◇GURPS moo Series Games◇

その3:種族


その0:背景世界

その1:キャラクターの作成

その2:エタメロ・悠久世界のキャラクター達

その3:種族
種族について
基本種族

その4:装備・モンスター/NPC


〜種族について〜

 moo系世界に存在する、CPを消費して作成できる種族に関するデータです。PCにする事も基本的には可能ですが、末尾に記した「PCへの適性」をよく見て下さい。
 なおこの欄は、公式設定ではない部分を多々含んでいます(笑)。

〈種族が不利な特徴で取得可能なCPの制限について〉
 種族基本セットに含まれる不利な特徴(その大半は精神的な物でしょう)は、「種族を演じるために不可欠な物」と見なされます。このため−40CPの制限には含めませんが、CPを溜めても買い戻す事は特筆されない限り不可能です。もし別の特徴(ヘザーの「倫理隔絶」に対する「倫理」など)で買い戻す事が可能でも、代わりに何らかの制限を自動的に背負う事になるでしょう。
 もし種族基本セットその物が0CP未満なら、種族基本セットで獲得したCPを−40CPの制限に含めます。

〈種族が低い能力値で取得可能なCPの制限について〉
 能力値を上下させた場合、「CP消費0の段階の能力値」から3点以上削った時に限り、該当能力値を削って獲得したCPを−40CPの制限に含めて計算します。
 (例:体力を−4、敏捷力を+2される妖精の場合、体力は4以上、敏捷力は10以上なら−40CPの制限に含めない)
 また幼少時の場合、計算した能力値が異様に低く、時には0以下になる可能性が存在します(汗)。このような場合は人間の0歳児の能力値(体力1/敏捷力1/知力3/生命力1)を下限として下さい。

〈種族の身長・体重について〉
 この世界の人間は比較的痩せ型であるため、体重は「ベーシック完訳版」掲載のものから5kg引いた物が標準体重となります(身長はそのまま適用されます)。また、文明レベルが低い時代でも食料条件が極端に違わないためか身長・体重は変わりません。
 人間以外の種族の場合、以下の係数を掛け合わせて目安にして下さい。これはあくまでもゲーム上のパーソナルデータ等から解釈した数字であるため、異論があられる場合は無視されても構いません。
  牙人族:身長×1.05、体重×1.05
  フォーウッド:身長×0.9、体重×0.8
  魔族:身長×1.1、体重×1.05
  ヴァンパイア:身長×1、体重×1
  妖精:身長×0.2、体重×0.02
  人狼族(変身前):身長×1、体重×1
  人狼族(変身後):身長×1.5、体重×2
  エルフ(南方系):身長×1、体重×0.95
  エルフ(北方系):身長×0.95、体重×0.9
  ライシアン:身長×1.05、体重×0.9
  召喚魔族:身長×0.2、体重×0.02
  ヘザー:身長×1、体重×0.95
  霊体:体重は必ず0kg

〈異種族基本セットによる能力値修正について〉
 ここのデータにおいては、「基本セットによる能力値修正を足し引きする」→「その数値からCPを使用して能力値を上下させる」という手順を使用しています(知力に+1されるエルフの場合、知力15にするには「11→15にするために必要なCP」である50CPを使用して下さい)。この処理の方が人間と異種族の能力――要するにCPを均等に扱えるからです。
 しかしGMとプレイヤーの好み次第で、これとは逆の「「10」からCPを使用して能力値を上下させる」→「その数値から基本セットによる能力値修正を足し引きする」という手段を取る事も可能です。その際には人間の種族基本セットを「10CP」として、キャラクターを作成する側の選択により「いずれか1つの能力値に+1」して下さい


◇基本種族一覧◇
 人間
 異世界の人間
 影の民
 牙人族
 フォーウッド
 魔族
 ヴァンパイア
 妖精
 人狼族
 エルフ
 
 ライシアン
 人工生命体
 人形
 召喚魔族
 ヘザー
 水妖
 魔導人形
 霊体
 人間型魔獣
 
 青き森の民
 触角族
 
 *:ネット上のネタによる設定の種族


・人間(0CP)(EM・UQ・PB)
特になし
 この世界で最大の人口と勢力を誇る種族で、惑星上のほぼ全土に居住しています。現世の人間との最大の違いは魔力(「魔法の素質」)を持つ者が数多い事でしたが、「PB」の時代には魔法動力プロセッサの発明により自力で魔法を行使する事が少なくなり、魔力を持つ者の出生率が減少してしまいました。元々自然科学と魔法知識を融合させた文明を持っており、魔法能力者が異端視される「3」時点の傾向が永続すると決まった訳ではないのですけど(現世で例えると、大量生産の進んだ時代における職人に立場が相当するでしょう)。
 人間の文化は多岐に渡りますが、概ね和風とヨーロッパ風が混在しています。肌は褐色掛かった白が一般的ですが、髪や瞳の色は様々です(髪は茶色系が最も多く、黒、青、水色、緑、灰色、紫、白、金色など。瞳は茶色が多く、次いで黒や灰色、青、緑が多く、赤や紫も稀にある)。
(…ルナルの信仰)
 圧倒的多数が双子の月(青と赤)を信仰しています。戦闘能力重視の傾向が強いために、ガヤンやサリカ、ジェスタ、アルリアナ、タマットやリャノといった固有戦闘技能や戦闘魔法を与える信仰に片寄りがちで、シャストアやペローマの信者はかなり少ないようです。ウィザードの出生率もルナルとほぼ同じ(1〜2/1000)であり、師匠に発見される確率も高めです。
 一部は緑の月や銀の月を信仰していますが、かなり少数派です。黒の月信仰は全ての国や地域で例外なく処罰(死刑、もしくはそれ以上)の対象であり、ほとんど存在しません。
・人間の特徴
 これといって多い特徴はありませんが、「誠実」「直情」「かんしゃく」「好奇心」「義務感」といった「社会的に良いがしがらみとなる不利な特徴」「普通に存在する衝動を押さえられない不利な特徴」がやや多めです。その反面「サディスト」や「妄想」などは極めて稀です(もっとも、これらの特徴はPCが取得する事はないでしょうが)。戦闘力関連の「我慢強さ」「意思の強さ」「高速治癒」、もちろん「魔法の素質」もかなり一般的です。
・人間特有の特徴
特殊な民族など(様々)
 一部の人間は特殊な血を引き、亜種とも呼ぶべき存在になっています。その例として影の民などを後に記しておきました。
・人間特有の技能
 人間だけ使えるという技能はルール上はありませんが、〈政治〉を使う召喚魔族や〈冶金〉を学ぶ水妖がいないのに比べれば汎用性が高いでしょう。特殊な研究者や少数民族なら、特有の技能を持っているかもしれません。
・人間の名前
 一般的に名前を先、姓を後にして表記されます。比較的簡潔なものが多く、エンフィールドやシープクレストでは現世のイギリス風のものが主流であり(他地方や他国、他の大陸の血の流れ込んだシープクレストでは、多分にその限りではありませんが)、稀にミドルネームとして祖父や祖母の名を挟む例もあります。貴族や元貴族の場合は、封土の地名を姓としているのが普通でしょう。
 もちろん大陸の東方や北方、連邦外などでは違う命名方を取っており、必ずしもこの例に従う必要はありません。一部の地方では姓を先、名前を後にして表記され、双方とも和風の名前を用います(どちらも現世の日本人とは微妙に違い、やや具体的か抽象的に付ける傾向がありますが)。
 呼び掛けの際、親しい間柄なら名前が使われます。ただし公的な場では、姓の方が優先的に使われます。
エンフィールドの例:
(男性)アレフ・コールソン、クリストファー・クロス、アルベルト・コーレイン、リオ・バクスター、ルー・シモンズ、リカルド・フォスター(北方出身)、カッセル・ジークフリード、モーリス・ショート、ハメット・ヴァロリー、トーヤ・クラウド、カール・ノイマン、ウィリアム・ベケット、ルーク・ギャラガー、ヒビック・ウォンサー、トーマス・ハンソン、ジーン・ギャレット、ジョセフ・コンラッド、ランディ・ウェストウッド(北方出身)、ジョージ・ゴードン・バイロン(推定)、ジョージ・オーウェル(推定)、トーマス・カーライル(推定)
(女性)シェリル・クリスティア、シーラ・シェフィールド(元貴族)、パティ・ソール、マリア・ショート、リサ・メッカーノ(東方出身)、ヴァネッサ・ウォーレン、セリーヌ・ホワイトスノウ、ディアーナ・レイニー、トリーシャ・フォスター(北方出身)、ローラ・ニューフィールド(元貴族)、クレア・コーレイン、アリサ・アスティア、ステラ・リップス、シーラ・セフィード、エクセル・アピフ
シープクレストの例:
(男性)ルシード・アトレー、ビセット・マーシュ、ゼファー・ボルティ、ゲイリー・ヴァレス、フレッド・アフレック、ローワン・フリーデン、レスター・カーライル、ハリー・ウルフ、デール・パクストン、カイ・アングラート、ダニー・クレイヴン、レイモンド・クランツ、ハンス・ロイド、ルパート・デボン、ニコラス・ピースクラフト、ギニアス・サリバン、ジョーイ・ピクルス、ジョン・ピクルス、ラザラス・ホーマー、ビクトル・ハラ、マヌエル・ハラ、スティーブ・クローバー、アーデン・ハッザン、アンブローズ・ハッザン、アルマイス・ロンドメル、ワイザック・ファーン、レナード・ローナー、ラッセル・イェスバー、ステラン・ゲールド(ジェリド・エランツ)、ルーズ・バーク、レブ・バーク、バートン・セロン、カースティ・セロン、オーウェル・ウー、ルーク・ダンスタッツ、コハ・シモン・ゲイツ、ゴンザレス・ガーゴイル、デリク・ローレン、マリオン・シュナウザー、レニウス・レインウッド、アルゲンス・ムーサイ、ラッキー・フィールド、シモン・フォーセット
(女性)バーシア・デュセル、ルーティ・ワイエス、フローネ・トリーティア、メルフィ・ナーヴ、リーゼ・アーキス、シェール・アーキス、ファラ・ビノシュ、ジラ・ボーランジェ、サラ・ボーランジェ、アマンダ・ハラ、ジーナマリア・ハラ、クリスティーナ・アイーダ・ロペス、ナオミ・ピクルス、グリゼレダ・ハッザン、ケイト・マシェス、シビル・ゼーン、メラニー・ゲールド、アリス・ライト、ソフィ・ローランズ、リブ・アークエット、レナ・テイリー、クリスティナ・ゲインズブール、サリナ・アビシニアン、マイア・クロフォード、マリアンヌ・ロゼット、ライザ・レインウッド、ポーリン・レイク、セルマ・フォード
(不明)アルマ・カモン
その他:
メイヤー・ステイシア、カレン・レカキス、紅若葉、リラ・マイム、ウェンディ・ミゼリア、レミット・マリエーナ、アイリス・ミール、ジャック・バレリーニ、二宮銀次郎
・人間の地位
 想定される社会的文明レベルは様々ですが、一応下に例を記しましょう。ルナルにコンバートしている場合、神官や高司祭の地位レベルは聖職者や魔法使いとして働く場合にしか意味を持ちません。また複数の地位を兼ねる場合も、必要CPは最も高いと想定される地位に準じて下さい(例えば、子爵で宰相で野鳥の会の会長なら地位レベル6になります)。
8…無し(全世界を支配した魔法王タナトスのみ)
7…国王、皇帝、大統領、議長などの国家元首(大国の場合。マリエーナ等の小国は1〜2レベル低下)、全世界的教団の指導者、政治的に強力な全世界的組織の代表
6…宰相、首相、連邦国家所属国の元首、最上級の貴族(公爵。実力によっては1レベル低下)
5…政府の有力議員、政府の部局の長官、かなりの大都市の市長、上級貴族(侯爵)、全国規模の教団の指導者、全国規模の組織の代表、多国籍企業の代表
4…政府の議員、政府のかなり有力な役人、大都市の市長(シープクレストはこの水準)、中級貴族(伯爵)
3…政府の有力役人、都市の市長(本来エンフィールドはこの水準だが、市長がいないので評議員の有力者が相当)、下級貴族(子爵)、高位の司祭
2…町長、下級貴族〜士族(男爵・爵位無し貴族)
1…神父、司祭、街の名士、村長、下級士族(爵位無し貴族、貴族の分家)
0…一般人
-1…貧乏人、服役囚、都市文明に服さない部族民、家内奴隷(大陸には存在しない)
-2…追放者、犯罪者
-3…労働奴隷(大陸には存在しない)
-4…無し(ヘザーや吸血鬼など、排除指定を受けている人間型種族が該当)
・PC(プレイヤー・キャラクター)への適性
 GMが特別なキャンペーンを行うために制限を行わない限り、自由にPCとして使用が可能です。


