取得する事はないでしょう。

〈盾〉〈バックラー〉(肉体/易)
 moo系世界では、軍の兵士以外にはあまり盾は使われません。しかしスモール・シールドやミディアム・シールドと同じ性能を持つ大型バックラー(〈バックラー〉で扱う。「GURPS Swashbucklers」参照)は、稀に使われる事があります。

〈斧・メイス〉(肉体/並)
 スタン・ハンマーを追加します(ルナルのデータ使用時は、ジェスタとリャノの信者専用にして下さい)。また、「マーシャルアーツ」のデータから鎌の採用も可能です。
 *スタン・ハンマー
 打撃部分がゴムで出来た、スタン・ボールと同様の効果を与える武器です。構造が普通のメイスと違うため魔化しなくても技能判定で構え直せますが、〈準備/斧・メイス〉ではなく〈準備/スタン・ハンマー〉を使って下さい。
 叩き/振り+2、長さ1、準備に1ターン、300G、2kg、必要体力9、片手用
 *鎌(シックル)
 片手用の鎌です(両手用はサイズ。〈ポールアーム〉で使用するグレイヴは形状がやや異なる)。ルナルのデータ使用時には《素早い斧》で魔化も可能です(価格は700Gになります)。
 切り/振り+2、長さ1〜2※、準備に1ターン、70G、1.5kg、必要体力11、片手用

〈両手斧・メイス〉(肉体/並)
 戦闘用サイズを追加します。
 *戦闘用サイズ
 「ベーシック完訳版」の武器表に存在するサイズ(両手用の鎌)を、戦闘用に強化した物です。ルナルのデータ使用時には《素早い斧》で魔化も可能です(価格は1500Gになります)。
 切り/振り+3、長さ1〜2※、準備に1ターン、150G、3kg、必要体力12、両手用
 刺し/振り+1、長さ1〜2※、準備に1ターン、突き刺さる

〈準備/スタン・ハンマー〉(肉体/並) 技能無し値:なし
 スタン・ハンマーを素早く構えるための技能です。通常の斧やメイス、パリイング・ハンマーを構え直す事はできません。

〈斧投げ〉(肉体/易)
 「ガープス・アラビアン・ナイト」P67・68にメイスの投擲使用について記されていましたので、ここにデータを記します。価格や重量については「ベーシック完訳版」を参照して下さい。
 *小型メイス
 叩き/振り+2、抜撃11、正確さ1、半致傷「体力」、最大射程「体力×1.5」
 *メイス
 叩き/振り+3、抜撃12、正確さ1、半致傷「体力×0.5」、最大射程「体力」

〈杖〉(肉体/難)
 〈槍術〉と比べて不利に見えますが、「並荷」以上の場合の防御にはこちらの方が有利です。槍の使い手でも幾許かのCPを消費しておいて損は無いでしょう。
 また、「マーシャルアーツ」から鉄棒をデータに追加します。
 *鉄棒
 鋼鉄で全体を強化した、人の背丈以上の長さを持つ杖です。普通の杖とは違い、魔法を使うキャラクターが所持している事は滅多にありません。
 叩き/振り+3、長さ1〜2、100G、5kg、必要体力13
 叩き/突き+2、長さ2

〈短杖〉(精神/難) 技能無し値:敏捷力−5、杖−2、〈杖〉の技能無し値に〈短杖〉−2を追加 …ガープス・マーシャルアーツ参照
 片手持ちの棒を扱う技能で、「受け」が技能レベルの3分の2になります。
 *バトン
 短剣と同じ技能で扱える軽い棍棒です。データは「ベーシック完訳版」と同一ですので省略します。

〈杖投げ〉(肉体/易)
 「GURPS Low-Tech」によると、Throwing Stick(投げ棒)の価格は$10だそうです。しかし通常のPCは使わないでしょう……多分。

〈剣投げ〉(肉体/易) 技能無し値:敏捷力−4
 片手で使える剣を投げてダメージを与える技能です。ダメージは片手使用時と同じで「突き」限定、抜撃13、正確さ+1、半致傷「体力×1/2」、射程「体力」です。
 この技能は極めて特殊な部類に入り、一般的な技ではありません。あくまでも「意表を突く」技である事もあり、リアリティを考えるならばこの技能に大量のCPを注ぎ込むべきではないでしょう。

〈強制準備/種別〉(肉体/難) 技能無し値:なし
 普通では〈準備〉技能を使えない接近戦武器(フレイル、ポールアーム……)に使用して、強引に準備状態にする技能です。判定に成功するごとに1ターンずつ準備時間を短縮できますが、1ターンに1回しか試みる事はできません(つまり、準備に2ターン掛かるハルバードの「振り」攻撃は判定に成功しても準備行動の2ターン目を1ターン費やして行い、結果として準備時間は1ターンとなる)。
 この技能を使った際に失敗すると1点、ファンブルすると1D点疲労します。

〈ポールアーム〉(肉体/並)
 下記の長槍、及び薙刀をデータに追加します。長槍は携帯に不便で「受け」も難しく、護身用に向いていないせいで一般ではあまり利用をされていません。ほとんど軍隊専用です。
 *長槍
 2m以上の長さの柄の先に、通常より長い槍の穂先とやや細身で幅広の斧の頭を付けた武器です。データはハルバードに準じますが、ピックの部分が無いため「刺し/振り」ダメージが「叩き/振り」ダメージに変更されるのと、掠め切るのに適した構造によって斧が与える「切り/振り」ダメージを−1する代わりに準備時間を1秒にする事ができるのが違いです。
 切り/振り+4、長さ2〜3※、準備に1ターン、150G、6kg、必要体力13、両手用
 叩き/振り+4、長さ2〜3※、準備に1ターン
 刺し/突き+3、長さ1〜3※、準備に1ターン
 *薙刀
 「ベーシック完訳版」の武器表に存在するグレイヴ(サイズとは別の草刈鎌型武器)と比べて準備時間が短い、刀にやや似た穂先を持つ長柄武器です。
 ちなみに上質の薙刀を入手する際、データは上質の刀に準じて価格4倍で上質(ダメージ+1)、20倍で最高品質(ダメージ+2)の物が入手可能です。
 切り/振り+3、長さ2〜3※、攻撃後の準備不要、400G、4kg、必要体力11、両手用
 刺し/突き+3、長さ1〜3※、準備に1ターン

〈鎖〉(肉体/難) 技能無し値:敏捷力−5、フレイル−2 …ガープス・マーシャルアーツ参照
 長く、重い鎖を扱う技術です、逆腕で保持して利き腕で投げ付ける事と準備時間が1ヘクスにつき1ターン・巻き戻すのに2ターン掛かる点を除いてはルナルの九節鞭に準じます。
 絡み取らずにダメージを与えるだけなら、〈フレイル〉技能そのままで判定を行う事が可能です。
 *鎖
 長さが身長の倍はある鎖です。
 叩き/振り+2、長さ1〜4※、準備に長さと同じターン、70G、2.5kg、必要体力11、両手用
 絡み付き、長さ1〜4

〈ワイヤー〉(肉体/難) 技能無し値:なし
 普通のワイヤー(投げ縄としても使用可能)ではなく、暗殺用の特殊なワイヤーを扱う技能です。
 *ワイヤー
 暗殺術に用いる、細くて切れ味の良い金属製のワイヤーです。投げ縄(「ベーシック完訳版」P87・88参照)と同様に絡め付かせ、同時に部位を限定せず絞首具(「ルナル完全版」P68参照)と同じ「切り/突き」ダメージを与える事が可能です。ワイヤーを黒く処理する事もあり、そのような場合、光の乏しい所(視覚判定に−3以下)では視覚判定に成功しないと能動防御する事はできません。使用する際に手を守る防具は不要です。
 鞭のように用いて「切り/振り」ダメージを与える事も可能です。この場合は「受け」に−4、「止め」に−2されます。
 両手で持てばワイヤーは「受け」に使う事も可能で、目標値は技能レベルの半分になります。また、素手・素足にダメージを与える際の技能判定にも+4されます。
 切り/振り、長さ1〜4、準備に1ターン、50G、0.5kg、必要体力7、最大致傷1D+2、両手用
 絡み付き、長さ1〜4

〈準備/ワイヤー〉(肉体/易)
 ワイヤーを素早く取り出す際や、攻撃に用いたワイヤーを素早く引き戻す際に用いる技能です。

〈弓矢〉(肉体/難)
 力の強いキャラクターは、張りの強いロングボウを使用できます。必要体力13でダメージと最大致傷を+1、15で+2して下さい。その他の数値や価格は変わりませんが、矢をつがえにくくなるため〈準備/矢〉にダメージ増加の2倍のペナルティ(必要体力13で−2、15で−4)を受けます。
 *魔力の矢
 使用者が魔力(=魔法の素質)を持つ場合に限り、魔力を帯びた攻撃でないと傷付かない敵にもダメージを与えられます。価格は通常の矢の5倍です。

〈弩〉(肉体/易)
 小型のピストル・クロスボウと、連発式クロスボウのデータを追加します。
 *ピストル・クロスボウ
 小型のクロスボウです。ダメージは小さいですが、片手で射撃が可能という利点が存在します。
 刺し/突き+2、抜撃12、正確さ5、半致傷体×15、最大射程体×20、2kg、必要体力7、150G、片手用
 *連発式クロスボウ
 弾倉に矢を装填し、射撃の度に自動的に矢を番える機能を備えています。
 刺し/突き+2、抜撃12、正確さ5、半致傷体×15、最大射程体×20、5kg、1ターンに1発、弾数5、必要体力9、反動−2、500G、両手用

〈黒色火薬銃〉(肉体/易) 知力10〜11で+1、12〜で+2
 文明レベル3の末期に登場したハンドガンと、文明レベル4の段階で使用された火縄銃や燧石銃を使用するための技能です(歯輪銃はコストが高く実用化されていません)。ですのでパーリアやエンフィールド、シープクレストでは普通は見られない技能です。
 *ハンドガン
 初歩的な銃器で、三河地方の手筒花火を金属にしたような形……簡単に言うと単なる「弾丸を発射する金属の筒」という形をしています。射撃が簡単で使いやすいですが発射速度が遅く精度も悪いため、即座に弓矢を圧倒するには至りませんでした。
 叩き/2D−1、抜撃16、正確さ1、半致傷75、最大射程450、4kg、20ターンに1発、弾数1、必要体力12、反動−3、200G、両手用
 *火縄銃
 データは「ベーシック完訳版」のマスケット銃に準じます(ただしダメージ3D、正確さは3です)。射撃速度を20ターンに1発に変更しますが(火薬の工夫などで射撃速度を短縮できます)、何も準備をしていない状況では準備に60ターン掛かってしまいます。火種や《発火》の呪文、黄燐マッチを用意していなければ更に準備時間が掛かるでしょう。雨が降ると射程が落ちるか、もしくは射撃が不可能になります(しかもこの状態では、弓矢も弦が緩んで悪条件は同じでしょう)。
 叩き/3D、抜撃18、正確さ3、半致傷100、最大射程600、5kg、20(60)ターンに1発、弾数1、必要体力12、反動−2、400G、両手用
 *燧石銃
 データは「ベーシック完訳版」のマスケット銃に準じます。射撃時の火打石によるぶれが大きいため、正確さは火縄銃より低くなっています。歯輪銃もデータ的には同じになりますが、正確さが3になる代わりに機構が複雑なため価格は2倍、修理の際の判定にも−3されてしまいます。
 叩き/4D、抜撃18、正確さ2、半致傷100、最大射程600、5kg、20ターンに1発、弾数1、必要体力12、反動−2、400G、両手用
 *燧石短銃
 データは「ベーシック完訳版」のフリントロック短銃に準じます。
 叩き/2D-1、抜撃11、正確さ1、半致傷75、最大射程467、1.5kg、20ターンに1発、弾数1、必要体力10、反動−1、200G、片手用
 *弾薬
 銃弾と火薬のセットで、別々に籠めるのが普通です。価格は20発あたり40Gですが、弾丸は〈武器屋〉〈黒色火薬銃〉で自作する事も可能です(鉛を買って鋳造して下さい。火薬は〈爆発物〉で作成しますが、冒険中には不可能です)。3点の《発火》を装填済みの銃に掛けられた場合、持ち主の知力による抵抗に失敗すると爆発します(〈黒色火薬銃〉を持たないキャラクターの場合、「目標が見えない」と見なして呪文の判定に−5の修正を受けます)。