・異世界の人間(0CP)(EM)
文明レベル7(高度文明3レベル、15CP)、常識欠乏3レベル(−15CP)、無係累(−5CP)、異世界の知識(5CP)、この世界の言語技能(1つか2つ)に合計1CP使用(1CP)、作成時点の所持金がそのままでは役に立たない(−1CP)
 ごく稀に、次元の壁を隔てた異世界から人間がいきなり現れる事があります。《異次元召喚》や星の配置による時空の歪みなどによるものですが、その例として科学技術が発達した世界の住人を挙げておきました。元々住んでいた次元や時代により、これらの特徴はかなりの変化を見せます。高度な科学技術(文明レベル6以上)による装備を持ち込んでも、この世界では物理法則が違うので起動しなかったり予想外の結果に終わったりする事に十分注意して下さい。
(…ルナルの信仰)
 任意です。しかしPCとして使うのなら黒の月は厳禁です。
・異世界の人間の特徴
 「誓い/元の世界に帰る」はよく見られます。適応できずに「妄想」を抱いたり、この世界にそぐわぬ行動パターンが「嫌な行動」扱いされる事もしばしばです。
・異世界の人間特有の特徴・特有の技能・名前
 様々です。世界の数だけバリエーションがあると言えるでしょうが、とりあえず基本的な点だけを挙げておきます。
「高度文明」(5CP/L)
 高度な技術文明を持つ異世界の出身者です。一見有利な特徴に見えますが、知識以外は活かす場面があまり存在しない事に留意して下さい。キャラクター作成時に高度な文明レベルにしか存在しない技能を覚える事はできますが、教本を持ち込んだりしない限りそのような技能を新しく覚える機会はありません。道具に依拠する技術系技能、世界によって激変する野外系技能などにはかなりのペナルティが掛かるか、あるいは全く役に立たないでしょう。装備を持ち込んだとしても修理の手段は無く、文明レベル6以上の装備の一部は「密」なマナによって作動を阻害されてしまいます。
 新しい装備を入手する手段があるのなら、「高テクノロジー」(「百鬼夜翔」参照、4レベル以降は+50CP/L)を使用して下さい。ただし魔法の介在しない技術体系を持つ世界の場合、文明レベル5を上回る分のCP消費は半分とします。
「常識欠乏」(−5CP/L)
 世界法則や技術体系、社会制度、文化的基礎が異なる世界の出身者であり、この世界の常識がよく分かりません。「常識」を一緒に取る事もできますが、この世界特有の「愚かな」行動に対してGMは忠告する必要は全くありません(!)。技術系・学術系で文明レベルの差によるペナルティの及ぶ物を除く全ての技能と大半の社会系・野外系技能(GMが判断)に「常識欠乏」と同じだけのペナルティが及びます。基準は以下の通りです(例文説明が「TORG」に一部準拠してますが(汗))。
 -1…社会的に似通った点の多い世界(平行世界である事が多い)。シープクレストと悠久学園、現世と「デバイスレイン」の世界、コアアースとテラなど
 -2…時間軸を遡った、あるいは進んだと想定した時点によく似た時代の存在する世界。エンフィールドと悠久学園、現世と悠久学園、コアアースとガイアとマーケットプレイスなど
 -3…世界法則が異なるものの、相通じる点があり適応する事が可能な世界。現世とmoo系世界とモズ、現世とルナル、フォーセリアとルナル、コアアースとマグナ・ヴェリタなど
 -4…世界法則が掛け離れ、適応が難しい世界。現世と一般的なファンタジー世界(フォーセリア、タイタン、ドラゴン大陸、…)、コアアースとアイルなど
 -5…世界法則が隔絶しているが、辛うじて類似点のある世界。現世と特殊性の強いファンタジー世界(央華、グローランサ、…)、コアアースとリビングランドなど
 -6…完全に掛け離れた世界。現世と天国・地獄、ルナルと〈至高なる輝きの地〉・〈絶対の闇なる邪悪の地〉・元素界など
 -7〜…掛け離れ過ぎて認識が不可能(「ドラゴンマーク」の各世界とドラゴニスの住む世界の狭間など)。冒険が成り立たないのでこのレベルでは意味がない
 最後に注意しておきますが、低い文明レベルのキャラクターの場合はこれをいくらか含む物と見なされ、「常識欠乏」と比べて取得CPの多い方の分しかCPを獲得できません。
「無係累」(−5CP〜)
 当然ながら、異世界の出身者には飛ばされた世界におけるあらゆる繋がりが存在しません。親友も行き付けの喫茶店も仕事のライバルも所属する国も存在しないのです。この特徴を持っていると社会的なしがらみに拘束されませんが(とにかく最初の内は)、社会的な保護もシナリオ内で関係を育んだ所からしか受けられません。
 戸籍制度が整備されたり氏族に所属しないと生きて行けなかったり神殿に必ず所属したりする世界においては、何の組織にも関わっていないという事は社会から排除される要因となります(日本で無国籍だったり、古代の中国で氏族集団に入っていなかったり、ルナルで何も信仰していないような状況を想像してください)。そのような世界では更に獲得できるCPを増やしますが、早めにどこかに帰属させないと冒険は非常に困難でしょう。
「異世界の知識」(5CP)
 文明レベルの格差とは別に、この世界に存在しない異世界の知識を持っています。最先端の技術者が発明したばかりの銃器を楽々と扱ったり、古代の超文明を即座に理解したり、伝承の失われた古い技術をなぜか知っていたり、兵器の技術を魔術師に提供して魔法的な超兵器を作り上げたりできるでしょう。
・異世界の人間の地位
 出現時点では地位レベル0です(元の世界の地位レベルも取れますが、2CP/Lしか必要ではありません)。世界に居付く間に変化していきますが、時には王族と結婚して地位レベル5〜6に上り詰めたり、道を踏み外してレベル−2の犯罪者にまで転落する者も存在します。
・PC(プレイヤー・キャラクター)への適性
 非常に特殊な存在ですので、プレイヤーが強く望んでGMが特別に許可した場合にしかPCとしては使えません。


・影の民(16CP)(EM)
知力+1(10CP)、生命力−1(−10CP)、魔法の素質1レベル(15CP)、死霊系呪文に+1レベル(6CP)、死相感知(10CP)、義務感/影の民(−10CP)、一般人の反応−1(−5CP)
 影の民は異種族ではありませんが、便宜上ここで解説します。影の民は地上で最も魔力の高い地域に里を築き(半径10km前後の範囲内はマナが「濃密」です)、「黄泉の口」に他者の手を触れさせないようにして生活しています。その副作用か全員が魔法の素質を持って生まれるようになり、沈んだ色をした瞳に見られるように、外見的にも通常の人間から外れるようになりました。更に死霊系呪文が生活の必要上一般化しており(黄泉の口の魔物に対抗するには欠かせません)、そのために他者から偏見を受けるようになってしまっています。
 普通影の民は里を離れませんが、修行のために占い師、またはハンターとして街を訪れる事もあります。
 ルナルのルールを使用した場合、影の民は全員がファウンかナーチャの入信者以上であり、全ての死霊系呪文を自由に修得できます(「マジック」のルールが許す範囲でですが、他の系統の前提呪文は無視して構いません)。ルナルのルールを使用しない場合でも、死霊系呪文を教える魔法使いは数が少ないため、影の民のこの特典は重宝する事でしょう。
(…ルナルの信仰)
 上に記した通り、全員がファウンかナーチャの信者です。
・影の民の特徴
 影の民は感情を露わにする事を望まず、「自信過剰」や「お祭り好き」は好まれません。「強迫観念/孤独癖(−5CP)」や「義務感/弱者」などがよく見られるでしょう。「無感動」「ユーモア感覚の欠如」もしばしば見られます。
 第六感にも優れ、「直感」「危険察知」「感情察知」の所持者も豊富です。
・影の民特有の特徴
「死相感知」(10CP)
 顔を合わせた相手が死の危険に直面している場合、知力判定に成功するとその事が分かります(「死の危険」の具体的な内容は、クリティカルでもしない限り分かりません)。何が死の危険に含まれるかは、以下の記述を参照して下さい。「危険察知」とは違い、直後の事でなくても2〜3日以内なら分かる事があります。自分を「死相感知」する事はできません。
 ・死の危険
  その時行っている行動を中断する意図が無く、しかも続行していると高確率で死亡する。しかも意図的に回避できないか回避が非常に困難
   →先の崖が崩れやすくなっている、塀の陰に暗殺者が隠れている
  外的要因による
   →刺殺、毒殺、疫病に感染死
  「普通」は死ぬ
   →足元に深さ10mで下から毒塗りの槍が生えた落とし穴がある、扉の先には完全に敵対的な戦士や魔術師の部隊がいる
 ・死の危険に含まれない
  普通の行動をしていれば死を招かないのに、意図的に死にやすいような状況を狙っている。いわゆる「自殺的行為」
   →ビルの5階からダイビング、徒手空拳で完全武装の騎士と一騎打ち
  内的要因による
   →自殺、服毒、通常の病死
  「普通」は死なない
   →バナナの皮で滑って頭を打つ、傷付けずに捕まえようとする警備員の棍棒が頭部にクリティカル――クリティカル表で3を出す
「霊気感知」(10CP)
 《霊気感知》が掛かっているように霊気を感じ取れますが、無条件に分かる訳ではありません。知力を技能レベルと見なし、相手が隠そうとしている場合は知力か隠匿用の魔法と即決勝負を行って下さい。この能力は魔法感覚の一種であり、視覚などの通常の五感とは何の関係もありません。この感覚のみを頼りに戦闘を行おうとする場合は、《超音波視覚》と同様の修正を受けます。
・影の民特有の技能
〈アンデッド感知〉(精神/難)
 ルナルのファウン信者とナーチャ信者の使うものと同じです。しかしゾンビやスケルトンも、自らの恨みで蘇ったなら知力で抵抗が可能です。
〈瞑想〉(精神/至難) 技能無し値:なし
 瞑想を行い、心を落ち着けるための技能です。「18−技能レベル」ターン(最低1ターン)の集中の後に技能判定に成功すると、無我の境地に没入して次に行う「普通の」精神技能1つに+2の修正を与えられますが、それ以外の知力判定には全て−2の修正を受けます。〈瞑想〉を併用して長時間の作業を行っている際に攻撃を受ければ、「不完全な不意打ち」と見なしていいでしょう。作業の助けにする他にも、混乱した情報を整理したり「かんしゃく」「好色」などの「理性的でない」暴走を自分で静めるのにも効果があるかもしれません。
 これは通常、〈アンデッド感知〉と共に使用されます。またGMが認めるならば影の民以外が習得しても構いませんが、その際は必要な時間を長くしたりして「リアル」な物に近付けたりする工夫が必要でしょう。
〈呼吸法〉(精神/至難)
〈催眠術〉(精神/難)
 ルナルと合成した場合でも、影の民は信仰に関わらずこれらの技能を使用できます。
・影の民の名前
 姓は無く、名前のみです。名前は一部の人間と同様に漢字で表記されますが、特殊な読みを使います(現世の中国語にやや近い音ですが、中国語そのままではありません)。
例:楊雲(ヤンユン)、美月(メイユェン)
・影の民の地位
 部族内では4(影の民の里の長老)が上限です。魔術師として国の相談役(地位レベル5〜6)になる事もありますが、外の世界では通常は0〜-1です。
・PC(プレイヤー・キャラクター)への適性
 そうありふれた存在ではありませんので、PCとして使いたい場合はGMに許可を得て下さい。エンフィールドやシープクレストの存在する大陸にはまずいない事も考慮するように。