〈銃器〉(肉体/易) 知力10〜11で+1、12〜で+2
 「ベーシック完訳版」には様々な銃器が載っていますが、基本的な銃器のみを挙げておきます。基本的な物から性能の増減を行い価格を決めるオプションルールを自前で作るのも良いでしょう。なお実際の使用時には、半致傷より遠くの目標に向けて撃つ事はまずありません。
 *リボルバー(TL5)
 文明レベル5相当のリボルバーで、治安関係者やガードマンが所持しています。護身用や暗殺用にも使われました。
 叩き/2D、抜撃10、正確さ2、半致傷100、最大射程1000、1.5kg、1ターンに1発、弾数6、必要体力10、反動−1、150G、片手用
 *リボルバー/オートマチック・ピストル(TL6)
 文明レベル6相当のリボルバー、またはオートマチック・ピストルです。この段階に至ると人間社会から魔物の脅威が遠のき、一般人は武器を所持しないのが普通になっています。
 叩き/2D、抜撃10、正確さ3、半致傷120、最大射程1200、1.5kg、1ターンに1発、弾数6、必要体力9、反動−1、200G、片手用
 *魔法オートマチック・ピストル(TL7)
 自然科学と魔法学双方の技術により作られた代物です。しかし射撃には魔力(=魔法の素質)が必要であり、開発されたにも関わらず軍や特殊部隊以外には普及していません。
 叩き/2D、抜撃10、正確さ4、半致傷180、最大射程1800、1.5kg、1ターンに1発、弾数-、必要体力9、反動−1、500G、「魔力を帯びた攻撃」として扱う、エネルギーを1点消費すれば持ち続ける限り弾は不要、片手用
 *ライフル銃(TL5)
 文明レベル5相当のライフルで、軍人や猟師が主に使います。元込め式であり、装填する際に立ち上がる必要はありません。TL5初期の滑空式銃(銃身に溝が無い)は250Gで入手できますが、正確さは3に、射程は半分になります。
 叩き/4D、抜撃15、正確さ5、半致傷700、最大射程2100、4kg、4ターンに1発、弾数1、必要体力11、反動−2、300G、両手用
 *ライフル銃(TL6)
 文明レベル6相当のライフルです。文明レベル7に至っても、魔法能力者以外はこれを愛用しています(この世界はマナとの関係で、通常の銃器を文明レベル7以上にできません)。
 叩き/4D、抜撃14、正確さ7、半致傷1000、最大射程3000、4kg、1ターンに1発、弾数10、必要体力10、反動−2、400G、両手用
 *魔法ライフル銃(TL7)
 射撃に魔力が必要なライフルです。やはり普及は停滞しています。
 叩き/4D、抜撃12、正確さ10、半致傷1400、最大射程4200、4kg、1ターンに1発、弾数-、必要体力10、反動−2、1000G、「魔力を帯びた攻撃」として扱う、エネルギーを2点消費すれば持ち続ける限り弾は不要、両手用
 *弾薬
 銃弾と火薬のセットで、黒色火薬銃とは違って薬莢に収まっています。価格は20発あたりリボルバーやピストル用は20G、ライフル用は30Gです。徹甲弾(致傷力2倍、修正0.5倍、価格3倍)やホロウ・ポイント弾(致傷力0.5倍、修正2倍、価格1.5倍)もありますが、まず一般では入手できません。3点の《発火》を装填済みの銃に掛けられた場合、持ち主の知力による抵抗に失敗すると爆発します(〈銃器〉を持たないキャラクターの場合、「目標が見えない」と見なして呪文の判定に−5の修正を受けます)。
 余談ですが、「ベーシック完訳版」のP267に記してある弾薬の価格はちょっと安過ぎます(ピストルの弾丸が1個20セントというのは何ですか一体)。ですので1本2ドルである矢をモデルとして用いて、銃弾が再利用できない事も考慮に入れて価格の「100発あたり」を「20発あたり」(つまり価格を1/5)に読み替えてみました。
 *魔力弾
 使用者が魔力を持つ場合に限り、魔力を帯びた攻撃でないと傷付かない敵にもダメージを与えられます。ルール的には銀の弾と同じ扱いで、価格は通常の弾の10倍です。徹甲弾やホロウ・ポイント弾の魔力弾などという物は存在しません。
 *銃剣
 元込め式の長銃の先端に取り付けるタイプの武器で、短い槍のように扱います。40G、0.5kg、ダメージは刺し/突き+2で、両手で銃身を持って使用します(攻撃には〈槍術〉を使って下さい)。銃剣で重い武器を「受け」た場合、3kg以上なら銃剣が、6kg以上なら銃身が壊れる可能性があります。
――――――――――
 *特殊な銃器
 現実世界に存在した奇妙な銃器ほどではありませんが、この世界にも特殊な銃器は存在するはずです。そのほとんどが実験的な物か特殊用途向けであるため一般には手に入らず、ほぼ確実に利点を上回る欠点を持ち(そうでなかったら量産されているはずです)、構造が不安定なためファンブル率が通常より高くなる(出目が16や15でもファンブル!)という厄介な代物ですが。
 *格闘用拳銃(TL5)
 弾倉が銃身代わりになっているリボルバーで、格闘用に丈を切り詰めたせいで射程が犠牲になっています。近接戦闘時にも武器攻撃による−2の修正(「ベーシック完訳版」P149サイドバー参照)を受けませんが、通常の銃器よりファンブル率が1つ増加します(出目が16以上でファンブル、目標値が16以上でも出目が17以上でファンブル)。
 叩き/2D、抜撃10、正確さ0、半致傷20、最大射程100、1kg、1ターンに1発、弾数6、必要体力10、反動−1、150G、片手用
 *拳銃用銃剣(TL5)
 格闘用拳銃に取り付けるための銃剣です(普通の拳銃は銃剣の装着を想定していません)。40G、0.5kg、ダメージは刺し/突きで、拳銃を握ったまま使用します(攻撃には〈ナイフ〉を使って下さい)。拳銃用銃剣で重い武器を「受け」た場合、1.5kg以上なら銃剣が、3kg以上なら銃身が壊れる可能性があります。
 *掌拳銃(TL5)
 本体が掌に収まるサイズの円盤状の拳銃で、握るようにして引金を引く動作から「レモン絞り」とも呼ばれます。射程も短くダメージも小さいですが、簡単に隠し持てるため護身用や暗殺用に用いられます。やはりこの銃も、通常の銃器よりファンブル率が1つ増加します。
 叩き/2D−2、抜撃11、正確さ1、半致傷50、最大射程200、1kg、1ターンに1発、弾数6、必要体力9、反動−2、300G、片手用
 *ソード・ピストル(TL5)
 剣(片手持ちが可能な剣のみ)の柄に銃身を仕込み、鍔に隠した引き金を引いて発射する単発式の銃です。ファンブル率は変わりませんが、面倒な装填方法が災いして再装填に通常の2倍の時間が掛かります。
 叩き/2D+1、抜撃13、正確さ0、半致傷80、最大射程400、軽い、1ターンに1発、弾数1、必要体力10、反動−1、+200G、片手用
 *麻酔銃(TL5〜)
 麻酔薬を撃ち込むための長銃で、データはライフル銃に準じますが射程は半分になり、ダメージは常に「叩き」の1点となります。ただし「防護点を貫通したか」を判定するために、「仮のダメージ」を1Dで判定して下さい(ただし、クリティカルすればヘビー・レザーまでの鎧を自動的に貫通します)。価格は通常のライフル銃の2倍ですが、ファンブル率が増加する事はありません。
 *麻酔弾
 麻酔銃に使う弾丸で、命中した衝撃により相手の体内に麻酔薬を注入します。価格は1発で(生命力判定に与える不利な修正(0〜5)+1)Gです。

〈砲術/魔法兵器〉(肉体/並)
 魔道砲ファランクスから降魔荷電粒子砲に至るまで、様々な非個人用魔法兵器を扱うための技能です。管制装置により正確さのボーナスを得られますが、修正の上限が使用者の技能レベルだというルールは忘れないようにして下さい。


専門技能

〈雑用〉(精神/特殊、4CP/L) 技能無し値:各能力値
 雑用一般を判定する技能です。雑用の成功判定には能力値をそのまま使いますが、この技能を取得していれば消費CPに見合っただけ基準値が上昇します。特徴その他による修正があるなら、その基準値から上乗せして上下させて下さい。
 この技能による「基準値」の中でも最大のものの上限は、取得している普通の技能(魔法や超能力は含みません)の中で最大のレベルのものと同一です(レベル計算の際には、特徴によるボーナスやペナルティは常時働く物だけを考慮に入れて下さい)。仕事の判定に限り他の技能の技能無し値代わりにも使えますが、この「技能無し値」はいくら高くても技能のCP消費には関係してきません。
 余談ですが、この消費CPは「精神/至難、技能無し値=各能力値」の技能をレベルアップさせる場合と同じです。
 例:ジョートショップの青年は筋力13、敏捷力15、知力14、生命力12ですが、〈雑用〉に12CP消費しているため基準値を3点上昇させ、雑用の際には筋力16、敏捷力18、知力17、生命力15とみなして下さい。技能レベルの最も高い〈剣術〉が20レベルなので、〈雑用〉はあと2レベル上昇できます。

〈掃除・洗濯〉(精神/並) 技能無し値:知力−3
 部屋や庭の掃除、そして衣服の洗濯をする技能です。家の中の整理整頓もこの技能で行います。

〈裁縫〉(精神/並) 技能無し値:知力−5
 服の作成や編み物、人形の繕いまでをこなす技能です。

〈菓子作成〉(精神/並) 技能無し値:知力−5、調理−3
 ケーキや羊羹など、お菓子の作成用の技能です。〈調理〉とは違い、効果的な盛り付けや店頭での並べ方、季節に合った材料の使い方までとことん追求した技能です。

〈醸造〉(精神/並) 技能無し値:知力−5、調理−5
 お酒を作るための技能です。材料や発酵に必要な菌の知識、醸造の手順、保存法などに関して理解できます。カクテルやお酒を使ったお菓子などは〈調理〉の分野です。

〈コンピュータ操作〉(精神/易)(TL7〜)
 この世界のコンピューターはプロセッサの魔法エネルギー(マナ)を使用していますが、他の世界の普通のコンピューターに慣れた者がこの技能を使ってもペナルティを受けません。

〈装丁〉(精神/並) 技能無し値:知力−5、絵画−2(本のデザインのみ)
 本の装丁やデザイン、修復を行う技能です。図書館や博物館などの専門職でない限りさほど役には立たないでしょう。


超能力系技能
 moo系世界に超能力は存在しません(「感情察知」「危険察知」は除きます)。もし異世界で超能力を取得していても、この世界で用いる場合は1点疲労して、しかも相手は知力で抵抗が可能です。

〈精神防御〉(精神/並)
 moo系世界では魔術系技能の一種です。《感情感知》《読心》に対しても使えますが、「今考えている事」ではなく記憶その物を探られる《精神探査》を防ぐ役には全く立ちません。


盗賊系技能

〈忍び〉(肉体/並)
 「ベーシック」に記されている通り、技能判定には荷重分不利な修正が掛かります。くれぐれも忘れないで下さい。
 また、接近して狩猟を行うにもこの技能は必須です。

〈尋問〉(精神/並)
 ヘザーの特殊技能に〈拷問〉があります。決して混同しないように(とはいっても、いかにヘザーとはいえPCに〈拷問〉を取得させるプレイヤーとは即座に縁を切るべきですが)。
 また、くすぐりは「肉体的な脅し」として扱います。しかし捕虜の笑い声を何とかしない限り、他の敵に見付かる危険性のある事を忘れないで下さい。

〈毒物〉(精神/難)
 人間相手に毒物を扱う事は嫌われており、暗殺などにも武器と魔法だけが使われる事がほとんどです。《透明》《瞬間移動》《幻覚》で接近してから《べたべた》《目くらまし》《誘眠》で無力化して、《口封じ》《沈黙》で断末魔を上げさせなければ完璧ですし、《魅了》を使えば自殺と区別が付きません。生まれつき毒を持つ種族でもない限り、せいぜい麻酔薬か睡眠薬くらいしか使わないでしょう。〈調理〉−3や〈礼儀作法〉−3も技能無し値としては使えません。


動物系技能

〈乗馬/種別〉(肉体/並)
 専門化していない場合は馬(ロバ含む)に専門化していると見なします。それ以外の動物には〈騎乗〉と呼んだ方が良いでしょう。また、動物がキャラクターに馴れていれば+5の修正を受けるという事も忘れないで下さい。知性を持つ種族に騎乗する場合、「動物共感」のボーナスは得られません。
 moo系世界では、乗馬戦闘は一般的な物ではありません。戦争でも下馬するか、せいぜい機動力を活かしながら弓矢や元込め式ライフルで射撃を行うくらいです。手持ち武器を馬上で、しかも両手で使用して命中判定に失敗した場合は敏捷力判定を行い、失敗すると落馬して2m転落した際のダメージを受けます。ファンブルすると頭から転落します。