・牙人族(15CP)(EM)
体力+1(10CP)、敏捷力+1(10CP)、知力−1(−10CP)、生命力±0・下降不可(0CP)、鋭敏感覚2レベル(10CP)、暗視(10CP)、高速治癒(5CP)、腹ぺこ1レベル(通常の2倍の食料が必要、生活費は2割増し、「食いしん坊」を重ねて取れない、−10CP)、直情(−10CP)
 「人間と獣人のハーフ」と俗称される半獣人種族です。尖った耳と牙、爪くらいしか人間との相違点はなく、半ば動物の姿である一般の半獣人や獣人とはあまり近い種族ではありません。むしろ、エルフが種族的に近い存在でしょう。しかし牙人族は魔法に疎く、素質を持つ者に至ってはほとんど存在しません。
 亜熱帯〜熱帯の森や草原の中に木造の家屋で集落を築き、狩猟と採取を主体にして生活しています。その肉体を維持するために大量に食物を摂取する必要があるのか、牙人族は食物にかなり執着を見せ、機会さえあれば人間の数食分を一度に食べてしまいます。牙人族の祭の最大の山場は大食い大会で、ある異世界から来た人間が牙人族の胃袋を「ブラックホール」なる謎の存在に例えた事から、大食い大会の優勝者は名誉の称号「ブラックホール」を与えられる事になっています(をい)。
 牙人族はかなり人間と親しく、時折産物の売買や武者修業のために街を訪れます。
(…ルナルの信仰)
 大半が赤の月で、特にアルリアナとタマット、リャノを信仰しています。緑の月のプファイト氏族のメンバーも多めです(牙人族の部族に氏族組織がある訳ではありません。勘違いなさらないように)。
・牙人族の特徴
 気性が荒い分、「かんしゃく」「自信過剰」が多めです。戦士としての素質に長けた種族なので、「我慢強さ」「戦闘即応」「頑強」もかなり見られます。大盤振舞いが賞賛される種族ですので、「強迫観念/散財」もしばしば見られるでしょう。
・牙人族特有の特徴
「腹ぺこ」(0/−5/−10CP、基本取得している「腹ぺこ1レベル」を差し引き済み)
 「腹ぺこ」を2レベル以上にする事も可能で、1レベル増す毎に必要な食料は通常の1倍ずつ、生活費は2割ずつ増えます。牙人族の場合は3レベル(通常の4倍食べる)までしか増えません。また、この特徴は基本的に買い戻せず、もし許可されても「腹ぺこ1レベル」までにしかできません。
・牙人族特有の技能
〈暴走〉(精神/難)
 ルナルのラグアツ・ミュルーンの所持している技能と同じ物です。「植物共感」を持つ牙人族の場合、歩行植物も暴走する群れに仕立てられます。
〈大食〉(肉体/並) 生命力基準、技能無し値:生命力−3(牙人族のみ)
 消化器官を活発に動かし、普通の限界より多くの食物を食べる技能です。この技能を持てば通常の「技能レベル/4」(最低1)倍の食料を口にする事が可能となり、更に1食分毎に−2のペナルティを受けて判定に成功する事によりそれ以上の量を食べ尽くす事が可能となります。霊薬を除く遅効性の毒を飲んでしまった場合も、意識があれば〈大食〉−2判定を試みて成功すれば抵抗が2回可能となります。牙人族の場合、「腹ぺこ」により増加している許容量をそのまま足し合わせます(技能レベル12で「腹ぺこ2レベル」なら、3+3=6倍です。目標値10の判定に成功すれば7倍食べられます)。
 この技能を用いて食べ放題の店を荒らす牙人族が非常に多いため、牙人族の多い地域の食堂では割増料金を請求する事が多くなっています。
〈空手〉(肉体/難)
 ルナルと合成した場合でも、牙人族は信仰に関わらずこの技能を使用できます。
〈骨・牙細工〉(精神/並) 技能無し値:知力−5、宝石屋−3
 骨や牙(鼈甲や象牙も含む)を加工する技能です。作った品物に模様を彫り込むには〈彫刻〉を使って下さい。この技能は異種族も修得可能です。
・牙人族の名前
 姓と名前の順序は人間と同一で、双方共に簡潔な響きが好まれるようです。結婚した際通常は夫婦どちらかの姓に統一しますが、新たな姓を名乗る事もままあります。
例:アルザ・ロウ
・牙人族の地位
 集落内では地位レベル1(族長)と0(一般人)くらいしか存在しません。人間社会で軍人にでもなれば話は違うのですが、せいぜい巨大傭兵団の団長(地位レベル4程度)でしょう。
・PC(プレイヤー・キャラクター)への適性
 パーリアではかなりありふれていますので、特に禁止しない限りPCとして使用可能です。エンフィールドやシープクレストの存在する大陸には生息していないので、基本的にはGMが特に許可を出さない限り大陸では使えません。


・フォーウッド(30CP)(EM)
体力−1(−10CP)、敏捷力+1(10CP)、移動力倍増1レベル(「よけ」は変化しない、10CP)、跳躍倍増1レベル(10CP)、鋭敏感覚2レベル(10CP)、危険察知(15CP)、動物共感(5CP)、義務感/地上の自然(−10CP)、義務感/部族(−5CP)、誓い/菜食主義(−5CP)、不器用1レベル(「器用」取得及び「不器用1レベル」の買い戻し不可、−3CP)、〈生存/森〉を知力と同レベルで取得(2CP)、〈跳躍〉を敏捷力と同レベルで取得(1CP)
 森に住む半獣人で、身体の一部(耳と尻尾、それに手足の先)がウサギの物になっています。4本ずつある手の指も太めであるため、手作業は不得手です。人間の耳にあたる部分には、髪が生えているだけで耳はありません。髪の色はピンクや水色などの淡い色で、耳や手足の毛と同じ色になっています。
 フォーウッドは温暖な森の中で、長老を中心として部族単位で村を作っています。農耕と採取で生計を立てており、事あるごとに祭りを開いて騒ぎます。部族内部は非常に緊密な関係で結ばれ、その分家族の枠組は緩やかです。技術水準はさほど低くはありませんが、都市生活に必要な技術などは持っておらず、その点では人間に見劣りします。
 性格は温和で、動物と草木を愛しています。なおフォーウッドは基本的に草食で、特にニンジンが好物です。
(…ルナルの信仰)
 風の神である双子の月のサリカとアルリアナの信者がほとんどです。風の元素神や水の元素神の信者も時折見られます。
・フォーウッドの特徴
 感が鋭いフォーウッドですが、その反面「臆病」な場合も見受けられます。「戦闘硬直」や「フラッシュバック」、「恐怖症」なども多いでしょう。
 半獣人らしく、「戦闘即応」を持つ場合もよくあります。
・フォーウッド特有の特徴
「肉食拒否」(本来−15CPだが、「誓い/菜食主義」を引いて−10CP)
 肉食(魚や蝦、蛸、蜂の子なども含んだ動物性食料全てです)が体質的に適合せず、食べさせられても即座に吐いてしまいます。生命力判定に成功すれば飲み込む事は可能ですが、それから6時間の間全ての能力値に−4のペナルティを受け、HPに1D点のダメージを受けます。本来の獲得CPは15CPなのですが、フォーウッドは既に「誓い/菜食主義」を持っていますので獲得CPは10CPとなります。
 「食いしんぼう」を同時に取る事は差支えませんが、そのようなキャラクターは肉を食べ物と見なしていない事に注意して下さい。
「義務感/地上の自然」(−10CP)
 フォーウッドの持つ、自然への義務感です。フォーウッドの生活範囲内である森を中心とした地上の自然にのみ働き、海や宇宙空間、異次元空間など異質な環境の自然環境には興味を持っていません。この特徴は、人間を始めとする地上種族も取得が可能です。
 フォーウッドが「義務感/自然」を取っても、獲得できるCPは5CPだけです。
・フォーウッド特有の技能
〈総合森林学〉(精神/至難) 技能無し値:なし 前提:〈生存/森〉〈動植物知識〉、森に関係深い場所の〈地域知識〉
 森の中に関するあらゆる知識の総合体です。森の中での〈生存〉〈動物学〉〈植物学〉〈農業〉〈地質学〉〈生態学〉〈探索〉〈罠〉〈毒物〉〈動物使役〉〈獣医〉として機能しますが、自然の森の外では何の役にも立ちません。
・フォーウッドの名前
 姓と名前で構成される事は人間と同様です。名前を植物の名前から取る事もしばしば行われます。姓を名乗る事は、部族内では意味がないので滅多にありません。
例:キャラット・シールズ、セロ
・フォーウッドの地位
 集落内では牙人族と同じです。人間社会でも地位レベルの上がるような職業には恐らく就きません。
・PC(プレイヤー・キャラクター)への適性
 牙人族と同じです。


・魔族(35CP)(EM)
体力+1(10CP)、知力+1(10CP)、暗視(10CP)、魔法の素質1レベル(15CP)、魔物共感(10CP)、名誉重視/魔族の名誉(−10CP)、かんしゃく(−10CP)
 魔族は白〜銀系統の髪と虹彩の細い赤の瞳を持ち、先の尖った耳を持つ種族です。体格は人間よりやや大きめで、筋肉質ですらりとしています。革の服や金属のアクセサリー、赤い刺青などを好んでおり、衣服の感覚はこの世界の人間からは掛け離れた物です。魔界の出身であると言われていますが、一般の魔族は魔界と行き来する事はできません。
 現在の魔族は街や村に住み、ほとんどは人間と同じような職に就いています。かつては大魔王とよばれる統率者に従い世界中を荒らしていたのですが、大魔王の封印後は比較的大人しくなり現在に至っています。未だに一部の若い魔族の間では大魔王の復活が願われており、その手段を求めて世界中を歩き回る者が時折いるそうです。そして一部のはぐれ者は魔物を率い、村や街を襲撃する事があります。魔族は種族的に魔物への共感能力が高いため、魔族1人で率いる魔物で街を占領する事も不可能ではありません。
 魔族は力を重んじ策略を嫌い、敵と決めた相手には常に正面から対峙します。味方にすれば頼もしく、敵に回すと恐ろしい種族でしょう。
 最後に余談ですが、広義の「魔族」は魔界の生物一般を指しています。
(…ルナルの信仰)
 双子の月の信者はごく少数で、大半が銀の月の信者です。ウィザードは人間以上に出生確率が高く(1/300程度)、しかもほとんどがウィザードとして育てられます。稀に黒の月信者すらいるそうですが(9割以上がシファールの崇拝者)、現在ではほとんど見られません。
・魔族の特徴
 魔族は「臆病」「戦闘硬直」「平和愛好(全て)」を取得できません。自我が強いせいか「高慢」「自信過剰」が数多く見られ、痩せ型なので「やせっぽち」を持つ事が多いですが、「肥満」する事はまずありません。「我慢強さ」「戦闘即応」や高レベルの「魔法の素質」を持つタイプも数多く見られます。
・魔族特有の特徴
「魔物共感」(10CP)
 魔物(動物や植物、霊的存在に属する物のみです)と感情疎通が可能であり、反応に+2の修正を受けます。もし魔物が何者かに飼われていれば、反応修正は+4です。
 また、〈魔物使役〉及び魔物が対象の〈騎乗/種別〉〈鷹匠(に類する技能)〉〈獣医〉にも+4の修正を受けます。
「不名誉」(−10CP、「魔族の名誉」を放棄するため実質は差し引きして0CP)
 魔族の名誉に反した生き方をする魔族の持つ特徴で、名誉に従わない代わりに魔族の反応が−3されます。何らかの理由で(または何の理由もなく)堕落したNPC専用の特徴であり、PCは取得できません。
・魔族特有の技能
〈魔物使役〉(精神/至難) 技能無し値:知力−6(魔族のみ) 「魔物共感」は技能レベル+4
 〈動物使役〉のように魔物を使役する技能です。知力8以上の魔物に対しては使えません。
 この技能は魔族特有の技能ですが、人間やその他の種族でも修得する事は可能です。
・魔族の名前
 魔族も人間と同様に、姓と名前を持ちます。しかし、姓を使う事は人間より少ないようです。
例:カイル・イシュバーン、リリト、エルフィン
・魔族の地位
 実力主義と個人主義の強い魔族の場合、地位レベルに意味はあまりありません。人間の地位レベルをとりあえず参照して下さい。
・PC(プレイヤー・キャラクター)への適性
 やや得意な文化を持つ種族ですので、キャンペーンが破綻しないかどうかGMが判断してPCとして使う事を許可して下さい。通常は大丈夫でしょうけど。