〈獣医〉(精神/難)
 動物型の魔獣にもこの技能は使えます。しかし知力8以上の「知的な」種族には、「動物共感」のボーナス+4は無効です。


魔術系技能

〈神秘学〉(精神/並)
 魔法の作用から魔物、超常現象に至るまで、あらゆる基礎的な魔法的知識の元となる技能です。ルナルやその他の魔法の存在する世界と同様にこの技能は非常に重要ですが、より厳密さを求めたい場合には〈魔法理論〉を採用して下さい。
 この技能は、〈技師/魔法機械〉の前提技能でもあります。

〈魔法理論〉(精神/至難) 魔法の素質分+修正、技能無し値:知力+「魔法の素質」−6 …ガープス・グリモア参照
 魔法の実在する世界における理論的な知識です。〈神秘学〉の雑駁とした知識とは違ってきちんと体系化されており、新しい魔法の研究や手持ちの魔法で障害を乗り越える方法などの答も導き出す事が可能です。もっとも全ての魔法使いがこれを理解している訳でなく(〈技師〉がなくても車を乗り回せるのと一緒です)、専門的な研究者に限られている世界が多いと思われますが……。

〈呪文射撃/種別〉(肉体/易)
〈呪文噴射〉(肉体/易)
〈魔法の息〉(肉体/易)
 この3つの技能のレベルには、銃器と同じく知力10〜11で+1、12以上で+2のボーナスが得られます。


野外系技能

〈動植物知識〉(精神/難)
 生態系の一部なので、動物・植物系の魔物に関する知識もこれで判定できます。それ以外の魔物に関しては〈神秘学〉を使って下さい。
 また、詳しいデータや知られていなかった生物の性質推定は〈動物学〉〈植物学〉でないと行えません。

〈植物使役〉(精神/難)
 動く植物を調教して、扱うための技能です(細かい点は〈動物使役〉に準じて下さい)。調教できる植物が少ないため一般的な技能ではなく、GMの許可を得ない限り取得できません。

〈狩猟〉
 1つの技能で処理するには、かなり幅広い内容を持っています。獲物を捕獲するための〈生存/種別〉〈忍び〉〈偽装〉〈ネット〉〈投げ縄〉〈毒物〉〈槍投げ〉〈弓矢〉〈銃器〉、肉を取るための〈調理〉、解体用の〈動物学〉、革なめしや骨の彫刻に使う〈革細工〉〈彫刻〉、薬用部分を精製する〈医師〉などなどです。川や海で行う〈漁業〉に関しても同じように考えて下さい。

〈釣り〉(精神/易)
 大規模な漁業にも応用が可能ですが、漁法に応じて〈ネット〉〈槍〉〈槍投げ〉〈砲術/銛〉〈生存/島・海岸〉〈潜水〉〈毒物〉〈動物使役〉〈ボート〉〈動力ボート〉〈船乗り〉〈航法〉〈動植物知識〉〈動物学〉などなども修得して下さい。漁法に必要な技能を所持していないと、不足度に応じてGMが任意に定めるペナルティを受けるか操業が完全に不可能になります。

〈生存/種別〉(精神/並)
 物理法則の違いにより「放射能汚染地」は種別として存在しません。代わりに以下の物が存在します。「魔法汚染地」に関しては技能無し値は使えません。
  海/川・湖/空中/廃墟・遺跡/魔法汚染地/その他特殊環境


〜魔法ルール〜
 
#「ベーシック」「マジック」における魔法関連の重大な修正#

マナの「濃密」状態:「ベーシック完訳版」P186〜187
 ×魔法使いなら、エネルギーを消費せずにかけることができます!
  ↓
 ○魔術師なら、消費したエネルギーはすぐに回復します!
  *正確にはこの場合も「マジック完訳版」と同じく、「(素質の有無に関わらず)魔法使いなら、〜」でしょう。

抵抗呪文の最大目標値:「ベーシック完訳版」P191〜192、「マジック完訳版」P13
 ×目標が生物の場合、このときの目標値は最大でも16になります。
  ↓
 ○目標が生物の場合、目標値の上限は「16」と「抵抗する側の目標値」のうちどちらか高いほうになります。
  *オーガーやトロールでも、これで《足止め》が可能になります(笑)。

 基本的に、魔法ルールは一般的な物を使います。ルーン魔法は存在しませんが、GMが許可した場合に限り即席呪文が存在します。「ルナル」のルールを併用している場合に新しい魔法をこれで開発した場合、神殿に申告して呪文ランクを制定してもらう必要があります(双子の月の場合は入信者/神官/高司祭からいずれかに。高司祭共通呪文に含めるか、信仰の特殊呪文にするか否かも決めておくように)。ただし信仰対象の司るものと相反したり他の信仰の特殊呪文と類似した即席呪文の使用は非常に困難で、目標値に−10以上のペナルティを受け、その種の呪文をCPを消費して修得する事も禁じられています。
 moo系世界には様々な魔法が存在しますが、詳細は下の項目に譲ります。

*(1)魔法致傷力(選択ルール)
 ダメージ系魔法のダメージ基準として、「知力+魔法の素質」を体力とみなして算出した「魔法致傷力」を使用します。例えば知力14で「魔法の素質3レベル」のキャラクターなら、「突き」が1D+2点、「振り」が3D−1点になるのです。なお集中に必要な時間は、射撃呪文では1段階につき1秒です(つまり4倍消費は3段階目なので、集中には3秒掛かります)。
 エネルギーの消費量とダメージの関係は、以下の通りです。
  基本エネルギー:突き±ダメージ修正
  2倍消費:振り±(ダメージ修正×2)
  4倍消費:突き+振り±(ダメージ修正×4)、「マジック完訳版」で4倍消費が認められる呪文のみ
 つまり前述のキャラクターの《電光》は、1点消費で叩き/1D+1、2点消費で叩き/3D−3点のダメージを与えます。4点消費して叩き/4D−3点にする事はできません。
 このルールは魔法が強力な世界に相応しいため、導入する事が世界観に相応しいか十分に考慮して下さい。moo系世界では基本的に採用が可能です。
 例1:知力15、素質3レベルのマリアの場合は、体力18の場合の基本致傷力が1D+2/3Dなので、《電光》が1点では叩き/1D+1、2点では叩き/3D-2になります。
 例2:知力12、素質2レベルのパティの《死の手》は、体力14の場合の基本致傷力が1D/2Dなので、1点消費で1D点、2点消費では2D点のダメージを防護点を無視して与えます。
 例3:知力18、素質3レベルの魔術師組合の長の《石弾》は、体力21の基本致傷力(2D/4D)を基準にして叩き/2D+1や叩き/4D+2という御無体極まるダメージを与えます。ダメージの低い《脱水》でも、2D-2点や4D-4点という数値です。
 例4:知力10のピートが《火球》の魔法アイテムを使っても、叩き/1D-2や叩き/1Dしかダメージを与えられません。