・ヴァンパイア(35CP)(EM・UQ)
体力+1(10CP)、知力+1(10CP)、暗視(10CP)、魔法の素質1レベル(15CP)、《体力奪取》《生命力奪取》を「知力+素質」レベルで使用可能(接触必要だが詠唱不要、8CP)、〈性的魅力〉を生命力と同じレベルで取得(2CP)、強迫観念/好きな相手から吸血する(−5CP)、陽射しに弱い(「色素欠乏」相当、容貌の制限はなし、−10CP)、他種族の反応に−1(吸血を行う種族は除く、−5CP)
 ヴァンパイアは魔族と類縁関係にある、普通の生物です。日光を浴びても灰にはなりませんし(薄曇りでも立ちくらみを起こしますが)、噛んだ相手に伝染する事もありません。個体数は少なく、多くは人間の村や街に居住しています。外見は人間と変わりませんが、よく見ると赤い瞳の虹彩が魔族と同様に細くなっています。
 生命活動に必要な血(特にCPを得てはいませんが、普通の食物で代替可能なので)を吸う際には、適当な人間(生命力に溢れた若い人間、特に異性)を選び、腕力や魔法、生まれ持つ〈性的魅力〉による誘惑などで無力化して首筋に牙を突き立てます(牙は短く、戦闘の役には立ちません)。吸った後は痛みはありませんが、同時に《生命力奪取》を行う必要があるため、ヴァンパイアは身体の弱い人間からは吸血を避けます。
 血を提供してくれる人間の夫や妻になる事もあり、その場合は人間と子供を作ります。こうして生まれたハーフはデータ的にはヴァンパイアと同じに扱いますが、吸血の習性が異種族から嫌悪されている事もあり、多くの場合は正体を隠して生活しています。ハーフが人間と子供を作った場合、体質が遺伝する確率は五分五分です。
 最後に記しておきますが、連邦でS級危険種族に指定されている魔物のヴァンパイアとは全くの別物です。他にもこの世界には、血を吸う人間型の「ヴァンパイア」が何種類も存在するかもしれません。
(…ルナルの信仰)
 純血の場合、双子の月信者と銀の月信者がほぼ半々です。ハーフの場合は人間に準じ、ほとんどが双子の月信者です。
・ヴァンパイアの特徴
 ヴァンパイアは「好色」である事も多く、この場合には特定の人間からは吸血せずに大きな街で様々な異性(時には同性)を捕えて吸血しています。逆に恋人や配偶者に「義務感」を抱いている事も多いです。自分の正体を「秘密」にしている事も、特にハーフではよく見られます(反応のペナルティを隠すだけなので、特にCPは獲得できませんが)。
 当然の事ながら、「血液恐怖症」を取得する事はGMの許可がない限りできません(笑)。
・ヴァンパイア特有の特徴
「鉤爪/手のみ」(14/23/36CP)
 手の指先に鋭い爪を備え、パンチのダメージに+2/ダメージを「突き/切り」/ダメージを「突き/刺し」・「振り/切り」とします。また、武器の攻撃もこの爪と〈格闘〉〈空手〉〈柔道〉技能で「受け」が可能です。足に鉤爪は無いのでキックのダメージは増えませんが、人間同様にブーツを履いてダメージを増やせます。
 必要の無い時は体内に収納できますので、見た目で気付かれる事はありません。
「太陽光恐怖症」(−20/−40CP)
 太陽光線に対する恐怖症です。これを持つキャラクターは普通、「陽光過敏」(後述)も所持しているでしょう。
「陽光過敏」(−15CP)
 太陽光線を浴びるとダメージを受けます。ダメージは10分あたり1点です。この特徴はハーフが取得する事はできません。
・ヴァンパイア特有の技能
 特にありません。鉤爪は人間と同じ格闘用技能で扱えます。
・ヴァンパイアの名前
 ヴァンパイアの名前は普通の人間とあまり変わりませんが、やや姓が長めの場合が多いようです。ハーフの場合には、普通の人間と大差ありません。
例:ティナ・ハーヴェル(ヴァンパイア・ハーフ)
・ヴァンパイアの地位
 人間の地位レベルと同じです。
・PC(プレイヤー・キャラクター)への適性
 魔族に準じます。


・妖精(30CP)(EM・UQ)
体力−4(最大14、−30CP)、敏捷力+2(20CP)、知力+1(10CP)、生命力−1(−10CP)、羽の魔力で飛行(移動力は通常と同じ、20CP)、魔法の素質1レベル(15CP)、鋭敏感覚2レベル(10CP)、動植物共感(10CP)、長命(人間の5倍、ただし成長速度は1.5倍、10CP)、義務感/自然(−15CP)、正直(−5CP)、体が小さくて通常の武具を使えない(攻撃された時の命中判定に−2のペナルティを与えるが、専用装備は重量1/3で価格1.5倍)(−5CP)
 妖精は身長30cm程度にしかならない小さな種族で、耳はエルフのように尖っており、背中からは透き通った虫によく似た羽が生えています(飛行は羽の持つ魔力に頼っており、物理的に羽ばたく訳ではありません)。体格は細身で、淡い色の瞳は影の民にそっくりな不思議な輝きを持っています。妖精は人間やその他の種族より寿命が約5倍ありますが、成長速度は1.5倍なので20代前半(ルール上は22歳半)で成人として認められます(技能に消費できるCP限界については、学習能力が低いわけではないので他の種族と同様に実年齢の2倍で構いません)。
 普通の妖精は森で動植物や精霊と共に暮らしていますが(住居は木のうろか、樹上の小さな鳥の巣状の家です)、ごく稀に街に出てきているのを見られるでしょう。特殊な魔法能力を持っている妖精なら、遺跡や古い魔法書に潜んでいるかもしれません。
 妖精の好む武装は杖・ナイフ・短剣・弓矢・手槍と非金属製鎧です。それ以外を使用する事はまずありません。
(…ルナルの信仰)
 〈天使〉と非常に関わりの深い種族であり、全ての個体に生まれつき〈天使〉が宿っています。そのため全ての個体が生まれつきのウィザードであり(データはハーフの作り方を参照して下さい)、その上に〈天使〉1体に限り自分自身を魔術具として扱う事が可能です(この〈天使〉はキャラクター固有の物で、死んで肉体が滅びるまで宿り続けるので種類は慎重に選んで下さい!)。〈〈天使〉の召喚〉〈〈天使〉の封印〉も生まれつき使用できますし、通常のウィザードが召喚に制限を受けるディエル、ブリュエル、ガエル、ドーエル、ハシュエル、サラエルの召喚にも〈〈天使〉の召喚〉のレベルによる制約を一切受けません。妖精が黒の月信者のソーサラーとなった場合は、〈天使〉が追い出されて〈悪魔〉が代わりに宿ります。
 以上の通りの能力を持つため、ルナルのデータ使用時の妖精には「特殊な背景/〈天使〉の宿り」「魔力目当てに狙われる事がある(敵/100CP(まれ)として扱う)」が加わります。
・妖精の特徴
 妖精の大半が高いレベルの「魔法の素質」を持っており、「危険察知」や「幸運」を持つ者も見られます。「好奇心」はよく見られますし、「かんしゃく」や「自信過剰」もありがちです。
 妖精は「肥満」の特徴を得られません(体が小さく、余分なエネルギーは熱として排出してしまいます)。元から細身なので「やせっぽち」も取得できません。
・妖精特有の特徴
「魔力視覚」(10CP)
 《魔力視覚》の魔法が常時発動しているのと同じ効果があります。相手の魔力が何らかの手段で隠されている場合には、知力を技能レベルと見なして隠匿している魔法と即決勝負をして下さい。
「飛行障害」(−20CP)
 羽を傷付けて飛べなくなっています。移動するには歩くしかありませんが、妖精は体が小さいため、移動力とよけは本来の半分(端数切捨て)にまで低下してしまいます。人込みを突っ切ろうとしたりするなら踏み潰されるのがオチでしょう。
「祈願能力」(200CP) 前提:「魔法の素質3レベル」
 この特徴を持つ妖精は、シナリオ1つにつき1回、1人につき1回に限り《大祈願》を15レベルで、しかも集中もエネルギー消費も無しで行使できます(失敗してもペナルティは全く受けません!)。しかし本来の《大祈願》とは違い、CP総計に恒久的に影響を与える能力を行使する事は基本的にできません。CP総計を上げたなら、CPが相応する不利な特徴を代償として与えるか、差額を経験点で埋め合わせて下さい。
 祈願能力は、使える用途や状況を限定して必要なCPを下げる事も可能です(「防御的な用途だけ(攻撃的防御はダメ)」「子供の願いにだけ(言いくるめ不可)」なら−30%、「荒野に水を取り戻すだけ」なら−60%など。通常は−60%が限界)。特殊な増強・限定として、「ささやかな3つの願いだけ(±0%)」というのも可能です。
 なおこの能力は、絶対にPCに取得させてはいけません(どうしても欲しいというなら取らせても構いませんが、能力目当ての邪術師や金持ちに追い回させてあげましょう(笑))。
・妖精特有の技能
〈飛行〉(肉体/並)
 「ベーシック完訳版」を参照して下さい。
〈暴走〉(精神/難)
 ルナルのラグアツ・ミュルーンの所持している技能と同じ物です。「植物共感」を持つ妖精の場合、歩行植物も暴走する群れに仕立てられます。
〈治癒術〉(精神/難) 技能無し値:知力−6(妖精のみ)
 ルナルのレスティリ・エルファの〈高級処置〉と同様に扱って下さい。ただし特別な道具は不要ですし、種族の差によって不利な修正を受ける事もありません。
・妖精の名前
 名前のみで姓を持ちません。名前も簡単な物が多いようです。
例:フィリー
・妖精の地位
 妖精には「地位」という概念がありません。人間社会でも地位レベルは一律「0」と見なされます。
・PC(プレイヤー・キャラクター)への適性
 ありふれた種族ではありません。GMが許可を出さない限りPCとしては使えません。


・人狼族(53CP)(UQ)
体力+2(20CP)、生命力+1・2点以上下降不可(10CP)、高速治癒(5CP)、暗視(10CP)、鋭敏味覚・嗅覚2レベル(4CP)、動物共感/狼&平和愛好/非殺/狼(0CP)、直情(−10CP)、新月前後の月が見えない時期は軽い放心状態(−5CP)
#以下は変身時限定、CPは通常の25%(端数切上げ)
体力+4/疲労点は変化なし(10CP)、牙(ダメージが切り/突き、2CP)、鉤爪2レベル(ダメージが「切り/突き」、7CP)、毛皮の防護点2点(3CP)、跳躍倍増1レベル(3CP)、不器用3レベル(−3CP)、変身中は武器・防具を持てない(−3CP)
 人狼族は普段は人の姿を取りますが、太陰暦13日にあたる満月の光を浴びると直立する狼の姿を取る種族です。伝承に通じた者の間では「古き血の子」とも呼ばれる古い種族ですが、個体数の少なさと異種族(人間だけではありません)による迫害により衰退を続け、現在ではまず見られない希少種族と化してしまいました。
 普段の人狼族の身体能力は通常の人間を力でやや上回る程度ですが、満月の下では圧倒的な力で敵を粉砕します。手の構造上武器は持てないものの、その鉤爪と牙だけで大抵の敵は引き裂けるでしょう。変身時に体格が大きく変わるため鎧は脱げ落ちるでしょうが、代わりに分厚い毛皮が身を守ります。
 ちなみに満月の光は、一定以上の強さで浴びないと変身機能が働きません。変身には2ターン掛かり、その間は能動防御を含む一切の行動が取れません。月光が遮られると1D分後に元に戻り、2D点疲労します。
(…ルナルの信仰)
 人間と同じですが、緑の月信者の割合が幾分高いようです。
・人狼族の特徴
 特筆すべき特徴はありませんが、変身する動物に近い性格になる事が多いです。なお、基本セットの中で「変身時限定」となっている物と同じ特徴を人間時にも取得する場合には、差額分のCPを消費、ないし獲得して下さい。しかし能力値の増加と、通常の人間に適用できない「牙」「鉤爪」「跳躍倍増」などはこの処置を取る事が禁止されます。
・人狼族特有の特徴
「コントロール欠如」(−15/−30CP)
 獣に変身した際に、人としての理性が働かずに完全な獣として振舞います。だからといって邪悪な行動を行うわけではありませんが、「サディスト」や「偏執狂」の人狼族の場合に何が起きるか考えない方がいいでしょう(汗)。獣として振舞っていた間の行動が記憶に残っていれば−15CPの、そうでなければ−30CPの特徴として扱います。
・人狼族特有の技能
 特にありません。
・人狼族の名前
 普通の人間と何ら変わりありません。
例:ピート・ロス
・人狼族の地位
 人間と変わりありません。
・PC(プレイヤー・キャラクター)への適性
 GMが許可を出さない限りPCとしては使えません。特殊能力もプレイ中のほとんどの時間は使えない物ばかりですので、PCとしての適性も残念ながら低いとしか言えません。もしPCとして使うなら、満月の日をシナリオ内に持って来たりする工夫が必要です。