*(2)回復呪文のペナルティ軽減(選択ルール)
 《小治癒》などの治癒魔法は、複数使用時のペナルティーは1回につき−1だけです。自分に掛ける際のペナルティも適用されませんが、その際にHPを消費する事はできません(HPを消費して掛ける場合、通常通りのペナルティが目標値に加わります)。

*(2')回復呪文に対する魔法致傷力の適用(選択ルール)
 《小治癒》は3点消費で「突き−2(最低1点)」の回復力を、《大治癒》は2点消費で「突き−2(最低1点)」・4点消費で「突き+2(最低2点)」の回復力を発揮します。

*(3)パワーストーンに関するルール
 パワーストーンが宝石でなくより安価な貴石で作られる事が多いため(普通は翡翠や瑪瑙、琥珀、トルコ石、ガーネット、緑柱石、水晶など)、これらの物の使用に魔法の素質は不要ですが代わりに重量が10倍になります(それでも1点あたり10カラット(5g)だけですが……)。稀に自然の魔力が貴石の塊を変質させて1000点単位のパワーストーンに変化させている事があり、そのような物は熾烈な争奪戦を演じられる事になります。


#魔法系統について

 この世界には様々な魔法が存在します。その流派と筆者が勝手に作った(笑)詳細は以下の通りです。

*古代魔法(UQ・PB)
 魔法王タナトスによって体系化される以前の魔法で、系統論なども発達しておらず高度な魔法も存在していませんでした(突発的に進化したが後世に伝えられなかった一部を除く)。場所や時代によっても様々ですが、基本は「マジック完訳版」とさほど変わりません。この時代には“現代”には廃れたルーン魔法や使い魔作成技術も一部に存在したそうです。

*物理魔法/神聖魔法/精霊魔法(EM)
 タナトスの世界統一の数百年前から、パーリアなどで使われた魔法系統です。システム的に共通する点が多いため、まとめて「三相魔法」と呼ばれる事もあります。呪文も共用する形で修得できますが、厳密には以下のような違いがあります。
 ・物理魔法…物理的エネルギーや物質を操作する。
  →精霊系(副系統全てを含む)、光/闇系、物体操作系、音声系、食料系、幻覚・作成系(、エネルギー系)
  注意事項:なし。
 ・神聖魔法…術者の霊的エネルギーを世界に直結させて事象変換を行う。
  →情報伝達系、治癒系、知識系、光/闇系、死霊系、防御/警戒系
  注意事項:なし。
 ・精霊魔法…周囲の霊的エネルギーを引き出して効果を得る。
  →動物系、肉体操作系、情報伝達系、精霊系(副系統全てを含む)、光/闇系、精神操作系、植物系、移動系、音声系
  注意事項:周囲の自然環境に影響を受けやすく、地水火風の四大元素の影響に応じて±1〜5程度の修正を(目標値にではなく)技能レベルに受ける。
 《体力賦与》《体力回復》、魔化系、呪文操作系は、いかなる系統でも「その系統の呪文」と見なして使用が可能です。

*物理魔法/神聖魔法/精霊魔法/錬金魔法(UQ)
 上記の3系統を元にタナトスが基礎を作り上げた魔法系統で、まとめて「四相魔法」とも呼ばれます。汎用性の広さと簡易なシステム、そして威力の強さのために、“現代”に至っても様々な改良を受け続け、「大陸」では南方南部や一部の辺境を除く全域で使われています(もちろん「大陸」の外、たとえばセリーヌ大陸でも)。やはり呪文も共用できますが、厳密には様々な違いを持ちます。
 ・物理魔法…物理的エネルギーを操作する。
  →精霊系(副系統全てを含む)、光/闇系、物体操作系、音声系(、エネルギー系)
  注意事項:なし。
 ・神聖魔法…術者の霊的エネルギーを世界に直結させて事象変換を行う。
  →情報伝達系、治癒系、知識系、光/闇系、死霊系、防御/警戒系
  注意事項:「邪悪」な存在は「神聖」な呪文(主に《大治癒》から派生する治癒呪文やアンデッドにダメージを与える呪文)を修得できない。「聖職者」であれば、HPを呪文のエネルギーに消費しても技能レベルにペナルティを受けない。その他にも様々な秘儀が存在するそうだが詳細は不明。
 ・精霊魔法…周囲の霊的エネルギーを引き出して効果を得る。
  →動物系、肉体操作系、情報伝達系、精霊系(副系統全てを含む)、光/闇系、精神操作系、植物系、移動系(、時空間系)、音声系
  注意事項:周囲の自然環境に影響を受けやすく、地水火風の四大元素の影響に応じて±1〜5程度の修正を(目標値にではなく)技能レベルに受ける。
 ・錬金魔法…物質の組成を操作する。元は物理魔法から分割。
  →精霊系(副系統全てを含む)、食料系、幻覚・作成系、物体操作系(、化学技術系、放射能系)、移動系(の時空間系のみ)
  注意事項:なし。
 《体力賦与》《体力回復》、魔化系、呪文操作系は、いかなる系統でも「その系統の呪文」と見なして使用が可能です。

*元素魔法(PB)
 「大陸」の南方南部で独自の発達を遂げた魔法系統です。精霊系や魔化系呪文(特にプロセッサの元となった《エネルギー変換》)の発達で知られていますが、他にも様々な特殊技巧を発達させている事はあまり知られていません。
 元素魔法は以下の4つに大別されますが、呪文は共用する事が可能です。ただし全ての元素魔法は、マナの濃度に関わらず「魔法の素質」がないと使用が不可能です。元素魔法は精霊魔法とは違い、周囲の自然環境には基本的に影響を受けません。
 ・火の魔法→肉体操作系、幻覚系(作成系は含まない)、火霊系、光/闇系、物体操作系(、エネルギー系、放射能系)
 ・風の魔法→情報伝達系、精神操作系、風霊系(、電光系)、移動系(、時空間系)、音声系
 ・水の魔法→肉体操作系、食料系、治癒系、幻覚・作成系、水霊系(、氷系、酸系)、光/闇系
 ・地の魔法→精神操作系、治癒系、地霊系(、酸系)、物体操作系(、エネルギー系、科学技術系)、死霊系、防御/警戒系
 ・無属性→《体力賦与》《体力回復》、魔化系、呪文操作系
 元素魔法の術者は技能レベルが上昇しても自動的な消費エネルギー・準備時間の減少は起こりませんが(詠唱動作の省略だけは行えます)、技能レベル12以上の呪文に対して「技能レベルと消費エネルギー・準備時間を交換する」(「マジック完訳版」P133参照)のオプションと同様の物を、「技能レベル」を全て「目標値」に読み替えて使用可能です(一見どちらでも変わりないような気がしますが、目標値が下がっただけでは技能レベルは変わりません)。しかも準備時間を1秒未満にする事も可能で、そうした呪文は「準備時間不要」と見なします。また、「消費エネルギーの減少」は発動のみならず維持の際にも影響を及ぼします。
 例1:フローネは《大治癒》を17レベルで修得しています。戦闘中に5ヘクス離れていたルシードがダメージを受け《大治癒》を掛ける際に、「目標値−3・準備時間半減」する事を選択して、ルシードの隣接ヘクスまで4ヘクス移動してから瞬間で発動させる事にしました。これなら(17-3-1=)13以下で発動可能であり、その場で「踏み出して集中」を行った際と目標値そのものは変わりませんが、発動速度が速い分手遅れになる危険はなくなります。なおエネルギーは自動的には減らせないので、4点そのままを消耗します。
 目標値を下げてコストを減らす方には制限はありませんが、時間を掛けてボーナスを得る方には呪文の技能レベルに応じて以下の制限が課されます。
  〜11レベル:「技能レベルと消費エネルギー・準備時間を交換する」の全てのオプションが使用不可。
  12〜14レベル:準備時間2倍(ボーナス1点)まで。
  15〜17レベル:準備時間4倍(ボーナス2点)まで。
  18〜20レベル:準備時間8倍(ボーナス3点)まで。
  21〜24レベル:準備時間16倍(ボーナス4点)まで。
  25〜29レベル:準備時間32倍(ボーナス5点)まで。
  以下5レベル毎:更に準備時間の限界に×2、ボーナスに+1。
 例2:バーシアは戦闘前に《盾》(15レベル)を5点分自分に掛けようとします。準備時間に4倍掛けて更に目標値に−3する事でエネルギー消費を3点減らし、目標値12・エネルギー消費7点で呪文を発動させます(もし戦闘が長引いても、エネルギー消費2点だけで更なる維持が可能です)。呪文の動作は指先と小さな声だけで済むため、扉の向こうの敵に聞こえる心配はありません。また、《盾》に対して《呪文除去》が掛けられても抵抗の目標値は15のままです。
 これらの技術は自分が修得している呪文を使う場合にのみ有効で、《巻物》や《封呪石》、マジックアイテムを介して呪文を使う場合には適用できません。儀式との併用は可能ですが、あらかじめ電子計算機と計算用紙と筆記具を手元に用意した方がいいでしょう。


#魔術師と法(「マジック完訳版」P131サイドバーより)

 魔法の合法度の例として、サイドバーでは「有益(誰でも使える)」「制限(免許所有者のみが使える)」「規制(政府などの関係者しか使えない)」「禁止(特別許可が無い限り禁止)」の4つを挙げています。ルナル世界の場合なら信仰呪文が様々な段階の「規制」、それ以外が「禁止」にあたるでしょう。以下に、エンフィールドやシープクレストでの規制基準を示します。

〈エンフィールド〉
 一応全ての魔法が「制限」以上となりますが、食料系や治癒系、精霊系の危険性の無い魔法を免許所有者以外が使う事は特に規制されてはいません。届け出をして免許さえ得ていれば、かなり危険な戦闘用魔法であっても自由に修得が可能です。
 もっとも、精神操作系の永続する魔法や死霊系の各種召喚、「マジック」に掲載されていない高度な時空間系などの魔法は魔術師組合から許可を受けないと使用は違法であり(マリアはエンフィールド学園で魔法を学んでいるので、使っても違法ではありません……)、悪魔召喚や奴隷化などの特に危険な魔法は使用が厳禁されています(例えば悪魔召喚の場合、処罰は200年の石化刑です)。

〈シープクレスト〉
 全ての魔法が「制限」以上であり、たとえ無害な魔法や治癒魔法でも免許無しで使った時点で魔法条例違反として罰金刑(10〜100G程度)を受けます。戦闘呪文も大半が「規制」ランクに属しており、修得を許可されていても使用の際には改めての許可が必要です。「禁止」の範囲はエンフィールドと変わりません(もっとも、破られた所で普通の役所では対処しようが無いのですが(汗))。

 では以下に、各系統に対して(人間の、しかも素質もなく呪文も使えない)一般人がどう見ているかを記しておきましょう。

動物:動物の多い地域ではごく普通に捉えています。大都市では存在すらあまり意識されていません。
肉体操作:戦闘用呪文が多いため、一般人からは恐怖の目で見られがちです。
情報伝達:《思考転送》は情報伝達の頼みの綱ですが、《読心》《憑依》などは好意的には見られません。
食料:《毒化》以外は概ね好まれています。
治癒:基本的に好意的ですが、《老化停止》《若返り》は一般人には嫌悪されがちです。
幻覚・作成:犯罪者に時折使われるとして嫌われる事がありますが、一般には娯楽として許容しています。
知識:大半が一般人の理解の範疇外です。
地霊・風霊・火霊・水霊:あまり危険視されていません。実際は凶悪な呪文も多いのですが、そこまで一般人は知らないようです(笑)。
光/闇:《透明》を使う暗殺者が危険視されますが、それ以外は別に何もありません。《闇視》《鷹目》を使う狙撃手の方が本当は怖いのですが(汗)。
物体操作:派生系統も含め、概ね好意的に接されます。
精神操作:あまり好かれていません。《偽記憶》《魅了》などのような危険な呪文はなおさらです。
呪文操作:一般人には理解の埒外です(笑)。
魔化:一般人から縁遠い系統で、特に先入観は持たれていません。
死霊:一般人の恐怖の的です。内容を理解している事は稀なのですが。
植物:概ね歓迎されています。《植物繁茂》《植物祝福》は農業や園芸に欠かせません。
移動:《鍵開け》《瞬間移動》は、盗賊や暗殺者の道具として恐れられています。時空間系はちょっと理解できませんが……。
防御/警戒:概ね反応は好意的です。
音声:危険視は全くされていません。