・エルフ(15CP)(UQ・PB)
体力−1(−10CP)、知力+1(10CP)、器用1レベル(「不器用」取得不可、5CP)、魔法の素質1レベル(15CP)、暗視(10CP)、義務感/自然(−15CP)
 エルフは、moo系世界――特に「大陸」では最も人間と関わりの深い異種族です。身長は人間と同じ程度かやや小さめで細身ですが、背が高くやや筋肉質になる場合もあります。住む地方によって人間の人種差に相当する物も存在し、「大陸」の北方では金の髪、南方では緑の髪に琥珀色の瞳が代表的な特徴であるとみなされています。髪は男女問わずセミロングかロングヘアですが、あまり長く伸ばす事は少ないようです。
 エルフは代々森の中で部族制社会(散住が一般的)を築いていますが、他の種族とも友好的な関係を築いてきました(遥か昔は木の上に住んでいましたが、定住と共に木造の家屋を建てて住むようになりました)。現在のエルフの一部は人間の街や村で暮らしており、人間との混血も進んで……いるとかいないとか(エルフ以外の人間型種族も、大半が混血可能です。そのようなキャラを希望する場合は、GMに許可を得て下さい)。時には人間から隔世遺伝によりエルフやハーフエルフが生まれる事もあり、そのような場合一般人は大抵、魔術師や職人に里子に出します。食生活はやや味付けが少ない事を除けば人間とあまり変わりませんが、肉(特に家畜の肉)を食べる事は野蛮として嫌い、乳製品もほとんど口にしません。ただし狩猟で得た肉は地方によっては珍重され、魚もこの制限には掛かりません。もちろん街に出た身では、あまり選り好みは言っていられないのが実情です。
 エルフは全ての個体が魔法の素質を持ち(エルのように「未覚醒の素質」だった者もいますが)、成人は全員が魔法を取得しています。もっとも一般人の大半は、片手で数えられる程度しか覚えていませんが。ちなみに最低条件は、「1種類以上を11レベル以上」です。
 大陸全土のエルフをまとめる組織を「大評議会」と言います。魔法の振興や文化交流、自然保護運動などを手掛けており、各地に支部を設けていますが、国家組織的なものではなく領土も持ちません。人間の国家でも貴族や政治家にエルフがいる事が時折見られます。しかし元来物欲(というよりは金銭欲)に乏しいため、金に物を言わせて強引に伸し上がってきたラーレル家のような例はエルフとしては例外的です。
 なお、この世界のエルフの寿命は人間と同一です。
(…ルナルの信仰)
 双子の月が現在の主流ですが、エルフだけで暮らす場合は緑の月もそれに準じます。銀の月信者やウィザードもかなり見掛ける事でしょう。
・エルフの特徴
 「魔法の素質」を高レベルで持つ場合が、他種族に比べて多く見受けられます。意外と気性も荒く、「かんしゃく」「直情」などを持つ者も少なくありません。
 また、エルフは体質上「肥満」する事はありません。成人キャラクターを作成する際には魔法を1つ以上取得しなくてはいけないため、「ルナルと合成」パターンで平信者になる事も許されません。
・エルフ特有の特徴
「赤外線視力」(15CP)
 一部のエルフは色の識別範囲が広く、赤外線を見る事が出来ます。「ベーシック」完訳版に記された通り、(1)温度の視覚的把握(21度以上あれば闇の中でも物が見える)、(2)暗さによる不利な修正を−1しか受けない、(3)隠れた生物の発見に+2され1時間以内の〈追跡〉に+3、(4)一瞬の強烈な熱が《閃光》と同じように働く、といった効果を受けます。
 エルフの赤外線視力は目によるものなので、「視覚障害」と同時の取得は不可能です。
「青黄色盲」(−5CP)
 赤緑色盲であるルナルのドワーフとは逆に、青と黄色の区別が付かなくなります。この特徴を持つエルフには、「赤外線視力」の持ち主が多いようです。
「魔法未修得」(−2CP)
 魔法を「1種類以上を11レベル以上で」修得していないキャラクターは同族から「未成年1レベル」として見なされ、大人としての扱いを受けられません。
「大評議会メンバー」(10CP)
  限定的な治外法権(軽犯罪に対する不逮捕特権・税の一部免除、10CP)、後援者(かなりの力、まれ、7CP)、居住国における権利の一部制限(−5CP)、使命(まれ、−2CP)
 エルフ大評議会のメンバーには、通常の国の支配権が及びません。エルフの伝統的な慣習で裁かれ、税も基本的には大評議会へのみ納めます。また大評議会において発言権も所持し、役員や評議員への被選出権を獲得します。大評議会メンバーは、エルフの間では地位レベル1と見なされます。
・エルフ特有の技能
〈隠行〉(精神/難) 技能無し値:なし 前提:「魔法の素質1レベル」〈忍び〉〈偽装〉
 呼吸を潜め、身体の動きを止め、長時間潜み続ける技能です。〈忍び〉〈偽装〉のどちらか低い方を基準値として判定してから、1時間毎に〈隠行〉を行って下さい。これに成功し続ける限り、能動的に場所まで指定して視覚と〈隠行〉の即決勝負に成功するか探知魔法に成功するかしない限り使用者の存在に気付く事はできません。
 これは前提さえ満たせば、人間やライシアンなどの体格の近い種族も習得が可能です。
〈さえずり〉(精神/難)
 〈言語〉〈手話〉の一種ですが、更に洗練されています。鳥の鳴き声や獣の吠え声、梢の音などに偽装して会話と同じ速度でメッセージを伝えるため、〈さえずり〉を所持していないとそれが暗号だという事も分からないでしょう。ただし〈暗号解析〉〈言語学〉(普通のPCは取らないでしょうが……)のどちらかに−5修正した反応に成功すれば、それがメッセージだという事だけは分かります。くれぐれも町中や洞窟で安易に使って怪しまれたりしないように(笑)。
・エルフの名前
 人間と同様、名前と姓で構成されます。柔らかい響きの簡潔な物が好まれていますが、そうでない場合も多々見られます。簡潔に聞こえる場合でも、神話や伝説に範を取る場合が多く見られます。
例:エル・ルイス(人間社会育ち)、エヒニッシュ・ラーレル、ナーダ・グレイスタ
・エルフの地位
 エルフ社会の内部では以下の通りです。人間社会では人間と同様になり、場合によっては6〜7にまで上がります。エルフ社会の地位も、大抵は人間にそのまま通用します。
7…王、大評議会議長
6…小国の王
5…部族連合の長、大評議会議員
4…大部族の族長
3…部族の族長、大評議会の部局長
2…小部族の族長、町長、大評議会役員
1…村長、大評議会一般メンバー
0…一般人
-1…はぐれ者、追放者
-2…掟破り、犯罪者
・PC(プレイヤー・キャラクター)への適性
 人間に次いでありふれており、特に禁止しない限り自由にPCとして使えます。


・ライシアン(5CP)(UQ・PB)
体力−1(−10CP)、生命力−1(−10CP)、容貌/美人(下降不可、15CP)、動物共感(5CP)、暗視(10CP)、鋭敏感覚2レベル(10CP)、義務感/自然(−15CP)
 ライシアンは、人間と関わり合う事が多い半獣人の一族です。身長は人間と同じ程度、体格はほっそりとしており、頭から狐の耳を、腰の後ろから大きな狐の尻尾を生やしています(人間の耳にあたる部分には耳はなく、頭髪が覆い隠しています)。髪と体毛の色は茶色や金色、灰色が多く、それ以外は滅多に見られません。爪は鋭く出し入れ可能ですが、攻撃のダメージが増えるほどではありません。性質的にも大人しく人間とも交流がありますが、個体数が遥かに少ないため目撃する機会も少ないでしょう。大陸東方では「お稲荷様」を信仰しているため、種族名の「ライシアン」は魔法記述言語の「rician(稲の民)」に由来するという説があります(今の言語では綴りは基本的に「Lithian」と記されます)。ライシアンには酒好きが多いですが、人間とは違ってアルコールへの中毒にまで発展する事はありません(依存症レベルにはなりますが)。
 ライシアンは元々は部族単位で村に住んでいました。一部のライシアンが街に出るくらいで(美しさを生かして、接客業や俳優を営む事が多く見受けられました)、大半は森の中で静かに日々を過ごしていたのです。とはいえ全てのライシアンの本家である王家を中心として、緩い紐帯を持ち続けてはいたのですが。
 しかし美しさと力の無さ(物理戦闘能力が総じて低く、魔力も弱い)が災いしてハンターに狩り出され、種族独自の社会は大幅に減少しました。現在では保護が進みましたが未だに法の網をくぐってライシアンを狩り出す者がおり、時代が推移しても問題の完全解決は見えていません。対抗するために人間国家の国籍を取り、人間と変わらない生活を営むライシアンも増えています。
 なお、ライシアンは人間と混血が可能です。どちらの特徴が出るかは五分五分ですが、隔世遺伝で発現する事はエルフとは違い起こりません。
(…ルナルの信仰)
 半獣人らしく、赤の月信者が中心です。銀の月信者も稀に見られますが、その他の信仰はまずありません。
・ライシアンの特徴
 有利な特徴は半獣人らしい「鋭敏〜」「危険察知」がよく見られますが、「戦闘即応」はあまり見られません。
 不利な特徴としては、都市生活に染まったライシアンでは「好色」「怠惰」などがかなり一般的です。人間外種族の中では気性の荒くない方で、ありがちな「かんしゃく」や「直情」はあまり見られません。しかし虐待を受けた場合には、「恐怖症」や「偏執狂」などの不利な特徴を持つ場合がままあります。
 ライシアンは生まれつき「美人」なので、「やせっぽち」を取る事は不可能です。代わりに「華奢」を取って下さい。「アルコール中毒」には決してなりませんが、「アルコール依存症」にはなり得ます。
・ライシアン特有の特徴
「華奢」(−5CP)
 ライシアン限定の「やせっぽち」です。容貌の上限が無くなりますが、生命力に加えて体力も最大10までに制限されてしまいます。
「感情露呈」(−5CP)
 尻尾が感情に従って勝手に動いてしまいます。この衝動を抑えるには、意思判定に成功しなくてはなりません。尻尾をだぼだぼのコートやスカートで覆えば、露見する心配は小さくなりますが。
・ライシアン特有の技能
〈誘眠術〉(精神/至難) 技能無し値:なし 前提:「魔法の素質」〈催眠術〉〈呼吸法〉
 〈催眠術〉に似ていますが、1秒で掛かる上に積極的に抵抗しても「意思」そのままのレベルでしか即決勝負を行えません。しかし負担も大きいため、使用者は1点疲労します。
〈魔法薬〉(精神/至難)
 〈錬金術〉と同じ技能ですが、作成には火ではなく清浄な水が必要です。しかしライシアンの場合、「錬金術師のその他の能力」(「マジック完訳版」P112)を使う事はできません。
 この技能は平行世界のライシアンも学べますが、『戦士』『筋力』『治癒』といった有用性の高い霊薬や『復活』『豊饒』『透明』といった見た目明らかに魔法的な霊薬は作り方が伝わっていません。
・ライシアンの名前
 人間の名前でも、姓が先で名前が後になる和風系統を主に使います(古代的姓と雅語的な名前の組み合わせです)。ライシアンの王族は姓を持たず個人の名前だけです。
例:橘由羅(たちばなゆら)、更紗(さらさ)
・ライシアンの地位
 地位レベル5(種族の王)・4(王家の血を引く3氏族+貴族筆頭の1氏族の当主)を頂点として、-1(追放者)・-2(犯罪者)まで存在します。
 部族外でスターとして成功すれば3〜4程度まで上昇可能ですが、見世物扱いされている場合は-1にもなり得ます。
・PC(プレイヤー・キャラクター)への適性
 数が多くなくても人間と接触の多い種族であり、特に禁止しない限り自由にPCとして使えます。


・人工生命体(47CP)(UQ)
敏捷力+1(10CP)、容貌/魅力的(下降不可)(5CP)、超嗅覚(嗅覚判定+6、〈追跡〉+4、1分間掛けて知力判定で匂いを記憶可能、15CP)、暗視(10CP)、柔軟(5CP)、鉤爪1レベル(15CP)、動物共感(5CP)、動物会話(猫限定、5CP)、強迫観念/猫の本能に従う(−15CP)、好奇心1レベル(−5CP)、不器用1レベル(−3CP)
 ハメットと科学研究所の博士の共同作成で偶然誕生した人工生命体です。猫をベースに作られており、外見は猫の耳と尻尾、それに手足を持つ人間です。手足には出し入れ可能な鋭い爪が付いており、戦闘時には武器として活用されます(手足の構造のため、ブラスナックルを填めたりブーツを履いたりしてダメージを増す事はできません)。髪と体毛は違う色であり、確認された唯一の例であるメロディの髪はピンク、体毛は白です。尻尾には特に注意が必要で、戦闘時に部位狙いされた場合は鼠蹊部と同様に扱われます。
 精神的にも猫の要素を多分に含んでおり、マタタビで酔ったり爪研ぎをしたりする点は全く猫と変わりありません。一代限りの種族ではなく生殖能力も備えていますが、混血した子供がどんな姿や能力を持つのかは今のところ定かではありません。
(…ルナルの信仰)
 傾向性を示すだけのデータが存在しません。
・人工生命体の特徴
 人工生命体がメロディしか確認されていませんので、種族的特徴と言えるものは存在しません。
・人工生命体特有の特徴
 特有の特徴についても、今の所は分かっていません。
・人工生命体特有の技能
 ありません。
・人工生命体の名前
 人間と同様に名付けるようです。
例:メロディ・シンクレア
・人工生命体の地位
 意味ありません(笑)。
・PC(プレイヤー・キャラクター)への適性
 基本的にPCとしては使えません。強くプレイヤーが望んでGMが許可したのなら話は別ですが。


・人形(0CP)(UQ)
特になし
 人の姿をした物には、人の心が宿るという伝承があります。特に名人の作った物がそうなりやすいらしく、その中に人形師ルーク・ギャラガーが恋人のヴィオラをモデルにした人形がありました。
 こうして誕生したイヴは人間に近い肉体を備えており、見た目では人形だとは分かりません。傷付くと血も流れます。精神的にも人間と変わりありませんが、やや無愛想で無感情です(肉体と精神のアンバランスが発生させる現象であり、年齢を重ねればギャップは減少するのですが)。生殖能力も備えているため、人間との混血も可能です。
(…ルナルの信仰)
 基本的に製作者やモデルと近似した傾向を示しますが、何らかの反動により正反対の信仰を選ぶ場合もあるようです。
・人形の特徴
 モデルとなった相手や作成者の特徴を引き継ぐ事が多いようです。イヴの菜食や書物好きは、ルークやヴィオラの特徴にも恐らく見受けられたでしょう。年が浅い内は「無感動」「ユーモア感覚の欠如」がよく見られ、経験を積んでもそのまま引きずる事がよくあります。
・人形特有の特徴
 特にないですが、若ければ若いほど感情に乏しい傾向があります。
・人形特有の技能
 ありません。
・人形の名前
 人工生命体と同様です。
例:イヴ・ギャラガー
・人形の地位
 環境によりますが、通常は「0」程度です。
・PC(プレイヤー・キャラクター)への適性
 人工生命体と同じく、普通はPCにできません。


・召喚魔族(30CP)(UQ)
体力−4(最大14、−30CP)、敏捷力+1(10CP)、知力+2(20CP)、生命力−1(−10CP)、飛行(移動力は通常と同じ、30CP)、暗視(10CP)、魔法の素質1レベル(15CP)、強迫観念/天邪鬼(−10CP)、体が小さくて通常の武具を使えない(攻撃された時の命中判定に−2のペナルティを与えるが、専用品は重量1/3で価格1.5倍、−5CP)
 この魔族は、前記の魔族とは違う種族です。身長は妖精と同じ程度ですが背中に羽は無く、魔力で空を飛びます(速度は人間の足と同じ程度ですが、「翼による飛行」より遥かに高い機動性を持っています)。瞳も赤く、人間型の魔族と同様に虹彩も切れ長なのが特徴です。
 魔界の住人のせいか非常に性格がひねくれており、時折重宝されて人間の魔術師に使い魔として使われますが、魔法の束縛がない限り素直に働く事はありません。
 召喚魔族の好む武装は杖・ナイフ・短剣・弓矢・フォーク(スピアに相当)と非金属製鎧です。それ以外を使用する事はまずありません。
(…ルナルの信仰)
 妖精同様、生まれながらのウィザード(もしくはソーサラー)です。この点について詳しくは、妖精に関する説明をご覧下さい。
・召喚魔族の特徴
 人間型の魔族と違い、直情径行型より策略型やわがままなタイプが多くを占めています。「好奇心」「お祭り好き」「食いしん坊」「嫌な行動/悪戯好き」などが適しているでしょう。
 また、天邪鬼と相反する「無感動」「ユーモア精神の欠如」を取得する事はできません。「誠実」で「天邪鬼」という事は少ないですが皆無ではありません。
・召喚魔族特有の特徴
「魔力視覚」(10CP)
 妖精の種族データの、同名の特徴を参考にして下さい。
「強迫観念/天邪鬼」(−10CP、召喚魔族は基本セットで取得済み)
 この特徴を持っていると素直になれません。感謝の言葉は悪態と一緒にしか出ず、素晴らしい案にも一応反対を唱えます。悪口と小突き合いが友情の証であり、嫌な相手には常に辛辣な報復を狙います。
 痩せた土地と変幻著しい環境で狩猟と採取にのみ頼って生き延びた召喚魔族特有のユーモア精神なのかもしれませんが、普通の人間にはなかなか理解できないでしょう。
「使命」(様々)
 召喚され使役される魔族は、魔法により様々な使命を負わされます。魔族の性格上、「不本意な使命」となる事も多いでしょう(PCには向かないでしょうが)。
・召喚魔族特有の技能
〈飛行〉(肉体/並)
 「ベーシック」にも記されている飛行種族専用の技能です。生まれつき飛べるので技能無し値が「敏捷力」そのままになる事に注意して下さい。
〈隠行〉(精神/難) 技能無し値:なし 前提:「魔法の素質1レベル」〈忍び〉〈偽装〉
 エルフの同名技能と同じ物です。しかし体格が違うので、人間サイズの種族に教える事はできません。
・召喚魔族の名前
 この種の魔族は、名前だけで姓を持たないようです。
例:ヘキサ
・召喚魔族の地位
 地位という概念は召喚魔族にありません。一律「0」です。
・PC(プレイヤー・キャラクター)への適性
 あまり数の多い種族ではないので、GMが許可した場合のみPCとして使用する事が可能です。