〜戦闘と負傷〜

 この世界の生物は生命力が旺盛であり、生死判定に失敗しても死亡するのではなく重傷状態となり気絶・戦線離脱します。この状態からは、安静状態で1日(24時間)が経過しないと復帰できません(負傷を「−生命力」点まで回復させれば移動は可能ですが朦朧状態であり、魔法の使用も不可能です)。「高速治癒」を持っていれば、復帰に要する時間は6時間に短縮されます。ただし脳への攻撃は例外で、脳に受けたダメージによって行った生死判定に失敗するとキャラクターは即座に死亡します
 しかし生命点が生命力の−10倍に達すれば肉体が破壊されて自動的に死亡してしまいますし、重傷状態のキャラクターを「殺す」と宣言して攻撃を加えれば、相手はダメージに応じて生死判定を行わなくてはなりません。

 火器の射撃速度は、マナの密度が濃いために1ターンに1発が限界です。所持に対する法的制限も厳しく、魔物に普通の射撃武器が通用しない事もあってか、治安当局者でも所持しているのは少数です。しかし軍隊では、開発早々から大量に揃えられています。


*戦闘関係選択オプション
・鎧の隙間を狙う
 鎧や継ぎ目のある鱗などで体を覆っている敵に対して、重量1kgかそれ以下の攻撃型が「刺し」の手持ち武器や矢で−5の修正を受けて攻撃する事により、鎧や鱗などの防護点を無視する事が可能です。部位狙いを行う場合には、その修正も加えて計算します(例:胴体重要器官の鎧の隙間を狙うには−8修正)。《強化》は無効化できますが、《鎧》の防護点は完全に有効です。
 重量が1kgを超える「刺し」武器でも同じ事は可能ですが、その場合鎧などの防護点は半分(端数切捨て)が有効となります。

*シネマティック・キャンペーン用選択ルール(「ベーシック完訳版」P230サイドバー参照)
 これらの選択ルールは、moo系世界に限らずPCが映画風、もしくはマンガ風のヒーローである世界専用の物です。
・かすり傷
 非戦闘シーンに限り、未使用CPを1点消費してHPを完全に回復できます。
・全ての敵に立ち向かう
 「受け」の回数が2倍になります。「受け」に使うと非準備状態になる武器では1ターンに1回しか「受け」はできません。


〜CP獲得〜

 moo系キャラの早い成長を再現するために、通常より多いCPが獲得可能です。一般的なシナリオでは通常の1.5倍程度を目安に、適切な範囲でCPを与えます。もっともこのCPは「学習による成長」ルールを使わないと見なしている分も含むため、全てを戦闘系に注ぎ込んで戦闘マシーンを作り上げるのは避けて下さい。

*能力値
 通常の世界の半分(必要CPの差そのまま)で能力値を上昇できますが、その際には3Dで「22−現在の能力値」以下を出さないといけません(失敗時の再挑戦は次のCP取得機会まで不可能ですが、CPはそのまま温存できます。また、最も低い能力値が10を1点上回る毎に目標値が1ずつ大きくなります)。

*外見
 文明レベル6以上になると美容整形が可能になりますが、以下の事以外は基本的に不可能です。《顔変え》の整形に限度はありませんが、「素質」持ちにばれやすいため必要CPは半分(端数切り捨て)と見なします。
 (1)悪い容貌を「標準」にする。
 (2)「標準」以上の容貌を1段階良くする。

*有利な特徴
 以下の特徴は、後から獲得が可能です。
 各種の社会的特徴、「戦闘即応」「常識」
 以下の特徴は、「シナリオ内で関連する経験を積む」「魔法的な影響により発現する」等の理由があれば後から獲得が可能です。
 「暗視」「意思の強さ」「鋭敏〜」「我慢強さ」「追加HP」「追加疲労点」「魔法の素質」「両手利き」
 これらの基準は絶対的な物ではありませんので、他の特徴に関してもよほど無茶でなければGMとプレイヤーの裁量に任せます。

*不利な特徴を買い戻す
 ゲーム中の事故により不利な特徴を得た分を帳消しにするには、特にCPを必要としません。しかしその場合には、克服するための適切な手段が無くてはなりません。「片目」でなくなるためには、《再生》を使える魔法医師と適切な謝礼が必要となるでしょう。

*技能
 1CP以上を消費していた技能レベルの一部、あるいは全部を上げずに能力値だけを上げ、差額を能力値上昇後に未使用CPに振り分ける事は可能ですが、〈ランニング〉など判定にそのまま用いる事の一切無い技能以外の技能レベルをその際に低下させる事はできません。当然ながらこの場合も、能力が下がるような操作は一切できません。
 例1-1:アレフは敏捷力を14から15に上げます。この際にアレフは8CP消費して16レベルで所持していた〈フェンシング〉技能を上げない事にします。基準能力値の上昇により〈フェンシング〉技能に消費したと見なすCPは4に減少し、敏捷力上昇に消費する必要があるCPは15−(8−4)=11点となります。
 例1-2:上記の例で、〈フェンシング〉技能を15レベルに下げて差額を獲得、15−(8−2)=9点のみの消費で敏捷力を上げる事はできません。
 例2:パティは生命力を11から12に上げます。敏捷力が16なので今までは基本移動力が6.75で、〈ランニング〉に2CPを消費して10レベル取得、合計して移動力を8にしていましたが、今度の基本移動力が7になるために〈ランニング〉の消費CPを0.5点だけにして9レベルに低下させ、合計した移動力を8.125にさせる事にします。0.125上昇しているので、このCP操作は認められます(この場合の必要CPは、生命力基準の他の技能に手を加えなかった場合、10−(2−0.5)=8.5点です)。


〜仕事〜

 「ベーシック」「マジック」を参考に決めてみて下さい。めんどくさい場合には仕事の判定を省いてサイコロの目が全て10だとしておいて構いませんし、財産レベルに応じた貯蓄を適当に見込んでPCに渡してもいいと思われます。ただしくれぐれも公正に。


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