・ヘザー(0CP)(PB)
知力+1(10CP)、魔法の素質1レベル(15CP)、残忍(−10CP)、倫理隔絶(−15CP)
 ヘザーは、エルフよりやや大きく分厚い尖った耳とほっそりとした身体(ヘザーは身体にぴったり張り付いた服を好みます)、「ヒースの花の色」という種族名の元となったピンクや白、紫の髪をしている種族で、主に「大陸」の南方南部や近辺の島々に居住しています。魔法の素質を生まれつき持つ点ではエルフとも似ていますが、性質的にはかなりの隔たりがあります(種的にはやや近いのですが、エルフと人間の共通点の方が大きいでしょう)。エルフを詳しく知らずにヘザーを初めて見たキャラクターは、〈神秘学〉か〈生理学〉の判定に成功しないとエルフと間違える可能性があります(状況に応じてボーナスやペナルティを付けて下さい)。
 ヘザーは人間と全く異なる価値観を持ち、善悪の基準や愛情などの捉え方が相容れません。このために人間やその他の種族に平然と凶行を働くため、現在でもヘザーは危険種族の中でも最高であるランクS(発見次第即刻排除)に指定され、時折ハンターに狩られています(ハンターの方が返り討ちに遭う事も多いですが)。ヘザーはエルフに外見が似ているものの、人間と全く異なるヘザーの常識では「エルフを装う」という考えは浮かばないようです。
 現在、ヘザーの多くは人里から離れた所に単独か家族単位で居住しており、人間と接触する事はほぼありません。非常に稀に人間の街でも変わり者のヘザーが見掛けられますが、その場合は個人的に親しい人間が常に側にいるでしょう。ヘザーには頼もしい人物を「ご主人さま」にするという慣習があり、完全な庇護を受ける代わりに相手に自分の持つ全てを尽くします。愛し合う男女が結ばれるのも、ヘザーの感覚では恋愛関係ではなく主従関係の延長です(爆)。
 ヘザーは人間やエルフと混血が可能ですが、普通はそのような事はまず起こりません。残虐行為を理解し難い理由で平然と行う種族ですが凌辱のみは最大の犯罪と見なしているため、例外は「倫理」(後述)を備えたヘザーと「ご主人さま」だけです。
(…ルナルの信仰)
 ここがヘザー最大の問題で、普通の人間のモラルから外れた銀の月信仰が盛んです。黒の月信仰も時折見られるという事で、ヘザーが恐れられるのも事実無根ではありません。双子の月信仰は稀にしか見られず(普通は「倫理」(後述)の持ち主)、信者は他のヘザーから疎外されてしまうでしょう。
・ヘザーの特徴
 ヘザーは極端に気性が荒く、「高慢」「かんしゃく」「バーサーク」「自信過剰」「乱暴者」「サディスト」などがありふれています。また、「臆病」「戦闘硬直」「平和愛好」「誠実」を取得する事はできませんし、「倫理隔絶」を「倫理」で買い戻さない限り「常識」もダメです。種的に戦闘への適性も高く、「我慢強さ」「戦闘即応」「意思の強さ」もよく見られます。
 人間と共に暮らすヘザーの場合、「ご主人さま」に対する「熱狂」を持つのが普通でしょう。この場合は基本的に何らかの手段(種族をエルフと偽るなど)で公民権を得ている物と見なすため、種族を「秘密」にしてCPを稼ぐ事はできません。
・ヘザー特有の特徴
「倫理隔絶」(−15CP)
 他の種族の倫理を全く理解しません。ルール的には重度の「妄想」に近い扱いを受け、異種族からの反応に−3の修正を受け、異種族に対して行う〈裏社会〉〈脅迫〉を除く全ての対人関係技能に−3の修正を受けます。
 この特徴は、「倫理」で買い戻す事が可能です。
「倫理」(15CP)
 他の種族の倫理観を理解可能で、それに従った行動ができます(台所のゴキブリを可愛がったりと、どことなく妙な点は残ってしまいますが)。このため、他種族の反応に受ける不利な修正が無くなり、「常識」の取得も可能になります。また、この特徴があっても精神的に不利な特徴の効果は変化ありません。ヘザーをPCとして使う場合には、この特徴を取得する必要があるでしょう。
 この特徴を持つと、「倫理」を持たないヘザーからの反応が−1されます。
・ヘザー特有の技能
〈拷問〉(精神/難) 技能無し値:なし 前提:「倫理隔絶」、〈脅迫〉15レベル
 器具や薬、その他様々の非道な手段を使って相手を言うなりにする最低の技能です。これと相手の意思(「我慢強さ」は+3、「痛覚過多」「臆病」は−4、意思堅固さを表す不利な精神的特徴は−5CP毎に+1)で即決勝負を「20−技能レベル(最低1)」時間毎に1回行い成功度の差だけ相手の意思力を低下させます。繰り返し行い意思を限界値の2まで下げた所で相手を為すがままにできる奴隷に変えられます。実際に言う事を聞かせたい場合には、〈脅迫〉をその度に使って下さい。また、元から意志の弱いキャラクターの場合、〈拷問〉が精神的な中毒を引き起こすかもしれません。通常の中毒のルールの「生命力」を、全て「知力」に読み替えて応用して下さい。
 この技能を持つキャラクターに対しては、反応が−8されます。他人にこれを使用した事が知られれば最低でも年単位の懲役、最悪(最良?)の場合は処刑も十分有り得ます。
〈殺戮〉(精神/難) 技能無し値:知力−4(ヘザーのみ)、〈犯罪学〉−3
 自らの手に持つ技能や装備を応用して、効果的に殺戮を行うための歪んだ技能です。戦闘系技能が最も役に立ちますが(立てるなっつーに)、〈毒物〉〈罠〉〈爆発物〉も有効でしょう。方法を思い付いても実行する際にはこれらの技能を使う必要が高くなります。装備不足は技能判定にペナルティは付けませんが、判定に成功しても「実行手段無し」となるでしょう。合法的にこの技能を行使するには〈法律〉も不可欠ですが、ヘザーはそんな事は普通考えません。
 なお、〈動植物知識〉か〈動物学〉も持っていれば、この技能は害虫や害獣を退治する際にも応用は可能です。
 例:ティセはチョコレートを食べたゴキブリさんを、ご主人さまに面倒を掛けずに自力で始末しようとしました。ティセは〈殺戮〉を取得していないので技能無し値の「知力−4」を使用します。〈動植物知識〉判定に成功してゴキブリの生態を知っていたのでペナルティ無しで判定して、目標値10に対して出目は8。「ゴキブリ退治器」「スプレー式殺虫剤」「スリッパ」「ゴキブリ団子」といった辺りを想定できましたが、スプレーとスリッパはとろいので自信がありません。ゴキブリ退治器も在庫が切れていた上にお小遣いも残り少ないので、ルーティの〈化学〉技能を頼りにしてゴキブリ団子を作ってもらう事にしました(笑)。
 例2:ティセはチョコレートを食べた魔獣マモンガーを(中略)。〈神秘学〉判定に失敗したのでペナルティを4点受けて、目標値6に対して出目が16。ファンブルしたために魔法式殺戮トラップを思い付いてそのまま仕掛けますが、マモンガーは魔力を食べてしまいますので失敗するのは目に見えているでしょう(笑)。
〈凶器〉(肉体/難) 技能無し値:敏捷力−6 前提:「残忍」
 金属製の柄からねじ曲がった金属の刺や刃が何本も突き出しているヘザー独特の武器を作成、使用、修理する技能です。特に決まった様式がある訳ではないのでヘザーの間では名前はありませんでしたが、人間達によっていつしか「正体不明の凶器」の総称として名付けられました。
 この武器は肉を引き裂き痛覚を痛め付けるため、ダメージを受けるとあたかも「痛覚過多」であるかのように痛みの衝撃が2倍になります(「我慢強さ」があっても通常通りの衝撃、「痛覚過多」だと生命力判定に失敗すると気絶)。
 この武器を所持しているだけで、ヘザー以外のキャラクターからの反応が−3されます。「平和愛好」のキャラクターからの反応は最高でも「良くない」にしかなりません。
 *凶器
 ヘザー独特の武器です。金額はあくまでも目安であり、通常は自作するか他のヘザーから奪い取るかします。
 切り/振り+2、長さ1、500G、2kg、必要体力9、最大致傷1D+4、ダメージの衝撃が2倍
 刺し/突き+3、長さ1、最大致傷1D+2、ダメージの衝撃が2倍
〈空手〉(肉体/難)
 ルナルと合成した場合でも、ヘザーは信仰に関わらずこの技能を使用できます。
・ヘザーの名前
 前が名前で後ろが姓という順番は人間と同様ですが、他種族との交流が少ないせいか特異な姓と名前が多く存在します。男性名と女性名の区別もほとんどありません。家族制度もかなりあやふやで、いわゆる「姓」も二つ名と呼んだ方が相応しいかもしれません。
例:ティセ・ディアレック
・ヘザーの地位
 謎に包まれていますが、ヘザーの倫理観からして「地位」などという代物が成り立つ事はないでしょう。上下関係が成り立っても、転覆の可能性を常に含んだ一過性の物です。
・PC(プレイヤー・キャラクター)への適性
 価値観や倫理基準が人間と著しく掛け離れた種族である事を決して忘れてはいけません。強くプレイヤーが望んでGMが許可した場合のみ、なぜ異種族と関わるのかきちんと考えてPCとして使用して下さい(ルナルで銀の月の種族をPCとして使う時の扱いも参考にするように)。PCとして使う場合、「倫理」の取得は必須です。
*ヘザーの倫理観について
 ヘザーは人間やエルフが「悪」と感じる殺人や盗み、破壊行為に禁忌を感じない種族とされています。しかしゲーム内に登場したティセは極めてのんびりしている上にドジで台所の物を破壊しまくり、ゴキブリを可愛いと感じるようなずれた感性が目立つに過ぎません(って、それでも十分無茶苦茶ですが)。
 この点については様々な説が立てられますが、とりあえずこのコーナーでは以下のように解釈させて頂きます。もちろんGMやプレイヤーの皆様が別のヘザー像を抱いているのでしたら、それを大事に育んでもらうに越した事はありませんが。
(a)極度の個人主義と刹那性
 他人の存在や意見や主張やその他諸々を全く気にせず、自分に必要なら平気で踏みにじります。しかもそれには大した理由を必要とせず、「気に食わないから」程度の理由でもヘザーが納得するには十分でしょう。「昨日の敵は今日の味方」「今日の味方は明日の敵」というのがヘザーの日常的な在り方なのです。
 またこの精神的特徴は、他人の価値基準の――尊重でもなく否定でもなく――無視に繋がります。他人がどんな価値基準を持っていてもヘザーは意に介せず自分の価値基準にだけ従うため、ヘザーが集団で何かを行うというのは到底考えられない事です。
(b)自我の希薄さと相対的観点
 ティセが自分を「ティセ」と呼ぶように、「私」という物への認識にこだわりを見せる事はありません。あくまでも存在の基盤は外部と常に繋がりを持つ「私達」であり、「私達」との関係が全てを位置付けます。とはいってもヘザーは徹底的に個人主義ですので、互いに飽きたら自然と関係は解消されます。この自我の希薄さは徹底した相対的視点にも結び付き、何物も絶対視する事はありません。よっていかなる権威も権力も、ヘザー1人すら動かす事は不可能なのです。
 ただしこれの例外は「主従関係」であり、一度結んだ「主従関係」は何にも増して優先されます。婚姻関係や成人するまでの親子関係もヘザーの概念では「主従関係」にあたり、これを破るのはヘザーにとって最大(というかほぼ唯一)の犯罪として扱われます。特に性的暴行は「主従関係」を冒涜する物として憎悪され、ヘザーは暴行犯を苦痛も無しに生かしておく事は決してないでしょう。たとえ暴行犯・被害者の双方がヘザーと縁の無い異種族でも。


・水妖(15CP)(PB)
水中呼吸(10CP)、水中行動(10CP)、高速泳法1レベル(移動力2倍、10CP)、耐圧(100気圧まで、10CP)、暗視(10CP)、依存/水(1日以上離れると1時間に1点HPにダメージ、−15CP)、陸上では全ての判定に−1修正・戦闘などの激しい行動を「生命力」ターンより多く続けると「朦朧」状態を防ぐためにターン始めに生命力判定(−20CP)
・貴族種(+65CP)
地位レベル1(5CP)、知力+1(10CP)、魔法の素質1レベル(15CP)、鉤爪2レベル(40CP)、防護点2点(10CP)、名誉重視/紳士・淑女の名誉(−10CP)、好奇心1レベル(−5CP)
・従者種/リバイザー(+5CP)
体力−1(−10CP)、敏捷力+1(10CP)、牙2レベル(「切り/突き−1」、10CP)、防護点1点(5CP)、使命/貴族種全体への服従(−15CP)、〈生存/海〉が「知力」レベル(2CP)、〈水泳〉が「敏捷力+2」レベル(3CP)
 水妖は水中に住む種族で、水竜型の貴族種とその他の姿の様々な従者種に分かれます(従者種の代表的な物が、タツノオトシゴ型の「リバイザー」です)。もっとも人間やその他の陸上種族が接触する際は、独自の呪文で人間に姿を変えているでしょうが。水中に王国を作って暮らしており通常は人間などと接触を持ちませんが、好奇心の強い貴族種などが人間にちょっかいを掛ける事があります。本来の姿に戻れば鉤爪や牙、鱗、魔法などが強力に見えますが、陸上では短時間しか戦闘を持続できません。普通の陸上での冒険には向かない、どちらかといえばNPC向きの種族でしょう。
 余談ですが水妖は人間相手に生殖が可能であり、子供はほぼ確実に人間として産まれます。諸島地方最古の王家の祖先にも、水妖の女性がいたという事です(←豊玉姫?)。
(…ルナルの信仰)
 銀の月の水の元素神を信仰しています。ディワンの特殊能力と同じ物も使えますが、その際は「特殊な背景」にCPをどうぞ。
・水妖の特徴
 人間と大差がなかったりします(笑)。だからこそ人間に興味も持つのでしょうが。
・水妖特有の特徴
「人間変身」(20CP)
 1ターンの集中で人間に変身が可能です(元の姿に戻るのは瞬時に可能です)。変身していると水中での行動が不自由になりますが、陸上での行動に制限を受ける事はありません。ただし牙や鉤爪を持つ亜種でも、妖力の「人間変身」とは違って変身中にそれらを使う事はできない事に注意して下さい。変身した際の姿は年齢に応じた1種類だけに限られます。
 好きなだけ変身し続けられるなら20CPが必要ですが、何らかの制限を付ける事によって10CPまで必要CPを低下させる事が可能です。ちなみにこれは魔法の一種ですので、マナの無い所にいたり《呪文除去》を掛けられたりすると解除される危険が存在します。その際の技能レベルは一律して「知力+魔法の素質」として下さい。差額のCPを消費する事で技能レベルを上昇させる事も可能ですが、難易度は「至難」として扱います。
・水妖特有の技能
〈生存/海〉(精神/並)
 海中種族の持つ〈生存〉です。〈生存/島・海岸〉は水平線より上で使う地上種族専用の技能ですので、混同しないように気を付けて下さい。
特殊水霊系呪文(精神/難〜至難)
 水妖は様々な水霊系呪文を修得しており、特に潮の流れを操る事に長けています。通常はNPC専用でしょうが、GMはゲームバランスを崩さない範囲でオリジナル呪文を作成しても構いません。特に強力な術者は、都市1つを海に沈める事も可能と言われています。
・水妖の名前
 貴族種の場合、人間と同じように名前と姓を持ちます。従者種の場合は他種族に名乗る事はまずありません。
例:メーベル・ビーチ、エヴァーラル・ビーチ、グスタフ・クロウ
・水妖の地位
 地位レベル4〜5(部族の王)が限度です。なお貴族種は追放されても地位レベルは1までしか低下せず、従者種は地位レベルを上昇させる事は出来ません。
・PC(プレイヤー・キャラクター)への適性
 地上に適応していない種族ですので、通常はPCにはできません。海と関わる冒険の場合のみ、GMの許可を受けてPCとしての使用が可能です。


・魔導人形(50CP)(PB)
記憶力1レベル(30CP)、時間感覚(5CP)、我慢強さ(10CP)、暗視(10CP)、毒無効(霊薬は除く、15CP)、病気耐性(10CP)、呼吸不要(20CP)、睡眠不要(20CP)、不老(15CP)、何を食べてもエネルギーに変換する(1CP)
魔法過敏症2レベル(「マナの泉」版データ参照、−6CP)、自然治癒しない(−30CP)、魂が存在しない(−15CP)、即時退場1レベル(残りHPが「−生命力」に達すると自動的に気絶、−15CP)、完全な人権を持たず、一般人の反応も−2(−20CP)
 ディケンズ博士などが魔法と自然科学の融合技術で作り上げた、完全独立思考型魔導人形と呼ばれる存在です。ゴーレムとは違い、人間並(いや、並の人間より上)の知性と思惟能力を持っていますが、通常の人間より感情が乏しくなりがちです。外見も人間とさほど変わりませんが、素材の質に応じて人間とは違う肌の色を持ちます。魔導人形は毒や病に侵されず、呼吸も睡眠も必要としません。食事は機能維持に不可欠ですが、「魔導融合炉」において元素分解するため通常食べられない物(毒物や石など)でも構いません(つまり、飲み薬の霊薬はいかなる物でも効果を発揮しません。注意して下さい)。
 魔導人形は“人に作られた物”ですがある程度の人権は認められており、悪意を持って破壊すれば殺人罪に該当します。しかし必ず所有者・所有組織が存在し、よほど理不尽でもない限りその命令に従わなくてはなりません。なお、魔導人形は有機物と無機物の複雑な混合体であるため、負傷は自然治癒しません。応急処置も無意味ですので、治癒魔法を使える魔法使いと常にコンタクトを保つべきでしょう(〈診断〉〈手術〉には〈技師/魔法機械〉(前提:〈神秘学〉)が該当し、修正無しでの判定に成功すれば機能の自然回復を促す事が可能です。《接合》なども有効です)。精神はあっても「魂」は存在しないため、死んでも《復活》などで生き返らせる事はできません。
(…ルナルの信仰)
 通常は何も信仰していませんが、作成者から独立したりした場合には信仰を持つ場合があります。その場合はペローマ信者が大半を占めるそうです。
・魔導人形の特徴
 「無感動」「ユーモア感覚の欠如」は大半が持っています。また精神的抑制が働いているため、「かんしゃく」「直情」などのたがが外れた特徴は滅多に見られません。また、「魔法の素質」を持つ魔導人形も今の所確認されていません(もちろん、マナが「密」なので呪文は使えますが)。
・魔導人形特有の特徴
「魂が存在する」(15CP)
 魂が宿っており、《復活》などの対象となります。超天才の手による存在か、死者の魂を宿らせたかのどちらかでしょう。
・魔導人形特有の技能
 特にありません。
・魔導人形の名前
 個人の名前だけで、それ以外には何も持たないのが普通です。
例:ブラスコ
・魔導人形の地位
 通常は0ですが、「価値ある財産」でもある事に気を付けて下さい。
・PC(プレイヤー・キャラクター)への適性
 特殊能力が多い反面自然治癒をしないため、はっきり言って不向きです。GMの許可を受けない限り使用できません。


・霊体(+30CP)(UQ)
幽体(非物質的な存在だが完全に見えなくなる事はない、〈忍び〉に+5、物理的障害を通り抜ける事が可能、重力の影響を受けない、空中移動可能(移動力は通常と同じ)、物理的攻撃は受け付けないが魔法・超能力・妖術・精神的攻撃・幽体の攻撃は有効、50CP)、生命力−2(−15CP)、酸素不要(25CP)、飲食不要(10CP)、不老(15CP)、一般人からの反応−2(−10CP)、財産/どん底(−25CP)、マナが「無し」の場所では1分毎にHPに1点のダメージ(−20CP)
 生霊・死霊の差はありますが、物質的な肉体を持たず精神と生命エネルギーだけの存在です。人間以外の霊体も当然存在しますので、そのようなキャラクターを作成する際には種族の基本セットと霊体の基本セットを足し合わせて下さい。ただし肉体が無いと無意味な「毒無効」「病気耐性」などは無視してその分を必要CPから差し引き、「高速治癒」は生命力が8以上あれば取得できます。
 霊体は魔法能力者の物であっても物理的攻撃は受け付けず、純粋に魔法による攻撃しか受け付けませんが、逆に霊体が攻撃を行う際にも魔法以外の手段を持ちません(「精神的攻撃」なら可能でしょうが)。肉体技能もほとんど意味を持たないでしょうが、魔法系に属する物や《死の手》の命中判定に使える〈格闘〉は例外です。
 霊体が魔法を使う際には、通常通りのルールに従います。moo系世界では霊体を含む幽体が魔法を使う際にも、マナの濃度は周囲と同一です。霊体は生霊・死霊を問わず死霊系魔法の目標となる事にも気を付けて下さい。
(…ルナルの信仰)
 本体や生前の信仰に準じますが、特に死霊の場合は信仰を捩じ曲げている場合が多々見られます。
・霊体の特徴
 何かに恨みを抱いて「強迫観念」を持ったり、未練に対して「誓い」を持ったりしている事が多く見られます。しかしお気楽な霊体も結構見られ、「好奇心」や「嫌な行動/覗き趣味」で周囲を掻き回している事もあります。
・霊体特有の特徴
「財産」(CPは様々)
 霊体はお金を持っておらず、財産もほとんど意味を持ちません(そもそも持ち歩けませんし)。しかしそれでは寂しいと思う場合は、CPの差額を消費して財産を持つ事が可能です。しかし持ち歩ける装備は一切購入できませんので、他のキャラクター(PCやNPC)を管理者として預けて下さい。
「二重存在」(CPは様々)
 生霊である上に、その本体も別個の意識を持って活動しています。相手との関わり方に応じて、「仲間」「敵」のルールを適用して下さい。
「攻撃の実体化」(50CP)
 霊体以外に物理攻撃を加える事が可能で、しかも自分自身が物理攻撃を受ける事はありません。また、無生物(ルーチンによってのみ与えられる物を超えた判断基準を持つ存在は含まない。ゴーレムやスケルトンも駄目)なら「重荷」までの物を持つ事が可能となります。この特徴はNPCを考慮した物であり、PCが取る事はお奨めできません。
「装備」(CPは様々)
 霊体は生霊なら本来の姿、死霊なら死ぬ前の姿に準じた服装をしていますが、それには特にCPを消費しません。しかし元から持っている武器や防具は、設定に応じて適当な物をGMの判断により持つ事が可能です。ただしPCの場合、高品質の武具や魔法の武具は持つ事ができません。攻撃魔法への防御や他の霊体との戦闘に役立てる事ができるでしょう。
「消滅の運命」(−50/−75/−100CP)
 霊体の持つ非物質的な肉体は、存在が非常にあやふやである可能性が存在します。「ベーシック完訳版」P43にある「死の秒読み」と同様に扱って下さい。
・霊体特有の技能
 特にありません。
・霊体の名前
 当たり前ですが、本体もしくは生前の名前と同じです。
例:ローラ・ニューフィールド、リリカ、メディア、ニーナ、紅月、風月
・霊体の地位
 生霊の地位は本体に準じます。死霊に地位は無縁の物ですが、生前に地位レベルが高かった場合はその限りではありません。
・PC(プレイヤー・キャラクター)への適性
 さしたる問題は無いでしょうが(魔族の霊体やヘザーの霊体ならともかく)、その際には幽体のキャラクターの持つ特殊能力をよく把握しておいて下さい。隠密活動はほとんど無敵ですが、物を持てない事と魔法攻撃に対して意外と脆い事に注意が必要です。


・人間型魔獣(0CP)(UQ)
特殊な背景/魔獣の血(10CP)、秘密/魔獣である(判明すると一般人の反応−2、−10CP)
 moo系世界に存在する魔獣には、人間の姿をした者も存在します。その能力は様々ですが、総じて並の人間を上回り(PCは「並の人間」ではありませんが)、様々な特殊能力を持っている事があるようです(外見では全く判断できませんが)。外見では区別が付かないものの、時代や場所によっては迫害される事も度々ありました。人間型魔獣は種族的な集まりも持たず、普通は家族単位で暮らすか普通の人間の住む町で暮らすかしています。
 人間型魔獣は人間型種族と交配が可能であり、稀に能力が受け継がれる事があります。
(…ルナルの信仰)
 人間と同じです。通常は。
・人間型魔獣の特徴
 精神的に抑制が効かない傾向があるらしく、「かんしゃく」「直情」「残忍」などが多くあります。戦闘能力も高い傾向があり、「我慢強さ」「意思の強さ」は大半が所持しています。
 その他様々な特殊能力については、「妖魔夜行」などを参考にして下さい。NPCの場合はGMが自由に能力を付けられます。
・人間型魔獣特有の特徴
「特殊な背景/魔獣の血」(10CPだが、「秘密」と足し引きして0CP)
 人間型魔獣、または隔世遺伝で形質の発現した人間(やエルフやヘザー)が持つ特徴です。これを持つと「ベーシック完訳版」の「闇視」「赤外線視覚」「追加疲労点」「追加HP」などの普通の人間の取れない特徴を取得でき、更にGMの許可を得て「妖魔夜行」の妖術をPL3程度を限度として取得する事が可能です(コントロールに必要な技能のCPは肉体/難か精神/至難として扱って下さい)。妖力でも「毒無効」などは取得が可能でしょう。しかし外見が変わるような能力は一切取れません。
・人間型魔獣特有の技能
 特にありませんが、特殊能力を使うための技能はちゃんと修得して下さい。
・人間型魔獣の名前
 普通の人間と変わりありません。
・人間型魔獣の地位
 普通の人間と同じですが、特殊な血統に受け継がれている場合には代々高位の聖職者だったり貴族だったりする事があります。
・PC(プレイヤー・キャラクター)への適性
 数が少なく強力な種族なので、PCにするにはGMの許可が必要です。


・青き森の民(0CP)(UQ、典拠はネット上のネタ)
成長過程での髪色の変化(0CP)
 エンフィールドに近い「青き森」に居住する人間の部族で、生活形態や文化は普通の人間と何ら変わりはありません。しかし成長過程で髪の色が変化します(笑)。
 通常は10代の後半で髪の色が変わり、色変わりが終了した時点で成人と見なされます。昔は色変わりしないと村を追い出されたそうですが、今はそのような事はありません。なお色は必ず青や緑、紫系統です(「アーヴの髪の青色」と覚えておけば良いでしょう)。
(…ルナルの信仰)
 人間と同じで、サリカやアルリアナ信仰が中心です。エンフィールドのシェフィールド家と関係を持つ一族ではリャノ信仰が中心で、一族の女性をシェフィールド家にメイドとして奉公させる事が習慣となっています(よーするにジュディの事ですが)。
・青き森の民の特徴
 特にありませんが、田舎住まいなので世知辛い特徴(「強欲」「けちんぼ」)や戦闘的な特徴(「かんしゃく」「残忍」)が少ない事だけは覚えておいて下さい。
・青き森の民特有の特徴
「成長過程での髪色の変化」(0CP)
 青き森の民は、成長過程で髪の色が変わります。ルール的には他の民族から珍しく思われるだけで他の影響はありません。
「髪色不変」(−2CP)
 成長しても髪の色が変わらないと、青き森の民の間では「未成年」として扱われました。今では他の民族との混血も進みそのような事はありませんが、やはり一族の代表は髪の色が変化した者から選ばれます。
・青き森の民特有の技能
 特にありません。
・青き森の民の名前
 普通の人間と同じです(特にエンフィールドの)。
・青き森の民の地位
 村長の地位レベル1を除くと、通常は地位レベル0です。青き森の民は出世や巨万の富にあまり価値を置かないので、外の世界で高レベルになる事も少ないでしょう。
・PC(プレイヤー・キャラクター)への適性
 PCとして選択する利点も欠点もありませんので、PCにしたい場合はGMの許可を得て下さい。


・触角族(35CP)(PB、典拠はネット上のネタ)
知力+1(10CP)、魔法の素質2レベル(25CP)、相互共感能力(同族にカリスマ2レベル、5CP)、義務感/触角族(−5CP)
 前髪の脇が触角のような髪型をした、普通種より強力な魔力を持つ人間の亜種です。大陸南方南部では古くより知られた存在ですが、現在では普通種の人間と混血を繰り返して先祖帰りでしか発現しません。人間全体の魔力の弱体化を危惧する連邦政府は近年、公務員候補者に対する魔力検査の義務化による埋もれた才能の掘出しや魔法関係部署のオフィスラブ公認による魔法能力者の増加などと共に、秘密プロジェクト「明るい触角族保存計画」を発動させています(笑)。
(…ルナルの信仰)
 人間と同じです。キャラクターメイキングにおいてほとんど利点もありませんが、ウィザードも普通種の人間と同じ程度の割合で出しています。
・触角族の特徴
 高レベルの「魔法の素質」が一般的です。他にさしたる点は見当たりません。
・触角族特有の特徴
「鋭い触角」(5CP)
 触角を自在に動かして、頭突きのダメージを「刺し/突き」として扱います。しかし使用可能技能が〈格闘〉限定になる上に、武器で「受け」られると頭にダメージが及ぶ危険のある事に注意して下さい。
「感情露呈」(−5CP)
 動く身体部位が触角である事を除けば、ライシアンの同名の特徴と同じです。
・触角族特有の技能
 特にありません。
・触角族の名前
 普通の人間と同じです。
・触角族の地位
 魔力が強いために重宝され、魔法関係でかなり高い位に就く事になります。魔法の力があるため、連邦内ではCPを費やさずに1レベルになります(ルール解説参照)。
・PC(プレイヤー・キャラクター)への適性
 希少種族であり、GMの許可がないとPCには使えません。


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